特許第6333587号(P6333587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6333587端末装置、印字制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6333587
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】端末装置、印字制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/06 20060101AFI20180521BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20180521BHJP
   G07G 1/12 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   G07G1/06 E
   G07G1/00 331Z
   G07G1/12 321P
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-49368(P2014-49368)
(22)【出願日】2014年3月12日
(65)【公開番号】特開2015-172917(P2015-172917A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2017年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】313006647
【氏名又は名称】セイコーソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(72)【発明者】
【氏名】石亀 忍
【審査官】 小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−345285(JP,A)
【文献】 特開2001−088378(JP,A)
【文献】 特開2005−145547(JP,A)
【文献】 特開2010−237910(JP,A)
【文献】 特開昭63−109595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00−1/14
G07F 13/00
G07F 15/00
G07F 7/00
G07F 9/00
G07K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード情報の読み取り、およびカードの装着の有無を検出する読取部と、
前記カード情報に基づいた決済を行う制御部と、
前記制御部が行った決済に関する情報の印字を行い、印字物として伝票を発行する印字部とを備え
前記制御部は、決済を実行後、前記カードが装着されている状態で当該決済に関する伝票の一部の印字を印字部に実行させ、前記読取部が前記カードは装着されていないと判定した場合にのみ、前記印字部に前記伝票の残りの印字を実行させる
ことを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記決済の実行に失敗した場合、前記読み取り部が前記カードは装着されていないと判断した場合のみ、前記決済の失敗に関する後続処理を実行する
請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
読取部において、カードからカード情報を読み取るステップと、
制御部において、前記カード情報に基づいた決済を行うステップと、
前記制御部において、前記決済を実行後、前記カードが装着されている状態で当該決済に関する情報の印字物としての伝票について、その一部の印字を印字部に実行させるステップと、
前記読取部において、前記カードが装着されているか否かを検出するステップと、
前記読取部において前記カードは装着されていないと判定した場合にのみ、前記制御部において、前記印字部に前記伝票の残りの印字を実行させるステップと、
を含むことを特徴とする印字制御方法。
【請求項4】
読取部において、カードからカード情報を読み取るステップと、
制御部において、前記カード情報に基づいた決済を行うステップと、
前記制御部において、前記決済を実行後、前記カードが装着されている状態で当該決済に関する情報の印字物としての伝票について、その一部の印字を印字部に実行させるステップと、
前記読取部において、前記カードが装着されているか否かを検出するステップと、
