【文献】
水川 毅,世界の広告賞受賞作品に学ぶ 生活者の行動を促進するクリエイティブ Vol.36,I.M.press,株式会社アイ・エム・プレス,2014年 2月25日,第214巻,p.6-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明による車両修理管理システムを各実施の形態に従って図面を用いて説明する。なお、各実施の形態において、同一もしくは相当部分は同一符号で示し、重複する説明は省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1はこの発明の各実施の形態による車両修理管理システムの概略構成図である。車両修理管理システムにおいて、コンピュータまたはサーバから構成される車両修理管理部1は各機能ブロックで示される機能を有し、車両修理管理部1と通信可能な少なくとも1つの端末2との間で通信を行うと共に、端末2の画面に必要な情報を表示する。
【0011】
オーダ管理処理部3は、車両修理のオーダのあった車両の情報を管理するものである。端末2から入力される、修理する車両の車両識別情報(車番、車種、修理種類、納期等を含む)、修理工程手順情報(登録車両の作業項目を示す修理する手順)および作業情報(作業に関連する使用する修理設備、工具、部品とそれらの数量、作業時間等を含む)を登録するものである。
【0012】
工程管理処理部4は、オーダ管理処理部3にて登録された車両について登録された修理工程手順情報に基づき修理設備負荷や部品在庫を考慮して作業スケジューリングを行うものである。作業スケジューリングはオーダ管理処理部3にて登録された車両の着手(可能)日(車両受入れ日時)から納期(依頼者(メーカやユーザ)への納車日時)の範囲で工場負荷を考慮してスケジューリングを行う。結果は端末2の画面に例えば横型棒グラフ形式で表示する。
【0013】
進捗・実績管理処理部5は、工程管理処理部4で算出した作業スケジューリングを確定した車両について、その作業を割り付けられた作業者に対して、作業指示するとともに、作業開始および完了の実績を受け付けるものである。また、作業項目や修理車両毎に例えば横型棒グラフ形式で表示することにより、作業自体の進捗や全体工程に対する進捗を表示する。すなわち、修理作業者等であるオペレータの操作による端末2からの要求に対して横型棒グラフ形式の作業スケジュールを端末2の画面に表示し、また端末2からの作業の実績等の入力を受け付ける。
【0014】
上記登録された情報は車両修理管理部1に接続されたデータベースDBに格納される。このデータベースDBにはまた、各部での処理に必要な上述の(修理)設備負荷、工具負荷、部品在庫の各スケジュール等の情報が格納される。
【0015】
図2はこの発明の実施の形態1におけるオーダ管理処理部3の構成の一例を示す機能ブロック図である。まず、車両が入庫した時または入庫前の事前情報として入手できた場合は車両登録を行う。修理する車両の情報であるオーダ管理情報はオーダ管理処理部3にて登録される。登録されるオーダ管理情報としては一例として、以下のものがある(
図2参照)。
【0016】
オーダ管理情報
・車両識別情報(車番、車種、サイズ、修理種類(塗装、ボディ整形等)、修理レベル(修理範囲、ダメージレベル)、着手予定日時(入庫予定日時)、納期(出庫予定日時)、等)
・修理工程手順情報
(一例:1)分解→2)塗装パテ→3)サフ→4)塗装→5)組換え→6)磨き→7)納車)
・作業情報
工数情報:上記修理工程手順に対する工数(作業時間):一例:1)分解(120分)→2)塗装パテ(360分)→3)サフ(360分)→4)塗装(480分)→5)組換え(120分)→6)磨き(120分)→7)納車(360分)、修理設備・工具・部品情報
修理設備・工具・部品情報:修理工程手順の各作業に使用される設備と工具と部品とそれらの数量,作業時間
【0017】
登録する手順について
