(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本願における記載形式・基本的用語・用法の説明)
本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクション等に分けて記載するが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、記載の前後を問わず、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しの説明を省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0011】
同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、A以外の要素を含むものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe(シリコン・ゲマニウム)合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。また、金めっき、Cu層、ニッケル・めっき等といっても、そうでない旨、特に明示した場合を除き、純粋なものだけでなく、それぞれ金、Cu、ニッケル等を主要な成分とする部材を含むものとする。
【0012】
さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
【0013】
また、実施の形態の各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0014】
また、添付図面においては、却って、煩雑になる場合または空隙との区別が明確である場合には、断面であってもハッチング等を省略する場合がある。これに関連して、説明等から明らかである場合等には、平面的に閉じた孔であっても、背景の輪郭線を省略する場合がある。更に、断面でなくとも、空隙でないことを明示するため、あるいは領域の境界を明示するために、ハッチングやドットパターンを付すことがある。
【0015】
<電力変換システムの構成例>
以下で図面を用いて詳しく説明する本実施の形態では、セラミック基板上に複数の半導体チップが並べて搭載された半導体装置の例として、入力された直流電力を交流電力に変換して出力する電力変換装置(インバータ装置)を取り上げて説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態の半導体装置が組み込まれた、電力変換システムの構成例を示す説明図である。
【0017】
図1に示す電力変換システムは、複数の太陽電池モジュールSCMから出力された直流電力を、インバータ回路INVによって交流電力に変換して、配電回路DTCに出力するシステムである。
【0018】
複数の太陽電池モジュールSCMのそれぞれは、光エネルギーを電気的エネルギーに変換する光電変換装置である。複数の太陽電池モジュールSCMのそれぞれは、複数の太陽電池セルを有し、複数の太陽電池セルのそれぞれで電気的エネルギーに変換された電力を、直流電力として出力する。
【0019】
また、
図1に示す複数の太陽電池モジュールSCMと、インバータ回路INVとの間には、コンバータ回路CNVが接続される。
図1に示す例では、複数の太陽電池モジュールSCMから出力された直流電力は、コンバータ回路CNVにより昇圧され、高い電圧の直流電力に昇圧される。つまり、
図1に示すコンバータ回路CNVは、直流電力を、相対的に高い電圧の直流電力に変換する、所謂、DC/DCコンバータである。
【0020】
また、インバータ回路INVで電力変換された交流電力は、配電回路DTCに出力される。
図1に示す例では、インバータ回路INVは、U相、V相、およびW相の三相の交流電力に変換され、三相交流電力が配電回路DTCに出力される。
【0021】
また、
図1に示す電力変換システムは、上記した電力変換動作を制御する制御回路CMDを有する。制御回路CMDは、コンバータ回路CNVおよびインバータ回路INVの各スイッチング素子に対して、制御信号を出力する。
【0022】
また、
図1に示すインバータ回路INVは、複数のスイッチング素子を用いて、直流電力を交流電力に変換する電力変換回路である。
図1に示す例では、6個のトランジスタQ1のそれぞれが、スイッチング素子として機能する。
【0023】
