特許第6333653号(P6333653)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6333653
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/17 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   B29C45/17
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-150189(P2014-150189)
(22)【出願日】2014年7月23日
(65)【公開番号】特開2016-22702(P2016-22702A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2016年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】森田 洋
(72)【発明者】
【氏名】小木曽 太郎
(72)【発明者】
【氏名】本多 克成
【審査官】 今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−226999(JP,A)
【文献】 特開平04−039440(JP,A)
【文献】 実開昭48−009853(JP,U)
【文献】 実開平01−116207(JP,U)
【文献】 特開2001−269974(JP,A)
【文献】 特開2009−033056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00 − 45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床に対するフレームの高さを調節するレベルアジャスタを備える射出成形機であって、
前記レベルアジャスタは、前記床に設置される防振ゴムベース、および該防振ゴムベースに対して前記フレームを昇降自在に支持する支持具を有し、
前記支持具は、ねじ軸と、該ねじ軸に対して螺合されるねじ孔が形成される可動体と、前記ねじ軸を回転自在に支持する受止体とを備え、
前記受止体は前記防振ゴムベースに載置され、前記可動体に前記フレームが取付けられ、前記ねじ軸を回転させることによって前記可動体が昇降され、
前記レベルアジャスタは、前記防振ゴムベースおよび前記受止体を水平方向に押付け合わせる押付具を有し、
前記押付具は、前記可動体のねじ孔に螺合されるねじ軸部と、前記ねじ軸部の一端部に設けられ前記防振ゴムベースの側面に当接する当接部とを有する、射出成形機。
【請求項2】
前記支持具には、前記フレームから外力が作用すると共に、前記防振ゴムベースから反力が作用し、
前記支持具の前記受止体と前記防振ゴムベースとは、前記反力に水平成分を生じさせる接触面を有し、前記水平成分によって水平方向に押付け合わされる、請求項に記載の射出成形機。
【請求項3】
前記レベルアジャスタを複数有し、
一の前記レベルアジャスタにおける前記水平成分と、他の一の前記レベルアジャスタにおける前記水平成分とは、方向が異なる、請求項に記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機は、金型装置の型閉、型締、型開を行う型締装置、金型装置内に成形材料を充填する射出装置などを有する。型締装置や射出装置はフレームに設置され、フレームがレベルアジャスタを介して床に設置される。レベルアジャスタは、床に対するフレームの高さを調節する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−226999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、型締装置や射出装置の振動によって、床に対するフレームの横ずれが生じることがあった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、床に対するフレームの横ずれを抑制できる、射出成形機の提供を主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一態様によれば、
床に対するフレームの高さを調節するレベルアジャスタを備える射出成形機であって、
前記レベルアジャスタは、前記床に設置される防振ゴムベース、および該防振ゴムベースに対して前記フレームを昇降自在に支持する支持具を有し、
前記支持具は、ねじ軸と、該ねじ軸に対して螺合されるねじ孔が形成される可動体と、前記ねじ軸を回転自在に支持する受止体とを備え、
前記受止体は前記防振ゴムベースに載置され、前記可動体に前記フレームが取付けられ、前記ねじ軸を回転させることによって前記可動体が昇降され、