図2に基づいて説明する。登録は車両修理管理部1に対してオペレータが端末2から入力して行われる。車両識別情報が入力されると、車両受付部31がこれらをデータベースDBへオーダ管理情報10として登録する。また同様にして、車両識別情報が登録された車両の修理工程手順情報が入力されると、修理工程受付部32がこれらをデータベースDBへオーダ管理情報10として登録する。さらに登録された修理工程手順情報の各工程の工数(作業時間)や各工程の作業に使用される(修理)設備、工具、部品とそれらの数量等が入力されると、作業受付部33が作業情報としてこれらをデータベースDBへオーダ管理情報10として登録する。そしてこれらの情報をオーダ管理情報10として管理する。
【0018】
また作業受付部33はさらに、現在の設備負荷(修理設備、工具の空き情報(スケジュール情報)等)、部品在庫スケジュール情報(部品の入荷日、在庫量の変化等)等が入力されると、作業環境状況情報11としてデータベースDBへ登録して管理する。また、作業環境状況情報11には、(工場等の)稼働日、作業員勤務日程等も含まれる。稼働日、作業員勤務日程等は図示されない他の機能で予め登録されている情報を使用してもよい。登録される作業環境状況情報11としては一例として、以下のものがある。
【0019】
作業環境状況情報
・修理設備スケジュール情報
・工具スケジュール情報
・部品在庫スケジュール情報
・稼働日
・作業員勤務日程
【0020】
次に現場作業負荷や現在進行中の作業状況を含めて、登録した車両を修理する場合のスケジューリング(作業差し立て)および調整を実施する。スケジューリング実行および調整は工程管理処理部4にて行う。
【0021】
図3はこの発明の実施の形態1における工程管理処理部4の構成の一例を示す機能ブロック図である。工程管理について
図3に基づいて説明する。工程管理処理部4では、オーダ管理情報に基づき修理設備を含む修理資源の能力を示す作業環境状況情報を考慮して作業の割付けおよび調整を行う。
オーダ管理情報取込部41により、オーダ管理処理部3にて管理されるオーダ管理情報10を取り込む。
【0022】
基準時刻設定部42にて、スケジューリングする車両の開始基準日時(着手予定日時)の入力を受け付ける。ここでは、作業が開始可能な最速日時を設定する。保険会社との折衝や、メーカやユーザからの入庫予定日時、作業環境状況情報11に基づく修理に必要な設備、工具の空き期間、修理に必要な部品の入庫時期など種々の条件をオペレータが考慮して入力した作業開始日時(着手予定日時)を設定する。
なお、上述の保険会社との折衝完了日時、車両の入庫日時、設備の空き期間、部品の入庫日時など種々の日程条件を端末2からオペレータが入力し、作業環境状況情報11としてデータベースDBに登録し、基準時刻設定部42が各条件が満たされる一番早い日時を着手予定日時として設定するようにしてもよい。
【0023】
スケジュール割当・調整部43にて、指定された開始基準日時(着手日時)を基に、現場の作業負荷(稼動日、作業員勤務日程、設備・工具空き情報、部品在庫等)を考慮してスケジューリングを実行する。そしてスケジューリング結果を端末2からの要求に応じて例えば横型棒グラフ方式で端末2の画面に表示する。
【0024】
すなわち、スケジュール割当・調整部43は端末2の画面に、上記作業環境状況情報11の修理設備、工具、部品のスケジュール情報、稼働日、作業員勤務日程、上記オーダ管理情報10の車両識別情報、修理工程手順情報、作業情報、設備・工具・部品情報の表示を行う。そしてこれらの表示された情報を考慮してオペレータが端末2に入力する修理作業計画を受付けてスケジューリングを行うと共に、スケジューリング結果を端末2の画面に表示する。
【0025】
またはスケジュール割当・調整部43で自動で、上記作業環境状況情報11、オーダ管理情報10の情報に基づき、修理工程手順に従って修理作業計画を作成してスケジューリングを行い、スケジューリング結果を端末2の画面に表示する。
【0026】
またスケジューリングした結果の修正を受け付ける。スケジュール割当・調整部43では後述する
図4の進捗・実績管理情報13を考慮して処理する。進捗・実績管理情報13には、工程管理情報12に対して、オペレータにより端末2に入力される、修理現場での実際の進捗・実績である修理工程手順に従った各作業工程での着手日時、作業の完了日時、さらに全体の状況により変更等が生じた実際の設備・工具・部品のスケジュール情報等が含まれる。
