(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ブロー成形用の金型に装着された有底筒状のプリフォームに加圧した液体を供給して該プリフォームを前記金型のキャビティに沿った形状に成形するブロー成形装置であって、
前記プリフォームの口筒部に嵌合するブローノズルと、
前記ブローノズルを開閉するシール体と、
液体流路を介して前記ブローノズルに接続された加圧液体供給部と、
前記液体流路に分岐して接続されたアキュムレーターと、
前記液体流路と前記アキュムレーターとの間に設けられたアキュムレーター開閉弁と、
前記アキュムレーターに予め圧力を蓄積して前記アキュムレーター開閉弁を閉じた状態としておき、前記加圧液体供給部を作動させるとともに前記シール体を開いて前記ブローノズルを通して前記プリフォームに加圧した液体を供給する際に、前記アキュムレーター開閉弁を開いて前記アキュムレーターに蓄積されている圧力を前記プリフォームに供給される液体に加える制御手段と、を有することを特徴とするブロー成形装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなブロー成形装置では、内容液を加圧供給するための加圧液体供給部として、例えばサーボモータにより駆動されるサーボプランジャータイプのプランジャーポンプを用いることができる。加圧液体供給部としてこのようなプランジャーポンプを用いることにより、製品となる壜体へ精度良く一定量の内容液を充填することができる。
【0007】
このようなブロー成形装置において、プリフォームをブロー成形して得られる壜体(ボトル)の成形性(賦形性)を高めるためには、プリフォームに供給する液体をプランジャーポンプによって規定の圧力にまで短時間で昇圧することが重要である。
【0008】
しかしながら、サーボプランジャータイプのプランジャーポンプでは、液体を規定の圧力にまで昇圧させるのに必要な時間はプランジャーポンプを作動させるサーボモータの能力に依存するので、サーボモータを最高速度で動作させていれば、その能力以上に当該時間を短縮することができず、そのため壜体の成形性を十分に高めることができない場合があった。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、プリフォームに供給する液体を規定の圧力にまで昇圧させるのに必要な時間を加圧液体供給部の能力以上に短縮することを可能として壜体の成形性を高めることができるブロー成形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のブロー成形装置は、ブロー成形用の金型に装着された有底筒状のプリフォームに加圧した液体を供給して該プリフォームを前記金型のキャビティに沿った形状に成形するブロー成形装置であって、前記プリフォームの口筒部に嵌合するブローノズルと、前記ブローノズルを開閉するシール体と、液体流路を介して前記ブローノズルに接続された加圧液体供給部と、前記液体流路に分岐して接続されたアキュムレーターと、前記液体流路と前記アキュムレーターとの間に設けられたアキュムレーター開閉弁
と、前記アキュムレーターに予め圧力を蓄積して前記アキュムレーター開閉弁を閉じた状態としておき、前記加圧液体供給部を作動させるとともに前記シール体を開いて前記ブローノズルを通して前記プリフォームに加圧した液体を供給する際に、前記アキュムレーター開閉弁を開いて前記アキュムレーターに蓄積されている圧力を前記プリフォームに供給される液体に加える
制御手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明のブロー成形装置では、
前記制御手段が、前記シール体が開く直前から前記プリフォームに供給される液体がピーク圧になる前までのタイミングで前記アキュムレーター開閉弁を開くのが好ましい。
【0012】
本発明のブロー成形装置では、
