(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6333404
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】金属粉末の調製方法
(51)【国際特許分類】
B22F 9/24 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
B22F9/24 Z
B22F9/24 B
B22F9/24 E
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-559497(P2016-559497)
(86)(22)【出願日】2015年8月11日
(65)【公表番号】特表2017-508888(P2017-508888A)
(43)【公表日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】CN2015086610
(87)【国際公開番号】WO2016023461
(87)【国際公開日】20160218
【審査請求日】2016年6月17日
(31)【優先権主張番号】201410394624.6
(32)【優先日】2014年8月12日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516182052
【氏名又は名称】シュゾー スマート アドバンスト コーティング テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100071010
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 行造
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138438
【弁理士】
【氏名又は名称】尾首 亘聰
(74)【代理人】
【識別番号】100138519
【弁理士】
【氏名又は名称】奥谷 雅子
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100185535
【弁理士】
【氏名又は名称】逢坂 敦
(72)【発明者】
【氏名】ゴン、チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ、チョイロン
【審査官】
米田 健志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−098186(JP,A)
【文献】
特開2009−242913(JP,A)
【文献】
特開2012−193454(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/173245(WO,A1)
【文献】
特開平08−085807(JP,A)
【文献】
特表2013−540888(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0205950(US,A1)
【文献】
特開平09−095705(JP,A)
【文献】
特表2009−540111(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0028889(US,A1)
【文献】
特開2005−133135(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0093211(US,A1)
【文献】
特開2013−108121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 9/00〜9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属粉末を調製する方法であって、前記方法が、
(1)アンモニア含有金属錯塩溶液の調製工程であって、金属硝酸塩固体もしくは金属硫酸塩固体または前記金属硝酸塩固体もしくは前記金属硫酸塩固体のモル量とそれぞれ等量の金属硝酸塩液体もしくは金属硫酸塩液体を脱イオン水に溶解し、アンモニア水を添加し、前記溶液中の[NH3]:[金属イオン]=1:0.5〜5のモル比を保ち、十分に撹拌後、酸性添加物を、調製された前記アンモニア含有金属錯塩溶液基準で0.01質量%〜10質量%の量で添加し、そして前記溶解から前記酸性添加物の添加までの間、前記アンモニア含有金属錯塩溶液を30℃〜90℃に加熱する工程、
