特許第6333684号(P6333684)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6333684
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   A47J37/06 311
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-183314(P2014-183314)
(22)【出願日】2014年9月9日
(65)【公開番号】特開2016-54916(P2016-54916A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118898
【弁理士】
【氏名又は名称】小橋 立昌
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 彰浩
(72)【発明者】
【氏名】望月 淳一
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−172635(JP,U)
【文献】 特開平09−154743(JP,A)
【文献】 特開2014−155659(JP,A)
【文献】 特開平09−103375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄板の表面を調理面とする調理板と、
前記調理板の下方に配置され前記調理板を加熱する加熱装置とを備え、
前記調理板は、異なる温度に加熱可能な少なくとも2つの領域を備え、前記領域毎に前記鉄板の下方に該鉄板の材料より熱伝導率が高い材料で形成された高熱伝導層を備え
前記領域間には、前記高熱伝導層が形成されていない領域が設けられていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記高熱伝導層が形成されていない領域の表面には、汚れ受けが形成されていることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記高熱伝導層の下方に蓄熱層を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記加熱装置は前記調理板の下方に炎孔の列が間隔を空けて配置されたガスバーナー若しくは電気ヒーターであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
調理面が鉄板になっている加熱調理器は、餃子,目玉焼き,ステーキ,お好み焼きなどを調理する際に用いられている(下記特許文献1参照)。特に、業務用の加熱調理器は、比較的広い面積を有する調理面を備えており、一度の調理で多数の被調理物を加熱することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−262412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような加熱調理器は、調理後の保温のために部分的に温度差を設けている機器もあるが、広い面積の調理面にて一度に多数の被調理物を調理することを目的として調理する場合には、全面を均一に加熱された状態にすることが求められている。これに対しては、例えば、赤外線バーナーなどを用いて調理面全面を均一加熱することで対処することも考えられるが、特殊な加熱装置を用いることで加熱調理器が高価になる問題が生じる。
【0005】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、比較的広い面積の調理面を有する加熱調理器において、特殊な加熱装置を用いること無く調理面温度の均一化を図ること、これによって、多数の被調理物を一度にむらなく加熱できるようにすること、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明による加熱調理器は、以下の構成を具備するものである。
【0007】
鉄板の表面を調理面とする調理板と、前記調理板の下方に配置され前記調理板を加熱する加熱装置とを備え、前記調理板は、異なる温度に加熱可能な少なくとも2つの領域を備え、前記領域毎に前記鉄板の下方に該鉄板の材料より熱伝導率が高い材料で形成された高熱伝導層を備え、前記領域間には、前記高熱伝導層が形成されていない領域が設けられていることを特徴とする加熱調理器。
【発明の効果】
【0008】
このような特徴を有する加熱調理器によると、比較的広い面積の調理面を有するものであっても、特殊な加熱装置を用いること無く調理面温度を各領域で均一にすることができる。これによって、多数の被調理物を、各領域で一度にむらなく加熱調理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る加熱調理器を示した説明図((a)が内部構造を示した部分断面図、(b)が平面図)である。
図2】本発明の実施形態に係る加熱調理器における調理板の断面を示した説明図((a)が2層構造の例、(b)が3層構造の例をそれぞれ示している。)である。
図3】本発明の他の実施形態に係る加熱調理器を示した説明図である。
