【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的は、独立請求項のいずれかに係る骨接合プレート及び骨接合術用システムによってもはや達成される。
【0014】
本発明は、第1のセグメント及び第2のセグメントを備える骨接合プレートに関する。両セグメントのうちの少なくとも一方、好ましくは両セグメントの双方は、骨ネジを通す穴を有する。
【0015】
両セグメントのうちの一方、特に第2のセグメントは、通し穴の代わりに、凹部又は突出部、特に例えばセルクラージュケーブル用の支持点(bearing point)として機能する小穴(eyelet)又は縁側凹部を有することもできる。
【0016】
本発明によれば、第2のセグメントは、第1のセグメントに解除可能に結合可能である。
【0017】
これは、特に差込み結合、スナップ結合、又はスライドオン結合によって第1のセグメントを第2のセグメントに結合することができることを意味する。これにより、適用場所に応じてセグメントを着脱することが可能になり、そのため、セグメントの付加又は除去により、セグメントによって画定される骨接合プレートの基本形状を変更することができる。
【0018】
セグメントは、工具を使用せずに取付け可能であることが好ましく、特に、セグメントを相互接続するのにいかなるネジも使用されないことが好ましい。
【0019】
さらに、第1のセグメントと第2のセグメントとが互いに対して配置される角度を変更することができる。ここで、角度とは、2つのセグメントの表面間の角度を指す。表面が湾曲している場合、この表面に対する任意の接平面を基準として用いることができる。
【0020】
角度は、プレートの平面に対して垂直に、すなわち、表面又は湾曲した表面の接平面に対して垂直に変更することができることが好ましい。
【0021】
角度は、少なくとも10度の範囲内、好ましくは少なくとも20度の範囲内で変えることができることが好ましい。
【0022】
したがって、第1のセグメント及び第2のセグメントが骨接合プレートの部分を形成することと、セグメントが骨の輪郭に適合することとが可能である。
【0023】
セグメントは、セグメント間の角度を変更するように軸に沿って可動であることが好ましい。
【0024】
第2のセグメントは、第1のセグメントに枢動可能に連結される(linked)ことが好ましい。この場合、枢動軸は、第1のセグメントの表面及び第2のセグメントの表面に対して実質的に平行に延び、そのため、第2のセグメントは、第1のセグメントに対して翼のように動くことができる。
【0025】
特に、第1のセグメントと第2のセグメントとは、ヒンジによって枢動可能に結合される。
【0026】
したがって、骨接合プレートの2つのセグメントは、少なくとも1つの自由度、好ましくは厳密に1つの自由度で可動であるように1つの縁に沿って結合される。
【0027】
これにより、剛性材料から作られたセグメントが骨の形状に合致することが可能になる。
【0028】
同時に、1つのみの自由度を有するヒンジ状結合部により、第1のセグメントが、動いたとしても、第2のセグメントに対して最大1つの方向にしか動くことができないことが確実になる。
【0029】
この可動方向は、例えば、その中の骨プレートが骨折部の安定化を意図する骨折部に対して横断方向に堅実な結合部が設けられるように、骨折部に対して平行に延びることができる。
【0030】
特に、第1のセグメントは、複数の通し穴を有する細長い骨プレートの形態で設けられることが考えられる。
【0031】
第1のセグメントの主延在方向から側方に突出するように、骨プレートを画定する細長いセグメントに更なるセグメントを可動に取り付けてもよい。
【0032】
第1のセグメントは、更なるセグメントを可動に取り付けることができる複数の取付け部位を有することが好ましい。したがって、患者の解剖学的状態に応じて、骨プレートを側面側に実質的に延ばすことが可能であり、それにより、例えば、固定時に髄管を回避するために又はより安定な骨構造部を呈する骨の部位にネジを締めるのを可能にするために、固定用のネジを骨プレートに隣接して挿入することができる。
