特許第6333371号(P6333371)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6333371キャッシュ線中でビット配列を実装するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6333371
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】キャッシュ線中でビット配列を実装するための方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 12/08 20160101AFI20180521BHJP
【FI】
   G06F12/08 515Z
   G06F12/08 585
   G06F12/08 561
   G06F12/08 551J
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-524921(P2016-524921)
(86)(22)【出願日】2014年7月1日
(65)【公表番号】特表2016-526739(P2016-526739A)
(43)【公表日】2016年9月5日
(86)【国際出願番号】IB2014062757
(87)【国際公開番号】WO2015004571
(87)【国際公開日】20150115
【審査請求日】2017年6月9日
(31)【優先権主張番号】1312446.6
(32)【優先日】2013年7月11日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108501
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 剛史
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】シュタインマッハ−ブロウ、ブルクハルト
【審査官】 後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−30051(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0088737(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/023679(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0185672(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0219215(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 12/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリ・ストレージとコントローラとを備えるメモリ・システムのキャッシュ線中でビット配列を実装するための方法であって、
− 前記キャッシュ線中で前記ビット配列を構成するステップであって、前記ビット配列がビットの配列を含み、前記構成するステップがさらに、前記ビット配列中の各ビットの値を定義するステップを含む、前記構成するステップと、
− 前記コントローラによって前記ビット配列に対する操作の要求を受け取るステップであって、前記要求が、前記メモリ・ストレージ中における前記キャッシュ線の場所と、前記要求を指定する情報とを示す、前記受け取るステップと、
− 前記コントローラによって前記情報を使用して前記ビット配列に対する1つまたは複数のアクションを前記操作について識別するステップであって、前記1つまたは複数のアクションが前記コントローラ中でエンコードされる、前記識別するステップと、
− 前記要求を受け取るのに応答して、前記1つまたは複数のエンコードされたアクションを実行することによって前記要求を実施するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記要求が「最初の0−ビットをフェッチしてセットする」要求を含み、前記要求を実施する前記ステップが、
− 前記ビット配列の各ビットをインデックス0から順次読み取るアクションと、
− 値0を有する最初のビットが見つかった場合に、前記見つかった最初のビットのインデックスを返して、前記見つかった最初のビットの前記値を1にセットし、そうでない場合に、事前定義済みの失敗値を返すアクションと、のうちの1つまたは複数を実施するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記要求が「最後の0−ビットをフェッチしてセットする」要求を含み、前記ビット配列がE個の要素を含み、前記要求を実施する前記ステップが、
− 前記ビット配列の各ビットをインデックスE−1から順次読み取るアクションと、
− 前記ビット配列の、値0を有する最後のビットが見つかった場合に、前記最後のビットのインデックスを返して、前記最後のビットの前記値を1にセットし、そうでない場合に、事前定義済みの失敗値を返すアクションと、のうちの1つまたは複数を実施するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記要求が「孤立した0−ビットをフェッチしてセットする」要求を含み、前記要求を実施する前記ステップが、
− 前記ビット配列を読み取って、0値を有するビットの、0個以上の連続的なシーケンスを決定するアクションと、
− 見つかったシーケンスが0個の場合に、事前定義済みの失敗値を返し、そうでない場合に、
・ 前記1つまたは複数の連続的なシーケンスをそれらのビット数に基づいてランク付けし、
・ 前記1つまたは複数の連続的なシーケンスのうちで最小数のビットを有する連続的なシーケンスのビットを選択し、
・ 前記選択されたビットのインデックスを返し、
・ 前記選択されたビットの前記値を1にセットするアクションと、のうちの1つまたは複数を実施するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記要求が「最初の1−ビットをフェッチしてクリアする」要求を含み、前記要求を実施する前記ステップが、
− 前記ビット配列の各ビットをインデックス0から順次読み取るアクションと、
− 値1を有する最初のビットが見つかった場合に、前記見つかった最初のビットのインデックスを返して、前記見つかった最初のビットの値を0にセットし、そうでない場合に、事前定義済みの失敗値を返すアクションと、のうちの1つまたは複数を実施するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記要求が「最後の1−ビットをフェッチしてクリアする」要求を含み、前記ビット配列がE個の要素を含み、前記要求を実施する前記ステップが、
− 前記ビット配列の各ビットをインデックスE−1から順次読み取るアクションと、
− 前記ビット配列の、値1を有する最後のビットが見つかった場合に、前記最後のビットのインデックスを返して、前記最後のビットの値を0にセットし、そうでない場合に、事前定義済みの失敗値を返すアクションと、のうちの1つまたは複数を実施するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記要求が「孤立した1−ビットをフェッチしてクリアする」要求を含み、前記要求を実施する前記ステップが、
