特許第6333553号(P6333553)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6333553
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】面板を含む流体装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 1/24 20060101AFI20180521BHJP
   F03C 1/24 20060101ALI20180521BHJP
   F04B 9/107 20060101ALI20180521BHJP
   F16H 39/14 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   F04B1/24
   F03C1/24
   F04B9/107
   F16H39/14
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-533789(P2013-533789)
(86)(22)【出願日】2011年10月12日
(65)【公表番号】特表2013-545913(P2013-545913A)
(43)【公表日】2013年12月26日
(86)【国際出願番号】NL2011050698
(87)【国際公開番号】WO2012050446
(87)【国際公開日】20120419
【審査請求日】2014年9月24日
【審判番号】不服2016-14618(P2016-14618/J1)
【審判請求日】2016年9月29日
(31)【優先権主張番号】2005504
(32)【優先日】2010年10月12日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】504265628
【氏名又は名称】インナス・ベスローテン・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】INNAS B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100100170
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 厚司
(72)【発明者】
【氏名】ペーテル・アウグスティヌス・ヨハネス・アフテン
(72)【発明者】
【氏名】ティトゥス・ファン・デン・ブリンク
【合議体】
【審判長】 藤井 昇
【審判官】 久保 竜一
【審判官】 遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−514552(JP,A)
【文献】 特表2005−522631(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102008012404(DE,A1)
【文献】 国際公開第2007/060822(WO,A1)
【文献】 特表2009−531590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 1/00-15/08
F03C 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングにおける2つ以上のパイプポートと、
第1の回転軸(l)の周りで回転する複数のピストン(12)と、第2の回転軸(m1,m2)の周りで回転する複数のシリンダ(11)を含み、複数のシリンダ(11)は複数のピストン(12)のそれぞれを移動可能に収容することによって複数のロータチャンバを形成し、第1の回転軸(l)及び第2の回転軸(m1,m2)は、共通の面(V)において延在するとともに、ロータが回転する際に、前記ロータチャンバの体積が変化するように、鋭角(α)で互いに交差するロータ(14)と、
前記第2の回転軸と一致する面板中心線(m1,m2)を含み、前記ハウジングにおけるパイプポートを前記ロータチャンバと連通するために前記パイプポートのそれぞれと連通する2つ以上の面板ポート(3)を備える面板(25, 34, 50) と、
ドラムポート(6)を含み、前記面板に沿って回転するドラム板(7)であって、前記複数のシリンダ(11)が前記ドラム板に設けられ、前記複数のロータチャンバが前記ドラムポート(6)を介して前記面板ポート(3)と連通するドラム板(7)と、
前記面板及び前記共通の面の相互の位置を調節するための調節装置と、を備える流体装置であって、
前記流体装置が、前記面板(25,34)と前記ハウジングとの間にある面板軸受(30,32)を備えるとともに、
前記面板軸受(30,32)が、前記面板中心線(m1,m2)と垂直に交差する2つの回転軸(Rev2,Rev3)を有し、第2の回転軸(m1,m2)と一致する回転軸(Rev1)と2つの回転軸(Rev2,Rev3)が第1の回転軸(l)と第2の回転軸(m1,m2)の交点(M)で互いに交差し、2つの回転軸(Rev2,Rev3)は垂直に互いに交差し、
