【実施例1】
【0009】
図1は、第1の実施形態に係る電力自立システムの構成例を示す。
【0010】
電力自立システム100Aは、太陽電池5と、PCS(Power Conditioning Sub-unit)4と、日射量計7(日射量計測装置の一例)と、切り換え装置8Aと、蓄電装置3A(蓄電装置の一例)と、外部機器との間の通信手段を有するスマート分電盤2と、複数(または1つ)の需要機器61〜63と、制御装置1Aとを有する。切り換え装置8Aは、複数のスイッチSW81〜83と、各スイッチの開放(ターンオフ)/投入(ターンオン)を制御する開閉制御装置81とを有する。蓄電装置3Aが、蓄電池32と、双方向コンバータ31とを有する。スマート分電盤2は、複数のブレーカSW20〜24と、各スイッチの開放/投入を制御する開閉制御装置22と、電力計21と、電流センサCT21とを有する。制御装置1Aが、需要機器61〜63と蓄電装置3Aの少なくとも一方(本実施形態では両方)に接続される第1のIF(インターフェイス装置)71と、日射量計7に接続される第2のIF72と、記憶装置(例えば1以上のメモリと補助記憶装置のうちの少なくとも1つ)73と、それらに接続されたプロセッサ74Aとを有する。プロセッサ74Aは、第1のIF71を介して制御指令を出したり情報を受信したりすることができ、第2のIF72を介して日射量(日射量計7により計測された日射量)を示す情報(値)を受信することができる。また、プロセッサ74Aは、受信した情報を基に後述の需要低減判定を行うことができる。プロセッサ74Aの処理の少なくとも一部がハードウェア回路により行われてもよい。記憶装置73は、データやプログラムを記憶することができる。記憶装置73は、例えば後述の制御ルールDB(データベース)11および機器状態DB12(
図5参照)を記憶することができる。それらのDBの少なくとも一部が制御装置1Aの外部の記憶装置に格納されてもよい。なお、日射量計7とその他の機器の通信プロトコルが同じ場合には、IF71がIF71とIF72の両方の機能を兼ねてもよい。
【0011】
太陽電池5は、太陽光発電装置の一部であり、電源である。太陽電池5は、PCS4に接続され、平常時の出力が、電力系統、および、切り換え装置8A内の第3のスイッチSW82に接続される。電力系統が停電などで停止した場合、開閉制御装置81により第3のスイッチSW82が開放され、且つ、PCS4内のスイッチ(図示せず)が開放され、それにより、電力系統は、電力自立システム100Aから切り離される。このとき、PCS4は、連系運転から自立運転に切り換わり、非常コンセントから電力が供給される。非常コンセントは、切り換え装置8A内の第1のスイッチSW81に接続されており、第1のスイッチSW81は、第3のスイッチSW82が開放されてから開閉制御装置81により投入される(閉じられる)。
【0012】
切り換え装置8Aは、蓄電装置3A内の双方向コンバータ31に接続されている。双方向コンバータ31は、AC電圧をDC電圧に変換して蓄電池32と電力のやり取りを行う。また、切り換え装置8Aは、スマート分電盤2のメインブレーカSW20に接続され、そこから複数に分岐されたブレーカSW21〜SW24を介して複数の需要機器61〜63および制御装置1Aと接続される。
【0013】
スマート分電盤2において、電流センサCT21は、需要機器61〜63全体の使用電力を計測するためのセンサである。スマート分電盤2は、制御装置1Aに例えば通信ネットワークを介して接続されている。需要機器61〜63、蓄電装置3A、日射量計7、および切り換え装置8Aも、同様に、例えば通信ネットワークを介して制御装置1Aに接続されている。
【0014】
電力自立システム100Aが自立運転を行っている場合、PCS4の電力供給上限(供給可能な電力の上限)が電力需要よりも大きければ、電力自立システム100Aは安定して動作する。しかし、雲の動き等により日射量が急激に低減する場合、PCS4の電力供給上限が低減して、電力需要を下回る恐れがある。このような場合、蓄電装置3Aから足りない電力を直ちに補充できれば問題がないが、蓄電残量が少ない場合(例えば蓄電残量が第1の残量閾値未満の場合)、または、蓄電装置3Aが充電状態にあって充電から放電への切り換えに時間がかかる場合、過負荷によってPCS4が停止する。
【0015】
そこで、制御装置1A(プロセッサ74A)は、一定期間(例えば数ミリ秒〜数秒)毎に、日射量計測値(日射量計7により計測された日射量の値)を読み取り、日射量計測値を基に電力供給上限(PCS4が供給できる電力の上限)を算出する。また、制御装置1A(プロセッサ74A)は、スマート分電盤2の電力計21から特定される現在の使用電力(消費電力)と蓄電装置3Aの充電電力との和である電力需要を算出する。制御装置1Aは、算出された電力供給上限と電力需要とを基に、必要に応じて、需要機器61〜63の使用電力と蓄電装置3Aの充電電力とのうちの少なくとも1つを低減することで需給バランスを調整する。
