(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プラグソケットは、前記電源の電圧を当該電圧とは異なる所定の電圧に変圧するアダプタを介して前記端子または当該端子に接続された電力線に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベーター。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるエレベーターの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
(エレベーターの構成)
まず、この発明にかかる実施の形態のエレベーターの構成について説明する。
図1は、この発明にかかる実施の形態のエレベーターの構成を示す説明図である。
【0017】
図1において、この発明にかかる実施の形態のエレベーター100は、たとえば、ロープ式(トラクション式)のエレベーター100によって実現することができる。エレベーター100は、たとえば、複数階建てのビルなどの建物内に設置される。
【0018】
エレベーター100が備える各部は、制御盤101によって駆動制御される。制御盤101は、エレベーター100が備える各部と接続されており、たとえば、制御盤101からエレベーター100が備える各部に対する信号、いわゆる「下り信号」を出力する。また、制御盤101は、たとえば、エレベーター100が備える各部から制御盤101に対する信号、いわゆる「上り信号」を受け付ける。
【0019】
さらに、制御盤101は、インターネットなどのネットワークを介して、管理サーバコンピュータ150に接続されている。管理サーバコンピュータ150は、監視対象となるエレベーター100が設置されている場所とは異なる、当該エレベーター100が設置されている場所から離れた遠隔地に設置されている。管理サーバコンピュータ150は、たとえば、エレベーター100の保守管理を担う保守管理会社などに設置することができる。
【0020】
制御盤101は、たとえば、管理サーバコンピュータ150に対して、発報用の信号を送信する。制御盤101は、たとえば、エレベーター100において障害を検知した場合や、エレベーター100の運転モードが変化した場合などに、発報用の信号を出力する。また、制御盤101は、管理サーバコンピュータ150から送信される診断動作の実行指示などの各種指示を受信し、受信した指示に応じた下り信号を、エレベーター100が備える各部に対して出力する。
【0021】
診断動作は、制御盤101からエレベーター100が備える各部に対して、当該各部を所定の順序で動作させる信号を出力し、出力した信号にしたがって当該各部が正常に動作したか否かを示す信号を制御盤101から管理サーバコンピュータ150に対して出力することによって実現される。管理サーバコンピュータ150は、たとえば、定期的(たとえば、月の末日が到来するごと)に診断動作の実行指示を出力する。
【0022】
制御盤101と管理サーバコンピュータ150とを、電話回線などの公衆音声網ではなくインターネットを介して接続することにより、地震などの天災発生時などの緊急時に電話回線がパンクすることに起因して、エレベーター100の状況把握が遅延することを回避することができる。これにより、管理サーバコンピュータ150を用いてエレベーター100を遠隔監視する状況において、当該エレベーター100の動作に不具合が生じた場合に迅速な対応をとることができる。
【0023】
制御盤101は、さらに、公衆音声網に接続されていてもよい。公衆音声網は、固定電話網(公衆交換電話網)および携帯電話網を含む。公衆音声網は、電話線を収容する加入者線交換機、加入者線交換機を束ねる中継交換機、ほかの事業者の電話網と接続する関門交換機など、図示を省略する複数の交換機によって構成されている。公衆音声網については、公知の技術であるため説明を省略する。制御盤101を公衆音声網に接続することにより、インターフォンの端末装置(
図2を参照)と管理センターとの音声通信を実現することができる。
【0024】
エレベーター100は、建物における各階床を、鉛直方向に沿って貫通する昇降路(図示を省略する)を備えている。昇降路は、1台のエレベーター100に1つずつ設けられている。昇降路内には、人や物品を搭載するカゴ(乗りカゴ)102が設けられている。カゴ102は、1台のエレベーター100、すなわち、1つの昇降路に1つずつ設けられており、昇降路の方向すなわち鉛直方向に沿って昇降移動する。カゴ102は、図示を省略するカゴ枠によって支持されており、当該枠とともに昇降移動する。
【0025】
昇降路の側面には、カゴ102(カゴ枠)の昇降位置をガイドするガイドレール(図示を省略する)が設けられている。昇降路の底部には、万一、カゴ102が落下して底面に衝突したときの衝撃を和らげる緩衝器103が設けられている。緩衝器103は、バネの弾性力を利用して衝撃を和らげるバネ式の緩衝器であってもよく、油圧抵抗を利用して衝撃を和らげる油入式の緩衝器であってもよい。緩衝器103は、昇降路の天井面にも設けられていてもよい。
【0026】
昇降路における各階床に対応した位置(乗り場)104には、それぞれ扉104aが設けられている。乗り場104に設けられた扉104aは、図示を省略するインターロックなどと称される装置で施錠されている。インターロックは、カゴ102が停止階に到着した状態でカゴ102の扉102aを開閉させるモーターを駆動した場合にのみ、カゴ102の扉102aの開閉機構とかみ合って施錠を解放する。これにより、カゴ102が位置する階床における乗り場104に設けられた扉104aのみを連動して開閉することができる。
【0027】
各乗り場104には、それぞれ、操作盤105が設置されている。操作盤105は、それぞれ、乗り場呼びボタン105a、カゴ102が位置する階床などを表示する表示器105bなどを備えている。また、操作盤105は、それぞれ、操作盤105用の制御基板105cを備えている。各操作盤105は、それぞれが備える制御基板105cを介して制御盤101に接続されている。
