特許第6333614号(P6333614)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6333614電池ユニット間の温度分布を均一化するシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6333614
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】電池ユニット間の温度分布を均一化するシステム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/617 20140101AFI20180521BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20180521BHJP
   H01M 10/6565 20140101ALI20180521BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20180521BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20180521BHJP
   H01M 10/615 20140101ALN20180521BHJP
   H01M 10/613 20140101ALN20180521BHJP
【FI】
   H01M10/617
   H01M10/6557
   H01M10/6565
   H01M10/6568
   H01M2/10 E
   !H01M10/615
   !H01M10/613
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-90109(P2014-90109)
(22)【出願日】2014年4月24日
(65)【公開番号】特開2015-210867(P2015-210867A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2017年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】512043957
【氏名又は名称】高達能源科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】宋子文
(72)【発明者】
【氏名】▲頼▼立人
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−212099(JP,A)
【文献】 特開2013−157182(JP,A)
【文献】 特開2013−016301(JP,A)
【文献】 特開2006−192969(JP,A)
【文献】 特開2010−040420(JP,A)
【文献】 特開2012−009410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/52 − 10/667
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導流体、閉ざされたハウジング循環モジュール及び循環管路を備えた、電池ユニット間の温度分布を均一化するシステムであって、
前記熱伝導流体は、前記電池ユニットを覆うとともに、前記電池ユニットの周り、かつ/又は、前記電池ユニット間の特定経路に沿って循環し、
前記閉ざされたハウジングは、前記電池ユニット及び前記熱伝導流体を覆い、
前記循環モジュールは、前記閉ざされたハウジングの内側又は外側に取り付けられ、前記電池ユニットの周り、かつ/又は、特定経路に沿って前記熱伝導流体を循環させ、
前記循環管路は、電池ユニット間に配設され、前記熱伝導流体の特定経路として用いられ、
前記電池ユニットは、直列方式又は並列方式で互いに接続され、前記循環モジュールにより前記熱伝導流体を循環させると、前記電池ユニット間の温度分布が均一化される、ことを特徴とする、
電池ユニット間の温度分布を均一化するシステム。
【請求項2】
前記電池ユニットは充電池芯又は充電池パックであることを特徴とする請求項1に記載の電池ユニット間の温度分布を均一化するシステム。
【請求項3】
前記熱伝導流体は熱伝導ガス又は熱伝導液体であることを特徴とする請求項1に記載の電池ユニット間の温度分布を均一化するシステム。
【請求項4】
前記熱伝導ガスは空気又は不活性ガスであることを特徴とする請求項3に記載の電池ユニット間の温度分布を均一化するシステム。
【請求項5】
前記熱伝導液体は水、シリコーン油、又は磁性体を含んだ液体であることを特徴とする請求項3に記載の電池ユニット間の温度分布を均一化するシステム。
【請求項6】
