(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
連続して配設された複数の前記微細気泡生成ユニットにおいて、最終の微細気泡生成ユニットの吐出口から吐出される微細気泡の態様をなす処理後気体として混合された状態の処理後液体が、最初の微細気泡生成ユニットにおいて開口部から取り入れられる処理前液体の一部もしくは全部として用いられること
を特徴とする請求項3または請求項4記載の微細気泡生成装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第一の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る微細気泡生成装置1について詳しく説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0016】
この微細気泡生成装置1は、オゾンや空気等の気体を所定径の気泡として液体に混合させた状態にして当該液体を吐出させる微細気泡生成装置である。本装置によれば、直径が所定径(一例として、1[μm]以下程度)まで微細化された気泡(本願において「微細気泡」と称するが、一般に「マイクロナノバブル」、「ウルトラファインバブル」等のように称される場合もある)が混合された液体が得られる。したがって、例えば、当該液体として汚水・屎尿に適用することにより高い浄化作用が得られ、あるいは、当該液体として洗浄液に適用することにより基板等の工業製品の高い洗浄作用が得られる等、多様な工業分野において極めて有用な作用効果を得ることが可能となる。さらに、工業分野に留まらず、食品、医療、農業、漁業等、様々な分野においても、有用な作用効果が得られることが判明してきている。
【0017】
ここで、第一の実施形態に係る微細気泡生成装置1(1A)の斜視図(概略図)を
図1に示す。この微細気泡生成装置1(1A)は、複数の微細気泡生成ユニット10が、連続して配設された構成を備えている。この微細気泡生成ユニット10は、単体で用いても処理前液体および処理前気体を取り入れて、微細気泡の態様をなす処理後気体として混合された状態の処理後液体を吐出させる作用を得ることができるものである。この微細気泡生成ユニット10を複数、連続して配設すると共に、一の微細気泡生成ユニットにおいて吐出口から吐出される微細気泡の態様をなす処理後気体として混合された状態の処理後液体を、隣接する他の微細気泡生成ユニットにおいて開口部から取り入れられる処理前液体および処理前気体として用いて、連続的に処理を行うことによって、微細気泡の直径を1[μm]以下程度となるまで微細化を図ることが可能で、且つ、当該微細気泡を極めて効率よく多量に生成することが可能となる。
【0018】
一例として、微細気泡生成装置1(1A)は、上流側となる微細気泡生成ユニット10Aから、下流側に向かって、10B、10C、10D、10E、10Fの順に、6個の微細気泡生成ユニット10が並設して配置された構成としている。ただし、微細気泡生成ユニット10の個数は、6個に限定されるものではなく、生成を目的とする微細気泡の直径や、必要とする生成量等の諸条件に応じて、適宜、増減すればよい。
【0019】
また、上記液体の例としては、水、その他の薬液、処理液(洗浄液、研磨液等)、浄化対象となる液体(汚水・屎尿等)が想定される。一方、上記気体の例としては、オゾン、空気、酸素、水素、二酸化炭素、窒素、その他ガス(不活性ガス、フッ素系ガス)等が想定される。
【0020】
先ず、微細気泡生成ユニット10の構成について説明する。
【0021】
微細気泡生成ユニット10は、処理前液体および処理前気体が取り入れられる開口部を有する第1部材12と、第1部材12によって一方側が閉塞されるように配設される筒状の処理容器20と、処理容器20の他方側を閉塞する第2部材14とを備えて構成されている。一例として、第1部材12、第2部材14は略円形の板状部材であり、処理容器20は円筒状部材である。いずれも、処理前気体としてオゾンを用いる場合があることを想定して、オゾン耐用性を備えるSUS316を用いて構成されている。ただし、これに限定されるものではなく、処理前液体および処理前気体に応じて、適宜、材料を選定すればよい。
【0022】