− 前記ビット配列を読み取って、1の値を有するビットの、0個以上の連続的なシーケンス決定するアクションと、
− 見つかったシーケンスが0個の場合に、事前定義済みの失敗値を返し、そうでない場合に、
・ 前記1つまたは複数の連続的なシーケンスをそれらのビット数に基づいてランク付けし、
・ 最小数のビットを有する連続的なシーケンスのビットを選択し、
・ 前記選択されたビットのインデックスを返し、
・ 前記選択されたビットの値を0にセットするアクションと、のうちの1つまたは複数を実施するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記要求が「N個の連続的な0−ビットをフェッチしてセットする」要求を含み、前記要求を実施する前記ステップが、
− 前記ビット配列を読み取って、0の値を有するN個のビットの、0個以上の連続的なシーケンスを決定するアクションと、
− 見つかったシーケンスが0個の場合に、事前定義済みの失敗値を返し、そうでない場合に、
・ 前記1つまたは複数の組合せのうちで事前定義済みの条件を満たすシーケンスを選択し、
・ 前記選択されたN個のビットのシーケンスの最初のビットのインデックスを返し、
・ 前記選択されたN個のビットの値を1にセットするアクションと、のうちの1つまたは複数を実施するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記シーケンスが前記ビット配列の最初のN個の連続的なビットを含むことを、前記事前定義済みの条件が含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記要求が「N個の指定された0−ビットをフェッチしてセットする」要求を含み、前記要求を実施する前記ステップが、
− 前記ビット配列を読み取って、指定されたインデックスにある前記指定されたビットを突き止めるアクションと、
− 前記指定されたビットの少なくとも1つのビットが値1を有する場合に、事前定義済みの失敗値を返すアクションと、
− 前記指定されたビットの各々が値0を有する場合に、指定された各ビットを値1にセットして、事前定義済みの成功値を返すアクションと、のうちの1つまたは複数を実施するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
前記要求が「1−ビットをカウントする」要求を含み、前記要求を実施する前記ステップが、
− 前記ビット配列の各ビットを読み取るアクションと、
− 値1を有するビットの数をカウントするアクションと、
− 前記カウントの結果を返すアクションと、のうちの1つまたは複数を実施するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項12】
前記要求が「最初の1−ビットをフェッチする」要求を含み、前記要求を実施する前記ステップが、
− 前記ビット配列の各ビットをインデックス0から順次読み取るアクションと、
− 値1を有する最初のビットが見つかった場合に、前記見つかった最初のビットのインデックスを返し、そうでない場合に、事前定義済みの失敗値を返すアクションと、のうちの1つまたは複数を実施するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項13】
前記要求が「N番目の1−ビットをフェッチする」要求を含み、前記要求がNの値を提供し、前記要求を実施する前記ステップが、
− 前記ビット配列の各ビットをインデックス0から順次読み取るアクションと、
− 値1を有するビットのN番目の発生が見つかった場合に、前記見つかったN番目の1−ビットのインデックスを返し、そうでない場合に、事前定義済みの失敗値を返すアクションと、のうちの1つまたは複数を実施するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれか一項に記載の方法の方法ステップをコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項15】
キャッシュ線中でビット配列を実装するためのシステムであって、メモリ・ストレージおよびコントローラを備え、
− 前記キャッシュ線中で前記ビット配列を構成することであって、前記ビット配列がビットの配列を含み、前記構成することがさらに、前記ビット配列中の各ビットの値を定義することを含む、前記構成することと、
− 前記コントローラによって前記ビット配列に対する操作の要求を受け取ることであって、前記要求が、前記メモリ・ストレージ中における前記キャッシュ線の場所と、前記要求を指定する情報とを示す、前記受け取ることと、
− 前記情報を使用して前記ビット配列に対する1つまたは複数のアクションを前記操作について識別することであって、前記1つまたは複数のアクションが前記コントローラ中でエンコードされる、前記識別することと、
− 前記要求を受け取るのに応答して、前記1つまたは複数のエンコードされたアクションを実行することによって前記要求を実施することと、を行うように構成されたシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピューティング・システムに関し、より詳細には、キャッシュ線中でビット配列を実装するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのマルチスレッド化されたコンピュータ・システムは、種々の規模の会社にとって、より重要な技術の1つになる。これらは、コンピューティング・ハードウェア・プラットフォームの計算効率およびフレキシビリティを高める。マルチスレッド化されたコンピュータ・システム上でのマルチスレッド化された操作は、ビット配列の個々のビットに対して論理演算を実施する、ビット単位の原子的メモリ操作(AMO: Atomic MemoryOperations)を含むことがある。このようなAMOは、ストアのような操作であるstoreAND、storeOR、storeXOR、および、ロードのような操作であるfetchAND、fetchOR、fetchXORを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の実施形態の目的は、改善された方法、コンピュータ・システム、およびコンピュータ・プログラム製品を提供することである。この目的は、独立請求項の主題によって解決される。従属請求項に、有利な実施形態が記載される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書において使用されるような原子的メモリ操作(AMO)は、共有データに対するリード−モディファイ−ライト(read-modify-write)操作を指す。AMOは、あるスレッドのリード−モディファイ−ライト操作が別のスレッドによる干渉なしで実施されるという意味で、原子的である。言い換えれば、スレッドまたはプロセッサが共有データにアクセスする(例えば同時にアクセスする)場合、各リードまたはライトまたはAMOアクセスは、別のアクセスからの干渉なしで、原子的に実施される。
