(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6333384
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】小さな孔を穿孔するシステム、孔を穿孔する方法、穿孔するための製品、およびさらなる穿孔の方法
(51)【国際特許分類】
B23B 41/00 20060101AFI20180521BHJP
B23K 26/382 20140101ALI20180521BHJP
F02M 61/18 20060101ALI20180521BHJP
B23P 23/04 20060101ALI20180521BHJP
B23B 35/00 20060101ALI20180521BHJP
B23B 39/18 20060101ALN20180521BHJP
【FI】
B23B41/00 K
B23K26/382
F02M61/18 360D
B23P23/04
B23B35/00
B23B41/00 J
!B23B39/18
【請求項の数】17
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-536740(P2016-536740)
(86)(22)【出願日】2014年12月3日
(65)【公表番号】特表2017-511754(P2017-511754A)
(43)【公表日】2017年4月27日
(86)【国際出願番号】US2014068327
(87)【国際公開番号】WO2015084934
(87)【国際公開日】20150611
【審査請求日】2016年8月2日
(31)【優先権主張番号】61/911,670
(32)【優先日】2013年12月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515249086
【氏名又は名称】マイクロルーション・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MICROLUTION INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ホネッガー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】オニク・バッタチャリヤ
(72)【発明者】
【氏名】グジェゴシュ・ノウォビルスキー
【審査官】
青山 純
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2002/0017511(US,A1)
【文献】
特開2009−033092(JP,A)
【文献】
特開平05−104366(JP,A)
【文献】
特開昭62−136327(JP,A)
【文献】
特開平09−122941(JP,A)
【文献】
特開2007−203332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 35/00
B23B 41/00 − 41/16
B23B 39/00 − 39/28
B23K 26/382
B23P 23/00 − 23/06
B23P 21/00
F02M 61/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小さな孔を穿孔するためのシステムであって、
(i)原部品を測定する測定ユニットと、(ii)第1の幅の第1の穴を穿孔するドリルユニットとを備える第1ステーションと、
第2ドリルユニットを備える第2ステーションと、
第1ステーションと第2ステーションを操作するコンピュータシステムと、を備え、
制御は、
第1ステーションに、(i)原部品の表面の測定および(ii)第1の穴の穿孔、のうちの少なくとも1つを実行させるステップと、
第2ステーションに、第2の穴を作成させるステップであって、第2の穴は、第1の穴の底部から部品の厚みの残りの部分を貫通する、ステップと、
を含み、
さらに、第1ステーションがドリルツールとともに動作するかどうか、あるいは、第1ステーションが測定ツールとともに動作するかどうかを決定する事前決定ステーションを備える、システム。
【請求項2】
少なくとも1つの部品保持・位置決めシステムをさらに備え、
部品保持・位置決めシステムは、
加工対象の部品を受け取るステップと、
部品を第1ステーションに提供するステップと、
部品を第2ステーションに提供するステップと、
部品を加工後に解放するステップと、
を実行する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
部品保持・位置決めシステムはさらに、第2ステーションの後かつ解放される前に部品を少なくとも1つの他のステーションに提供する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
