(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制限部材は、繊維吸着凹部内の多孔部材の一部を閉塞する入れ子部材、または、多孔部材の一部又は全部の空気流通量を制限するマスキング部材であることを特徴とする請求項1に記載の異目付繊維供給装置。
前記部分目付繊維供給機構は、リングドラムの下方に基本目付繊維を搬入する搬入ベルトと、リングドラム内から空気を噴出して繊維吸着凹部内の部分目付繊維を基本目付繊維上に重ねかつそこから空気を吸引する積層空気流動手段と、積層した基本目付繊維及び部分目付繊維を搬送しながら圧縮しかつ仮融着する仮成形手段と有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の異目付繊維供給装置。
前記繊維吸引手段は、リングドラム内を空気吸引で負圧にする吸気ブロアを有しており、この吸気ブロアは繊維吸着凹部に吸着する繊維量を調整するべく吸引圧力調整自在であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の異目付繊維供給装置。
前記制限部材を空気流動阻止可能な入れ子部材にして繊維吸着凹部内の吸着制限範囲を設定する、または、前記制限部材を空気流動量変更可能なマスキング部材にして繊維吸着凹部内の一部又は全部の空気流通量を設定することを特徴とする請求項7に記載の異目付繊維供給方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1の技術は、乾式法で生成された繊維の集合層(フリース)を形成できるが、部分的に集合層を積層し目付の異なる異目付繊維にすることは困難である。
前記特許文献2の技術は、主に湿式法で生成された繊維が対象であり、同種繊維を積層して異目付の繊維積層体を連続形成することは可能であるが、回転ドラムの周面部に形成した集積用凹部の形状は一定不変であり、異目付部分の位置、形状、目付量等の形態が異なる多種類の防音材の製造には適用し難いものである。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにした異目付繊維供給装置及び異目付繊維供給方法を提供することを目的とする。
本発明は、リングドラムの繊維吸着凹部の多孔部材に繊維の吸着を制限する制限部材を設けることにより、基本目付繊維に積載する部分目付繊維の形態を簡便に変更できるようにした異目付繊維供給装置及び異目付繊維供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
異目付繊維供給装置は第1に、基本目付繊維Bを供給する基本目付繊維供給機構3と、基本目付繊維Bに対して部分目付繊維Pを供給する部分目付繊維供給機構4とを備えており、
前記部分目付繊維供給機構4は外周部に繊維吸着凹部5を形成した回転自在なリングドラム6と、このリングドラム6内を負圧にする繊維吸引手段7と、外部からリングドラム6外周へ空気搬送繊維を案内する案内部材8と
、リングドラム6内から空気を噴出して繊維吸着凹部5内の部分目付繊維Pを下方へ放出する空気噴出部材70とを有する異目付繊維供給装置であって、
前記リングドラム6は、繊維吸着凹部5の底を形成する多孔部材9と、繊維吸着凹部5の周囲を形成する閉塞部材10とで円筒形に形成されており、
前記多孔部材9の外面に繊維の吸着を制限する制限部材11を着脱自在に設けて
おり、
前記リングドラム6の外周上部を前記案内部材8で覆いかつ外周前後部を空気流通を阻止する前後閉鎖部材55で閉鎖し、軸心直下の前後閉鎖部材55下端間に繊維吸着凹部5内の部分目付繊維Pを下方へ放出する放出口57を形成しており、
前記案内部材8には、リングドラム6の外周面の上部に対向する窓15を形成するとともにその窓15を開閉する蓋16を設けており、
前記リングドラム6は外周面の繊維吸着凹部5の周囲に、前記制限部材11を案内部材8の窓15から着脱自在に取り付けるための装着部材17の取り付け部18を形成していることを特徴とする。
【0007】