前記循環モジュールは、ポンプ、バイブレータ、ファン、磁気回転子を有するモータ又は磁気回転子を有する装置であり、前記閉ざされたハウジングの外部磁力変化により駆動することを特徴とする請求項1に記載の電池ユニット間の温度分布を均一化するシステム。
【請求項7】
熱伝導流体、ハウジング及び循環モジュールを備えた、電池ユニット間の温度分布を均一化するシステムであって、
前記熱伝導流体は、前記電池ユニットを覆うとともに、前記電池ユニットの周り、かつ/又は、前記電池ユニット間の特定経路に沿って循環し、
前記ハウジングには、前記電池ユニットと、前記熱伝導流体の一部とが収容されるとともに、少なくとも1つの流通孔を有し、前記流通孔を介して前記熱伝導流体の一部が前記ハウジングを出入りし、
前記循環モジュールは、前記ハウジングの内側又は外側に取り付けられ、前記電池ユニットの周り、かつ/又は、特定経路に沿って前記熱伝導流体が循環し、
前記電池ユニットは、直列方式又は並列方式で互いに接続され、前記循環モジュールにより前記熱伝導流体を循環させると、前記電池ユニット間の温度分布が均一化される、ことを特徴とする、
電池ユニット間の温度分布を均一化するシステム。
【請求項8】
前記熱伝導流体は熱伝導ガス又は熱伝導液体であることを特徴とする請求項に記載の電池ユニット間の温度分布を均一化するシステム。
【請求項9】
前記熱伝導ガスは空気又は不活性ガスであることを特徴とする請求項に記載の電池ユニット間の温度分布を均一化するシステム。
【請求項10】
前記熱伝導液体は水、シリコーン油、又は磁性体を含んだ液体であることを特徴とする請求項に記載の電池ユニット間の温度分布を均一化するシステム。
【請求項11】
前記電池ユニットは充電池芯又は充電池パックであることを特徴とする請求項に記載の電池ユニット間の温度分布を均一化するシステム。
【請求項12】
前記循環モジュールは、ファン、バイブレータ、磁気回転子を有するモータ又は磁気回転子を有する装置であり、前記ハウジングの外部磁力変化により駆動することを特徴とする請求項に記載の電池ユニット間の温度分布を均一化するシステム。
【請求項13】
循環する際に前記ハウジングを出入りする前記熱伝導流体の量は、循環開始前の前記ハウジング内の前記熱伝導流体全体の交換量より少ないことを特徴とする請求項に記載の電池ユニット間の温度分布を均一化するシステム。
【請求項14】
前記交換量は、前記ハウジング内の前記熱伝導流体全体の30%以内であることを特徴とする請求項13に記載の電池ユニット間の温度分布を均一化するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度分布を均一化するシステムに関し、特に、電池ユニット間の温度分布を均一化するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
充電池パックは、様々な分野で幅広く利用されている。例えば、パーソナルコンピュータ、電気自動車など日常生活で使用される製品は、その多くが充電池パックで駆動され、新たに研究開発された充電池パックは環境を汚染することがなく、使用寿命が長く、品質が安定しているため、生活の質が向上する上、二酸化炭素の排出及び空気汚染が少ない。
【0003】
しかし、充電池パックには、改良が必要な欠点が存在した。欠点の1つとして、充電池芯間が不均衡となって老化を招くことがある。
1つの充電池パックは、設計容量に応じて複数の充電池芯から構成され、充電池芯は直列接続方式又は並列接続方式により互いに接続されている。充電池芯は充電池パックの重要な部材でもある。充電池芯は、充放電される際、高温となる。充電池芯が過熱されると、ライフサイクルが短くなる虞があった。そのため、充電池芯の発熱を防ぐことができる場合、特に大容量の充電池パックにとって役に立つ。
また、充電池パックには、充電池芯間の温度分布が不均一となる問題点があった。これはよく知られているように充電池芯が不均衡となる原因となり易かった。高温の充電池芯は、他の充電池芯より老化し易かった。そのため、例えば、電力容量などの電気特性はその他の物と異なる。充電池芯の適切な動作は、充電池パック動作の基礎であるため、1つ又は複数の充電池芯が不均衡となる問題が生じて適切に動作しなくなる場合、充電池パックは、効果が失われたり性能が低下したりする虞がある。
【0004】
そのため、上述の問題点を解決するために、多くの従来技術で様々な温度制御方式が採用されている。例えば、図1に示すような充電池モジュールの温度を下げる温度制御システム10が開示されている(特許文献1)。