本実施形態においては、処理容器20および第2部材14を収容する筒状の収容容器16をさらに備えており、第1部材12は、収容容器16の一方側の開口部を閉塞するように配設されている。一例として、収容容器16は透明な樹脂材料(塩化ビニル樹脂等)を用いて構成されている。これによれば、内部を通流する処理後液体の状態の確認、すなわち、微細気泡が生成されているか、もしくは所定径に到達しているか、または、液体において所望の変化(浄化等)が進行しているか等の確認を容器外部から目視により行うことが可能となる。ただし、構成材料は上記に限定されるものではなく、金属材料等を用いてもよい。
【0023】
ここで、収容容器16内に処理容器20が収容された状態を
図2に示す。このとき、当該処理容器20は一端側(図中、下端側)が第1部材12により閉塞されており、他端側(図中、上端側)が第2部材14により閉塞されている。さらに、第1部材12は、収容容器16の一端側(図中、下端側)を閉塞する構成にもなっている。
【0024】
さらに、内部構造をより分かり易く説明するために、分解図を
図3〜
図5に示す。先ず、
図3は
図2の状態から収容容器16を取り外した状態である。
図4は
図3の状態から第2部材14を取り外した状態である。処理容器20の内部には後述する羽根部材30が収容されている。次に、
図5は
図4の状態から羽根部材30を取り外した状態である。
【0025】
図5に示すように、第1部材12には、処理前液体および処理前気体が取り入れられる開口部として、貫通形成された流入口12aが設けられている。本実施形態においては、流入口12aは、処理前液体および処理前気体の両方が取り入れられる共通の開口部として一つ設けられている。すなわち、処理前液体は、上流側において処理前気体が送出された状態で流入口12aに到達する構成となっている。より具体的には、
図1に示す台座50において、処理前液体が供給される液体流路52と、処理前気体が供給される気体流路54とが設けられている。このとき、気体流路54が液体流路52に連通しており、液体流路52内を通流する処理前液体中に処理前気体が送出される構成となっている。一例として、台座50は樹脂材料(塩化ビニル樹脂等)を用いて構成されている。
【0026】
なお、変形例として、処理前液体が取り入れられる開口部と、処理前気体が取り入れられる開口部とを、別々に第1部材12に設けて、処理容器20内で両者を混合させつつ微細気泡生成処理を行う構成としてもよい(不図示)。
【0027】
一方、
図5に示すように、処理容器20には、微細気泡の態様をなす処理後気体として混合された状態の処理後液体を外部へ吐出させる吐出口20bが設けられている(微細気泡生成作用については後述する)。本実施形態においては、処理容器20は、内部空間20Aを有する筒状部20Bを備えており、吐出口20bは筒状部20Bの周壁部20aにおいて径方向に貫通して設けられている。
【0028】
次に、液体の通流作用をなす羽根部材30について説明する。羽根部材30は、処理容器20の内部空間20Aに回転可能に配設されており、主軸24に連結されて回転駆動される構成となっている。羽根部材30の構成を、
図6(平面図)、
図7(正面図)、
図8(底面図)、
図9(
図7におけるA−A線断面図)に示す。各図における矢印Bは羽根部材30の回転方向である。なお、構造を解り易くするために、
図7においては一部のブレードのみ(
図9におけるブレード36A、ブレード36Bに対応)の図示としている。
【0029】
羽根部材30は、それぞれが円板状の第1プレート32および第2プレート34と、それらの間に配設される複数個の板状のブレード36とを備えて構成されている。いずれも、オゾン耐用性を備えるSUS316を用いて構成されているが、これに限定されるものではない。
【0030】
ここで、第1プレート32の板面の中心に貫通形成された主軸連結孔32a、および第2プレート34の板面の中心に貫通形成された主軸連結孔34aに主軸24が挿通されて固定される。これによって、羽根部材30は主軸24に連結されて主軸24の回転に伴い、回転駆動される。なお、処理容器20の第2部材14には主軸挿通孔14bが設けられ、シール部材(不図示)によってシールされる。また、第1部材12については、主軸24を挿通させる場合には流入口12aが主軸挿通孔として共用される。