【0028】
カゴ102は、ロープ106の一端に連結されている。ロープ106は、つるべ式に滑車(図示を省略する)および巻上機(トラクションマシン)107に架けられ、他端がカウンタウエイト108に連結されている。ロープ106は、具体的には、たとえば、鋼鉄製のワイヤーによって実現することができる。
【0029】
ロープ式のエレベーター100における巻上機107は、たとえば、エレベーター100の最上部に設けられた機械室に設置される。巻上機107は、機械室の有無にかかわらず、エレベーター100における最上部に設けることができる。あるいは、エレベーター100が、機械室がないタイプである場合、巻上機107は、エレベーター100における下部に設けられるものであってもよい。
【0030】
巻上機107は、たとえば、インバーターを介して制御盤101に接続されており、カゴ102を停止させる階床において回転を停止するように制御盤101によって駆動制御される。ロープ式のエレベーター100においては、巻上機107を駆動することによって発生する、ロープ106と滑車との間の摩擦力(トラクション)を利用して、カゴ102を昇降させる。
【0031】
巻上機107は、図示を省略するエンコーダを備えており、制御盤101はエンコーダからの出力信号に基づいて、巻上機107の回転速度や回転位置を判断することができる。エンコーダは、たとえば、アブソリュートエンコーダを用いてもよく、インクリメンタルエンコーダを用いてもよい。
【0032】
カゴ102の底部には、カウンタウエイト108の底部に一端が連結された重量バランス調整用のワイヤーロープ(あるいは、鎖)の他端が連結されている(図示を省略する)。これにより、たとえば、高層建築物に設置されるエレベーター100において、ロープ106の重量に起因して、最上階や最下階の近辺においてカゴ102側とカウンタウエイト108側との重量のバランスの不均衡が生じてロープ106が巻上機107のシーブから滑り落ちてしまうことを確実に防止することができる。
【0033】
また、エレベーター100は、電磁ブレーキ109、調速機(ガバナマシン)110、リミットスイッチ111などを備えている。電磁ブレーキ109は、コイルを備え、制御盤101によって駆動制御されて当該コイルに通電することにより発生する電磁力を利用して、巻上機107の回転を停止する。電磁ブレーキ109は、巻上機107の回転を停止した状態を保持することができる。
【0034】
電磁ブレーキ109は、停電などによって電源の供給が停止した場合に、巻上機107の回転を制止する。電磁ブレーキ109は、具体的には、たとえば、停電時などコイルへの通電が切れたときにスプリングの力で動作して巻上機107の回転を制止する無励磁作動型の電磁ブレーキ109を用いることができる。
【0035】
調速機110は、カゴ102の速度超過を検出する。調速機110は、たとえば、ガバナロープ110a、ガバナプーリー110b、回転錘(図示を省略する)などを備えた遠心調速機によって実現することができる。このような調速機110において、ガバナロープ110aは、カゴ102の動作と連動する。ガバナプーリー110bは、ガバナロープ110aの動作に連動して回転する。
【0036】
回転錘は、ガバナプーリー110bの回転速度、すなわち、ガバナプーリー110bの回転に起因する遠心力の大きさに応じて動作する。具体的に、回転錘は、ガバナプーリー110bの回転速度が速い場合にガバナプーリー110bの外周側に開くように動作し、ガバナプーリー110bの回転速度が遅い場合にガバナプーリー110bの内周側に閉じるように動作する。
【0037】
リミットスイッチ111は、巻上機107に対する電源の供給/遮断を切り替えるスイッチレバー(図示を省略する)を備えている。スイッチレバーは、平時は巻上機107に対して電源を供給する位置に位置付けられており、調速機110の回転錘に付勢された場合に、巻上機107に対する電源の供給を遮断する位置に変位する。
【0038】
調速機110の回転錘は、カゴ102の昇降速度が、定格速度に対して一定速以上の速度になった場合に、スイッチレバーが巻上機107に対する電源の供給を遮断する位置に変位するように、スイッチレバーを付勢する。これにより、カゴ102に速度超過が発生したときに、巻上機107の動作を停止し、カゴ102を停止させることができる。
【0039】
さらに、エレベーター100は、図示を省略する非常停止装置を備えていてもよい。非常停止装置は、カゴ102の動作とガバナロープ110aの動作とが異なる場合、すなわち、ガバナロープ110aが停止しているにもかかわらずカゴ102が動作している場合に、カゴ102の動作を強制的に停止させる。非常停止装置は、公知の各種の技術を用いて容易に実現することができるため、説明を省略する。
【0040】
カゴ102には、操作盤102bが設けられている。操作盤102bは、各種の操作ボタン201や、カゴ102が位置する階床などを表示する表示器202を備えている(
図2を参照)。また、カゴ102には、扉102aを開閉させるモーター、扉開閉センサ、障害物検出装置、荷重センサなどの各種のセンサ341(
図3を参照)やブザー(図示を省略する)などが設けられている。
【0041】
カゴ102の上部には、カゴ上ボックス112が設けられている。カゴ上ボックス112は、たとえば、カゴ102の天井板の上、すなわち、カゴ102の外側に設けられる。カゴ上ボックス112には、電源回路310や制御回路320などを備えた電気回路300を構成する基板が収容されている(
図3を参照)。
【0042】
操作盤102b、扉102aを開閉させるモーター、扉開閉センサ、障害物検出装置、荷重センサなどの各種のセンサやブザーなど、カゴ102に設けられた各種の負荷は、カゴ上ボックス112が収容する基板の電気回路に電気的に接続されている。具体的には、カゴ102に設けられた各種の負荷は、たとえば、一端が当該負荷に接続された電線の他端を、電気回路が備える端子に接続することによって、電気回路に電気的に接続されている。カゴ102に設けられた各種の負荷と、電気回路との間には、リレーや変圧器が介在していてもよい。電気回路については、説明を後述する(