【0005】
一態様では、本発明は、メモリ・ストレージとコントローラとを備えるメモリ・システムのキャッシュ線中でビット配列を実装するための方法に関する。
【0006】
方法は、キャッシュ線中でビット配列を構成するステップを含み、ビット配列はビットの配列を含み、構成するステップはさらに、ビット配列中の各ビットの値を定義するステップを含む。方法はまた、コントローラによってビット配列に対する操作の要求を受け取るステップを含み、要求は、メモリ・ストレージ中におけるキャッシュ線の場所と、要求を指定する情報とを示す。方法はまた、コントローラ(206)によって、この情報を使用して、ビット配列に対する1つまたは複数のアクションを操作について識別するステップを含み、1つまたは複数のアクションは、コントローラ中でエンコードされる。方法はまた、要求を受け取るのに応答して、1つまたは複数のエンコードされたアクションを実行することによって要求を実施するステップを含む。
【0007】
ビット配列は、個々のビットを記憶するデータ構造である。すなわち、各配列要素は、単一のビットに対応する。ビット配列の各要素は、2つの値0と1のうちの一方を記憶する。ビット配列の各要素は、固有のインデックスによって識別される。通常、E個の要素を含むビット配列には、インデックス値0〜(E−1)が使用される。
【0008】
ビット配列を実装することは、ビット配列の個々のビットならびに一群のビットに対してビット単位の論理演算を実施するために、キャッシュ線の少なくとも一部にアクセスするのを可能にすることができる。例えば、ビット配列の各ビットは、メモリ・システムを備えるコンピュータ・システムのリソースのインスタンスを表すことができる。このビット配列に対する操作は、例えば、ユーザ(例えばスレッド)が、対応する1つまたは複数のビットの値を1にセットすることによって原子的にこの1つまたは複数のリソース・インスタンスの「所有者」になるのを可能にすることができる。
【0009】
例えば、ビット配列の各ビットは、複数のスレッドによって共有されるロックのセット中のロックを表すことができる。このビット配列に対する操作は、例えば、スレッドが、高性能に、かつ低プログラミング労力で、複数のロックを原子的に獲得するのを可能にすることができる。
【0010】
例えば、ビット配列の各ビットの1または0の値は、優先キュー中の特定の要素の有無を表すことができる。このような優先キューは、E個までの固有の要素を有し、各要素は、ビット配列の各インデックスに対応するように、0〜E−1の番号が付いた固有の優先順位を有する。
【0011】
これらの特徴は、同時スレッドの場合には特に、従来の方法と比較して、ビット配列に対するより高いレートの操作を可能にできるので有利であろう。これは、ビット配列に対する操作が、他のデータ構造に対する従来の操作よりも速い単純な操作となり得るという事実によるものであろう。
【0012】
これらの特徴は、ビット配列を、複数のスレッドによって同時データ構造として使用するのを可能にすることができる。例えば、要求された操作は、AMOとすることができる。受け取られた要求は、ビット配列に対する操作を求める、複数のスレッドからコントローラによって受け取られた複数の同時要求のうちの1つとすることができる。受け取られた同時要求は、順次実施されるものとすることができる。コントローラは、このような複数の同時スレッドを実施および管理するように適合されたものとすることができる。コントローラは、メモリ・アクセス要求を受け入れる受信機と、返答を返す送信機とを備えることができ、それぞれは、複数の同時スレッドのメモリ・アクセスに応じるために、先入れ先出しバッファ(FIFO)を備えることができる。
【0013】
これらの特徴は、例えば、この要求など、ビット配列にアクセスする要求を複数のスレッドが同時に発行するマルチスレッド化されたアプリケーションで、複数のユーザまたはスレッドがビット配列を利用するための単一のインタフェースを提供することができる。
【0014】
別の利点は、メモリ・システムが、従来の原子的メモリ操作を超えた新しい原子的メモリ操作を実装してビット配列を使用できることであろう。例えば、AMOは、プロセッサ・ストアまたはロード命令の変形とすることができる。
【0015】
要求される操作は、キャッシュ線のアドレスのみを必要とすればよく、ビット配列の要素のアドレスを必要としない。
【0016】
一実施形態によれば、要求は、「最初の0−ビットをフェッチしてセットする」要求を含む。要求を実施するステップは、ビット配列の各ビットをインデックス0から順次読み取るアクションと、値0を有する最初のビットが見つかった場合に、見つかった最初のビットのインデックスを返して、見つかった最初のビットの値を1にセットし、そうでない場合に、事前定義済みの失敗値を返すアクションと、のうちの1つまたは複数を実施するステップを含む。
【0017】
0−ビットという用語は、値0を有するビットを指す。1−ビットという用語は、値1を有するビットを指す。
【0018】
E個の要素を含むビット配列の場合、「最初の0−ビットをフェッチしてセットする」要求は、0〜E−1のうちのインデックス値を返す。ビット配列中に0−ビットが存在しない場合は、事前定義済みの失敗値は、有効なインデックスに対応しないものとすることができる。例えば、失敗値は、E、すなわちビット配列のビット数であってよい。
【0019】
他のビット単位AMOによってキャッシュ線にアクセスすることもできる。例えば、storeAND()のようなビット単位AMOが、128バイト・キャッシュ線内の8バイト・ワードをアドレス指定して修正する。例えば、スレッドが、「最初の0−ビットをフェッチしてセットする」要求を発行して、値0を有する最初のビットのインデックスに対応するリソースを得る。スレッドは、リソースを使用した後、キャッシュ線中の適切なワードに対してstoreAND()操作を発行して、このビットを値0にセットし、したがってリソースを再び利用可能にする。このように、ビット配列を、メモリ・ページ、inode、ディスク・セクタなどの割振りに使用することができる。
【0020】
一実施形態によれば、要求は、「最後の0−ビットをフェッチしてセットする」要求を含み、ビット配列はE個の要素を含む。要求を実施するステップは、ビット配列の各ビットをインデックスE−1から順次読み取るアクションと、ビット配列の、値0を有する最後のビットが見つかった場合に、最後のビットのインデックスを返して、この最後のビットの値を1にセットし、そうでない場合に、事前定義済みの失敗値を返すアクションと、のうちの1つまたは複数を実施するステップを含む。
【0021】
一実施形態によれば、要求は、「1−ビットをカウントする」要求を含む。要求を実施するステップは、ビット配列の各ビットを読み取るアクションと、値1を有するビットの数をカウントするアクションと、カウントの結果を返すアクションと、のうちの1つまたは複数を実施するステップを含む。例えば、このような要求は、ポピュレーション・カウント要求としても知られる。
【0022】
