特許第6333431号(P6333431)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6333431
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】判定装置、判定方法及び判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20180521BHJP
【FI】
   G06Q50/16
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-46480(P2017-46480)
(22)【出願日】2017年3月10日
【審査請求日】2017年3月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591115475
【氏名又は名称】株式会社三菱総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】515103397
【氏名又は名称】株式会社 イントラスト
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】清水 浩行
(72)【発明者】
【氏名】老沼 志朗
【審査官】 池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−090689(JP,A)
【文献】 特開2017−049673(JP,A)
【文献】 特開2009−048236(JP,A)
【文献】 特開2004−164245(JP,A)
【文献】 特開2002−351962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有償契約の締結の可否を判定する判定装置であって、
申請者から複数の属性の内容の入力を受け付ける受付部と、
申請者の属性の内容と、当該属性の内容を評価する第1の点数とを関連付ける第1の点数データ、及び、前記属性の内容とは全部又は一部が異なる内容と、当該内容を評価する第2の点数とを関連付ける第2の点数データとを記憶する点数データ記憶部と、
第1のスコアと、前記申請者が前記有償契約に係る支払いをしない可能性を予想した第1の判定リスクとを関連付ける第1のリスクデータ、及び、第2のスコアと、前記申請者が前記有償契約に係る支払いをしない可能性を予想した第2の判定リスクとを関連付ける第2のリスクデータと、を記憶するリスクデータ記憶部と、
前記受け付けた申請者の複数の属性の内容各々に対応する前記第1の点数データにおける属性の内容に関連付けられた第1の点数を抽出し、前記受け付けた申請者の複数の属性の内容各々に対応する前記第2の点数データにおける属性の内容に関連付けられた第2の点数を抽出し、前記抽出した複数の第1の点数を利用して第1のスコアを演算し、前記抽出した複数の第2の点数を利用して第2のスコアを演算する演算部と、
前記演算された第1のスコアに対応する前記第1のリスクデータの第1のスコアに関連付けられた第1の判定リスクを特定し、前記演算された第2のスコアに対応する前記第2のリスクデータの第2のスコアに関連付けられた第2の判定リスクとを特定し、
前記第1の判定リスク及び前記第2の判定リスクから、総合の判定結果を特定する特定部と、
前記判定結果を示す情報を表示する表示部とを有する判定装置。
【請求項2】
有償契約の締結の可否を判定する判定装置であって、
申請者から複数の属性の内容の入力を受け付ける受付部と、
申請者の属性の内容と、当該属性の内容を評価する第1の点数とを関連付ける第1の点数データ、及び、前記申請者の属性の内容と、当該属性の内容を評価する第2の点数とを前記第1の点数データとは別の基準で関連付ける第2の点数データとを記憶する点数データ記憶部と、
第1のスコアと、前記申請者が前記有償契約に係る支払いをしない可能性を予想した第1の判定リスクとを関連付ける第1のリスクデータ、及び、第2のスコアと、前記申請者が前記有償契約に係る支払いをしない可能性を予想した第2の判定リスクとを関連付ける第2のリスクデータと、を記憶するリスクデータ記憶部と、
前記受け付けた申請者の複数の属性の内容各々に対応する前記第1の点数データにおける属性の内容に関連付けられた第1の点数を抽出し、前記受け付けた申請者の複数の属性の内容各々に対応する前記第2の点数データにおける属性の内容に関連付けられた第2の点数を抽出し、前記抽出した複数の第1の点数を利用して第1のスコアを演算し、前記抽出した複数の第2の点数を利用して第2のスコアを演算する演算部と、
前記演算された第1のスコアに対応する前記第1のリスクデータの第1のスコアに関連付けられた第1の判定リスクを特定し、前記演算された第2のスコアに対応する前記第2のリスクデータの第2のスコアに関連付けられた第2の判定リスクとを特定し、
前記第1の判定リスク及び前記第2の判定リスクから、総合の判定結果を特定する特定部と、
前記判定結果を示す情報を表示する表示部とを有する判定装置。
【請求項3】
有償契約の締結の可否を判定する判定方法であって、
コンピュータが、
申請者から複数の属性の内容の入力を受け付けるステップと、
前記受け付けた複数の属性の内容各々から、申請者の属性の内容と当該属性の内容を評価する第1の点数とを関連付ける第1の点数データを用いて第1の点数を抽出し、前記申請者の属性の内容とは全部又は一部が異なる内容と当該内容を評価する第2の点数とを関連付ける第2の点数データを用いて第2の点数を抽出し、前記抽出した複数の第1の点数を利用して第1のスコアを演算し、前記抽出した複数の第2の点数を利用して第2のスコアを演算するステップと、
前記第1のスコアと前記申請者が前記有償契約に係る支払いをしない可能性を予想した第1の判定リスクとを関連付ける第1のリスクデータから、前記演算された第1のスコアに関連付けられた第1の判定リスクを特定し、前記第2のスコアと前記申請者が前記有償契約に係る支払いをしない可能性を予想した第2の判定リスクとを関連付ける第2のリスクデータから、前記演算された第2のスコアに関連付けられた第2の判定リスクとを特定するステップと、
前記第1の判定リスク及び前記第2の判定リスクから、総合の判定結果を特定するステップと、
前記判定結果を示す情報を表示する表示ステップとを実行する判定方法。