【0027】
スケジューリング修正した結果に対して制約チェック部44では、上記作業環境状況情報11、オーダ管理情報10の情報に基づき納期時刻チェックに対するチェック(納期時刻に間に合わない作業が報告されていないか)、部品入荷時刻チェック(部品入荷時刻に間に合わない作業が報告されていないか)、負荷量超過チェック(工程毎に設定された負荷量(工数)を超える割当を行なった作業が報告されていないか)、時間関連矛盾チェック(作業はシーケンシャル(修理工程手順順)に行なわれるはずであるが、時間関連矛盾を起こしている作業が報告されていない)等の確認を行う。いずれかのチェックで条件を満たさないものがあればスケジュール割当・調整部43に戻され、さらなる修正が行われる。
【0028】
矛盾が解消され、全てのチェックの条件が満たされるようにスケジュールの調整が施されたら、スケジュール確定部45にて、スケジューリング結果の確定を受け付ける。
【0029】
そして作業指示部46にて、確定した作業を作業差し立て指示として処理しスケジューリング結果である工程管理情報12として管理する。
【0030】
次に進捗・実績管理処理部5にて作業指示に対する作業着手実績と作業完了実績を受け付け現場での作業進捗、作業指示・実績管理を行う。
図4はこの発明の実施の形態1における進捗・実績管理処理部5の構成の一例を示す機能ブロック図である。工程管理の手順について
図4に基づいて説明する。
【0031】
進捗・実績管理処理部5では、工程管理情報12に従って端末2に表示を行い作業指示を行い、作業着手実績受付部51にて作業の着手日時を受け付ける。また作業完了実績受付部52にて作業の完了日時を受け付けることにより、工程管理情報12に反映するとともに、進捗・実績管理情報13にも反映する。
【0032】
すなわち、進捗・実績管理処理部5では、例えば端末2からの要求に従い工程管理情報12に従って作業指示の画面を端末2に表示し、作業着手実績受付部51にて端末2で入力された修理工程手順に従って各作業工程での着手日時を受け付け、作業完了実績受付部52にて端末2に入力された修理工程手順に従って各作業工程での作業の完了日時を受け付けることにより、工程管理情報12に反映するとともに、進捗・実績管理情報13にも反映する。
【0033】
なおここではさらに、端末2から入力された変更等が生じた実際の設備・工具・部品のスケジュール情報等を含む全体の状況により行程管理情報12に対して変更が生じた情報が受け付けられ、工程管理情報12、進捗・実績管理情報13に反映される。
【0034】
現場の進捗および実績の表示として進捗・実績表示部53にて端末2に表示を行う。表示情報は進捗・実績管理情報13を基にする。これにより自動車修理現場の作業状況を管理することが可能となり、情報共有することにより会社全体(作業者間、チーム間、工程間、部門間など横断して)で強調連携することが可能となる。
【0035】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1では、オーダ管理処理部3において、作業手順および作業工数を登録する方式で述べたが、作業手順と工数を修理規模やレベルによってパターン化することにより現場作業者ではなくとも簡便に設定することが可能となる。修理手順および工数の入力は現場の熟練者でないと設定するこが難しい現状があるが、本方式によればフロント業務などの担当者でも入力することができ、部門間の連携を補完することが可能となる。
【0036】
図5はこの発明の実施の形態2におけるオーダ管理処理部3の構成の一例を示す機能ブロック図であり、次に動作について
図5に基づいて説明する。まず、実施の形態1と同様に、車両が入庫した時または入庫前の事前情報として入手できた場合は車両登録を行う。修理する車両の情報である上述のオーダ管理情報はオーダ管理処理部3にて登録する。
【0037】
上述の車両識別情報が入力されると、車両受付部31がこれらをデータベースDBへオーダ管理情報10として登録する。