1つ又は複数の部品保持・位置決めシステムのそれぞれは、複数の処理ステーションと相互作用可能に構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
少なくとも2つの部品保持・位置決めシステムをさらに備え、
当該部品保持・位置決めシステムは共線的であり重複した移動部分を有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
それぞれのステーションは、他のステーションとは独立して動作する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
少なくとも2つの部品保持・位置決めシステムをさらに備え、
当該部品保持・位置決めシステムは、少なくとも1つの共通の処理ステーションと相互作用する、請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
少なくとも2つの部品保持・位置決めシステムをさらに備え、
当該部品保持・位置決めシステムは互いに独立して動作する、請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
第1の穴を穿孔するステップは、回転ドリル処理を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
第2の穴を作成するステップは、レーザドリル処理を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
第1ステーションは、ドリルツールと測定ツールの両方を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
第1ステーションがドリルツールとともに動作するかどうか、あるいは、第1ステーションが測定ツールとともに動作するかどうかを決定するステップと、
(i)深さ測定ツールにより既存の第1の穴の深さを測定するステップ、あるいは、(ii)ドリルツールにより第1の穴を穿孔するステップ、のうちの1つのステップと、
レーザドリルツールにより第2の穴を穿孔するステップであって、第2の穴は、第1の穴の底部から部品の厚みの残りの部分を貫通する、ステップと、
を含む、穿孔方法。
【請求項13】
第1の穴は第1の直径を有し、第2の穴は第1の直径よりも短い第2の直径を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ドリルツールにより第1の穴を穿孔するステップは、回転ベースのドリル動作を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
コンピューティングデバイスによって実行されるとコンピューティングデバイスにステップを実行させるプログラム命令を記憶した非一時的コンピュータ読み取り可能媒体を含む製品であって、当該ステップは、
第1ステーションがドリルツールとともに動作するかどうか、あるいは、第1ステーションが測定ツールとともに動作するかどうかを決定するステップと、
(i)深さ測定ツールによる既存の第1の穴の深さの測定、(ii)ドリルツールによる第1の穴の穿孔、のうちの1つを実行するステップと、
レーザドリルツールにより第2の穴を穿孔するステップであって、第2の穴は、第1の穴の底部から部品の厚みの残りの部分を貫通し、第1の穴および第2の穴は、許容範囲内の同心度をもって同心状である、ステップと、
を含む、製品。
【請求項16】
第1の穴は第1の直径を有し、第2の穴は第1の直径よりも短い第2の直径を有する、請求項15に記載の製品。
【請求項17】
ドリルツールにより第1の穴を穿孔するステップは、回転ベースのドリル動作を含む、請求項15に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、2013年12月4日に出願された「デュアルステーションレーザ機」と題する米国仮出願第61/911、670号を参照して当該出願に基づく優先権を主張するものであり、当該出願は参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本明細書において指示がない限り、このセクションに記載した内容は本願の特許請求の範囲に対する先行技術ではなく、このセクションに含めることによって先行技術であるとは認められない。
【0003】
様々なアイテムの製造中において、プロセスの一部を自動化又は支援するために機械が使用される。正確な測定又は操作を実行するために、機械は例えばコンピュータ制御される。さらに、繰り返し一貫した方法でタスクを実行するために、機械が使用される。
【0004】
