特許第6333418号(P6333418)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6333418-拡張型椎体間融合装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6333418
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】拡張型椎体間融合装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   A61F2/44
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-574320(P2016-574320)
(86)(22)【出願日】2015年1月27日
(65)【公表番号】特表2017-508580(P2017-508580A)
(43)【公表日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】CN2015000046
(87)【国際公開番号】WO2015135374
(87)【国際公開日】20150917
【審査請求日】2016年10月25日
(31)【優先権主張番号】201410091642.7
(32)【優先日】2014年3月13日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516272319
【氏名又は名称】山東冠龍医療用品有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】申 維波
(72)【発明者】
【氏名】路 雪城
【審査官】 白川 敬寛
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第02/045628(WO,A1)
【文献】 特開2008−054710(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0172774(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張型椎体間融合装置において、
融合体と前記融合体内で前記融合体と軸方向にネジ山によって連結されるプッシュロッドを有し、前記融合体の垂直投影が面取りを持つ長方形であり、前記融合体の上部はベース部、下部はヘッド部であり、前記ベース部とヘッド部との間はインバーテッド歯部の一体型構造であり、前記ベース部の内部には軸線に沿ってネジ孔があり、前記プッシュロッドは前記ネジ孔内に有りながらネジ山と連結され、前記インバーテッド歯部は前記ベース部と連結される左右2つのインバーテッド歯部側壁で構成され、前記2つのインバーテッド歯部側壁間は中空であり、前記インバーテッド歯部にはΠ状のインバーテッド歯フレームが連結され、前記2つのインバーテッド歯部側壁の最上部とベース部の連結地点の両側にはインバーテッド歯フレームスライディング溝があり、前記2つのインバーテッド歯部側壁底部と融合体のヘッド部の連結地点の両側には側壁階段状の溝があり、前記融合体のヘッド部底面はアーチ型であり、前記インバーテッド歯フレームの最上面には前記融合体と同軸であるクランピングヘッド孔があり、前記インバーテッド歯フレームの両側壁外側にはインバーテッド歯があり、前記インバーテッド歯フレームの両側壁には対応するインバーテッド歯フレーム孔があり、前記インバーテッド歯フレームの両側壁の底段には前記インバーテッド歯部側壁の側壁階段状の溝とマッチングされるインバーテッド歯フレームヘッドがあり、前記プッシュロッド下部にはプッシュロッドクランピングヘッドがあり、前記インバーテッド歯フレームのクランピングヘッド孔は前記プッシュロッドクランピングヘッドを取り囲むように設けられ、前記プッシュロッドクランピングヘッドの軸線地点にはクランピングヘッドスルー溝があり、前記プッシュロッド内部では前記プッシュロッドの軸線に沿ってプッシュロッド軸孔が前記クランピングヘッドスルー溝と連結されていることを特徴とする拡張型椎体間融合装置。
【請求項2】
前記融合体のベース部の最上面にベース部スルー溝がさらにあることを特徴とする請求項1に記載の拡張型椎体間融合装置。
【請求項3】