【0031】
また、ブレード36は第1プレート32および第2プレート34の両方に固定される構成となっており、径方向に対して板面のなす角αが所定角度をなすように配設されている。一例として、10[°]≦α≦80[°]程度に設定され、α=60[°]程度が好適である。ただし、上記の構成に限定されるものではなく、平板状以外にも液体流動を生じさせることが可能な形状であればよい。
【0032】
上記構成を備える羽根部材30の作用について説明する。主軸24によって羽根部材30が矢印B方向に回転駆動されると、ブレード36が液体を押し流す作用を生じ、液体流動が発生する。より具体的には、図中矢印Cで示すように、第1プレート32の板面の中心寄りの位置に形成された吸引口32bから液体が羽根部材30内へ吸引され、隣接するブレード36とブレード36との間を通過して、その径方向端部に位置する送出口30aから羽根部材30外へ送出される。送出された液体は、回転しながら液体を押し流すブレード36の作用によって、矢印B方向に沿って通流する旋回流となる。
【0033】
次に、処理容器20は、液体流動の方向(矢印B方向に沿う方向)に対して交差する方向に配設される板状の衝突板22を内部に有する。本実施形態に係る衝突板22は、板面が径方向に沿う方向となるように筒状部20Bの周壁部20aの内面に複数個(一例として12個程度であるが、これに限定されるものではない)が配設されている。なお、変形例として、衝突板を第1プレート32もしくは第2プレート34に設ける構成としてもよい(不図示)。
【0034】
ここで、微細気泡生成作用について説明する。
【0035】
先ず、収容容器16内、処理容器20内に処理前液体を貯留させる。例えば、微細気泡生成ユニット10全体を処理前液体に浸漬させることにより、流入口12aから処理前液体を流入させてもよく、あるいは、流入口12a(もしくは液体流路52)に処理前液体を供給する配管を接続することにより、処理前液体を流入させてもよい。
【0036】
次いで、モータ等の駆動源(不図示)によって主軸24を駆動させることにより、処理容器20内の羽根部材30を回転駆動させる。一例として、主軸24の回転数は、500〜5000[rpm]程度に設定される。
【0037】
これによって、処理容器20の内部空間20Aにおいて液体流動が発生する。前述の通り、羽根部材30の回転により、第1プレート32の吸引口32bから処理前液体が羽根部材30内へ吸引される。ここで、吸引される処理前液体は、第1部材の流入口12aから供給されたものである。なお、本実施形態においては、前述の通り、処理前液体に処理前気体が送出されて混合された状態で、流入口12aから処理容器20内に供給(流入)させている。
【0038】
一方、羽根部材30の回転により、送出口30aから羽根部材30外へ送出された処理前液体は、羽根部材30の径方向外縁部と処理容器20の周壁部20aの内面との間において、矢印B方向に沿って通流する旋回流となる。
【0039】
さらに、羽根部材30の外縁部と処理容器20の周壁部20aとの間で発生した旋回流は、周壁部20aに設けられた衝突板22に衝突する。ここで、衝突板22に衝突する前の処理前液体は、当所は必要とする所定径よりも大きい直径(例えば、ミリメートルの大きさ)を有する気泡として処理前気体が混合された状態となっている。このような処理前気体が混合された処理前液体は、衝突板22の板面(ここでは旋回流に対向する表面22a)に衝突することによって、せん断される作用が生じる。このとき、処理前液体に包含されている処理前気体の気泡にもせん断作用が生じるため、当該気泡の直径が小さくなって、微細気泡化される作用が生じる。このようにして、微細気泡の態様をなす処理後気体として混合された状態の処理後液体が得られることとなる。
【0040】
これと同時に、衝突板22の裏面22bの位置において、処理前気体が混合された処理前液体はキャビテーションを発生させていると考えられる。なお、発生条件は、処理前液体の流速や、処理前気体の混合等に応じて変わるものである。このキャビテーション発生の作用によっても、微細気泡の態様をなす処理後気体として混合された状態の処理後液体が得られるものと考えられる。
【0041】