【請求項4】
有償契約の締結の可否を判定する判定方法であって、
コンピュータが、
申請者から複数の属性の内容の入力を受け付けるステップと、
前記受け付けた属性の内容から、申請者の属性の内容と当該属性の内容を評価する第1の点数とを関連付ける第1の点数データを用いて第1の点数を抽出し、前記第1の点数データとは異なる基準で前記申請者の属性の内容と当該属性の内容を評価する第2の点数とを関連付ける第2の点数データを用いて第2の点数を抽出し、前記抽出した複数の第1の点数を利用して第1のスコアを演算し、前記抽出した複数の第2の点数を利用して第2のスコアを演算するステップと、
前記第1のスコアと前記申請者が前記有償契約に係る支払いをしない可能性を予想した第1の判定リスクとを関連付ける第1のリスクデータから、前記演算された第1のスコアに関連付けられた第1の判定リスクを特定し、前記第2のスコアと前記申請者が前記有償契約に係る支払いをしない可能性を予想した第2の判定リスクとを関連付ける第2のリスクデータから、前記演算された第2のスコアに関連付けられた第2の判定リスクとを特定するステップと、
前記第1の判定リスク及び前記第2の判定リスクから、総合の判定結果を特定するステップと、
前記判定結果を示す情報を表示する表示ステップとを実行する判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、契約を締結するのに先立つ審査を実行する判定装置、判定方法及び判定プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、債務に係る保証業務の一種として、賃貸借契約を締結した賃借人の賃料支払債務を保証するものがある。ここでいう保証において、保証人は、賃借人が賃料の支払いを滞らせた場合に、賃貸人に対して賃借人に代わって賃料を支払う義務を負う。なお、賃借人は、賃料を支払って物件を借りる側であり、賃貸人は賃料を受け取って物件を貸す側である。
【0003】
特許文献1では、賃貸物件の家賃関連費用に関し、入居者が連帯保証人を探す手間を軽減するとともに、保証金・敷金・礼金などの初期負担を軽減し、入居審査時間を短縮して、入居者・不動産管理会社・賃貸業者に対し、金銭的時間的負担や賃貸に関する回収リスクを低減するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−71724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、保証業務において、保証人は、賃借人が賃貸人に賃料を連続して所定期間以上支払わず、対価を支払うという契約を履行しなかった場合には、賃借人に代わって賃貸人に対する賃料を支払う必要がある。したがって、保証人は、賃借人と保証委託契約を締結するにあたり、賃貸借契約における賃借人が賃貸人に対し賃料を滞納するリスクを判断し、滞納するリスクがある賃借人との契約の可否を判断する必要がある。
また、賃貸人が、賃借人と賃貸借契約を締結するかどうかの判断をする場面でも、賃借人が賃貸人に対し賃料を滞納するリスクを判断し、滞納するリスクがある賃借人との契約の可否を判断する必要がある。
【0006】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて成されたものであり、有償契約を締結するか否かの判定に要す負担を、これに先立つ審査の実行により軽減するとともに、滞納リスクを的確に判断し、事務負担を負うリスク、回収不能のリスク、代位弁済するリスク等を的確に判断する判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る判定装置は、有償契約の締結の可否を判定する判定装置であって、債務者の属性を受け付ける受付部と、債務者の属性の内容毎に割り当てられた点数に基づき債務者に関するスコアを求める演算部と、演算部が求めたスコアに基づき、債務者の支払いリスクを特定する特定部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る判定装置、判定方法及び判定プログラムは、債権者が債権者との間で保証契約を締結するのに先立つ審査を実行し、審査に要する時間や負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態における判定装置が実行する審査を説明する説明図である。
図2】第1実施形態に係る判定装置を説明するブロック図である。
図3図2の判定装置が使用する点数データの一例を説明するデータ構成図である。
図4図2の判定装置が使用するリスクデータの一例を説明するデータ構成図である。
図5図2の判定装置における処理の一例を説明するフローチャートである。
図6】第2実施形態に係る判定装置を説明するブロック図である。
図7図6の判定装置が使用する第2の点数データの一例を説明するデータ構成図である。
図8図6の判定装置が使用する第2のリスクデータの一例を説明するデータ構成図である
図9図6の判定装置における処理の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を用いて本発明に係る各実施形態を説明する。以下の説明において、同一の構成については、同一の符号を用いて説明を省略する。本発明に係る判定装置は、有償契約の締結の可否を判定する際に利用されるものである。
【0011】
なお、この判定装置1は、有償契約の締結をする者自身が、有償契約の可否をするかを判断する際に使用することもしてもよいし、有償契約の締結をする者(依頼元)から判定を依頼された者(依頼先)が、依頼元のために有償契約の可否をするかを判断するために使用してもよい。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態における判定装置1が実行する審査について説明するための説明図である。
【0013】
本発明の一実施形態において、賃借人R1と賃貸人R2は、所定の物件R3に関して、賃貸借契約を締結する。そして、保証会社R4は、賃貸人R2との間で、保証契約を締結する。この場合において、本発明の一実施態様における判定装置1は、保証会社R4が賃貸人R2との間で保証契約を締結するか否かを決定するための審査を実行する。判定装置1は、例えば、仲介業者R5を介して、賃借人R1に関する情報を収集し、当該情報に基づいて、保証契約を締結するか否かを決定するための審査を実行する。
