(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記の異なるグラフト共重合体の1つまたは2つまたはすべての前記各グラフトベースは架橋されており、任意に、前記の異なる塩化ビニルグラフト共重合体の1つまたは2つまたはすべての前記各グラフト化共重合体フェーズは架橋されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のブレンド。
エマルジョン重合によって調製される少なくとも2つの異なる塩化ビニルグラフト共重合体を含有するブレンドを調製するための方法であって、ここで、前記の少なくとも2つの異なるグラフト共重合体は、各々、グラフトベースおよび、少なくとも部分的に塩化ビニルからなる、グラフト化共重合体フェーズを含有し、
a)前記塩化ビニルグラフト共重合体各々に関して、グラフトベースを重合によって調製する工程であって、ここで、用いるモノマーを適切に選択することによって、前記グラフトベースのガラス転移温度Tgを調節する工程、ならびに
b)a)で調製した前記グラフトベース各々の上に、エマルジョン重合によって共重合体フェーズをグラフトし、各塩化ビニルグラフト共重合体ラテックスを得る工程、ここで、用いるモノマーおよび任意に用いるコモノマーを適切に選択することによって、前記各グラフトベースのガラス転移温度Tgが前記各グラフト化共重合体フェーズのガラス転移温度Tgより低くなるように、前記各グラフト化共重合体フェーズのガラス転移温度Tgを調節し、ならびに、各重合条件を適切に選択することによって、塩化ビニルグラフト共重合体各々の平均粒子サイズを300nm未満に調節する工程、ならびに
c)固体としての前記各塩化ビニルグラフト共重合体を、前記各塩化ビニル共重合体ラテックスから分離する工程、ならびに
d)前記各塩化ビニルグラフト共重合体固体および任意にさらなる成分を混合し、前記ブレンドを得る工程
を含み、
グラフト化共重合体フェーズおよびグラフトベースの重量分布割合が互いに異なるように、前記の異なる塩化ビニルグラフト共重合体を調製し、
前記の異なる塩化ビニルグラフト共重合体の1つまたは2つまたはすべての前記各グラフトベースが、(メタ)アクリル酸エステル、ブタジエン、2−クロロ−ブタジエン、1−ブテン、イソプレン、酢酸ビニル、およびビニルアルキルエーテルからなる群より選択されるビニル化合物の1つ以上のみを重合して調製され、
前記の異なるグラフト共重合体の少なくとも1つは、各々、前記グラフト共重合体に基づいて41〜70重量%のグラフトベースおよび30〜59重量%のグラフト化共重合体フェーズを含有する、前記方法。
【背景技術】
【0002】
可塑化塩化ポリビニル(PVC)は、熱可塑性エラストマー(TPE)特性を有するが、TPEの群には属さない。(PVCハンドブック、チャールズ・E・ウィルクス、ジェームズ・W・サマーズ、チャールズ・アントニー・ダニエルズ−2005、14ページ)。原材料のコストが安く、多角的なプロセシング特性および優れた製品特徴を有するため、可塑化PVCは熱可塑性エラストマーの中で特別な位置を占める。可塑化PVCは、微結晶を形成し、塩素および水素原子の間に双極子−双極子相互作用を形成するため、非常に優れた伸縮性および引っ張り強さを示す。PVC中の可塑剤の割合を変化させることによって、製品の強剛性および柔軟性を非常に容易な方式で調節可能である。これは、わずかな成分から多数の製品を産生可能であるため、製造者にとって事業計画の大きな利点となる。低分子量可塑剤の移動能力のみが不都合な点として認識されなければならない。可塑剤が移動するため、素材は壊れやすくなり、これによって、機械特性の崩壊が導かれる。
【0003】
長年、多様なオリゴマー性および高分子可塑剤が使用されてきており、これらは高分子量であるため、移動する傾向はわずかしかまたはまったく示さない(ドミニングハウス−プラスチック、第7版増補改訂版、2008)。既知の例は、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル(EVA−VC)、エチレン−酢酸ビニル(EVA、レバプレン(登録商標))、アクリロニトリル−ブタジエン(NBR)、スチレン−ブタジエン(SBR)、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素(エルバロイ(登録商標))、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS、クラトン(登録商標))等からなる共重合体である。