前記レベルアジャスタは、前記防振ゴムベースおよび前記受止体を水平方向に押付け合わせる押付具を有し、
前記押付具は、前記可動体のねじ孔に螺合されるねじ軸部と、前記ねじ軸部の一端部に設けられ前記防振ゴムベースの側面に当接する当接部とを有する、射出成形機が提供される。

【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、床に対するフレームの横ずれを抑制できる、射出成形機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態による射出成形機を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態によるレベルアジャスタの調節開始時の状態を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態によるレベルアジャスタの調節完了時の状態を示す図である。
図4】本発明の第2実施形態によるレベルアジャスタの調節完了時の状態を示す図である。
図5】本発明の第3実施形態によるレベルアジャスタの調節完了時の状態を示す図である。
図6】本発明の第4実施形態によるレベルアジャスタの調節完了時の状態を示す図である。
図7】本発明の第5実施形態によるレベルアジャスタの調節完了時の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態による射出成形機を示す図である。図1に示す射出成形機は、フレーム2、型締装置10、射出装置40などを有する。
【0011】
先ず、図1などを参照して型締装置10について説明する。型締装置10は、金型装置30の型閉、型締、型開を行う。型締装置10は、固定プラテン12、可動プラテン13、リヤプラテン15、タイバー16、トグル機構20、型締モータ21および運動変換機構25を有する。型締装置10の説明では、型閉時の可動プラテン13の移動方向(図1中右方向)を前方とし、型開時の可動プラテン13の移動方向(図1中左方向)を後方とする。
【0012】
固定プラテン12は、フレーム2に対して固定される。固定プラテン12における可動プラテン13との対向面に固定金型32が取付けられる。
【0013】
可動プラテン13は、フレーム2上に敷設されるガイド(例えばガイドレール)17に沿って移動自在とされ、固定プラテン12に対して進退自在とされる。可動プラテン13における固定プラテン12との対向面に可動金型33が取付けられる。
【0014】
固定プラテン12に対して可動プラテン13を進退させることにより、型閉、型締、型開が行われる。固定金型32と可動金型33とで金型装置30が構成される。
【0015】
リヤプラテン15は、複数本(例えば4本)のタイバー16を介して固定プラテン12と連結され、フレーム2上に型開閉方向に移動自在に載置される。尚、リヤプラテン15は、フレーム2上に敷設されるガイドに沿って移動自在とされてもよい。リヤプラテン15のガイドは、可動プラテン13のガイド17と共通のものでもよい。
【0016】
尚、本実施形態では、固定プラテン12がフレーム2に対して固定され、リヤプラテン15がフレーム2に対して型開閉方向に移動自在とされるが、リヤプラテン15がフレーム2に対して固定され、固定プラテン12がフレーム2に対して型開閉方向に移動自在とされてもよい。
【0017】
タイバー16は、型開閉方向に平行とされ、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー16には型締力検出器が設けられる。型締力検出器は、歪みゲージ式であってよく、タイバーの歪みを検出することによって型締力を検出する。
【0018】
尚、型締力検出器は、歪みゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などでもよく、その取付け位置もタイバー16に限定されない。
【0019】
トグル機構20は、可動プラテン13とリヤプラテン15との間に配設される。トグル機構20は、クロスヘッド20a、複数のリンク20b、20cなどで構成される。一方のリンク20bは可動プラテン13に揺動自在に取付けられ、他方のリンク20cはリヤプラテン15に揺動自在に取付けられる。これらのリンク20b、20cは、ピンなどで揺動自在に連結される。クロスヘッド20aを進退させることにより、複数のリンク20b、20cが屈伸され、リヤプラテン15に対して可動プラテン13が進退される。
【0020】
型締モータ21は、リヤプラテン15に取付けられ、クロスヘッド20aを進退させることにより、可動プラテン13を進退させる。型締モータ21とクロスヘッド20aとの間には、型締モータ21の回転運動を直線運動に変換してクロスヘッド20aに伝達する運動変換機構25が設けられる。運動変換機構25は、例えばボールねじなどで構成される。