このシステム10は、貯留槽2、ポンプ4及び管路7,8,9を含む。貯留槽2中には、流体が含まれる。ポンプ4は、管路7を介して貯留槽2から流体を汲み上げる。その後、ポンプ4は、管路8を介して流体を充電池モジュール6へ送る。充電池モジュール6は、冷却マニホールド1、熱交換器5及び冷却マニホールド3を含み、以下それらについて詳説する。
冷却マニホールド1の配置は、充電池モジュール6中の各熱交換器5を介して実質上等しい流量を得て、これら複数の充電池芯が有するものと等しい熱エネルギを除去することができる。そのため、充電池モジュール6中の全ての充電池芯は略同じ温度が維持され、充電池芯は、出力電圧を含む均一な操作特性を得る。冷却マニホールド3は、充電池モジュール6内の熱交換器5から供給された加熱流体を受け、管路9を介して加熱された流体を貯留槽2中へ戻す。
【0005】
特許文献1は、典型的な発明であり、冷却内部の充電池芯の温度構造を提供するが、これには1つ問題点があった。即ち、管路9内の流体が回流して外部環境により冷却され、管路9内の流体温度が管路9より低くなるという問題点である。しかし、充電池芯にとっては、管路8に近い側の冷却効果(即ち温度下降)が高い。これは即ち流体が先に接触した充電池芯の熱を後で接触する物へ運ぶためである。しかし両者は、同じ状況下で作動し、略同じ熱量を発生させるため、後者は前者よりも多くの熱を放出することはできなかった。また、冷却マニホールド1,3及び熱交換器5は複雑な装置であるため、システム10のコストが多くなる虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第8426050号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来の充電池芯又は充電池パックの温度制御システムでは、温度分布が不均一である上に高コストであり、加熱又は冷却を制御することができないという欠点を改善し、構造が簡素で製造コストが安く、電池パック間の温度分布を均一化するシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によれば、熱伝導流体、閉ざされたハウジング及び循環モジュールを備えた、電池ユニット間の温度分布を均一化するシステムであって、前記熱伝導流体は、前記電池ユニットを覆うとともに、前記電池ユニットの周り、かつ/又は、前記電池ユニット間の特定経路に沿って循環し、前記閉ざされたハウジングは、前記電池ユニット及び前記熱伝導流体を覆い、前記循環モジュールは、前記閉ざされたハウジングの内側又は外側に取り付けられ、前記電池ユニットの周り、かつ/又は、特定経路に沿って前記熱伝導流体を循環させ、前記電池ユニットは、直列方式又は並列方式で互いに接続され、前記循環モジュールにより前記熱伝導流体を循環させると、前記電池ユニット間の温度分布が均一化される、ことを特徴とする電池ユニット間の温度分布を均一化するシステムが提供される。
【0009】
前記電池ユニットは充電池芯又は充電池パックであることが好ましい。
【0010】
前記熱伝導流体は熱伝導ガス又は熱伝導液体であることが好ましい。
【0011】
前記熱伝導ガスは空気又は不活性ガスであることが好ましい。
【0012】
前記熱伝導液体は水、シリコーン油、又は磁性体を含んだ液体であることが好ましい。
【0013】
前記電池ユニット間に配設され、前記熱伝導流体の特定経路として用いる循環管路をさらに備えることが好ましい。
【0014】
前記循環モジュールは、ポンプ、バイブレータ、ファン、磁気回転子を有するモータ又は磁気回転子を有する装置であり、前記閉ざされたハウジングの外部磁力変化により駆動することが好ましい。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の第2の形態によれば、熱伝導流体、ハウジング及び循環モジュールを備えた、電池ユニット間の温度分布を均一化するシステムであって、 前記熱伝導流体は、前記電池ユニットを覆うとともに、前記電池ユニットの周り、かつ/又は、前記電池ユニット間の特定経路に沿って循環し、前記ハウジングには、前記電池ユニットと、前記熱伝導流体の一部とが収容されるとともに、少なくとも1つの流通孔を有し、前記流通孔を介して前記熱伝導流体の一部が前記ハウジングを出入りし、前記循環モジュールは、前記ハウジングの内側又は外側に取り付けられ、前記電池ユニットの周り、かつ/又は、特定経路に沿って前記熱伝導流体が循環し、前記電池ユニットは、直列方式又は並列方式で互いに接続され、前記循環モジュールにより前記熱伝導流体を循環させると、前記電池ユニット間の温度分布が均一化される、ことを特徴とする電池ユニット間の温度分布を均一化するシステムが提供される。
【0016】
前記熱伝導流体は熱伝導ガス又は熱伝導液体であることが好ましい。