燃料噴射ノズルを無事に製造する過程で、厳格なプロセス特性に応じた孔の作成が含まれる場合がある。燃料噴射器の許容可能なパフォーマンスを実現するには、1つのピース部品から次のピース部品へのノズル流の変化を厳密に制御する必要がある。ノズルの各種パラメータは通常、非常に厳しい公差で制御される。プロセスは、孔の直径および位置並びに孔の作成に関する幾何学的精度(例えば円筒度)を制御する。さらにプロセスは、ノズル孔の異なる径の部分(ステップホールとフローホール)における同心度の公差を有することができる。プロセスはまた、ノズル孔(フローホール)の小径部の長さ並びに表面仕上げおよびエッジ品質の両方を厳密に制御する場合がある。さらに、システム操作の経済性を厳密に制御することが望ましい場合もある。システムの経済性の観点からは、システムは高い効率性および利用性を有してサイクル時間が短いことが望ましい場合がある。1つのピース部品モデルから次のモデルに切り替えるための切り替え時間が短いシステムが望ましい場合もある。さらに、開示されるシステムにおいて、ピース部品の設計変更に対する柔軟性並びに上流プロセスおよび下流プロセスの変更に対する柔軟性を高めることが望ましい場合もある。
【0005】
従来の既存の生産設備設計によれば、上述した特徴の全てではないがいくつかを達成することができる。設計によっては例えば、生産の経済性を犠牲にして良好なノズル流変化を達成する。その他の設計においては、切替時間と柔軟性を犠牲にして短いサイクル時間と高い効率性を達成する。
【発明の概要】
【0006】
本明細書には工作機械の実施形態が開示されている。通常の場合、工作機械は、小スケールかつ高精度のドリル作業を実行するように構成されている。本開示は、小さな孔を作成するための新規な工作機械システムを含む。本開示システムは燃料噴射ノズル用の孔あけ加工を行うために使用することができるが、その他の小孔用途にも適用することができる。当該システムが設計される小孔用途の特性には、2つ以上の直径を有する孔が含まれる。部品は例えば、大きな直径の孔と小さな直径の孔とを有し、大きな直径の孔は、部品の厚みの一部を貫通し、小さな直径の孔は、大きな直径の孔の底部から部品の厚みの残りの部分を貫通する。燃料噴射ノズルの場合には、大きな孔は「ステップホール」と呼ばれ、小さい孔は「フローホール」である。さらに本開示は、以下の任意のカテゴリの部品とともに使用することができる;カテゴリ(i)ステップホールとフローホールの両方を本開示装置を用いて生成する必要がある:カテゴリ(ii)ステップホールは上流プロセスにより生成され、本開示装置は部品を受け入れ、ステップホールを測定し、フローホールを生成する:カテゴリ(iii)ステップホールは使用されておらず、本開示装置は部品を受け入れ、原部品の表面を測定し、フローホールを生成する。
【0007】
開示される装置は、小さな孔を作成するための複数のステップを実行する単一の統合された機械である。開示される装置は、小さな孔を作成するに際して高い生産性および高精度の性能を発揮する。システムは以下の機能を兼ね備えている。まず、開示される装置は、複数の処理ステーションを含む。複数の処理ステーションは、流入(インフロー)および流出(アウトフロー)の材料(ピース部品)と、1つ又は複数のセンサ(ステップホール又は原部品の測定)ステーションと、1つ又は複数の切断(ステップホールの作成)ステーションと、1つ又は複数のレーザ穿孔(フローホールの作成)ステーションとを備える。開示される装置は、1つ又は複数のセンサ(ステップホール又は原部品の測定)ステーション若しくは切断(ステップホールの作成)ステーションと、1つ又は複数のレーザ穿孔(フローホールの作成)ステーションとの組み合わせと相互作用可能な1つ又は複数の部品保持・位置決めシステムを備える。さらに、開示される装置は、流入および流出の材料(ピース部品)および1つ又は複数の部品保持位置決めシステムと相互作用可能な1つ又は複数のロボット部品搬送システムを備える。さらに、開示される装置は、必要な電気的・制御用ハードウェアを備えてもよい。
【0008】
開示されるシステムはさらに、第1ステーションを備える。第1ステーションは、(i)原部品の表面又は孔の深さを測定するように構成された測定ユニット、(ii)第1の幅を有する孔を穿孔するように構成されたドリルユニット、のうちの少なくとも1つを有する。システムはまた、第2穿孔ユニットを有する第2ステーションを備える。システムはまた、第1ステーションと第2ステーションを操作するように構成されたコンピュータシステムを含む。第1ステーションの制御には、(i)原部品又は孔の深さの測定、(ii)孔の穿孔、のうちの少なくとも1つを第1ステーションに実行させることが含まれる。第2ステーションの制御には、スルーホールの作成を第2ステーションに実行させることが含まれる。スルーホールは第2の幅を有し、第2の幅は第1の幅よりも小さい。
【0009】
穿孔する方法も開示される。本方法は、深さ測定により既存の特徴の深さを測定するステップと、レーザドリルツールにより原表面にステップホールの幅内のスルーホールを穿孔するステップとを含む。
【0010】
