(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
パイル間に粒状物を充填してなる既設の充填材入り人工芝を下地層としてそのまま残し、上記既設の充填材入り人工芝の上に新たな人工芝を敷設してなる人工芝構造体において、
上記既設の充填材入り人工芝上に設けられた基礎材層と、上記基礎材層上に配置された排水層としての繊維製シート基材内に排水チューブを含む排水フィルターとを備え、上記排水フィルター上に上記新たな人工芝が敷設されており、
上記基礎材層は、転圧により平滑に突き固められた砕砂層および上記砕砂層上に塗布された結合剤によって形成され、上記基礎材層には排水勾配が付けられており、上記排水勾配の下端側で上記人工芝敷設面の脇には排水側溝が設けられており、上記排水フィルターの端部が上記排水勾配の下端側から引き出され上記排水側溝内に入り込んでいることを特徴とする人工芝構造体。
【背景技術】
【0002】
クレーコートや、例えばセメント乳剤が散布されている土質系のグランド等の排水性能を有していない難透水性もしくは非透水性の下地上に、人工芝(特には、充填材入り人工芝)を敷設するにあたっては、既設土砂を掘削し、暗渠等を設置し、その後に排水兼抜気層としての砕石層、アスファルトコンクリート層を順に施工し、その上に人工芝を敷設し、そのパイル間に砂やゴムチップ等の粒状物を充填するようにしている。
【0003】
しかしながら、この旧来の工法によると、土砂の廃棄費用が発生するばかりでなく、施工完了までの工期にかなりの時間がかかる。
【0004】
このような手間をかけずに、難透水性もしくは非透水性の下地上に、充填材入り人工芝を敷設する場合には、例えば台風到来時の豪雨等により、人工芝が下地から浮き水流に乗ってずれたり、充填材が押し流されることがある。このような事態になると、充填材を除去してから人工芝を剥がし、下地を調整して再敷設しなければならない。
【0005】
このような対策として、例えば特許文献1には、人工芝の基布に透水孔を形成するとともに、人工芝を敷設する下地の上面にコンクリート等を打設して敢えて非透水性とし、その下地の表層に排水溝を設けて、降雨や散水された水を上記透水孔から排水溝に流す、という簡易な構造で排水性を確保することが提案されている。
【0006】
しかしながら、このような排水構造によると、雨水の流下に伴って人工芝の透水孔から流れ出した塵埃や充填材等が排水溝に溜まり排水能力が低下するおそれがある。また、排水溝自体が剛性構造を取らないため、結果的に不等沈下や下地のひび割れ、座屈を誘発するおそれがある。さらには、コンクリートカッターで排水溝を形成するようにしていることから、施工作業者に作業上の負担がかかる。
【0007】
別の排水技術として、非透水基層上に、通水兼抜気層としての砕石層を設け、その上に直接または不織布を介在させて人工芝を敷設する方法もあるが、基層表面の排水勾配が足りない場合や、排水距離が長い場合には、排水能力が追いつかず、人工芝を通して下層に浸透した雨水の逆流現象により、人工芝の基布が押し上げられ、これによって人工芝面に不陸が発生する、という問題がある。
【0008】
また、人工芝敷設面の排水性が悪いと、気温の上昇に伴って発生する水蒸気の圧力により、人工芝の基布と下地面との間に部分的に空気枕と呼ばれる空気溜まりができ、この空気溜まりによる膨れによって人工芝面に不陸が生ずることがある。
【0009】
ところで、長期間にわたって使用された人工芝は、パイル先端の摩耗や、充填材の踏み固め等により、初期に比べて風合いや使用感がかなり低下してくる。そこで、耐用期限の過ぎた人工芝は、新しい人工芝に張り替える必要がある。しかしながら、撤去された人工芝は、産業廃棄物として処理しなくてはならない、という問題がある。
【0010】
そこで、特許文献2には、既設の古い人工芝を下地層としてそのまま残し、その上に新たな人工芝を敷設することが提案されている。なお、サッカー場やテニスコート等の運動競技施設に適用される人工芝は、多くの場合、パイル間に粒状物を充填した充填材入り人工芝である。
【0011】
充填されている粒状物が砂(目砂)等の硬質粒状物であれば、既設の古い人工芝の目砂層に生じた不陸部をその周辺の目砂層とほぼ同じレベルに修正するか、もしくは新たな目砂を投入してレベル修正し、目砂層の移動を防止する塗布剤(バインダーとしての結合剤)を塗布して目砂層を固めることにより、硬い下地層が得られるため、その上に新たな人工芝を敷き込むことができる。
【0012】
その後において、人工芝自体も種々の面で改良が重ねられ、近年では、より天然芝に近い風合いや使用感が得られるパイル丈(基布の表面から先端に至るまでの長さ)が30〜80mmと長いロングパイル人工芝が好ましく採用されている。
【0013】