(2)ヒドロキシルアミン化合物含有溶液の調製工程であって、前記溶液が、工程(1)における[金属イオン]と前記溶液中の[ヒドロキシルアミン]とのモル比が1:0.1〜10に保たれるようなモル量のヒドロキシルアミン化合物固体を脱イオン水に投入し、十分に撹拌後、pH調節剤を添加してpHを2.5〜9.5に調節し、そして前記ヒドロキシルアミン化合物固体の投入から前記pH調節剤の添加までの間、前記溶液を30℃〜90℃に加熱することによって調製される工程、および
(3)前記アンモニア含有金属錯塩溶液および前記ヒドロキシルアミン化合物含有溶液を噴射し混合して、激しい撹拌下に還元反応を生じさせ、そして前記反応の完了後に遠心分離して、異なる粒子サイズを有する球形およびほぼ球形の金属粉末を得る工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記工程(1)におけるアンモニア含有金属錯塩溶液の調製方法が、調製された前記アンモニア含有金属錯塩溶液中の金属イオン含有量が10〜500g/Lであるという要件に従って、1質量%〜30質量%のアンモニア水を添加して、前記金属硝酸塩または金属硫酸塩の溶液を十分に撹拌し、次に酸性添加物を添加し、そして前記アンモニア水の添加から前記酸性添加物の添加までの間、前記溶液を30℃〜90℃に加熱して、後の使用に備えることを特徴とする、請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
前記工程(1)におけるアンモニア含有金属錯塩溶液の調製方法として、前記酸性添加物が、有機酸もしくはその金属塩またはそれらの混合物から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の調製方法。
【請求項4】
前記工程(1)におけるアンモニア含有金属錯塩溶液の調製方法として、前記有機酸もしくはその金属塩が、飽和脂肪酸およびその金属塩から、または同様に不飽和脂肪酸およびその金属塩から選ばれ、前記飽和脂肪酸およびその金属塩がCnH2n+1COOHおよびその金属塩から選ばれ、ここでn=1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16またはそれらの組み合わせであり、かつ前記金属塩がナトリウム塩またはカリウム塩から選ばれ、前記不飽和脂肪酸およびその金属塩がCnH2nCOOHおよびその金属塩から選ばれ、ここでn=10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれらの組み合わせであり、かつ前記金属塩がナトリウム塩またはカリウム塩から選ばれることを特徴とする、請求項3に記載の調製方法。
【請求項5】
前記工程(2)におけるヒドロキシルアミン化合物が、ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルアミン、硝酸ヒドロキシルアミンまたはそれらの混合物から選ばれることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項6】
前記工程(2)におけるpH調節剤が、無機塩基、無機酸またはそれらの塩から選ばれることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項7】
前記工程(2)で添加されるpH調節剤が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、硝酸もしくは硝酸アンモニウム、塩酸もしくは塩化アンモニウム、硫酸もしくは硫酸アンモニウムの溶液またはそれらの組み合わせから選ばれることを特徴とする、請求項6に記載の調製方法。
【請求項8】
前記工程(3)が、ポンプまたは圧縮空気によって生成された圧力を使用して、前記工程(1)および(2)で調製されたアンモニア含有金属錯塩溶液およびヒドロキシルアミン溶液を、微小孔を通して定量的に噴射し混合し、前記2種の溶液の噴射流量を0.2〜50L/分の範囲に調節し、10〜500rpmの撹拌速度の激しい撹拌下に反応させ、そして反応の完了後に遠心分離して、異なる粒子サイズを有する球形およびほぼ球形の金属粉末を得ることを特徴とする、請求項1に記載の調製方法。
【請求項9】