前記制御手段が、前記シール体により前記ブローノズルを閉じるとともに前記アキュムレーター開閉弁を開いた状態で前記加圧液体供給部を作動させ、その後に前記アキュムレーター開閉弁を閉じることで、前記アキュムレーターに予め圧力を蓄積するのが好ましい。
【0013】
本発明のブロー成形装置では、前記アキュムレーターを駆動する加圧装置を備え、該
加圧装置で前記アキュムレーターを駆動することで該アキュムレーターに予め圧力を蓄積させるのが好ましい。
【0014】
本発明のブロー成形装置では、前記金型に装着された前記プリフォームの口筒部の外周を囲繞する口外加圧用エア空間を備え、前記アキュムレーターは、一端が前記液体流路に接続されるとともに、他端が前記口外加圧用エア空間に加圧流路を介して接続される口外エア置換シリンダからなるのが好ましい。
【0015】
本発明のブロー成形装置では、前記加圧流路に口外エア加圧用開閉弁が設けられ、前記口外エア加圧用開閉弁は、前記アキュムレーターに予め圧力を蓄積する際には閉じられ、前記シール体を開いて前記プリフォームに加圧した液体を供給する際に開かれるのが好ましい。
【0016】
本発明のブロー成形装置では、前記加圧液体供給部は、サーボプランジャータイプのプランジャーポンプであるのが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、アキュムレーターに予め圧力を蓄積しておき、プリフォームに加圧した液体を供給する際に、加圧液体供給部の作動に加えてアキュムレーターに蓄積された圧力を液体に加えることで当該液体を加圧するようにしたので、液体を規定の圧力にまで昇圧させるのに必要な時間を加圧液体供給部の能力以上に短縮して、加圧液体供給部のみで液体を加圧する場合に比べてプリフォームをブロー成形して得られる壜体の成形性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に例示説明する。
【0020】
図1、
図2に示すように、本発明の一実施の形態であるブロー成形装置は、ブロー成形用の金型1を有している。この金型1のキャビティ2は壜形状となっており、金型1の上面において上方に向けて開口している。詳細は図示しないが、金型1は左右に型開きすることができるようになっており、金型1を開くことで成形後の製品を金型1から取り出すことができる。
【0021】
金型1には、このブロー成形装置によりブロー成形されて壜体を形成するプリフォームPFを装着することができる。
図1、
図2においては、金型1にプリフォームPFを装着した状態を示す。プリフォームPFとしては、例えばポリプロピレン(PP)等の樹脂材料により全体として有底円筒状に形成され、その試験管形状となる本体部PFaの上端に円筒状の口筒部PFbが一体に設けられるとともに、口筒部PFbの下端部にネックリングPFcが一体に設けられた形状のものを用いることができる。このプリフォームPFは、その本体部PFaが金型1のキャビティ2内にその軸心に沿って配置されるとともに、ネックリングPFcが金型1の上面に当接して口筒部PFbが金型1の外部(
図1、
図2中では上方)に突出した状態となって金型1に装着される。
【0022】
図1に示すように、金型1の上側には、金型1に対して上下方向に相対移動自在にノズルユニット10が設けられている。このノズルユニット10は全体として筒状で、充填ヘッド部11と、この充填ヘッド部11がカートリッジ式に着脱自在にねじ結合される支持部21とを備えている。
【0023】
図2に示すように、充填ヘッド部11は、保持部材12、ブローノズル13および供給筒部14を備えている。
【0024】
保持部材12は、その中心に上下方向に貫通する貫通孔を備えたブロック状に形成され、この貫通孔の内側に筒状のブローノズル13が装着されている。ノズルユニット10が下端にまで下げられると、金型1に装着されたプリフォームPFの口筒部PFbが貫通孔の内部に配置されてブローノズル13が当該口筒部PFbの内側に嵌合するとともに、ネックリングPFcが保持部材12の下端と金型1の上面との間に挟み込まれて、プリフォームPFは金型1に対して垂直な装着姿勢に保持される。