前記面板が、回転軸(Rev)の周りに前記面板を回転させることなく、2つの回転軸(Rev2,Rev3)の周りで所定の角度範囲内において回転でき、
前記調節装置は、前記面板を2つの回転軸(Rev2,Rev3)の周りで回転させることにより所望の傾斜位置に調節することができることを特徴とする流体装置。
【請求項2】
前記面板軸受は、球状表面が回転できる、前記面板(34,50)の球状表面(32)と前記ハウジングの凹状表面(53)とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の流体装置。
【請求項3】
前記面板軸受は、2つの回転軸(Rev2,Rev3)と一致する非平行のカルダン軸を有することを特徴とする、請求項に記載の流体装置。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記ハウジングに関する前記面板(25,34)の2つの回転軸(Rev2,Rev3)回りの回転を制限する制限エッジを備えることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の流体装置。
【請求項5】
前記面板は、第2の回転軸(m1,m2)に対して垂直に延在する面に存在する歯(35)を備え、前記ハウジングは、第1の回転軸(l)に対して垂直に延在する面に存在し、歯(35)と噛合する歯(37)を備えることを特徴とする、請求項2に記載の流体装置。
【請求項6】
前記調節装置は、前記ハウジングと前記面板(34,50)との間に設けられた支持シリンダ(43,44,56,58)を有し、支持チャネル(59,61,63)を介して、前記支持シリンダが、第2の回転軸(m1,m2)に対して前記支持シリンダの正反対に位置する前記面板ポート(3)と連通することを特徴とする、請求項2に記載の流体装置。
【請求項7】
前記面板ポート(3)は、前記球状表面の側に接続開口(33)を有し、前記接続開口のまわりの前記面板(34,50)が、前記ハウジングの凹状表面(53)を密閉する密閉リッジ(62)を有することを特徴とする、請求項6に記載の流体装置。
【請求項8】
前記支持シリンダのそれぞれが前記ハウジングの支持表面(52)で支持され、前記支持表面が、円筒状であるとともに第1の回転軸(l)と垂直に交差する中心線を有することを特徴とする、請求項6又は7に記載の流体装置。
【請求項9】
腎臓形の面板ポートを面板の球面側の接続ポートと連通するチャネル(63)の面板の平坦側における周方向の最大寸法が、前記面板ポートの径方向幅の3倍よりも小さいように、前記面板ポート(3)がリッジ(64)を備えることを特徴とする、請求項2に記載の流体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、請求項1の前提部に係る装置に関する。
【背景技術】
【0002】
当該装置は、面板(face plate)の回転が行程容積(swept volume)を調節するために使用されるポンプ又は油圧モータ(hydraulic motor)として、あるいは面板の回転が流体減速装置(hydraulic transformer)の調節のために使用される流体減速装置として、知られている。当該流体減速装置は、例えば、特許文献1及び2に説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO97/31185
【特許文献2】国際公開WO99/40318
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既知の装置の欠点は、とりわけ流体減速装置に適用する際に、広い角度で面板を回転させることを必要とすることであり、それによって、ハウジングでのパイプポートに面板ポートを接続することに関して問題が引き起こされる。更に、面板の駆動が十分に強力でなければならないような高い摩擦が面板の回転の際に生じ、そして、それは、正確で且つ迅速な調節を困難にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この欠点を回避するために、請求項1に係る流体装置(hydraulic device)がある。結果として、面板を迅速且つ正確に調節することは、単純な方法で可能である。
【0006】
流体装置の実施形態は、請求項2に係るものである。結果として、ピストンとシリンダと面板との間での相対的運動は、面板の調節の際に変化しないままである。
【0007】
流体装置の実施形態は、請求項3に係るものである。結果として、面板は面板ポートだけがハウジングでのポートに関して小さな変位を有するという単純な方法で調節することができる。
【0008】
流体装置の実施形態は、請求項4に係るものである。結果として、面板を調節するために、小さな力が要求される。
【0009】
流体装置の実施形態は、請求項5に係るものである。結果として、ストロークの角度が単純な方法で制限される。