図3を参照)。
【0043】
扉102aを開閉させるモーターは、正逆方向に回転可能であって、たとえば、扉102aを開く際に正方向に回転し、扉102aを閉める際に逆方向に回転する。扉102aを開閉させるモーターは、たとえば、カゴ102の天井板の上に設けられている。扉開閉センサは、扉102aの開閉状態を検出する。扉開閉センサは、たとえば、扉102aや扉104aが開状態にあるか閉状態にあるかに応じて出力が変化するマイクロスイッチや光電センサなどによって実現することができる。
【0044】
障害物検出装置は、対をなす扉102aの間における人などの物体の挟まりを検知する。具体的に、障害物検出装置は、たとえば、対をなす扉102aの間に設けられて、扉102aの開き方向に突出するように付勢されたセーフティーシューや、当該セーフティーシューが扉102aの内側に押し込まれた場合に、対をなす扉102aの間における物体の挟まりを検知したことを示す信号を出力するマイクロスイッチなどによって構成することができる。
【0045】
荷重センサは、カゴ102における積載荷重を検出する。具体的に、荷重センサは、たとえば、ロードセルによって実現することができる。ロードセルは、たとえば、カゴ102の底部とカゴ枠との間に設けられる。ブザーは、荷重センサの検出結果に応じてブザー音を出力する。ブザーは、カゴ102における積載荷重(質量)が、当該カゴ102にかかる定格積載荷重(質量)などの所定の質量を超過した場合にブザー音を出力する。
【0046】
(カゴ102およびカゴ102に設けられた各部の一例)
つぎに、カゴ102およびカゴ102に設けられた各部の一例について説明する。
図2は、カゴ102およびカゴ102に設けられた各部の一例を示す説明図である。
【0047】
図2において、カゴ102に設けられた操作盤102bは、上記のように、カゴ102の行先階を指定する行先階ボタンや、扉102aの開閉を指示する扉開閉ボタンなどを含む操作ボタン201を備えている。また、操作盤102bは、カゴ102が位置する階床などを表示する表示器202を備えている。操作盤102bは、たとえば、カゴ102の内側の壁面であって、カゴ102の扉102aの近傍に設けられている。
【0048】
操作盤102bは、操作盤102b用の制御基板(
図3を参照)を備えている。操作盤102b用の制御基板は、たとえば、操作盤102bにおいて、エレベーター100の利用者などによる操作ボタン201に対する入力操作を受け付けるごとに、当該入力操作に応じた呼び信号を生成し、生成した呼び信号を出力する。また、操作盤102b用の制御基板は、表示器202を制御して、カゴ102が位置する階床を表示したり、移動方向を表示したりする。
【0049】
カゴ102には、インターフォンの端末装置203が設けられている。インターフォンの端末装置203は、呼出ボタンとマイクとスピーカーとを備えている(いずれも図示を省略する)。インターフォンの端末装置203におけるマイクやスピーカーは、
図2に示すように、操作盤102bに一体的に組み込まれていてもよい。インターフォンの端末装置203は、たとえば、カゴ上ボックス112が収容する基板の電気回路を介して制御盤101に接続されている。
【0050】
また、カゴ102には、カゴ102の内部の空間を照明する照明器具204や換気装置(図示を省略する)が設けられている。照明器具204は、たとえば、カゴ102の天井に設けることができ、具体的には、電球(白熱灯)や、蛍光灯、LED(Light Emitting Diode)など公知の各種の光源を用いることができる。
【0051】
換気装置は、カゴ102に設けられて、カゴ102の内部と外部とを連通するスリット(図示を省略する)を介して、カゴ102内の空気を換気するファン(図示を省略する)を備えている。照明器具204や換気装置などの負荷も、カゴ102に設けられた各種の負荷と同様に、カゴ上ボックス112が収容する基板の電気回路に接続されている。
【0052】
さらに、カゴ102には、コンセントプラグの挿入を受け付けるプラグソケット205が設けられている。プラグソケット205は、コンセントプラグが挿入される(
図4を参照)ことによって当該コンセントプラグとともに配線用差込接続器を構成する。具体的には、たとえば、日本において汎用的に用いられているAタイプのプラグソケット205を用いることができる。
【0053】
プラグソケット205は、Aタイプに限るものではない。具体的には、たとえば、インドやインドネシアなどにおいて広く用いられているB3タイプやCタイプのプラグソケット205を用いてもよく、香港などにおいて広く用いられているBFタイプのプラグソケット205を用いてもよい。
【0054】
あるいは、韓国などにおいて広く用いられているSEタイプのプラグソケット205を用いてもよく、台湾などにおいて広く用いられているOタイプのプラグソケット205を用いてもよい。中国など、複数タイプのプラグソケット205が普及している国や地域においては、Aタイプ、Bタイプ、Cタイプ、B3タイプ、BFタイプ、SEタイプ、Oタイプなど様々なタイプの中から、エレベーター100を設置する地域に応じた任意のタイプのプラグソケット205を用いることが好ましい。
【0055】
プラグソケット205は、カゴ上ボックス112が収容する基板の電気回路に電気的に接続されている。すなわち、プラグソケット205は、カゴ上ボックス112が収容する基板の電気回路の端子に直接結線されているものに限らず、当該端子に接続された電力線に接続されていてもよい。このような電力線にプラグソケット205を接続する場合、当該電力線に分岐用のコネクタを設け、当該コネクタにプラグソケット205を接続することができる。
【0056】
