(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る動吸振器を制振対象物に取り付けた様子を示した斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る動吸振器の分解斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る動吸振器を用いて実施した振動試験1の制振対象物を示した(a)正面図、(b)側面図である。
【
図4】振動試験1で動吸振器を制振対象物に取り付けるために、動吸振器と制振対象物の間に挟んだフラットバーの(a)平面図、(b)側面図である。
【
図5】
図2に示した拘束部材本体の(a)正面図、(b)平面図、(c)背面図、(d)側面図である。
【
図6】
図2に示した蓋部材の(a)平面図、(b)側面図である。
【
図8】実施例7〜12の質量体における括れ部を分割して示した平面図である。
【
図10】振動試験1における比較例1〜7の結果である。
【
図11】振動試験1における実施例1〜6の結果である。
【
図12】振動試験1における実施例7〜12の結果である。
【
図13】振動試験1における比較例1〜7、実施例1〜6、及び実施例7〜12の緩衝材総幅と減衰比の関係を示したグラフである。
【
図14】本発明の第2実施形態に係る動吸振器の分解斜視図である。
【
図16】
図14の質量体に対し、中央の大径部の両端に緩衝材を設けた様子示す平面図である。
【
図17】本発明のその他の実施形態に係る動吸振器の括れ部を示した質量体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳述する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る動吸振器100を制振対象部材Aに取り付けた様子を示している。動吸振器100は、
図1に示すように、制振部材1と、拘束部材2と、取付手段3(
図9参照)を備えている。
【0012】
制振部材1は、
図2に示すように、棒状の質量体11と、複数の緩衝材12とを備えている。質量体11は、鉄鋼やステンレス鋼、黄銅等の金属製の丸棒からなり、長手方向の両端に設けられる大径部11bと長手方向の中央に設けられる括れ部11aとを有している。括れ部11aは、大径部11bと同軸にして、大径部11bよりも小径に設けられている。
【0013】
緩衝材12は、CR(クロロプレン)等のゴム製の短冊状スポンジからなり、質量体11に巻回されている。
図2の例では、緩衝材12は、質量体11の両端に3枚ずつが巻回されているが、2枚以下でもよいし、4枚以上でもよく、質量体11の長手方向の中間部分に設けてもよい。
【0014】
拘束部材2は、アルミニウム合金等の金属やABS等の樹脂等から、
図1に示すような偏平の直方体状に形成され、拘束部材本体21と、蓋部材22と、長手方向に延びる正方形の貫通孔からなる制振部材挿入部23とを備えている。尚、拘束部材は、直方体に限らず、その他の多面体形状を適宜に採用できる。また、
図1の例では、制振部材挿入部23は、6本としたが、5本以下でも7本以上でもよい。
【0015】
拘束部材本体21は、
図2に示すように、長板状をなし、長手方向に延びる角溝21aと、角溝21aを区画する隔壁21bとを備えている。隔壁21bの上縁には、蓋部材22を拘束部材本体21に連結するボルト4を螺合するための雌ねじ孔21cが設けられている。角溝21aの寸法は、制振部材挿入部23に制振部材1が収容された状態で、拘束部材本体21の角溝21aの内壁と蓋部材22の裏面に緩衝材12が当接するよう設けられている。
【0016】
尚、角溝21aは、拘束部材本体21に設けられた溝のみを示し、制振部材挿入部23(
図1参照)は、拘束部材本体21を蓋部材22で蓋をして貫通孔となった状態を示している。
【0017】
蓋部材22は、拘束部材本体21と同じ材料から、平面視で拘束部材本体21と同寸の長方形の板状に形成されている。蓋部材22は、ボルト貫通孔22a,…にボルト4を挿通して拘束部材本体21の雌ねじ孔21cに螺合することで、拘束部材本体21に結合される。
【0018】
取付手段3は、
図5に示すように、アルミニウム合金等の金属からなる矩形の板材からなり、上面を拘束部材本体21の底面に、下面を制振対象部に接着剤により貼着されている。
<振動試験1>
次に、第1実施形態に係る動吸振器100を用いて行った振動試験について説明する。
