(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、電極を熔解槽の内側に向かって押し込むためには、電極と熔解槽の電極を配置する貫通孔の間に隙間がなければならない。しかし、この隙間が大きすぎると、この隙間から熔解槽内に貯留されていた熔融ガラスが漏れ出てしまう。この場合、熔融ガラスの漏出に伴って電極から流す電流も漏れ出てしまい、熔解槽中の熔融ガラスに電流が十分に供給されず、熔解槽中の熔融ガラスの通電加熱が十分に行えなくなる。一方、上記隙間が小さすぎると、電極を押し込むことが難しくなり、無理に押し込もうとすると、極端な場合には、貫通孔周りの炉壁を構成する耐火部材が電極とともに一緒に動いて、炉壁を破壊する虞もある。
【0007】
また、熔解槽を構成する耐火物材は、場所によって荷重のかかり方が異なり、また、場所によっても温度が異なるので、電極を配置する貫通孔の周りの耐火部材の熱膨張の仕方(膨張量及び膨張の方向)が異なる。このため、室温からガラス基板の製造の操業時の温度まで熔解槽を加熱したとき、上記隙間の大きさが場所によって異なってしまうという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、ガラス基板の製造の操業時、熔解槽に設けられた電極を配置する貫通孔と熔融ガラスの通電加熱に用いる電極との間に、電極の熔解槽側への押し込みを可能とする隙間を確実に設けることができるガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、熔解槽に設けられた一対の電極間に電流を流すことにより熔融ガラスを通電加熱して熔融ガラスをつくる熔解工程を含むガラス基板の製造方法である。当該製造方法では、
前記熔解槽の貯留槽に熔融ガラスが貯留されていないガラス基板の製造の操業開始前に、前記貯留槽の内側と前記貯留槽の外側をつなぐ、前記熔解槽の側壁に設けられた貫通孔に対して、前記貫通孔の内壁面との間に隙間を設けて前記電極を挿入した状態で、前記熔解槽の内部を加熱する加熱処理を行う。
前記操業時において前記電極を前記貯留槽の内側に向けて押し込むことができるように、前記加熱処理では、前記貫通孔周りの熱膨張を規制して、前記電極と前記貫通孔の間の前記隙間に前記隙間の寸法を一定の範囲内にする熱膨張規制部材を配する。
前記創業開始時、前記熱膨張規制部材は前記熔解槽の温度により燃焼してあるいは熔出して前記隙間から消失している。
【0011】
前記熔解槽は耐火物材で構成され、前記熔解槽において、前記耐火物材の熱膨張率が、温度20℃における前記耐火物材の熱膨張率の少なくとも50%になる温度まで、前記熱膨張規制部材は前記隙間に保持されることが好ましい。
【0012】
前記ガラス基板の製造の操業開始時、前記貫通孔の前記内壁面と対向する前記電極の面は、前記内壁面と非接触な面を含むことが好ましい。
【0013】
前記電極は、酸化錫で構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
上述のガラス基板の製造方法によれば、ガラス基板の製造の操業時、熔解槽に設けられた電極を配置する貫通孔と熔融ガラスの通電加熱に用いる電極との間に、電極の熔解槽側への押し込みを可能とする隙間を確実に設けることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(ガラス板の製造方法の全体概要)
図1は、本実施形態のガラス板の製造方法の工程図である。
ガラス板の製造方法は、熔解工程(ST1)と、清澄工程(ST2)と、均質化工程(ST3)と、供給工程(ST4)と、成形工程(ST5)と、徐冷工程(ST6)と、切断工程(ST7)と、を主に有する。この他に、研削工程、研磨工程、洗浄工程、検査工程、梱包工程等を有する。
【0017】
図2は、熔解工程(ST1)〜切断工程(ST7)を行う装置を模式的に示す図である。当該装置は、
図2に示すように、主に熔解装置200と、成形装置300と、切断装置400と、を有する。熔解装置200は、熔解槽201と、清澄槽202と、攪拌槽203と、ガラス供給管204,205,206と、を主に有する。なお、熔解槽201以降、成形装置300までの各槽間を接続するガラス供給管204,205,206と、清澄槽202と攪拌槽203は、白金あるいは白金合金管により構成されている。
【0018】