【0014】
また、保証会社R4は、賃借人R1等との間で保証委託契約を締結し、賃貸人R2との間で保証契約を締結してもよい。その場合、判定装置1は、保証会社R4が賃借人R1等との間で保証委託契約を締結するか否か、を決定するための審査を実行するものであってもよい。
【0015】
上述したように、本発明の一実施態様における判定装置100は、賃貸借契約だけでなく、有償契約の締結の可否を審査する。そのため、本発明において、保証会社R4が保証する債務は、家賃債務に限られず、どのような債務であってもよく、金銭消費貸借契約における金銭債務などであってもよい。そして、保証会社R4が保証契約を締結する相手方は、債権を有する債権者であればよく、賃貸人に限られない。この場合、判定装置1は、債務を有する債務者(賃借人に限られない)の情報に基づいて、当該債務を保証するための有償契約の締結の可否を判定又は判定のための情報を提供する。
【0016】
「債務」は、特定人(債務者)が他の特定人(債権者)に対して、一定の行為(給付)をすることを内容とする義務である。「債権」は、特定人(債権者)が他の特定人(債務者)に対して、一定の行為(給付)を請求することを内容とする権利である。
【0017】
「債務者」は、特定人(債権者)に対して、一定の給付をなすべき義務を負う者である。また、「債権者」は、特定人(債務者)に対して、一定の給付をなすべきことを請求しうる者である。本発明での「債務者」は、債権者に対し、金銭を支払う給付をなすべき義務を負う者である。
【0018】
「保証」は、主たる債務者が債務を履行しない場合に、その債務を主たる債務者に代わって履行する義務を負うことをいう。「保証人」は、主たる債務者が債務を履行しない場合に、その履行をなす債務(保証債務)を負う者である。そして、「保証契約」は、保証人と債権者との間で締結される契約である。本発明において、保証人は、法人である保証会社R4である。
【0019】
以下では、賃貸借契約における賃借人R1が、賃貸人R2に対して賃料の支払いを遅延した場合の保証会社R4による家賃保証を例にして説明するが、これに限られるものではないことは言うまでもない。保証の内容については、その他、例えば、医療保証等が挙げられる。
【0020】
また、保証契約に限らず、種々の有償契約の締結の可否を判定する場合に適用できる。「有償契約」とは、賃貸借契約や電話契約のように継続的な代金の支払いが発生する契約もあれば、クレジットカード代金のように、特定の月に代金の支払いが発生する契約もある。
【0021】
ここで、保証会社R4は、保証契約を締結した場合、賃借人R1が家賃滞納等を起こすと、当該賃借人R1に代わり賃料を賃貸人R2へ代位弁済する必要がある。また、保証会社R4は、代位弁済を行った場合には、賃借人R1に対して、弁済した分を賃借人R1へ請求する(求償する)ことになる。さらに、保証会社R4は、賃借人R1が弁済した分の支払いに応じない場合には、当該賃借人R1に対して、法的措置(例えば、建物明渡請求訴訟や賃料請求訴訟の提起)を行うことになる。
【0022】
上記のように、保証会社R4は、賃借人R1が家賃滞納等を繰り返すと、その都度、代位弁済やその後の賃借人への請求(求償)、さらには法的措置を行うこととなり、所定の経費が必要となる。特に、賃借人R1が家賃を滞納した場合だけでなく、法的措置に移管することになれば、訴訟費用による積極的損害や、賃料収入が得られなくなるという消極的損害が発生することになり、保証会社R4は、多大な損害を被ることとなる。また、保証会社R4は、賃借人R1に支払い能力がない場合などには、代位弁済した分を回収できなくなる恐れもある。このように、保証会社R4は、保証契約や保証委託契約を締結すると、代位弁済するリスクや、弁済した分の回収不能のリスクを負うことになる。
【0023】
そこで、保証会社R4は、保証契約または保証委託契約を締結するのに先立ち、賃借人R1の過去の家賃滞納状況や財政状況などに基づいて審査を行うことで、代位弁済するリスクや、弁済した分の回収不能のリスクを低減している。
【0024】
保証会社R4が行う当該審査は、従来、人(保証会社のスタッフなど)が賃借人R1に関する情報を審査することで行われていた。しかし、人による審査では、審査にばらつきが生じる場合があり、滞納リスク、代位弁済するリスクや、弁済した分の回収不能のリスクを的確に判断することができない場合がある。
【0025】
そこで、本発明の一実施形態では、保証会社R4が賃貸人R2との間で保証契約を締結するか否かを決定するための審査を自動化することで、審査に要する時間の短縮や、審査の間違いの低減を図っている。
【0026】
〈第1実施形態〉
図2に示すように、第1実施形態に係る判定装置1は、債権者が申請者との間で有償契約を締結するのに先立つ審査を実行する装置であって、債権保証の申し込みに含まれる債務者の属性を受け付ける受付部11と、受付部が受け付けた債務者の属性の内容毎に割り当てられた点数に基づき、債務者に関するスコアを求める演算部12と、演算部が求めたスコアに基づき、債務者の支払いリスクを特定する特定部13とを備える。
【0027】
ここで、「債権保証」とは、支払い義務のある者が支払いをしない場合に、その支払い義務のある者に代わって支払いを保証するものである。
【0028】
「債権保証の申し込み」とは、必要事項を記入した申込書の提出やWeb上でされる申し込み情報の入力及び送信である。
【0029】
「申請者」は、保証会社に保証契約の申し込みを申請する者である。ここでは、保証会社に保証契約を申し込む申請者である。契約が締結されることにより、申請者と保証会社は、債務者と債権者となる。
【0030】
「リスク」とは、支払い義務のある者が支払いをしない可能性を予想した危険性を表すものである。
【0031】
「申請者の属性」とは、保証会社に保証契約を申し込む申込者の特徴を表す情報の項目である。例えば、申請者の年齢、性別、職業等が挙げられる。
【0032】
「属性の内容」とは、申請者の特徴を表す属性の情報の内容である。例えば、申請者の年齢の項目に対して記入又は選択された申請者の年齢の値や、性別の項目として選択された男性又は女性、職業の項目に対して記入又は選択された申請者の職業等が挙げられる。