ロングパイル人工芝の場合、通常、パイルの先端側の突出長さ(充填材層の表面からパイル先端までの長さ)が10〜30mm程度となるように、パイル間に粒状物が充填されるが、充填される粒状物には、例えばゴムチップ等の弾性粒状物が含まれているため、新たに敷設される人工芝の下地として適した平坦性を確保しにくい。
【0014】
また、充填材層からのパイル突出長さが邪魔をして、粒状物の移動を防止する塗布剤を粒状物に十分に塗布することができないため、充填材層を固定することが困難である。さらには、充填材層から突出しているパイルの先端部分で、その上に敷設されている新たな人工芝が不規則的に押し上げられることがある。
【0015】
このようなことから、既設の古い人工芝が充填材入りのロングパイル人工芝の場合、総じて、新たに敷設された人工芝に不陸が発生しやすい、という問題がある。
【0016】
また、性能面では、既設のロングパイル人工芝には、その充填材として、ゴムチップ等の弾性粒状物が含まれているため、その上に、弾性粒状物を含む新たな人工芝を敷設すると、柔らかすぎの過剰な低弾性となり、例えばサッカーボールやテニスボールが跳ねない等、スポーツのプレーに適さなくなることがある。また、プレーヤーが、その芝面を踏みつけた際に芝面が大きく変形し、足が埋まってしまう、という問題もある。
【0017】
また、透水性(排水性)については、既設の人工芝内の充填材(特に、目砂の場合)は、プレーヤーによって踏み固められ、かつ、新たな人工芝を敷設するに先だって塗布される塗布剤によって、初期の透水性がほとんど失われているため、上記の難透水性もしくは非透水性の下地上に、人工芝を敷設する場合と同様に、敷設された人工芝に不陸が発生しやすい、という問題がある。
【0018】
なお、特許文献3に記載されているように、既設の人工芝内に充填されている粒状物を固定する塗布剤(例えばアスファルト系の乳剤やウレタン等の樹脂材)の原液もしくは希釈液を、100〜1000g/m
2程度として、充填材に散布もしくは塗布することにより、下地層としての既設の人工芝に透水性を持たせることができる。
【0019】
しかしながら、塗布剤を乾燥し硬化させるための養生・放置時間に長時間を要することから、作業性があまりよくない。また、塗布剤を単位面積あたり、上記のように100〜1000g/m
2程度として、散布もしくは塗布すること自体、作業者に労力的な負担がかかる、という問題がある。この問題は、上記したように、特に既設の人工芝がロングパイル人工芝である場合に言える。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、
図1ないし
図6により、本発明の第1および第2の各実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0035】
(第1実施形態)
まず、
図1〜
図3を参照して、本願の第1実施形態に係る人工芝構造体1Aについて説明する。この人工芝構造体1Aは、下地10上に、排水フィルター40を介して人工芝(充填材入り人工芝)50を敷設することを特徴としている。なお、以下の説明において、排水フィルター40上に敷設される人工芝50を「表層人工芝」と言うことがある。
【0036】
この第1実施形態において、下地10は、表面がクレーコート等の粘土質で覆われていたり、表面にセメント乳剤等が散布されている、地盤への排水性能がよくない難透水性または排水性能を有していない実質的に非透水性である土系グランド等の舗装下地110である。
【0037】
図6を参照して、排水フィルター40は、繊維製のシート基材41内に、排水管42を挿通してなる平面状に形成された排水フィルターである。シート基材41は、織布であってもよいが、集水性の観点から不織布であることが好ましい。この実施形態において、シート基材41は、幅が100mm,長さ50mの帯状体である。
【0038】
また、排水管42は、例えばポリエステルモノフィラメントを管状に編み込んだ潰れにくい通水性を有するメッシュチューブである(以下、排水管を「排水チューブ」と言う)。この実施形態において、排水チューブ42はメッシュチューブが用いられているが、排水チューブ42は、管壁に排水孔を多数備え、この排水孔を通って外側から内側に水が浸透する構造を備えていればよく、多孔チューブなどが用いられてもよい。
【0039】
シート基材41が上記のような帯状体である場合、排水チューブ42は、その長さ方向に沿って挿通されるが、チューブの内径や、シート基材41に対する挿通間隔は、仕様に応じて適宜決められてよい。この実施形態では、幅100mmのシート基材41に対して、内径が4mmである排水チューブ42が、30mm間隔で5本挿通されている。
【0040】
この種の排水フィルター40は、シート基材41を構成する不織布の集水効果と、排水チューブ42の通水効果とにより、雨水の排出を効果的に促進する。
【0041】
シート基材41を構成する不織布は、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロン等の合成樹脂繊維から形成さ