【0016】
図2は、需要低減判定の判定基準1の説明図である。
【0017】
需要低減判定は、電力需要を低減するための制御指令を送信するか否かの判定である。制御装置1A(プロセッサ74A)は、一定期間(例えば一定の計測時間間隔)Δt毎に、その時刻での電力供給上限とその時刻での電力需要とをそれぞれ算出し、且つ、その時刻での電力供給上限とその時刻での電力需要との差分である発電余力Yを計算する。ある時刻t1より一回前の測定時刻t0(t0=t1−Δt)における発電余力をY0とし、時刻t1での発電余力をY1とする。また、Δtの3倍程度の時間幅では殆ど発電余力の時間傾きの変化がないと仮定する。
【0018】
時刻t1での需要低減判定は、時刻t1の次の時刻t2(t2=t1+Δt)での需要低減判定の結果が肯定の場合に制御が間に合うか否かの判定である。時刻t2に需要低減判定を開始してから制御指令を送信し実際に電力需要を低減できるまでの時刻を制御時間Tcとすると、
図2に示すように、制御時間Tcの間に、発電余力は、((Y1−Y0)/Δt)Tcだけ低減することがわかる。ここで、PCS4は、発電余力が0になった場合に即座に動作停止するわけではなく、PCS4に内蔵されているコンデンサなどの影響により、発電余力が0になってから動作停止までの余裕時間Tdがあると仮定する。すると、
図2に示すように、発電余力が0になってから余裕時間Td後にPCS4が停止し、その間に、発電余力は、((Y1−Y0)/Δt)Tdだけ低減することがわかる。時刻t1と時刻t2の間の発電余力の変化は、(Y1−Y0)と等しい。ここで、
図2より、以下の計算式が、時刻t1において制御を行うための条件(次の時刻t2での需要低減判定の結果が肯定の場合に制御が間に合うための条件)となることがわかる。
Y1−((Y1−Y0)/Δt)Td < −(Y1−Y0)−((Y1−Y0)/Δt)Tc・・・(式1)
【0019】
(式1)を整理すると、下記の通りとなる。
2Y1−Y0<((Y1−Y0)/Δt)Td−((Y1−Y0)/Δt)Tc
2Y1−Y0<((Y1−Y0)/Δt)(Td−Tc)
(2Y1−Y0)/(Y1−Y0)<(Td−Tc)/Δt
Y1/(Y1−Y0)<(Td−Tc)/Δt−1・・・(式2)
【0020】
Td、Tc、Δtが測定中に変化しない場合、右辺を固定値L1と置き換えることができる。このため、以下の判定式が得られる。
Y1/(Y1−Y0)<L1・・・(式3)
【0021】
それぞれの計測値の算出に誤差の発生が見込まれる場合には固定値L1を大きめに設定すれば判定ミスを低減することができる。固定値L1が、第1の閾値の一例である。
【0022】
Y1の絶対値が小さい場合には発電余力の時間傾きの僅かな変化によって容易にPCS4が停止する事例が、実験によって確認された。関東地方におけるある年の夏期1週間および冬期1週間の日射量を時定数0.1秒未満の日射量測定装置を用い、1秒毎に日射量を測定し、電力自立システムが維持できない程度に日射量が小さくなった時刻txの数秒前(例えば上記制御時間Tc相当)の時刻tyでの発電余力と、時刻tyの1秒前の時刻tzでの発電余力とを算出した。時刻tyでの発電余力がY1であり、時刻tzでの発電余力がY0とする。つまり、この例では、上記Δtは1秒である。この算出結果に基づくグラフを
図3に示す。横軸は、Y0−Y1であり、縦軸は、Y1である。Y1/(Y1−Y0)一定のラインは、
図3のグラフでは右上がりの直線として表現される。以下、その直線を「基準直線」と言う。基準直線より下の領域におけるマーク「*」は、判定に成功した事例(PCS4の余裕時間Tdを確保できた事例)を意味する。直線より上の領域にあり、判定に失敗したと考えられる事例(マーク「*」)は一見少ないが、実際には発電余力Y1の小さい領域に集中して数多く存在することがわかる。
【0023】
そこで、制御装置1A(プロセッサ74A)は、発電余力Y1の絶対値を新たな判定基準2として設け、判定基準1とのOR条件で判定を行う。
【0024】
図4は、需要低減判定の判定基準2の説明図である。
【0025】
時刻t1での需要低減判定の判定基準2は、発電余力Y1が所定の電力L2より小さいか否かである。発電余力の僅かな傾きの変化によってPCS4が停止する事例が多いので、時刻t1での発電余力Y1と所定の電力L2との関係が判定基準とされる。所定の電力L2が、第2の閾値の一例である。発電余力Y1が所定の電力L2より小さい場合、制御装置1Aは、電力需要を低減するための制御指令を需要機器61〜63と蓄電装置3Aとのうちの少なくとも1つに送信する。