【0010】
流体装置の実施形態は、請求項6に係るものである。結果として、面板中心線の周りでの面板の回転は、単純な方法で制限される。
【0011】
流体装置の実施形態は、請求項7に係るものである。結果として、面板の球形表面とハウジングの凹状表面との間に生じ(rise)、且つ面板中心線に対して垂直である力が、補われて(conmpensated)、ボール軸受における摩擦を低減する。
【0012】
流体装置の実施形態は、請求項8に係るものである。結果として、この力を正確に補正できるように、面板と凹状表面との間での面板ポートにおける力の位置が正確に決定される。
【0013】
流体装置の実施形態は、請求項9に係るものである。結果として、面板上に支持円筒によって作用した力の方向は、面板中心線に対して常に垂直であり、面板の回転位置から独立して、面板上の同じ位置を向いている。
【0014】
流体装置の実施形態は、請求項10に係るものである。結果として、面板が容易に移動できるように、面板は、油圧によって引き起こされる力に関してバランスを保っている。
【0015】
流体装置の実施形態は、請求項11に係るものである。結果として、気密面に沿った漏れが最小になるように、面板によるチャネルでの油圧によって引き起こされた面板の変形が、できるだけ回避される。
【0016】
この発明は、図面によるいくつかの実施形態によって以下に明らかにされるであろう。図面は、異なる図における同様の構成要素が同じ参照符号を有する複数の図を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】既知の流体装置の部分を示す。
図2】既知の流体装置の部分を示す。
図3】この発明に係る流体装置の調節方法を示す。
図4図3に示されるような調節方法の第1の実施形態を示す。
図5図3に示されるような調節方法の第2の実施形態を示す。
図6図5の面板の斜視図を示す。
図7図5の面板上の力を模式的に示す。
図8図5の面板と組み合わせた補正シリンダの配置を示す。
図9図3に示されるような調節方法の第3の実施形態を示す。
図10図9の実施形態に係る面板とハウジングの一部との分解斜視図を示す。
図11】反対方向から見たときの、図10に係る面板の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び2に示されるような部分は、流体減速装置(流体トランスフォーマ:hydraulic transformer)のハウジング(図示せず)にマウントされる部分である。当該流体減速装置は、例えば、特許文献1及び2に説明されている。その内容は知られているとみなされる。回転子軸受(rotor bearing)1は、既知の方法でマウントされる。ロータ中心線lを有するロータ軸2が回転可能であるハウジングにおいて、ロータ穴15を含むロータ14は、ロータ軸2にマウントされる。棒状部分は、ロータ穴15にマウントされ、ロータ14の両側でピストン12を形成する。ピストン12は、ピストンリング10を備えている。ピストンリング10の外側表面が、球形状を有し、すべてのピストンのこれらの球体の中心が、ロータ14の側にある1つの面の内にある。ロータ14の左側及び右側は、ロータ14の中心に関して対称である。ロータ14の各側(side)は、ドラム板中心線m1及びドラム板中心線m2の周りで回転するドラムブッシュ11を含むドラム板7と協働する。そして、ロータ中心線lとドラム板中心線m1、及び、ロータ中心線lとドラム板中心線m2は、それぞれ、ロータ中心線lに対して垂直に延在する面に存在する交点Mのストロークの角(angle of stroke)αで互いに交差する。そして、ピストン12のピストンリング10の球状の外側表面の中心ポイントは、その側に位置する。示した実施形態において、ストロークの角度αは約8度である。
【0019】
ドラム板7の回転が可能である心立て(centring)表面22は、ロータ軸2の上に形成されている。心立て表面22は球状である。また、交点(intersection)Mは、球体の中心を形成する。ドラム板7の回転は、キーパスに係合するキー16によりロータ軸2の回転に結合される。ドラム板7の回転の際にキー16がキーパスの中でクランプされないように、キー16は、心立て表面22の半径よりも小さいシャフトの表面の面に曲率半径を有する。恐らく、複数のキー16が存在する。さらに、キー16がロータ軸2にマウントされるとともに、キーパスがドラム板7に設けられることは可能である。
【0020】