異目付繊維供給装置は第2に、前記制限部材11は、繊維吸着凹部5内の多孔部材9の一部を閉塞する入れ子部材11a、または、多孔部材9の一部又は全部の空気流通量を制限するマスキング部材11bであることを特徴とする。
異目付繊維供給装置は第3に、前記案内部材8はリングドラム6の
略3分の1周の上部外周を覆い、前記前後各閉鎖部材55はリングドラム6の略3分の1周の前後外周を閉鎖しており、
前後各閉鎖部材の上端と案内部材8の前後端との間に、リングドラム6に弾圧されて回転して前後閉鎖部材55の空気流通阻止機能を確保する気密補助ローラ56を設けていることを特徴とする。
【0008】
異目付繊維供給装置は第4に、
前記案内部材8は、一対の気密補助ローラ56間に位置しており、一端側の解繊ローラ26から空気搬送繊維を導入する固定案内部8Aを有し、前記蓋16は固定案内部8Aの他端から気密補助ローラ56まで延設されかつ固定案内部8Aから気密補助ローラ56近傍まで空気搬送繊維をリングドラム6の外周へ案内するべく外周円弧形状であることを特徴とする。
【0009】
異目付繊維供給装置は第5に、前記部分目付繊維供給機構4は、リングドラム6の下方に基本目付繊維Bを搬入する搬入ベルト21と、リングドラム6内から空気を噴出して繊維吸着凹部5内の部分目付繊維Pを基本目付繊維B上に重ねかつそこから空気を吸引する積層空気流動手段22と、積層した基本目付繊維B及び部分目付繊維Pを搬送しながら圧縮しかつ仮融着する仮成形手段23と有することを特徴とする。
【0010】
異目付繊維供給装置は第6に、前記繊維吸引手段7は、リングドラム6内を空気吸引で負圧にする吸気ブロア24を有しており、この吸気ブロア24は繊維吸着凹部5に吸着する繊維量を調整するべく吸引圧力調整自在であることを特徴とする。
異目付繊維供給方法は第1に、基本目付繊維供給機構3で基本目付繊維Bをリングドラム6の下方に搬入し、外周部に繊維吸着凹部5を形成したリングドラム6を回転しながらリングドラム6内を
吸気ブロア24で空気吸引
して負圧にし、案内部材8によって外部からリングドラム6外周へ案内されてくる空気搬送繊維を前記繊維吸着凹部5に吸着し、この繊維吸着凹部5を吸着位置から回転した後にリングドラム6内から空気を噴出して部分目付繊維Pを前記基本目付繊維B上に積層する異目付繊維供給方法であって、
前記繊維吸着凹部5内に空気の吸引を制限する制限部材11を着脱自在に設けて繊維の吸着を制限
し、
前記リングドラム6の外周上部を前記案内部材8で覆いかつ外周前後部を空気流通を阻止する前後閉鎖部材55で閉鎖し、軸心直下の前後閉鎖部材55下端間に繊維吸着凹部5内の部分目付繊維Pを下方へ放出する放出口57を形成し、前記リングドラム6内に配置した空気噴出部材70から排気ブロア63の空気を放出口57へ向けて噴出しており、
前記吸気ブロア24はリングドラム6の内部の空気を吸引しかつその吸引圧力を調整して案内部材8に面した繊維吸着凹部5に吸着する繊維量を調整することを特徴とする。
【0011】
異目付繊維供給方法は第2に、前記制限部材11を空気流動阻止可能な入れ子部材11aにして繊維吸着凹部5内の吸着制限範囲を設定する、または、前記制限部材11を空気流動量変更可能なマスキング部材11bにして繊維吸着凹部5内の一部又は全部の空気流通量を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、リングドラムの繊維吸着凹部内に配置される制限部材によって、異目付部分の形態を簡便に変更できる。
即ち、請求項1に係る発明は、基本目付繊維Bに対して供給される部分目付繊維Pを集合するリングドラム6は、繊維吸着凹部5の底を形成する多孔部材9に繊維の吸着を制限する制限部材11を着脱自在に設けているので、異目付部分の位置、形状、目付量等の形態を簡便に変更できる。繊維吸着凹部5を大きく形成しておいて、そこに制限部材11を配置することにより、各種形態の異目付部分を形成できる。
【0013】