【0026】
図5は、需要制御判定処理のフローチャートである。
【0027】
需要制御判定処理は、Δt毎に行われる。制御装置1A(プロセッサ74A)は、直前回の発電余力を例えばメモリに格納する(S1)。これにより、この需要制御判定処理が時刻t1に開始された処理であれば、直前回の発電余力は、時刻t0での需要制御判定処理において算出された発電余力Y0である。時刻とその時刻での需要制御判定処理において算出された発電余力との対応の履歴が、例えば記憶装置73に格納される。その履歴から、時刻と算出された発電余力との対応がわかる。
【0028】
制御装置1A(プロセッサ74A)は、日射量計測値を読み取り(S2)、その日射量計測値を基に電力供給上限を算出する。電力供給上限は、あらかじめ記憶装置73に記憶してある相関関係(日射量と電力供給上限の相関表)を基に算出されてもよいし、あらかじめ設定された計算式に従い算出されてもよい。電力供給上限の精度を上げるために太陽光パネル温度センサ(図示せず)の測定結果を取得しその測定結果が、電力供給上限の算出に使用されてよい。また、PCS4が、電圧電流特性から電力供給上限を算出し、算出結果を制御装置1Aに伝達してもよい。
【0029】
次に、制御装置1A(プロセッサ74A)は、電力計21から使用電力を読み取り(S4)、蓄電装置3Aから充電電力を読み取り(S5)、S4の使用電力とS5の充電電力の和である電力需要を算出する(S6)。そして、制御装置1A(プロセッサ74A)は、発電余力Y1(=(S3の電力供給上限)−(S6の電力需要))を算出し(S7)、需要低減判定を行う(S8)。需要低減判定は、判定基準1と判定基準2のOR条件が使用される。すなわち、制御装置1A(プロセッサ74A)は、Y1/(Y1−Y0)<L1と、Y1<L2とのうちのいずれかの条件が満たされるか否かを判定する。Y1/(Y1−Y0)<L1と、Y1<L2とのうちのいずれかの条件が満たされていれば、需要低減判定の結果が肯定である。
【0030】
需要低減判定の結果が肯定の場合(S8:Yes)、制御装置1A(プロセッサ74A)は、電力需要を低減するための制御指令を需要機器61〜63と蓄電装置3Aとのうちの少なくとも1つに送信する、具体的には、制御ルールDB11Aと機器状態DB12を基に需要制御を行う。制御ルールDB11Aと機器状態DB12は、例えば制御装置1Aが有する記憶装置73に格納されている。
【0031】
図6は、制御ルールDB11Aの例を示す。
【0032】
制御ルールDB11Aは、制御毎に、制御の順番を意味する制御番号、制御対象機器のID(例えば名前)、および、制御の内容(詳細)を有する。制御対象機器のIDから特定される機器が、制御対象の一例である。ステップS9では、制御ルールDB11Aが表す制御であって実行可能な制御のうち、制御番号の最も小さい制御が制御装置1A(プロセッサ74A)により実行される。なお、制御ルールDB11Aが表す各制御が「実行可能な制御」か否かは、例えば機器状態DB12を基に判定される。機器状態DB12は、例えば、制御対象となり得る機器毎に機器の状態を表す。機器状態DB12は、そのような機器の状態の変更が検出された場合に制御装置1A又は他の装置により更新される。例えば、制御装置1A(プロセッサ74A)は、需要機器61の状態が稼働状態であることを機器状態DB12から特定した場合、制御番号「1」の制御は実行可能であると判定し、需要機器61の状態が障害状態または停止状態であることを機器状態DB12から特定した場合、制御番号「1」の制御は実行不可能であると判定してよい。蓄電池3については、充電状態から放電状態に遷移するのに時間がかかる場合があるため、充電電力低減、充電停止、放電開始が順番通りに実行されるものとする。
【0033】
以上の動作により、制御装置1A(プロセッサ74A)は、電力需要が電力供給上限を上回りそうな場合を事前に検出し、電力需要を低減するための制御指令を制御対象(例えば需要機器61〜63と充電状態にある蓄電装置3Aとの少なくとも1つ)に送信する。これにより、システム全体の過負荷による停止を防止することが可能となる。なお、DB11A及び12のうちの少なくとも一方は、DB形式に代えて他種の形式の情報でもよい。
【実施例2】
【0034】
以下、第2の実施形態を説明する。その際、第1の実施形態との相違点を主に説明し、第1の実施形態との共通点については説明を省略または簡略する。
【0035】