熔解工程(ST1)では、酸化錫が清澄剤として添加されて熔解槽201内に供給されたガラス原料を、後述するように火焔および電極を用いた通電加熱により熔解することで熔融ガラスを得る。具体的には、図示されない原料投入装置を用いてガラス原料は熔融ガラスGの液面に分散させて供給される。ガラス原料は、火炎で高温となった気相により加熱されて徐々に熔解し、熔融ガラスMG中に溶ける。熔融ガラスMGは、通電加熱により昇温される。熔解工程で得られた熔融ガラスMGは、ガラス供給管204に流出される。
【0019】
清澄工程(ST2)は、ガラス供給管204、清澄槽202およびガラス供給管205において行われる。清澄工程では、ガラス供給管204内の熔融ガラスMGが昇温されることにより、熔融ガラスMG中に含まれるO
2、CO
2あるいはSO
2等のガス成分を含んだ泡が、清澄剤である酸化錫の還元反応により生じたO
2を吸収して成長し、熔融ガラスMGの液面に浮上して放出される。また、清澄工程では、熔融ガラスMGの温度の低下による泡中のガス成分の内圧が低下することと、酸化錫の還元反応により得られた酸化錫が熔融ガラスMGの温度の低下によって酸化反応をすることにより、熔融ガラスMGに残存する泡中のO
2等のガス成分が熔融ガラスMG中に再吸収されて、泡が消滅する。清澄剤による酸化反応及び還元反応は、熔融ガラスMGの温度を調整することにより行われる。
均質化工程(ST3)では、第3清澄槽205を通って供給された攪拌槽203内の熔融ガラスMGを、スターラ203aを用いて攪拌することにより、ガラス成分の均質化を行う。攪拌槽203は2つ以上設けられてもよい。
供給工程(ST4)では、ガラス供給管206を通して熔融ガラスが成形装置300に供給される。
【0020】
成形装置300では、成形工程(ST5)及び徐冷工程(ST6)が行われる。
成形工程(ST5)では、熔融ガラスを板状ガラスGに成形し、板状ガラスGの流れを作る。本実施形態では、後述する成形体310を用いたオーバーフローダウンドロー法を用いる。徐冷工程(ST6)では、成形されて流れる板状ガラスGが、内部歪が生じないように冷却される。
切断工程(ST7)では、切断装置400において、成形装置300から供給された板状ガラスGを所定の長さに切断することで、ガラス板を得る。切断されたガラス板はさらに、所定のサイズに切断され、目標サイズのガラス板が作製される。この後、ガラスの端面の研削、研磨およびガラス板の洗浄が行われ、さらに、泡等の欠点の有無が検査された後、検査合格品のガラス板が最終製品とされる。
【0021】
図3は、熔解工程を行う熔解槽201を説明する図である。
熔解槽201は、耐火レンガである耐火物材により構成された壁210を有する。熔解槽201は、壁210で囲まれた内部空間を有する。熔解槽201の内部空間は、上記空間に投入されたガラス原料が熔解してできた熔融ガラスMGを加熱しながら収容する貯留槽Bと、熔融ガラスMGの上層に形成され、ガラス原料が投入される、気相である上部空間Aとを有する。
上部空間Aの壁210には、燃料と酸素等を混合した燃焼ガスが燃焼して火炎を発するバーナー207が設けられる。バーナー207は火炎によって上部空間Aの耐火物材を加熱して壁210を高温にする。ガラス原料は、高温になった壁210の輻射熱により、また、高温となった気相の雰囲気により加熱されて熔解する。
【0022】
熔解槽201の液槽Bの向かい合う壁210,210には、それぞれ3つの貫通孔210aが設けられている。すなわち、貫通孔210aは、貯留槽Bの内側と貯留槽Bの外側をつなぐ、熔解槽201の側壁に設けられた孔である。貫通孔210aには、3対の電極208が配置されている。電極208は、例えば酸化錫あるいはモリブデン等の耐熱性を有する導電性材料が用いられる。特に、低抵抗であり、熔融ガラスMG中に熔解しても清澄剤として用いられる点から、酸化錫を用いることが好ましい。3対の電極208はいずれも、貫通孔210aを通して熔解槽201の外側から貯留槽Bに接する側壁210の壁面に向かって延びている。
【0023】
3対の電極体208のそれぞれの対のうち、図中奥側の電極は図示されていない。3対の電極体208の各対は、熔融ガラスMGを通してお互いに対向するように、貫通孔210aに配置されている。各対の電極208間に位置する熔融ガラスMGに電流を流す。この通電により熔融ガラスMGにジュール熱が発生し、熔融ガラスMGは自ら発するジュール熱により加熱される。熔解槽201では、熔融ガラスMGは例えば1500℃以上、より好ましくは1560℃〜1630℃に加熱される。加熱された熔融ガラスMGは、ガラス供給管204を通して清澄槽202へ送られる。