その上、リングドラム6の外周上部を案内部材8で覆いかつ外周前後部を空気流通を阻止する前後閉鎖部材55で閉鎖し、軸心直下の前後閉鎖部材下端間に繊維吸着凹部5内の部分目付繊維Pを下方へ放出する放出口57を形成し、繊維吸引手段7でリングドラム6内を負圧にし、空気噴出部材70でリングドラム6内から空気を噴出して繊維吸着凹部5内の部分目付繊維Pを下方へ放出するので、リングドラム6の外周の密閉性を良好にして、外周上部での繊維の吸着性能をより向上できる。
【0014】
また、外部からリングドラム6の外周上部へ空気搬送繊維を案内する案内部材8は、リングドラム6の外周面を露出可能な窓15を形成しているとともにその窓15を開閉する蓋16を設けているので、この蓋16を開けることによりリングドラム6の外周上部を露出することができ、制限部材11をリングドラム6上に載せたまま容易に着脱自在して取り替えることができる。
【0015】
さらに、リングドラム6は、外周面の繊維吸着凹部5の周囲に、制限部材11を案内部材8の窓15から着脱自在に取り付けるための装着部材17の取り付け部18を形成しているので、装着部材17による制限部材11の取り付けが容易にできる。
請求項2に係る発明は、制限部材11は、繊維吸着凹部5内の多孔部材9の一部を閉塞する入れ子部材11a、または、多孔部材9の一部又は全部の空気流通量を制限するマスキング部材11bであるので、簡単に形成しかつ着脱することができる。
【0016】
請求項3に係る発明は、
案内部材8はリングドラム6の略3分の1周の上部外周を覆い、前記前後各閉鎖部材55はリングドラム6の略3分の1周の前後外周を閉鎖しており、前後各閉鎖部材の上端と案内部材8の前後端との間に、リングドラム6に弾圧されて回転して前後閉鎖部材55の空気流通阻止機能を確保する気密補助ローラ56を設けているので、リングドラム6の外周の密閉性を良好にして、外周上部での繊維の吸着性能を向上できる。
【0017】
請求項4に係る発明は、
案内部材8は、一対の気密補助ローラ56間に位置しており、一端側の解繊ローラ26から空気搬送繊維を導入する固定案内部8Aを有し、前記蓋16は固定案内部8Aの他端から気密補助ローラ56まで延設されかつ固定案内部8Aから気密補助ローラ56近傍まで空気搬送繊維をリングドラム6の外周へ案内するべく外周円弧形状であるので、蓋16は解繊ローラ44に妨害されることなく大きく形成して開閉することができ、しかも空気搬送繊維の案内もできる。
【0018】
請求項5に係る発明は、基本目付繊維Bに部分目付繊維Pを積層して圧縮してから仮融着することができ、2種繊維の積層から仮成形品まで、確実かつ連続して行うことができる。
請求項6に係る発明は、繊維吸引手段7は吸気ブロア24の吸引圧力を調整することにより、繊維吸着凹部5に吸着する繊維量を調整することができる。
【0019】
請求項7に係る発明は、リングドラム6の繊維吸着凹部5内に空気の吸引を制限する制限部材11を設けるだけで、基本目付繊維B上に積層する部分目付繊維Pの位置、形状、目付量等の形態を変更して異目付繊維を形成して供給できる。
しかも、リングドラム6の外周上部を案内部材8で覆いかつ外周前後部を空気流通を阻止する前後閉鎖部材55で閉鎖し、軸心直下の前後閉鎖部材55下端間に繊維吸着凹部5内の部分目付繊維Pを下方へ放出する放出口57を形成し、リングドラム6内に配置した空気噴出部材70から排気ブロア63の空気を放出口57へ向けて噴出しており、吸気ブロア24はリングドラム6の内部の空気を吸引しかつ吸引圧力を調整して案内部材8に面した繊維吸着凹部5に吸着する繊維量を調整するので、リングドラム6の外周の密閉性を良好にして、外周上部での繊維の吸着性能をより向上できるようにした上で、吸気ブロア24でリングドラム6の内部の空気を吸引するその吸引圧力を調整して、案内部材8に面した繊維吸着凹部5に吸着する繊維量を調整できる。
【0020】
請求項8に係る発明は、制限部材11を入れ子部材11aまたはマスキング部材11bで簡単に構成でき、入れ子部材11aによって繊維吸着凹部5内の吸着制限範囲を設定したり、マスキング部材11bによって繊維吸着凹部5内の一部又は全部の空気流通量を設定したりすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1、2において、車のフロアカーペット防音材等の繊維成形品の中間品を成形するための異目付繊維供給装置1を示しており、異目付繊維供給装置1は直列的に、基本目付繊維Bを供給する基本目付繊維供給機構3と、基本目付繊維Bに対して部分目付繊維Pを供給する部分目付繊維供給機構4とを備えており、それぞれは粗開繊機31、精密開繊機32及び定量供給箱33と接続されており、原綿(繊維素材、PET)を開繊しかつ計量して開繊混綿として空気搬入可能になっている。