仮に、衝突板22の裏面22bに対応する位置(すなわち衝突板22に対して液体流動(旋回流)の方向の下流側位置)において、処理容器20の周壁部20aに吐出口20bを形成してしまうと、吐出口20bに向かう液体流動、すなわち裏面22bと平行に径方向に向かう液体流動が生じて、衝突板22の裏面22bにおけるキャビテーション発生が減少もしくは皆無となってしまう問題が生じ得る。
【0042】
したがって、本実施形態においては、吐出口20bは、筒状部20Bの周壁部20aにおいて、全てのもしくは一部の衝突板22に対して液体流動(旋回流)の方向の上流側に隣接する位置に貫通形成されて設けられる構成としている。これによれば、上記の問題の解決が可能になると共に、衝突板22の板面(表面22a)によって、衝突した液体(処理後液体が含まれた状態である)を吐出口へと誘導して処理容器20外へ送出させる作用も生じさせることができる。
【0043】
なお、衝突板22は、板面が径方向と平行(すなわち周壁部20aの内面と直交)となるように配設することによって、処理前液体との衝突量を増加させることができるため、微細気泡生成作用も増加させることができると考えられる。ただし、この構成に限定されるものではなく、液体流動の方向(矢印B方向に沿う方向)に対して交差する成分を有するように板面を配置する構成であれば、微細気泡生成作用を得ることは可能である。
【0044】
次いで、処理容器20の周壁部20aの吐出口20bから吐出された、微細気泡の態様をなす処理後気体として混合された状態の処理後液体は、当該処理容器20が収容されている収容容器16内に貯留される。その後、収容容器16の他端側から流出させて、そのまま処理後液体として利用に供せられるか、あるいは、全部もしくは一部が循環されて再度、流入口12aから処理前液体として用いられる構成としてもよい。
【0045】
以上説明した通り、微細気泡生成ユニット10によれば、処理前気体を送出させた処理後液体を取り入れて、直径が所定径(一例として、1[μm]以下程度)まで微細化された微細気泡が処理後気体として混合された処理後液体を供給することが可能となる。
【0046】
しかしながら、微細気泡生成ユニット10を一つのみ用いて、上記処理後液体を供給する場合には、所定径(一例として、1[μm]以下程度)の微細気泡が必要量に対して十分に得られない(包含されない)場合も生じ得る。そのような場合には、微細気泡が混合された処理後液体の作用効果が十分に得られないことにもなり得る。
【0047】
この問題を解決すべく案出されたのが、本実施形態に係る微細気泡生成装置1(1A)である。微細気泡生成装置1(1A)は、複数の微細気泡生成ユニット10が、連続して配設された構成を備えている。ここで、
図10の説明図(模式図)を用いて微細気泡生成装置1(1A)の作用について説明する。なお、図中のドット(黒点)は気泡を表している。
【0048】
図10に示す微細気泡生成装置1(1A)は、
図1と同様に上流側となる微細気泡生成ユニット10Aから、下流側に向かって、10B、10C、10D、10E、の順で並設され、最下流位置の微細気泡生成ユニットが10Fとなる6段の積層構造として構成されている。ただし、6段に限定されるものではなく、諸条件に応じて積層段数は適宜、設定される。なお、本実施形態においては、台座50と最上流位置の微細気泡生成ユニット10Aとの間に、収容容器16(同形部材)を一つ介在させて液体流路52の延長部として流用している。ただし、この収容容器16を省略して、液体流路52と流入口12aとを直結する構成としてもよい(不図示)。
【0049】
上流側となる微細気泡生成ユニット(例として図中10A)において吐出口20bから吐出されて収容容器16内に貯留された処理後液体(処理前気体および処理後気体の両方が包含された状態)を、隣接する下流側の微細気泡生成ユニット(例として図中10B)において流入口12aから取り入れられる処理前液体として用いる構成である。これによれば、上流側の微細気泡生成ユニット(例として図中10A)の吐出口20bから吐出される処理後液体よりも、隣接する下流側の微細気泡生成ユニット(例として図中10B)の吐出口20bから吐出される処理後液体において、微細気泡の直径を小さくすることができ、且つ、微細気泡の量を増加させることができる。したがって、微細気泡生成ユニット10を複数、配設して、連続的に処理を行うことによって、最下流位置となる微細気泡生成ユニット(例として図中10F)の吐出口20bから吐出される処理後液体に関しては、包含される微細気泡の全て(もしくは、ほぼ全て)の直径を1[μm]以下程度となるまで微細化を図ることが可能となり、且つ、当該微細気泡を極めて効率よく多量に生成することが可能となる。