懸濁重合プロセスにおいて、高分子量可塑剤をPVCとブレンドするか、またはPVCとグラフトする。そうでなければ、可塑性が低く、プロセシングがより複雑で、引き裂き抵抗が劣っているなど、不都合な点が勝るため、これらの製品は、特別な要求(低温柔軟性、低移動、脂肪耐性等)の場合にしか用いられない。特に深刻な欠点と見なされるのは、PVCおよび大部分の高分子可塑剤(エラストマー)のブレンドから製造された鋳造物品が不透明であるという事実である。
【0004】
先行技術に記載され、そしてエマルジョンまたは懸濁プロセスにおいて調製されるPBA−g−PVCグラフト共重合体は、半透明または不透明の鋳造物品にしかプロセシングできない。
架橋ポリアクリルエステル(PAE)を使用して、強固なPVCのノッチ付衝撃強さを改善することも可能である(EP 047852)。DE 3803036において、架橋PAEを65重量%含有するPVCを得ることを可能にする懸濁プロセスが記載される。この製品を衝撃耐性修飾剤として、またはPVCのための高分子可塑剤として、使用することも可能である。
EP 0647663においては、グラフトベース(graft base)として架橋ポリアクリレートを有するPVCの熱可塑性エラストマー性グラフト共重合産物(copolymerizates)を産生するための方法が記載されている。透明度やグラフト共重合産物の粒子サイズについては、何の情報もない。
【0005】
DE 10121580においては、最大80重量%までのエラストマーを有するPVCを調製する方法が記載されている。上記エラストマーは、エマルジョン重合において塩化ビニルでグラフト化された架橋ポリ(アクリル酸ブチル)である。好ましい態様において、まず、架橋ポリ(アクリル酸ブチル)ラテックスは粒子サイズ205nmで調製される。第2段階において、架橋ポリ(アクリル酸ブチル)ラテックスは反応装置にあらかじめ装填され、塩化ビニルとグラフトされる。このコア−シェルラテックスは沈殿させ乾燥させる。沈殿によって、塩化ビニル残量が5〜10重量%の間である上記のように調製された重合調節剤は、本発明に従った重合調節剤の約10重量%の量を有する懸濁PVC(S−PVC)のプロセシングの間、特に早く可塑化する部分が形成されるという利点を有する。この利点は、切り欠き衝撃力を改善するためにグラフト共重合体の少量のみが使用されるとき、固いPVCの高スループット押し出し成形に関係するのみである。
【0006】
先行技術において、押し出し、射出成形またはカレンダー仕上げなどの方法を用いて、透明なポリアクリル酸エステル修飾PVC物品を産生するための唯一の既知の方法である、ポリアクリレートフェーズ内で特定の割合のポリスチレンを含有するグラフト共重合体の使用が、記載される。屈折率がより高い(n
D20=1.60)ため、ポリスチレンの内容物は、ポリ(アクリル酸ブチル)およびPVCの屈折率の相違を相殺する(ドミニングハウス−プラスチック、第7版増補改訂版、2008、第2.1.2.2.1章 衝撃強さの増進−透明PVC物品のための、改良剤としてのポリアクリレート(Erhoehung der Schlagzaehigkeit-Polyacrylate als Modifizierungsmittel fuer transparente PVC-Artikel)、372ページ)。ポリスチレンのガラス転移温度が高いため、ポリスチレン内容物がポリアクリレートの可塑化効果を上回ることから、この原理は、強固なPVCにのみ適している。さらに、PVC物品のUVおよび風化作用耐性は、ポリスチレン内容物によって損なわれる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の目的は、エマルジョン重合によって調製された、少なくとも2つの異なる塩化ビニルグラフト共重合体を含むブレンドであって、上記の少なくとも2つの異なる塩化ビニルグラフト共重合体は、それぞれグラフトベースおよび、少なくとも部分的に塩化ビニルからなる、グラフト化共重合体フェーズ(copolymer phase)を含有し、上記グラフト共重合体はグラフトベースおよびグラフト化共重合体フェーズの重量分布パーセントによって互いに異なることを特徴とし、グラフト共重合体それぞれについて、グラフトベースのガラス転移温度T