【0033】
本発明の1つの実施形態において、第1のセグメントと第2のセグメントとは、工具を必要とせずに分離及び/又は結合することができるように構成される。
【0034】
特に、骨プレートとして構成されるとともに複数の通し穴を有する第1のセグメントは、ヒンジ開口を受ける複数のウェブ材を有することが考えられる。
【0035】
ウェブ材とは、ヒンジ用のベアリングとして機能することができる骨プレートの部分を指す。
【0036】
さらに、特に、第2のセグメントは、第2のセグメントを第1のセグメントに取り付けるように機能するクランプ状又はフック状のヒンジ開口を有することが考えられる。
【0037】
本発明の好ましい一実施形態によれば、単純なフックの場合、フックは、骨プレートが骨に密接に支持された確実なフィット状態で第2のセグメントが保持されるように形成されることが考えられる。したがって、ヒンジ状結合部は、組立て状態において容易に解除することができる。これは、例えば、セグメントが互いに対して係合状態の角度に対応しない或る特定の角度に配置されている場合に可能である。ここで、セグメントを互いに対して回転させた場合、フックが第1のセグメントのウェブ材の背後に係合し、それによりセグメントがヒンジのように結合する。
【0038】
セグメントがクリップ状形態を有し、それによりセグメントをウェブ材に対して付勢することができ、セグメントがラッチされるか又は少なくともウェブ材上にクランプされることが更に考えられる。
【0039】
本発明のこの好ましい実施形態は、2つのセグメントが、非適用状態(non-applied state)であっても互いに対して任意の角度で結合されるという利点を有する。その一方で、クリップ型結合部は、使用者によって容易に係脱させることができる。
【0040】
そのようなクリップ状結合部の提供を可能にするには、それぞれのセグメント、好ましくは第2のセグメントをU字形とすることができ、このとき、U字形状の2つの半体を弾性とし、それによりクリップ状ヒンジ翼は、U字形状を拡げた後に適所にスナップ係合させる(snaps)ことによって、セグメントを取付け可能にする。
【0041】
本発明の1つの変更形態において、複数のセグメント、すなわち少なくとも3つのセグメントをともにつなぎ合わせてもよい。
【0042】
このために、第2のセグメントは、ヒンジ開口と、別のヒンジセグメントを取り付けるウェブ材との双方を備えることが特に考えられる。このようにして、履帯のように骨の輪郭に沿うセグメントを並置することにより、固定用領域を側方に拡げることができる。したがって、セグメントによって形成される骨接合プレートは、リンクチェーンのような形態となる。
【0043】
骨は、セグメントのこのようなリンク状チェーンによって全体的に又は部分的に巻回されることが考えられる。
【0044】
第1のセグメント及び/又は第2のセグメントの通し穴は、ネジ加工頭を有する適切なネジを用いて角度の安定した結合をもたらすために、少なくとも部分的にネジ加工されることが好ましい。
【0045】
本発明の1つの改良形態において、第1のセグメントと第2のセグメントとは、互いに対して固定可能である。すなわち、セグメントを互いに対して動かすことができないか又は労力を用いてしか動かすことができないように、セグメントのヒンジ状結合部を組付け状態において係止することができる。
【0046】
これは、1つのセグメントがU字形デザインを有し、骨ネジの螺入時に、U字を画定する半体が互いに押し付けられ、それによりウェブ材上へのフォースロック結合(force-locked connection)がもたらされる場合に特に達成することができる。
【0047】
本発明は、骨接合プレート用セグメント、特に上述した骨接合プレート用セグメントに更に関する。
【0048】
セグメントは、ヒンジ開口を受けるウェブ材を有する。特に、ウェブ材は、ピン状であり、ヒンジ開口を可動に収容するのに十分な空間がウェブ材の周囲にあるように骨プレートの凹部内に位置する。さらに、1つの実施形態において、ウェブ材の端におけるセグメントの材料は、軸方向、すなわちウェブ材の主延在方向において停止部として機能する。