【0038】
またこの実施の形態では、車両の修理の種類(塗装、ボディ整形等を含む)とその修理レベル(修理範囲、ダメージレベル等を含む)毎に、上記修理工程手順情報と該修理工程手順情報の各工程の工数(作業時間)とを組み合わせてパターン化した複数種の修理パターンを使用し、例えば複数種の修理パターンが予め修理パターン情報14としてデータベースDBに格納されている。
【0039】
パターン受付部34は、これらの修理パターン情報を端末2に表示してオペレータの修理パターンの選択を促し、選択された修理パターン(修理工程手順情報、作業情報を含む)をデータベースDBへオーダ管理情報10として登録する。修理パターンの例として
図5では、
修理種類:塗装
修理レベル:レベル1(大破)
修理工程手順と工数(作業時間):1)分解(120分)→2)塗装パテ(360分)→3)サフ(360分)→4)塗装(480分)→5)組換え(120分)→6)磨き(120分)→7)納車(360分)
という例が示されている。
【0040】
なお、修理パターンにはさらに、上述の設備・工具・部品情報(修理設備該作業に使用される設備と工具と部品とそれらの数量,作業時間)を含めてもよい。
さらにパターン受付部34は、オペレータに修理パターンを選択させるために端末2に表示する修理パターンを、車両識別情報に基づき絞り込む、さらには決定するようにしてもよい。
【0041】
修理種類や修理レベルによって手順と工数をパターン化して登録しておくことにより、誰でも簡単に設定することが可能となる。
【0042】
実施の形態3.
なお、上述実施の形態1では、作業指示に関して作業着手開始・完了を収集する方法で述べたが、
図6に示すように作業手順としてチェックシート化することにより作業手順の確実性や設備から収集される品質情報等も管理することが可能となる。また作業トレース、エビデンス情報として連携することも可能となる。
【0043】
図6はこの発明の実施の形態3における進捗・実績管理処理部5の構成の一例を示す機能ブロック図であり、次に動作について
図6に基づいて説明する。まず、実施の形態1と同様に、進捗・実績管理処理部5にて作業指示に対する作業着手実績と作業完了実績を受け付け現場での作業進捗と作業指示・実績を行う。
【0044】
進捗・実績管理処理部5では、スケジューリング結果である工程管理情報12により端末2を介して作業指示を行い、作業着手実績受付部51にて端末2で入力される修理工程手順に従った各作業工程での着手日時を受け付け、作業完了実績受付部52にて端末2に入力される修理工程手順に従った各作業工程での作業の完了日時を受け付け、工程管理情報12、進捗・実績管理情報13に反映する。
【0045】
そしてこの作業着手、完了は作業手順情報処理部54により修理工程手順(作業手順)とともに端末2に表示され、各種項目を確認することで着手と完了の実績を収集することが可能となる。収集される情報は、同時に端末2に入力される設備の稼動情報や修理品質情報なども含め品質実績情報15として蓄積されて管理され、要求に応じて端末2に表示される。すなわち端末2での作業指示が、実行する作業指示に加え、各作業の着手日時、完了日時のみならず、各作業に付随する設備の稼動状況、修理品質についても入力指示するものとなっており、品質実績情報15は例えば修理工程手順及び修理品質チェックリストのような形態のものとなる。これにより作業トレース、エビデンス情報として連携させることも可能となる。
【0046】
以上のように構成することにより、この発明によれば、作業指示や品質管理を行いかつ実績を収集することが可能であり、進捗を管理することが可能となる。また、進捗状況や修理品質の情報を共有することが可能であり、全体把握が容易にでき、問題点の発見や改善、修理品質の管理(品質レベルの明確化)作業員の適正な評価(技術レベルの明確化)、目標設定によるモチベーションアップ(人材意識の改善)等、作業技術者の育成(技術伝承)にも役立てることが可能となる。
【0047】
なお、この発明は上記各実施の形態に限定されるものではない。また、この発明は上記各実施の形態の可能な組み合わせを全て含む。