gが、グラフト化共重合体フェーズのガラス転移温度T
gよりも低い上記ブレンドである。
【0009】
本発明に従ったグラフト共重合体の利点は、異なる割合の可塑化グラフトベースを含有するグラフト共重合体のブレンドを、異なる度合いの強剛性を有するフィルムおよび鋳造物品にプロセシング可能であるという事実である。この方式で、異なる含量のPBAを含む2つのグラフト共重合体を使用する際、混合比を変化させることによって、広い範囲で鋳造物品の強剛性を容易に調節可能である。本発明に従ったブレンドの驚くべき利点は、また、異なる強剛性を有する透明フィルムおよび鋳造物品を製造可能であるという事実である。実際に透明であるグラフト共重合体、およびホモポリマー性PVCのブレンドから作製されるプレスプレートは不透明であるため、この利点は注目に値する。
【0010】
本発明の好ましい態様において、少なくとも2つの異なるグラフト共重合体は、互いに独立に、20℃を超えて120℃までの範囲のグラフト化共重合体フェーズのガラス転移温度T
gおよび/または−80〜20℃の範囲のグラフトベースのガラス転移温度T
gを有する。本発明の好ましい態様において、グラフト化共重合体フェーズのガラス転移温度T
gは、40〜90℃の間にある。好ましい態様において、グラフトベースのT
gは、−60〜−20℃の間にある。グラフト化共重合体フェーズおよびグラフトベースのT
gは、それぞれ使用するモノマーの組成から生じる。
【0011】
本発明のさらなる好ましい態様において、a)異なるグラフト共重合体の少なくとも1つは、各々、グラフト共重合体に基づいて41〜70重量%のグラフトベースおよび30〜59重量%のグラフト化共重合体フェーズを含有し、および/またはb)異なるグラフト共重合体の少なくとも1つは、各々、グラフト共重合体に基づいて26〜40重量%のグラフトベースおよび60〜74重量%のグラフト化共重合体フェーズを含有し、および/またはc)異なるグラフト共重合体の少なくとも1つは、各々、グラフト共重合体に基づいて5〜25重量%のグラフトベースおよび75〜95重量%のグラフト化共重合体フェーズを含有する。
【0012】
特に好ましいのは:
A)少なくとも部分的に塩化ビニルから調製され、20を超えて120℃までの範囲のガラス転移温度T
gを有する、塩化ビニルグラフト共重合体Aに基づいて30〜59重量%のグラフト化共重合体フェーズ、および−80〜20℃の範囲のガラス転移温度T
gを有する、塩化ビニルグラフト共重合体Aに基づいて41〜70重量%のグラフトベースを含有する、ブレンドに基づいて1〜99重量%の塩化ビニルグラフト共重合体A、および/または
【0013】
B)少なくとも部分的に塩化ビニルから調製され、20を超えて120℃までの範囲のガラス転移温度T
gを有する、塩化ビニルグラフト共重合体Bに基づいて60〜74重量%のグラフト化共重合体フェーズ、および−80〜20℃の範囲のガラス転移温度T
gを有する、塩化ビニルグラフト共重合体Bに基づいて26〜40重量%のグラフトベースを含有する、ブレンドに基づいて1〜99重量%の塩化ビニルグラフト共重合体B、および/または
【0014】
C)少なくとも部分的に塩化ビニルから調製され、20を超えて120℃までの範囲のガラス転移温度T
gを有する、塩化ビニルグラフト共重合体Cに基づいて75〜95重量%のグラフト化共重合体フェーズ、および−80〜20℃の範囲のガラス転移温度T
gを有する、塩化ビニルグラフト共重合体Cに基づいて5〜25重量%のグラフトベースを含有する、ブレンドに基づいて1〜99重量%の塩化ビニルグラフト共重合体C、ならびに/または
【0015】
D)ブレンドに基づいて0〜75重量%のさらなる成分
を含有し、ここで、A)、B)およびC)に言及するグラフト共重合体の少なくとも2つが含まれなければならず、A)、B)およびC)の合計が少なくとも25重量%になり、ならびにA)、B)、C)およびD)の合計が100重量%になる、ブレンドである。
【0016】
本発明の範囲において、異なる塩化ビニルグラフト共重合体の1つまたは2つまたはすべてのそれぞれのグラフトベースは、ビニル化合物を共重合させることによって調製可能である。