【0023】
前記基本目付繊維供給機構3は、定量供給箱33からダクト35を介して空気搬入されてくる繊維を導入して解す綿挿入ローラ36及び解繊ローラ26と、この解繊ローラ26から送り出される繊維を集合して帯状に並べるシュート27と、このシュート27から帯状基本目付繊維Bを吐き出す排出ローラ28と、排出される基本目付繊維Bを部分目付繊維供給機構4へ載置搬送する供給コンベア37とを備えている。
【0024】
前記シュート27は解繊された繊維を帯状に集積して供給するシュートフィーダ手段を構成している。
図1〜5において、前記部分目付繊維供給機構4は、機構フレーム30に支持される構成として、定量供給箱33からダクト42を介して空気搬入されてくる繊維を導入して解す綿挿入ローラ43及び解繊ローラ44と、この解繊ローラ44から送り出される繊維を吸着して集合する繊維吸着凹部5を外周部に複数形成した回転自在なリングドラム6と、このリングドラム6内を負圧にする繊維吸引手段7と、前記解繊ローラ44からリングドラム6外周へ空気搬送される解繊繊維を案内する案内部材8と有している。
【0025】
また、部分目付繊維供給機構4は付随装置として、リングドラム6の下方に基本目付繊維Bを搬入する搬入ベルト21と、リングドラム6内から空気を噴出して繊維吸着凹部5内の部分目付繊維Pを基本目付繊維B上に重ねかつそこから空気を吸引する積層空気流動手段22と、積層した基本目付繊維B及び部分目付繊維Pを搬送しながら圧縮しかつ仮融着する仮成形手段23とを有している。
【0026】
前記綿挿入ローラ43及び解繊ローラ44は、前記基本目付繊維供給機構3の綿挿入ローラ36及び解繊ローラ26と略同一構造であって、綿挿入ローラ43は一対で空気搬入される繊維を挟持しながら下方へ送り、解繊ローラ44は円筒体44aの外周に周方向複数本の鋸刃44bを設けていて、綿挿入ローラ43によって挟持搬入される繊維を鋸刃44bで解しながら下方へ放出する。
【0027】
前記リングドラム6は、軸心方向両端の外周に断面L字形状のアングル材を環状に形成した環枠材51を有し、両端の環枠材51には外周にレール51aが設けられ、一端の環枠材51にはさらに側面に多数本の駆動ピン51bが設けられている。
機構フレーム30には一対の支持ロール52と駆動モータ53とが設けられていて、両端の環枠材51のレール51aが一対の支持ロール52に係合することにより、リングドラム6は回転自在に支持されており、一端の環枠材51の駆動ピン51bが駆動モータ53に設けたピンホイール53aに係合して駆動されることにより回転される。
【0028】
前記リングドラム6は、上部の略3分の1周は案内部材8内に位置し、その他の略3分の2周は前後閉鎖部材55によって閉鎖され、軸心直下の一部分のみが前後閉鎖部材55の下端間で開放されており、前後各閉鎖部材55の上部には気密補助ローラ56が配置されている。前後閉鎖部材55の下部間の空間は部分目付繊維Pを下方へ放出する放出口57となっている。
【0029】
前記一対の気密補助ローラ56は機構フレーム30に回転自在に支持され、かつリングドラム6に弾圧されており、一対の支持ロール52より上部側でリングドラム6の回転を案内しながら、前後閉鎖部材55による空気流通阻止機能を確保できるようにしている。
図1〜10において、前記リングドラム6は、多孔板材(パンチングメタル)6aを半円形に形成し、その外周に金網6bを積層し、これらを2対向させて円筒形に結合した多孔円筒部材6Aと、この多孔円筒部材6Aの表面に配置されかつ複数の開口を有する閉塞部材10とで構成され、閉塞部材10の開口が繊維吸着凹部5となっており、この繊維吸着凹部5の底は多孔円筒部材6A自体で形成する多孔部材9である。