前記読取部において前記カードは装着されていないと判定した場合にのみ、前記制御部において、前記印字部に前記伝票の残りの印字を実行させるステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置、印字制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IC(Integrated Circuit)カードが普及し、それに伴い磁気カードの読み取り機能に加えて、ICカードの読み取り機能も備える決済端末装置が開発されている。ICカードの読み取り機能を備える決済端末装置では、操作者(店員等)がICカードを挿入した状態のまま、決済端末装置で決済に必要となるキー操作等を行うことになり、操作中にICカードから目が離れること等に起因して、ICカードを抜き取らないまま処理を進め、利用者にカードの返却を忘れてしまうおそれがあった。そのため、警告機能によるカード抜き忘れ防止機能を備えた決済端末装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−244431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の方法では、周囲の雑音による聞き逃し等により、依然としてカードの抜き取りを忘れる可能性があるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は上述の事情を鑑みてなされたものであり、カードの抜き忘れを防止することができる端末装置、印字制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の幾つかの態様は、カード情報の読み取り、およびカードの装着の有無を検出する読取部と、印字を行い、印字物を発行する印字部と、前記読取部が前記カードは装着されていないと判定した場合にのみ、前記印字部に前記印字物を発行させる制御部と、を備えることを特徴とする端末装置である。
【0007】
また、本発明の他の態様の端末装置において、前記印字物は、利用者に渡すための伝票であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の他の態様の端末装置において、前記印字物は、前記カード情報に基づいた決済に関する伝票であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の他の態様の端末装置において、前記制御部は、前記読取部が前記カードは装着されていないと判定した場合にのみ、前記印字部に前記印字物の印字を開始させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の態様の端末装置において、前記制御部は、前記印字物のうち一部の印字を前記印字部に実行させ、前記読取部が前記カードは装着されていないと判定した場合にのみ、前記印字物の残りの印字を前記印字部に実行させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の他の態様は、読取部にカードが装着されているか否かを検出する読取ステップと、印字を行い、印字物を発行する印字ステップと、前記読取ステップで前記カードは装着されていないと判定した場合にのみ、前記印字ステップで前記印字物を発行させる制御ステップと、を含むことを特徴とする印字制御方法である。
【0012】
また、本発明の他の態様は、読取部にカードが装着されているか否かを検出する読取ステップと、印字を行い、印字物を発行する印字ステップと、前記読取ステップで前記カードは装着されていないと判定した場合にのみ、前記印字ステップで前記印字物を発行させる制御ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、読取部は、カード情報の読み取り、およびカードの装着の有無を検出する。また、印字部は、印字を行い、印字物を発行する。また、制御部は、読取部がカードは装着されていないと判定した場合にのみ、印字部に印字物を発行させる。これにより、カードの抜き忘れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態における決済端末の外観構成を示す正面図である。
図2】本発明の第1の実施形態における決済端末の構成を示したブロック図である。
図3】本発明の第1の実施形態における決済端末の動作を示すシーケンス図である。
図4A】本発明の第1の実施形態における決済端末が実行する決済処理の処理手順を示したフローチャートである。
図4B】本発明の第1の実施形態における決済端末が実行する決済処理の処理手順を示したフローチャートである。
図5】本発明の第2の実施形態における決済端末の動作を示すシーケンス図である。
図6A】本発明の第2の実施形態における決済端末が実行する決済処理の処理手順を示したフローチャートである。