【0025】
供給筒部14は、その内部に上下方向に延びる供給路Fsを備えた円筒状の部材に構成され、保持部材12の上端に固定されて保持部材12とともに金型1に対して上下に相対移動可能となっている。供給筒部14の上端側には供給路Fsに連なる導入ポート14aが設けられ、下端側には供給路Fsに連なる排出ポート14bが設けられている。また、供給筒部14の供給路Fsを形成する内面の下端には、下方に向けて縮径状に傾斜する円錐面状のシール面14cが設けられ、このシール面14cの軸心には供給路Fsを下方に向けて開口させてブローノズル13に連通させる供給孔14dが設けられている。
【0026】
供給路Fsの内部には供給孔14dつまりブローノズル13を開閉するためのシール体15が配置されている。シール体15は短円柱状に形成され、その下端面の外周縁部にはテーパー状の当接面15aが設けられている。この当接面15aは、シール面14cと同一の傾斜角度を有し、シール面14cと密着することができる。供給路Fsの内部には供給路Fsの軸心に沿って細長い円筒棒状の軸体16が配置されており、この軸体16は供給筒部14の上端を液密に貫通し、支持部21により充填ヘッド部11および支持部21に対して上下方向に移動自在に支持されている。シール体15は、軸体16の下端に同軸に固定され、この軸体16とともに供給路Fsの内部で上下に移動自在となっている。軸体16が下方のストローク端にまで移動するとシール体15の当接面15aが供給筒部14の下端部のシール面14cに当接し、ブローノズル13がシール体15により閉じられる。一方、軸体16とともにシール体15が上方に移動すると、シール体15の当接面15aが供給筒部14のシール面14cから離れてブローノズル13が開かれる。
【0027】
軸体16は中空となっており、その内側には延伸ロッド17が摺動自在に装着されている。延伸ロッド17は軸体16に対して軸方向に相対移動可能となっており、その下端はシール体15の下端から突出している。
図2に二点鎖線で示すように、延伸ロッド17は、下方に向けて移動することにより、プリフォームPFを縦方向(軸方向)に延伸することができる。
【0028】
なお、シール体15の下端には、延伸ロッド17をガイドするために、短円筒状でポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂製のガイド体18が固定されている。
【0029】
図1に示すように、ノズルユニット10には加圧液体供給部としてのプランジャーポンプ31と液体循環部32が接続されている。
【0030】
プランジャーポンプ31は、シリンダ31aとこのシリンダ31a内に軸方向に沿って移動自在に装着されたプランジャー31bとを備えており、その吐出口は配管P1により供給筒部14の導入ポート14aに接続されている。つまり、プランジャーポンプ31は、配管P1と供給路Fsとからなる液体流路33を介してブローノズル13に接続されている。したがって、プランジャーポンプ31は、プランジャー31bの作動により液体流路33を介してブローノズル13に加圧した液体Lを供給することができる。
【0031】
図示する場合では、プランジャーポンプ31は、駆動源として電動モータ(サーボモータ)31cを備えたサーボプランジャータイプとなっており、プランジャー31bは電動モータ31cにより駆動されてシリンダ31a内で軸方向に作動するようになっている。
【0032】
液体循環部32は、液体Lを配管R1から新たに補給しながら所定の温度に調整して配管R2を通してプランジャーポンプ31に供給するとともに、液体Lを所定の温度に調整しながらプランジャーポンプ31と供給路Fsとの間を循環させる機能を有する。すなわち、液体Lを必要に応じて、供給路Fs→排出ポート14b→配管R3→液体循環部32→配管R2→プランジャーポンプ31→配管P1→導入ポート14a→供給路Fsと云うように構成される循環路CRを循環させることができる。
【0033】