製品も開示される。本製品は、コンピューティングデバイスによって実行されるとコンピューティングデバイスに動作を実行させるプログラム命令が記憶された非一時的コンピュータ読み取り可能媒体を含む。動作には、深さ測定により既存の特徴の深さを測定するステップ、および/又は、ドリルツールによりステップホールを穿孔するステップ、レーザドリルツールにより原表面にステップホールの幅内のスルーホールを穿孔するステップが含まれる。
【0011】
穿孔する別の方法も開示される。本方法は、ドリルツールによりステップホールを穿孔するステップと、レーザドリルツールによりステップホールの幅内のスルーホールを穿孔するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】本開示装置とともに使用される例示的な部品ピックアップユニットを示す図
【
図4】本開示装置とともに使用される例示的なコンピューティングデバイスを示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書には、小スケールかつ高精度のドリル(穿孔)作業を実行するように構成された工作機械の実施形態が開示される。前述したように、本開示のシステムは、燃料噴射ノズル用の孔あけドリルを行うために使用することができるが、その他の小孔用途にも適用することができる。当該システムが設計されるいくつかの特定の小孔用途には、少なくとも2つの直径を有する孔が含まれる。いくつかの実施形態では、大きな孔は「ステップホール(step-hole)」と呼ばれ、小さい孔は「フローホール(flow-hole)」と呼ばれる。
【0014】
図1Aは、本開示に基づく例示的なデバイス100を示す。開示されるマルチステーションレーザ機械は、複数の特徴を組み合わせた完結式生産システムである。いくつかの実施形態では、システムは、流入・流出システム110を特徴とする。流入・流出システム110は、システムに対する原材料(未処理のピース部品)の出入りを行う1つ又は複数の処理ステーションと、原材料を部品保持・位置決めシステムにロード又はアンロードするためのロボットシステム150とを備える。原材料には、その他の様々な機械で処理されたいくつかのピース部品が含まれてもよい。「原」材料とは、本開示の装置および/又は方法によって未だ処理されていないことを意味する。
【0015】
様々な実施形態では、システム100はさらに、原部品/ステップホール測定ステーションおよび/又はステップホール作成ステーションである第1ステーション120を備える。ステーション120が原部品/ステップホール測定ステーションである場合には、システムは少なくとも1つの移動ステージ136を備え、当該移動ステージ136はセンサの位置決めを提供するとともに、原部品又はステップホールの深さおよび/又は位置を測定する1つ又は複数のセンサ(
図1Aでは図示を省略)を提供する。ステップホールは、様々な方法で測定することができる。いくつかの実施形態では、原部品又はステップホールを測定するために光学系が使用される。その他の実施形態では、物理的な測定デバイスを用いて原部品又はステップホールを測定する。さらに別の実施形態では、その他の原部品/ステップホール測定デバイスが使用される。原部品又はステップホールを測定する具体的な方法は特定の実施形態に応じて、変更することができる。本明細書で言及されていないものを含めて本開示の範囲内で任意の種類の測定システムを使用することができる。
【0016】
ステーション120がステップホール作成ステーションである場合、システムは少なくとも1つの移動ステージ136を備え、当該移動ステージ136はスピンドルの位置決めを行うものであって、ステップホールを作成するための1つ又は複数のスピンドル(例えばスピンドル132)あるいはその他のデバイスと、ステップホールを測定するための付加的なセンサとを提供する。ステップホールは、ピース部品の物理的な穿孔によって作成することができる。回転ベースのドリルツールにより物理的な穿孔を行ってもよい。その他の実施形態においては、孔を作成するためのレーザ又は他の手段によりステップホールが作成される。
【0017】
システム100はさらに、少なくとも1つのフローホール(flow-hole)作成ステーション130を備える。フローホール作成ステーション130は、少なくとも1つの移動ステージ136を備え、当該移動ステージ136はレーザの位置決めを行うものであって、フローホールを作成するための1つ又は複数のレーザ122と、フローホールを測定するための付加的なセンサ(図示せず)とを提供する。ピース部品に孔をあけるレーザ穿孔によりフローホールを作成することができる。「穿孔(ドリル)」という用語は、「レーザ」との対比で用いられるが、フローホールが作成される際の実際の現象はピース部品にレーザが当たることによる融解、蒸発および/又は冷却アブレーションの組み合わせである。その他の実施形態では、フローホールを作成するために回転ドリルなどの別の手段が使用される。
【0018】