前記金属が銅、銀およびスズを包含することを特徴とする、請求項1に記載の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料技術の分野、特に金属粉末を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属粉末は、電子部品生産、電気めっき、電子産業の電池、化学触媒、宝飾品および他の産業において広い用途を有する。電子部品の小型化および高性能化に向けた発展に伴って、金属粉末の、焼結活性、分散性、球形度、結晶化度および他の性能に対して、より高い要件が求められている。現在のところ、金属粉末の調製法としては物理的および化学的方法が挙げられる。物理的方法は、微粒子化法、気相蒸発凝縮法、研磨法などを含み、化学的方法は、液相還元法、電気化学析出法、電気分解法などを含む。物理的方法における高コストおよび低収率の問題の故に、現在広く使用されている方法は化学的液相還元法であり、この方法では、金属は、金属含有塩溶液または金属酸化物から化学反応によって還元され、中国特許出願公開第1301205号「粉末冶金用途のための焼結活性金属および合金粉末ならびにその製造方法およびその使用」が例示される。中国特許第101597777号は、電気分解法によって金属酸化物または塩を金属に還元する方法を開示している。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、従来技術とは異なる、金属粉末の調製方法を提供することである。
【0004】
上記の目的を達成するために、本発明の技術的解決方法は金属粉末の調製方法を提供することであり、この方法は以下の工程を含むという点で特徴付けられる。
(1)アンモニア含有金属錯塩溶液の調製工程:金属硝酸塩固体もしくは金属硫酸塩固体または等量の金属硝酸塩液体もしくは金属硫酸塩液体を脱イオン水に溶解し、アンモニア水を添加し、この溶液中の[NH
3]:[金属イオン]=1:0.5〜5のモル比を保ち、十分に撹拌後、酸性添加物を、調製されたアンモニア含有金属錯塩溶液基準で0.01質量%〜10質量%の量で添加し、そしてその間、このアンモニア含有金属錯塩溶液を30℃〜90℃に加熱する工程、
(2)ヒドロキシルアミン化合物含有溶液の調製工程:金属イオン還元剤として使用されるこの溶液が、等量のヒドロキシルアミン化合物を脱イオン水に投入し、アンモニア含有金属錯塩溶液の金属含有量に従って、溶液中の[金属イオン]:[ヒドロキシルアミン]=1:0.1〜10のモル比を保ち、十分に撹拌後、pH調節剤を添加してpHを2.5〜9.5に調節し、そしてその間、この還元剤溶液を30℃〜90℃に加熱することによって調製される工程、および
(3)アンモニア含有金属錯塩溶液およびヒドロキシルアミン化合物含有溶液を噴射し混合して、激しい撹拌下に還元反応を生じさせ、そして反応の完了後に遠心分離して、異なる粒子サイズを有する金属粉末を得る工程。
【0005】
本発明の好ましい技術的解決方法では、工程(1)のアンモニア含有金属錯塩溶液の調製方法は、調製されたアンモニア含有金属錯塩溶液中の金属イオン含有量が10〜500g/Lであるという要件に従って、1質量%〜30質量%のアンモニア水を添加し、十分に撹拌後に酸性添加物を添加し、そしてその間、この溶液を30℃〜90℃に加熱することである。
【0006】
本発明の好ましい技術的解決方法では、工程(1)のアンモニア含有金属錯塩溶液の調製方法として、有機酸およびその金属塩から選ばれた酸性添加物が、反応の間、酸化還元反応速度および核形成速度を良好に制御することである。
【0007】
本発明の好ましい技術的解決方法では、工程(1)のアンモニア含有金属錯塩溶液の調製方法として、有機酸が、飽和脂肪酸およびその金属塩から、もしくは同様に不飽和脂肪酸およびその金属塩から、またはそれらの混合物から選ばれることである。飽和脂肪酸およびその金属塩は、飽和脂肪酸がC
nH
2n+1COOHから選ばれ、ここでn=1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16またはそれらの組み合わせであり、金属塩はナトリウム塩またはカリウム塩から選ばれる。不飽和脂肪酸およびその金属塩は、不飽和脂肪酸がC
nH
2nCOOHから選ばれ、ここでn=10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれらの組み合わせであり、金属塩はナトリウム塩またはカリウム塩から選ばれる。