循環路CRには2つの電磁式の循環路開閉弁V1,V2が設けられ、ブロー成形の各工程に対応して所定の流路が対応する循環路開閉弁V1,V2により開閉される。
【0034】
供給筒部14には供給孔14dを介してブローノズル13に連通する接続ポート14eが設けられている。この接続ポート14eには、例えば、ブロー成形に先立ってプリフォームPF内の空気を吸い出す脱気機構や、この接続ポート14e内の液体Lをフラッシュするパフブロー機構等を接続することができる。
【0035】
図2に示すように、保持部材12には、金型1に装着されたプリフォームPFの口筒部PFbの外周を囲繞する口外加圧用エア空間Sが区画形成されている。
【0036】
一方、
図1に示すように、口外加圧用エア空間Sにおけるエアを加圧するために、口外加圧用エア空間Sとプランジャーポンプ31との間には口外エア置換シリンダ35が設けられている。配管P1つまり液体流路33からは液圧供給路34が分岐しており、口外エア置換シリンダ35はこの液圧供給路34に接続されている。口外エア置換シリンダ35は、シリンダ35aの内部にピストン35bが移動自在に配置された構成となっており、シリンダ35aのピストン35bにより区画された一端側において液圧供給路34を介して配管P1に接続されており、他端側は加圧流路36を介して口外加圧用エア空間Sに接続されている。口外エア置換シリンダ35は、液圧供給路34を介してプランジャーポンプ31から加えられる液体Lの圧力により作動して、当該液体Lの圧力を口外加圧用エア空間Sのエア圧力に置換することで、プリフォームPFの口筒部PFbの外周に加えられるエアの圧力つまり口外エア圧力を高めることができる。
【0037】
また、口外エア置換シリンダ35は、後述するように、液圧供給路34を介してプランジャーポンプ31から加えられる液体Lの圧力を、プリフォームPFの口筒部PFbの外周に加える口外エア圧力として蓄積するアキュムレーターとして機能することができる。
【0038】
配管P1と口外エア置換シリンダ35との間つまり液圧供給路34にはアキュムレーター開閉弁としての口外エア置換シリンダ開閉弁V3が設けられている。図示する場合では、口外エア置換シリンダ開閉弁V3は、常時閉(ノーマルクローズ)タイプの電磁弁(ソレノイド弁)に構成されており、通電の有無により作動を制御されて液圧供給路34を開閉することができる。なお、
図1では口外エア置換シリンダ開閉弁V3を開いた状態で示す。
【0039】
また、加圧流路36には口外エア加圧用開閉弁V4が設けられている。図示する場合では、口外エア加圧用開閉弁V4は、常時閉(ノーマルクローズ)タイプの電磁弁(ソレノイド弁)に構成されており、通電の有無により作動を制御されて加圧流路36を開閉することができる。なお、
図1では口外エア加圧用開閉弁V4を開いた状態で示す。
【0040】
このブロー成形装置は制御装置37を有し、電動モータ31cはこの制御装置37に接続されてこの制御装置37により作動が制御されるようになっている。また、この制御装置37は、このブロー成形装置のシール体15、延伸ロッド17および開閉弁V1〜V4等の作動を制御するための制御システムと連動して制御動作を行うことができ、または当該制御システムの一部として構成されることもできる。
【0041】
このような構成の本発明のブロー成形装置では、プランジャーポンプ31を作動させ、シール体15を上方に移動させて供給孔14dつまりブローノズル13を開くことで、プランジャーポンプ31からブローノズル13を通してプリフォームPF内に加圧された液体Lを供給(充填)して、プリフォームPFを金型1のキャビティ2に沿った形状にブロー成形することができる。
【0042】