図6B】本発明の第2の実施形態における決済端末が実行する決済処理の処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態では端末装置の例として携帯型の決済端末1を用いて説明する。決済端末1は、カード又は現金による取引(商品又は役務)の決済を実行して伝票を発行するハンディターミナルである。図1は、決済端末1の外観構成を示す正面図である。なお、以下の説明では、発明を理解し易くするために、適宜構成部品の一部を省略したり、形状を単純化したり、縮尺を変更したりする等、図示を簡略化している。
【0016】
図示するように、決済端末1は、表示部131と、プリンタ132(印字部)と、キーボード121と、ICカードリーダ122(読取部)と、MS(磁気)カードリーダ123とを備えている。表示部131は、LCD(Liquid Crystal Display)であり、情報を表示する。プリンタ132は、用紙に文字等を印字し、領収書等の伝票Sを発行するプリンタ装置である。
【0017】
キーボード121は、情報の入力を受け付ける。ICカードリーダ122は、ICカードの装着の有無を検出(ICカードが装着されているか否かを判定)し、脱着自在に装着されたICカードIからカードに関するカード情報を読み取る。MSカードリーダ123は、読み取り部(磁気ヘッド)に接触させてスライドさせた磁気カードMからカードに関するカード情報を読み取る。
【0018】
図2は、本実施形態における決済端末1の構成を示したブロック図である。図示する例では、決済端末1は、制御部11と、入力部12と、出力部13と、データ記憶部14と、通信部15とを備えている。
【0019】
制御部11は、決済制御部111と、通信制御部112と、ハードウェア制御部113と、OS(Operating System)114として機能し、決済端末1が備える各部の制御を行う。また、制御部11は、ICカードリーダ122がICカードが装着されていないと判定した場合にのみ、プリンタ132に印字を開始させて印字物を発行する。本実施形態における印字物は、利用者に渡すための伝票であって、ICカードリーダ122に装着されたICカードによる決済に関する伝票である。また、制御部11は、決済処理中にエラーが発生した場合には、ICカードリーダ122にICカードが装着されていない場合にのみ、エラーに関するエラー処理を続行(完了)する。
【0020】
決済制御部111は、決済に関する処理を実行する。通信制御部112は、通信部15を制御して通信に関する処理を実行する。ハードウェア制御部113は、ICカード処理部1131と、MSカード処理部1132と、キー処理部1133と、表示処理部1134と、プリンタ処理部1135と、音声処理部1136として機能し、決済端末1が備えるハードウェアの制御を行う。ICカード処理部1131は、ICカードリーダ122の制御を行う。MSカード処理部1132は、MSカードリーダ123の制御を行う。キー処理部1133は、キーボード121の制御を行う。表示処理部1134は、表示部131の制御を行う。プリンタ処理部1135は、プリンタ132の制御を行う。音声処理部1136は、音声出力部133の制御を行う。OS114は、決済端末1が備えるハードウェアのデバイスドライバ1141またはOSとして機能する。
【0021】
入力部12は、キーボード121と、ICカードリーダ122と、MSカードリーダ123とを備え、入力を受け付ける。出力部13は、表示部131と、プリンタ132と、音声を出力する音声出力部133とを備え、情報を出力する。データ記憶部14は、画面データ記憶部141と音声データ記憶部142とを備え、各種データを記憶する。画面データ記憶部141は、表示部131に表示する画面に関する画面データを記憶する。音声データ記憶部142は、音声出力部133から出力する音声に関する音声データを記憶する。通信部15は、通信インタフェースを備え、決済処理を行うセンタと通信する。
【0022】
次に、本実施形態における決済端末1における動作を説明する。図3は、本実施形態における決済端末1の動作を示すシーケンス図である。本図には、ICカードによる決済処理において、領収書等の伝票を印字するときの動作を示す。
(ステップS101)決済制御部111は、カード抜去要求をハードウェア制御部113に送信する。カード抜去要求は、ICカードがICカードリーダ122から抜去されたことを確認するために要求するコマンドである。
【0023】
(ステップS102)ハードウェア制御部113は、カード抜去要求を受信した場合、カード排出待ち状態になる。具体的には、ハードウェア制御部113のICカード処理部1131は、ステップS103およびステップS104の処理を実行し、デバイスドライバ1141に対して定期的に排出確認を送信する。排出確認は、ICカードがICカードリーダ122から排出(抜去)されたか否かを確認するためのコマンドである。
【0024】
(ステップS103)デバイスドライバ1141は、ICカードリーダ122にICカードが挿入されている場合には、排出確認に対する応答としてカード挿入イベントをハードウェア制御部113に送信する。