れてよいが、表層人工芝50に対する摩擦抵抗や不織布自体の強度、作業性および価格等を考慮して、その目付量は、50〜150g/m
2であることが好ましい。
【0042】
すなわち、目付量が50g/m
2未満であると、敷設作業中や表層人工芝50との間で発生する負荷によって変形したり、破れたりすることがある。これとは逆に、目付量が150g/m
2を超えると、シート基材41自体の厚みが大きくなりすぎてしまい、人工芝50を敷設する作業中の安定性が損なわれ、人工芝50に粒状物を均一に充填することが困難になり、充填材の仕上がりに凹凸が生じやすくなることから、好ましくない。
【0043】
この第1実施形態によると、排水フィルター40を舗装下地110上に敷設するにあたって、あらかじめ舗装下地110上に砕石層20が設けられる。
【0044】
砕石層20の厚みは、排水性能および下地調整層としての役割、施工面積や下地勾配、また、凍上抑制機能の必要性の有無等によって変わるが、30〜500mm,好ましくは50〜200mmの厚みで打設して、転圧ローラやランマー等により、均一に突き固められることが好ましい。
【0045】
また、砕石層20には、所定の排水勾配が付けられる。排水勾配の付け方としては、舗装下地110に排水勾配を付けて、砕石層20を均一厚みとして、その排水勾配と平行に形成することが好ましいが、舗装下地110は無勾配とし、砕石層20の表面に排水勾配を付けてもよい。この第1実施形態では、
図1において、右下がりに2%程度の排水勾配としている。
【0046】
排水フィルター40は、砕石層20上の全面に敷設されてもよいが、人工芝50上に降り注ぐ通常予想される降雨量に対して十分な排水能力を備えていれば、間隔をあけて設置してもよい。
【0047】
例えば、上記のように幅が100mmで、その幅内に排水チューブ42が5本挿通されている態様であれば、500mmごとに排水フィルター40を設置しても、台風に伴う集中豪雨等の極端な雨量の場合を除き、十分な排水性能を確保できる。
【0048】
砕石層20上に排水フィルター40を設置するにあたって、結合剤30を筋状もしくは散点状(島状)に塗布して、排水フィルター40を砕石層20に密着させ一体化することが好ましい。結合剤30には、充填材入り人工芝において、充填材である粒状物の移動を防止する目的で充填材の表層に塗布される塗布剤(例えば、一液性湿気硬化型ウレタン樹脂)を使用することができる。
【0049】
また別の態様として、排水フィルター40は、新しく敷設される人工芝50の裏面(裏止め材53)側に結合剤30を介して接着されてもよい。排水フィルタ40は、砕石層20および/または人工芝50のいずれか一方または両方に接着されていればよい。
【0050】
また、
図1,
図3に示すように、人工芝敷設面の周囲のうち、排水勾配の下端側(
図1,
図3において右端側)に排水側溝60を掘削により形成し、排水フィルター40を人工芝敷設面から引き出して、排水側溝60内に入れることが好ましい。なお、排水チューブ42のみを人工芝敷設面から引き出して、排水側溝60内に入れてもよい。
【0051】
これによれば、降雨時などの水が飽和した状態においては、常に排水フィルター40に含まれている水を排水チューブ42を通して排水側溝60に向けて流下させることができる。また、砕石層20および/または舗装下地110に含まれている水分が、蒸発する際に発生する蒸気が排水チューブ42を介して外に逃がされることにより、人工芝の基布と下地面との間に空気枕が発生することが防止される。その結果、これらの強度低下や、水道の発生による不等沈下、不陸の発生等を抑制することができる。
【0052】
排水フィルター40上に表層となる人工芝50が敷設される。この人工芝50は、基布51に合成樹脂製のパイル(芝葉)52を所定間隔で植設し、基布51の裏面に、植設されたパイル52の抜け落ちを防止する裏止め材(バッキング材)53を備える人工芝で、敷設後にパイル52間に粒状物54が所定厚みで充填される充填材入り人工芝であってよい。
【0053】
この第1実施形態によれば、難透水性または非透水性である土系グランド等の舗装下地110上に、好ましくは転圧により平坦に突き固められた砕石層20を設け、砕石層20上に排水フィルター40を載置し、排水フィルター40上に人工芝50を敷設する、という簡易に工法によって、人工芝50を通してその下層に浸透する雨水を排水フィルター40を介して所定の排水勾配に沿って排水することができる。
【0054】
また、砕石層20に流下して溜まった雨水が、気温の上昇に伴って蒸発しても、その水蒸気が排水フィルター40を通して人工芝敷設面の外に排出されるため、人工芝の下部に空気溜まり(空気枕)ができず、敷設された表層人工芝50に膨れ等による不陸が発生することもない。
【0055】