図7は、第2の実施形態に係る電力自立システムの構成例を示す。
【0036】
電力自立システム100Bの蓄電装置3Bにおいて、蓄電池32に代えて電気自動車33が採用され得る。
【0037】
電気自動車33は、固定式の蓄電池32(常に電力自立システムに接続されている状態)と異なり、電気自動車33の移動により電力自立システム100Bから切り離されることがある。従って、
図8に示すように、電気自動車33が電力自立システム100Bに接続されている場合に使用される制御ルールDB(電気自動車有り)11B1と、電気自動車33が電力自立システム100Bから切り離されている場合に使用される制御ルールDB(電気自動車無し)11B2が例えば記憶装置73に格納される。制御ルールDB(電気自動車有り)11B1は、需要機器よりも電気自動車33を優先的に制御することを表すルールを示しており、制御ルールDB(電気自動車無し)11B2は、電気自動車33よりも需要機器を優先的に制御することを表すルールを示している。制御装置1B(プロセッサ73B)は、電気自動車33の有無を蓄電装置3Bからの情報(信号)を基に判定し、その判定の結果を基に、その判定結果に対応した制御ルールDB11B1又は11B2を選択する。すなわち、制御装置1B(プロセッサ73B)は、蓄電装置3Bの充電電力を制御できない場合(例えば電気自動車33がシステム100Bから切り離されている場合)、その状態に対応した制御ルールDB(電気自動車無し)11B2を選択し使用することで、蓄電装置3Bよりも需要機器を優先して制御し、一方、蓄電装置3Bの充電電力を制御できる場合(例えば電気自動車33がシステム100Bに接続されている場合)、その状態に対応した制御ルールDB(電気自動車有り)11B1を選択し使用することで、需要機器よりも蓄電装置3Bを優先して制御する。
【0038】
第2の実施形態によれば、固定式の蓄電池32に代えて電気自動車33のような移動式の蓄電池(電力自立システム100Bに接続されたりそのシステム100Bから切り離されたりする蓄電池)が採用されても、電力需要が電力供給上限を上回りそうな場合を事前に検出し、電力需要を低減するための制御指令を送信することができる。なお、電気自動車33の代わりにプラグインハイブリッド車を用いても良い。
【実施例3】
【0039】
以下、第3の実施形態を説明する。その際、第1及び第2の実施形態との相違点を主に説明し、第1及び第2の実施形態との共通点については説明を省略または簡略する。
【0040】
図9は、第3の実施形態に係る電力自立システムの構成例を示す。
【0041】
電力自立システム100Cの蓄電装置3Cにおいて、双方向コンバータ31に代えて、充電用のAC/DCコンバータ35と、放電用のDC/ACコンバータ34とが採用されている。AC/DCコンバータ35は、切り換え装置8Bの第1のスイッチSW81の上流側に接続され、PCS4からの電力を蓄電装置3Cへの充電と需要機器61〜63への給電に使用される。通常、蓄電池32への入出力に別々のインバータを用いる場合は、充電しながら放電するという使い方をするが、本実施形態では、蓄電池32を需要機器の1つとして用いる。
【0042】
図10が、制御ルールDB11Cの例を示す。
図6に示したルールと比較して、本実施形態では、
図6のDB11Aが表す、制御番号7の制御(蓄電池からの放電)、ができない。このため、制御ルールDB11Cは、制御番号7の制御(蓄電池からの放電)を表すレコードを有しない。しかし、蓄電装置3Cの蓄電残量が十分に大きいことが例えば制御装置1C(プロセッサ74C)により検出された場合、
図11に示すように、第1のスイッチSW81を開放して第2のスイッチSW83を投入することで、日射変動に影響されずに安定した需要機器の利用を行うことができる。この場合は、需要機器の制御は必要ない。
【0043】
本実施形態では、制御装置1C(プロセッサ74C)は、蓄電装置3Cの蓄電残量が相対的に少ない場合、第2のスイッチSW83を開放し第1のスイッチSW81を投入する(
図9参照)。これにより、充電電力の確保が優先される。一方、蓄電装置3Cの蓄電残量が相対的に多い場合、第1のスイッチSW81を開放し第2のスイッチSW83を投入する(
図11参照)。これにより、需要機器の安定性が優先される。なお、「蓄電残量が相対的に少ない」とは、蓄電残量が第1の残量閾値より小さいことでよく、「蓄電残量が相対的に多い」とは、蓄電残量が第1の残量閾値又はそれより大きい第2の残量閾値より大きいことでよい。
【0044】
以上、幾つかの実施形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。