(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施例を図面を用いて説明する。
【0010】
[構成の説明]
図1は、本発明の一実施形態である噴水装置1の正面断面図である。
図2は、噴水装置1の側面図(噴水装置1を
図1の左方向からみた図)である。噴水装置1は、主として、サーボモータ取付部10と、給水部20と、主軸30と、ノズル31と、ベース架台40と、架台41、42と、軸受ユニット50とを有する。噴水装置1は、ノズル31の先端以外は、水面Hより下、すなわち水中に沈められて使用される。
【0011】
架台41、42は、それぞれベース架台40に設けられる。架台41の上には、サーボモータ取付部10及び軸受ユニット50が設けられる。架台42の上には、給水部20及び軸受ユニット50が設けられる。
【0012】
サーボモータ取付部10(後に詳述)は、サーボモータ11を有する。サーボモータ11は、例えば出力が100W程度のものが使用できる。サーボモータ11の出力軸11aは、主軸30の一端に連結される。これにより、サーボモータ11は、出力軸11aを回動させることで、サーボモータ取付部10及び給水部20に対して、主軸30を回動させる。その結果、主軸30の中心軸A周りにノズル31が回動する(
図2参照)。本実施の形態では、ノズル31は、主軸30の中心軸A周りに略120度(±略60度)回動可能である。
【0013】
主軸30の出力軸11aに固定されていない側の端は、給水部20に連結される。主軸30は、給水部20に対して回転可能に設けられる(後に詳述)。給水部20からは、主軸30の中空筒部30aに水が供給される。
【0014】
主軸30の中空筒部30aには、ノズル31の一端が連結している。そのため、給水部20から供給された水は、主軸30の中空筒部30aを通ってノズル31の先端から噴出する。
【0015】
図1に示すように、主軸30は、軸受ユニット16(後に詳述)及び軸受ユニット50(後に詳述)と、給水部20の軸受23(後に詳述)及び軸受ユニット50と、の4か所で軸支される。したがって、軸がぶれないように主軸30を安定して軸支し、かつ主軸30をベース架台40及び架台41、42に対して回動させることができる。また、軸受ユニット16及び軸受23の隣に軸受ユニット50を設けることで、軸受ユニット16及び軸受23に水流が直接ぶつかることを防止することができる。
【0016】
図3は、サーボモータ取付部10の断面図である。
【0017】
サーボモータ取付部10は、主として、サーボモータ11と、モータプレート12と、カバー13と、フタ14と、Oリング15と、軸受ユニット16と、フタ17とを有する。
【0018】
モータプレート12と、カバー13と、フタ14は、例えば、ステンレス、アルミニウム等の防錆性を有する金属で形成される。モータプレート12、カバー13、フタ14、及びOリング15は、サーボモータ11を覆う防水カバーを構成する。
【0019】
モータプレート12は、パイプ部12aと、パイプ部12aの一端に設けられたフランジ部12bと、を有する。架台41には、取付部材41aを介して、パイプ部12aの外周及びフランジ部12bの端面が固定される。フランジ部12bの架台41に当接していない端面には、ねじ止め等によりサーボモータ11が取り付けられる。
【0020】
なお、本実施の形態では、モータプレート12は取付部材41aを介して架台41に設けられたが、モータプレート12と架台41とを一体形成してもよい。
【0021】
フランジ部12bには、パイプ部12aと反対側に、カバー取付部12cが突出して形成される。カバー取付部12cは、カバー13をモータプレート12に取り付けたときに、カバー13の内周面に挿入される。
【0022】
カバー取付部12cの外周面(カバー13の内周面と対向する面)には、溝12d(
図4参照)が形成される。溝12dには、密封用のOリング15が設けられる。
【0023】
カバー13には、フタ14が取り付けられる。フタ14には、カバー13の内周面に挿入される突出部14aが形成される。突出部14aの外周面(カバー13の内周面と対向する面)には、溝14bが形成される。溝14bには、密封用のOリング15(一部図示省略)が設けられる。
【0024】