前記プッシュロッドの上端には軸線に沿って内部六角形孔が設けられ、前記内部六角形孔の軸線は前記プッシュロッド軸孔の軸線と同一線上であることを特徴とする請求項1に記載の拡張型椎体間融合装置。
【請求項4】
前記インバーテッド歯フレームのインバーテッド歯フレーム孔は長方形であることを特徴とする請求項1に記載の拡張型椎体間融合装置。
【請求項5】
前記融合体に使用する材料は医療用チタニウム合金又は医療用非金属材料であることを特徴とする請求項1または2に記載の拡張型椎体間融合装置。
【請求項6】
前記プッシュロッドに使用する材料は医療用チタニウム合金又は医療用非金属材料であることを特徴とする請求項1または3に記載の拡張型椎体間融合装置。
【請求項7】
前記インバーテッド歯フレームに使用する材料は医療用チタニウム合金又は医療用非金属材料であることを特徴とする請求項1または4に記載の拡張型椎体間融合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療手術機械分野に関し、より詳しくは胸腰椎後方手術に使用される拡張型椎体間融合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
椎体間融合装置は脊椎外科手術において広範囲に応用されるものであって、椎体間切除術で脊椎間の空間を再建するのに主に使用される。従来技術において、本願と最も近い技術方案は、中国国家知識財産権国特許局で権限を与えた出願番号201120350285.3であり、その名称は拡張型椎体間融合装置の実用新案特許である。上記発明の技術方案では骨移植窓が不足して手術中に骨粒子を注入して骨移植を行ない難く、これに因り手術後に融合装置を椎体と融合させることが容易でないことから体内の異物になるおそれがあるので、手術リスクがあると言える。これは従来技術に存在する欠点でもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国実用新案特許出願番号201120350285.3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、拡張型椎体間融合装置という技術方案を提案することによって従来技術に存在する欠点を補う。また、本発明はベース部、インバーテッド歯部及びヘッド部で構成される融合体を利用し、前記融合体のベース部は融合体の軸線に沿ってプッシュロッドがあり、ネジ山によって融合体と連結され、融合体のインバーテッド歯部にΠ状のインバーテッド歯フレームが設けられ、前記インバーテッド歯フレームのインバーテッド歯フレームの最上面はプッシュロッドのプッシュロッドクランピングヘッドと連結される。前記構造は、手術で融合装置を椎体間内に設けるにおいて、プッシュロッドが回転進入する時にインバーテッド歯フレームを下に移動させ、インバーテッド歯フレームの両側壁が融合体のヘッド部両側に向けて開放され、椎体間の高さを調節することができ、プッシュロッド軸孔、クランピングヘッドスルー溝(through groove)及びインバーテッド歯孔から骨移植通路を形成して骨粒子を注入するので、手術後に融合装置が椎体と共に融合されるように保障する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、次のような技術方案を介して実現することができる。本発明の拡張型椎体間融合装置は、融合体と前記融合体内で前記融合体と軸方向にネジ山によって連結されるプッシュロッドを有し、前記融合体の垂直投影が面取りを(chamfer)を持つ長方形であり、前記融合体の上部はベース部であり、下部はヘッド部であり、前記ベース部とヘッド部との間はインバーテッド歯部の一体型構造であり、前記ベース部の内部には軸線に沿ってネジ孔があり、前記プッシュロッドは前記ネジ孔内に有りながらネジ山と連結され、前記インバーテッド歯部は前記ベース部と連結される左右2つのインバーテッド歯部側壁で構成され、前記2つのインバーテッド歯部側壁間は中空であり、前記インバーテッド歯部にはΠ状のインバーテッド歯フレームが連結され、前記2つのインバーテッド歯部側壁の最上部とベース部の連結地点の両側にはインバーテッド歯フレームスライディング溝があり、前記2つのインバーテッド歯部側壁底部と融合体のヘッド部連結地点の両側には側壁階段状の溝があり、前記融合体のヘッド底面はアーチ(arch)型であり、前記インバーテッド歯フレームの最上面には