【0021】
型締モータ21を駆動して可動プラテン13を前進させることにより、型閉が行われる。型閉完了後、型締モータ21による推進力にトグル倍率を乗じた型締力が生じ、型締力によって型締が行われる。型締時に可動金型33と固定金型32との間にキャビティ空間34が形成され、キャビティ空間34に液状の成形材料が充填される。キャビティ空間34内の成形材料は、固化され、成形品となる。その後、型締モータ21を駆動して可動プラテン13を後退させることにより、型開が行われる。
【0022】
射出装置40は、フレーム2に対して進退自在なスライドベースSbに設置され、金型装置30に対して進退自在とされる。射出装置40は、金型装置30にタッチされ、金型装置30内に成形材料を充填する。
【0023】
射出装置40は、シリンダ41、スクリュ42、計量モータ51、および射出モータ61を有する。射出装置40の説明では、型締装置10の説明と異なり、充填時のスクリュ42の移動方向(図1中左方向)を前方とし、計量時のスクリュ42の移動方向(図1中右方向)を後方とする。
【0024】
シリンダ41は供給口41aから供給された成形材料を加熱する。供給口41aはシリンダ41の後部に形成される。シリンダ41の外周には、ヒータなどの加熱源が設けられる。
【0025】
スクリュ42は、シリンダ41内において回転自在に且つ進退自在に配設される。
【0026】
計量モータ51は、スクリュ42を回転させることにより、スクリュ42の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。成形材料は、前方に送られながら、シリンダ41からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ42の前方に送られシリンダ41の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ42が後退させられる。
【0027】
射出モータ61は、スクリュ42を前進させることにより、スクリュ42の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置30のキャビティ空間34に充填させる。その後、射出モータ61は、スクリュ42を前方に押し、キャビティ空間34内の成形材料に圧力をかける。不足分の成形材料が補充できる。射出モータ61とスクリュ42との間には、射出モータ61の回転運動をスクリュ42の直線運動に変換する運動変換機構が設けられる。当該運動変換機構は、例えばボールねじなどで構成される。
【0028】
[第1実施形態]
図2は、本発明の第1実施形態によるレベルアジャスタの調節開始時の状態を示す図である。図3は、本発明の第1実施形態によるレベルアジャスタの調節完了時の状態を示す図である。レベルアジャスタの説明では、型締装置10の説明と同様に、型閉時の可動プラテン13の移動方向(図1中右方向)を前方とし、型開時の可動プラテン13の移動方向(図1中左方向)を後方とする。他の実施形態において同様である。
【0029】
レベルアジャスタ70は、フレーム2と床1との間に配設され、床1に対するフレーム2の高さを調節する。フレーム2は、複数のレベルアジャスタ70で支持される。レベルアジャスタ70は、ベース71、支持具72、固定具80、および押付具82を有する。
【0030】
ベース71は、床1に設置される。ベース71は、例えばゴムなどで形成され、弾性変形することにより振動を吸収し、フレーム2と床1との間の振動の伝達を抑制する。ベース71の形状は、多種多様であってよく、例えば上面視において円形、楕円形、長方形、正方形、三角形、五角形以上の多角形のいずれでもよい。ベース71の上面には凹部71aが形成され、凹部71aに支持具72が挿入される。
【0031】
支持具72は、ベース71に対してフレーム2を昇降自在に支持する。支持具72は、例えば図2図3に示すように、ねじ軸74、可動体76、および受止体78で構成される。
【0032】
ねじ軸74は、上下方向に平行とされる。ねじ軸74は、可動体76のねじ孔76aや固定具80のねじ孔に対して螺合する。可動体76と固定具80との間に、フレーム2が配設される。フレーム2には挿通孔2aが形成され、当該挿通孔2aにねじ軸74が挿通される。
【0033】
可動体76は、ねじ軸74に対して螺合するねじ孔76aを有する。可動体76は、ねじ軸74と共に回転せずに、ねじ軸74の回転に伴い昇降される。尚、ねじ軸74とねじ孔76aとは、摺動抵抗の軽減のため、ボールなどの転動体を介して螺合してもよい。
【0034】
