【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、III族窒化物のインゴットを成長させる方法を提供する。GaN等のIII族窒化物結晶は、アモノサーマル法によって、シードの両側に成長させられ、インゴットを形成し、インゴットは、ウエハにスライスされる。第一世代のシードを含むウエハは、第一世代のシードを含むウエハが破断しないように、他のウエハより厚くスライスされる。第一世代のシード結晶を含むウエハは、次のアモノサーマル成長のためのシードとして使用されることができる。
【0017】
本発明はまた、各縁が1つの層上に取り付けられ、第1の層における縁が、第2の層の縁に対して互い違いにされた状態で、複数のIII族窒化物ウエハを2つの層に設置することによって、インゴットのサイズを拡大させる方法を提供する。
例えば、本が発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
Ga
xAl
yIn
1−x−yN(0≦x≦1、0≦x+y≦1)から成るIII族窒化物を作製する方法であって、
(a)第1のIII族窒化物結晶を第一世代のシードの第1の面上に成長させ、第2のIII族窒化物結晶を前記第一世代のシードの第2の面上に成長させ、第1のIII族窒化物のインゴットを形成することと、
(b)前記第1のインゴットを第1、第2、および第3のウエハにスライスすることと
を含み、
前記第1のウエハは、前記第一世代のシードを含み、前記第1のウエハは、前記第2のウエハおよび前記第3のウエハの各々の厚さより大きい厚さを有し、前記第一世代のシードを含む前記第1のウエハの厚さは、前記第1のウエハの破断を回避するために十分に大きい、方法。
(項目2)
第3のIII族窒化物結晶を前記第1のウエハの第1の面上に成長させ、第4のIII族窒化物結晶を前記第1のウエハの第2の面上に成長させることをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記第一世代のシードを含むウエハの表面上に露出された亀裂は、次の成長の間に埋設される、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記第一世代のシードを含む前記第1のウエハの両表面は、前記第一世代のシード上に成長させられたIII族窒化物結晶で被覆される、項目1−3のいずれかに記載の方法。
(項目5)
前記III族窒化物結晶は、超臨界アンモニア中で成長させられる、項目1−4のいずれかに記載の方法。
(項目6)
前記インゴットは、前記第一世代のシードを含むウエハに対して異なるワイヤピッチを有する多ワイヤソーを用いて、ウエハにスライスされる、項目1−5のいずれかに記載の方法。
(項目7)
前記第一世代のシードは、窒素極性表面が両面上に露出されるように、III族極性表面がともに対向した状態で、c−平面(+/−10度以内の不整配向)III族窒化物ウエハの2つの断片を備えている、項目1−6のいずれかに記載の方法。
(項目8)
前記c−平面(+/−10度以内の不整配向)III族窒化物ウエハの面内結晶配向は、ともに一致している、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記III族窒化物結晶内に生成された亀裂は、前記c−平面(+/−10度以内の不整配向)III族窒化物ウエハの界面に伝搬しない、項目7または項目8に記載の方法。
(項目10)
前記c−平面(+/−10度以内の不整配向)III族窒化物ウエハの形状およびサイズは、一致しており、それによって、III族極性表面の最小面積が露出されている、項目7−9のいずれかに記載の方法。
(項目11)
前記第一世代のシードは、窒素極性表面が両面上に露出されるように、III族極性表面がともに対向した状態で、c−平面(+/−10度以内の不整配向)III族窒化物ウエハの2つの層を備え、各層は、縁を揃えて配列されたc−平面(+/−10度以内の不整配向)III族窒化物ウエハの複数の断片から成り、前記第1の層における前記c−平面(+/−10度以内の不整配向)III族窒化物ウエハの縁は、前記第2の層における前記c−平面(+/−10度以内の不整配向)III族窒化物ウエハの縁に対応せず、前記第1および第2の層における全ウエハの面内結晶配向は、一致している、項目1−6のいずれかに記載の方法。