【0017】
前記熱伝導ガスは空気又は不活性ガスであることが好ましい。
【0018】
前記熱伝導液体は水、シリコーン油、又は磁性体を含んだ液体であることが好ましい。
【0019】
前記電池ユニットは充電池芯又は充電池パックであることが好ましい。
【0020】
前記循環モジュールは、ファン、バイブレータ、磁気回転子を有するモータ又は磁気回転子を有する装置であり、前記ハウジングの外部磁力変化により駆動することが好ましい。
【0021】
循環する際に前記ハウジングを出入りする前記熱伝導流体の量は、循環開始前の前記ハウジング内の前記熱伝導流体全体の交換量より少ないことが好ましい。
【0022】
前記交換量は、前記ハウジング内の前記熱伝導流体全体の30%以内であることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の電池ユニット間の温度分布を均一化するシステムは、熱伝導流体の循環により、電池ユニット間で温度分布を均一化することができる上、製造コストが安価で、温度分布を均一化することができる上、システム外部のその他の方式により調整することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】従来の冷却システムを示したブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る電池ユニット間の温度分布を均一化するシステムを模式的に示した図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る電池ユニット間の温度分布を均一化するシステムを模式的に示した図である。
図4】本発明の第3実施形態に係る電池ユニット間の温度分布を均一化するシステムを模式的に示した図である。
図5】異なるシステム中の充電池芯の温度分布の充電池パックを模式的に示した図及び表である。
図6】本発明の第4実施形態に係る電池ユニット間の温度分布を均一化するシステムを模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
【0026】
(第1実施形態)
図2を参照する。図2は、本発明の第1実施形態に係る電池ユニット間の温度分布を均一化するシステムを模式的に示した図である。図2に示すように、本発明の第1実施形態に係るシステム100は、充電池芯110間の温度分布を均一化するために用いる。簡単に説明するために、図2では充電池芯110が8個で表されている。
【0027】
システム100は、熱伝導流体120、閉ざされたハウジング130及びポンプ140を含む。ここで図2では説明の便宜上、閉ざされたハウジング130内の部材が見えるように、一部が省略されて表されているが、実際には閉ざされたハウジング130は完全に密封されており、熱伝導流体120がその中に含まれて溢れ又は漏れが発生する虞は無い。また、充電池芯110間は、直列方式又は並列方式によりそれぞれ接続されている。しかし充電池芯110の数は8個に限定されるわけではなく、設計容量に応じて調整してもよい。
第1実施形態のシステム100は、充電池芯110の様々な組み合わせにより応用してもよい。そのため各充電池芯110間の何れの接続方式であっても、その他充電池芯110の固定及び通電の補助部品に関してはここでは述べず、システム100及び操作方法に関してのみ述べる。
【0028】
第1実施形態の熱伝導流体120として使われているのはシリコーン油であるが、実際には、熱伝導流体120はその他熱伝導ガス又は熱伝導液体でもよい。熱伝導ガスは、例えば、空気、不活性ガス又は混合不活性ガスでもよく、さらには空気と不活性ガスとの組み合わせでもよく、システム100に必要な冷却効果及びコストに応じて決定してもよい。熱伝導液体を使用する場合、特別な状況下では磁性体を含む液体を使用してもよい。これについては以下で述べる。
熱伝導流体120は、充電池芯110を覆うため、物理的損傷又は化学的損傷が全く発生しない。熱伝導流体120は、充電池芯110を囲んで循環する。図2に示すように、熱伝導流体120は、充電池芯110の外側を回流する。充電池芯110は、8個しかないため、循環が充電池芯110を通過すると、充電池芯110が動作するときに発生する熱を均一に奪うことができる。そのため、充電池芯110間の温度分布が均一化される。
【0029】
閉ざされたハウジング130は、充電池芯110及び熱伝導流体120の内部を覆う。システム100及び熱伝導流体120が1つの充電池パックとして用いられる場合、閉ざされたハウジング130は、充電池パックのハウジングである。閉ざされたハウジング130の材料は、金属、プラスチック、ガラス繊維又はその他適切な材料でもよい。