【0049】
1つの実施形態において、セグメントのウェブ材は一体形成される、すなわちウェブ材は例えば固体材料から機械加工プロセスによって製造される。
【0050】
骨接合プレートの全てのセグメントを一体形成することが特に考えられる。これにより、生体適合性材料からの製造が容易になるとともに、いくつかの状況下で骨接合システムから部品が取り外れ得るとともに患者体内に留置され得るリスクが回避される。セグメントは、チタン等の固体材料から機械加工プロセスによって製造することが好ましい。
【0051】
代替的な一実施形態において、ウェブ材は、セグメントに取り付けたピンによって形成することができる。この変形形態では通常は製造がより安価であり、ウェブ材をセグメントの残りの部分とは異なる材料から作ることができる。
【0052】
ヒンジセグメントは上面及び下面を有し、本発明に関して、下面とは、意図した使用中に骨に面する表面を指す。
【0053】
骨の輪郭に近似するために、下面は凹形であることが好ましい。上面は凸形としてもよい。
【0054】
さらに、セグメントは、少なくとも2つの離間したヒンジ開口を有することができる。このようにして、一方のセグメントを他方のセグメントの少なくとも2つのウェブ材に取り付けることができる。
【0055】
これにより、この場合はウェブ材をより短く作製することができ、したがってウェブ材の破断リスクが低減するので、より安定した機械的な結合が可能になる。さらに、クリップ状セグメントの場合、その係合が容易になる。
【0056】
本発明の1つの改良形態において、セグメントはU字形であり、上半体と下半体との間の凹部が、U字の閉鎖側において弾性部を画定するように拡大する。
【0057】
そのため、セグメントの2つの半体間の凹部の高さがU字形部の端において増大する。断面に示されるように、これにより、材料が上半体から角部の周囲で下方へ延びることが可能になる。この延在方向が変化する部分は、下半体及び上半体の前方部分よりも薄い材料で形成され、したがって特にその長さに起因して弾性挙動を示す。
【0058】
骨ネジを締める場合にセグメントを固定するために、1つのセグメントが、U字形であることができるとともに、骨に当接することを意図された下端部がネジ加工された通し穴を有することができる。
【0059】
通し穴の反対側の上端が、骨ネジのネジ山に係合する手段を有しないことが好ましい。具体的には、通し穴の上端は平滑壁を有する。
【0060】
対応する骨ネジが、頭のネジ加工部と、ネジ加工部の上方にある特に円錐形又は球形の支持面とを有する。
【0061】
ここで、頭ネジ山がセグメントのネジ加工部に係合した場合、U字形セグメントは、頭のネジ加工部上方にある平滑壁形状によってともに押し付けられ、隣接するセグメントのウェブ材にクランプされる。
【0062】
ネジ山とは、ネジ型結合を可能にする形状を指す。これは、特に挿入されるネジの角度を変化させるために、ネジ自体によって切削されるか又はネジ山セグメントからなるネジ山を更に包含する場合がある。このようにして、角度の安定した多軸結合が可能になる。
【0063】
本発明に関する平滑壁形状とは、ネジ結合がもたらされない形状を指す。最も単純な場合、平滑壁形状は、ネジ頭が支持される平滑面としてもよい。しかし、好ましくは平滑壁面はテーパーになっており、特に円錐形又は球形のテーパーを有する。
【0064】
本発明は、上述した骨接合プレートと、骨ネジを締める際に骨接合プレートのセグメントが互いに対して固定されるように設計された骨ネジを備える骨接合システムを提供することを可能にする。
【0065】
本発明は、骨プレート又は骨プレートのセグメントを備える骨接合システムに更に関する。骨プレート又はセグメントは、少なくともその一部において2つの層を有し、上半体及び下半体を有する。上半体と下半体とは、互いに対して弾性的に結合され、したがって少なくとも初期状態において間隙によって離間していることが好ましい。セグメント又は骨プレートは、上半体及び下半体を貫通する少なくとも1つの通し穴を有する。