【0050】
なお、本実施形態に係る微細気泡生成装置1(1A)においては、並設された各微細気泡生成ユニット10で連続的な処理が行われた後、最終的に微細気泡が処理後気体として混合された処理後液体が流出される流出口16bを、最下流位置となる微細気泡生成ユニット10Fの収容容器16の周壁部16aに貫通形成して設ける構成としている。ただし、これに限定されるものではなく、微細気泡生成ユニット10Fの収容容器16の他方側(ここでは他端部)を閉塞するために嵌合される蓋部材56に貫通形成して設ける構成としてもよい(不図示)。なお、蓋部材56は一例として樹脂材料(塩化ビニル樹脂等)を用いて構成されている。
【0051】
ここで、本実施形態に係る微細気泡生成装置1(1A)において、処理前液体の例として水を用い、処理前気体の例として空気を用いて処理を行って得られた、微細気泡の態様をなす処理後気体として混合された状態の処理後液体の写真を
図11に示す。この写真のように、例えば、波長532[nm]のレーザ光を照射することによって、処理後液体中に微細気泡が混合されていることを確認することができる。つまり、処理後液体に照射されたレーザ光が処理後液体中の微細気泡に反射して光の軌跡が視認できるからである。なお、レーザ光を照射していない状態(あるいは照射していない部分)においては、人間の視力では透き通った状態として視認される。ちなみに、微細気泡の直径が数十[μm]程度までしか微細化されていない場合には、処理後液体は白濁した状態として視認されることが確認されている。また、微細気泡が含まれない水のみの場合には、レーザ光の軌跡はほぼ視認することはできない。
【0052】
レーザ光の通過部分の拡大写真を
図12に示す。この写真は、微細気泡生成装置1において処理を行った処理後液体を採取してから6カ月以上経過した後の様子であるが、所定径(一例として、1[μm]以下程度)の微細気泡は、浮力の影響を受けることなく、開放状態のビーカー内でブラウン運動を続けながら、消滅することなく処理後液体中において存在していることが確認された。
【0053】
なお、本願発明者は、処理前気体として、様々なガス(酸素、水素、窒素、等)を用いて実験を行い、上記と同様の微細気泡の生成を確認済みである。したがって、用途に応じて、処理前気体および処理前液体を適宜選定することによって、工業、食品、医療、農業、漁業、等の様々な分野において極めて有用な作用効果を得ることが可能となる。
【0054】
その他の構成上の特徴として、本実施形態に係る微細気泡生成装置1(1A)は、
図10に示すように、下流側の微細気泡生成ユニット(例として図中10B)における第1部材12を、上流側となる微細気泡生成ユニット(例として図中10A)における収容容器16の他端側を閉塞する部材として共用する構成としている。これによれば、微細気泡生成装置1(1A)全体の構成を簡素化して、コンパクトに形成することが可能となる。
【0055】
さらに、
図10に示すように、複数の前記微細気泡生成ユニット10A〜10Fにおける全ての羽根部材30を一つの主軸24によって同軸で回転させる構成とすることで、駆動機構を簡素化することが可能となる。
【0056】
このように、本実施形態に係る微細気泡生成装置1(1A)は、全体構造が極めて簡素で、部品点数も少ないため、製造コストを低減することができ、保守も容易となる。
【0057】
なお、複数の前記微細気泡生成ユニット10A〜10Fにおいて、最終の微細気泡生成ユニット10Fの吐出口20bから吐出される微細気泡の態様をなす処理後気体として混合された状態の処理後液体を、最初の微細気泡生成ユニット10Aにおいて開口部(流入口12a)から取り入れられる処理前液体の一部もしくは全部として循環させて用いれば、上記の作用効果をより一層、高めることが可能となる。したがって、特に、処理前液体として汚水・屎尿に適用して、連続的に循環させて処理を行えば、極めて高い浄化作用を得ることが可能となる。