一実施形態によれば、要求は、「孤立した0−ビットをフェッチしてセットする」要求を含む。要求を実施するステップは、ビット配列を読み取って、0値を有するビットの、0個以上の連続的なシーケンスを決定するアクションと、見つかったシーケンスが0個の場合に、事前定義済みの失敗値を返し、そうでない場合に、1つまたは複数の連続的なシーケンスをそれらのビット数に基づいてランク付けし、1つまたは複数の連続的なシーケンスのうちで最小数のビットを有する連続的なシーケンスのビットを選択し、選択されたビットのインデックスを返し、選択されたビットの値を1にセットするアクションと、のうちの1つまたは複数を実施するステップを含む。
【0023】
これは、他の同時操作によって使用されるかもしれない可能な最長の0の連続を保存することができるので、有利であろう。これは、ビット配列が、メモリ・ページやディスク・ブロックなど、何らかのリソースの連続的なインスタンスを表すときに、有利であろう。この場合、0の連続を保存することで、何らかの将来のリソース獲得のために連続的な利用可能なリソースが保存される。このような将来の獲得では、「N個の連続的な0−ビットをフェッチしてセットする」要求をビット配列に対して使用することができる。
【0024】
一実施形態によれば、要求は、「最初の1−ビットをフェッチする」要求を含む。要求を実施するステップは、ビット配列の各ビットをインデックス0から順次読み取るアクションと、値1を有する最初のビットが見つかった場合に、見つかった最初のビットのインデックスを返し、そうでない場合に、事前定義済みの失敗値を返すアクションと、のうちの1つまたは複数を実施するステップを含む。例えば、「最初の1−ビットをフェッチする」要求を使用して、ビット配列に基づく優先キュー中で優先順位の最も高い要素を識別することができる。
【0025】
一実施形態によれば、要求は、「最初の1−ビットをフェッチしてクリアする」要求を含む。要求を実施するステップは、ビット配列の各ビットをインデックス0から順次読み取るアクションと、値1を有する最初のビットが見つかった場合に、見つかった最初のビットのインデックスを返して、見つかった最初のビットの値を0にセットし、そうでない場合に、事前定義済みの失敗値を返すアクションと、のうちの1つまたは複数を実施するステップを含む。例えば、「最初の1−ビットをフェッチしてクリアする」要求を使用して、ビット配列に基づく優先キュー中で優先順位の最も高い要素を識別して除去することができる。
【0026】
一実施形態によれば、要求は、「最後の1−ビットをフェッチしてクリアする」要求を含み、ビット配列はE個の要素を含む。要求を実施するステップは、ビット配列の各ビットをインデックスE−1から順次読み取るアクションと、ビット配列の、値1を有する最後のビットが見つかった場合に、最後のビットのインデックスを返して、最後のビットの値を0にセットし、そうでない場合に、事前定義済みの失敗値を返すアクションと、のうちの1つまたは複数を実施するステップを含む。例えば、「最後の1−ビットをフェッチしてクリアする」要求を使用して、ビット配列に基づく優先キュー中で優先順位の最も低い要素を識別して除去することができる。
【0027】
一実施形態によれば、要求は、「N番目の1−ビットをフェッチする」要求を含み、要求は、Nの値を提供する。要求を実施するステップは、ビット配列の各ビットをインデックス0から順次読み取るアクションと、値1を有するビットのN番目の発生が見つかった場合に、見つかったN番目の1−ビットのインデックスを返し、そうでない場合に、事前定義済みの失敗値を返すアクションと、のうちの1つまたは複数を実施するステップを含む。例えば、要求がNに対して値1を提供する場合は、要求は、「最初の1−ビットをフェッチする」要求と等価である。例えば、4つのスレッドがあるシナリオでは、「N番目の1−ビットをフェッチする」要求により、各スレッドが、優先キュー中の4つの上位要素の1つを識別することができる。
【0028】
一実施形態によれば、要求は、「N番目の1−ビットをフェッチしてクリアする」要求を含み、要求は、Nの値を提供する。要求を実施するステップは、ビット配列の各ビットをインデックス0から順次読み取るアクションと、値1を有するビットのN番目の発生が見つかった場合に、見つかったN番目の1−ビットのインデックスを返して、見つかったビットの値を0にセットし、そうでない場合に、事前定義済みの失敗値を返すアクションと、のうちの1つまたは複数を実施するステップを含む。例えば、性能の異なる2つのスレッドが優先キュー中の要素を処理する場合、速いスレッドおよび遅いスレッドが、Nに対して値1および2をそれぞれ提供すれば、アプリケーション性能目標が最もよく満たされるであろう。
【0029】
一実施形態によれば、要求は、「孤立した1−ビットをフェッチしてクリアする」要求を含む。要求を実施するステップは、ビット配列を読み取って、1の値を有するビットの、0個以上の連続的なシーケンス決定するアクションと、見つかったシーケンスが0個の場合に、事前定義済みの失敗値を返し、そうでない場合に、1つまたは複数の連続的なシーケンスをそれらのビット数に基づいてランク付けし、最小数のビットを有する連続的なシーケンスのビットを選択し、選択されたビットのインデックスを返し、選択されたビットの値を0にセットするアクションと、のうちの1つまたは複数を実施するステップを含む。
【0030】
一実施形態によれば、要求は、「N個の連続的な0−ビットをフェッチしてセットする」要求を含む。要求を実施するステップは、ビット配列を読み取って、0の値を有するN個のビットの、0個以上の連続的なシーケンスを決定するアクションと、見つかったシーケンスが0個の場合に、事前定義済みの失敗値を返し、そうでない場合に、1つまたは複数の連続的なシーケンスのうちで事前定義済みの条件を満たすシーケンスを選択し、選択されたシーケンスの最初のビットのインデックスを返し、選択されたN個のビットを値1にセットするアクションと、のうちの1つまたは複数を実施するステップを含む。
【0031】
これは、例えば、スレッドがN個のリソースのシーケンスの所有権を原子的に獲得するのを可能にすることができる。ビット配列中にN個の連続的な0−ビットが存在しない場合は、事前定義済みの失敗値が返されてよい。このようなリソース・シーケンスは、メモリ・ページ、inode、ディスク・セクタなどの割振りの際に使用することができる。
【0032】
一実施形態によれば、事前定義済みの条件は、シーケンスがビット配列の最初のN個の連続的なビットを含むこと、を含む。一実施形態によれば、ビット配列を循環バッファとして扱うことができ、したがって、N個のビットの連続的なシーケンスは、ビット配列の始めの連続的なシーケンスと、ビット配列の終わりの連続的なシーケンスとからなるものとすることができる。
【0033】
一実施形態によれば、要求は、「N個の指定された0−ビットをフェッチしてセットする」要求を含む。要求を実施するステップは、ビット配列を読み取って、指定されたインデックスにある指定されたビットを突き止めるアクションと、指定されたビットの少なくとも1つのビットが値1を有する場合に、事前定義済みの失敗値を返すアクションと、指定されたビットの各々が値0を有する場合に、指定された各ビットを値1にセットして、事前定義済みの成功値を返すアクションと、のうちの1つまたは複数を実施するステップを含む。これは、スレッドが複数のロックを原子的に得るのを可能にすることができる。