図2に示すように、プラグソケット205がカゴ102内に露出している場合、当該プラグソケット205は、カゴ102内の高い位置に配置することが好ましい。このように、カゴ102内に露出したプラグソケット205をカゴ102内の高い位置に配置することにより、雨天時に傘や衣服から飛んだ水滴が付着することを防止でき、また、子供などによる悪戯をしにくくすることができる。
【0057】
プラグソケット205は、1つのカゴ102に1つ設けられていてもよく、1つのカゴ102に複数設けられていてもよい。1つのカゴ102に複数のプラグソケット205を設ける場合、当該複数のプラグソケット205を並べて配置してもよく、複数箇所に分散して配置してもよい。
【0058】
プラグソケット205は、たとえば、当該プラグソケット205がカゴ102の内壁面と同一面内に位置するように配置する。あるいは、プラグソケット205は、たとえば、カゴ上ボックス112が収容する基板の電気回路とプラグソケット205とを接続する電線(ケーブル)の一部とともに、カゴ102の内側に突出するようにして配置してもよい。
【0059】
プラグソケット205を、カゴ102の内側に突出するようにして配置する場合、カゴ上ボックス112が収容する基板の電気回路とプラグソケット205とを接続する電線(ケーブル)を、コイルバネや引っ張りバネなどを用いて、カゴ102の外側へ付勢する(引っ張る)ようにしてもよい。
【0060】
これにより、プラグソケット205の不使用時には当該プラグソケット205をカゴ102の内側に突出させないようにすることができる。この場合、カゴ102の外側へ引っ張られるプラグソケット205が、カゴ102の外側へ抜けてしまわないようにストッパ(図示を省略する)を設けることが好ましい。ストッパは、たとえば、突起などによって実現することができる。
【0061】
(基板の電気回路の構成)
つぎに、基板の電気回路の構成について説明する。
図3は、基板の電気回路の構成を示すブロック図である。
図3において、基板301の電気回路300は、AC電源(商用電源)に接続されている。AC電源は、たとえば、単相変圧器の中性点から引き出される中性線と2本の電圧線とを合わせた3線を用いて単相交流電力を送る単相3線式により、送電網から変電所を通して引込線に接続された引込線取付点から供給される。3線のうち中性線といずれか一方の電圧線との電圧差は100V、2本の電圧線の電圧差は200Vであるため、エレベーター100において100Vおよび200Vを利用することができる。
【0062】
電気回路300は、基板301に搭載された電源回路310や制御回路320を備えている。電源回路310は、変圧器311、整流回路312、平滑回路313、定電圧回路314を備えている。変圧器311は、AC電源から入力されるAC電圧を、所定のAC電圧に変換する。変圧器311は、AC電源から入力されるAC電圧を、あらかじめ設定された所定のAC電圧に変換する。整流回路312は、変圧器311によって変圧されたAC電圧をDC電圧に変換する。
【0063】
平滑回路(フィルタ)313は、整流回路312によって変換された、振幅のあるDC電源を直線的に平滑化する。平滑回路313は、このような、整流回路312によって変換されたDC電源が含むAC成分(リップル)による波形の歪みを平滑化する。定電圧回路314は、平滑回路313から出力されるDC電源を監視して、当該DC電源と基準となる電圧とを比較して差が生じる場合に、トランジスタの出力電圧を制御する。これにより、平滑回路313から出力されるDC電源が、電源回路310に接続される負荷や環境に応じて変化するという不安定な要素を緩和することができ、出力するDC電源の電圧を一定に保つことができる。
【0064】
カゴ102に設けられた各負荷は、直接、あるいは、リレー(継電器)331、インバーター332、整流回路333、変圧器334などを介して、それぞれAC電源に接続されている。リレー331は、電磁石とスイッチ(接点機構)とを備え、電磁石のコイルに通電することにより生じる電磁吸引力を利用してスイッチの開閉をおこなう。インバーター332は、コンバーター回路332aと、コンデンサ332bと、インバーター回路332cと、を備えている。これにより、AC電源を直接、あるいは、リレー331、インバーター332などを介して各負荷に供給することができる。あるいは、整流回路によって変換したDC電源を、各負荷に供給することができる。
【0065】
AC電源、あるいは、AC電源を変圧したDC電源からの電源供給を受ける負荷は、具体的には、たとえば、扉102aを開閉させるモーター340、扉開閉センサ・障害物検出装置・荷重センサなどの各種のセンサ341やブザーなどの負荷によって実現することができる。また、AC電源、あるいは、AC電源を変圧したDC電源からの電源供給を受ける負荷は、リレー331やインバーター332を含んでいてもよい。
【0066】
図3においては、リップル含有率が小さく、ノイズが少ないことから非常に安定性が高いシリーズ電源にかかる電源回路310について説明したが、これに限るものではない。たとえば、シリーズ電源に代えて、スイッチング電源を用いてもよい。シリーズ電源に代えてスイッチング電源を用いることにより、AC入力を直接電圧変換するための大きなトランスを不要とし、電圧安定化回路の放熱を抑制して効率の低下や発熱を抑えることができ、入力電圧の許容範囲を広くすることができる。
【0067】
制御回路320は、制御盤101やカゴ102に設けられた各負荷と接続されている。制御回路320は、制御盤101から出力される下り信号に応じてカゴ102に設けられた各負荷を駆動制御したり、カゴ102に設けられた各負荷からの出力信号に応じた上り信号を、制御盤101に出力したりする。具体的に、制御回路320は、それぞれバスによって接続される入力端子321と、出力端子322と、CPU(Central Processing Unit)323と、メモリ324と、通信I/F(InterFace)325と、によって構成することができる。
【0068】
入力端子321は、制御回路320に接続される各負荷とCPU323とを接続するハードウエアインターフェースであって、制御回路320に接続された各負荷から出力される信号の入力を受け付け、入力を受け付けた信号をCPU323に出力する。また、入力端子321は、制御盤101と接続されている。