(項目12)
前記III族窒化物結晶内に生成される亀裂は、c−平面(+/−10度以内の不整配向)III族窒化物ウエハの前記2つの層の界面に伝搬しない、項目11に記載の方法。
(項目13)
各層のサイズおよび形状は、一致しており、それによって、III族極性表面の最小面積が露出されている、項目11または項目12に記載の方法。
(項目14)
前記層のより長い寸法の縁は、a−平面(+/−10度以内の不整配向)に整列させられている、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記III族窒化物は、窒化ガリウムを含む、項目1−14のいずれかに記載の方法。
(項目16)
前記第2のウエハは、前記第1のIII族窒化物結晶から形成され、前記第3のウエハは、前記第2のIII族窒化物結晶から形成されている、項目1−15のいずれかに記載の方法。
(項目17)
前記第1のIII族窒化物結晶は、ある結晶構造極性を有し、前記第2のIII族窒化物結晶は、前記結晶構造極性を有する、項目1−16のいずれかに記載の方法。
(項目18)
前記第2のおよび第3のウエハは、3つ以上の複数のウエハの部材であり、前記第1のウエハは、前記複数のウエハの各ウエハより厚い、項目1−17のいずれかに記載の方法。
(項目19)
Ga
xAl
yIn
1−x−yN(0≦x≦1、0≦x+y≦1)から成るIII族窒化物のインゴットを成長させる方法であって、
(a)第1のIII族窒化物結晶をシードの第1の面上に成長させることと、
(b)第2のIII族窒化物結晶を前記シードの第2の面上に成長させることと
を含み、前記シードは、
(1)第1の層であって、前記第1の層は、
a)第1のIII族窒化物ウエハであって、前記第1のIII族窒化物ウエハは、
1)第1の結晶格子配向と、
2)前記第1のIII族窒化物ウエハの第1の面および第2の面に隣接する第1の縁と
を有する、第1のIII族窒化物ウエハと、
b)第2のIII族窒化物ウエハであって、前記第2のIII族窒化物ウエハは、
1)第2の結晶格子配向と、
2)前記第2のIII族窒化物ウエハの第1の面および第2の面に隣接する第1の縁と
を有する、第2のIII族窒化物ウエハと
から成り、
c)前記第2のIII族窒化物ウエハは、前記第1の層における前記第1のIII族窒化物ウエハの第1の縁に隣接するその第1の縁を有し、
d)前記第1の結晶格子配向は、前記第1の層における前記第2の結晶格子配向と同一である、
第1の層と、
(2)第2の層であって、前記第2の層は、
a)第3のIII族窒化物ウエハであって、前記第3のIII族窒化物ウエハは、
1)第3の結晶格子配向と、
2)前記第3のIII族窒化物ウエハの第1の面および第2の面に隣接する第1の縁と
を有する、第3のIII族窒化物ウエハと、
b)第4のIII族窒化物ウエハであって、前記第4のIII族窒化物ウエハは、
1)第4の結晶格子配向と、
2)前記第4のIII族窒化物ウエハの第1の面および第2の面に隣接する第1の縁と
を有する、第4のIII族窒化物ウエハと
を備え、
c)前記第3のIII族窒化物ウエハは、前記第2の層における前記第4のIII族窒化物ウエハの第1の縁に隣接するその第1の縁を有し、
d)前記第3の結晶格子配向は、前記第2の層における前記第4の結晶格子配向と同じである、
第2の層と
を備え、
(3)前記第1の層の前記第1のIII族窒化物ウエハの第1の縁は、前記第2の層の前記第3のIII族窒化物ウエハの第1の面に位置付けられ、
(4)前記第1の層の前記第2のIII族窒化物ウエハの第1の縁は、前記第2の層の前記第3のIII族窒化物ウエハの第1の面に位置付けられ、
(5)前記第2の層の前記第3のIII族窒化物ウエハの第1の縁は、前記第1の層の前記第2のIII族窒化物ウエハの第1の面に位置付けられ、