可動体76は、フレーム2が載置される載置部76bと、押付具82が取付けられる取付部76cとを有する。ねじ軸74に対して螺合するねじ孔76aは、載置部76bに形成される。
【0035】
受止体78は、ねじ軸74を回転自在に支持する。受止体78の上面には挿入孔78aが形成され、挿入孔78aにねじ軸74の一端が挿入される。受止体78に対するねじ軸74の横ずれが抑制できる。
【0036】
受止体78は、ねじ軸74とベース71との間に配設され、ねじ軸74の回転によるベース71の摩耗を防止する。受止体78は、ベース71で支持され、例えばベース71の凹部71aに載置される。
【0037】
受止体78の下面は、図2図3では水平な平坦面であるが、傾斜面、下または上に凸の円錐面などでもよい。同様に、ベース71の凹部71aの底面は、図2図3では水平な平坦面であるが、傾斜面、下または上に凸の円錐面などでもよい。
【0038】
受止体78の形状は、多種多様であってよく、例えば上面視において円形、楕円形、長方形、正方形、三角形、五角形以上の多角形のいずれでもよい。
【0039】
固定具80は、ねじ軸74に対して螺合するねじ孔を有する。固定具80を回転させることにより、固定具80と可動体76との間隔を調整することができ、固定具80と可動体76とでフレーム2を上下方向両側から締め付けることができる。
【0040】
押付具82は、可動体76の取付部76cに取付けられる。押付具82は、ねじ軸74と共に回転せずに、ねじ軸74の回転に伴い昇降される。
【0041】
押付具82は、ベース71および支持具72を水平方向に押付け合わせる。ベース71と支持具72との水平方向におけるガタが低減でき、ベース71と支持具72との横ずれが抑制でき、床1とフレーム2との横ずれが抑制できる。
【0042】
押付具82は、例えば図2図3に示すように、ねじ軸部82a、および当接部82bを有する。ねじ軸部82aは、水平方向に平行とされ、可動体76のねじ孔76dに対して螺合される。当接部82bは、ねじ軸部82aの一端に固定される。
【0043】
ねじ軸部82aをねじ込むことにより、当接部82bがベース71の側面に押付けられる。その結果、ベース71の凹部71aが水平方向に狭窄され、凹部71aの側面が受止体78の側面に水平方向に押付けられる。凹部71aの側面と受止体78の側面とのガタが低減でき、横ずれが抑制できる。
【0044】
押付具82は、ベース71のうち、凹部71aに対応する部分だけでなく、凹部71aよりも低い部分を押してよい。ベース71の弾性変形に起因する横ずれが抑制できる。
【0045】
押付具82は、ベース71の周囲に複数設けられてよく、例えばベース71の前方および後方に1つずつ配設されてよい。型締装置10や射出装置40の振動は、水平方向のうち、前後方向において最も強いことが多い。可動プラテン13やスクリュ42が前後方向に駆動されるためである。従って、押付具82がベース71の前方および後方に配設されていれば、前後方向における横ずれが効果的に抑制できる。
【0046】
尚、押付具82は、ベース71の周囲に1つ設けられてよく、例えばベース71の前方または後方に配設されてもよい。型締装置10や射出装置40の振動は前方への強さと後方への強さとが異なる場合があり、支持具72を前方に押す力と支持具72を後方に押す力とが異なる場合がある。支持具72を前方に押す力の方が強い場合、押付具82はベース71の前方に配設されてよい。また、支持具72を後方に押す力の方が強い場合、押付具82はベース71の後方に配設されてよい。
【0047】
尚、押付具82は、ベース71の側方(前後方向および上下方向に対して垂直な方向)に配設されてもよい。押付具82の位置や数は特に限定されない。
【0048】
次に、上記構成のレベルアジャスタ70の使用方法について説明する。調節開始時には、図2に示すように、固定具80や押付具82は弛めた状態とされる。この状態で、ねじ軸74を回転させることにより、可動体76を昇降させ、フレーム2の高さを調節する。調節後、図3に示すように、固定具80や押付具82を締める。固定具80と可動体76とでフレーム2を上下方向両側から締め付けることができる。また、押付具82によってベース71および支持具72を水平方向に押付け合わせることができる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態のレベルアジャスタ70は、押付具82によってベース71および支持具72を水平方向に押付け合わせる。ベース71と支持具72との水平方向におけるガタが低減でき、ベース71と支持具72との横ずれが抑制でき、床1とフレーム2との横ずれが抑制できる。
【0050】
[第2実施形態]
図4は、本発明の第2実施形態によるレベルアジャスタの調節完了時の状態を示す図である。図4に示すレベルアジャスタ70Aは、図2図3に示すレベルアジャスタ70の代わりに用いられる。