ドラム板7は、ピストン12に向けられる側にドラムブッシュ11を備える。ドラムブッシュ11は、ブッシュホルダ18によってドラム板7に対してクランプされている。ドラムブッシュ11は、その内側に円筒壁23を有する。各ピストン12は、ドラムブッシュ11によって包まれている。ピストンリング10が、密閉状態で円筒壁23に沿って移動することができる。ピストン12及び円筒ブッシュ11は、ロータ軸2の回転の際に体積が変化するチャンバ9を形成する。体積変化の結果として、油は、ドラムブッシュ開口24及びドラムポート6を介して、チャンバ9に流入し、チャンバ9から流出する。各チャンバ9は、それ自身のドラムブッシュ開口24及びドラムポート6を有する。ドラムポート6を含むドラム板7は、ハウジングの中で静止状態にある面板4に沿って回転する。油は、腎臓形(kidney-shaped)をした面板ポート3のうちの1つを経由して、ドラムポート6を通って、ハウジングにおけるパイプ接続部(図示せず)まで流れる。面板4は、異なる面板ポート3間で不連続であるリングを一緒に形成する3つの腎臓形の面板ポート3を有する。他の適用については、各面板4は、2つあるいは4つの面板ポート3を有してもよい。各面板ポート3は、例えばそれらがハウジングの中で互いに結合されるということにより、ロータ14の両側で対応する面板ポート3が、同じパイプ接続部に接続されるそれ自身のパイプ接続部を有する。
【0021】
ロータ14の回転のシャフト及びドラム板7が、ストロークの角度αで角度をなしているので、ピストン12はドラム板7の面にある楕円のパスに従う。また、ドラムブッシュ11は、ドラム板7の接触面8の上を滑動するであろう。ホルダー18は、この滑動を可能にする開口を備えるとともに、開始時にチャンバ9における圧力が発生するようにドラム板7とドラムブッシュ11との間のギャップを制限する働きをする。
【0022】
面板ポート3は、ハウジングの表面で支持される面板4の腎臓形の開口である。この表面はロータ中心線lに対して垂直に延在しないが、そのロータ中心線に対して角度をなしており、ドラム板中心線m1あるいはm2の方向と、さらにチャンバ9の体積が最小又は最大である回転位置とを規定する。図1及び2で示されるような既知の流体減速装置において、面板4は、ハウジングにおいて回転自在にマウントされ、ドラム板中心線m1あるいはm2の周りで回転可能である。ドラム板中心線m1,m2の周りで面板4を回転可能にするために、面板4は、その周面の一部に歯形(tooth profile)5を備えている、当該歯形は、駆動手段によって駆動されるギヤーホイールと噛合する。
【0023】
図1及び2に示されるようなロータ軸2に関するドラム板7の位置において、上チャンバ9の体積が最小であり、下チャンバ9の体積が最大である。この実施形態でのピストンとクランクロッドの機構に類似するのを別の言葉で言いかえれば、上チャンバ9は上死点(top dead center)BDPと呼ぶことができる。
【0024】
面板4を回転させる際、上記特許出願で述べられているように、流体減速装置のセッティングが変化する。各面板ポート3がパイプ接続部と連通するハウジングのポートと連通し、非常に大きな角度で面板4を回転させる際に面板ポート3が異なるパイプ接続部と恐らく連通するので、面板4の回転が制限されている。結果として、流体減速装置のセッティングの可能性のすべてが適用されるとは限らない。
【0025】
図3は、流体減速装置のセッティングを変更する別の方法を模式的に示す。図3において、前述した面板4に類似する面板25は、ドラム板中心線m1,m2の周りでそれ自身の面においてのみ回転しない。ロータ中心線lは、ドラム板中心線m1に対してMで交差する。面板25は、ドラム板中心線m1と一致する中心線を有する。面板25は2つの面板開口を備え、流体減速装置の場合には、3つの面板開口を備える。面板開口の1つは、中央の面板開口部26及び対称軸sを有する。面板開口部26は、前述した面板ポート3に類似している。ドラム板中心線m1及び対称軸sは、中心Cで交差する。ロータ中心線l及びドラム板中心線m1は、平面Vで面板25と交差する面に存在する。平面Vは、対称軸sに関してセッティング角度δで角度をなしている。前述されたように、図1及び2に係る装置のセッティング角度δは、ドラム板中心線m1と一致する回転軸Rev1の周りで、面板4あるいは対応する面板25を回転させることにより調節される。
【0026】
図3の実施形態では、面板25は、第2の回転軸Rev及び第3の回転軸Revの周りで面板25を回転させることにより調節される。当該回転軸は、第1の回転軸Rev1に対して垂直に延在する。面板25は回転軸Rev1の周りで回転しない。この回転は妨害することができる。面板25の中心Cは位置C'までパスpに従う。そして、ドラム板中心線m1の新しい位置は、m1'として描かれる。ドラム板中心線m1'及びロータ中心線lによる面は、平面V'で調整された面板25’と交差する。平面V'は、セッティング角度δ'で対称軸sに関して角度をなしている。図3から分かるように、ロータ中心線l及びドラム板中心線m1の存在する面が、面板25に関して回転するが、面板25それ自体がドラム板中心線m1の周りで回転しないということにより、セッティング角度δが変更されている。図3に示された実施形態において、第1の回転軸Rev1、第2の回転軸Rev2、及び第3の回転軸Revは、交点Mで互いに交差する。他の実施形態では、このことは、中心Cのような異なる位置であるかもしれない。しかしながら、これは、ドラムブッシュ11に関するピストン12の相対的な移動に影響を及ぼすであろう。第2の回転軸Rev2及び第3の回転軸Revの周りの回転は、ストロークの角度αが一定値又は調整可能な値を持つように、制限され且つ連結される。