(6)前記第2の層の前記第4のIII族窒化物ウエハの第1の縁は、前記第1の層の前記第2のIII族窒化物ウエハの第1の面に位置付けられ、
(7)前記第1の層の前記第1のウエハの結晶格子配向は、前記第2の層の前記第3のウエハの結晶格子配向と一致する、
方法。
(項目20)
前記第1、第2、第3、および第4のIII族窒化物ウエハの結晶格子配向は、+/−10度以内の不整配向を有するc−平面であり、前記第1、第2、第3、および第4のIII族窒化物ウエハの第1の面は、互に対向し、前記第1、第2、第3、および第4のIII族窒化物ウエハの第2の面は、窒素極性表面である、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記第1および第2のIII族窒化物結晶は、超臨界アンモニア中で同時に成長させられる、項目19または項目20に記載の方法。
(項目22)
接着層が、前記第1の層と前記第2の層との間に挿入され、前記層を一緒に接着させる、項目19−21のいずれかに記載の方法。
(項目23)
前記接着層は、金属である、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記金属は、ガリウムまたはインジウムを含む、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記III族窒化物ウエハから成る、前記第1および第2の層は、圧力を与えることによって、一緒に取り付けられる、項目19−24のいずれかに記載の方法。
(項目26)
前記第1の層は、長縁を有し、前記第1の層の長縁は、+/−10度以内の不整配向を伴って、前記第1のウエハおよび前記第2のウエハのa−平面に整列させられている、項目19−25のいずれかに記載の方法。
(項目27)
前記第2の層は、長縁を有し、前記第2の層の長縁は、+/−10度以内の不整配向を伴って、前記第3のウエハおよび前記第4のウエハのa−平面に整列させられている、項目19−26のいずれかに記載の方法。
(項目28)
前記III族窒化物は、窒化ガリウムを含む、項目19−27のいずれかに記載の方法。
(項目29)
Ga
xAl
yIn
1−x−yN(0≦x≦1、0≦x+y≦1)から成るIII族窒化物ウエハを製作する方法であって、
(a)III族窒化物結晶をIII族窒化物のシードの両面上に成長させ、III族窒化物のインゴットを形成することと、
(b)多ワイヤソーを用いて、前記III族窒化物のインゴットをウエハにスライスすることと
を含み、
前記ワイヤのピッチは、前記シードを含むウエハが前記インゴットからスライスされる他のウエハより厚いように、変更される、方法。
(項目30)
前記シード結晶を含むウエハの厚さは、前記ウエハの破断を回避するために十分に大きい、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記III族窒化物結晶は、超臨界アンモニア中で成長させられる、項目29または項目30に記載の方法。
(項目32)
前記III族窒化物は、窒化ガリウムを含む、項目29−31のいずれかに記載の方法。
(項目33)
項目1−28のいずれかに記載の方法によって成長させられたIII族窒化物インゴット。
(項目34)
項目29−32のいずれかに記載の方法によって製作されたIII族窒化物ウエハ。
(項目35)
第1の非亀裂表面および第2の非亀裂表面を有するIII族窒化物シードであって、前記III族窒化物シードは、
III族窒化物ウエハの第1の層であって、前記第1の層は、第1の面および第2の面を有する、第1の層と、
III族窒化物ウエハの第2の層であって、前記第2の層は、第1の面および第2の面を有する、第2の層と
を備え、
前記第1の層の第1の面は、前記第2の層の第1の面に対向し、前記第1の層の第2の面は、少なくとも1つの亀裂を有し、前記第1の非亀裂表面を提供するために、前記第1の層の第2の面をIII族窒化物の十分な厚さに重ねている、III族窒化物シード。