【0033】
「債務者の支払いリスク」とは、債務者が支払いを遅滞する可能性や、支払いを遅滞した後に法的措置に移管がされる可能性等を表すものである。例えば、「債務者の支払いリスク」には、予め何段階かで区分されるレベルの内のいずれに該当するかを特定するものであってもよい。また例えば、確率で特定されるものであってもよい。
【0034】
また、図2に示すように、判定装置1は、受付部11、演算部12、特定部13に加え、出力部14及び生成部15を備えてもよい。
【0035】
判定装置1は、例えば、中央処理装置(CPU)10、記憶装置20、入力装置30、出力装置40及び通信インタフェース(I/F)50等を備える情報処理装置である。判定装置1は、記憶装置20で記憶する判定プログラムP1を読み出して実行することで、CPU10が、受付部11、演算部12、特定部13、出力部14及び生成部15としての処理を実行する。
【0036】
また、記憶装置20は、判定プログラムP1に加え、点数データ21及びリスクデータ22を記憶してもよい。
【0037】
「記憶装置」は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等、必要情報を記憶する手段である。
【0038】
「入力装置」は、例えば、操作ボタン、キーボード、タッチパネル、マウス、マイクロフォン等、ユーザが操作信号や情報等の入力に利用する手段である。
【0039】
「出力装置」は、例えば、ディスプレイ、プリンタ、スピーカ等、処理経過や判定結果等を出力する手段である。
【0040】
「点数データ」は、属性の内容と、属性の内容に割り当てられた点数とを関連付けるデータである。「点数」は、その属性の内容を評価する値として、予め割り当てられたデータである。この点数データに含まれる各点数は、例えば、対象として選択されたある条件に適合する過去の契約者に関する履歴情報を利用してロジスティック回帰分析によって求めることができる。この条件適合する契約者とは、例えば、「過去に支払いを滞納した契約者」や「支払いを滞納した後、法的措置に移管された契約者」である。
【0041】
「リスクデータ」は、複数のスコアの範囲と、当該スコアの範囲毎に定められるリスクの程度とを関連付けるデータである。
【0042】
「スコア」とは、申請者の点数に基づいて得られるリスクの程度を表す値である。
【0043】
「受付部」は、債権保証の申し込みに含まれる申請者の属性を受け付ける。例えば、受付部は、入力装置を介して申請者の属性を受け付ける。または、受付部は、通信I/Fを介してネットワークで接続される外部の装置から申請者の属性を受け付ける。
【0044】
「演算部」は、受付部が受け付けた申請者の属性の内容毎に割り当てられた点数に基づき、前記申請者に関するスコアを求める。また、「演算部」は、記憶装置から点数データを読み出して、スコアを求めてもよい。例えば、「演算部」は、統計学的計算式に基づき、スコアを求める。「統計学的計算式」は、統計学的な手法を用いる計算式である。ここでは、統計学的手法のうち、母集団に応じて最も精度が高い予測ができる手法から選択することが好ましい。これら手法の具体例としては、例えばロジスティック回帰分析、ツリーモデル、サポートベクターマシン、多クラス分類等が挙げられる。
【0045】
「特定部」は、演算部が求めたスコアに対し設定されるリスクの程度を特定する。また、「特定部」は、記憶装置からリスクデータを読み出して、リスクの程度を特定してもよい。
【0046】
「出力部」は、特定部で特定したリスクの程度を判定結果として出力装置に出力する。
【0047】
「生成部」は、過去の債権者に関するデータを利用して、ロジスティック回帰分析等の統計学的な手法により、点数データを生成し、記憶装置に記憶させる。また、すでに記憶装置において、点数データが記憶されるとき、新たに入力される過去の債権者に関するデータを利用して、統計学的な手法により新たな点数データを生成し、記憶装置の点数データを更新してもよい。
【0048】
なお、判定装置1が使用する点数データは、生成部で生成したデータであってもよいし、それ以外のデータを利用してもよい。例えば、外部の装置で生成された点数データを通信I/Fを介して外部から受信し、判定装置1の記憶装置に記憶して使用してもよい。また例えば、演算部は、通信I/Fを介して接続される外部の装置に記憶される点数データを、その外部の装置から読み出して利用してもよい。
【0049】
「過去の債権者に関するデータ」とは、過去の債権者の属性に関する情報の他、保証契約の期間、債権者の支払い遅延の有無、支払い遅延後の債権の回収に要した期間等の情報である。
【0050】
図3に一例を示すように、判定装置1で利用する点数データ21は、申請者の「属性」と属性の内容毎に割り当てられる「点数」とを関連付けるデータである。図3の例では、属性には、「年齢」、「性別」、「職業」、「勤続年数」、「年収」、「住居費比率」及び「同居人数」を含む。
【0051】
年齢の内容として、「19歳以下」、「20〜29歳」、「30〜39歳」、「40〜49歳」、「50〜59歳」、「60〜69歳」、「70歳以上」を含む。またそれぞれの内容に点数「x11」、「x12」、「x13」、「x14」、「x15」、「x16」、「x17」が関連付けられる。
【0052】
また、性別の内容として、「男性」及び「女性」を含む。またそれぞれの内容に点数「x21」、「x22」が関連付けられる。
【0053】
職業の内容として、「会社員」、「公務員」、「自営業」、「アルバイト」、「学生」、「無職」を含む。またそれぞれの内容に点数「x31」、「x32」、「x33」、「x34」、「x35」、「x36」が関連付けられる。
【0054】
勤続年数の内容として、「0年」、「1年」、「2〜3年」、「4〜5年」、「6〜8年」、「9〜10年」、「11〜15年」、「16〜20年」、「21年以上」を含む。またそれぞれの内容に点数「x41」、「x42」、「x43」、「x44」、「x45」、「x46」、「x47」、「x48」、「x49」が関連付けられる。
【0055】
年収の内容として、「0円」、「1〜99万円」、「100〜299万円」、「300〜599万円」、「600〜899万円」、「900〜1999万円」、「2000万円以上」を含む。またそれぞれの内容に点数「x51」、「x52」、「x53」、「x54」、「x55」、「x56」、「x57」が関連付けられる。