【0008】
本発明の好ましい技術的解決方法では、工程(2)のヒドロキシルアミン化合物は、ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルアミン、硝酸ヒドロキシルアミンまたはそれらの混合物から選ばれる。
【0009】
本発明の好ましい技術的解決方法では、工程(2)のpH調節剤は、無機塩基、無機酸またはそれらの塩から選ばれる。
【0010】
本発明の好ましい技術的解決方法では、工程(2)で添加されたpH調節剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、硝酸もしくは硝酸アンモニウム、塩酸もしくは塩化アンモニウム、硫酸もしくは硫酸アンモニウムの溶液またはそれらの組み合わせから選ばれる。
【0011】
本発明の好ましい技術的解決方法では、工程(3)において、ポンプまたは圧縮空気によって生成された圧力を使用して、その前の工程で調製されたアンモニア含有金属錯塩溶液およびヒドロキシルアミン溶液を微小孔を通して定量的に噴射し混合し、これら2種の溶液の噴射流量を0.2〜50L/分の範囲に調節し、撹拌翼としてパドルまたはインペラを用いて10〜500rpmの撹拌速度の激しい撹拌下に反応させ、そして反応の完了後に遠心分離して、様々な種類の球形およびほぼ球形の銀粉末が得られる。
【0012】
本発明の好ましい技術的解決方法では、工程(3)において、分散剤溶液を30℃〜90℃の温度で、反応の間、0.2〜10L/分の滴下速度および0.1〜5Lの量で定量的に滴加する。
【0013】
本発明の好ましい技術的解決方法では、分散剤溶液の調製方法は、脱イオン水中に1種類以上の酸性ポリヒドロキシ化合物もしくはその塩化合物またはそれらの混合物を20〜100g/Lの含有量で溶解し、次に十分に撹拌後に、アミノ酸またはそのポリペプチド化合物を、調製された分散剤溶液基準で0質量%〜10質量%の量で添加する。
【0014】
本発明の好ましい技術的解決方法では、添加されるアミノ酸またはそのポリペプチド化合物は、メチオニン、グルタミン酸、アラニン、ゼラチンまたはそれらの組み合わせから選ばれる。
【0015】
本発明の好ましい技術的解決方法では、酸性ポリヒドロキシ化合物またはその塩化合物は、リン酸トリエチルヘキシル、ラウリル硫酸ナトリウム、メチルアミルアルコール、セルロース誘導体、ポリアクリルアミド、グアーガム、ポリエチレングリコール、脂肪酸ポリグリコールエステル、ビタミンおよびそれらの塩から選ばれる。
【0016】
本発明の好ましい技術的解決方法では、金属は銀、銅およびスズを包含する。
【0017】
本発明の好ましい技術的解決方法では、金属粉末は球形およびほぼ球形である。
【0018】
本発明の好ましい系の溶液の反応温度は30℃〜90℃であり、これによって反応が促進される。もちろん、温度が高すぎるかまたは低すぎると、反応の助けにならない。本発明のヒドロキシルアミン化合物溶液は、金属粉末の製造要件に応じてpHを2.5〜9.5に調節する。すなわち、pHがアルカリ領域にあると、製造された銀粉末は、より小さい粒子サイズを有し、D50が0.5〜1μmであり、pHが酸性領域にあると、製造された銀粉末は、より大きい粒子サイズを有し、D50が1.5〜2μmである。したがって、製造される金属粉末の粒子サイズの特定の要件にしたがって、製造工程において調節がなされることができる。
【0019】
本発明は以下の長所および恩恵を有する。
(1)本発明の方法で使用される還元剤溶液は、ヒドロキシルアミン化合物の新規な還元剤系であり、これは、2.5〜9.5のpHで、ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルアミン、硝酸ヒドロキシルアミンまたはそれらの混合物から選ばれ、アンモニア含有金属錯塩溶液中の金属粒子を金属粉末に迅速かつ確実に還元することができ、たとえば銀イオンを銀粉末に還元し、さらに形成された銀粉末が球形またはほぼ球形であることを確実なものにする。
(2)本発明の方法は、定量的に噴射し混合する工程を使用して、反応の間、分散剤溶液を滴加する。この方法は反応の間、金属粉末の分散性を良好に調節することができ、かつ製造工程中の金属粉末、たとえば銀粉末の凝集問題を解決することができ、金属粉末は0.1〜10μmの平均粒子サイズを有する。