(ステップS104)デバイスドライバ1141は、ICカードリーダ122からICカードが排出された場合には、排出確認に対する応答としてカード排出イベントをハードウェア制御部113に送信する。
【0025】
(ステップS105)ハードウェア制御部113は、カード排出イベントを受信した場合、カード抜去完了応答を決済制御部111に送信する。ICカード抜去完了応答は、カード抜去要求に対する応答であり、ICカードがICカードリーダ122から抜去されたことを示すレスポンスである。
(ステップS106)決済制御部111は、カード抜去完了応答を受信した場合、伝票の印字開始を指示する印字開始要求をハードウェア制御部113に送信する。
【0026】
(ステップS107)ハードウェア制御部113は、印字開始要求を受信した場合、印字処理を実行する。具体的には、ハードウェア制御部113のプリンタ処理部1135は、プリンタ132を制御して伝票の印字を開始する。
(ステップS108)ハードウェア制御部113は、印字処理が完了すると、伝票の印字が完了したことを示す印字完了応答を決済制御部111に送信する。その後、処理を終了する。
【0027】
図4A図4Bは、本実施形態における決済端末1が実行する決済処理の処理手順を示したフローチャートである。実施形態における決済端末1は、以下のフローチャート処理をICカードによる決済時に実行するようになっている。
【0028】
(ステップS1001)入力部12は、決済処理を開始する指示の入力を受け付ける。操作者(店員等)は、キーボード121を操作して決済処理を開始する指示を入力する。その後、ステップS1002の処理に進む。
【0029】
(ステップS1002)入力部12は、各種情報の入力を受け付ける。操作者は、キーボード121を操作して各種情報を入力する。各種情報は、例えば、使用カードの種類や支払い方法などである。その後、ステップS1003の処理に進む。
(ステップS1003)決済制御部111は、入力されていないその他の入力項目があるか否かを判定する。入力項目は、決済において入力する必要がある項目である。入力項目があると決済制御部111が判定した場合にはステップS1002の処理に戻る。また、入力項目がないと決済制御部111が判定した場合にはステップS1004の処理に進む。
【0030】
(ステップS1004)決済制御部111は、カード読取処理要求をハードウェア制御部113に送信する。カード読取処理要求は、ICカードリーダ122によるICカードの読み取りを指示するコマンドである。その後、ステップS1005の処理に進む。
【0031】
(ステップS1005)ハードウェア制御部113は、カード読取待ち状態になる。具体的には、ハードウェア制御部113の表示処理部1134がカードを読み取らせる指示を表示部131に表示するとともに、ハードウェア制御部113のICカード処理部1131が排出確認をデバイスドライバ1141に送信する。その後、ステップS1006の処理に進む。
【0032】
(ステップS1006)ハードウェア制御部113は、デバイスドライバ1141からカード挿入イベントを受信したか否かを判定する。カード挿入イベントを受信したとハードウェア制御部113が判定した場合にはステップS1007の処理に進む。また、カード挿入イベント通知を受信していないとハードウェア制御部113が判定した場合にはステップS1005の処理に戻る。
【0033】
(ステップS1007)ハードウェア制御部113は、ICカードに関する暗証番号を入力するための暗証番号入力画面を表示部131に表示する。その後、ステップS1008の処理に進む。
(ステップS1008)入力部12は、ICカードに関する暗証番号の入力を受け付ける。利用者(お客)はキーボード121を操作して暗証番号を入力する。その後、ステップS1009の処理に進む。
【0034】
(ステップS1009)ハードウェア制御部113は、暗証番号の入力が確定したか否かを判定する。暗証番号の入力が確定したとハードウェア制御部113が判定した場合にはステップS1010の処理に進む。また、暗証番号の入力が確定していないとハードウェア制御部113が判定した場合にはステップS1008の処理に戻る。
(ステップS1010)決済制御部111は、決済処理内容を確認する。具体的には、決済制御部111は、ICカードリーダ122が読み取ったICカードのカード情報と入力された暗証番号とに基づいて、当該ICカードで取引が決済可能か否かを確認する。その後、ステップS1011の処理に進む。
【0035】
(ステップS1011)決済制御部111は、決済処理内容を確認した結果、当該ICカードで決済可能(OK)であるか否かを判定する。決済可能(OK)であると決済制御部111が判定した場合にはステップS1012の処理に進む。また、決済不可(NG)であると決済制御部111が判定した場合にはステップS1021の処理に進む。