このように、カバー13の両側がOリング15によりシールされているため、カバー13の内部に水が浸入することを防止することが出来る。カバー13は摺動する部品ではないため、Oリング15によるシールのみで十分に防水が可能である。
【0025】
なお、本実施の形態では、シール部材としてOリング15を用いたが、シール部材として使用可能な部品であればOリングには限定されない。例えば、カバー取付部12c及び突出部14aの外周にパッキンを貼付してシール部材としてもよい。
【0026】
図4は、
図3の要部拡大図である。モータプレート12のパイプ部12aには、主軸30を支持する軸受ユニット16が設けられる。軸受ユニット16は、軸受部16Aと、オイル注入部16Bとを有する。パイプ部12aの内側に軸受部16Aを挿入したあとで、パイプ部12aの端にフタ17を設けることで、軸受部16Aがパイプ部12a内に設けられる。
【0027】
軸受ユニット16について詳細に説明する。パイプ部12aの内周には、内周方向に突出するようにリブ12eが形成される。軸受部16Aは、リブ12eにより、主軸30の軸A方向に位置決めされる。
【0028】
軸受部16Aは、2個の軸受16aと、2個の軸受16aの間に形成されたオイル充填部16bと、を有する。本実施の形態では、水中で使用するため、軸受16aとして、すべり軸受のうちの、耐蝕性能、耐薬品性能に優れたブッシュ軸受を採用する。
【0029】
軸受16aは、軸方向内側に突出するように突起16xを有する。突起16xは、主軸30の軸(軸A)に沿った方向、主軸30の外周面に対して斜めに突出する。突起16xは、オイル充填部16bに充填されたオイルが外に流出するのを防止するとともに、水がオイル充填部16bに流入することを防止する。
【0030】
本実施の形態では、軸受16aは、
図3及び
図4における右側から水圧を受ける。したがって、2個の軸受16aは、突起16xが
図3及び
図4における左側から右側へ突出するように設けられる。言い換えると、軸受16aは、サーボモータ11が設けられていない方向に突出するように設けられる。これにより、突起16xが水圧(水の流れ)を受けると、突起16xが主軸30に押し付けられる方向に移動するため、シール力を増加させることができる。
【0031】
2個の軸受16aの間に形成されるオイル充填部16bには、オイル注入部16Bを介してオイルが充填される。オイルは、粘性の高いグリス(例えば、リチウムグリス)を使用する。なお、オイル充填部16bに充填するのは、グリスではなく、オイルでもよいが、よりシール力を増加させるためには、オイル充填部16bに粘性の高いグリスを充填することが望ましい。
【0032】
このように、2個の軸受16aの間に形成されたオイル充填部16bにオイル(本実施の形態では、グリス)が充填されることにより、フタ17と主軸30との間の空間から軸受部16Aに浸入した水が、リブ12eと当接している軸受16aからサーボモータ11側へ浸入することを防止することができる(オイルシール)。また、オイルシールを用いることで、摺動部についても、簡単な構造で防水が可能となる。また、粘性の高いグリスを用いることで、軸受ユニット16の間から外部へオイルが流出することを効果的に防止することができる。
【0033】
なお、オイル(本実施の形態では、グリス)の充填圧は、水圧より高くすることが望ましい。これにより、より確実に、サーボモータ11側への水の浸入を防止することができる。ただし、オイル充填部16bにオイルが充填されていれば、充填圧にかかわらず、サーボモータ11側へ水が浸入することを防止する効果は得られる。
【0034】
次に、
図4を用いて軸受ユニット50について説明する。
【0035】
軸受ユニット50は、取付部材41bを介して架台41に設けられる。本実施の形態では、軸受ユニット50は、モータプレート12に隣接して設けられる。ただし、軸受ユニット50を設ける位置はこれに限定されない。
【0036】
軸受ユニット50をモータプレート12に隣接して設けることで、フタ17と主軸30との間の空間に、圧力が掛かった状態の水がぶつかることを防止し、軸受ユニット16による防水効果を高めることができる。
【0037】
軸受ユニット50は、軸受部16Aと同様、2個の軸受16aを有する。また、軸受部16Aと同様、オイル注入部51から、2個の軸受16a間にオイル(本実施の形態では、グリス)が注入される。このオイルの充填圧についても、水圧より高くすることが望ましい。