【0030】
前記リングドラム6は、外周部に複数の繊維吸着凹部5を形成した回転自在な多孔円筒部材6Aと、繊維吸着凹部5の周囲を形成する閉塞部材10とで、部分的に空気流通可能でかつ繊維吸着可能な円筒体に形成されている。
図3、6〜10において、繊維吸着凹部5内の多孔部材9の外面には繊維の吸着を制限する制限部材11が設けられている。この制限部材11は閉塞部材10と同様に非通気性の材料、例えば、ウレタン等で形成された入れ子部材11aであって、閉塞部材10の繊維吸着凹部5の周囲の取り付け部18に装着部材17を設けて、制限部材11をリングドラム6に対して着脱自在に取り付けている。
【0031】
入れ子部材11aはウレタン等の非通気性材料78を固定プレート79に取り付け、この固定プレート79の両端を装着部材17を介して閉塞部材10の取り付け部18に取り付けている。入れ子部材11aは装着部材17に対して傾斜しているが、平行でもよく、その幅は任意に設定でき、角棒形状であるがその他の形状にしたり、1つの繊維吸着凹部5に複数本配置したりしてもよい。
【0032】
リングドラム6は内部が空洞であるので、軸心方向両側内部に遮蔽円盤60が設けられ、この両遮蔽円盤60の外周に設けられたシール材61はリングドラム6の内周面に摺接している。
前記両遮蔽円盤60には吸引ダクト62が接続されており、この吸引ダクト62は外部に配置された吸気ブロア24に接続されていて、これらによってリングドラム6内を負圧にする繊維吸引手段7が構成されている。
【0033】
吸気ブロア24はモータの回転数が可変であって、吸引圧力を調整することができ、吸引圧力の調整によって繊維吸着凹部5に吸着する繊維量を変更することができ、部分目付繊維Pの目付量を多少に調整できる。
リングドラム6の上部には略120度の範囲を覆うように、外部からリングドラム6外周へ空気搬送繊維を案内する案内部材8が設けられている。この案内部材8は一対の気密補助ローラ56間に位置し、解繊ローラ44も覆う固定案内部8Aと、リングドラム6の外周面を露出可能な窓15に開閉自在に設けた蓋16とを有する。
【0034】
窓15及び蓋16は、リングドラム6の軸心を境にして解繊ローラ44配置側と前後反対側に位置し、蓋16は固定案内部8A上に設けた蓋アクチュエータ65によって開閉自在である。
図1に2点鎖線で、
図3に実線でそれぞれ示すように、蓋16を開放すると、作業員が作業台66上に乗ることにより、窓15からリングドラム6の外周面を目視することができ、リングドラム6のメンテナンス、装着部材17及び制限部材11の着脱ができ、制限部材11の取り替えが可能になる。なお、固定案内部8Aにものぞき窓67が形成されている。
【0035】
前記蓋16は外周部分が円弧形状になっていて、解繊ローラ44から放出されてくる繊維を気密補助ローラ56近くまで案内して、気密補助ローラ56近くからリングドラム6の繊維吸着凹部5内に繊維を吸着集合できるようにしている。
前記リングドラム6の両側遮蔽円盤60には、吸引ダクト62より下方位置に空気噴出部材70が設けられ、この空気噴出部材70は外部の排気ブロア63に接続されている。
【0036】
前記空気噴出部材70及び排気ブロア63は、リングドラム6の内部において軸心方向略全長に亘って空気を下向き、即ち、前後閉鎖部材55の下部間の放出口57に向けて噴出可能になっており、リングドラム6の回転によって上部から下部へ移動してきた繊維吸着凹部5に内側から空気を外向きに噴出して、繊維吸着凹部5内の部分目付繊維Pを繊維吸着凹部5から剥離して下方へ放出する。空気噴出部材70及び排気ブロア63は積層空気流動手段22の空気噴出側を構成している。
【0037】
前記リングドラム6の下方には、供給コンベア37で搬送される基本目付繊維Bを搬入する搬入ベルト21と、積層空気流動手段22によって基本目付繊維B上に積層した部分目付繊維Pを、搬送しながら圧縮しかつ仮融着する仮成形手段23とが配置されている。