【0066】
通し穴は、骨ネジの挿入を可能にする。
【0067】
通し穴は、少なくともその一部にネジ山が設けられた下半体を有する。
【0068】
本発明に関して、ネジ山とは、軸方向において骨ネジの対応する形状との確実な係止結合をもたらす任意の係合形状を指す。
【0069】
したがって、ネジ山は、例えば単に稜線(ridge)として形成してもよい。
【0070】
さらに、ネジ山は、ネジを挿入する場合にのみ材料に切削加工されることが考えられる。
【0071】
下半体にある通し穴の最小径は、上半体にある通し穴の最小径よりも小さい。
【0072】
骨接合システムは、骨に螺入されるネジ山を有する骨ネジを更に備える。
【0073】
このネジ山は、特に、セルフタッピング先端を有するネジ山としてもよい。
【0074】
さらに、骨ネジはネジ頭を有する。
【0075】
ネジ頭は、骨ネジを螺入する操作具の係合を可能にする形状を有する。
【0076】
さらに、ネジ頭は支持面を有する。支持面は、上通し穴に隣接して又は上通し穴内に当接するように構成される。
【0077】
最も単純な場合、支持面は、通し穴の隣でセグメント又は骨プレートの上面に当接する平坦な表面としてもよい。
【0078】
しかしながら、支持面は、特に球形又は円錐形にテーパーになり、通し穴の上部の対応するテーパー面に当接することが好ましい。
【0079】
骨ネジが挿入された場合、頭ネジ山は、まず通し穴の上部を通過する。
【0080】
通し穴の上部は、頭ネジ山よりも大きい直径を有するので、この結果、軸方向に確実な相互係止結合をもたらさない。
【0081】
ネジが更に挿入されるにつれ、頭ネジ山が通し穴の下半体にあるネジ山に係合する。
【0082】
その後又は同時に、ネジ頭の支持面がセグメント又は骨プレートの上半体に当接し、そのため、螺入を継続するとセグメント又は骨プレートの2つの半体がともに引き寄せられる。
【0083】
2つの半体を互いに向かって付勢することにより、2つの半体は、例えば別のセグメントにクランプすることができる。
【0084】
しかしながら、セグメント間にセルクラージュケーブル等の別の部品をクランプすることも考えられる。
【0085】
骨接合システムは、通し穴に挿入することができるドリルスリーブを更に備えてもよい。
【0086】
そのようなドリルスリーブ自体は既知である。ドリルスリーブは、骨ネジを骨に螺入する前にドリルによって骨にチャネルをつくり出すために用いられる。多くの場合、そのようなドリルスリーブは、ドリル加工前にチャネルの意図した延在方向を正確に定めるのを可能にする照準装置の一部である。
【0087】
本発明はドリルスリーブに関し、それによって骨プレート又はセグメントの半体を互いに向かって動かすこと、すなわちともに押し付けることができる。
【0088】
このために、ドリルスリーブは、下半体に螺入されるネジ山を有することができる。
【0089】
さらに、ネジ山の上方にロックナットを配置することができる。ロックナットを締めることにより、セグメント又は骨プレートの半体をともに押し付ける。
【0090】
このようにして、ドリルスリーブにより、第1のセグメントと第2のセグメントとを互いに対して角安定性を有して固定することが特に可能である。
【0091】
本発明は、螺入により挿入可能なドリルスリーブを備える骨接合システムに関する。
【0092】
ドリルスリーブは、螺入された場合、ドリルスリーブの下端部が骨に当接して骨に支持される。これにより、セグメント又は骨プレートと骨との間の間隔をドリルスリーブの螺入範囲に応じて調整することが可能になる。
【0093】
上述したように少なくとも2つのセグメントを備える骨接合プレートの場合、セグメント間の角度は、このようにして容易に調整することができる。
【0094】
本発明は、特に上述した骨接合システムに適合された骨ネジに更に関する。
【0095】
骨ネジは、骨に螺入されるネジ山と、支持面を有するネジ頭とを備える。骨に螺入されるネジ山とネジ頭との間に、骨に螺入されるネジ山の最大径とネジ頭の最大径との間にある最大径を有する頭ネジ山が設けられる。