【0051】
レベルアジャスタ70Aは、上記第1実施形態のレベルアジャスタ70と同様に、ベース71A、支持具72A、固定具80A、および押付具82Aを有する。支持具72Aは、ねじ軸74A、可動体76A、および受止体78Aで構成される。以下、第1実施形態との相違点について主に説明する。
【0052】
受止体78Aは、ベース71Aの上面に載置される水平部78Abと、ベース71Aの側面に接触する垂直部78Acとを有する。垂直部78Acは、ベース71Aを基準として押付具82Aとは反対側に配設される。
【0053】
押付具82Aは、可動体76Aに取付けられる。押付具82Aは、ねじ軸74Aと共に回転せずに、ねじ軸74Aの回転に伴い昇降される。
【0054】
押付具82Aは、ベース71Aおよび支持具72Aを水平方向に押付け合わせる。ベース71Aと支持具72Aとの水平方向のガタが低減でき、ベース71Aと支持具72Aとの横ずれが抑制でき、床1とフレーム2との横ずれが抑制できる。
【0055】
押付具82Aは、ベース71Aを、受止体78Aの垂直部78Acに水平に押付ける。押付具82Aと受止体78Aとがベース71Aを水平方向両側から挟み込む。
【0056】
尚、本実施形態では、押付具82Aと受止体78Aとがベース71Aを水平方向両側から挟み込むが、押付具82Aと可動体76Aとがベース71Aを水平方向両側から挟み込んでもよい。
【0057】
押付具82Aは、ベース71Aの周囲に1つ設けられてよく、例えばベース71Aの前方または後方に配設されてよい。型締装置10や射出装置40の振動は、水平方向のうち、前後方向において最も強いことが多い。従って、押付具82Aがベース71Aの前方または後方に配設されていれば、前後方向における横ずれが効果的に抑制できる。
【0058】
尚、押付具82Aは、ベース71Aの側方に配設されてもよい。押付具82Aの位置や数は特に限定されない。
【0059】
[第3実施形態]
図5は、本発明の第3実施形態によるレベルアジャスタの調節完了時の状態を示す図である。図5に示すレベルアジャスタ70Bは、図2図3に示すレベルアジャスタ70の代わりに用いられる。
【0060】
レベルアジャスタ70Bは、上記第1実施形態のレベルアジャスタ70と同様に、ベース71B、支持具72B、および固定具80Bを有する。支持具72Bは、ねじ軸74B、可動体76B、および受止体78Bで構成される。
【0061】
レベルアジャスタ70Bは、上記第1実施形態のレベルアジャスタ70と異なり、押付具を有しない。以下、上記第1実施形態との相違点について主に説明する。
【0062】
支持具72Bにおけるベース71Bとの接触面72Baは、上下方向に対して傾斜した傾斜面である。同様に、ベース71Bにおける支持具72Bとの接触面71Baは、上下方向に対して傾斜した傾斜面である。これらの接触面71Ba、72Baは、図5では平坦面であるが、湾曲面であってもよい。平坦面と湾曲面とで構成されてもよい。
【0063】
支持具72Bには、フレーム2から外力E(不図示)が作用すると共に、ベース71Bから反力Cが作用する。フレーム2からの外力Eは、フレーム2やフレーム2に搭載される装置に作用する重力に起因する。ベース71Bからの反力Cは、外力Eに対抗して生じ、受止体78Bにおけるベース71Bとの接触面に対して垂直方向に作用し、垂直成分C1および水平成分C2を有する。水平成分C2は外力Eの中心線(ねじ軸74Bの中心線)に対して外向きに作用する。
【0064】
支持具72Bとベース71Bとは、反力Cに水平成分C2を生じさせる接触面72Ba、71Baを有する。一のベース71Bにおける支持具72Bとの接触面71Baと、他の一のベース71Bにおける支持具72Bとの接触面71Baとは、水平方向に異なる向きであってよく、例えば水平方向に反対向きであってよい。言い換えると、一のレベルアジャスタ70Bにおける水平成分C2と、他のレベルアジャスタ70Bにおける水平成分C2とは、異なる向きとされてよく、例えば反対向きとされてよい。一のレベルアジャスタ70Bにおける水平成分C2によって、他のレベルアジャスタ70Bにおけるベース71Bと支持具72Bとが水平方向に押付け合わされる。ベース71Bと支持具72Bとの水平方向におけるガタが低減でき、ベース71Bと支持具72Bとの横ずれが抑制でき、床1とフレーム2との横ずれが抑制できる。
【0065】
ベース71Bにおける支持具72Bとの接触面71Baは、前上がりのもの、または後上がりのものであってよい。型締装置10や射出装置40の振動は、水平方向のうち、前後方向において最も強いことが多い。従って、ベース71Bにおける支持具72Bとの接触面71Baが、前上がりのもの、または後上がりのものであれば、前後方向における横ずれを効果的に抑制することができる。