スイッチング素子を用いて直流電力を交流電力に変換する場合、相対的に高い電位に接続されるハイサイドスイッチと、相対的に低い電位に接続されるローサイドスイッチと、が直列接続された回路を用いる。このハイサイドスイッチとローサイドスイッチとは、対になってオン−オフ動作する。一対のハイサイドスイッチおよびローサイドスイッチのうち、一方のスイッチがオン状態の時には、他方のスイッチはオフ状態になる。一対のハイサイドスイッチおよびローサイドスイッチがオン−オフ動作(以下、スイッチング動作と記載する)を高速で行うことにより、単相交流電力が出力される。
【0024】
また、
図1に示す例では、直流電力を三相交流電力に変換するインバータ回路INVを示しており、ハイサイドスイッチおよびローサイドスイッチからなるスイッチペアは、U相、V相、およびW相の三相に対応して3ペア設けられている。また、U相、V相、およびW相の三相のそれぞれの出力ノードは、直列接続されたハイサイドスイッチとローサイドスイッチの間に接続され、各スイッチペアは、120度の位相差を有するようにスイッチング動作をする。これにより、直流電力をU相、V相、およびW相の三相を有する三相交流電力に変換することができる。
【0025】
例えば、
図1に示す例では、ハイサイド側の端子HTに正の電位E1を印加し、ローサイド側の端子LTに電位E2を印加する。このとき、U相のノード、V相のノード、およびW相のノードのそれぞれの電位は、3組のスイッチペアのスイッチング動作に応じて、0とE1とに変化することになる。そして、例えば、U相とV相との間の線間電圧は、U相の電位からV相の電位を引いたものとなることから、+E1[V]、0[V]、−E1[V]と変化することになる。また、V相とW相との間の線間電圧は、U相とV相との間の線間電圧に対して位相が120度ずれた電圧波形となり、さらに、W相とU相との間の線間電圧は、V相とW相との間の線間電圧に対して位相が120度ずれた電圧波形となる。つまり、直流電力をインバータ回路INVに入力すると、三相交流電力の電圧波形が得られる。
【0026】
また、
図1に示すインバータ回路INVのスイッチング素子を構成するトランジスタQ1は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(以下、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)という)である。スイッチング素子であるトランジスタQ1として、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を利用しても良い。このパワーMOSFETによれば、スイッチング動作をゲート電極に印加する電圧で制御する電圧駆動型であるため、高速スイッチングが可能な利点がある。
【0027】
ただし、パワーMOSFETでは、高耐圧化を図るに伴ってオン抵抗が高くなり発熱量が大きくなる性質がある。したがって、大電力で、かつ、高速でのスイッチング動作が要求される用途で用いるトランジスタQ1としては、IGBTが好ましい。このIGBTは、パワーMOSFETとバイポーラトランジスタの組み合わせから構成されており、パワーMOSFETの高速スイッチング特性と、バイポーラトランジスタの高耐圧性を兼ね備えた半導体素子である。以上より、本実施の形態1におけるインバータ回路INVには、スイッチング素子としてIGBTを採用している。
【0028】
また、インバータ回路INVでは、ハイサイド側の端子HTと三相交流の各相(U相、V相、W相)との間にトランジスタQ1とダイオードD1が逆並列に接続されており、かつ、三相交流の各相とローサイド側の端子LTとの間にもトランジスタQ1とダイオードD1が逆並列に接続されている。すなわち、単相ごとに2つのトランジスタQ1と2つのダイオードD1が設けられており、3相で6つのトランジスタQ1と6つのダイオードD1が設けられている。そして、個々のトランジスタQ1のゲート電極には、制御回路CMDが接続されており、この制御回路CMDによって、トランジスタQ1のスイッチング動作が制御されるようになっている。このダイオードD1は、インバータ回路INVの出力側に接続されるインダクタンスに蓄えられた電気エネルギーを開放するために還流電流を流す機能を有している。
【0029】
<半導体装置>
次に、
図1に示すインバータ回路INVを構成する半導体装置PKG1の構成例について説明する。
図2は、
図1に示す半導体装置の外観を示す斜視図である。また、
図3は、
図2に示す半導体装置の裏面側を示す平面図である。また、
図4は、
図3のA−A線に沿った断面図である。また、
図5は、
図3に示すセラミック基板の上面側のレイアウトを示す平面図である。また、
図6は、
図5に示す半導体装置が構成する回路を模式的に示す説明図である。また、
図7は、
図5に示す半導体チップの周辺を拡大して示す拡大平面図である。また、
図8は
図7のA−A線に沿った拡大断面図である。
【0030】
なお、
図7では、