【0056】
住居費比率の内容として、「10%以下」、「10〜20%」、「20〜30%」、「30〜40%」、「40%以上」を含む。またそれぞれの内容に点数「x61」、「x62」、「x63」、「x64」、「x65」が関連付けられる。なお、「住居費比率」とは、申請者の年収に対する借家の賃料の比率である。
【0057】
同居人数の内容として、「0人」、「1人」、「2人」、「3人」、「4人以上」を含む。またそれぞれの内容に点数「x71」、「x72」、「x73」、「x74」、「x75」が関連付けられる。
【0058】
なお、図3は、点数データ21の一例であって、これ以外の「属性」を含んでもよいし、各属性の「内容」も他の内容を含んでもよい。これらの属性及び内容は、申請者の信用情報の特定に利用可能な様々な情報により決定することができる。例えば、申請者の自動車免許証が所定の条件を満たすか否かの情報を利用してもよいし、勤務先の情報を利用してもよい。
【0059】
図4に一例を示すように、判定装置1で利用するリスクデータ22は、判定装置1が判定結果とするリスクの程度を表わす「判定リスク」と、この判定リスクを設定する「スコア範囲」と、賃料支払いの延滞が所定の回数以上となる「確率」とを関連付けるデータである。すなわち、図3に示す点数データ21及び図4に示すリスクデータ22は、「賃料支払いの延滞が所定の回数以上となった契約者」に関する情報を用いて生成されたデータの一例である。図4の例では、「判定リスク」として、「A」、「B」、「C+」、「C-」、「D+」、「D-」、「E+」、「E-」、「F+」、「F-」、「G」を含む。ここでは、最もリスクの低いものをAとし、A〜Gの順でリスクが高くなるものとする。
【0060】
図4に示すリスクデータ22の例では、演算部12が、後述する方法で求めたスコアS1が、S1<A1であるときの判定リスクを「A」と規定する。また、このとき、延滞が所定回以上となる確率を、「z11」と規定する。
【0061】
図4に示すリスクデータ22の例では、スコアS1が、A1≦S1<B1であるときの判定リスクを「B」と規定する。またこのとき、延滞が所定回以上となる確率を、「z12」と規定する。
【0062】
図4に示すリスクデータ22の例では、スコアS1が、B1≦S1<C1であるときの判定リスクを「C+」と規定する。またこのとき、延滞が所定回以上となる確率を、「z13」と規定する。
【0063】
図4に示すリスクデータ22の例では、スコアS1が、C1≦S1<C2であるときの判定リスクを「C-」と規定する。またこのとき、延滞が所定回以上となる確率を、「z14」と規定する。
【0064】
図4に示すリスクデータ22の例では、スコアS1が、C2≦S1<D1であるときの判定リスクを「D+」と規定する。またこのとき、延滞が所定回以上となる確率を、「z15」と規定する。
【0065】
図4に示すリスクデータ22の例では、スコアS1が、D1≦S1<D2であるときの判定リスクを「D-」と規定する。またこのとき、延滞が所定回以上となる確率を、「z16」と規定する。
【0066】
図4に示すリスクデータ22の例では、スコアS1が、D2≦S1<E1であるときの判定リスクを「E+」と規定する。またこのとき、延滞が所定回以上となる確率を、「z17」と規定する。
【0067】
図4に示すリスクデータ22の例では、スコアS1が、E1≦S1<E2であるときの判定リスクを「E-」と規定する。またこのとき、延滞が所定回以上となる確率を、「z18」と規定する。
【0068】
図4に示すリスクデータ22の例では、スコアS1が、E2≦S1<F1であるときの判定リスクを「F+」と規定する。またこのとき、延滞が所定回以上となる確率を、「z19」と規定する。
【0069】
図4に示すリスクデータ22の例では、スコアS1が、F1≦S1<F2であるときの判定リスクを「F-」と規定する。またこのとき、延滞が所定回以上となる確率を、「z110」と規定する。
【0070】
図4に示すリスクデータ22の例では、スコアS1が、F2≦S1<G1であるときの判定リスクを「G」と規定する。またこのとき、延滞が所定回以上となる確率を、「z111」と規定する。
【0071】
なお、図4は、リスクデータ22の一例である。例えば、判定リスクの数は、A〜Gの11に限定されず、これより多くてもよいし、少なくてもよい。
【0072】
図5のフローチャートを用いて、判定装置1における処理の一例を説明する。
【0073】
受付部11は、申請フォームに記入された申請者の情報を受け付ける(S01)。申請者の情報には、申請者の各属性の内容が含まれる。また、受付部11は、受け付けた申請者の情報を、演算部12に出力する。
【0074】
演算部12は、受付部11から申請者の情報が入力されると、記憶装置20から点数データ21を読み出し、点数データ21から入力された申請者の情報に含まれる各属性と対応する点数をそれぞれ抽出する(S02)。
【0075】
例えば、申請者の年齢「30」、性別「男性」、職業「会社員」、勤続年数「7年」、年収「550万円」、住居費比率「22%」、同居人数「2人」であるとする。このとき、演算部12は、点数「x13」、「x21」、「x31」、「x45」、「x54」、「x63」、「x73」を抽出する。
【0076】
また、演算部12は、抽出した点数を利用してスコアS1を演算する(S03)。演算部12は、求めたスコアS1を特定部13に出力する。スコアS1の演算は、母集団に対し最も精度が高い予測ができる手法がロジスティック回帰分析である場合、ステップS02で抽出した各点数の合計をXとすると、下記式(1)によって求められる。
S1=1/(1+1/(exp(X)) ・・・(1)
【0077】
特定部13は、演算部12からスコアS1が入力されると、記憶装置20からリスクデータ22を読み出し、リスクデータ22から入力されたスコアと対応する判定リスクを抽出する(S04)。また、特定部13は、抽出した判定リスクを、出力部14に出力する。
【0078】
例えば、スコアS1が、B1≦S1<C1の範囲に含まれるとき、特定部13は、判定リスク「C+」を抽出する。
【0079】