また、本発明のブロー成形装置では、プリフォームPFへの液体Lの供給の前に、プランジャーポンプ31の作動によって口外エア置換シリンダ35に予め口外エア圧力を蓄積しておくことができる。つまり、シール体15によりブローノズル13を閉じ、循環路開閉弁V1,V2を閉じ、口外エア置換シリンダ開閉弁V3を開き、口外エア加圧用開閉弁V4を閉じた状態でプランジャーポンプ31を作動させ、このプランジャーポンプ31の作動によって口外エア置換シリンダ35を作動させて加圧流路36のエア圧を高め、その状態で口外エア置換シリンダ開閉弁V3を閉じることで、口外エア置換シリンダ35をアキュムレーターとして機能させ、口外エア圧力を蓄積させておくことができる。
【0043】
そして、プランジャーポンプ31を作動させるとともにシール体15を開いてブローノズル13を通してプリフォームPFに加圧した液体Lを供給してブロー成形を行う際に、口外エア加圧用開閉弁V4を開くことにより、加圧流路36において加圧されている口外エア圧力を口外加圧用エア空間Sに供給して口外加圧用エア空間Sのエア圧を高めることができる。これにより、プリフォームPFをブロー成形する際に、口外加圧用エア空間Sにおけるエア圧を高めて、口筒部PFbの拡径変形を防止することができる。
【0044】
また、本発明のブロー成形装置では、口外エア置換シリンダ35に予め蓄積した口外エア圧力を、上記した口筒部PFbの拡径変形だけでなく、ブロー成形のための液体Lの加圧にも用いるようにしている。つまり、プランジャーポンプ31を作動させるとともにシール体15を開いてブローノズル13を通してプリフォームPFに加圧した液体Lを供給してブロー成形を行う際に、口外エア置換シリンダ開閉弁V3を開くことにより、口外エア置換シリンダ35に蓄積されている口外エア圧力をプリフォームPFに供給される液体Lに加えるようにしている。これにより、プリフォームPFに供給する液体Lを規定のピーク圧力にまで、プランジャーポンプ31のみで液体Lを加圧する場合に比べて迅速に昇圧させることができる。このとき、シール体15が開く直前からプリフォームPFに供給される液体Lの圧力が規定のピーク圧にまで高められる前までの間のタイミングで口外エア置換シリンダ開閉弁V3を開くことで、液体Lを規定のピーク圧力にまで効率よく且つ迅速に昇圧させることができる。
【0045】
なお、配管P1および配管R3にはそれぞれ圧力センサ38a,38bが接続されており、これらの圧力センサ38a,38bにより、プリフォームPF内に供給される液体Lの圧力を検出することができる。
【0046】
図3は口外エア置換シリンダに口外エア圧力を蓄積している状態を示す図であり、
図4は口外エア置換シリンダに口外エア圧力を蓄積した後、プランジャーポンプに液体を供給している状態を示す図であり、
図5はプリフォームに加圧された液体を供給してブロー成形している状態を示す図である。
【0047】
次に、このようなブロー成形装置を用いてプリフォームPFをブロー成形して壜体を形成する処理手順について
図3〜
図5を適宜参照しつつ説明する。
【0048】
本発明のブロー成形装置では、
図3に示すように、まず、金型1が開かれ、ノズルユニット10が上昇位置にある状態のままで、シール体15によりブローノズル13を閉じ、循環路開閉弁V1,V2を閉じ、口外エア置換シリンダ開閉弁V3を開き、口外エア加圧用開閉弁V4を閉じた状態でプランジャーポンプ31を作動させる。これにより、プランジャーポンプ31から供給される液体Lの圧力により口外エア置換シリンダ35を作動させ、加圧流路36内のエア圧力を高める。そして、加圧流路36内のエア圧力を高めた状態で口外エア置換シリンダ開閉弁V3を閉じることで、口外エア置換シリンダ35をアキュムレーターとして機能させ、口外エア置換シリンダ35に所定の値の口外エア圧力を蓄積させる。
【0049】
次に、
図4に示すように、循環路開閉弁V1を開き、プランジャーポンプ31を吸引方向に逆転作動させることにより、液体循環部32からの新たな液体Lをプランジャーポンプ31に供給する。このとき、シール体15および口外エア置換シリンダ開閉弁V3は閉じたままである。
【0050】
次に、口筒部PFbを除く部分をブロー成形に適した温度に加熱したプリフォームPFを、口筒部PFbを上方に突出させた状態でブロー成形用の金型1に装着し、型を閉じる。そして、ノズルユニット10を下降させ、保持部材12と金型1の上面との間にネックリングPFcを挟み込んでプリフォームPFを金型1に保持させる。