【0034】
「N個の指定された0−ビットをフェッチしてセットする」要求では、要求の中の1つまたは複数の値が、要求される0−ビットのインデックスを効率的に指定することができる。例えば、256個までの要素を含むビット配列の場合、要求は8バイト値を提供することができ、8バイトの各々はビット・インデックスを指定する。8ビット未満を指定するには、バイトのいくつかは同じインデックスを指定する。言い換えれば、S個の0−ビットを指定するには、8バイトは、S個の固有のインデックスを指定する。例えば、1024個までの要素を有するビット配列の場合、要求は64ビット値を提供することができ、最下位の60ビットは、それぞれ10ビットの6つのフィールドとして扱われ、6つのフィールドの各々はビット・インデックスを指定する。
【0035】
本発明の「指定されたN個の0−ビットをフェッチしてセットする」要求は、各プロセスまたはスレッドがロックの共有セットからの複数のロックを保持しなければならない場合の、細分性ロッキング(granular locking)の問題に対処する。この場合、セット中のロックの数は、ビット配列中のビットの数Eまでであり、セット中の各ロックには、0〜E−1の番号が付いているものとすることができる。本発明がなければ、細分性ロッキングは、微妙なロック依存性を生み出す可能性がある。この微妙さは、プログラマが知らずにデッドロックを導入することになる機会を増大させる可能性がある。したがって、本発明がなければ、ロックは、比較的入念な(オーバヘッド)ソフトウェア・サポートと、アプリケーション・プログラミングが厳格な約定を完全に厳守することとによってのみ、構成可能である(例えば、原子的にアイテムXをテーブルAから削除してXをテーブルBに挿入するために、複数の同時ロックを管理する)。
【0036】
それぞれロックされるべき、セットのオブジェクトの数がEよりも多い場合は、各オブジェクトを0とE−1との間の数にハッシュして、より粗いロック細分性の性能コストでビット配列の使用を可能にすることができる。
【0037】
例えば、ビット配列は、メモリ・システムの2つ以上のキャッシュ線中で実装されてよく、2つ以上のキャッシュ線は、隣接するキャッシュ線である。ビット配列に対する操作の要求は、2つ以上の隣接するキャッシュ線と、メモリ・システム中における2つ以上のキャッシュ線のうちの第1のキャッシュ線の場所とを示すことができる。
【0038】
別の態様では、本発明は、前述の実施形態のうちのいずれか1つの方法の方法ステップを実施するためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータ・プログラム製品に関する。
【0039】
別の態様では、本発明は、キャッシュ線中でビット配列を実装するためのシステムに関し、このシステムは、メモリ・ストレージおよびコントローラを備える。このシステムは、キャッシュ線中でビット配列を構成するように構成され、ビット配列はビットの配列を含み、構成することはさらに、ビット配列中の各ビットの値を定義することを含む。このシステムはまた、コントローラによってビット配列に対する操作の要求を受け取るように構成され、要求は、メモリ・ストレージ中におけるキャッシュ線の場所と、要求を指定する情報とを示す。このシステムはまた、この情報を使用して、ビット配列に対する1つまたは複数のアクションを操作について識別するように構成され、1つまたは複数のアクションは、コントローラ中でエンコードされる。このシステムはまた、要求を受け取るのに応答して、1つまたは複数のエンコードされたアクションを実行することによって要求を実施するように構成される。
【0040】
メモリ・システムは、キャッシュ階層中のレベルであってよく、したがって、コントローラが要求を実施すると、その結果、キャッシュ階層中のより低いレベルへのメモリ・システム・アクセスとなり、それによりメタデータおよび要素がメモリ・キャッシュ中で確立されるものとすることができる。メモリ・システムは2つ以上の部分に分離していてよく、ある部分におけるコントローラが、その部分におけるメモリを使用して動的配列データ構造を操作することができる。キャッシュ・レベルは2つ以上のユニットとして複製されてよく、コントローラは、キャッシュ・ユニット内の、基礎をなすキャッシュまたはメモリ・レベルの任意の部分にアクセスすることができる。
【0041】
本明細書において使用されるように、「コンピュータ可読ストレージ媒体」は、コンピューティング・デバイスのプロセッサによって実行可能な命令を記憶できる任意の有形ストレージ媒体を包含する。コンピュータ可読ストレージ媒体は、コンピュータ可読の非一時的なストレージ媒体と呼ばれる場合がある。コンピュータ可読ストレージ媒体はまた、有形のコンピュータ可読媒体と呼ばれる場合もある。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読ストレージ媒体はまた、コンピューティング・デバイスのプロセッサによってアクセス可能なデータを記憶することが可能であってよい。コンピュータ可読ストレージ媒体の例は、以下のものに限定されないが、フロッピー(R)・ディスク、磁気ハード・ディスク・ドライブ、固体ハード・ディスク、フラッシュ・メモリ、USBサム・ドライブ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、光ディスク、光磁気ディスク、および、プロセッサのレジスタ・ファイルを含む。光ディスクの例は、コンパクト・ディスク(CD)およびディジタル多用途ディスク(DVD)、例えば、CD−ROM、CD−RW、CD−R、DVD−ROM、DVD−RW、またはDVD−Rディスクを含む。コンピュータ可読ストレージ媒体という用語はまた、ネットワークまたは通信リンクを介してコンピュータによってアクセス可能な様々なタイプの記録媒体を指す。例えば、モデム、インターネット、またはローカル・エリア・ネットワークを介して、データを取り出すことができる。コンピュータ可読媒体に組み入れられたコンピュータ実行可能コードは、以下のものに限定されないが、ワイヤレス、ワイヤ線、光ファイバ・ケーブル、RFなど、またはこれらの任意の適切な組合せを含めた、任意の適切な媒体を使用して送信することができる。
【0042】
コンピュータ可読信号媒体は、例えばベースバンド中でまたは搬送波の一部として、コンピュータ実行可能コードが組み入れられた、伝搬データ信号を含むことができる。このような伝搬信号は、以下のものに限定されないが、電磁、光学、またはこれらの任意の適切な組合せを含めた、様々な形のいずれかをとることができる。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読ストレージ媒体でない任意のコンピュータ可読媒体であって、命令実行システム、装置、またはデバイスによって使用されるプログラムまたはそれらに関連して使用されるプログラムを通信、伝搬、または搬送できる任意のコンピュータ可読媒体とすることができる。
【0043】