【0024】
本実施形態では、熔解槽201には3対の電極208が設けられるが、1対、2対あるいは4対以上の電極が設けられてもよい。すなわち、本実施形態では、少なくとも一対の貫通孔210a,210aの各々に電極208を設けた熔解槽201を用い、熔解槽201に収納した熔融ガラスを昇温する。
具体的には、ガラス原料は、目標とするガラス組成となるように、種々の原料を秤量し、よく混ぜ合わせて作られる。このガラス原料は、熔解槽201に投入されて高温で熔解し、熔融ガラスMGがつくられる。熔解槽201に投入されたガラス原料は、その成分の分解温度に達したところで分解し、ガラス化反応により、熔融ガラスMGとなる。熔融ガラスMGは熔解槽201を下方に流れる間に、徐々に温度を上げながら、熔解槽201の底部近くからガラス供給管204に進む。このため、熔解槽201では、ガラス原料の投入された時点における温度からガラス供給管204に流出する時点における温度まで、熔融ガラスMGの温度はなだらかに上昇する。
【0025】
図4(a)は、熔融ガラスを貯留しながらガラス原料を熔解する熔解工程中の電極208と側壁210に設けられた貫通孔210aを拡大した断面図である。電極208の前方先端面は、熔融ガラスMGと接触する。電極208は、熔融ガラスMGからの圧力によって熔解槽201の外側に向かう力で押されるが、電極208が移動しないように電極208の後端の面から力が付与されている。これにより電極208は、側壁210に対して一定の位置に維持されている。また、図示されない支持部材が、電極208が貫通孔210a内の所定の位置に維持されるように、電極208を支持している。これにより、
図4(a)に示すように、電極208の、貫通孔210aの内壁面と対向する面は、貫通孔210aの内壁面と非接触な面を含む。すなわち、電極208と貫通孔210aの内壁面との間には、隙間214が設けられる。この隙間214には、熔融ガラスMGの一部が入り込んでいる。隙間214に入り込んだ熔融ガラスMGは、熔解槽201の外側の低温部分で冷やされて粘性が高くなっている。隙間214は、この粘性が高くなった熔融ガラスMGが隙間214の外部に漏れ出すことがない程度の寸法となっている。このように電極208と貫通孔210aの内壁面との間に隙間214を設けるのは、電極208が熔融ガラスMGの侵食により消耗して電極の長さが短くなったとき、電極208を熔解槽201の内側に向かって確実に押し込むことができるようにするためである。このとき、隙間214が大きすぎると、この隙間214から熔解槽内に貯留されていた熔融ガラスMGが隙間214から漏れ出てしまう。したがって、熔融ガラスMGが隙間214から漏れ出さず、電極208を貫通孔210aで確実に移動できるように、隙間214の寸法を一定の範囲内にしている。
【0026】
なお、上述したように、複数の電極208のそれぞれが挿入される貫通孔210aが、側壁210の異なる位置に設けられている。側壁210は、耐火物レンガ等の耐火物材を積み重ねた構造であり、側壁210の自重や側壁210の上に設けられる迫部(屋根部)の重さが側壁210にかかる。このとき、貫通孔210a周りの耐火物材にも上記荷重による力がかかる。このように貫通孔210aの周りの耐火物材にかかる力と、操業開始前の溶解槽201の加熱処理によって生じる耐火物材の熱膨張の作用により、貫通孔210aの大きさを小さくしようとする。このように隙間214が小さくなる場合、電極208が消耗して電極の長さが短くなったために電極208を熔解槽201の内側に向かって押し込むことが困難になる。このため、上記操業開始前の熔解槽201の加熱処理によって貫通孔210aの大きさが所定範囲になるように、貫通孔210a周りの耐火物材の熱膨張を規制しなければならない。
また、上述した貫通孔210a周りの耐火物レンガにかかる力、及び上記加熱処理によって生じる熱膨張も、貫通孔210aの位置によって異なる。このため、耐火レンガの熱膨張によって小さくなろうとする貫通孔210aの程度も貫通孔210a毎に異なる。このため、貫通孔210aと電極208との間の隙間214も、加熱処理後において場所に拠らず一定になるように、貫通孔210a周りの耐火物材の熱膨張を規制することも必要である。
【0027】