【0058】
(第二の実施形態)
続いて、本発明の第二の実施形態に係る微細気泡生成装置1(1B)について説明する。本実施形態に係る微細気泡生成装置1(1B)は、前述の第一の実施形態に係る微細気泡生成装置1(1A)と基本的な構成は同様であるが、特に、微細気泡生成ユニット10の構成において相違点を有する。以下、当該相違点を中心に本実施形態について説明する。
【0059】
第二の実施形態に係る微細気泡生成装置1(1B)の概略図を
図13に示す。本実施形態においては、処理容器20における吐出口に関して、第一の実施形態において周壁部20aに貫通形成されていた吐出口20bをなくし、処理容器20の他方側(ここでは他端部)を閉塞する第2部材14の板面(一例として中央部周辺)に貫通形成された吐出口14aとして設ける構成としている。なお、符号56aは、本実施形態における流出口である。
【0060】
この構成によれば、
図13に示すように、上流側となる微細気泡生成ユニット(例として図中10G)の吐出口14aと、隣接する下流側となる微細気泡生成ユニット(例として図中10H)の流入口12aとが連通して(例えば、直結されて)配設される構成が実現できる。したがって、第一の実施形態において備えていた収容容器16を省略することが可能となるため、より一層、装置全体を簡素することが可能となる。
【0061】
ここで、本実施形態に係る微細気泡生成装置1(1B)を構成する微細気泡生成ユニット10の内部構造を
図14に示す。上記の通り、本実施形態においては、処理容器20内で処理(微細気泡生成処理)が行われた処理後液体の吐出口14aを、処理容器20の周壁部20aではなく、処理容器20の他方側(ここでは他端部)を閉塞する第2部材14に設ける構成であることに起因して、羽根部材30の構成においても第一の実施形態との相違点を有する(なお、
図14中の羽根部材30のブレード36は、
図7に対応する36A、36Bを図示している)。
【0062】
より具体的には、羽根部材30の第1プレート32の外縁部が、衝突板22と径方向に重なるようにして周壁部20aの内面に近接する位置まで延びる形状に形成されている。これによれば、衝突板22と衝突して生成された処理後液体が流入口12a方向に向けて逆流してしまうことが防止(抑制)できる。
【0063】
その一方で、羽根部材30の第2プレート34の外縁部が、衝突板22と径方向に重ならないように、衝突板22の径方向の端部(中心側の端部)に近接する位置で留める形状に形成されている。これによれば、衝突板22と衝突して生成された処理後液体を、羽根部材30の第2プレート34と、第2部材14との間に流出させることができ、吐出口14a方向に向かう液体流動を生じさせることができる。
【0064】
このような構成を備える第二の実施形態に係る微細気泡生成装置1(1B)によっても、第一の実施形態に係る微細気泡生成装置1(1A)と同様の作用効果を得ることができる。
【0065】
以上、説明した通り、本発明に係る微細気泡生成装置によれば、処理後液体および処理前気体を取り入れて、直径が所定径(一例として、1[μm]以下程度)まで微細化された微細気泡が処理後気体として混合された処理後液体を供給することが可能となる。さらに、処理後液体に包含される微細気泡を効率的に、且つ、多量に供給することが可能となる。
【0066】
また、微細気泡生成装置の流出口から流出された処理後液体を、再度、微細気泡生成装置の流入口から処理前液体として取り入れて循環処理を行うことが可能となる。したがって、従来装置のように、循環処理の駆動源となるポンプを設ける必要がなく、その結果、ポンプ内のシール劣化等の問題の解決も可能となる。すなわち、オゾンに例示される活性化気体を微細気泡として混合させた液体の生成が可能となり、且つ、生成された液体を循環させる使用に対しても耐久性を備える装置が実現可能となる。これは、特に、オゾンを用いて、循環処理により汚水、屎尿等の浄化を行う用途に対して、極めて好適である。
【0067】
また、本発明に係る微細気泡生成装置は、全体構造が極めて簡素で、部品点数も少ないため、製造コストを低減することができ、保守も容易となる。
【0068】
なお、本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。