「コンピュータ・メモリ」または「メモリ」は、コンピュータ可読ストレージ媒体の例である。コンピュータ・メモリは、プロセッサから直接にアクセス可能な任意のメモリである。「コンピュータ・ストレージ」または「ストレージ」は、コンピュータ可読ストレージ媒体のさらに他の例である。コンピュータ・ストレージは、任意の不揮発性コンピュータ可読ストレージ媒体である。いくつかの実施形態では、コンピュータ・ストレージはコンピュータ・メモリでもある場合があり、またはその逆の場合もある。
【0044】
本明細書において、「プロセッサ」は、プログラムまたは機械実行可能命令またはコンピュータ実行可能コードを実行できる、電子コンポーネントを包含する。「プロセッサ」を備えるコンピューティング・デバイスに言及する場合、これは、複数のプロセッサまたは処理コアを備える可能性があると解釈されるべきである。プロセッサは、例えば、マルチコア・プロセッサとすることができる。プロセッサはまた、単一のコンピュータ・システム内にあるかまたは複数のコンピュータ・システム間で分散された、プロセッサの集合を指す場合がある。コンピューティング・デバイスという用語もまた、1つまたは複数のプロセッサをそれぞれが備える複数のコンピューティング・デバイスの集合またはネットワークを指す可能性があると解釈されるべきである。コンピュータ実行可能コードは、同じコンピューティング・デバイス内にある場合のある、さらには複数のコンピューティング・デバイスにわたって分散されている場合のある、複数のプロセッサによって実行されることがある。
【0045】
コンピュータ実行可能コードは、本発明の一態様をプロセッサに実施させる機械実行可能命令またはプログラムを含むことができる。本発明の態様に関する動作を行うためのコンピュータ実行可能コードは、Java(R)、Smalltalk(R)、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、および、「C」プログラミング言語や類似のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含めた、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書かれて、機械実行可能命令にコンパイルされてよい。いくつかの事例では、コンピュータ実行可能コードは、高水準言語の形であるかまたは事前コンパイルされた形であるものとすることができ、機械実行可能命令をオンザフライで生成するインタープリタと共に使用されてよい。
【0046】
コンピュータ実行可能コードは、完全にユーザのコンピュータ上で実行されるか、スタンドアロン・ソフトウェア・パッケージとして部分的にユーザのコンピュータ上で実行されるか、部分的にユーザのコンピュータ上で実行され部分的にリモート・コンピュータ上で実行されるか、または完全にリモート・コンピュータもしくはサーバ上で実行される場合がある。後者のシナリオでは、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)もしくはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を含めた任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されてもよく、または、接続は、外部コンピュータに対して(例えば、インターネット・サービス・プロバイダを使用してインターネットを介して)行われてもよい。
【0047】
本発明の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラム製品の、フローチャート、説明、またはブロック図、あるいはそれらの全てに関して、本発明の態様を述べる。適切なときは、フローチャート、説明、またはブロック図、あるいはそれらの全ての、各ブロック、またはブロックの一部を、コンピュータ実行可能コードの形のコンピュータ・プログラム命令によって実装できることは理解されるであろう。さらに、相互排他的でないときは、異なるフローチャート、説明、またはブロック図、あるいはそれらの全ての中のブロックを組み合わせてもよいことも理解されたい。これらのコンピュータ・プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロック中で指定される機能/行為を実装するための手段をもたらすように、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに提供されて、マシンを生み出すことができる。
【0048】
これらのコンピュータ・プログラム命令はまた、コンピュータ可読媒体に記憶された命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロック中で指定される機能/行為を実装する命令を含む製造品を生み出すように、コンピュータ可読媒体に記憶され、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他のデバイスに、特定の方式で機能するよう指示することができる。
【0049】
コンピュータ・プログラム命令はまた、コンピュータまたは他のプログラム可能装置上で実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロック中で指定される機能/行為を実装するためのプロセスを提供するように、コンピュータ実装プロセスを生み出すべく、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他のデバイスにロードされ、コンピュータ、他のプログラム可能装置、または他のデバイス上で一連の動作ステップを実施させることができる。
【0050】
当業者には理解されるであろうが、本発明の態様は、装置、方法、またはコンピュータ・プログラム製品として具現化することができる。したがって、本発明の態様は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、または、ソフトウェアとハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形をとることができ、これらは全て、本明細書では「回路」、「モジュール」、または「システム」と一般に呼ばれる場合がある。さらに、本発明の態様は、コンピュータ実行可能コードを組み入れた1つまたは複数のコンピュータ可読媒体において具現化されるコンピュータ・プログラム製品の形をとることもできる。
【0051】
前述の実施形態の1つまたは複数は、組み合わせられた実施形態が相互排他的でない限り、組み合わせることができることを理解されたい。
【0052】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について、単なる例としてより詳細に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】メモリ中のキャッシュ線中でビット配列を実装するための方法を実行するように動作可能なシステム・アーキテクチャを示す図である。
図2】メモリ・システムの例示的なブロック図である。
図3】ビット配列に対する操作のシーケンスを示す図である。