本振動試験は、
図9に示すように、制振対象部材Aに動吸振器100を載置して実施した。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(試験方法)
制振対象部材Aとして、
図3に示した寸法(単位:mm)のNICオートテック株式会社製(型式AFS−100150H−10−4000)のアルミニウムフレームを用いた。制振対象部材Aは、A6063製のアルミニウム合金の押出し材からなり、長手方向に延びる貫通孔A1と上面及び下面に2条ずつ、左右の側面に1条ずつの溝A2とを有している。
【0019】
制振対象部材Aは、
図9に示したように、制振対象部材Aの長手方向の2箇所において床面に配設した支持部材Cの上に載置した。支持部材Cは、60mm角×厚み30mm、硬度30の直方体のCRゴムからなり、制振対象部材Aの長手方向に厚み方向を合わせて床面に載置されている。
【0020】
動吸振器100は、取付手段3として、
図4に示したA5052製のフラットバー(株式会社ミスミ製の型式HUMDA−AM−A91−B50−T10−F27−W30−X5−Y10−M5−L59−S10−G30−MA5−CC5(
図4中の寸法がA=91mm、B=50mm、T=10mm、F=27mm、W=30mm、X=5mm、Y=10mm、M=M5mm(雌ねじ孔径)、L=59mm、S=10mm、G=30mm、MA=M5mm(雌ねじ孔径)、CC=5mmであることを示す。)を制振対象部材Aの長手方向の中央においてコニシ株式会社製ボンド アロンアルファNO.5にて貼着し、その上に動吸振器100をその長手方向を制振対象部材Aの長手方向に平面視で直交するように載置した。フラットバー3と動吸振器100の下面は接着剤にて接合した。
(実施例1)
実施例1では、
図7に示した質量体11を用いた。
図7中の寸法単位はmmである。実施例1では、質量体11を、黄銅製のロッド(株式会社ミスミ製、型番RDOG20−588)から、括れ部11aを一体機械加工して形成した。大径部11bは素材寸法とした。この質量体を、以下「一体型」の質量体という。
【0021】
かかる質量体11の両端に、片面に接着剤層が施されたCRゴム製の厚み1mm×幅15mmのスポンジからなる緩衝材12を1つずつ、それぞれ3周巻回した。
【0022】
制振部材1は、拘束部材2の端から3番目の制振部材挿入部23に挿入した。
【0023】
振動試験は、加速度計Q(PCB製356A17)を、
図9に符号Qで示した位置の一つに設置し、符号Pの位置をインパクトハンマ(PCB製:086D20)で叩いて加振した。振動試験は、加速度計Qの位置を
図9に示した様に変えながら5回実施した。
【0024】
こうして加速度計にて得られたデータからOROS社製FFTアナライザ(型式OR35−4)を用いて曲げ1次モードの固有振動数、及び減衰比を算出し、比較例1(拘束部材2のみ)の減衰比からの減衰比の増減を求めた。
(実施例2〜6)
実施例1の緩衝材と同じ緩衝材を
図12に示した様に巻回した他は、実施例1と同様にして振動試験を行った。
(実施例7)
質量体11の括れ部11aを、
図8に示したように、大径部11bから分割して形成し、大径部11bに螺子により連結するようにした他は、実施例1と同じようにして試験を実施した。以下、この質量体を「分割型」の質量体という。
(実施例8〜12)
緩衝材12を
図12に示した様に巻回した他は、実施例7と同様にして振動試験を行った。
(比較例1)
制振部材1を用いず、拘束部材2のみを制振対象部材Aに載置した他は、実施例1と同様にして振動試験を行った。
(比較例2)
質量体として、実施例1と同じ黄銅製のロッド(株式会社ミスミ製、型番RDOG20−588)に括れ部を設けない質量体を用いた他は、実施例1と同様にして振動試験を行った。以下、この質量体を「直線型」の質量体という。
(比較例3〜比較例7)
緩衝材12を
図10に示した様に巻回した他は、比較例2と同様にして振動試験を行った。尚、拘束部材2の中に、緩衝材を巻回しない黄銅製のロッド質量体を用いて振動試験を行ったものを「ノーマル」(
図10備考参照)としたものについて実施した振動試験により得られた固有振動数と減衰比を
図10に合わせて記載している。
【0025】
実施例1〜実施例12、及び比較例1〜比較例7の試験条件、及び結果を
図10乃至
図12に示す。また、各実施例、比較例で得られた減衰比と緩衝材総幅の関係を
図13に示す。
図10〜