【0051】
このとき、循環路CRの循環路開閉弁V1、V2を開状態として、液体Lを液体循環部32により所定の温度に調整しながら循環路CRを循環させることができる。この状態は
図1に示される。
【0052】
次に、
図2に二点鎖線で示すように、延伸ロッド17を下方に向けて移動させてプリフォームPFを縦方向(軸方向)に延伸する。
【0053】
そして、延伸ロッド17によるプリフォームPFの縦方向(軸方向)への延伸中または延伸後に、循環路開閉弁V1、V2を閉じて循環路CRに沿った液体Lの循環を停止させるとともに、軸体16とともにシール体15を上方に移動させて供給孔14dつまりブローノズル13を開く。また、シール体15が開動作を開始したときに、制御装置37により電動モータ31cの作動を開始させてプランジャー31bの作動を開始させる。これにより、プランジャーポンプ31から圧送されてきた加圧された液体Lが、供給孔14dおよびブローノズル13を通してプリフォームPFの内部に供給され、プリフォームPFのブロー成形が行われる。この状態は
図5に示される。
【0054】
また、シール体15が開かれてブロー成形が行われる際には、シール体15が開く直前からプリフォームPFに供給される液体Lの圧力が規定のピーク圧にまで高められる前までの間のタイミングで口外エア置換シリンダ開閉弁V3が開かれ、口外エア置換シリンダ35に蓄積されている口外エア圧力が液圧供給路34を介して液体流路33を流れる液体LつまりプリフォームPFに供給される液体Lに加えられる。これにより、プランジャーポンプ31のみで液体Lを加圧する場合に比べて、口外エア置換シリンダ35から加えられる圧力の分だけ、プリフォームPFに供給する液体Lを規定のピーク圧力にまで迅速に昇圧させることができる。したがって、ブロー成形により成形される壜体の賦形性を高め、これにより成形後の壜体の収縮率を低減させて当該壜体の容量を増加させることができるなど、このブロー成形装置による壜体の成形性を高めることができる。
【0055】
また、シール体15が開かれてブロー成形が行われる際には、口外エア加圧用開閉弁V4が開かれ、口外エア置換シリンダ35により高められた加圧流路36内の口外エア圧力は口外加圧用エア空間Sにも供給され、当該口外加圧用エア空間Sにおけるエア圧が高められる。これにより、プリフォームPFに加圧された液体Lが供給されることによる口筒部PFbの拡径変形を合わせて防止することができる。
【0056】
このようなブロー成形により、プリフォームPFを、プランジャーポンプ31から供給される液体Lの圧力により横方向(径方向)に膨張状に延伸して、金型1のキャビティ2に沿った形状の壜体とすることができる。
【0057】
なお、ブロー成形の後、必要に応じて、プランジャーポンプ31のプランジャー31bを戻り方向に作動させて供給孔14dから液体Lを吸い込むサックバック工程を行ない、液体Lの充填量を調整することができる。
【0058】
ブロー成形が完了すると、軸体16とともにシール体15が下降して供給孔14dつまりブローノズル13が閉じられる。シール体15によりブローノズル13が閉じられると、シール体15と循環路開閉弁V1、V2とが閉じられ、口外エア置換シリンダ開閉弁V3のみが開かれた状態となるので、プランジャーポンプ31により加圧された液体Lが液圧供給路34を通して口外エア置換シリンダ35に供給され、口外エア置換シリンダ35が作動して加圧流路36内のエア圧力が高められる。そして、加圧流路36内のエア圧力が高められた状態で口外エア置換シリンダ開閉弁V3が閉じられることで、口外エア置換シリンダ35に、次回のブロー成形時に利用される口外エア圧力が予め蓄積される。
【0059】