【0027】
図3は、調節の際に、平面Vでの上死点BDPと平面V'での新しい位置の上死点BDP'とが、面板開口部26に関して異なる角度を有する面板25を示している。前述したように、これは図1及び2に係る既知の装置と異なっている。図1及び2では、上死点BDPがハウジングに関して同じ位置のままである。面板4は、ドラム板中心線m1の周りでハウジングに関して回される。図3に係る実施形態では、BDPがハウジングに関して置き換えるように、面板25は新しい傾斜位置に変わる(turn to)。図3に係る調節は、面板25だけが傾けられるではなく、ドラム板7がそれと一緒に移動することを意味する。実際、図3に係る調節は、上死点BDPがおおよそ(about)この角度で回転し、その後、面板4がおおよそ(about)同じ角で(その場合、ドラム板中心線m1の周りで)ハウジング中でドラム板に関して逆回転するように、ロータ中心線lの周りである角度でロータ軸2に関して一定位置にあるハウジングにおいて面板25及びドラム板7を仮想的に回転させるのと同じ効果がある。前述されるような異なる軸の周りでの移動は、図3で示されるような結合された回転する移動に匹敵する。図3について、対称面Vはロータ中心線lの周りで左に曲がり(turned to)、面板25'はラインm1'の周りで右に回転する。
【0028】
図4は、図3に述べられているような方法で調節される面板29を含む、図1及び2に示されるような流体装置を示す。面板29は、開口部を有する。当該開口部を通じて、ロータ軸が延びて、回転子軸受1が、ドラム板6から見て外方に向いている(face away from)面板29の側に位置している。面板29を調節する装置は示されていない。面板29は、カルダンリング27に回転自在にマウントされ、第1のカルダン軸31の周りで回転可能である。第2の軸受及び第2のカルダン軸(図示せず)は、カルダンリング27とハウジングとの間に位置する。第1のカルダン軸31及び第2のカルダン軸は、交点Mでロータ中心線lと交差する。面板29は、接続ポート28を通じてハウジングにあるパイプ接続部と連通する面板ポート3を有する。面板ポート3は、図3に示されるような面板開口部26に類似している。フレキシブルな接続(例えばフレキシブルなラインやチューブ)が、ハウジングと面板29との間に存在する。示されるような実施形態では、カルダンリング27が真円軸受(cylindrical bearing)から作られるが、さらに、他の軸受も可能である。例えば、小さな回転の発生により、横向きばね(cross spring)ピボット又はナイフ・軸受(knife bearing)が、適用可能である。ストロークの角度αを制限するために、面板29の傾斜角度を制限するためのエッジが、ハウジングの中に存在する。このエッジは平坦な面を形成してもよい。また、その場合、ストロークの角度αは、各セッティング角度δで一定である。他の実施形態では、エッジはストロークの角度αがセッティング角度δに依存するように波状である(corrugated)。
【0029】
図5は、図3に述べられているような方法で調節される面板34を含む、図1及び2に示されるような流体装置を示す。面板29は、開口部を有する。当該開口部を通じて、ロータ軸2が延びて、回転子軸受1が、ドラム板6から見て外方に向いている(face away from)面板29の側に位置している。面板34を調節する装置は示されていない。ピストン12から見て外方に向いている面板34の側は、ある半径を有する球状表面を備えている。当該球状表面は、ハウジング(図示せず)に同じ半径を有する凹状表面を含むボールピボット32を形成する。ハウジングにおける凹状表面の中心は、交点Mでロータ中心線l上に位置している。ボールの中心は、ドラム板中心線m1上に位置している。結果として、交点Mは、ボールピボット32の中心を形成する。そして、面板34は、3つの方向にこのポイントの周りで回転することができた。2つの回転軸に対する面板23の回転を制限するために、面板34は、ハウジングにある歯37と噛合する歯35を備える(図6を参照)。恐らく、歯37は、中心ポイントMを通る回転軸lに対して垂直に延在する面の中に存在する。その場合、歯35,37は、同じ歯数を有する。
【0030】
面板34の球面上でボールがピボットする他の実施形態(図示せず)では、ピンが設けられる。ハウジングの反対の凹状表面では、スリットがロータ中心線lを通る面に設けられる。このように、ピンは、面板34の3つの可能な回転のうちの1つを制限するが、スリットにあるピンは移動可能である。そして、面板34が2つの残りの回転軸の周りで回転することができるように、スリットにあるピンの軸芯の周りでの回転は可能である。面板ポート3は接続開口33によってハウジングにおける開口と連通する。