【0069】
具体的に、入力端子321は、たとえば、操作盤102b用の制御基板303から出力される呼び信号や、扉開閉センサなどの各種センサから出力される信号など、上り信号の入力を受け付ける。また、具体的に、入力端子321は、制御盤101から出力される下り信号の入力を受け付け、入力を受け付けた信号をCPU323に出力する。
【0070】
出力端子322は、制御回路320に接続された各負荷とCPU323とを接続するハードウエアインターフェースであって、CPU323から出力される信号を制御回路320に接続された各負荷に出力する。また、出力端子322は、制御盤101と接続されており、各負荷から出力された信号に基づいてCPU323から出力される信号を、制御盤101に出力する。
【0071】
具体的に、出力端子322は、たとえば、制御盤101から出力された制御用の下り信号に基づいてCPU323から出力された信号を、カゴ102の扉102aや乗り場104の扉104aを開閉させるモーター340に対して出力する。カゴ102の扉102aや乗り場104の扉104aを開閉させるモーター340は、インバーター332を介して、制御回路320に接続されていてもよい。これにより、カゴ102の扉102aや乗り場104の扉104aをなめらかに開閉させることができる。
【0072】
また、具体的に、出力端子322は、たとえば、扉開閉センサなどの各種センサ341から出力される信号に基づいてCPU323から出力された信号を、制御盤101に対して出力する。また、具体的に、出力端子322は、たとえば、リレー331やインバーター332を介して、照明器具204と接続されている。
【0073】
CPU323は、カゴ102に設けられて、制御回路320に接続された各負荷を制御する。メモリ324は、制御盤101との通信や、カゴ102に設けられた各負荷の制御に用いるプログラムやデータなどを記憶している。CPU323は、たとえば、入力端子321を介して入力された信号に基づいて、メモリ324に記憶されたプログラムやデータなどを用いた演算処理をおこなう。また、CPU323は、たとえば、演算処理の結果に基づく信号を、出力端子322を介して、制御盤101やカゴ102に設けられた各負荷に出力する。
【0074】
具体的に、CPU323は、たとえば、制御盤101から出力され入力端子321を介して受け付けた下り信号に基づいて、カゴ102の扉102aや乗り場104の扉104aを開閉させるモーター340を制御する制御信号を出力端子322を介して出力することにより、当該モーター340を制御する。これにより、モーター340を駆動して、カゴ102の扉102aや乗り場104の扉104aを開閉させることができる。
【0075】
また、具体的に、CPU323は、たとえば、制御盤101から出力され入力端子321を介して入力を受け付けた信号に基づいて、カゴ102が位置する階床やカゴ102の走行方向(上昇中か下降中か)を表示器202において表示させる信号を生成し、生成した信号を、出力端子322を介して、操作盤102b用の制御基板303に対して出力する。これにより、表示器202において、カゴ102が位置する階床やカゴ102の走行方向を表示させることができる。
【0076】
また、具体的に、CPU323は、たとえば、扉開閉センサから出力され入力端子321を介して入力を受け付けた信号に基づいて、カゴ102の扉102aや乗り場104の扉104aの開閉状態を示す信号を生成し、生成した信号を、出力端子322を介して制御盤101に対して出力する。これにより、制御盤101において、カゴ102の扉102aや乗り場104の扉104aの開閉状態を認識することができ、カゴ102の扉102aや乗り場104の扉104aの開閉状態が確実に閉まっている状態で巻上機107を駆動することができる。
【0077】
また、具体的に、CPU323は、たとえば、扉開閉センサから出力され入力端子321を介して入力を受け付けた信号に基づいて、カゴ102が所定時間継続して動作していない、すなわち、待機状態が所定時間継続したと判断した場合、出力端子322を介してリレー331やインバーター332に対して制御信号を出力し、操作盤102b、照明器具204、換気装置への電力の供給を停止して、節電状態とする。
【0078】
通信I/F325は、CPU323と制御盤101とのインターフェースをつかさどり、CPU323と制御盤101との間におけるデータの入出力を制御する。通信I/F325は、たとえば、制御盤101から出力される下り信号をCPU325に出力したり、CPU325から出力される信号を上り信号として制御盤101に出力したりする。
【0079】
プラグソケット205は、電気回路300において、AC電源をカゴ102に設けられた負荷に供給する電路に接続されている。プラグソケット205は、AC電源の電圧と同じ電圧が印加される電路に接続されている。電気回路300における電路には、複数の端子302が設けられている。プラグソケット205は、たとえば、このような端子302のうち、AC電源の電圧と同じ電圧が印加される端子302に接続する。あるいは、プラグソケット205は、たとえば、このような端子302のうち、AC電源の電圧と同じ電圧が印加される端子302に接続された電力線に接続してもよい。
【0080】
具体的に、たとえば、AC電源の電圧が100Vである場合、プラグソケット205は100Vの電圧が印加されている端子302や電力線に接続する。また、たとえば、AC電源の電圧が200Vである場合、プラグソケット205は200Vの電圧が印加されている端子302や電力線に接続する。これにより、プラグソケット205を介して接続される電気機器に対して、100Vや200Vの電圧で給電することができる。
【0081】
また、プラグソケット205は、AC電源の電圧と同じ電圧が印加される電力線において、リレー331よりAC電源側に接続されている。これにより、プラグソケット205を介して接続される電気機器に対して、AC電源の電圧と同じ電圧を供給することができる。