出力部14は、特定部13から判定リスクが入力されると、入力された判定リスクを、判定結果として出力装置40に出力する(S05)。例えば、出力部14は、出力装置40であるディスプレイに判定リスクを出力する。
【0080】
上述したように、判定装置1は、過去の債務者に関する履歴情報を用いて生成されたデータを利用して、申請者の申請情報から、債務保証契約を交わした場合のリスクを容易に判定する。これにより、申請者との有償契約を交わすか否かの判断を客観的にかつ容易に行うことが可能となり、作業負担を軽減できる。ここで、有償契約には、例えば、上述したように、保証契約や保証委託契約等、様々な契約が含まれる。
【0081】
なお、上述の例では、判定装置1は、「賃料支払いの延滞が所定回以上となった契約者」に関する履歴情報を用いて生成され点数データ21及びリスクデータ22を使用する例で説明した。しかしながら、これに限らず、他の契約者の履歴情報を用いて生成したデータを使用して判定してもよい。例えば、滞納された後、法的措置に移管された契約者の履歴情報を用いて生成したデータを使用して判定してもよい。
【0082】
〈第2実施形態〉
図6に示すように、第2実施形態に係る判定装置1Aは、図2を用いて上述した判定装置1と比較して、記憶装置20が記憶するデータが異なる。具体的には、判定装置1Aの記憶装置20は、第1の点数データ211、第2の点数データ212、第1のリスクデータ221、第2のリスクデータ222及び判定プログラムP2を記憶する。
【0083】
判定装置1Aは、記憶装置20が記憶する判定プログラムP2を読み出して実行することで、CPU10が、受付部11、演算部12、特定部13、出力部14及び生成部15としての処理を実行する。
【0084】
ここで、第1の点数データ211と、第2の点数データ212とは、過去の異なるデータに基づいて生成されたデータであるものとする。例えば、第1の点数データ211は、過去に滞納した債務者に関する履歴情報に基づいて生成されたデータとし、第2の点数データ212は、過去に滞納し、さらに回収ができずに法的措置に移管した債務者に関する履歴情報に基づいて生成されたデータとすることができる。
【0085】
演算部12は、第1のリスクデータ211から第1のスコアS1を求め、第2のリスクデータ222から第2のスコアS2を求める。
【0086】
特定部13は、第1のスコアS1から第1の債務者の支払いリスクを求め、かつ、第2のスコアS2から第2の債務者の支払いリスクを求める。また、特定部13は、第1のスコアと第2のスコアに基づき債務者の支払いリスクを求める。
【0087】
例えば、第1の点数データ211は、図3を用いて上述した点数データ21と同一の構成で実現可能であるため、図2を用いて説明する。また、第1のリスクデータ221は、図4を用いて上述したリスクデータ22と同一の構成で実現可能であるため、図4を用いて説明する。
【0088】
図7に一例を示すように、判定装置1Aで利用する第2の点数データ212は、申請者の「属性」と属性の内容毎に割り当てられる「点数」とを関連付けるデータである。図7の例では、属性には、「年齢」、「年収」、「住居費比率」、「子供人数」、「免許リスク」及び「固定電話」を含む。すなわち、第2の点数データ212は、第1の点数データ211と異なるデータ構成である。このとき、第1の点数データ211と第2の点数データ212の一部の属性は同一であってもよいが、属性又は属性の内容や、これらに関連付けられる点数のうちの少なくとも一部は異なるものとする。
【0089】
年齢の内容として、「19歳以下」、「20〜29歳」、「30〜39歳」、「40〜49歳」、「50〜59歳」、「60〜69歳」、「70歳以上」を含む。またそれぞれの内容に点数「y11」、「y12」、「y13」、「y14」、「y15」、「y16」、「y17」が関連付けられる。ここで、各点数y11〜y17は、図3で上述したx11〜x17と同一であってもよいが、異なっていてもよい。なお、年齢の範囲も、図3の年齢の範囲とは異なる範囲で区切られていてもよい。
【0090】
年収の内容として、「0円」、「1〜99万円」、「100〜299万円」、「300〜599万円」、「600〜899万円」、「900〜1999万円」、「2000万円以上」を含む。またそれぞれの内容に点数「y31」、「y32」、「y33」、「y34」、「y35」、「y36」、「y37」が関連付けられる。ここで、各点数y31〜y37は、図2で上述したx51〜x77と同一であってもよいが、異なっていてもよい。なお、年収の範囲も、図2の年収の範囲とは異なる範囲で区切られていてもよい。
【0091】
住居費比率の内容として、「10%以下」、「10〜20%」、「20〜30%」、「30〜40%」、「40%以上」を含む。またそれぞれの内容に点数「y41」、「y42」、「y43」、「y44」、「y45」が関連付けられる。ここで、各点数y41〜y45は、図2で上述したy41〜y45と同一であってもよいが、異なっていてもよい。住居費比率の範囲も、図2の住居費比率の範囲とは異なる範囲で区切られていてもよい。
【0092】
子供人数の内容として、「0人」、「1人」、「2人」、「3人」、「4人以上」を含む。またそれぞれの内容に点数「y51」、「y52」、「y53」、「y54」、「y55」が関連付けられる。
【0093】
免許リスクの内容として、「無」、「有」を含む。またそれぞれの内容に点数「y61」、「y62」が関連付けられる。免許リスクとは、自動車免許証が所定の条件を満たすか否かに基づいて特定されるリスクの有無である。
【0094】
固定電話の内容として、「無」、「有」を含む。またそれぞれの内容に点数「y71」、「y72」が関連付けられる。
【0095】
なお、図7は、第2の点数データ212の一例であって、これ以外の「属性」を含んでもよいし、各属性の「内容」も他の内容を含んでもよい。これらの属性及び内容は、申請者の信用情報の特定に利用可能な様々な情報により決定することができる。
【0096】
図8に一例を示すように、判定装置1で利用する第2のリスクデータ222は、判定装置1が判定結果とするリスクの程度を表わす「判定リスク」と、この判定リスクを設定する「スコア範囲」と、移管となる「確率」とを関連付けるデータである。すなわち、図7に示す第2の点数データ212及び図8に示すリスクデータ222は、「賃料支払いの延滞がされた結果、法的措置に移管された契約者」に関する情報を用いて生成されたデータの一例である。図7の例では、「判定リスク」として、「A」、「B」、「C+」、「C-」、「D+」、「D-」、「E+」、「E-」、「F+」、「F-」、「G」を含む。ここでは、最もリスクの低いものをAとし、A〜Gの順でリスクが高くなるものとする。