【0036】
(ステップS1012)決済制御部111は、当該ICカードによる決済おいて、センタ通信処理が必要か否かを判定する。センタ通信処理は、決済に関する処理を実行する決済センタに設置されたサーバ装置との通信処理である。センタ通信処理が必要であると決済制御部111が判定した場合にはステップS1013の処理に進む。また、センタ通信処理が必要でないと決済制御部111が判定した場合にはステップS1015の処理に進む。
【0037】
(ステップS1013)決済制御部111は、通信部15を介して、決済センタにあるサーバ装置と通信して、センタ通信処理を実行する。その後、ステップS1014の処理に進む。
(ステップS1014)決済制御部111は、センタ通信処理が成功した(OK)か否かを確認する、センタ通信処理が成功した(OK)と決済制御部111が判定した場合にはステップS1016の処理に進む。また、センタ通信処理が成功していない(NG)と決済制御部111が判定した場合にはステップS1021の処理に進む。
【0038】
(ステップS1015)決済制御部111は、決済処理を実行する。具体的には、決済制御部111は、決済した取引に関するログデータをデータ記憶部14に書き込んで保存する。その後、ステップS1016の処理に進む。
(ステップS1016)決済制御部111は、カード抜去要求をハードウェア制御部113に送信する。その後、ステップS1017の処理に進む。
【0039】
(ステップS1017)ハードウェア制御部113は、カード排出待ち状態になる。具体的には、ハードウェア制御部113のICカード処理部1131は、定期的(所定時間毎)に排出確認をデバイスドライバ1141に送信する。また、ハードウェア制御部113の表示処理部1134は、ICカードを抜去する指示を表示部131に表示する。また、ハードウェア制御部113の音声処理部1136は、ICカードを抜去する指示を音声出力部133から音声出力する。その後、ステップS1018の処理に進む。
【0040】
(ステップS1018)ハードウェア制御部113は、デバイスドライバ1141からカード排出イベントを受信したか否かを判定する。カード排出イベントを受信したとハードウェア制御部113が判定した場合にはステップS1019の処理に進む。また、カード排出イベントを受信していないとハードウェア制御部113が判定した場合にはステップS1017の処理に戻る。
【0041】
(ステップS1019)ハードウェア制御部113は、印字処理を開始する。具体的には、ハードウェア制御部113のプリンタ処理部1135は、プリンタ132を制御して伝票の印字を開始する。その後、ステップS1020の処理に進む。
(ステップS1020)ハードウェア制御部113は、伝票の印字が完了すると、印字処理を終了する。その後、処理を終了する。
【0042】
(ステップS1021)ハードウェア制御部113は、エラーが発生したことを示すエラー画面を表示部131に表示する。その後、ステップ1022の処理に進む。
(ステップS1022)決済制御部111は、カード抜去要求をハードウェア制御部113に送信する。その後、ステップS1023の処理に進む。
【0043】
(ステップS1023)ハードウェア制御部113は、カード排出待ち状態になる。具体的には、ハードウェア制御部113のICカード処理部1131は、定期的(所定時間毎)に排出確認をデバイスドライバ1141に送信する。また、ハードウェア制御部113の表示処理部1134は、ICカードを抜去する指示を表示部131に表示する。また、ハードウェア制御部113の音声処理部1136は、ICカードを抜去する指示を音声出力部133から音声出力する。その後、ステップS1024の処理に進む。
【0044】
(ステップS1024)ハードウェア制御部113は、デバイスドライバ1141からカード排出イベントを受信したか否かを判定する。カード排出イベントを受信したとハードウェア制御部113が判定した場合にはステップS1025の処理に進む。また、カード排出イベントを受信していないとハードウェア制御部113が判定していない場合にはステップS1023の処理に戻る。
(ステップS1025)決済制御部111は、エラー内容に応じた後続処理を実行する。その後、処理を終了する。
【0045】