なお、排水フィルター40は、砕石層20の上部に配置されることが好ましいが、排水チューブ42が砕石層20の施工時に潰れないことを条件として、排水フィルター40は、砕石層20の下に配置されてもよく、このような態様も、本発明に含まれる。
【0056】
また、人工芝50に雨水が滞留しないようにするため、基布51の裏面に裏止め材53を塗布したのち、基布51に所定の間隔で透水孔を開けることが好ましい。
【0057】
また、人工芝50のリサイクル性を考慮して、基布51およびパイル52は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン等の熱可塑性樹脂製、とりわけ溶融性のよい低密度ポリエチレンであることが好ましい。
【0058】
(第1実施形態の実施例)
次に、上記第1実施形態による実施例1.1〜1.4と、その比較例1.1〜1.3について説明する。
【0059】
〔下地基層〕について、
まず、実施例,比較例の共用事項として、排水勾配を片勾配の2%とし、十分な耐圧性能を有するように調整した土系からなる非透水性の舗装下地上に、砕石層(RC−40)を厚み50mmとなるように均一に均したのち、専用の転圧装置を用いて転圧して下地基層とした。下地基層の面積は、長さ約50m×幅約70mで、砕石層の排水勾配は、長さ方向に沿って舗装下地と同じく2%の片勾配とした。また、下地基層の上流側の端辺を除く3辺に沿って深さ30cm,幅25cmのU字型排水側溝を形成し、集水升からパイプで排水する構造とした。この下地基層を長さ50m×幅10mを1区画とし、合計7区画に分け、各区画に実施例1.1〜1.4および比較例1.1〜1.3の各人工芝構造体を設けた。
【0060】
〔排水フィルター〕について、
実施例1.1〜1.4と、比較例1.3では、排水フィルターとして、幅100mm×,長さ50mの不織布シートに、外径φ7mm(内径φmm)×50mのメッシュチューブからなる排水チューブを30mm間隔で5本埋め込んだ排水フィルターを採用した。なお、排水フィルターを平行(並列)につなげる場合には、不織布の端部同士を簡易ガスバーナーで溶着した。
【0061】
〔排水性の評価〕について、
各実施例および各比較例を構築後に暴露試験として2ヶ月放置し、その後降雨があったあとで、表面不陸の発生の有無、降雨2時間後の充填材の表面状態、表面水溜の発生の有無、表層膨れの有無の4項目について評価した。
【0062】
〔実施例1.1〕
砕石層の第1区画(長さ50m×幅10m)の全面に排水フィルターを片勾配の上流側から下流側にかけて配置し、その上にロングパイル人工芝(住友ゴム社製、商品名ハイブリッドターフXP−50:芝丈50mm)を敷設し、そのパイル間に充填材として珪砂、タイヤ粉砕品を合計で約28kg/m
2充填した。
〔排水性の評価〕
・表面不陸の発生の有無:なし(○)
・降雨2時間後の充填材の表面状態:乾燥(○)
・表面水溜の発生の有無:なし(○)
・表層膨れの有無:なし(○)
【0063】
〔実施例1.2〕
砕石層の第2区画(長さ50m×幅10m)に幅100mm,長さ50mの排水フィルターと、幅100mm,長さ50mの不織布とを、それぞれ片勾配の上流側から下流側にかけて交互に配置し、その上に、実施例1.1と同じく、ロングパイル人工芝(住友ゴム社製、商品名ハイブリッドターフXP−50:芝丈50mm)を敷設し、そのパイル間に充填材として珪砂、タイヤ粉砕品を合計で約28kg/m
2充填した。
〔排水性の評価〕
・表面不陸の発生の有無:なし(○)
・降雨2時間後の充填材の表面状態:乾燥(○)
・表面水溜の発生の有無:なし(○)
・表層膨れの有無:なし(○)
【0064】
〔実施例1.3〕
砕石層の第3区画(長さ50m×幅10m)に、幅100mm,長さ50mの排水フィルターを100mmの間隔を開けて片勾配の上流側から下流側にかけて配置し、その上に、実施例1.1と同じく、ロングパイル人工芝(住友ゴム社製、商品名ハイブリッドターフXP−50:芝丈50mm)を敷設し、そのパイル間に充填材として珪砂、タイヤ粉砕品を合計で約28kg/m
2充填した。
〔排水性の評価〕
・表面不陸の発生の有無:なし(○)
・降雨2時間後の充填材の表面状態:乾燥(○)
・表面水溜の発生の有無:なし(○)
・表層膨れの有無:なし(○)
【0065】
〔実施例1.4〕
砕石層の第4区画(長さ50m×幅10m)に、結合剤(塗布剤)を300g/m
2塗布した後、幅100mm,長さ50mの排水フィルターを100mmの間隔を開けて片勾配の上流側から下流側にかけて配置し、砕石層と排水フィルターの不織布とを部分的に接着し、その上に、実施例1.1と同じく、ロングパイル人工芝(住友ゴム社製、商品名ハイブリッドターフXP−50:芝丈50mm)を敷設し、そのパイル間に充填材として珪砂、タイヤ粉砕品を合計で約28kg/m
2充填した。
〔排水性の評価〕
・表面不陸の発生の有無:なし(○)
・降雨2時間後の充填材の表面状態:乾燥(○)
・表面水溜の発生の有無:なし(○)
・表層膨れの有無:なし(○)