このため、本実施形態では、上記加熱処理を行なうとき、電極208と貫通孔210aとの間の隙間214に、貫通孔210a周りの熱膨張を規制して、操業時、電極208を、貯留槽Bの位置する内側に向けて確実に押し込むことができるように熱膨張規制部材212を配する。すなわち、熔解槽201の貯留槽Bに熔融ガラスMGが貯留されていないガラス基板の製造の操業開始前に、貯留槽Bの内側と外側をつなぐ、熔解槽201の側壁に設けられた貫通孔210aに対して、貫通孔20aの内壁面との間に隙間214を設けて電極208を挿入した状態で、熔解槽201の内部を加熱する加熱処理を行う。この加熱処理では、操業時において貯留槽Bの内側に向けて電極208を確実に押し込むことができるように、電極208と貫通孔210aの間の隙間214に隙間214の寸法を一定の範囲内にする熱膨張規制部材212を配する。加熱処理は、例えば、バーナー207を用いて火炎を気相空間Aにつくり、熔解槽201全体を加熱する。熔解槽201は、例えば、この加熱により1000℃近傍まで昇温される。
【0028】
図4(b)は、上記加熱処理時に、熱膨張規制部材212を隙間210aに配した状態を示す図である。
熱膨張規制部材212は、熔解槽201においてガラス原料を熔解して熔融ガラスを作製する創業開始時、熔解槽201の温度により燃焼あるいは熔出して隙間214からすでに消失していることが好ましい。操業開始時、熱膨張規制部材212が消失していない場合、熱膨張規制部材212は電極208の熔解槽201の側への押し込みを阻害する障害物となる。このような熱膨張規制部材212の材料は、創業開始時、熔解槽201の温度により燃焼あるいは熔出して隙間214からすでに消失していればよく、特に制限されないが、例えば、ガラスや木材が挙げられる。ガラスは、例えば加熱処理中の温度で容易に熔解して熔出するような粘性の低いガラス組成を有することが好ましい。加熱処理では、熔解槽201の温度は1000℃近傍まで上昇するので、木材等は燃焼し、あるいは、炭化して粒子になり消失する。なお、操業開始直後に作製される熔融ガラスは、ガラス基板のガラスとせず廃棄される。木材が炭化しできた粒子は、熔融ガラスに混入しても廃棄されるので問題は生じない。
【0029】
なお、熔解槽201を構成する耐火物材の熱膨張率は、耐火物材を室温から温度を上げていくと、熱膨張率は徐々に低下する。このため、熔解槽201において、側壁210を構成する耐火物レンガ等の耐火物材の熱膨張率が、温度20℃における耐火物材の熱膨張率の少なくとも50%になる温度まで、熱膨張規制部材212は消失せず隙間210aに保持されることが好ましい。さらに、温度20℃における耐火物材の熱膨張率の20%になる温度まで、熱膨張規制部材212は消失せず隙間214に保持されることがより好ましい。このような熱膨張規制部材212を用いることにより、加熱処理中、温度を上げて耐火物材が熱膨張により大きく変形する間、貫通孔210a周りの耐火物材が貫通孔210aの方向に伸びようとする熱膨張を熱膨張規制部材212が阻害するので、貫通孔210aの大きさを所定範囲内にすることができる。この後、耐火物材の熱膨張率の低下により熱膨張が小さくなったとき、加熱処理の温度によって熱膨張規制部材212は消失される。
【0030】
本実施形態では、熔解槽に熔融ガラスが貯留されていないガラス基板の製造の操業開始前に行なう熔解槽の内部を加熱する加熱処理において、電極208と貫通孔210aの隙間214に、貫通孔210a周りの耐火部材の熱膨張を規制する熱膨張規制部材212を配するので、加熱処理中の熔解槽201の貫通孔210a周りの耐火物材の熱膨張を効率よく規制することができ、ガラス基板の製造の操業時、電極208の熔解槽201側への押し込みを可能とする隙間214を確実に設けることができる。
創業開始時、熱膨張規制部材212は熔解槽201の温度により燃焼あるいは熔出して前記隙間から消失することにより、操業開始時、隙間214には空間が存在するだけである。このため、熔融ガラスMGの一部が隙間214に進入するが、熔解槽201の外側の低温部分の温度によって隙間214に進入した熔融ガラスMGは降温して粘性が高くなり、熔融ガラスMGの流出は抑えられる。
熔解槽201において、熔解槽201を構成する耐火物材の熱膨張率が、温度20℃における耐火物材の熱膨張率の少なくとも50%になる温度まで、熱膨張規制部材212は消失せず隙間214に保持されることにより、貫通孔210a周りの断熱部材の熱膨張を規制して貫通孔210aが小さくなることを十分に抑制することができる。
また、同じ大きさあるいは同じ量の熱膨張規制部材212を隙間214に配することにより、熔解槽201と電極208との間の隙間214を貫通孔210aの場所に拠らず一定にすることができる。
【0031】