図12に示すように、全ての実施例、及び比較例で固有振動数は50Hz以下(35Hz程度)であることが確認できた。
【0026】
そして、
図10、
図13に示すように、括れの無い質量体を用いた比較例2〜比較例7では、緩衝材総幅を変更しても減衰比は、あまり変化しないことが分かった。
【0027】
これに対し、
図11〜
図13に示すように、括れの有る質量体11を用いた実施例1〜実施例12では、緩衝材総幅により、減衰比が大きく変化することが分かった。これにより、低周波に対して、括れのない質量体よりも括れのある質量体の方がチューニングし易いことが分かった。
【0028】
また、実施例1〜6と実施例7〜12により、分割型の質量体を用いることで、一体型の質量体を用いるのと同様の効果が得られることが分かった。
(第2実施形態)
図14は、本発明の第2実施形態に係る動吸振器200を示している。動吸振器200は、制振部材201と拘束部材2とを備えている。拘束部材2は、第1実施形態と同じであり、その他、本実施形態において、第1実施形態と共通する部材は同一符号を付して説明を省略する。
【0029】
制振部材201は、質量体211に緩衝材12を巻回して設けられる。質量体211は、その長手方向を左右として、左右対称に設けられる一対の括れ部211a、211aと、それらの外側、及び内側に設けられる計3箇所の大径部211b,211b,211cとを有している。図示の例では、質量体211の両端部(外側の大径部211b)に緩衝材12が巻回されている。緩衝材12は、
図16に示した様に、中央の大径部211cに設けることもできる。
<シミュレーション試験>
ダッソーシステムズ社製のシミュレーションソフト「Solidworks Simulation」(バージョン2016)を用いて、実施例2の制振部材1(重量:1.3kgf)と下記の実施例13の制振部材201について、有効質量と質量寄与率を求めた。
(実施例13)
実施例13の質量体211は、第2実施形態に係る括れ部211aを2つ備えるものであり、
図15に示した各部の寸法が、a=20mm、b=50mm、c=448mm、d1=φ20mm、d2=φ4mmで、黄銅製として計算した重量が1.3kgfとなる。制振部材201は、質量体211の両端から幅10mmにCRゴム製の1mm厚のスポンジからなる緩衝材12を3重に巻回したものとして、シミュレーション試験を行った。
【0030】
シミュレーション試験の結果、実施例2の制振部材は、有効質量が0.964kgf、軸垂直方向(z方向のことです。)の質量寄与率が0.72324であったのに対し、実施例13の制振部材は、有効質量が1.243kgf、軸垂直方向の質量寄与率が0.947であった。実施例13の制振部材は、質量寄与率が、実施例1の制振部材の質量寄与率の32%増しである。
【0031】
質量寄与率が大きいと、質量体が振動することにより吸収するエネルギーが大きくなるため、動吸振器の制振効果をより高められると予想される。
(その他の実施形態)
本発明の動吸振器は上記の実施形態に限らず、括れ部は、
図17に示した質量体311のように、大径部311bと括れ部311aの境界を、括れ部311aに向かって徐々に縮径するよう設けてもよい。括れ部は、3つ以上設けてもよいし、括れ部の位置は、質量体の長手方向の中間であれば、何れの位置に設けてもよい。
【0032】
拘束部材は、上記の実施形態に限らず、特許文献1に示した様なものを適宜に利用できる。
【0033】
緩衝材12は、
図16のように質量体の端部に限らず、質量体の任意の中間位置に設けてもよく、大径部の端部に限らず大径部の任意の中間位置に設けてもよい。
【0034】
取付手段としては、制振対象物の振動を制振部材により制振できる程度に固定できれば、特に限定されず、上述したフラットバーの他、接着剤、ボルト、ナット、溶接部、クランプ、両面テープ、巻回固定用テープ、バンド等、公知の構成を単独で、あるいは複数種を組み合わせて用いることができる。
【解決手段】本発明の動吸振器100は、棒状の質量体11、及び質量体11の外周を包むように設けられる複数の緩衝材12を有する制振部材1と、制振部材1が挿入される貫通孔又は溝からなり、少なくとも複数の緩衝材12の位置で制振部材1を内包し、緩衝材の外面側から緩衝材を拘束する制振部材挿入部を有する拘束部材と、拘束部材を制振対象物に取付ける取付手段とを備えている。そして、本発明は、質量体11が、長手方向の隣接する部分より外径の細い括れ部11aを少なくとも1つ有することを特徴とする。