【0030】
ポンプ140は、システム100の動作に必要な重要な部材であり、閉ざされたハウジング130内部に取り付けられる。ポンプ140が作動すると、熱伝導流体120が(図2の矢印で示すように)複数の充電池芯110の周りか、充電池芯110間の特定経路に沿って循環し、充電池芯110間の温度分布が均一化される。
循環も同時に特定経路を通過し、充電池芯110の周りを通る。ここでポンプは如何なる形式の物を使用してもよい。熱伝導流体120自身の循環は、充電池芯110と接続された全ての部材を通過するため、例えば、固定フレーム、導電片、BMS(Battery Management System)の部材の平均温度よりも高い熱を奪い、循環される空間内の温度分布が均一化される。
【0031】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態では特定経路が具体的に実現される。図3を参照する。図3に示すように、第2実施形態では説明の便宜上、第1実施形態と同様のシステム100が使用されているが、ポンプ140に循環管路142が接続されている点が異なる。循環管路142は、複数の充電池芯110間に配設される。
図3に示すように、循環管路142は、前方に配設された4つの充電池芯110と、後方に配設された4つの充電池芯110との間にメアンダ形状に配設される。循環管路142は、熱伝導流体120の特定経路として用いられる。熱伝導流体120は、循環管路142を介してポンプ140により循環されると、充電池芯110からの熱を奪う。ポンプ140は、循環管路142内の熱伝導流体120と循環管路142外の熱伝導流体120とを交換することができる。
従来技術である特許文献1と異なり、閉ざされたハウジング130により形成される空間が限定されるため、数回循環された後、充電池芯110間で温度分布が均一化され、理想的には閉ざされたハウジング130内部の空間全体に温度分布される。
【0032】
(第3実施形態)
図4を参照する。図4に示すように、本発明の第3実施形態に係る熱伝導流体120は、充電池芯110の周りを循環し、充電池芯110間の特定経路に沿って循環すると、充電池芯110間の温度分布が均一化される。図4の構造には、補助ポンプ150が取り付けられている。この補助ポンプ150は、熱伝導流体120を複数の充電池芯110の周りを(図4の矢印方向で)循環させる。
このシステムは2つの流動により温度分布を均一化する。本発明では、何れの個数のポンプ又は循環モジュールを用いても温度分布が均一化した流動を作ることができる。別の変化方式では、循環管路142内の熱伝導流体120がある種の材料からなり、循環管路142外の熱伝導流体120とが独立し、両者がそれぞれ独立して循環管路142の内外で流動されてもよい。例えば、循環管路142内の熱伝導流体120は水であり、外部の熱伝導流体120は、シリコーン油(silicone oil)でもよい。このように本発明は、温度分布を均一化させることができる。
一般にポンプ140,150は、バイブレータに置き換えることができる。バイブレータは、熱伝導流体120の流動を案内する。他の実施形態のポンプ140,150では、磁気回転子を有するモータ形式が採用されているが、熱伝導流体120は、磁性体を含んだ液体でなければならない。例えば、モータが磁気回転子を回転させると、液体中の磁性体がそれに伴って移動する。その結果、熱伝導流体120(液体)が循環し、温度分布が均一化される。磁気回転子を有するモータは、磁気回転子を有する装置でもよく、閉ざされたハウジングの外側面の磁力変化により駆動されるため、閉ざされたハウジング130の外側に取り付けた駆動装置に等しい。
【0033】
図5を参照する。図5に示すように、充電池パック200は、ケース220内に多数の充電池芯210を含む。充電池パック200が作動するときに冷却されない場合、各充電池芯210の温度分布は、表の実線曲線で表される状態となる。横軸は、充電池芯210が充電池パック200の断面上からA点までの距離を示す。
図5の表から分かるように、中心部の充電池芯210は、その他周辺の充電池芯210よりも温度が高いことから、充電池芯210の熱伝導及び放熱が困難であることが容易に理解できる。
従来技術の放熱システムは、A点からB点までの循環流体により熱を奪う場合、実線曲線が点線曲線に変わる。点線曲線においてA点近くの充電池芯210を探し出すことができ、A点からわずかに離れた充電池芯210の温度低下をより大きくすることができる。B点近くの充電池芯210の温度は最高であるが、循環放熱が無い場合よりも好ましい。
【0034】