塩化ビニルグラフト共重合体は、エマルジョンプロセスにおいて調製される。好ましい態様において、異なる塩化ビニル共重合体の1つまたは2つまたはすべてのそれぞれのグラフト化共重合体フェーズを、60〜100重量%、好ましくは80〜100重量%の塩化ビニル、および0〜40重量%、好ましくは0〜20重量%の他の重合性ビニル化合物から調製可能である。
【0017】
別の好ましい態様において、異なる塩化ビニルグラフト共重合体の1つまたは2つまたはすべてのそれぞれのグラフトベースは架橋されており、任意に、異なる塩化ビニルグラフト共重合体の1つまたは2つまたはすべてのそれぞれのグラフト化共重合体フェーズは架橋されている。
【0018】
さらに、体系的な研究において、エマルジョンプロセスにおいて調製されるグラフト共重合体の粒子サイズおよび架橋は、そこから産生される鋳造物品の透明度に大きな影響を及ぼすことが見出されてきている。架橋グラフトベースおよび非架橋グラフトシェルを有するか、または架橋グラフトベースおよび架橋グラフトシェルを有するグラフト重合体産物の粒子直径を、特定の値未満に減少させることによって、そこから製造されるプレスプレートの透明度が非常に改善される。
【0019】
したがって:
a)異なる塩化ビニルグラフト共重合体各々に関して、グラフトベースを重合によって調製する工程であって、ここで、用いるモノマーを適切に選択することによって、上記グラフトベースのガラス転移温度T
gを調節する工程、
b)a)で調製したグラフトベース各々の上に、エマルジョン重合によってそれぞれの共重合体フェーズをグラフトし、それによってそれぞれの塩化ビニルグラフト共重合体ラテックスを得る工程であって、ここで、用いるモノマーおよび任意にコモノマーを適切に選択することによって、それぞれのグラフト化共重合体フェーズのガラス転移温度T
gを調節し、ならびに、それぞれの重合条件を適切に選択することによって、塩化ビニルグラフト共重合体各々の平均粒子サイズを300nm未満、好ましくは200nm未満、特に好ましくは150nm未満、そして最も好ましくは100nm未満に調節する工程、
c)固体としてのそれぞれの塩化ビニルグラフト共重合体を、それぞれのラテックスから分離する工程、
d)それぞれの塩化ビニルグラフト共重合体固体を混合し、こうして先行する請求項のいずれか一項記載のブレンドを得る工程
を含む方法によって得られうるブレンドもまた、本発明の目的である。
【0020】
本発明のさらなる目的は、エマルジョン重合によって調製される少なくとも2つの異なる塩化ビニルグラフト共重合体を含有するブレンドを調製するための方法であって、ここで、少なくとも2つの異なるグラフト共重合体は、各々、グラフトベースおよび、少なくとも部分的に塩化ビニルからなる、グラフト化共重合体フェーズを含有し、
a)異なる塩化ビニルグラフト共重合体各々に関して、グラフトベースを重合によって調製する工程であって、ここで、用いるモノマーを適切に選択することによって、上記グラフトベースのガラス転移温度T
gを調節する工程、ならびに
b)a)で調製したグラフトベース各々の上に、エマルジョン重合によって共重合体フェーズをグラフトし、それによって各々の塩化ビニルグラフト共重合体ラテックスを得る工程、ここで、用いるモノマーおよび任意に用いるコモノマーを適切に選択することによって、それぞれのグラフトベースのガラス転移温度T
gがそれぞれのグラフト化共重合体フェーズのガラス転移温度T
gより低くなるように、それぞれのグラフト化共重合体フェーズのガラス転移温度T
gを調節し、ならびに、それぞれの重合条件を適切に選択することによって、塩化ビニルグラフト共重合体各々の平均粒子サイズを300nm未満、好ましくは200nm未満、特に好ましくは150nm未満、そして最も好ましくは100nm未満に調節する工程、ならびに
c)固体としてのそれぞれの塩化ビニルグラフト共重合体を、それぞれの塩化ビニル共重合体ラテックスから分離する工程、ならびに
d)それぞれの塩化ビニルグラフト共重合体固体および任意にさらなる成分を混合し、ブレンドを得る工程
を含み、グラフト化共重合体フェーズおよびグラフトベースの重量分布割合が互いに異なるように、異なる塩化ビニルグラフト共重合体を調製する、前記方法である。
【0021】