前記搬入ベルト21はネットコンベヤベルトであり、空気を上下に流動可能になっている。この搬入ベルト21の往路部分の下方には吸引口部材73が設けられており、この吸引口部材73は前後閉鎖部材55の下部間の放出口57に対向しており、積層空気流動手段22の空気吸引側となる吸気ブロア71に接続されている。
【0038】
従って、繊維吸着凹部5内の部分目付繊維Pは、排気ブロア63に接続された空気噴出部材70からの噴出空気によって繊維吸着凹部5から剥離されて放出口57を通って基本目付繊維B上に積層され、2層に積層された基本目付繊維B及び部分目付繊維Pは前記噴出空気とともに吸気ブロア71に接続された吸引口部材73に引っ張られ、その吸引空気によって搬入ベルト21上で圧縮され、その圧縮状態で仮成形手段23へ搬送される。
【0039】
前記仮成形手段23は放出口57の終端から搬入ベルト21の終端まで下向き傾斜した圧縮ベルト75と、この圧縮ベルト75の終端側の上下一対の圧縮加熱ローラ76とを有する。
圧縮ベルト75は後端から先端へ搬入ベルト21との間の隙間が次第に狭くなっているので、2層に積層された基本目付繊維B及び部分目付繊維Pは上下に圧縮されて、目付が異なる部位も含めて全長略均一な厚さに形成され、その状態で上下一対の圧縮加熱ローラ76でさらに圧縮しながら加熱して仮融着される。
【0040】
基本目付繊維B及び部分目付繊維Pよって異目付となった繊維は連続帯形状であり、圧縮加熱ローラ76通過後に所要長さに切断され、仮融着されて一定寸法の中間品となり、プレス加工工程に送られる。
次に、前記異目付繊維供給装置1を用いた異目付繊維供給方法を説明する。
原綿を粗開繊機31、精密開繊機32、定量供給箱33及びダクト35を経て基本目付繊維供給機構3の綿挿入ローラ36及び解繊ローラ26へ供給し、シュート27で繊維を帯状に並べて、帯状基本目付繊維Bを供給コンベア37上へ積載していく。
【0041】
一方、原綿を粗開繊機31、精密開繊機32、定量供給箱33及びダクト42を経て部分目付繊維供給機構4の綿挿入ローラ43及び解繊ローラ44へ供給し、解繊ローラ44から案内部材8内へ解繊繊維を飛散放出する。外周部に複数の繊維吸着凹部5を形成したリングドラム6を回転しながら、繊維吸引手段7でリングドラム6内を負圧にして案内部材8内から空気吸引し、案内部材8によってリングドラム6外周へ案内されてくる空気搬送繊維を繊維吸着凹部5に吸着集合する。
【0042】
繊維吸着凹部5に吸着される繊維量を多少に調整する場合は、繊維吸引手段7の吸気ブロア24の吸引圧力を調整する。
周囲の閉塞部材10によって形成された繊維吸着凹部5は底が多孔部材9で形成されていて、孔の大きさ及び配列が均一な場合は、吸着される繊維は略均一厚さになるが、繊維吸着凹部5内に制限部材11として入れ子部材11aが配置されていると、その入れ子部材11aの部位だけ空気流動が阻止され、吸着繊維のない部位が形成される。
【0043】
リングドラム6の外周面の一部は閉鎖部材55によって閉鎖されているので、繊維吸着凹部5内の繊維は閉鎖部材55の下端に達するまで落下することはなく、閉鎖部材55の下端の放出口57に達したとき、積層空気流動手段22の空気噴出部材70からの噴出空気によって、繊維は繊維吸着凹部5内から押し出され、また、吸引口部材73による空気吸引によって搬入ベルト21上の基本目付繊維B上に積層される。
【0044】
部分目付繊維Pは、制限部材11によって制限された繊維吸着凹部5の形状となって基本目付繊維Bと合体して異目付繊維となる。前記部分目付繊維Pの形状を変更する場合は、蓋16を開放して窓15からリングドラム6の外周面を露出させ、リングドラム6に対して形状、構造、配置等の異なる制限部材11に取り替える。
基本目付繊維B及び部分目付繊維Pよって異目付となった連続帯形の異目付繊維は、搬入ベルト21と下向き傾斜した圧縮ベルト75とで圧縮しながら、上下圧縮加熱ローラ76で表面処理及び仮融着する。
【0045】