【0066】
〔比較例1.1〕
砕石層の第5区画(長さ50m×幅10m)の全面に不織布のみを配置し、その上に、実施例1.1と同じく、ロングパイル人工芝(住友ゴム社製、商品名ハイブリッドターフXP−50:芝丈50mm)を敷設し、そのパイル間に充填材として珪砂、タイヤ粉砕品を合計で約28kg/m
2充填した。
〔排水性の評価〕
・表面不陸の発生の有無:なし(○)
・降雨2時間後の充填材の表面状態:やや乾燥状態(△)
・表面水溜の発生の有無:部分的に有り(△)
・表層膨れの有無:部分的に発生(△)
【0067】
〔比較例1.2〕
砕石層の第6区画(長さ50m×幅10m)に、排水フィルターを配置することなく、直接に実施例1.1のロングパイル人工芝(住友ゴム社製、商品名ハイブリッドターフXP−50:芝丈50mm)を敷設し、そのパイル間に充填材として珪砂、タイヤ粉砕品を合計で約28kg/m
2充填した。
〔排水性の評価〕
・表面不陸の発生の有無:有り(×)
・降雨2時間後の充填材の表面状態:湿潤状態(△)
・表面水溜の発生の有無:部分的に有り(△)
・表層膨れの有無:部分的に発生(△)
【0068】
〔比較例1.3〕
砕石層の第7区画(長さ50m×幅10m)に、幅100mmの排水フィルターを1000mmの間隔を開けて片勾配の上流側から下流側にかけて配置し、その上に、実施例1.1と同じく、ロングパイル人工芝(住友ゴム社製、商品名ハイブリッドターフXP−50:芝丈50mm)を敷設し、そのパイル間に充填材として珪砂、タイヤ粉砕品を合計で約28kg/m
2充填した。
〔排水性の評価〕
・表面不陸の発生の有無:部分的に発生(△)
・降雨2時間後の充填材の表面状態:湿潤状態(△)
・表面水溜の発生の有無:部分的に発生(△)
・表層膨れの有無:なし(○)
【0069】
上記実施例1.1〜1.4および上記比較例1.1〜1.3の構築仕様と、排水性の評価結果を次表1にまとめて示す。
【表1】
【0070】
(第2実施形態)
次に、
図4,
図5を参照して、本願の第2実施形態に係る人工芝構造体1Bについて説明する。
【0071】
この第2実施形態に係る人工芝構造体1Bは、上記第1実施形態と同じく、下地10上に、
図6に示す排水フィルター40を介して表層人工芝(充填材入り人工芝)50を敷設することにより構築されるが、この第2実施形態において、下地10は、使い古された既設の人工芝120である。
【0072】
この既設の人工芝120は、基布121に植設され、裏止め材123により抜け止め処理が施されたパイル(芝葉)122間に、珪砂やゴムチップ等の粒状物124が充填された充填材入り人工芝で、例えばアスファルトコンクリート等からなる透水性を有する基礎地盤E上に敷設されているが、経年的に基礎地盤Eが目詰まりを起こして透水能力が低下している場合や、充填材としての粒状物124がプレーヤー等の踏み圧により圧縮され(突き固められ)、排水性能が劣化している場合がある。
【0073】
また、ロングパイル人工芝の場合、充填材にゴムチップ等の弾性粒状物が含まれていることと、充填材層から突出しているパイルの突出長さが10〜30mm程度と長いこと等から、新たに敷設される人工芝50の下地として適した平坦性を確保しにくい。
【0074】
そこで、この第2実施形態では、既設の人工芝120上に、表層人工芝50を敷設するにあたって、好ましくは既設の人工芝120内の粒状物124を均一になるように均した後、新たに砕砂を投入して転圧ローラやランマー等により突き固めて所定の排水勾配を有する平滑な砕砂層125を形成する。
【0075】
そして、砕砂層125上に結合剤30を塗布して、既設の粒状物124、砕砂層125および結合剤30からなる堅固で平坦な下地となる基礎材層130とし、この基礎材層130上に排水フィルター40を介して表層人工芝50を敷設することにより、排水性が良好で不陸が生じない人工芝構造体1Bを構築する。
【0076】
砕砂とは、天然の岩石を粉砕機や破砕機等で人工的に小さく砕いた砂であり、一般的には、2.0〜2.5mmのふるいを通過し、粒径が75μmにとどまるものを指す。
【0077】
また、砕砂層125の厚みは、下地としての硬さ調整の意味合いもあり、施工面積および排水勾配や、凍上抑制の機能の必要性の有無等によっても変わるが、2〜50mm、好ましくは5〜30mmの厚みで打設し均等に転圧されるのが好ましい。
【0078】
結合剤30は、砕砂層125の全面に塗布されてもよいし、筋状や散点状(島状)として部分的に塗布されてよい。いずれにしても、新たに敷設される人工芝50の排水性を良好とするうえで、結合剤30により排水フィルター40を基礎材層130に一体的に密着させることが好ましい。
【0079】
結合剤30の種類は、砕砂層125の不要な移動を抑制し、かつ、均一な基礎材層130としての堅さが得られれば特に問われないが、充填材入り人工芝において、充填材である粒状物の移動を防止する目的で充填材の表層に塗布される塗布剤(例えば、一液性湿気硬化型ウレタン樹脂)が好ましく採用される。