エマルジョン重合は、好ましくは半連続的に行われる。グラフトベースの調製プロセスにおいて、水、開始剤、モノマー、乳化剤および他の添加剤を反応容器内にあらかじめ装填し、少量で部分的に添加してもよい。好ましい態様において、水および全量の乳化剤をあらかじめ装填し、かつモノマーおよび開始剤の両方を添加する。添加剤の供給速度は、変換速度に基づく。使用する開始剤の量によって、重合期間を1〜3時間に調節する。重合が終了したら、グラフトベースをプロセシングし、グラフト共重合体の調製のため、あらかじめ添加する。塩化ビニル、および任意に他の重合性ビニル化合物を、10分〜180分以内に添加する。好ましい態様において、VCの量を、あらかじめ装填する部分および添加する部分に分ける。プロセスにおいて、5〜20部分のVCをあらかじめ装填し(一度に)、次いで圧が低下するまで重合させ、次いで、VCの残った量の添加を開始する。温度を制御して望ましいK値を調節する。重合を促進するため、開始剤を同時に添加する。乳化剤を添加して、分散物の安定性を増加させてもよい。完全重合分散物における固体の含量は20〜60重量%の間、好ましくは30〜55重量%の間にある。
【0022】
グラフトベースに適したビニル化合物は、例えばアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル(簡潔には(メタ)アクリル酸エステル)である。また、ブタジエン、2−クロロ−ブタジエン、1−ブテン、イソプレン、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルアルキルエーテル等をビニル化合物として用いてもよい。
【0023】
グラフト化のため、好ましくは単に塩化ビニルを用いる。しかし、エステル化直鎖、分枝または環状アルコールの、アルキル鎖中、1〜12の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸エステル、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸イソペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸イソペンチル、メタクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等を、ホモ重合または共重合させることも可能である。
【0024】
本発明に従った方法の工程b)において、共重合体フェーズは、典型的には、少なくとも1つの乳化剤を用いたエマルジョン重合によってグラフトされ、ここで、乳化剤総量に基づいて、乳化剤量の好ましくは60〜100重量%をあらかじめ装填する。
【0025】
グラフトベース各々を調製するプロセスにおける重合温度は、典型的には20〜90℃の間、好ましくは60〜85℃の間にある。
グラフト化共重合体フェーズ各々を調製するプロセスにおける重合温度は、典型的には45〜90℃の間、好ましくは55〜75℃の間にある。
【0026】
適切なイオン性乳化剤は、スルホン酸アルキル、スルホン酸アリール、硫酸アルキル、硫酸アルキルエーテル、脂肪酸塩、スルホン酸ジアリール等である。非イオン性乳化剤、例えばアルキル鎖中に2〜20の炭素原子および1〜20のエチレングリコール単位を有するアルキルエーテルアルコール、脂肪アルコール等を、単独でまたはイオン性乳化剤と組み合わせて用いることもまた可能である。乳化剤の総量は、使用するモノマーの量に基づいて、0.1〜5重量%の間にある。
【0027】
適切な開始剤は、水溶性過酸化物であり、これは、熱分解のみによってラジカルを形成するか、または、還元剤および必要であれば触媒と組み合わされて、分解されるように誘引されうる。使用される開始剤の量は、通常、使用するモノマーに基づいて、経験にしたがって、0.01〜0.5重量%の間にある。
【0028】
本発明の好ましい態様において、グラフト共重合体の平均粒子サイズは300nm未満、好ましくは200nm未満、特に好ましくは150nm未満、最も好ましくは100nm未満に調節され、かつ、グラフトベースは互いに共役していない2つ以上のエチレン性不飽和二重結合を含有する1つ以上の異なるモノマーとの共重合によって、架橋されている。任意で、さらに、グラフト化共重合体フェーズが、互いに共役していない2つ以上のエチレン性不飽和二重結合を含有する1つ以上の異なるモノマーとの共重合によって、架橋されていてもよい。
【0029】