図4】メモリ中のキャッシュ線中でビット配列を実装するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下では、図中で同様の番号が付された要素は、同様の要素を示すか、または等価な機能を実施する要素を示すかのいずれかである。機能が等価である場合、前に論じられた要素が必ずしも後の図でも論じられるとは限らない。
【0055】
図1に、コンピューティング・システム100中のコンピュータ・システム(またはサーバ)112が、汎用コンピューティング・デバイスの形で示されている。コンピュータ・システム112のコンポーネントは、以下のものに限定されないが、1つまたは複数のプロセッサまたは処理ユニット116と、メモリ・システム128と、メモリ・システム128を含めた様々なシステム・コンポーネントをプロセッサ116に結合するバス118とを含むことができる。
【0056】
コンピュータ・システム112は通常、様々なコンピュータ・システム可読媒体を備える。このような媒体は、コンピュータ・システム112によってアクセス可能な任意の利用可能な媒体とすることができ、揮発性と不揮発性の媒体、取外し可能と非取外し可能の媒体の両方を含む。
【0057】
メモリ・システム128は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)またはキャッシュ・メモリあるいはその両方など、揮発性メモリの形のコンピュータ・システム可読媒体を含むことができる。メモリ・システムは、1つまたは複数のアクティブ・バッファ付きメモリ・デバイスを含むことができる。アクティブ・バッファ付きデバイスは、複数のメモリ要素(例えばチップ)を備えることができる。アクティブ・バッファ付きメモリ・デバイスは、3次元(「3D」)メモリ・デバイスを形成するメモリの層を含むことができ、この場合、チップの個々の列が、処理ユニット116と通信するヴォールト(vault)を形成する。アクティブ・バッファ付きメモリ・デバイスは、複数の処理要素によって同時にアクセスできる区分を含むことができ、これらの区分は、ヴォールトを含めた(ただしこれに限定されない)、任意の適切なメモリ・セグメントとすることができる。
【0058】
処理ユニット116は、アプリケーションを実装するために、動的配列データ構造および関連するメタデータを利用して、メモリ・システムに要求を発行することができる。
【0059】
コンピュータ・システム112はまた、キーボード、ポインティング・デバイス、ディスプレイ124など、1つもしくは複数の外部デバイス114;ユーザがコンピュータ・システム112と対話できるようにする1つもしくは複数のデバイス;または、コンピュータ・システム112が1つもしくは複数の他のコンピューティング・デバイスと通信できるようにする任意のデバイス(例えば、ネットワーク・カード、モデムなど)、あるはそれらの全てと、通信することができる。このような通信は、I/Oインタフェース122を介して行うことができる。さらに、コンピュータ・システム112は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、一般ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、または公衆ネットワーク(例えばインターネット)、あるいはそれらの全てなど、1つまたは複数のネットワークと、ネットワーク・アダプタ120を介して通信することができる。図示のように、ネットワーク・アダプタ120は、バス118を介して、コンピュータ・システム/サーバ112の他のコンポーネントと通信する。
【0060】
図2に、メモリ・システム128の例示的なブロック図を詳細に示す。メモリ・システム128は、コントローラ206およびメモリ・ストレージ208を備える。メモリ・ストレージ208は、例えば、キャッシュまたはランダム・アクセス・メモリ(RAM)など、任意の適切な物理メモリとすることができる。
【0061】
コントローラ206は、バス118と通信するように構成された、要求210の受信機214、および返答212の送信機216を備え、受信機214および送信機216はそれぞれ、先入れ先出しバッファを備える。コントローラ206は、要求210に応答して、ストレージ208へのリード・アクセスおよびライト・アクセスを実施し、返答212を返すことができる。
【0062】
メモリ・ストレージ208は、1つまたは複数のキャッシュ線211を備える。キャッシュ線211へは、ビット配列としてアクセスすることができ、ビット配列はビット値0または1を含むことができる。ビット配列がキャッシュ線211中で実装されてよく、これは例えば、ビット単位の操作を使用してキャッシュ線の少なくとも一部にアクセスするために、キャッシュ線のこの少なくとも一部を構成することによって、行われる。
【0063】
述べたメモリ・システムの構造は、例えば、要求210など、キャッシュ線にアクセスする要求を複数のスレッドが同時に発行するマルチスレッド化されたアプリケーションで、複数のユーザまたはスレッドがビット配列を利用するための単一のインタフェースを提供することができる。
【0064】
ビット配列221に対する操作の要求210は、コントローラ206によって、この操作要求に対応するアクションを実行することで実施される。これらのアクションは、コントローラ中でエンコードされる。
【0065】
要求元またはユーザからの要求210は、コントローラ206の受信機214によってバス118から受け取られる。要求元は、アプリケーションを実行しているスレッド、例えば、AMOを実行しているスレッドとすることができる。要求210は、メモリ中におけるキャッシュ線の場所を示す。
【0066】
要求210は、ビット配列の全ての要素を0にセットするかまたは全ての要素を1にセットする操作要求など、ビット配列318に対する操作を求める任意の適切な要求とすることができる。これは、ビット配列の初期化を可能にすることができる。要求は、1にセットされたビットの数、最初の1−ビット、中間の1−ビット、または最初の遷移ビット(すなわち、先行0が1に変化するかまたはその逆のとき)を返す操作要求を含むことができる。要求はさらに、最初のブリップ(blip)全体を返してクリアする操作要求を含むことができる。例えば、配列00001101の場合、位置4および長さ2が返され、結果的な配列は00000001となる。中間の1−ビットは、配列中で前後に同数の1−ビットがあるビットを指す。
【0067】
通信218で、コントローラ206によって、ビット配列318のビットまたはビット・グループにアクセスすることができ、このアクセスは要求210の中の操作に基づく。要求210が「最初の0−ビットをフェッチする」要求である例では、通信218で読み取られた、値0を有する最初のビットの値が、コントローラ206によって返答212中でユーザに送信される。
【0068】
図3に、ビット配列(例えば211)に対する操作のシーケンスを説明する図を示す。ビット配列318.1は、固定数のビットを含む。記述を簡単にするために、ビット配列318.1はキャッシュ線の最初の24ビットを含むものとして示す。ビット位置は、行333に示すように、左から右にラベル付けされている。
【0069】