上述したとおり、本実施形態によれば、制御部11は、ICカードリーダ122からICカードが抜去された場合にのみプリンタ132に伝票を印字させる。よって、ICカードリーダ122からICカードを取り除かなければ伝票が発行されない。これにより、利用者(お客)に領収書等の伝票を渡す段階では、必ずICカードが抜去され、ICカードは操作者(店員等)の手元にあることになる。また、利用者は領収書等の伝票を受け取るまでは売り場を離れることは少ない。ICカードは操作者が持っていることになるため、伝票とともに確実に利用者に手渡しすることができる。そのため、利用者へのカード返却忘れが起きることを軽減することができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、制御部11は、決済処理の途中でエラーが発生した場合には、ICカードリーダ122からICカードが排出された場合にのみエラーに応じた後続処理を続行する。よって、ICカードリーダ122からICカードが抜去されなければエラーに関する処理が完了しない。すなわち、何らかの原因で決済処理にエラーが発生した場合には、ICカードを抜去しなければ他の方法(例えば、現金や磁気カード)による決済をすることができない。よってエラー処理が完了する段階では、必ずICカードが抜去され、ICカードは操作者(店員等)の手元にあることになる。そのため、決済処理の途中でエラーが発生した場合にも同様に、利用者へのカード返却忘れが起きることを軽減することができる。
【0047】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態と第1の実施形態とで異なる点は、第1の実施形態ではICカードが抜去されると伝票の印字を開始するが、本実施形態ではICカードが抜去されていなくても所定位置まで印字を実行し、ICカードが抜去されると最後まで印字を続行する点である。なお、本実施形態における決済端末1の構成は、第1の実施形態における決済端末1の構成と同様である。
【0048】
制御部11は、ICカードリーダ122にICカードが装着されている場合、プリンタ132に伝票の印字を開始させ、所定位置まで印字させた後、印字を中断させる。そして、制御部11は、ICカードリーダ122からICカードが抜去された場合にのみ(ICカードリーダ122が、ICカードは装着されていないと判定した場合にのみ)、プリンタ132に印字を再開(継続)させて伝票(印字物)を発行させる。
【0049】
なお、「印字を開始」は、単に印字を始めることを示し、伝票(印字物)の完成具合とは関係しない。また、「伝票(印字物)を発行」は、印字すべき情報をすべて印字して、完成品としての印字物(伝票)を出力することを示す。
【0050】
次に、本実施形態における決済端末1における動作を説明する。図5は、本実施形態における決済端末1の動作を示すシーケンス図である。本図には、ICカードによる決済処理において、領収書等の伝票を印字するときの動作を示す。
【0051】
(ステップS201)決済制御部111は、カード抜去要求をハードウェア制御部113に出力する。
(ステップS202)ハードウェア制御部113は、カード抜去要求を受信した場合、カード排出待ち状態になる。具体的には、ハードウェア制御部113のICカード処理部1131は、ステップS203およびステップS204の処理を実行し、デバイスドライバ1141に対して定期的に排出確認を送信する。
【0052】
(ステップS203)デバイスドライバ1141は、ICカードリーダ122にカードが挿入されている場合には、排出確認に対する応答としてカード挿入イベントをハードウェア制御部113に送信する。
(ステップS204)デバイスドライバ1141は、ICカードリーダ122からカードが排出された場合には、排出確認に対する応答としてカード排出イベントをハードウェア制御部113に送信する。
【0053】
(ステップS205)決済制御部111は、カード抜去要求をハードウェア制御部113に送信した後、印字開始要求をハードウェア制御部113に送信する。
(ステップS206)ハードウェア制御部113は、印字開始要求を受信した場合、伝票を所定位置まで印字する。具体的には、ハードウェア制御部113のプリンタ処理部1135は、プリンタ132を制御して伝票の印字を開始し、所定位置まで印字すると印字を中断する。所定位置は予め設定されていてもよく、任意に設定できるようにしてもよい。
【0054】
(ステップS207)ハードウェア制御部113は、カード排出イベントを受信した場合、カード抜去完了応答を決済制御部111に送信する。
(ステップS208)ハードウェア制御部113は、カード排出イベントを受信した場合、印字処理を再開する。具体的には、ハードウェア制御部113のプリンタ処理部1135は、プリンタ132を制御して伝票の印字を再開する。
【0055】
(ステップS209)ハードウェア制御部113は、伝票の印字が完了すると、伝票の印字が完了したことを示す印字完了応答を決済制御部111に送信する。その後、処理を終了する。
【0056】
図6は、本実施形態における決済端末1が実行する決済処理の処理手順を示したフローチャートである。実施形態における決済端末1は、以下のフローチャート処理をICカードによる決済時に実行するようになっている。