(項目36)
前記第2の層の第2の面は、少なくとも1つの亀裂を有し、前記第2の層の第2の面を重ねることは、前記III族窒化物シードの前記第2の非亀裂表面を提供するために十分な前記III族窒化物の厚さである、項目35に記載のIII族窒化物シード。
(項目37)
前記第1の層のウエハは、c−平面ウエハであり、前記第2の層のウエハは、c−平面ウエハであり、各々、+/−10度以内の不整配向を有する、項目35または項目36に記載のIII族窒化物シード。
(項目38)
前記第1の非亀裂表面および前記第2の非亀裂表面は、各々、窒素極性表面である、項目35−37のいずれかに記載のIII族窒化物シード。
(項目39)
前記第1の層の第2の面および前記第2の層の第2の面は、各々、窒素極性面である、項目35−38のいずれかに記載のIII族窒化物シード。
(項目40)
シードの縁に沿ってではなく、前記シードの面に沿って互に接触している2つ以上のウエハから成るIII族窒化物シードであって、前記ウエハのうちの少なくとも1つは、(a)表面亀裂を有するウエハ、(b)HVPEを使用して形成され、したがって、10
5cm
−2より大きい線欠陥(例えば、転位)および粒界の密度を有する亀裂が入ったウエハ、および(c)アモノサーマル法を使用して形成されたウエハから成る群から選択される、III族窒化物シード。
(項目41)
シードの縁に沿ってではなく、前記シードの面に沿って互に接触している第1および第2のウエハから成るIII族窒化物シードであって、前記第1のウエハは、前記第1のウエハの縁が前記第2のウエハの縁と整列しないように、前記第2のウエハからオフセットされている、III族窒化物シード。
(項目42)
前記第1のウエハは、前記第1のウエハの全縁に沿って、前記第2のウエハからオフセットされている、項目40または項目41に記載のシード。
(項目43)
同一のインゴットから切断された一組の少なくとも3つのウエハであって、前記一組の少なくとも3つのウエハは、第2のウエハの厚さより厚く、かつ第3のウエハの厚さより厚い第1のウエハを有し、前記第1のウエハは、シードから形成された埋設部分を有し、前記シードは、
(a)10
5cm
−2より大きい線欠陥および粒界の密度を有するIII族窒化物と、
(b)前記シードが表面亀裂を有し、前記第1のウエハが亀裂が入っていない第1および第2の面を有するIII族窒化物と
のうちの少なくとも1つから形成されている、一組の少なくとも3つのウエハ。
(項目44)
第1および第2のシードを有する第1の層と、第3および第4のシードを有する第2の層とから形成されたインゴットであって、前記第1のシードの縁は、前記第2の層におけるいずれのシードの対応する縁とも整列されていない、インゴット。
(項目45)
前記第1のシードは、前記第2の層におけるいずれかのシードの対応する縁と整列された縁を有していない、項目44に記載のインゴット。
(項目46)
第2のIII族窒化物ウエハに固定された第1のIII族窒化物ウエハから成るシードであって、前記第1のウエハは、前記第1のウエハの第1の面から第2の面に伝搬する亀裂を有し、前記第2のウエハは、前記第2のウエハの第1の面から第2の面に伝搬する亀裂を有し、前記シードは、規則的形状を有し、前記シードからインゴットが形成され得る、シード。
(項目47)
前記第1のIII族窒化物ウエハは、GaNを含み、前記第2のIII族窒化物ウエハは、GaNを含む、項目46に記載のシード。
(項目48)
化学式Ga
xAl
yIn
1−x−yN(0≦x≦1、0≦x+y≦1)を有し、かつ第1の面および第2の面を有する結晶III族窒化物のインゴットであって、前記第1の面は、結晶構造極性を有し、前記第2の面も、前記結晶構造極性を有する、結晶III族窒化物のインゴット。
(項目49)
前記第1の面は、窒化物極性を有し、前記第2の面は、窒化物極性を有する、項目48に記載のインゴット。
(項目50)
前記第1の面は、III族要素極性を有し、前記第2の面は、III族要素極性を有する、項目48に記載のインゴット。