【0097】
図8に示す第2のリスクデータ222の例では、演算部12が、後述する方法で求めたスコアS2が、S2<A2であるときの判定リスクを「A」と規定する。また、このとき、移管となる確率を、「z21」と規定する。
【0098】
図8に示す第2のリスクデータ222の例では、スコアS2が、A2≦S2<B2であるときの判定リスクを「B」と規定する。またこのとき、移管となる確率を、「z22」と規定する。
【0099】
図8に示す第2のリスクデータ222の例では、スコアS2が、B2≦S2<C3であるときの判定リスクを「C+」と規定する。またこのとき、移管となる確率を、「z23」と規定する。
【0100】
図8に示す第2のリスクデータ222の例では、スコアS2が、C3≦S2<C4であるときの判定リスクを「C-」と規定する。またこのとき、移管となる確率を、「z24」と規定する。
【0101】
図8に示す第2のリスクデータ222の例では、スコアS2が、C4≦S2<D3であるときの判定リスクを「D+」と規定する。またこのとき、移管となる確率を、「z25」と規定する。
【0102】
図8に示す第2のリスクデータ222の例では、スコアS2が、D3≦S2<D4であるときの判定リスクを「D-」と規定する。またこのとき、移管となる確率を、「z26」と規定する。
【0103】
図8に示す第2のリスクデータ222の例では、スコアS2が、D4≦S2<E3であるときの判定リスクを「E+」と規定する。またこのとき、移管となる確率を、「z27」と規定する。
【0104】
図8に示す第2のリスクデータ222の例では、スコアS2が、E3≦S2<E4であるときの判定リスクを「E-」と規定する。またこのとき、移管となる確率を、「z28」と規定する。
【0105】
図8に示す第2のリスクデータ222の例では、スコアS2が、E4≦S2<F3であるときの判定リスクを「F+」と規定する。またこのとき、移管となる確率を、「z29」と規定する。
【0106】
図8に示す第2のリスクデータ222の例では、スコアS2が、F3≦S2<F4であるときの判定リスクを「F-」と規定する。またこのとき、移管となる確率を、「z210」と規定する。
【0107】
図8に示す第2のリスクデータ222の例では、スコアS2が、F4≦S2<G2であるときの判定リスクを「G」と規定する。またこのとき、移管となる確率を、「z211」と規定する。
【0108】
なお、図8は、第2のリスクデータ222の一例である。例えば、判定リスクの数は、A〜Gの11に限定されず、これより多くてもよいし、少なくてもよい。
【0109】
図9のフローチャートを用いて、判定装置1Aにおける処理の一例を説明する。
【0110】
受付部11は、申請フォームに記入された申請者の情報を受け付ける(S11)。申請者の情報には、申請者の各属性の内容が含まれる。また、受付部11は、受け付けた申請者の情報を、演算部12に出力する。
【0111】
演算部12は、受付部11から申請者の情報が入力されると、記憶装置20から第1の点数データ211を読み出し、第1の点数データ211から入力された申請者の情報に含まれる各属性と対応する点数をそれぞれ抽出する(S12)。
【0112】
例えば、申請者の年齢「30」、性別「男性」、職業「会社員」、勤続年数「7年」、年収「550万円」、住居費比率「22%」、同居人数「2人」であるとする。このとき、演算部12は、点数「x13」、「x21」、「x31」、「x45」、「x54」、「x63」、「x73」を抽出する。
【0113】
また、演算部12は、抽出した点数を利用して第1のスコアS1を演算する(S13)。演算部12は、求めた第1のスコアS1を特定部13に出力する。第1のスコアS1の演算は、例えば、ステップS12で抽出した各点数の合計をXとしたとき、下記式(1)によって求められる。
S1=1/(1+1/(exp(X)) ・・・(1)
【0114】
また、演算部12は、受付部11から申請者の情報が入力されると、記憶装置20から第2の点数データ212を読み出し、第2の点数データ212から入力された申請者の情報に含まれる各属性と対応する点数をそれぞれ抽出する(S14)。
【0115】
例えば、申請者の年齢「30」、性別「男性」、年収「550万円」、住居費比率「22%」、子供人数「1人」、免許リスク「無」、固定電話「有」であるとする。このとき、演算部12は、点数「y13」、「y21」、「y34」、「y43」、「y52」、「y61」、「y72」を抽出する。
【0116】
また、演算部12は、抽出した点数を利用して第2のスコアS2を演算する(S15)。演算部12は、求めた第2のスコアS2を特定部13に出力する。第2のスコアS2の演算は、例えば、ステップS14で抽出した各点数の合計をYとしたとき、下記式(2)によって求められる。
S2=1/(1+1/(exp(Y)) ・・・(2)
【0117】
特定部13は、演算部12から第1のスコアS1が入力されると、記憶装置20から第1のリスクデータ221を読み出し、第1のリスクデータ221から入力された第1のスコアS1と対応する第1の判定リスクを抽出する(S16)。
【0118】
例えば、第1のスコアS1が、B1≦S1<C1の範囲に含まれるとき、特定部13は、第1の判定リスク「C+」を抽出する。
【0119】
特定部13は、演算部12から第2のスコアS2が入力されると、記憶装置20から第2のリスクデータ222を読み出し、第2のリスクデータ222から入力された第2のスコアS2と対応する第2の判定リスクを抽出する(S17)。
【0120】
例えば、第2のスコアS2が、A2≦S2<B2の範囲に含まれるとき、特定部13は、第2の判定リスク「B」を抽出する。
【0121】
また、特定部13は、ステップS16で抽出した第1の判定リスクと、ステップS17で抽出した第2の判定リスクとから、総合の判定結果を生成する(S18)。特定部13は、総合の判定結果を出力部14に出力する。
【0122】