図4図3に示した加熱調理器における調理板の変形例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る加熱調理器を示した説明図((a)が内部構造を示した部分断面図、(b)が平面図)である。加熱調理器1は、基本的には調理板2と加熱装置3を備えている。また、必要に応じて、天板4Aを有する枠体4などを備えている。調理板2はその表面が調理面2Aになり、調理板2の下方に加熱装置3が配置されている。加熱装置3は調理板2を加熱するものであり、図示のように炎孔30から火炎を噴き出すガスバーナーだけでなく、電熱ヒーターなどであってもよい。
【0011】
加熱調理器1における調理板2は、表面が調理面2Aとなる鉄板20を有し、その下方に高熱伝導層21を備えている。高熱伝導層21は、鉄板20の材料(鋼材)よりも熱伝導率が高い材料で形成された層であり、例えば、アルミ、チタン、銅などの高熱伝導率を有する金属層によって形成することができる。
【0012】
このような加熱調理器1によると、図示のように、炎孔30の列が間隔を空けて配置された加熱装置(ガスバーナー)3であっても、高熱伝導層21によって速やかに平面的な熱伝導がなされ、加熱装置3の形態によって加熱箇所にむらがあったとしても、調理面2Aの温度を平面的に均一化することができる。これによって、調理面2Aの上に一度に多数の被調理物を置いた場合にも、置いた場所によって調理の出来具合にばらつきが生じることがなく、一度に多数の被調理物を均一に加熱調理することができる。
【0013】
図2は、調理板の断面を示している。(a)に示した例では、調理板2は鉄板20と高熱伝導層21の2層構造になっている。高熱伝導層21は、鉄板20の下面に密着した層であり、例えば、アルミ板などの高熱伝導材料の板を鋼材からなる鉄板20の下面に爆発圧着法やレーザーによる直接接合などで圧着して形成することができる。
【0014】
図2(b)に示した調理板2の例は、鉄板20と高熱伝導層21の下方に蓄熱層22を備えた3層構造になっている。蓄熱層22は、鋼材や鋳鉄材など、蓄熱性の高い金属材料などで形成することができる。このような蓄熱層22を設けると、加熱装置3による加熱で蓄熱層22に蓄熱された熱が高熱伝導層21によって平面的に分散されることになり、調理面2Aの均一な加熱状態を長時間維持することができる。尚、蓄熱層22の下方に限らず、中間的な層に設けてもよい。
【0015】
図3は、本発明の他の実施形態に係る加熱調理器を示している(前述した説明と同一部位には同一符号を付して重複説明を省略する。)。この加熱調理器1Aは、前述した実施形態と同様に、調理板2が鉄板20と高熱伝導層21を備えているが、ここでは、高熱伝導層21が調理板2全面の部分領域に配備されている。図示の例では、調理面2AのA領域とB領域に分けてそれぞれ高熱伝導層21が配備されており、A領域とB領域の間のC領域には高熱伝導層21は配備されていない領域を形成している。このように高熱伝導層21を調理板2全面の部分領域に配備することで、熱伝導を制御し、高熱伝導層21が形成された領域と形成されていない領域、或いは複数の高熱伝導層21が形成された領域毎に調理面2Aの温度を異なる温度に管理することができ、しかも一つの高熱伝導層21が形成された領域内では均一な温度状態にすることができる。
【0016】
図示の例では、A領域下の加熱装置3AとB領域下の加熱装置3Bの加熱量を独立して調整できるようにすることで、例えば、調理面2AのA領域を150℃で均一に加熱し、B領域を200℃で均一に加熱することができる。また、A領域とB領域の間のC領域を高熱伝導層21が設けられていない領域として、比較的加熱され難い領域を作ることができる。この加熱され難い領域(C領域)は、例えば汚れ受けなどとして利用することができる。
【0017】
加熱調理器1Aは、図3に示した調理板2の形態に限らず、図4(a),(b)に示すような調理板の形態を採用することができる。図4(a),(b)に示した例は、調理板2の調理面2Aは全面を平面として、その下方の部分的な領域に高熱伝導層21を設けている。図4(a)に示した例は、高熱伝導層21の間が鉄板材料などで埋められているが、図4(b)に示した例は、高熱伝導層21の間が空間になっている。このような調理板2においては高熱伝導層21が形成された一つの領域内では均一な温度での調理が可能になり、また、調理面2Aの全面を調理に使用することができる。
【0018】
このような加熱調理器1(1A)は、高熱伝導層21が形成された領域内では調理面2Aの温度むらを無くすことができるので、その領域に多数の被調理物を一度に置いた際にも全ての被調理物を均一に加熱することができる。これによって調理性と生産性の向上を図ることができる。
【0019】
また、加熱調理器1(1A)の調理面2Aは従来技術同様に鉄板面であるから、従来同様に金属へらを用いて調理面2Aの焦げ付きを削り取るなどの作業を行うことができる。更には、従来と同様に安価で加熱むらが生じる加熱装置3を用いた場合にも、調理面2Aの加熱温度を均一化することができるので、コストアップを抑え、調理性の高い加熱調理器を得ることができる。
【符号の説明】
【0020】
1,1A:加熱調理器,2:調理板,2A:調理面,
20:鉄板,21:高熱伝導層,22:蓄熱層,
3,3A,3B:加熱装置,30:炎孔,
4:枠体,4A:天板,
図1
図2
図3
図4