本発明の別の好ましい態様において、a)グラフトベースおよびグラフトシェルの双方が架橋されていないか、またはb)グラフトベースが架橋されておらず、かつグラフトシェルが架橋されている。透明度に関し、本発明のこの態様では、そこから作製される鋳造物品の透明度にわずかな影響があるのみであるため、グラフト共重合体の粒子サイズは任意に調節することが可能である。
【0030】
架橋に適した化合物は、フタル酸ジアリル、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸プロピレングリコール、ジアクリル酸ブチレングリコール、ジアクリル酸トリメチレングリコール、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル等である。
【0031】
本発明に従った方法において、塩化ビニルグラフト共重合体含有ラテックスを、エマルジョン重合によって得る。固体は、電解質の添加、凝固、および機械的分離法、例えばラテックスの濾過、デカントまたは遠心分離、のいずれかによって分離したあと、乾燥、あるいはスプレー乾燥する。
【0032】
本発明の目的はまた、本発明に従った塩化ビニルグラフト共重合体ブレンドであって可塑化グラフトベースの含量において互いに異なるブレンドの、それぞれ熱可塑性エラストマー特性、および任意に良好な透明度を有する物品および鋳造品へのプロセシングである。
【0033】
本発明に従った好ましい物品は、少なくとも65%、好ましくは少なくとも75%、特に好ましくは少なくとも85%の透過率を有し、および/または最大60、好ましくは最大50、特に好ましくは最大40のヘイズ値を有する。
【0034】
本発明の目的はまた、PVC物品の柔軟度を調節するための本発明に従ったブレンドの使用、ならびに、物品の製造のための、好ましくは押し出しおよび/もしくはカレンダー仕上げによってフィルムを製造するための、または押し出しもしくは射出成形によって鋳造物品を製造するための、上述のブレンドの使用である。
【0035】
以下の実施例において、高い透明度を有する塩化ビニルのグラフト共重合産物を調製するための本発明に従った方法が記載される。
【実施例】
【0036】
実施例1
グラフトベース:
水冷二重ジャケットを有し、パドル攪拌装置を備えた10リットル攪拌反応装置内に、1166gの脱イオン水、68.6gのアクリル酸ブチル、3088gのミリスチン酸カリウム1%溶液および0.63gの過硫酸カリウムをあらかじめ装填し、80℃に加熱した。反応が開始した後、686gの0.3%過硫酸カリウム水溶液の添加を180分以内に始めた。同時に、1990gのアクリル酸ブチルを180分以内に添加した。添加が終了した後、反応装置内部温度を60分間維持し、続いて調製物を冷却した。30重量%の固形含量、51.6mN/mの表面張力および7.6のpHを有する6894gの分散物が放出された。体積に基づく平均粒子サイズ(PSV)は12nmであった。
【0037】
グラフト共重合体:
水冷二重ジャケットおよびパドル攪拌装置を有する10リットルのオートクレーブ内に、124gの水、1937gのミリスチン酸カリウム1%溶液、3500gのグラフトベースおよび1283gの塩化ビニルをあらかじめ装填し、68℃に加熱した。重合温度に到達したときに、過硫酸カリウムおよびアスコルビン酸の添加を開始した。内部温度およびジャケット冷却の供給温度の間の相違が約10℃であるように、添加速度を調節した。圧が4バール低下した後、調製物を冷却し、減圧した。分散物を放出した。分散物の固形含量は31.3重量%であり、表面張力は56.6mN/mであり、pHは8.3であった。体積に基づく平均粒子サイズは68nmであった。調製物を塩化カルシウムで沈殿させ、吸引濾過によって濾過した。再循環空気乾燥機中で、<0.3%の残渣水分まで、残渣を30℃で乾燥させ、遠心ミルで細かくすりつぶした(レッシュZM 200)。PBA含量は、酸素分析によって、48.6重量%と決定された。
【0038】
実施例2
グラフトベース:
実施例1にしたがって、グラフトベースを調製した。6936gの分散物が放出され、これは30重量%の固形含量、49mN/mの表面張力および7.5のpHを有していた。体積に基づく平均粒子サイズは14nmであった。
【0039】
グラフト共重合体:
実施例1にしたがって、407gの水、2471gの1%ミリスチン酸カリウム溶液、2330gのグラフトベースおよび1633gの塩化ビニルをあらかじめ装填し、重合させた。分散物を放出した。分散物の固形含量は30.1%であり、表面張力は57.8mN/mであり、pHは8.8であった。体積に基づく平均粒子サイズは64nmであった。調製物を塩化カルシウムで沈殿させ、吸引濾過によって濾過した。再循環空気乾燥機中で、<0.3%の残渣水分まで、残渣を30℃で乾燥させ、遠心ミルで細かくすりつぶした(レッシュZM 200)。PBA含量は、酸素分析によって、34.4重量%と決定された。
【0040】
実施例3
グラフトベース:
攪拌機を有する10リットル反応装置内に、4156gの脱イオン水、0.4gのメタクリル酸アリル、78gのアクリル酸ブチル、705.9gのミリスチン酸カリウム(濃度:5重量%)および0.720gの過硫酸カリウムをあらかじめ装填し、80℃に加熱した。反応が開始した後、784.3gの0.3%過硫酸カリウム水溶液の添加を180分以内に行った。同時に、11.36gのメタクリル酸アリルおよび2263gのアクリル酸ブチルを180分以内に添加した。添加が終了した後、内部反応温度を60分間維持し、続いて調製物を冷却した。7911gの分散物が得られた。固形含量が29.8%であり、表面張力が52.2mN/mであり、pHが7.6であった。体積に基づく平均粒子サイズ(PSV)は12nmであった。
【0041】
グラフト共重合体:
水冷二重ジャケットおよびパドル攪拌装置を有する10リットルのオートクレーブ内に、1367gの水、332gのミリスチン酸カリウム5%溶液、3087gのグラフトベース、4.32gのフタル酸ジアリル、および1076gの塩化ビニルをあらかじめ装填し、68℃に加熱した。重合温度に到達したときに、過硫酸カリウムおよびアスコルビン酸の添加を開始した。内部温度およびジャケット冷却の供給温度の間の相違が約10℃であるように、添加速度を調節した。圧が4バール低下した後、調製物を冷却し、減圧した。分散物を放出した。分散物の固形含量は30.7重量%であり、表面張力は56.7mN/mであり、pHは7.7であった。体積に基づく平均粒子サイズは61nmであった。調製物を塩化カルシウムで沈殿させ、吸引濾過によって濾過した。再循環空気乾燥機中で、<0.3%の残渣水分まで、残渣を30℃で乾燥させ、遠心ミルで細かくすりつぶした(レッシュZM 200)。PBA含量は、酸素分析によって、46.9重量%と決定された。
【0042】
実施例4
グラフトベース:
実施例3のグラフトベースを用いた。
【0043】
グラフト共重合体:
水冷二重ジャケットおよびパドル攪拌装置を有する10リットルのオートクレーブ内に、2365gの水、387.3gのミリスチン酸カリウム5%溶液、2506gのグラフトベース、6.347gのフタル酸ジアリル、および1580gの塩化ビニルをあらかじめ装填し、68℃に加熱した。重合温度に到達したときに、過硫酸カリウムおよびアスコルビン酸の添加を開始した。内部温度およびジャケット冷却の供給温度の間の相違が約10℃であるように、添加速度を調節した。圧が4バール低下した後、調製物を冷却し、減圧した。分散物を放出した。分散物の固形含量は30.5重量%であり、表面張力は58.5mN/mであり、pHは8.0であった。体積に基づく平均粒子サイズは58nmであった。調製物を塩化カルシウムで沈殿させ、吸引濾過によって濾過した。再循環空気乾燥機中で、<0.3%の残渣水分まで、残渣を30℃で乾燥させ、遠心ミルで細かくすりつぶした(レッシュZM 200)。PBA含量は、酸素分析によって、33重量%と決定された。
【0044】
実施例5:
グラフトベース:
実施例3の調製を繰り返した。7909gの分散物が放出された。分散物の固形含量は30重量%であり、表面張力は54.4mN/mであり、pHは7.4であった。体積に基づく平均粒子サイズは12nmであった。
【0045】
グラフト共重合体:
実施例3にしたがって、3144gの水、387.3gの5%ミリスチン酸カリウム溶液、1400gのグラフトベース、1906gの塩化ビニル、および7.63gのフタル酸ジアリルをあらかじめ装填し、重合させた。分散物を放出した。分散物の固形含量は29.6%であり、表面張力は51.9mN/mであり、pHは8.1であった。体積に基づく平均粒子サイズは56nmであった。調製物を塩化カルシウムで沈殿させ、吸引濾過によって濾過した。再循環空気乾燥機中で、<0.3%の残渣水分まで、残渣を30℃で乾燥させ、遠心ミルで細かくすりつぶした(レッシュZM 200)。PBA含量は、酸素分析によって、19.2重量%と決定された。