口外エア置換シリンダ35に口外エア圧力を予め蓄積した後は、循環路開閉弁V1、V2を開状態として液体Lを再び循環路CRに沿って循環させる。そして、ノズルユニット10を上昇させてブロー成形された壜体の口筒部からブローノズル13を取り外し、金型1を型開きして液体Lが充填された壜体を取り出し、その口筒部をキャップ等でシールすることで、液体Lを内容液として壜体(ボトル)に収容した製品が完成する。
【0060】
図6はプリフォームに供給する液体がピーク圧力に達するまでの時間およびそのときの壜体の成形性の評価を、本願発明と比較例とで比較した結果を示す図である。
【0061】
図6に示すように、プリフォームPFへの液体Lの供給の前にプランジャーポンプ31の作動によって口外エア置換シリンダ35に予め4.0MPaの口外エア圧力を蓄積しておき、プリフォームPFに加圧した液体Lを供給する際に、口外エア置換シリンダ開閉弁V3および口外エア加圧用開閉弁V4を開き、口外エア置換シリンダ35に蓄積された口外エア圧力をプリフォームPFに供給される液体Lに加えるようにした場合には、当該液体Lが規定のピーク圧力にまで昇圧する時間は0.19秒となり、その壜体の成形性の評価は○と良好であった。
【0062】
これに対して、比較例として、口外エア置換シリンダ35による口外エア圧力の蓄積を行わず、口外エア置換シリンダ開閉弁V3および口外エア加圧用開閉弁V4を開いた状態でプリフォームPFに加圧した液体Lを供給した場合の比較例では、プランジャーポンプ31の加圧能力が不足し、当該液体Lを規定のピーク圧力にまで昇圧させることができず、ピーク圧力までの時間の検出結果はND(Not Detected)となり、その壜体の成形性の評価は×となった。
【0063】
一方、プリフォームPFへの液体Lの供給の前にプランジャーポンプ31の作動によって口外エア置換シリンダ35に予め4.0MPaの口外エア圧力を蓄積するが、口外エア置換シリンダ開閉弁V3を閉じたままでプリフォームPFに加圧した液体Lを供給した場合の比較例では、当該液体Lが規定のピーク圧力にまで昇圧する時間は0.23秒となり、その壜体PFの成形性の評価は△で、本願発明ほどの効果を得ることができなかった。また、口外エア置換シリンダ35による口外エア圧力の蓄積を行わず、口外エア置換シリンダ開閉弁V3を閉じたままでプリフォームPFに加圧した液体Lを供給した場合の比較例においても、当該液体Lが規定のピーク圧力にまで昇圧する時間は0.23秒となり、その壜体の成形性の評価は△で、本願発明のブロー成形装置ほどの効果を得ることができなかった。このように、口外エア置換シリンダ開閉弁V3を閉じたままプリフォームPFに加圧した液体Lを供給する場合の2つの比較例では、口外エア置換シリンダ35への口外エア圧力の蓄積による液体Lのピーク圧力までの昇圧時間に影響はなかった。
【0064】
以上の結果から、本願発明のように、プリフォームPFへの液体Lの供給の前にプランジャーポンプ31の作動によって口外エア置換シリンダ35に予め口外エア圧力を蓄積しておき、プリフォームPFに加圧した液体Lを供給する際に、口外エア置換シリンダ開閉弁V3を開き、口外エア置換シリンダ35に蓄積された口外エア圧力をプリフォームPFに供給される液体Lに加える構成とすることにより、当該液体Lが規定のピーク圧力に昇圧するまでの時間を短縮して、壜体の成形性を高めることができることが解った。
【0065】
図7はプリフォームに供給する液体がピーク圧力に達するまでの時間と口外エア圧力との関係を示す図である。
図7から、プリフォームPFへの液体Lの供給の前に予め口外エア置換シリンダ35に蓄積する口外エア圧力を、2MPa、4MPa、5MPa、6MPaと高めるに連れて、当該液体Lをピーク圧力にまで昇圧させるのに必要な時間は、0.200秒、0.192秒、0.187秒、0.180秒と短くなることが解る。このように、プリフォームPFへの液体Lの供給の前に予め口外エア置換シリンダ35に蓄積する口外エア圧力を高めることで、当該液体Lのピーク圧力までの昇圧時間を短くすることができることが解る。したがって、プランジャーポンプ31の加圧能力に応じて、予め口外エア置換シリンダ35に蓄積しておく口外エア圧力を任意の値に設定することにより、液体Lのピーク圧力までの昇圧時間を所望の値に設定して、壜体の成形性を高めることができる。