【0080】
また、結合剤30の塗布量は、その成分や材質等にもよるが、0.3〜20kg/m
2を目安とすることができる。塗布方法としては、レーキによる塗布やスプレーによる散布のいずれでもよい。結合剤30の塗布によって構築される基礎材層130は、難透水性もしくは非透水性である。
【0081】
また別の態様として、排水フィルター40は、新しく敷設される人工芝50の裏面(裏止め材53)側に結合剤30を介して接着されてもよい。すなわち、排水フィルタ40は、砕石層20および/または人工芝50のいずれか一方または両方に接着されていればよい。
【0082】
図6を参照して、排水フィルター40は、先の第1実施形態でも説明したように、繊維製のシート基材41内に、幅100mm,長さ50mの不織布シートに、外径φ7mm(内径φmm)mm×50mのメッシュチューブからなる排水チューブを30mm間隔で5本埋め込んだ排水フィルターを用いた。
【0083】
シート基材41は、織布であってもよいが、集水性の観点から不織布であることが好ましい。この第2実施形態においても、シート基材41は不織布からなり、幅が100mm,長さ50mの帯状体である。
【0084】
この第2実施形態においても、シート基材41を構成する不織布は、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロン等の合成樹脂繊維から形成されてよいが、敷設される人工芝50に対する摩擦抵抗や不織布自体の強度、作業性および価格等を考慮して、その目付量は、50〜150g/m
2であることが好ましい。
【0085】
すなわち、目付量が50g/m
2未満であると、作業中や敷設される人工芝50との間で発生する負荷によって変形したり、破れたりすることがある。これとは逆に、目付量が150g/m
2を超えると、シート基材41自体の厚みが大きくなりすぎてしまい、人工芝50を敷設する作業中の安定性が損なわれ、人工芝50に粒状物を均一に充填することが困難になり、充填材の仕上がりに凹凸が生じやすくなることから、好ましくない。
【0086】
排水フィルター40は、基礎材層130上の全面に敷設されてもよいが、人工芝50上に降り注ぐ通常予想される降雨量に対して十分な排水能力を備えていれば、間隔をあけて設置してもよい。
【0087】
例えば、上記のように幅が100mmで、その幅内に排水チューブ42が5本挿通されている態様であれば、500mmごとに排水フィルター40を設置しても、台風に伴う集中豪雨等の極端な雨量の場合を除き、十分な排水性能を確保できる。
【0088】
また、この第2実施形態においても、
図4,
図5において、基礎材層130には、右下がりとなる2%程度の片勾配からなる排水勾配が付けられるが、人工芝敷設面の周囲のうち、排水勾配の下端側(
図4,
図5において右端側)に排水側溝60を掘削により形成し、排水フィルター40を人工芝敷設面から引き出して、排水側溝60内に入れることが好ましい。なお、排水チューブ42のみを人工芝敷設面から引き出して、排水側溝60内に入れてもよい。
【0089】
これによれば、降雨時などの水が飽和した状態においては、常に排水フィルター40に含まれている水を排水チューブ42を通して排水側溝60に向けて流下させることができる。また、基礎材層130に含まれている水分が蒸発する際に発生する蒸気が、排水チューブ42を介して外に逃がされることにより、表層人工芝50と基礎材層130との間に空気枕が発生することが防止される。その結果、これらの強度低下や、水道の発生による不等沈下、不陸の発生等を抑制することができる。
【0090】
排水フィルター40上に、表層人工芝50が敷設される。この人工芝50は、基布51に合成樹脂製のパイル52を所定間隔で植設し、基布51の裏面に、植設されたパイル52の抜け落ちを防止する裏止め材(バッキング材)53を備える人工芝で、敷設後にパイル52間に粒状物54が所定厚みで充填される充填材入り人工芝であってよいが、人工芝50に雨水が滞留しないようにするため、基布51の裏面に裏止め材53を塗布したのち、基布51に所定の間隔で透水孔を開けることが好ましい。
【0091】
この第2実施形態によれば、既設の充填材入り人工芝120上に、砕砂を投入し転圧により突き固めて平坦な砕砂層125を形成し、砕砂層125上に結合剤30を塗布して、既設の粒状物124、砕砂層125および結合剤30からなる堅固で平坦な下地となる基礎材層130を形成し、その上に排水フィルター40を載置し、排水フィルター40上に人工芝50を敷設する、という簡易に工法によって、表層人工芝50を通してその下層に浸透する雨水を排水フィルター40を介して所定の排水勾配に沿って排水することができる。
【0092】