【0038】
図5は、給水部20の断面図である。給水部20は、給水管21と、ジョイントホルダー22と、軸受23と、オイル注入部24とを有する。
【0039】
ジョイントホルダー22は、略立方体であり、側面には、略コの字状の穴22a、及び略コの字状の穴22bが形成される。穴22aには、主軸30が挿入される。穴22bには、主軸30の端を軸支する軸受23が設けられる。これにより、ジョイントホルダー22に対して、主軸30を回動可能に設けることができる。
【0040】
軸受23は、軸受16aと同様、突起23xを有する。本実施の形態では、軸受23は、
図5における左側から水圧を受ける。したがって、2個の軸受23は、突起23xが
図5における右側から左側へ突出するように設けられる。言い換えると、軸受23は、ジョイントホルダー22が設けられていない方向に突出するように設けられる。
【0041】
給水管21は、ジョイントホルダー22に設けられる。ジョイントホルダー22には、給水管21と主軸30の中空筒部30aとを連結する導水部22cが形成される。これにより、図示しないポンプ等により高圧で給水された水が、給水管21から中空筒部30aへ導水される。
【0042】
給水部20をこのように構成することで、簡単な構成で、回動する主軸30に対して、給水管から水を供給することができる。
【0043】
以上の噴水装置1の構成は、本実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記の構成に限られるものではない。
【0044】
[動作の説明]次に、本実施形態における噴水装置1の動作を説明する。主軸30の中空筒部30aには、給水管21から高圧で水が給水される。給水された水は、中空筒部30aに連結されたノズル31から噴出される。
【0045】
サーボモータ11を駆動させると、出力軸11aが回動する。出力軸11aが回動すると、出力軸11aと一体となるように取り付けられた主軸30が回動する。
【0046】
主軸30の回動に伴い、ノズル31が回動する。したがって、ノズル31から噴出される水の向きを立体的に様々に変更される。
【0047】
メンテナンス時には、カバー13からフタ14を取り外す。その結果、フタ14によりカバー13の一端が開口される。この開口部を介して、モータプレート12からサーボモータ11を取り外し、サーボモータ11をカバー13から引き抜く。これにより、サーボモータ11を簡単に取り外すことができる。なお、メンテナンス時に、モータプレート12からカバー13を取り外してから、サーボモータ11をモータプレート12から取り外すようにしてもよい。
【0048】
本実施の形態によれば、摺動部と摺動部でない部分とを分け、摺動しない部分についてはOリングを用いることで、簡単な構成で十分な防水性能を得ることができる。また、摺動する部分(軸受部)についてはオイルを用いて密封(オイルシール)することで、メンテナンスが容易かつ簡単な構造の噴水装置を提供することができる。
【0049】
また、本実施の形態によれば、サーボモータを覆う防水カバーはOリングを用いて密封することで、防水カバーの分解が容易となり、したがってメンテナンスを容易に行うことができる。
【0050】
特に、本実施の形態では、サーボモータを覆う防水カバーの防水に密封空気を用いないため、カバーの構成を簡単にすることができる。例えば、密封空気を用いる場合には、防水カバーに送り込んだ圧縮空気が防水カバーから水中に噴出するため、見栄えが悪いという問題がある。それに対し、本実施の形態では、密封空気を用いないため、見栄えが悪くならないという効果がある。
【0051】
なお、本実施の形態では、軸が1本(主軸30のみ)の噴水装置1を例に説明したが、本発明は軸が2本以上の噴水装置にも適用できる。例えば、軸が2本の場合には、主軸30と略直交する方向に軸を設け、この軸に対してもサーボモータ取付部10を設けるようにすればよい。2軸以上の噴水装置の場合には、ノズル31を複数方向に回動させることができる。
【0052】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない(本実施形態の一部の構成を有する噴水装置は、本発明に含まれる)。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。