【0082】
プラグソケット205は、AC電源の電圧を当該電圧とは異なる所定の電圧に変圧するアダプタを介して電気回路300に接続されていてもよい。この場合、アダプタは、交流を直流に変換する整流機能を備えていてもよい。
【0083】
(プラグソケット205の使用例)
つぎに、プラグソケット205の使用例について説明する。
図4は、プラグソケット205の使用例を示す説明図である。
図4に示すように、プラグソケット205が、カゴ102の内側に配置されているため、エレベーター100の設置後に、たとえば、カゴ102の内側を監視する監視カメラを電気機器401として、容易に設置することができる。
【0084】
あるいは、電気機器401は、ディスプレイを備えた端末装置によって実現してもよい。近年、防犯上の観点から各階床に監視カメラを設置しているエレベーター100が存在している。このようなエレベーター100において、このようなディスプレイを備えた端末装置である電気機器401を、プラグソケット205を介して接続し、カゴ102内に取り付けることにより、カゴ102が停止する予定の階床の画像をカゴ102内に表示することができる。
【0085】
また、
図4に示すように、プラグソケット205を、カゴ102内の高い位置に配置することにより、雨天時に傘や衣服から飛んだ水滴が付着したり、子供による悪戯を防止することができる。
【0086】
(カゴ102およびカゴ102に設けられた各部の別の一例)
つぎに、カゴ102およびカゴ102に設けられた各部の別の一例について説明する。
図5は、カゴ102およびカゴ102に設けられた各部の別の一例を示す説明図である。
【0087】
上述した
図2においては、プラグソケット205がカゴ102内において露出している態様について説明したが、プラグソケット205の配置は、別の態様であってもよい。具体的には、
図5に示すように、カゴ102の壁面にカバー501を設け、当該カバー501によってプラグソケット205を覆うようにしてもよい。これにより、プラグソケット205に電気機器401を接続しない場合は、当該プラグソケット205をカバー501で覆い、掃除などに際してプラグソケット205に水分や異物が入ることに起因する故障を効果的に防止することができる。
【0088】
このようなカバー501を設ける場合、プラグソケット205は、たとえば、
図5に示すように、エレベーター100の利用者の手が容易に届く高さに設けることが好ましい。プラグソケット205をエレベーター100の利用者の手が容易に届く高さに設けることにより、利用者に対して、プラグソケット205を利用しやすくすることができる。
【0089】
また、カバー501は、ロック機構を備えていてもよい。ロック機構は、鍵を差し込むことによって解錠/施錠する構成であってもよく、CPU323の制御によって解錠/施錠する構成であってもよい。CPU323の制御によってカバー501を解錠/施錠するロック機構は、具体的には、たとえば、ソレノイドロックによって実現することができる。
【0090】
CPU323によりロック機構を制御することによってカバー501を解錠/施錠する構成においては、所定の条件が整った場合にのみ、ロック機構によるカバー501の施錠を解除(解錠)するようにしてもよい。具体的に、たとえば、ソレノイドロックにおいては、所定の条件が整った場合にのみ、ソレノイドロックが備えるソレノイドへの通電のON/OFFを切り替えることにより、所定の条件が整った場合にのみロック機構によるカバー501の施錠を解除(解錠)することができる。
【0091】
より具体的には、CPU323は、たとえば、操作盤102bに対して所定の操作がおこなわれた場合や、エレベーター100の状態や管理サーバコンピュータ150から所定の指示に応じて制御盤101からロック解除を指示する下り信号を受け付けた場合にのみ、ソレノイドへの通電のON/OFFを切り替えて、ロック機構によるカバー501の施錠を解除することができる。
【0092】
また、カバー501にロック機構を設ける場合、カバー501を開く方向に付勢するバネなどの付勢部材をさらに設け、ロック機構によるロックの解除に応じてカバー501が開くようにしてもよい。これにより、プラグソケット205が有効に使用できること、すなわち、給電を受けることができることを、容易かつ確実に知らせることができる。
【0093】
このように、CPU323の制御によって施錠/解錠するロック機構をカバー501に設けることにより、プラグソケット205をエレベーター100の利用者の手が容易に届く高さに設ける場合にも、プラグソケット205に対する悪戯などを防止することができる。
【0094】
(プラグソケット205の使用例)
つぎに、
図5に示すプラグソケット205の使用例について説明する。
図6は、
図5に示すプラグソケット205の使用例を示す説明図である。
図5に示すように、プラグソケット205を保護するカバー501を設けることにより、たとえば、地震に起因して、利用者600がカゴ102内にいる状態でエレベーター100の動作が停止した際などの非常時に、利用者600の携行するスマートフォンやタブレット端末などの電気機器401に給電することができる。これにより、利用者は安心して救助を待つことができ、利用者の利便性の向上を図ることができる。
【0095】
また、カゴ102内に複数のプラグソケット205を設けることにより、複数の利用者が同時に各自の携行するスマートフォンやタブレット端末などの電気機器401に給電することができる。これにより、複数の利用者600がカゴ102内にいる状態でエレベーター100の動作が停止した際などの非常時にも、各利用者を安心させ、救助を待たせることができ、利用者の利便性の向上を図ることができる。
【0096】
なお、エレベーター100は、インターフォンの端末装置203の呼出ボタンが操作された場合に、当該操作をおこなった利用者600と保守管理会社などにおいて待機するオペレーターとの間における直接通話(直話)を実現する音声通信用の回路(図示を省略)を備えている。音声通信用の回路は、CPU、メモリ、音声通信用のI/F、各種の入出力端子などを備え、公衆音声網などのネットワークに接続されている。