システム100はさらに、部品の保持および位置決めを行うように構成された少なくとも1つのアセンブリ170を備える。いくつかの実施形態では、システムは、部品の保持および位置決めを行うように構成された2つ以上のアセンブリ170(第2アセンブリ180として示される)を備える。それぞれの部品保持・位置決めアセンブリ170は、部品の位置決めと部品の保持を行う少なくとも1つの移動ステージ136を備える。部品保持・位置決めアセンブリはさらに、部品保持・位置決めシステムへの材料のロード・アンロードを行うためのロボットシステムと、少なくとも1つのフローホール作成ステーションと、1つ又は複数の測定/ステップホール作成ステーションとしてリストされている複数のシステムのうちの少なくとも1つと、インタフェースする能力を有してもよい。いくつかの実施形態では、システムは、共線的かつ重複した移動部分を有する2つ以上の部品固定・位置決めアセンブリを含む設計を備える。
【0019】
システム100はさらに、第2ホール測定ステーション140を備える。第2ホール測定ステーション140は、ステップホールとスルーホール又はその他の特徴の両方を測定するように構成される。第2ホール測定ステーション140は、ピース部品が必要な大きさおよび許容範囲を有することを確保するための確認測定を実行するように構成される。第2ステーション140は、システム120およびシステム130と並列に動作するように構成されてもよい。
【0020】
システムは、プリズム状のモノリシックベース160を備える。モノリシックベース160は、少なくとも2つの直交する面を有し、当該面には、1つ又は複数の測定/ステップホール作成ステーション、および/又は、部品保持・位置決めアセンブリに対して垂直な1つのフローホール作成ステーションが据え付けられる。ステップホール作成システムの場合には、開示されるシステムは、スピンドル内において切削ツールを自動的に置換することを可能にするツール交換システム134を備えてもよい。システムはまた、破片(廃材)管理システム(図示せず)を備えてもよい。システムはさらに、囲い/カバーを備えてもよい。システムはさらに、必要な電気的・制御用ハードウェアを含んでもよい。
【0021】
図1B、1Cは、本開示に基づく例示的な装置である。
図1B、2Bは、
図1Aに関連して説明したものと同様の構成要素の異なる外観および配置を示す。同様に、
図2A、2Bは、本開示に基づく例示的な装置である。
図2Aは、処理ステーション130の下方に配置される部品保持・位置決めシステム190(あるいは部品保持・位置決めシステム170又は180)の拡大図を示す。
図2Aは、レーザドリルヘッド122を示す。
図2Bは、処理ステーション120又は140の下方に配置される部品保持・位置決めシステム170/180/190の拡大図を示す。
図2Bの場合には、処理ステーションには、2つの測定デバイス、すなわち共焦点測定センサ128および光学カメラ測定センサ126が含まれている。
図2Bはさらに、移動ステージ124を示す。
【0022】
図3は、開示されるデバイスで使用するための例示的な部品ピック(pick)ユニットである。
図3に示されるように、部品ピックユニット150は、原部品が150から170/180/190に移動されているときに、部品保持・位置決めシステム170/180/190の上に配置されている。部品ピックユニットは、本開示システムにおいて各種ピース部品を移動させるために、本開示デバイスと共に使用することができる。
【0023】
個々のピース部品を処理するための操作方法の一例は以下の通りである。これは本開示の内容の中で使用可能な方法の一例に過ぎない。第1に、ピース部品は、流入・流出システムにロードされる。その後、ロボットアームなどのロボットが材料を取り出すとともに、取り出した材料をパーツ保持・位置決めシステム170などの部品保持・位置決めシステムのうちの1つに搬送する。その他の実施形態では、ピース部品は位置決めシステムに直接的にロードされる。材料が部品保持・位置決めシステムにロードされると、直接的に又はロボットを使用することにより、(ピース部品を含んでいる)部品保持・位置決めシステムはステーション120などの第1ステーションに移動される。第1ステーションは、測定ステーション又はステップホール作成ステーションのいずれか又は両方を含む。第1ステーションはその後、ピース部品を処理する。この処理には、原部品又はステップホールの測定並びにステップホールの作成(ドリル)のうちの少なくとも1つが含まれる。第1ステーションでの処理が完了した後、(未だにピース部品を含む)部品保持・位置決めシステムは、ステーション130などの第2処理ステーション(例えばフローホール作成ステーション)に移動する。第2処理ステーションはその後、ピース部品を処理する。第2処理ステーションは例えば、レーザを使用してピース部品にスルーホールを穿孔する。スルーホールは、ステップホールが存在する場合にはステップホールの直径よりも小さい直径を有するように穿孔されてもよい。第2処理ステーションがピース部品の処理を完了すると、完成したピース部品は、部品保持・位置決めシステムから流入・流出ロボットにアンロードされる。最後に、完成したピース部品は流入・流出システムからアンロードされる。