【0031】
図6は、面板34の歯35と噛合する歯37を含むハウジングのエッジで面板34が支持される面板34の斜視図を示す。面板34が3つの位置で描かれている。第1の位置は、実線によって示され、面板34が位置Aでハウジング36によって支持される位置を示す。位置Aでは、歯35,37が互いに接触する。また、上死点BDPが位置Aに位置する。第2の位置が一点鎖線によって示され、面板34が位置Bでハウジング36によって支持されている。そして、上死点BDPが位置Bに位置する。第3の位置が破線によって示される。面板34が位置Cでハウジング36によって支持される。流体装置が広い調節範囲を有するとともに、セッティング角度δが90度以上であるように、位置A、B及びCは180度以上のアークに従う。ハウジング(図示せず)におけるポートが小さいものの、セッティング角度δが大きいように、ハウジングに関するほんの少しの変位を接続開口33が有することが図に表されている。図6に係る実施形態では、面板34の円形のエッジは、ハウジングの円形エッジの上で回転し(rolled)、このエッジは、ストロークの角度αを制限する。
【0032】
面板ポート3及び関連する接続開口33では、油圧が各面板ポート3に対して同じである。また、この油圧は、異なる面板ポート3に対して異なるであろう。ハウジングと面板34との間にある接続開口33の近くに油圧が存在するエリアでは、油圧が、交点Mに向けられる面板34に対してポート力38を及ぼす。図7を参照すること。面板34とドラム板7との間にある面板ポート3の近くに油圧が存在するエリアでは、油圧が、ドラム板中心線m1の方向にポート力41を及ぼす。ポート力38及びポート力41は、流体圧に比例し、対応するポートの表面に比例する。これらのポート力38,41の値は、ドラム板中心線m1の方向におけるポート力38のポート力成分39が、ポート力41と同じであり且つ反対向きであるように、接続ポート33の表面を注意深く測定することにより選択される。これは、ドラム板中心線m1の方向に対して垂直である、ポート力成分40にポート力38が帰着することに帰着する。そして、これは、調整の間に非常に高い摩擦に導くことができるボールピボット32における高い力に導くことができた。ポート力成分40を補うために、ピストン44は、ポート力成分40の方向に中心線を有する面板34にマウントされる。ピストン44は、ハウジングにおける表面45で支持されるブッシュ43内を移動することができる。ピストン44とブッシュ43との間のチャンバは、ピストン上の力42が面板ポート3における油圧に比例するように面板ポート3と連通する。力42がポート力成分40と等しいような寸法である。恐らく、面板34がシャフト用の開口を含む場合のように、2つのピストン44が面板34に設けられている。図8を参照すること。図8では、2つの協働するピストン44の中心線は平行であるが、さらに、当該中心線が半径方向を向いている可能性がある。
【0033】
図4及び5の面板29,34の調節装置は、ロータ中心線lに関して対角線に位置する2つの流体圧シリンダを含んでもよい。当該シリンダは、調節装置あるいはアクチュエーターのように制御可能である。当該シリンダは、ロータ中心線lの方向に又はロータ中心線lと平行である面板29,34に力を及ぼす。結果として、面板は、所望の傾斜位置に調節することができる。
【0034】
図9乃至11は、ボールピボットで支持される面板の第2の実施形態を示す。面板ポート3での面板50とドラム板7との間での、及び接続開口33での面板50とハウジングのカバー51との間での、静水圧(hydrostatic pressure)を補うための流体圧(hydraulic)支持シリンダが存在する。この第2の実施形態において、ロータ軸46A,46Bは、中心線49を有するピストン12(図示せず)がマウントされる2つのロータフランジを含む。面板50がリングとしてではなく中央開口部なしで設けられるように、軸受47は、2つの部分からできているロータ軸46A,46Bの間にマウントされる。これは、面板50が剛体であり負荷があってもほとんど変形しないことを意味する。
【0035】
軸受47は中央のハウジング48にマウントされる。また、カバー51は中央のハウジング48の終端部にマウントされる。カバー51の内側は、図5に関して記述されるような方法で面板50が移動することができる凹状表面53を形成する。面板50の反対側に、ドラム板及びピストンとドラムブッシュ(図示せず)は、前述した方法でマウントされ、及び/又は、既知の方法でマウントされる。面板ポート3では、ポート力41が発生する。その力は、接続開口33でのポート力38によって補われる。凹状表面53の中心に正確に向けられるポート力38のレベル及び位置を決めるために、密閉リッジ(ridge)62が、接続開口33のまわりに設けられる。この密閉リッジ62は、接続開口33についての密閉、及び接続開口33及びライン接続(図示せず)と連通するカバー51における対応する開口についての密閉を形成する役目を果たす。