【0066】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0067】
例えば、前記実施の形態では、シール体15によりブローノズル13を閉じ、循環路開閉弁V1,V2を閉じ、口外エア置換シリンダ開閉弁V3を開き、口外エア加圧用開閉弁V4を閉じた状態でプランジャーポンプ31を作動させることで、このプランジャーポンプ31から口外エア置換シリンダ35に加圧した液体Lを供給して、口外エア置換シリンダ35に予め口外エア圧力を蓄積させるようにしているが、これに限らず、口外エア置換シリンダ35を駆動するための加圧装置を設け、この加圧装置により口外エア置換シリンダ35を駆動することで、プランジャーポンプ31から供給される液体Lとは別系統で口外エア置換シリンダ35を作動させ、口外エア置換シリンダ35に液圧予め口外エア圧力を蓄積させる構成とすることもできる。この場合、加圧装置としては、口外エア置換シリンダ35を駆動して口外エア圧力を蓄積させることができるものであれば、例えば電動モータ(サーボモータ)や油圧シリンダ、エアシリンダ等の機器を用いることができる。また、口外エア置換シリンダ35のシリンダ35a内に液体Lを補給するための液体補給経路を、液体循環部32とは別系統で設けて、口外エア置換シリンダ開閉弁V3を閉じた状態のまま口外エア置換シリンダ35を駆動して該口外エア置換シリンダ35に口外エア圧力を蓄積させることができる構成とすることもできる。
【0068】
また、前記実施の形態では、プランジャーポンプ31により加圧された液体Lの圧力をプリフォームPFの口筒部PFbの外周を加圧する口外エア圧力に置換するための口外エア置換シリンダ35をアキュムレーターとして用いるようにしているが、これに限らず、液体流路33から分岐する液圧供給路34に、口外エア置換シリンダ35としての機能を有していない一般的な構成のアキュムレーターを接続する構成とすることもできる。この場合、口外加圧用エア空間Sに口外エア圧力を加えるための口外エア加圧装置を、アキュムレーターとは別系統で設けることもできる。口外エア加圧装置としては、口外加圧用エア空間Sのエアを加圧することができるものであれば、例えば電動モータ(サーボモータ)や油圧シリンダ、エアシリンダ等により駆動される加圧用シリンダ装置など、種々の構成の装置を用いることができる。
【0069】
さらに、前記実施の形態では、金型1を閉じてノズルユニット10を下降させる前に口外エア置換シリンダ35に口外エア圧力を蓄積させるようにしているが、プリフォームPFが装着された金型1を閉じ、ノズルユニット10を下降させて金型1セットした後に、口外エア置換シリンダ35に口外エア圧力を蓄積させる構成とすることもできる。
【0070】
さらに、前記実施の形態では、プランジャーポンプ31はプランジャー31bが電動モータ31cにより駆動されるサーボプランジャータイプとされているが、これに限らず、例えば油圧シリンダやエアシリンダ等の他の駆動機構で駆動される構成のものとすることもできる。
【0071】
さらに、前記実施の形態では、液体Lを循環路CRで循環させる構成とされているが、これに限らず、プランジャーポンプ31から液体流路33とブローノズル13とを通してプリフォームPF内に加圧された液体Lを供給することができる構成であれば、液体Lを循環させない構成とすることもできる。
【0072】
さらに、延伸ロッド17を用いることなく、プランジャーポンプ31から供給される液体Lの圧力のみで、プリフォームPFを縦方向(軸方向)と横方向(径方向)の両方に膨張状に延伸させて金型1のキャビティ2に沿った形状の壜体とする構成とすることもできる。
【0073】
さらに、プリフォームPFとして、本体部PFaと口筒部PFbとを有するがネックリングPFcを備えない形状のものを用いることもできる。また、プリフォームPFの材質はポリプロピレンに限らず、他の樹脂材料とすることもできる。