また、基礎材層130に流下して溜まった雨水が、気温の上昇に伴って蒸発しても、その水蒸気が排水フィルター40を通して人工芝敷設面の外に排出されるため、人工芝の下部に空気溜まり(空気枕)ができず、敷設された人工芝50に膨れ等による不陸が発生することもない。
【0093】
なお、第1および第2の各実施形態で用いられる表層人工芝50について、さらに説明を加えると、その基布51には、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂製の織布もしくは不織布が用いられるが、リサイクル性を考慮して、溶融性のよい低密度ポリエチレンが好ましい。
【0094】
パイル(芝葉)52は、パイル丈(基布51の表面から先端に至るまでの長さ)が30〜80mm程度と長い、いわゆるロングパイルであることが好ましい。パイル52も、好ましくはポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン等の熱可塑性樹脂繊維からなるが、リサイクル性を考慮して、溶融性のよい低密度ポリエチレンが好ましい。
【0095】
また、パイル52には、モノテープヤーンまたはモノフィラメントヤーンを複数本束ねたもの、あるいは、帯状のスプリットヤーン等が用いられてよい。この実施形態におけるパイル52は、太さが5000〜25000dtexであって、植え付け量1000〜2500g/m
2で基布51に植え付けられている。
【0096】
裏止め材(バッキング材)53には、例えばSBRラテックスやウレタン等の熱硬化性樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂が用いられるが、必要に応じて例えば炭酸カルシウム等の増量剤が添加されてよい。
【0097】
充填材としての粒状物54には、珪砂等の硬質粒状物のほかに、例えばタイヤや工業用ゴム製品を粉砕加工したゴムチップまたは専用に生産された着色カラーチップ、熱可塑性樹脂チップ等の弾性粒状物が含まれてよい。充填材層は、弾性粒状物の単層構造であってもよい。
【0098】
粒状物54からなる充填材層の厚みは、人工芝構造体に要求される弾力性により任意に選択されるが、粒状物54の流出や飛散を防止するうえで、パイル52の突出高さ(充填材層の表面からパイル先端までの長さ)が10〜30mm以上となる厚みであることが好ましい。
【0099】
なお、新たに敷設する人工芝50は、通常、2〜5m幅程度のロール形態で施工現場に搬入され、例えばテニスコート等に必要とされる幅に応じて、その複数枚をジョイントテープを介し専用接着剤で貼り合わして一体物として敷設されるが、ジョイントテープは非透水性であるため、排水フィルター40の排水チューブ42をジョイントテープから外した部分に配置し、ジョイントテープの下部には、不織布41のみを配置することが好ましい。
【0100】
(第2実施形態の実施例)
次に、上記第2実施形態による実施例2.1〜2.4と、その比較例2.1〜2.3について説明する。
【0101】
〔基礎材層〕について、
まず、実施例,比較例の共用事項として、使い古された既設の充填材入りロングパイル人工芝について、長年の使用によって生じた粒状物の偏りによる充填厚みムラを、専用の均し施工機により均した後、砕砂を5kg/m
2目安で均一に散布し、排水勾配が片勾配で2%となるように転圧し、その転圧面に、1液性湿気型ウレタン樹脂(住友ゴム社製商品名「グリップコートC926」,NCO=約10%)と酢酸エチルとを等量混合して作成した塗布剤をジョーロにて塗布量1.5kg/m
2になるように均一に塗布して、基礎材層とした。
【0102】
基礎材層の面積は、長さ約50m×幅約70mで、排水勾配は、長さ方向に沿って舗装下地と同じく2%の片勾配とした。また、基礎材層の上流側の端辺を除く3辺に沿って深さ30cm,幅25cmのU字型排水側溝を形成し、集水升からパイプで排水する構造とした。この基礎材層を長さ50m×幅10mを1区画とし、合計7区画に分け、各区画に実施例2.1〜2.4および比較例2.1〜2.3の各人工芝構造体を設けた。
【0103】
〔排水フィルター〕について、
実施例2.1〜2.4と、比較例2.3では、排水フィルターとして、幅100mm×,長さ50mの不織布シートに、外径φ7mm(内径φmm)mm×50mのメッシュチューブからなる排水チューブを30mm間隔で5本埋め込んだ排水フィルターを採用した。なお、排水フィルターを平行につなげる例においては、不織布の端部同士を簡易ガスバーナーで溶着した。
【0104】
〔排水性の評価〕について、
この第2実施形態における各実施例および各比較例についても、上記第1実施形態における実施例と同じく、構築後に暴露試験として2ヶ月放置し、その後降雨があったあとで、表面不陸の発生の有無、降雨2時間後の充填材の表面状態、表面水溜の発生の有無、表層膨れの有無の4項目について評価した。
【0105】
〔実施例2.1〕