(3)本発明の方法は、製造工程中の球形およびほぼ球形の金属粉末の反応速度を効果的に調節することができ、かつ核形成速度および分散性を良好に調節することができ、製造された球形またはほぼ球形の金属粉末は非常に良好な結晶化度、球形度、タップ特性および分散性を有する。
(4)本発明の製造方法は工業的生産に適用されることができ、たとえば銀粉末の大規模生産は50〜250kg/バッチに達することができ、これは銀粉末製造技術の現行の実験室規模の調製方法に比較して著しく有利である。
(5)本発明の製造方法は単純であり、安価な原料を使用し、製造工程を容易に調節することができ、反応を完全に達成することができ、さらに、様々な製品バッチに対して安定した製品品質を有し、このようにして、製品欠陥率を大幅に低減し、企業に相当な経済的利益をもたらす。その一方で、製造工程で生じた排水は、酸化処理、ろ過およびそれらの組み合わせ処理の後、造園用水として直接使用され、このようにしてクリーンな生産および用水リサイクルを実現する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】本発明の方法によって調製された金属粉末の粒子サイズ分布の概略図である。
【
図3】本発明の方法によって調製された球形銀粉末の電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明をさらに理解するために、本発明の好ましい解決方法が、特定の実施例を参照して以下に記載される。しかしながら、この記載は、本発明の特許請求の範囲を限定するものではなく、本発明の特徴および利点をさらに例示するために用いられていることが理解されなければならない。
【実施例1】
【0022】
(1)アンモニア含有銀錯塩溶液の調製:硝酸銀固体もしくは硫酸銀固体または等量の硝酸銀液体もしくは硫酸銀液体を脱イオン水に溶解し、アンモニア水を添加し、この溶液中の[NH
3]:[銀イオン]=1:0.5〜5のモル比を保ち、十分に撹拌後、有機酸およびその金属塩を、調製されたアンモニア含有金属錯塩溶液基準で0.01質量%〜10質量%の量で添加し、そしてその間、このアンモニア含有銀錯塩溶液を50℃〜85℃に加熱した。
(2)ヒドロキシルアミン化合物含有溶液の調製:この溶液が、等量の硫酸ヒドロキシルアミンを脱イオン水に投入し、アンモニア含有銀錯塩溶液の銀含有量に従って、溶液中の[銀イオン]:[ヒドロキシルアミン]=1:0.1〜5のモル比を保ち、十分に撹拌後、酸性または塩基性pH調節剤を添加してpHを2.5〜9.5に調節し、そしてその間、この還元剤溶液を50℃〜85℃に加熱することによって調製された。
(3)分散剤溶液の調製:1種類以上の酸性ポリヒドロキシ化合物もしくはその塩化合物またはそれらの混合物を20〜100g/Lの含有量で脱イオン水に投入し、この溶液を30℃〜90℃に加熱した。
(4)定量ポンプを使用して、アンモニア含有銀錯塩溶液およびヒドロキシルアミン化合物含有溶液を微小孔を通して定量的に噴射し混合し、激しい撹拌下に還元反応を生じさせ、その間、分散剤溶液を0.2〜10L/分の滴下速度で定量的に滴加し、そして反応の完了後に遠心分離して、異なる粒子サイズを有する銀粉末を得た。
【実施例2】
【0023】
400g/Lの銀を含有する300mLの硝酸銀溶液を2000mLの広口瓶に調製し、200mLのアンモニア水を20質量%の濃度で添加して銀−アンモニア溶液を得、添加物として0.7gの酢酸を添加し、そして65℃にまで加熱して、その後の使用に備えた。
【0024】
ヒドロキシルアミン含有溶液を別の2000mLの広口瓶に調製する工程として、50gの硫酸ヒドロキシルアミンおよび50gの硝酸ヒドロキシルアミンを500mLの脱イオン水に溶解し、炭酸カリウムを添加してpHを6.5〜8.0に調節し、そして50℃にまで加熱した。
【0025】
分散剤溶液を500mLの広口瓶に調製する工程として、15gの脂肪酸ポリグリコールエステルおよびグアーガムを300mLの脱イオン水に溶解し、1.5gのメチオニンを添加し、そして55℃にまで加熱した。
【0026】
上記の2つの調製された、銀−アンモニア溶液およびヒドロキシルアミン還元剤溶液を5000mLの広口瓶に250mL/分に調節された流量で、定量ポンプによって微小孔を通して定量的に噴射し混合し、20rpmの撹拌速度で撹拌を開始し、反応の間200mL/分に調節された滴下速度で分散剤溶液を滴加し、そして反応の完了後に遠心分離して0.1〜10μmの平均粒子サイズの球形またはほぼ球形の銀粉末を得た。