なお、車のフロアカーペット防音材等の繊維成形品は平面視略方形状であるが、縦横寸法の異なるものがある。基本目付繊維供給機構3はシュート27の幅調整で帯状繊維の幅が変更可能である。部分目付繊維供給機構4は、リングドラム6が最大繊維成形品の幅及び長さを確保し得る大きさに形成されており、小さな繊維成形品を製造する際には、閉塞部材10を取り替えて所要の形状及び数の繊維吸着凹部5の形成し、さらに制限部材11を必要な繊維吸着凹部5内に配置する。これにより、1台の異目付繊維供給装置1で大きさの異なる多種類の繊維成形品の中間品を製作することができる。
【0046】
図11は制限部材11の変形例を示している。
リングドラム6は、前記実施形態の多孔円筒部材6Aの表面に複数の開口を有する閉塞部材10を設けた構造であり、底が多孔部材9で形成された繊維吸着凹部5内に、制限部材11となるマスキング部材11bを配置している。
前記マスキング部材11bは、鉄、アルミニュウム、樹脂等で形成された3種類11b1、11b2、11b3を示している。
【0047】
マスキング部材11b1は孔のない帯板形状であり、繊維吸着凹部5内の一部の空気流動を遮蔽するフィルタ部材であり、繊維吸着凹部5の底の多孔部材9の表面を閉鎖する。
このマスキング部材11b1は、前記入れ子部材11aとは違って、繊維吸着凹部5の表面側(マスキング部材11b1の上側)には繊維の侵入を排除しないので、マスキング部材11b1の両側で積載集合する繊維が薄く繋がるようになり、1つの繊維吸着凹部5内で極薄の繊維層を挟んで厚い繊維層が存在する部分目付繊維Pが形成できる。
【0048】
マスキング部材11b2は多数の孔のある帯板形状であり、繊維吸着凹部5内の一部の空気流動量あるいは空気流動抵抗を変更するフィルタ部材であり、繊維吸着凹部5の底の多孔部材9を二重メッシュ構造にし、空気流動抵抗を大きくする。
このマスキング部材11b2は、前記入れ子部材11a及びマスキング部材11b1とは違って、マスキング部材11b2の上側にも繊維が吸着されるので、マスキング部材11b2の両側よりも少ないが、繊維は積載集合され、1つの繊維吸着凹部5内で薄い繊維層を挟んで厚い繊維層が存在する部分目付繊維Pが形成できる。
【0049】
マスキング部材11b3は多数の孔のある帯板の下面側に繊維層80を重ねたものであり、繊維吸着凹部5の底の多孔部材9を三重メッシュ構造にし、空気流動抵抗をさらに大きくしており、繊維吸着凹部5内の一部の空気流動量あるいは空気流動抵抗を制限するとともに繊維積載容積を減少するフィルタ部材である。
繊維吸着凹部5内でのマスキング部材11b3は、繊維層80が存在する分だけ表面側の空間が薄くなっており、マスキング部材11b3の上側にも繊維が吸着されるので、マスキング部材11b2よりも薄く繊維が積載集合され、1つの繊維吸着凹部5内で薄い繊維層を挟んで厚い繊維層が存在する部分目付繊維Pが形成できる。
【0050】
前記入れ子部材11a、マスキング部材11b1、11b2、11b3は、組み合わせて使用することができ、1つの繊維吸着凹部5に1本または複数本配置され、繊維吸着凹部5内に吸着される繊維量を部分的または全面的に減少させて、部分目付繊維Pの中で異目付を形成し、異目付含有部分目付繊維Pとして基本目付繊維B上に積層できる。
なお、本発明は前記実施形態等における各部材の形状及び位置関係等は、
図1〜11に示すように構成することが最良である。しかし、前記実施形態等に限定されるものではなく、部材、構成を種々変形したり、組み合わせを変更したりすることもできる。
【0051】
例えば、基本目付繊維供給機構3は、基本目付繊維Bを長手方向一定寸法で区切った形状に形成し、その短尺基本目付繊維B上の適宜位置に部分目付繊維Pを供給するように構成してもよい。
基本目付繊維供給機構3と部分目付繊維供給機構4とは、素材繊維を異ならせたり、添加物を異ならせたりしてもよい。
【0052】
リングドラム6は、板金の表面に凹凸を形成し、凹部の底に多数の孔を穿孔して多孔部材9部分を形成しかつ孔のない部分を閉塞部材10部分とし、それを円弧形状に加工しかつその円弧状部材を複数枚円形配置して円形ドラムに組み立ててもよい。
また、リングドラム6は、閉塞部材10を多数の開口を形成した円筒形に形成し、それをパンチングメタル製の多孔板材6aの外周面に重ね、閉塞部材10の開口に金網6bを配置して、底が多孔部材9の繊維吸着凹部5を形成する構造にしてもよい。