【0097】
音声通信用の回路は、インターフォンの端末装置203の呼出ボタンが操作されたことに応じて当該インターフォンの端末装置203から出力される直話要求を受け付けた場合、保守管理会社などにおいて待機するオペレーターに対する発呼(架電)をおこなう。音声通信用の回路は、インターフォンの端末装置203(エレベーター100)と保守管理会社などに設置されたPBX(Private Branch eXchange:構内交換機)などとの間における音声通信にかかるインターフェースをつかさどる。カゴ102内の利用者600の発話はマイクを介してオペレーターに伝わり、オペレーターの発話はスピーカーを介して利用者600に伝えられる。これにより、たとえば、利用者600がカゴ102内にいる状態でエレベーター100の動作が停止した際に、当該利用者600とオペレーターとの直話を実現することができる。
【0098】
このようなエレベーター100においては、インターフォンの端末装置203の呼出ボタンが操作された場合に、直話要求を、音声通信用の回路に加えて、制御回路320に出力してもよい。この場合、制御回路320は、直話要求が入力端子321を介してCPU323にされると、通信I/F325を介して管理サーバコンピュータ150に対する発報信号を出力する。
【0099】
管理サーバコンピュータ150は、インターフォンの端末装置203の呼出ボタンが操作されたことに応じた発報信号を受信すると、当該発報信号の送信元となるエレベーター100に対して、当該発報信号の送信元となるエレベーター100から出力された発呼(架電)を着信したオペレーターの画像を送信する。制御回路320は、オペレーターの画像を受信すると、受信した画像を、出力端子322を介して操作盤102b用の制御基板303に出力する。操作盤102b用の制御基板303は、制御回路320から出力された画像を表示器202に出力(表示)する。
【0100】
図7は、インターフォンの端末装置203の呼出ボタンが操作された場合のカゴ102内の状況の一例を示す説明図である。
図7に示すように、インターフォンの端末装置203の呼出ボタンが操作された場合、表示器202に、オペレーターの画像701が表示される。この場合、カゴ102内の利用者600の映像は、たとえば、プラグソケット205に接続された電気機器401である監視カメラから取得して、管理サーバコンピュータ150に送信してもよい。これにより、管理サーバコンピュータ150とエレベーター100との間で音声および画像による双方向通信をおこなうことができる。これにより、オペレーターと利用者600との間で確実な情報の伝達をおこなうことができ、早期の救助が必要な利用者600をより確実に救出することができる。
【0101】
表示器202が液晶ディスプレイなどのような任意の画像701を表示できる形式ではなく量子ドットディスプレイなどの場合は、たとえば、タブレット端末などのように、液晶ディスプレイや有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイを備えた、端末装置をカゴ102に取り付け、当該端末装置にオペレーターの画像701を表示するようにしてもよい。この場合、端末装置がマイクやカメラを備える場合は、当該端末装置が取得した音声や画像による双方向通信をおこなうことができる。これによっても、オペレーターと利用者600との間で確実な情報の伝達をおこなうことができ、早期の救助が必要な利用者600をより確実に救出することができる。
【0102】
このように、インターフォンの端末装置203の呼出ボタンが操作された場合は、エレベーター100からオペレーターへの架電をおこなうとともに、当該操作に応じた発報信号を管理サーバコンピュータ150に対して出力することにより、直話に加えて、カゴ102内の利用者600に対して、対応しているオペレーターの画像を見せることにより、動作が停止したカゴ102内にいる利用者を安心させることができる。そして、これにより、利用者600に安心して救助を待たせることができるので、利用者の利便性の向上を図ることができる。
【0103】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態のエレベーター100は、昇降路内を移動するカゴ102と、カゴ102の外側に設けられ、AC電源とカゴ102に設けられた負荷とを電気的に接続する端子302を備えた基板301と、カゴ102の内側に配置され、コンセントプラグの挿入を受け付けるプラグソケット205と、を備え、プラグソケット205が、基板301においてAC電源の電圧と同じ電圧が印加される端子302または当該端子302に接続された電力線に接続されていることを特徴としている。
【0104】
この発明にかかる実施の形態のエレベーター100によれば、エレベーター100の設置後であっても給電を要する電気機器401を、容易かつ速やかに設置することができるので、電気機器401を設置する作業者の負担軽減を図ることができる。これにより、エレベーター100の設置後に、給電を要する電気機器401を取り付ける場合の作業時間の短縮を図り、エレベーター100の利用者、作業者の負担軽減を図ることができる。
【0105】
また、この発明にかかる実施の形態のエレベーター100によれば、作業時間の短縮を図ることにより、作業のためにエレベーター100が使用できない時間を短くすることができる。これにより、エレベーター100の利用者の利便性が低下することを抑制して、利用者の利便性を確保することができる。
【0106】
また、カゴ102にプラグソケット205を設けておくことにより、エレベーター100の設置後にカゴ102内に設置した電気機器401を撤去する場合は、孔の埋め戻し作業などをおこなうことなく、当該電気機器401を取り外すだけでよい。これによって、電気機器401を容易かつ速やかに撤去することができる。