【0046】
2ロール・ローラー上で、粉末化グラフト共重合体をプロセシングし、巻いたシートにプレスした。以下の表1において、ポリ(アクリル酸ブチル)含量、架橋、グラフト共重合体の粒子サイズおよび光学特性(透過率、ヘイズ)を提供する。
【0047】
実験法:
粒子サイズの測定:
パーティクル・メトリックスによるS3500シリーズのマイクロトラック・ブルーウェーブで、粒子サイズ分布を測定した。有効測定範囲は、0.01〜2000μmの間にある。測定のため、分散物のための標準法を構築し、ここで、分散物の特定の物理的特性を提供した。測定前に、使い捨て3mlピペットを用いて、ヘルマ・アナリティクス社のヘルマネックス(登録商標)3滴を、循環装置内の脱イオン水に添加した。ベースライン測定によって、測定系が清浄であることを検証した。約0.004の装填係数に到達するまで、分散物を注意深く試料に添加した。通常、1または2滴の分散物で足りる。測定時間は30秒であった。測定の評価を自動的に行う。体積に基づく平均粒子サイズを用いる。
【0048】
2ロール圧延機(プロセシング条件およびレシピを含む)
機械的値および光学特性を決定するため、試験試料を提供しなければならない。ロール状のシートの調製を以下の条件下で行う。
レシピ(スパチュラ・ブレンド)
100phr ポリマー
1.5phr BaZn安定化剤(ベロスタブUBZ171)
3.0phr エポキシ化大豆油(エデノールD81)
0.1phr ステアリン酸イソトリデシル(ロキシオールG40)
0.2phr 高分子量多構成要素エステル(ロキシオールG72)
0.1phr ステアリン酸カルシウム(シージットSW)
圧延機(シュワベンタンにより製造)
ローラー材料:クロムめっき表面
ローラ直径:150mm
速度比:17/21 1/分
ローラー温度:140℃
回転時間:5分間
実行:
粘着性塊(シート)を形成するため、粉末化合物をローラー上に置く。シートを形成した後、シートを「カット」し、3分間「ターンさせる」。次いで、巻いたシートの厚みを1.1mmに設定し、カットおよびターンを伴わず、さらに2分間ローラー上でシートを可塑化する。明記された回転時間が終わったら、巻いたシートを取り去る。
【0049】
プレス
30トン実験室プレス(ワーナー&フライダー URH 30)
プレス面積:350×350mm
プレスプレート:クロムめっき表面
プレスフレーム:220×220×1.0mm
実行:
プレスプレートを作製するため、あらかじめ製造した巻いたシートを、用いるフレームサイズに応じてカットし、フレーム内に挿入し、外表面を形成するプレスプレートと一緒に実験室プレス内に入れる。以下に記載する条件下で、シートをプレスプレートに形成する。
プレス温度:150℃
LPプレス出力:30バール LPプレス時間:2分間
HPプレス出力:200バール HPプレス時間:3分間
除去温度:40℃
冷却圧:200バール 冷却時間:およそ8分間
【0050】
透過率およびヘイズ(大角度散乱)
フィルムの透明度を評価するため、2つの値を考慮した:
−入射光に対する透過光の比を表し、吸収特性および表面状態によって決まる総透過率(本明細書において:「透過率」)
−不透明性に関する測定値である大角度散乱(ヘイズ)。
測定:
ローラー/プレスで産生された半完成品の透過率の測定および大角度散乱の決定を、ビック・ガードナー社による透明度計測器ヘイズ−ガード・デュアルを用いて行う。
測定すべき試料に垂直に照射し、透過光を積分球において光電効果によって測定する。このプロセスにおいて、透過率を評価するため、垂直透過光を測定し、不透明性(ヘイズ)を評価するため、照射の軸に対して2°の角度で散乱する光を測定する。測定条件が較正中ならびに測定中に同じであることを保証する、ISO 13468にしたがって測定を行う。
【0051】
【表1】
【0052】
PBA含量において互いに異なる本発明に従ったグラフト共重合体からなるブレンドは高い透明度を有する。
これは、S−PVCを有する透明グラフト共重合体の不透明であるブレンドと比較したときの大きな利点である。実施例3の透明グラフト共重合体のプレスプレートは、25重量%の含量のS−PVCによって不透明になる。