操作は、同時要求として、要求されてメモリ・システムのコントローラ(例えば206)によって受け取られてよく、以下のように順次、処理されてよい(例えば1つずつ)。操作の順序は任意とすることができる。
【0070】
シーケンスの操作301は、ビット配列318.1中で値0を有する最初のビットのインデックスを返してからこのビットを値1にセットするための、fetchAndSetFirst0Bit(cacheLineAddress)に対応する。このために、コントローラ206は、値0を有する最初のビット(すなわちインデックス00)が見つかるまで、ビット配列を、インデックス00を有するビットから順次読み取ることができる。次いで、コントローラは、インデックス00を返すことができる。次に、コントローラは、ビット00の値を1にセットし、この結果、ビット配列318.2となる。
【0071】
シーケンスの操作303もまた、ビット配列318.2中で値0を有する最初のビットのインデックスを返してからこのビットを値1にセットするための、fetchAndSetFirst0Bit(cacheLineAddress)に対応する。このために、コントローラ206は、値0を有する最初のビット(すなわちインデックス03)が見つかるまで、ビット配列を、インデックス00を有するビットから順次読み取ることができる。次いで、コントローラは、インデックス03を返すことができる。次に、コントローラは、ビット00の値を1にセットし、この結果、ビット配列318.3となる。
【0072】
シーケンスの操作305は、ビット配列318.3中の連続的な2つの0−ビットの最初のセットの最初のビットのインデックスを返してから、この2つのビットを値1にセットするための、fetchAndSetFirstNcontiguous0Bits(cacheLineAddress,2)に対応する。このために、コントローラ206は、値0をそれぞれが有する最初の連続的な2つのビット(すなわちインデックス06、07)が見つかるまで、ビット配列318.3を、インデックス00を有するビットから順次読み取ることができる。次いで、コントローラは、インデックス06を返すことができ、2つのビット06および07の値を1にセットし、この結果、ビット配列318.4となる。
【0073】
シーケンスの操作307は、ビット配列318.4中の連続的な4つの0−ビットの最初のセットの最初のビットのインデックスを返してから、この4つのビットを値1にセットするための、fetchAndSetFirstNcontiguous0Bits(cacheLineAddress,4)に対応する。このために、コントローラ206は、値0をそれぞれが有する最初の連続的な4つのビット(すなわちインデックス11〜14)が見つかるまで、ビット配列318.4を、インデックス00を有するビットから順次読み取ることができる。次いで、コントローラは、インデックス11を返すことができ、4つのビット11〜14の値を1にセットし、この結果、ビット配列318.5となる。
【0074】
シーケンスの操作309は、fetchAndSetNgiven0Bits(cacheLineAddress,3,x04090F)に対応する。第2の引数3は、3つのビットを0から1に変更できることを示す。第3の引数0x040911は、3つの所望のビットのインデックスが0x04、0x09、0x11==17であることを示す。次いで、コントローラは、ビット配列318.5からこれらの3つのビットの各々の値を読み取り、各ビットが値0を有するかどうか判定することができる。コントローラは、1を返して成功を示すことができ、3つのビットの各々の値を1にセットすることができ、この結果、ビット配列318.6となる。
【0075】
シーケンスの操作311は、fetchAndSetNgiven0Bits(cacheLineAddress,2,x0108)に対応する。第2の引数2は、2つのビットを0から1に変更できることを示す。第3の引数0x0108は、2つの所望のビットのインデックス0x01、0x08を示す。次いで、コントローラは、ビット配列318.6からこれらの2つのビットの各々の値を読み取り、各ビットが値0を有するかどうか判定することができる。この場合、2つのビットのうちの一方が値1を有する。コントローラは、ビット配列318.6の内容を変更せずに、事前定義済みの失敗値0を返して要求失敗を示すことができる。
【0076】
図4は、図1に示すメモリ・システムなどのメモリ・システムを操作して、キャッシュ線中で、例えばメモリ・システム中の単一のキャッシュ線中で、ビット配列を実装するための、例示的な方法およびシステムのフローチャートである。
【0077】
ステップ401で、キャッシュ線の少なくとも一部にビット配列としてアクセスできるように、キャッシュ線がメモリ中で構成される。例えば、1024個の要素を含むビット配列として、キャッシュ線にアクセスすることができる。
【0078】
ステップ403で、ユーザまたは要求元からの、ビット配列に対する操作の要求が、コントローラによって受け取られる。要求210は、操作に関するキャッシュ線のアドレス場所を提供する。要求を発行した要求元は、プロセッサ上で実行されているスレッドや、バッファ付きメモリ・スタックに含まれる処理要素や、ネットワーク・インタフェース・ロジックを経由してネットワークを介して通信するスレッドなど、任意の適切なユーザとすることができる。
【0079】
ステップ405で、コントローラは、この情報を使用して、ビット配列に対する1つまたは複数のアクションを、操作について識別する。1つまたは複数のアクションは、コントローラ中でエンコードされる。複数のアクションがコントローラ中でエンコードされてよい。1つまたは複数のアクションを識別するステップは、複数のアクションから1つまたは複数のアクションを選択するステップを含むことができる。
【0080】
ステップ407で、コントローラは、1つまたは複数のアクションを実行して要求を実施する。例えば、要求は、ビット配列中で値0を有する最初のビットのインデックスを返してからこのビットを値1にセットするための、「最初の0−ビットをフェッチしてセットする」要求を含むことができる。
【0081】
図示のように、ステップ407に続いて、コントローラは、次の要求210に応じるために待機し、ブロック403に戻る。
【0082】
最初の構成ステップ401は、最初の構成中に1回実施すればよく、ステップ403〜407は、操作を求める各要求がコントローラ206によって応じられるときに繰り返すことができる。
【符号の説明】
【0083】
100 コンピューティング・システム
112 サーバ
114 外部デバイス
116 プロセッサ
120 ネットワーク・アダプタ
122 I/Oインタフェース
124 ディスプレイ
128 メモリ・システム
206 コントローラ
208 メモリ・ストレージ
210 要求
211 キャッシュ線
212 返答
213 メタデータ・フィールド
214 受信機
215 要素フィールド
216 送信機
218 通信
220 通信
301 操作
303 操作
305 操作
307 操作
309 操作
311 操作
333 行
401 ステップ
403 ステップ
405 ステップ
407 ステップ
図1
図2
図3
図4