【0066】
型締装置10や射出装置40の振動は前方への強さと後方への強さとが異なる場合があり、支持具72Bを前方に押す力と支持具72Bを後方に押す力とが異なる場合がある。支持具72Bを前方に押す力の方が強い場合、複数のレベルアジャスタ70Bのうち、ベース71Bにおける支持具72Bとの接触面71Baが前上がりのものが、上記接触面71Baが後上がりのものよりも多くてよい。一方、支持具72Bを後方に押す力の方が強い場合、複数のレベルアジャスタ70Bのうち、上記接触面71Baが後上がりのものが、上記接触面71Baが前上がりのものよりも多くてよい。尚、支持具72Bを後方に押す力と、支持具72Bを前方に押す力とが同程度の場合、複数のレベルアジャスタ70Bのうち、上記接触面71Baが前上がりのものと、上記接触面71Baが後上がりのものとが同数であってよい。
【0067】
ベース71Bから支持具72Bへの反力Cの水平成分C2は、前後方向に平行であってよい。前後方向における横ずれが効果的に抑制できる。尚、ベース71Bから支持具72Bへの反力Cの水平成分C2は、前後方向に平行でなくてもよく、例えば、上面視において、レベルアジャスタ70Bとフレーム2の中心とを結ぶ線に対して平行であってもよい。
【0068】
[第4実施形態]
図6は、本発明の第4実施形態によるレベルアジャスタの調節完了時の状態を示す図である。図6に示すレベルアジャスタ70Cは、図4に示すレベルアジャスタ70Aの変形例である。
【0069】
レベルアジャスタ70Cは、ベース71C、支持具72C、固定具80C、および押付具82Cを有する。支持具72Cは、ねじ軸74C、可動体76C、および受止体78Cで構成される。
【0070】
支持具72Cには、フレーム2から外力が作用すると共に、ベース71Cから反力が作用する。支持具72Cとベース71Cとは、反力に水平成分を生じさせる接触面72Ca、71Caを有する。
【0071】
押付具82Cは、上記反力の水平成分を利用して、ベース71Cおよび支持具72Cを水平方向に押付け合わせる。ベース71Cと支持具72Cとの水平方向におけるガタが低減でき、ベース71Cと支持具72Cとの横ずれが抑制でき、床1とフレーム2との横ずれが抑制できる。
【0072】
ベース71Cにおける支持具72Cとの接触面71Caは、前上がりもの、または後上がりのものであってよい。型締装置10や射出装置40の振動は、水平方向のうち、前後方向において最も強いことが多い。従って、ベース71Cにおける支持具72Cとの接触面71Caが、前上がりのもの、または後上がりのものであれば、前後方向における横ずれが効果的に抑制できる。
【0073】
型締装置10や射出装置40の振動は前方への強さと後方への強さとが異なる場合があり、支持具72Cを前方に押す力と支持具72Cを後方に押す力とが異なる場合がある。支持具72Cを前方に押す力の方が強い場合、複数のレベルアジャスタ70Cのうち、ベース71Cにおける支持具72Cとの接触面71Caが前上がりのものが、上記接触面71Caが後上がりのものよりも多くてよい。この場合、上記接触面71Caが後上がりのものはなくてもよい。一方、支持具72Cを後方に押す力の方が強い場合、複数のレベルアジャスタ70Cのうち、上記接触面71Caが後上がりのものが、上記接触面71Caが前上がりのものよりも多くてよい。この場合、上記接触面71Caが前上がりのものがなくてもよい。尚、支持具72Cを後方に押す力と、支持具72Cを前方に押す力とが同程度の場合、複数のレベルアジャスタ70Cのうち、上記接触面71Caが前上がりのものと、上記接触面71Caが後上がりのものとが同数であってよい。
【0074】
ベース71Cから支持具72Cへの反力の水平成分は、前後方向に平行であってよい。前後方向における横ずれが効果的に抑制できる。尚、ベース71Cから支持具72Cへの反力の水平成分は、前後方向に平行でなくてもよく、例えば、上面視において、レベルアジャスタ70Cとフレーム2の中心とを結ぶ線に対して平行であってもよい。
【0075】
[第5実施形態]
図7は、本発明の第5実施形態によるレベルアジャスタの調節完了時の状態を示す図である。図7に示すレベルアジャスタ70Dは、図4に示すレベルアジャスタ70Aの変形例であって、図4に示す押付具82Aの代わりに、図7に示す傾斜面71Da1、72Da1を有する。
【0076】
レベルアジャスタ70Dは、ベース71D、支持具72D、および固定具80Dを有する。支持具72Dは、ねじ軸74D、可動体76D、および受止体78Dで構成される。
【0077】
支持具72Dには、フレーム2から外力が作用すると共に、ベース71Dから反力が作用する。支持具72Dとベース71Dとは、反力に水平成分を生じさせる接触面72Da、71Daを有する。
【0078】