【0036】
図9は、支持板54で支持されるブッシュ56を含むピストン58を模式的に示す。ピストン58に力を及ぼす支持シリンダ力42は、ポート力40と一直線になっており且つポート力40の反対方向を向いている。ポート力40は、面板50の中心線m1,m2に対して垂直に延在するポート力38の成分である。ピストン58は球面によってブッシュ56の中に密閉される。また、ブッシュ56は円筒状の支持表面52によって密閉状態で支持される。また、ブッシュ56は開口部55を有する。開口部55を通じてブッシュ56間の接触が油によって潤滑化されており、ブッシュ56が支持表面52に沿って滑動することができる。支持表面52は、カバー51の中に配置される支持板54の一部分である。支持表面52は、円筒状であり、lcでロータ中心線lと交差する中心線を持った半径60を有する。支持表面52で支持されるブッシュ56の一部分は半径60に一致する半径を有する。面板ポート3は、チャネル63を介して接続開口33と連通している。同じ流体圧(hydraulic pressure)によって生成されたポート力41、ポート力38及び支持シリンダ力42が、共通の交点に向かっており(directed through)、したがって、互いに相殺するように、チャネル63は、ピストン58を通じてチャネル61及びチャネル59を介してチャンバ57と連通している。
【0037】
図10は、面板50の球面側が支持される、凹状の内側面53を含むカバー51の一部分を示す。内側面53は、カバー51におけるチャネルを通って油をライン接続に解放するために接続開口33に配置された開口(図示せず)を備えている。3つのピストン58が面板50にマウントされる。面板50は、明瞭さのために、そのマウントされる位置よりも上の位置で示される。当該ピストンは、面板ポート3の正反対に配置される。マウントされた状態で、その上にマウントされるブッシュ56を含むピストン58は、凹状の内側面53の開口を通じて延在している。そして、ブッシュ56の各々が円筒状の支持表面52で支持されるように、別々に示される支持板54がカバー51にマウントされる。
【0038】
図10及び11は、3つの面板ポート3の各々が3つのチャネル63を備えていることを示す。3つのチャネル63は、面板50における内部チャネルを通して面板50の反対側にある接続ポート33と連通する。チャネル63は、リッジ64によって分離されている。チャネル63における流体圧の影響下での変形が防止されるか制限されるように、リッジ64は面板50の外リングをセンター部に接続する。面板ポート3におけるいかなる場所でも同じ圧力が存在するように、面板50の平坦な上部表面の下に短い距離までリッジ64が延在する。チャネル63の最大寸法が面板ポート3の幅の3倍より小さいように、リッジ64が設けられる。リッジ64の適用を通じて、ドラム板4及び密閉リッジ62に対する面板50の気密面は、それらの形をよりよく維持し、漏れが防止されるか又は制限される。さらに、接続ポート33において、妨害されずにすべてのチャネル63から凹状の内側面62における開口まで油が流れることができるように、面板50の球面側において、密閉リッジ62の球状表面の下に短い距離までリッジ64が延在する。
【0039】
前に説明したように、ピンの回転軸の周りで回転することができる面板50にマウントされ、且つスリット内を移動するピンは、1つの回転軸での面板50の回転を制限する役目を果たすことができる。このことは、ストロークの角度α及びセッティング角度δに関する面板の正確な位置が2つのアクチュエーターによってセットできることを意味する。例えば、面板50の凹状の内側面53でのスリット65においてピストン58のうちの1つをガイドすることが可能である。恐らく、スリット65は楕円形とすることができる。その場合、回転はスリット65内での2つのピストン58をガイドすることにより制限される。ロータ中心線lの存在する面にスリット65が存在するならば、面板50はロータ中心線lの周りで回転しないであろう。
【0040】
前述したような実施形態は、流体減速装置の面板の調節について記述している。流体モータのポンプの面板は、これが単純な方法で調整可能な行程容積(swept volume)を得るような同程度の方法で調節することができる。
【0041】
この発明は、ドラム板で支持されるブッシュ内をピストンが移動するとともに、ドラム板が面板に沿って回転する流体装置によって説明される。別個のブッシュを有しないが、ピストンの移動するロータが面板に対して回転するか、又は、体積を変化させるチャンバが別の方法で他の構成要素から作られる流体装置においても、この発明が適用可能であることは明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11