前記融合体と同軸であるクランピングヘッド孔があり、前記インバーテッド歯フレームの両側壁外側にはインバーテッド歯があり、前記インバーテッド歯フレームの両側壁には対応するインバーテッド歯フレーム孔があり、前記インバーテッド歯フレームの両側壁の底段には前記インバーテッド歯部側壁の側壁階段状の溝とマッチングされるインバーテッド歯フレームヘッドがあり、前記プッシュロッド下部にはプッシュロッドクランピングヘッドがあり、前記インバーテッド歯フレームのクランピングヘッド孔は前記プッシュロッドクランピングヘッドを取り囲むように設けられ、前記プッシュロッドクランピングヘッドの軸線地点にはクランピングヘッドスルー溝があり、前記プッシュロッド最上段には前記プッシュロッドの軸線に沿ってプッシュロッド軸孔が前記クランピングヘッドスルー溝と連結されている。本発明の具体的な特徴において、前記融合体のベース部最上面にベース部スルー溝がさらにある。前記プッシュロッドの上端には軸線に沿って内部六角形孔が設けられ、前記内部六角形孔の軸線は前記プッシュロッド軸孔の軸線とさらに逢う。前記インバーテッド歯フレームのインバーテッド歯フレーム孔は長方形である。前記融合体に使用する材料は医療用チタニウム合金又は医療用非金属材料である。前記プッシュロッドに使用する材料は医療用チタニウム合金又は医療用非金属材料である。前記インバーテッド歯フレームに使用する材料は医療用チタニウム合金又は医療用非金属材料である。
【発明の効果】
【0006】
上述したように、本発明は融合体の垂直投影が面取りを持つ長方形であり、前記融合体の上部はベース部、下部はヘッド部であり、ベース部とヘッド部との間はインターテッド歯部の一体型構造である。前記ベース部の内部は軸線に沿ってネジ孔があり、前記プッシュロッドは前記ネジ孔内にあり互いにマッチングされてネジ山によって連結され、前記インバーテッド歯部はベース部と連結される左右2つのインバーテッド歯部側壁で構成され、2つのインバーテッド歯部側壁間は中空であり、前記インバーテッド歯部にはΠ状のインバーテッド歯フレームが連結され、前記2つのインバーテッド歯部側壁の最上部とベース部の連結地点の両側にはインバーテッド歯フレームスライディング溝があり、二つのインバーテッド歯部側壁底部と融合体のヘッド部連結地点の両側には側壁階段状の溝があり、前記融合体のヘッド部底面はアーチ型である。前記インバーテッド歯フレームの最上面には融合体と同軸であるクランピングヘッド孔があり、インバーテッド歯フレームの両側壁外側にはインバーテッド歯があり、インバーテッド歯フレームの両側壁には対応にはインバーテッド歯フレーム孔があり、インバーテッド歯フレームの両側壁の底段にはインバーテッド歯部側壁の側壁階段状の溝とマッチングされるインバーテッド歯フレームヘッドがある。前記プッシュロッド下部にはプッシュロッドクランピングヘッドがあり、前記インバーテッド歯フレームのクランピングヘッド孔は前記プッシュロッドクランピングヘッドを覆いながら設けられ、前記プッシュロッドクランピングヘッドの軸線地点にはクランピングヘッドスルー溝があり、前記プッシュロッド最上段はプッシュロッドの軸線に沿ってプッシュロッド軸孔がクランピングヘッドスルー溝と連結されている。前記構造は融合体が長方形でありアーチ型でインバーテッド歯フレームの2つのインバーテッド歯フレーム側壁にインバーテッド歯があるので、融合体を患者の脊椎の椎体間内に挿入し易く、インバーテッド歯フレーム側壁のインバーテッド歯は融合体が容易に退出されないように保障することができる。内部六角形孔を介してプッシュロッドを回転させ、プッシュロッドはインバーテッド歯フレームを下に移動させてインバーテッド歯フレームの2つのインバーテッド歯フレーム両側が開放され、患者の脊椎の椎体間の高さを調節することによって、椎体間の高さと脊椎の生理的弧度基準を満たすことができる。また、プッシュロッドのプッシュロッド軸孔、クランピングヘッドスルー溝及びインバーテッド歯フレーム孔を介して骨移植通路と窓口を構成して椎体間骨粒子を注入し、融合体と椎体を固定融合することによって患者の脊椎が正常な機能を回復することができる。ここで分かるように、本発明は従来技術と比べる時、特段な実質的特徴と顕著な進歩性があるので、その実施による有益な効果もまた著しい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明において具体的な実施方式の部分的な断面図である。