【実施例3】
【0027】
400g/Lの銀を含有する300mLの硝酸銀溶液を2000mLの広口瓶中に処方し、200mLのアンモニア水を20質量%の濃度で添加して銀−アンモニア溶液を得、添加物として0.2gのギ酸および0.5gのラウリン酸カリウムを添加し、そして65℃にまで加熱して、その後の使用に備えた。
【0028】
ヒドロキシルアミン含有溶液を別の2000mLの広口瓶中に処方する工程として、50gのヒドロキシルアミンおよび50gの硝酸ヒドロキシルアミンを500mLの脱イオン水に溶解し、水酸化カリウムを添加してpHを6.5〜8.5に調節し、そして35℃にまで加熱した。
【0029】
分散剤溶液を500mLの広口瓶に調製する工程として、15gのラウリル硫酸ナトリウムを300mLの脱イオン水に溶解し、1.5gのゼラチンを添加し、そして55℃にまで加熱した。
【0030】
上記の2つの調製された、銀−アンモニア溶液およびヒドロキシルアミン還元剤溶液を5000mLの広口瓶に250mL/分に調節された流量で、定量ポンプによって微小孔を通して定量的に噴射し混合し、20rpmの撹拌速度で撹拌を開始し、反応の間200mL/分に調節された滴下速度で分散剤溶液を滴加し、そして反応の完了後に遠心分離して0.1〜10μmの平均粒子サイズの球形またはほぼ球形の銀粉末を得た。
【実施例4】
【0031】
300g/Lの銅を含有する650mLの硫酸銅溶液を2000mLの広口瓶中に処方し、350mLのアンモニア水を20質量%の濃度で添加して銅−アンモニア溶液を得、0.5gのラウリン酸カリウムを添加し、そして65℃にまで加熱した。
【0032】
ヒドロキシルアミン含有還元剤溶液を別の2000mLの広口瓶中に処方する工程として、150gのヒドロキシルアミンを1000mLの脱イオン水に溶解し、0.2gの炭酸ナトリウムを添加してpHを6.5〜8.5に調節し、そして35℃まで加熱した。
【0033】
分散剤溶液を500mLの広口瓶に調製する工程として、25gのリン酸トリエチルヘキシルを250mLの脱イオン水に溶解し、1gのアラニンおよびグルタミン酸を添加し、そして55℃にまで加熱した。
【0034】
上記の2つの調製された、銅−アンモニア溶液およびヒドロキシルアミン溶液を5000mLの広口瓶に500mL/分に調節された流量で、定量ポンプによって微小孔を通して定量的に噴射し混合し、100rpmの撹拌速度で撹拌を開始し、反応の間200mL/分に調節された滴下速度で分散剤溶液を滴加し、そして反応の完了後に遠心分離して球形またはほぼ球形の銅粉末を得た。
【実施例5】
【0035】
大量生産
2000Lの調製タンクに250kgの硝酸銀固体を投入し、500Lの脱イオン水を投入し、十分に撹拌して溶解させた後、250Lのアンモニア水を15質量%の濃度で添加して銀−アンモニア溶液を得、添加物として200gのギ酸および500gのラウリン酸カリウムを添加し、そして65℃にまで加熱して後の使用に備えた。
【0036】
別の2000Lの調製タンクに800Lの脱イオン水を投入し、次に100kgのヒドロキシルアミンおよび50kgの硝酸ヒドロキシルアミンを添加して十分に溶解させ、500gの水酸化カリウムを添加してpHを6.5〜8.5に調節し、そして35℃にまで加熱した。
【0037】
500Lの調製タンク中で5kgのドデシル硫酸ナトリウムを100Lの脱イオン水に溶解させ、150gのゼラチンを添加し、そして55℃にまで加熱した。
【0038】
上記の2つの調製された、銀−アンモニア溶液およびヒドロキシルアミン還元剤溶液を反応タンク中で5L/分に調節された流量で、定量ポンプによって微小孔を通して定量的に噴射し混合し、120rpmの撹拌速度で撹拌を開始し、反応の間2L/分に調節された滴下速度で分散剤溶液を滴加し、そして反応の完了後に遠心分離して0.1〜10μmの平均粒子サイズの球形またはほぼ球形の銀粉末を得た。
【表1】
【0039】
本発明の技術的内容および技術的特徴が、上記のように開示された。しかしながら、当業者はなお、本発明の精神から逸脱することなく、本発明の教示および開示内容に基づいて様々な置換および改変をすることができるだろう。したがって、本発明の保護の範囲は、実施例に開示された内容に限定されてはならなくて、本発明から逸脱することなく様々な置換および改変を包含しなければならず、本特許出願の特許請求の範囲によって保護される。