支持具72Dにおけるベース71Dとの接触面72Daは、上下方向に対して傾斜した傾斜面72Da1の他に、水平方向に対して垂直な垂直面72Da2を有する。この接触面72Daに対して反力が作用する。この反力は、垂直成分C1および水平成分C2の他に、水平成分C3を有する。水平成分C2、C3は、フレーム2から支持具72Dに作用する外力の中心線(ねじ軸74Dの中心線)に対して外向きに作用する。水平成分C2と、水平成分C3とは、大きさが同じで、方向が反対である。水平成分C2、C3によってベース71Dおよび支持具72Dが水平方向に押付け合わされる。ベース71Dと支持具72Dとの水平方向におけるガタが低減でき、ベース71Dと支持具72Dとの横ずれが抑制でき、床1とフレーム2との横ずれが抑制できる。
【0079】
同様に、ベース71Dにおける支持具72Dとの接触面71Daは、上下方向に対して傾斜した傾斜面71Da1の他に、水平方向に対して垂直な垂直面71Da2を有する。
【0080】
ベース71Dの傾斜面71Da1や支持具72Dの傾斜面72Da1は、前上がりのもの、または後上がりのものであってよい。型締装置10や射出装置40の振動は、水平方向のうち、前後方向において最も強いことが多い。前後方向における横ずれが効果的に抑制できる。
【0081】
ベース71Dの垂直面71Da2や支持具72Dの傾斜面72Da1は、前向きのもの、または後向きのものであってよい。型締装置10や射出装置40の振動は、水平方向のうち、前後方向において最も強いことが多い。前後方向における横ずれが効果的に抑制できる。
【0082】
型締装置10や射出装置40の振動は前方への強さと後方への強さとが異なる場合があり、支持具72Dを前方に押す力と支持具72Dを後方に押す力とが異なる場合がある。支持具72Dを前方に押す力の方が強い場合、複数のレベルアジャスタ70Dのうち、ベース71Dの垂直面71Da2が後向きのものが、上記垂直面71Da2が前向きのものよりも多くてよい。この場合、上記垂直面71Da2が前向きのものがなくてもよい。一方、支持具72Dを後方に押す力の方が強い場合、複数のレベルアジャスタ70Dのうち、上記垂直面71Da2が前向きのものが、上記垂直面71Da2が後向きのものよりも多くてよい。この場合、上記垂直面71Da2が後向きのものがなくてもよい。尚、支持具72Dを後方に押す力と、支持具72Dを前方に押す力とが同程度の場合、複数のレベルアジャスタ70Dのうち、上記垂直面71Da2が前向きのものと、上記垂直面71Da2が後向きのものとが同数であってよい。
【0083】
尚、本実施形態では、ベース71Dにおける支持具72Dとの接触面71Daは、傾斜面71Da1と、垂直面71Da2とで構成されるが、向きの異なる複数の傾斜面で構成されてもよい。支持具72Dにおけるベース71Dとの接触面72Daについて同様である。
【0084】
ベース71Dから支持具72Dへの反力Cの水平成分C2、C3は、前後方向に平行であってよい。前後方向における横ずれが効果的に抑制できる。尚、ベース71Dから支持具72Dへの反力Cの水平成分C2、C3は、前後方向に平行でなくてもよく、例えば、上面視において、レベルアジャスタ70Dとフレーム2の中心とを結ぶ線に対して平行であってもよい。
【0085】
尚、本実施形態では、レベルアジャスタ70Dは、押付具を有しないが、図4に示すレベルアジャスタ70Aと同様に、押付具をさらに有してもよい。
【0086】
以上、射出成形機の実施形態等について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【0087】
例えば、上記実施形態の型締装置10は、駆動源として、型締モータ21を有するが、型締モータ21の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。また、型締装置10は、型開閉用にリニアモータを有し、型締用に電磁石を有してもよい。
【0088】
また、上記実施形態の型締装置10は、型開閉方向が水平方向の横型であるが、型開閉方向が鉛直方向の竪型でもよい。また、上記実施形態の射出装置40は、シリンダが水平方向の横型であるが、シリンダが鉛直方向の竪型でもよい。
【0089】
また、上記実施形態の支持具はねじ軸、可動体、および受止体で構成されるが、支持具の構成は多種多様であってよい。例えば、ねじ軸に対して螺合するねじ孔が可動体ではなくフレームに形成されてもよく、この場合、可動体はなくてもよい。
【符号の説明】
【0090】
2 フレーム
10 型締装置
40 射出装置
70 レベルアジャスタ
71 ベース
72 支持具
74 ねじ軸
76 可動体
78 受止体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7