基礎材層上の第1区画(長さ50m×幅10m)の全面に、排水フィルターを片勾配の上流側から下流側にかけて配置し、その上に、新たな人工芝として、住友ゴム社製のロングパイル人工芝(商品名「ハイブリッドターフXP−50」:芝丈50mm)を敷設し、そのパイル間に充填材として珪砂、タイヤ粉砕品を合計で約28kg/m
2充填した。
〔排水性の評価〕
・表面不陸の発生の有無:なし(○)
・降雨2時間後の充填材の表面状態:乾燥(○)
・表面水溜の発生の有無:なし(○)
・表層膨れの有無:なし(○)
【0106】
〔実施例2.2〕
基礎材層の第2区画(長さ50m×幅10m)に、幅100mmの排水フィルターと、幅100mmの不織布とを、それぞれ片勾配の上流側から下流側にかけて交互に配置し、その上に、実施例2.1と同じく、ロングパイル人工芝(住友ゴム社製、商品名ハイブリッドターフXP−50:芝丈50mm)を敷設し、そのパイル間に充填材として珪砂、タイヤ粉砕品を合計で約28kg/m
2充填した。
〔排水性の評価〕
・表面不陸の発生の有無:なし(○)
・降雨2時間後の充填材の表面状態:乾燥(○)
・表面水溜の発生の有無:なし(○)
・表層膨れの有無:なし(○)
【0107】
〔実施例2.3〕
基礎材層の第3区画(長さ50m×幅10m)に、幅100mmの排水フィルターを100mmの間隔を開けて片勾配の上流側から下流側にかけて配置し、その上に、実施例2.1と同じく、ロングパイル人工芝(住友ゴム社製、商品名ハイブリッドターフXP−50:芝丈50mm)を敷設し、そのパイル間に充填材として珪砂、タイヤ粉砕品を合計で約28kg/m
2充填した。
〔排水性の評価〕
・表面不陸の発生の有無:なし(○)
・降雨2時間後の充填材の表面状態:乾燥(○)
・表面水溜の発生の有無:なし(○)
・表層膨れの有無:なし(○)
【0108】
〔実施例2.4〕
基礎材層の第4区画(長さ50m×幅10m)に、塗布剤を300kg/m
2塗布し、その上に幅100mmの排水フィルターを100mmの間隔を開けて片勾配の上流側から下流側にかけて配置して、排水フィルターを基礎材層と部分接着させた後、実施例2.1と同じく、ロングパイル人工芝(住友ゴム社製、商品名ハイブリッドターフXP−50:芝丈50mm)を敷設し、そのパイル間に充填材として珪砂、タイヤ粉砕品を合計で約28kg/m
2充填した。
〔排水性の評価〕
・表面不陸の発生の有無:なし(○)
・降雨2時間後の充填材の表面状態:乾燥(○)
・表面水溜の発生の有無:なし(○)
・表層膨れの有無:なし(○)
【0109】
〔比較例2.1〕
基礎材層の第5区画(長さ50m×幅10m)の全面に不織布を設置し、その上に、実施例2.1と同じく、ロングパイル人工芝(住友ゴム社製、商品名ハイブリッドターフXP−50:芝丈50mm)を敷設し、そのパイル間に充填材として珪砂、タイヤ粉砕品を合計で約28kg/m
2充填した。
〔排水性の評価〕
・表面不陸の発生の有無:なし(○)
・降雨2時間後の充填材の表面状態:やや乾燥状態(△)
・表面水溜の発生の有無:部分的に発生(△)
・表層膨れの有無:部分的に発生(△)
【0110】
〔比較例2.2〕
基礎材層の第6区画(長さ50m×幅10m)に、排水フィルターを配置することなく、直接に実施例2.1と同じく、ロングパイル人工芝(住友ゴム社製、商品名ハイブリッドターフXP−50:芝丈50mm)を敷設し、そのパイル間に充填材として珪砂、タイヤ粉砕品を合計で約28kg/m
2充填した。
〔排水性の評価〕
・表面不陸の発生の有無:有り(×)
・降雨2時間後の充填材の表面状態:湿潤状態(△)
・表面水溜の発生の有無:部分的に発生(△)
・表層膨れの有無:部分的に発生(△)
【0111】
〔比較例2.3〕
基礎材層の第7区画(長さ50m×幅10m)を構築する工程で、塗布剤を塗布する前の砕砂層上に、幅100mmの排水フィルターを100mmの間隔を開けて片勾配の上流側から下流側にかけて配置した後、実施例2.1と同じく、ロングパイル人工芝(住友ゴム社製、商品名ハイブリッドターフXP−50:芝丈50mm)を敷設し、そのパイル間に充填材として珪砂、タイヤ粉砕品を合計で約28kg/m
2充填した。
〔排水性の評価〕
・表面不陸の発生の有無:部分的に発生(△)
・降雨2時間後の充填材の表面状態:湿潤状態(△)
・表面水溜の発生の有無:部分的に発生(△)
・表層膨れの有無:なし(○)
【0112】
上記実施例2.1〜2.4および上記比較例2.1〜2.3の構築仕様と、排水性の評価結果を次表2にまとめて示す。
【表2】
【0113】
総合的な評価として、上記第1実施形態における実施例(1.1〜1.4)、上記第2実施形態における実施例(2.1〜2.4)ともに、下地層(110,120)と、その上に新たに敷設する人工芝(表層人工芝)50との間に、排水層として繊維製シート基材41に排水チューブ42を含む排水フィルター40を配置する、という簡易な工法によって、排水性が良好で、降雨による水溜や不陸等がほとんど発生しない人工芝構造体を得ることができる。