ここで、特定部13は、例えば、第1の判定リスクがE+以下、かつ、第2の判定リスクもE+以下である申請者の判定結果を申請拒否としてもよい。また、特定部13は、例えば、第1の判定リスクがB+〜E-、かつ、第2の判定リスクもB+〜E-である申請者の判定結果を要検討としてもよい。さらに、特定部13は、例えば、第1の判定リスクがF+以下、かつ、第2の判定リスクがB以下である申請者の判定結果を申請拒否としてもよい。すなわち、第1の判定リスクと第2の判定リスクは、異なる情報に基づいて生成されたものであるため、これらを組み合わせることで、より精度よく判定することが可能となる。
【0123】
また、特定部13は、第1の判定リスクと第2の判定リスクとから、総合の判定結果を特定する例で説明したが、これに限られない。例えば、演算部12が求めた第1のスコアS1と第2のスコアS2とに基づいて、総合的な判定結果を特定してもよい。また例えば、第1のリスクデータ221で演算部12が求めた第1のスコアS1と関連付けられる確率と、第2のリスクデータ222で演算部12が求めた第2のスコアS2と関連付けられる確率とに基づいて、総合的な判定結果を特定してもよい。
【0124】
出力部14は、特定部13から判定結果が入力されると、入力された判定結果を出力装置40に出力する(S19)。例えば、出力部14は、出力装置40であるディスプレイに判定リスクを出力する。
【0125】
上述したように、判定装置1Aは、過去の債務者に関する履歴情報を用いて生成されたデータと、過去の賃料支払いの延滞が所定回以上となった債務者に関する履歴情報を用いて生成されたデータを組み合わせて利用して、申請者の申請情報から、有償契約を交わした場合のリスクを容易に判定する。これにより、申請者との保証契約を交わすか否かの判断を客観的にかつ容易に行うことが可能となり、作業負担を軽減できる。また、複数の情報に基づいて生成された別々のデータを組み合わせて使用することで、判定の精度を向上させることや、ユーザの希望に沿う判定をすることができる。
【0126】
なお、上述の例では、判定装置1は、「賃料支払いの延滞が所定回以上となった契約者」に関する履歴情報を用いて生成され第1の点数データ211及び第1のリスクデータ221(以下、「遅滞モデルのデータ」とする)と、「賃料支払いの延滞がされた結果、法的措置に移管された契約者」に関する履歴情報を用いて生成された第2の点数データ212及び第2のリスクデータ222(以下、「移管モデルのデータ」とする)とを組み合わせて使用する例で説明した。しかしながら、これに限らず、他の契約者の履歴情報を用いて生成したデータを使用して判定してもよい。
【0127】
また、上述の例の場合、債務者が、特に、「遅滞する可能性の高い申請者との有償契約の締結」を避けたい場合、「遅滞モデルのデータ」のみを使用して判定することができる。また、債務者が、特に、「賃料支払いが遅滞して法的移管がされる可能性の高い申請者との有償契約の締結」を避けたい場合、「移管モデルのデータ」のみを使用して判定することができる。さらに、「遅滞する可能性の高い申請者との有償契約の締結」及び「賃料支払いが遅滞して法的移管がされる可能性の高い申請者との有償契約の締結」の両方を避けたい場合、「遅滞モデルのデータ」と「移管モデルのデータ」の両方を使用して判定することができる。
【0128】
上記実施の形態において、判定装置1,1Aの各部は、上述したように、CPUおよびメモリを用いてソフトウェアによって実現してもよいし、集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現してもよい。また、各機能部は、1又は複数の集積回路により実現されてよく、複数の機能部の機能を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどと呼称されることもある。また、当該回路は、再構築可能な回路(例えば、FPGA:Field Programmable Gate Away)により実現されてもよい。
【0129】
判定装置1,1Aの各機能部をソフトウェアにより実現する場合、判定装置1,1Aは、各機能を実現するソフトウェアである判定プログラムP1,P2の命令を実行するCPU、判定プログラムP1,P2および各種データがコンピュータ(又はCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)又は記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、判定プログラムP1,P2を展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(又はCPU)が判定プログラムP1,P2を上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、判定プログラムP1,P2は、判定プログラムP1,P2を伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。本発明は、判定プログラムP1,P2が電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0130】
なお、判定プログラムP1,P2は、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)などのスクリプト言語、Objective−C、Java(登録商標)などのオブジェクト指向プログラミング言語、HTML5などのマークアップ言語などを用いて実装できる。
【0131】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0132】
上記実施の形態に示した構成並びに参考例に示した構成は適宜組み合わせることとしてもよい。
【符号の説明】
【0133】
1 判定装置
11 受付部
12 演算部
13 特定部
14 出力部
15 生成部
【要約】
【課題】 有償契約の締結の可否を判定する判定装置を提供する。
【解決手段】債務者の属性を受け付ける受付部と、債務者の属性の内容毎に割り当てられた点数に基づき債務者に関するスコアを求める演算部と、演算部が求めたスコアに基づき、債務者の支払いリスクを特定する特定部とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9