図2図1を左から示した断面図である。
図3図2の鳥瞰図である。
図4図2においてA−A地点の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
図面で示すように、本発明の拡張型椎体融合装置は、融合体5と融合体5内で融合体5と軸方向にねじ山によって連結されるプッシュロッド7を有し、前記融合体5の垂直投影は面取りを持つ長方形であり、前記融合体5の上部はベース部4、下部はヘッド部1であり、ベース部4とヘッド部1との間はにインバーテッド歯部1の一体型構造である。前記ベース部4の内部は軸線に沿ってネジ孔があり、前記プッシュロッド7は前記ネジ孔内にありながら互いにマッチングされてネジ山と連結され、前記融合体5のベース部4の最上面にベース部スルー溝6がさらにあり、前記ベース部スルー溝6は融合装置を設ける手術において融合装置をクランピングする手術機械と融合装置とを連結することに使用される。前記インバーテッド歯部3はベース部4と連結される左右2つのインバーテッド歯部側壁17で構成され、2つのインバーテッド歯部側壁17間は中空であり、前記インバーテッド歯部3にはΠ状のインバーテッド歯フレーム2が連結され、前記2つのインバーテッド歯部側壁17の最上部とベース部4の連結地点の両側にはインバーテッド歯フレームスライディング溝16があり、二つのインバーテッド歯部側壁17底部と融合体5のヘッド部1の連結地点の両側には側壁階段状溝18があり、前記融合体5のヘッド部1の底面はアーチ型である。前記インバーテッド歯フレーム最上面15には融合体5と同軸であるクランピングヘッド孔19があり、インバーテッド歯フレーム2の両側壁外側にはインバーテッド歯9があり、インバーテッド歯フレーム2の両側壁には対応するインバーテッド歯フレーム孔10があり、インバーテッド歯フレーム2両側壁の底段にはインバーテッド歯部側壁17の側壁階段状の溝18とマッチングされるインバーテッド歯フレームヘッド11がある。前記プッシュロッド7の下部にはプッシュロッドクランピングヘッド8があり、前記インバーテッド歯フレーム2のクランピングヘッド孔19は前記プッシュロッドクランピングヘッド8を覆いながら設けられ、前記プッシュロッドクランピングヘッド8の軸線地点にはクランピングヘッドスルー溝12があり、前記クランピングヘッドスルー溝12はプッシュロッドクランピングヘッド8の弾性を増加させる役割を果たし、前記プッシュロッド7の最上段はプッシュロッド7の軸線に沿ってプッシュロッド軸孔13がクランピングヘッドスルー溝12と連結される。前記プッシュロッド7の最上面は軸線に沿って内部六角形孔14がさらにあり、前記内部六角形孔14の軸線はプッシュロッド軸孔13の軸線とさらに逢い、内部六角形孔14は手術中に六角レンチを利用してプッシュロッド7を回転させてインバーテッド歯フレーム2を下に移動させることによってインバーテッド歯フレーム2の両側が開放されるようにする。前記融合体5、プッシュロッド7及びインバーテッド歯フレーム2に使用する材料は医療用チタニウム合金又は医療用非金属材料のうちいずれか一つであり、同一な材料を使用することもでき、さらには他の材料を使用することもできる。本発明の具体的な実施形態では融合体5とプッシュロッド7とも医療用チタニウム合金材料を使用し、インバーテッド歯フレーム2には医療用非金属材料を使用した。
【0010】
本発明は、上記の具体的な実施形態に限定されず、本発明の属する技術分野の当業者は本発明の実施範囲内で変更、改善、追加または置換を行なうことができ、これは全て本発明の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0011】
1 ヘッド部
2 インバーテッド歯フレーム
3 インバーテッド歯部
4 ベース部
5 融合体
6 ベース部スルー溝
7 プッシュロッド
8 プッシュロッドクランピングヘッド
9 インバーテッド歯
10 インバーテッド歯フレーム孔
11 インバーテッド歯フレームヘッド
12 クランピングヘッドスルー溝
13 プッシュロッド軸孔
14 内部六角形孔
15 インバーテッド歯フレーム最上面
16 インバーテッド歯フレームスライディング溝
17 インバーテッド歯部側壁
18 側壁階段状の溝
19 クランピングヘッド孔

図1
図2
図3
図4