なお、ガラス基板が、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等に用いられる場合、ガラス基板の材料として、難熔性の無アルカリガラスあるいはアルカリ微量含有ガラスが用いられる。無アルカリガラスとは、Li、Na、及びKのいずれの成分も含有されていないガラスであり、アルカリ微量含有ガラスは、Li、Na、及びKのいずれか少なくとも1つの成分が含有されており、その含有率の合量が2質量%以下である。このようなガラスは難熔性である。
また、近年、ガラス基板を、LTPS(低温ポリシリコン)・TFTや酸化物半導体を膜形成して、高精細ディスプレイのパネルを作製するための基板として用いられる。この場合、熱収縮率が低いガラス基板が求められている。熱収縮率の低いガラスは、ガラス組成により達成可能であるが、このようなガラス組成では歪点が高くなり、難熔性となる場合が多い。
【0032】
このような難熔性の熔融ガラスは、熔解槽201の加熱温度を高くし、熔融ガラスMGの温度を高くしなければならない。したがって、操業開始前の加熱処理においても溶解槽の温度を高くする必要がある。この結果、操業開始前に行なう加熱処理時、貫通孔210aの大きさは、貫通孔210a周りの耐火物材の熱膨張により小さくなり易い。さらに、操業中の熔融ガラスMGの温度は高くなるので、電極208の消耗は他のガラスに比べて早く、電極208の熔解槽201への押し込みの頻度は高くなる。この点から、本実施形態のように、隙間214の大きさを一定の範囲に確保し、さらに、熔解槽201と電極208との間の隙間214を貫通孔210aの場所に拠らず一定にすることは、難熔性の熔融ガラスを作製するとき、本実施形態の効果は顕著となる。
【0033】
(ガラス組成1)
本実施形態で製造されるガラス基板として、以下のガラス組成1のガラス基板が例示される。つまり、以下のガラス組成をガラス基板が有するようにガラス原料は調合される。
SiO
2 60〜80モル%、
Al
2O
3 10〜20モル%、
B
2O
3 0〜10モル%、
RO 0〜17モル%(ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量)。
また、MgO 0〜10モル%、CaO 0〜10モル%、SrO 0〜10%、BaO 0〜10%であってもよい。
このとき、SiO
2は65〜75モル%、さらには、68〜75モル%であると泡と未熔解物の発生を低減する本実施形態の効果は顕著になる。また、B
2O
3が0〜7モル%、0〜5モル%、0〜2モル%と少なくなるほど、泡と未熔解物の発生を低減する本実施形態の効果はより顕著になる。
このとき、SiO
2、Al
2O
3、B
2O
3、及びRO(Rは、Mg、Ca、Sr及びBaのうち前記ガラス基板に含有される全元素)を少なくとも含み、モル比((2×SiO
2)+Al
2O
3)/((2×B
2O
3)+RO)は4.5以上であってもよい。また、MgO、CaO、SrO、及びBaOの少なくともいずれか含み、モル比(BaO+SrO)/RO(ROは、CaO,MgO,SrO及びBaOの合量)は0.1以上であてもよい。
また、モル%表示のB
2O
3の含有率の2倍とモル%表示の上記ROの含有率の合計は、30モル%以下、好ましくは10〜30モル%であることが好ましい。
また、上記ガラス組成1のガラス基板におけるアルカリ金属酸化物の含有率は、0モル%以上0.4モル%以下であってもよい。
【0034】
(ガラス組成2)
また、ガラス基板として、以下のガラス組成2のガラス基板が例示される。したがって、以下のガラス組成をガラス基板が有するようにガラス原料は調合される。
SiO
2:55〜75モル%、
Al
2O
3:5〜20モル%、
B
2O
3:0〜15モル%、
RO:5〜20モル%
(RはMg、Ca、Sr及びBaのうち、ガラス基板に含まれる全元素)、
R’
2O:0〜0.4モル%(R’はLi、K、及びNaのうち、ガラス基板に含まれる全元素)。
このとき、SiO
2、Al
2O
3、B
2O
3、及びRO(ROは、MgO、CaO、SrO及びBaOの合量)の少なくともいずれかを含み、モル比((2×SiO
2)+Al
2O
3)/((2×B
2O
3)+RO)は4.0以上であってもよい。
【0035】
以上、本発明のガラス基板の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例等に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。