【0107】
また、この発明にかかる実施の形態のエレベーター100は、基板301が、AC電源とカゴ102に設けられた負荷とを電気的に接続するリレー(継電器)331を備え、プラグソケット205が、リレー331よりAC電源側において端子302または当該端子302に接続された電力線に接続されていることを特徴としている。
【0108】
この発明にかかる実施の形態のエレベーター100によれば、プラグソケット205を介して接続された電気機器に対しては、リレー331の動作状態にかかわらず、給電を要する電気機器401に対して常時給電することができる。また、エレベーター100の設置後であっても、カゴ102に孔を空けることなく、給電を要する電気機器401をカゴ102内に取り付けて使用することができる。
【0109】
これにより、エレベーター100の設置後であっても、防犯カメラなどのように常時稼動させておくことが好ましい電気機器401を、カゴ102内の美観を損なうことなく、容易かつ速やかに設置することができる。
【0110】
そして、これによって、設置後のエレベーター100におけるカゴ102内に、給電を要する電気機器401を取り付ける作業者の負担軽減を図るとともに、作業時間の短縮を図ることができる。また、これによって、作業のためにエレベーター100が使用できない時間を短くすることができ、エレベーター100の利用者の利便性が低下することを抑制して、利用者の利便性を確保することができる。
【0111】
また、この発明にかかる実施の形態のエレベーター100は、リレー331が、カゴ102が所定時間継続して待機状態になった場合に、電路を開放することを特徴としている。
【0112】
この発明にかかる実施の形態のエレベーター100によれば、リレー331のON/OFF切り替えによって停止する省エネ設計のエレベーターであっても、プラグソケット205を介して接続された電気機器に対しては、リレー331の動作状態にかかわらず、給電を要する電気機器401に対して常時給電することができる。
【0113】
これにより、エレベーター100の設置後であっても、防犯カメラなどのように常時稼動させておくことが好ましい電気機器401を、カゴ102内の美観を損なうことなく、容易かつ速やかに設置することができ、設置後のエレベーター100におけるカゴ102内に、給電を要する電気機器401を取り付ける作業者の負担軽減を図るとともに、作業時間の短縮を図ることができる。また、作業のためにエレベーター100が使用できない時間を短くすることができ、エレベーター100の利用者の利便性が低下することを抑制して、利用者の利便性を確保することができる。
【0114】
また、この発明にかかる実施の形態のエレベーター100は、プラグソケット205が、AC電源の電圧を当該電圧とは異なる所定の電圧に変圧するアダプタを介して、端子302または当該端子302に接続された電力線に接続されていてもよい。
【0115】
この発明にかかる実施の形態のエレベーター100によれば、変圧機能を備えていない電気機器401をプラグソケット205に接続して使用することができる。これにより、エレベーター100の設置後であっても、変圧のためのアダプタなどの機器を別途用意することなく、給電を要する電気機器401を容易かつ速やかにカゴ102内に取り付けて使用することができ、当該電気機器401に適した電圧を印加することができる。
【0116】
また、この発明にかかる実施の形態のエレベーター100によれば、後付けのアダプタを利用することができるので、給電の規格の異なる国や地域ごとにプラグソケット205の仕様を変更することなく、エレベーター100の設置後であっても、幅広い種類の電気機器401を容易かつ速やかにカゴ102内に設置して使用することができる。
【0117】
これにより、電気機器401を設置する作業者の負担軽減を図るとともに、エレベーターの開発や設計にかかるコスト上昇やエレベーターの利用者の利便性の低下を抑えることができる。
【0118】
また、この発明にかかる実施の形態のエレベーター100においては、交流を直流に変換するアダプタを介して、端子302または当該端子302に接続された電力線に接続されていることを特徴としている。
【0119】
この発明にかかる実施の形態のエレベーター100によれば、整流機能を備えていない電気機器をコネクタに接続して使用することができる。近年は直流によって動作する電子回路によって制御される電気機器が多く、コネクタから直流を出力することによって、エレベーターの設置後におけるこのような電気機器の設置を容易かつ速やかにおこなうことができる。
【0120】
また、この発明にかかる実施の形態のエレベーター100によれば、エレベーター100の設置後であっても、整流のためのアダプタなどの機器を別途用意することなく、容易かつ速やかに電気機器を設置して使用することができるので、カゴ102内にアダプタが露出することによるカゴ内の美観低下を回避できる。
【0121】
また、この発明にかかる実施の形態のエレベーター100によれば、たとえば、地震に起因してエレベーター100の動作が停止したカゴ102内に利用者600が閉じ込められてしまった場合にも、救助を待つ間、利用者600の携行するスマートフォンやタブレット端末に給電させることが可能になる。これにより、利用者は安心して救助を待つことができ、利用者の利便性の向上を図ることができる。
エレベーターの設置後に電気機器を設置する場合の作業時間の短縮を図り、エレベーターの利用者、作業者の負担軽減を図るため、昇降路内を移動するカゴ(102)と、カゴ(102)の外側に設けられ、電源とカゴ(102)に設けられた負荷とを電気的に接続する端子を備えた基板と、カゴ(102)の内側に配置され、コンセントプラグの挿入を受け付け、基板において電源の電圧と同じ電圧が印加される端子または当該端子に接続された電力線に接続されたプラグソケット(205)と、を備えたエレベーターを構成した。このようなエレベーターによれば、エレベーターの設置後であっても給電可能な電気機器を、容易かつ速やかに設置することができる。