本発明が提供するシステムを応用すると、温度分布曲線が水平線(図5の点線)に変わる。これは充電池芯210全てが均一に冷却されていることを示す。この温度は、従来技術で使用する放熱システムよりも高いが、充電池パック200内の温度を、例えば、ファン、通風環境などの冷却方式(図示せず)により下げて、ケース220の外側を冷却し、充電池芯210間の温度分布を均一化する。
また、充電池芯210は、他の加熱方式(図示せず)により均一に外部加熱を行い、充電池パック200を寒冷エリアで使用する際、適切な温度にして正常な動作を得てもよい。
【0035】
勿論、本発明の処理対象は、充電池芯のみに限定されるわけではなく、充電池パックでもよい。即ち、充電池芯は同時に冷却を行ってもよく、重要な点は充電池パック間の温度分布を均一に維持することである。
【0036】
(第4実施形態)
図6を参照する。図6は、本発明の第4実施形態に係る電池ユニット間の温度分布を均一化するシステムを模式的に示した図である。図6に示すように、システム300は、電池ユニット310間の温度分布を均一化する。電池ユニット310間は、直列方式又は並列方式で互いに接続される。上述したように、これら複数の電池ユニット310は、充電池芯又は充電池パックでもよい。システム300は、熱伝導流体320、ハウジング330及びファン340を含む。
【0037】
本発明の第4実施形態は閉じた環境だけに限定されるわけではなく、一部の熱伝導流体320がハウジング330を出入りするようにしてもよい。熱伝導流体320は空気であることが好ましい。熱伝導流体320は、複数の電池ユニット310を覆い、電池ユニット310及び/又は電池ユニット310間の特定経路に沿って循環する。その他内部経路の案内装置により流動が案内されるが、ここではそれに関する説明はしない。そのため、ハウジング330は、複数の電池ユニット310を収容するだけであり、それらを覆うことはない。
ハウジング330は、熱伝導流体320を部分的に収容するとともに、少なくとも1つの流通孔332を有する。熱伝導流体320の一部は、流通孔332によりハウジング330を出入りする。
本発明は実質上閉じた環境を提供し、これら複数の電池ユニット310間の温度分布を均一化し、流通孔332を介して外部環境と熱交換を行い、システム300は全ての電池ユニット310の温度分布を均一化することができるだけでなく、温度を少しだけ制御することもできる。流通孔332は、数が多すぎたり面積が大きすぎる場合、内部の温度分布のバランスが崩れる。好適な状況において、循環するときにハウジング330を出入りする熱伝導流体320の量は、循環が開始される前にハウジング330内の熱伝導流体320全体の交換量より少ない。交換量は、30%のハウジング330中の熱伝導流体320全体の量でもよいし、30%より少なくてもよい。
流体の境界層効果により、所定の百分率を超える交換量は、ハウジング330内の熱伝導流体320が外環境に対して循環放熱を行っていると見なすことができ、これは本発明の精神から外れる。この百分率は、設計の違いに応じて変動する。ここで30%は1つの参考値であり、それより高い交換量も本発明の範囲内に含まれ、実際には固定比率の熱伝導流体320がハウジング330内で循環するか否かにより決めてもよい。
【0038】
ファン340又は循環モジュールは、ハウジング330中に取り付けられ、複数の電池ユニット310及び/又は特定経路に沿って熱伝導流体320を循環させてもよい。ファン340により熱伝導流体320が循環されると、これら複数の電池ユニット310間の温度分布が均一化される。
上述した複数の実施形態で説明したように、本実施形態を開放したハウジング330へ応用し、熱伝導流体320は空気だけに限定されるわけではなく、熱伝導流体又は熱伝導液体でもよい。熱伝導液体は、水、シリコーン油又は磁性体を含んだ液体でもよい。ファン340は、熱伝導流体320の違いに応じてバイブレータ(vibrator)、磁気回転子を含むモータ、又は磁気回転子を含む装置であるとともにハウジング外部の磁力変化により駆動される。
【0039】
当該分野の技術を熟知するものが理解できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0040】
1 冷却マニホールド
2 貯留槽
3 冷却マニホールド
4 ポンプ
5 熱交換器
6 充電池モジュール
7 管路
8 管路
9 管路
10 システム
100 システム
110 充電池芯
120 熱伝導流体
130 閉ざされたハウジング
140 ポンプ
142 循環管路
150 補助ポンプ
200 充電池パック
210 充電池芯
220 ケース
300 システム
310 電池ユニット
320 熱伝導流体
330 ハウジング
332 流通孔
340 ファン
図1
図2
図3
図4
図5
図6