【0024】
別の例では、上記の開示ステップは、連動して動作し必要に応じて複数の処理ステーションと相互作用する複数のパーツ保持・位置決めシステムによって実行される。システムは例えば、複数の第1処理ステーションおよび複数の第2処理ステーションを備える。ピース部品はシステムに入力されると、ステップホールを測定又は穿孔するために複数の第1ステーションのうちの1つに移動される。第1ステーションが完了すると、ピース部品は、複数の第2処理ステーションのうちの1つに移動される。本実施形態では、それぞれの第1処理ステーションは、複数の第2処理ステーションのいずれかと共に使用することができる。しかしながら、他の実施形態では、それぞれの第1処理ステーションは、第1処理ステーションで処理されたピース部品が移動される特定の第2処理ステーションを有する。
【0025】
例示的なシーケンスチャートを以下の表1に示す。当該シーケンスチャートでは、2つのピース部品が同時に処理される。
【0027】
本開示は、測定/ステップホールステーションおよびフローホールステーションにおける負荷割合を均等化することによって、レーザシステムの利用率を最大化する複合システムを含む。システム設計は、ステップホールを有さない材料が流入する場合には、ステップホールとフローホールの両方の生成を組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、開示のシステム設計は、ステップホール測定センサをステップホール穿孔スピンドルに交換するだけで、流入する材料をステップホールの有無にかかわらず収容することができる。実施形態はさらに、材料のロードおよびアンロード、並びに、(ステップホール作成システムの場合には)ステップホールステーションのためのツールの変更の両方を扱うシステムを含む。
【0028】
図4はさらに、例示的な実施形態によるコンピューティングデバイス400のブロック図である。コンピューティングデバイス400は例えば、開示されるシステムに入力および/又は制御を提供するように構成されたユーザインターフェースを含む。コンピューティングデバイス400はまた、ユーザインターフェースモジュール401と、通信インタフェースモジュール402と、1つ又は複数のプロセッサ403と、データストレージ404とを備えることができ、これらの全ては、システムバス、ネットワーク又はその他の接続機構405を通じてリンクさせることができる。さらに、データストレージ404内のコンピュータ読み取り可能命令410は、本明細書に開示された機能をシステムに実行させるように、1つ又は複数のプロセッサ403によって実行されてもよい。
【0029】
コンピューティングデバイスは例えば、本明細書に開示された機能を実行するように機械加工ハードウェアを制御する命令で構成されてもよい。命令は例えば、ロボットアームに対して、材料を取るとともに、取った材料を部品保持・位置決めシステムのうちの1つに搬送するように制御する命令を含む。材料が部品保持・位置決めシステムにロードされると、命令により、システムは第1ステーションにピース部品を移動させる。命令は、第1ステーションにおけるステップホールの測定および穿孔のうちの少なくとも1つを含む。命令は、第1ステーションの処理が完了した後における第2処理ステーションへのピース部品の移動を含む。第2処理ステーションにおいて、命令により、レーザによってピース部品にスルーホールが穿孔される。第2処理ステーションがピース部品の処理を完了すると、命令により、完成したピース部品はパーツ保持・位置決めシステムから流入・流出ロボットへアンロードされる。
【0030】
本明細書に一般に記載されそして図面に示されるように、本開示の態様は幅広い範囲の異なる構成に配置、置換、組合せ、分離および設計されてもよく、これらの全てが本明細書で明示的に対象とされる。様々な態様および実施形態が本明細書に開示されているが、当業者にとってその他の態様および実施形態が明らかである。
【0031】
例示的な方法およびシステムが上記に記載されている。本明細書では、「例」および「例示的」という用語は「例、事例又は例示として機能する」ことを意味するものとして使用される。「例」又は「例示的」として本明細書に記載されている任意の実施形態又は特徴は、必ずしも他の実施形態や機能に対して優先される又は有利であるとは限らない。図面には参照符号が付されており、参照符号は図面の一部を構成する。図面において特段の記載がない限り、同様の符号は通常、同様の構成要素を特定するものである。本明細書に提示される内容の精神又は範囲から逸脱することなく他の実施形態が利用されてもよいし、他の変更がなされてもよい。本明細書に開示される様々な態様および実施形態は例示のためのものであり、限定を意図するものではなく、真の範囲および精神は、特許請求の範囲によって示される。