ステップS2001〜S2017の処理は、第1の実施形態におけるステップS1001〜S1017の処理と同様である。
【0057】
(ステップS2018)ハードウェア制御部113は、印字処理を開始する。具体的には、ハードウェア制御部113のプリンタ処理部1135は、プリンタ132を制御して伝票の印字を開始する。その後、ステップS2019の処理に進む。
(ステップS2019)ハードウェア制御部113は、所定位置まで伝票を印字する。その後、ステップS2020の処理に進む。
【0058】
(ステップS2020)ハードウェア制御部113は、デバイスドライバ1141からカード排出イベントを受信したか否かを判定する。カード排出イベントを受信していないとハードウェア制御部113が判定した場合にはステップS2021の処理に進む。また、カード排出イベントを受信したとハードウェア制御部113が判定した場合にはステップS2022の処理に進む。
(ステップS2021)ハードウェア制御部113は、伝票の印字処理を中断する。その後、ステップS2020の処理に戻る。
【0059】
(ステップS2022)ハードウェア制御部113は、伝票の印字処理を継続(再開)する。その後、ステップS2023の処理に進む。
(ステップS2023)ハードウェア制御部113は、伝票の印字が完了すると、印字処理を終了する。その後、処理を終了する。
ステップS2024〜2028の処理は、第1の実施形態におけるステップS1021〜1025までの処理と同様である。
【0060】
上述したとおり、本実施形態によれば、制御部11は、ICカードリーダ122にICカードが装着されている場合、プリンタ132に伝票を所定位置まで印字させて中断する。そして、制御部11は、ICカードリーダ122からICカードが抜去された場合にのみ、印字を再開して伝票を発行する。よって、ICカードリーダ122からICカードを取り除かなければ伝票が発行されない。
【0061】
また、本実施形態によれば、制御部11は、ICカードリーダ122からICカードが抜去されるまでの間に所定位置まで伝票を印字するため、第1の実施形態の効果に加えて、伝票を発行するまでのタイムロスを軽減することができる。これは、例えば、伝票に印字すべき情報量が多く長い伝票を印字する必要のあるICカードを使用した決済処理の場合や、一取引で複数枚の伝票を印字することが規定されているICカードを使用した決済処理の場合に、特に有効である。
【0062】
なお、上述した実施形態における決済端末1が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0063】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部を含むが、必ずしもこれらに限定されるものではない。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」に代え、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上述した実施形態では、携帯型の決済端末1を例に説明したが、これに限らず、決済端末1は、カードによる取引の決済を実行する端末装置であれば、POS(Point Of Sales)レジスタ等であってもよい。また、本実施形態では、プリンタ132を決済端末1に内蔵されているものとしたが、これに限らず、プリンタ132は決済端末1に外部接続するものであってもよい。
【0065】
また、上述した実施形態では、ICカードのICカードリーダ122からの抜き忘れを防止する例を示したが、例えば、非接触型ICカードの非接触型ICカードリーダの読み取り部分への置き忘れを防止することにも、本発明を応用することが可能である。非接触型ICカードが非接触型ICカードリーダに置かれた状態では、非接触型ICカードリーダは、非接触型ICカードと通信が可能である。よって、例えば、伝票などの印字処理の実行前に、非接触型ICカードリーダライタが非接触型ICカードと通信が可能な場合には、何らかの警告を行い、非接触型ICカードが取り除かれて通信不可となった後に、印字処理を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 決済端末
11 制御部
12 入力部
13 出力部
14 データ記憶部
15 通信部
111 決済制御部
112 通信制御部
113 ハードウェア制御部
114 OS
121 キーボード
122 ICカードリーダ
123 MSカードリーダ
131 表示部
132 プリンタ
133 音声出力部
1131 ICカード処理部
1132 MSカード処理部
1133 キー処理部
1134 表示処理部
1135 プリンタ処理部
1136 音声処理部
1141 デバイスドライバ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B