図5に示す複数の半導体チップCPの代表例として、トランジスタを備える半導体チップCPと、ダイオードを備える半導体チップCDをそれぞれ1個ずつ示している。
図5に示す半導体チップCTHおよび半導体チップCTLは同じ構造を有するので、代表的に1個の半導体チップCPを示している。
【0031】
図1に示すインバータ回路INVを構成する本実施の形態の半導体装置PKG1は、
図2に示すように、上面側が蓋材(キャップ、カバー部材)CVに覆われている。蓋材CVは、
図4に示すように複数の半導体チップCPを収容する収容部(ポケット)PKTを有する。蓋材CVは、複数の半導体チップCPが搭載される基材であるセラミック基板CS1の上面CStを覆っている。セラミック基板CS1の上面CStの周縁部は、接着材BD1を介して蓋材CVと接着固定されている。蓋材CVは、樹脂製の部材であって、例えば、エポキシ系の樹脂などから成る。
【0032】
また、蓋材CVの上面CVtからは、複数の端子LDが突出している。蓋材CVの上面CVtには複数の貫通孔THLが形成され、複数の端子LDは複数の貫通孔THLにそれぞれ挿入されている。複数の端子LDのそれぞれは、半導体装置PKG1の外部端子であって、
図5に示すセラミック基板CS1上に搭載された複数の半導体チップCPと電気的に接続されている。
【0033】
また、
図3に示すように、半導体装置PKG1の蓋材CVは、平面視において、X方向に沿って延びる辺CVs1、辺CVs1の反対側に位置する辺CVs2、X方向に対して直交するY方向に沿って延びる辺CVs3、および辺CVs3の反対側に位置する辺CVs4を有する。また、辺CVs1および辺CVs2は、辺CVs3および辺CVs4と比較して相対的に長い。なお、
図3に示す例では、半導体装置PKG1の蓋材CVは、平面視において、四角形(
図3では長方形)を成す。ただし、半導体装置PKG1の平面形状は四角形以外に種々の変形例がある。例えば、四角形の四つの角部のうち、辺CVs3と辺CVs1とが交差する交点の部分をX方向およびY方向に対して斜めにカットして、五角形にしても良い。この場合、斜めにカットされた角部は、半導体装置PKG1の向きを識別するためのアライメントマークとして利用可能になる。
【0034】
また、
図2および
図3に示すように、蓋材CVは、半導体装置PKG1を例えばヒートシンクや支持部材などに固定するための取り付け部分である、フランジ部FLGを有している。
図3に示すように、フランジ部FLGは、長手方向であるX方向に沿って、収容部PKTの両隣に設けられている。また、複数のフランジ部FLGの中央には、それぞれ貫通孔THHが形成されている。貫通孔THHは、蓋材CVのフランジ部FLGを厚さ方向に貫通する開口部であって、半導体装置PKG1を例えばヒートシンクや支持部材などに固定する際には、貫通孔THHにネジ(図示は省略)を挿入することにより、半導体装置PKG1をネジにより固定することができる。
【0035】
図3に示す例では、長手方向であるX方向に延びる仮想線(中心線)VL1に沿って、二個の貫通孔THHが形成されている。ただし、貫通孔THHの形成位置には、種々の変形例がある。例えば、
図3に示す蓋材CVの下面CVb側の四つの角部のそれぞれに、貫通孔THHを設けても良い。
【0036】
次に、半導体装置PKG1の蓋材CVの収容部PKTに収容されるセラミック基板CS1およびセラミック基板CS1に固定される各部材について説明する。
【0037】
図4および
図5に示すように、半導体装置PKG1は、セラミック基板CS1と、セラミック基板CS1の上面CStに形成された複数の金属パターンMPと、複数の金属パターンMPのうちの一部に搭載される複数の半導体チップCPと、を有する。
【0038】
図4に示すようにセラミック基板CS1は、複数の半導体チップCPが搭載されるチップ搭載面である上面CStと、上面CStの反対側に位置する下面CSbとを有する。セラミック基板CS1は、セラミック材料から成り、本実施の形態では、例えばアルミナ(酸化アルミニウム:Al
2O
3)からなる板状の部材である。
【0039】
図5に示すように、セラミック基板CS1は、平面視において、X方向に沿って延びる基板辺CSs1、基板辺CSs1の反対側に位置する基板辺CSs2、X方向に対して直交するY方向に沿って延びる基板辺CSs3、および基板辺CSs3の反対側に位置する基板辺CSs4を有する。また、基板辺CSs1および基板辺CSs2は、基板辺CSs3および基板辺CSs4と比較して相対的に長い。
図5に示す例では、セラミック基板CS1は、平面視において、四角形(
図5では長方形)を成す。
【0040】
また、
図4に示すように、セラミック基板CS1の上面CStおよび下面CSbには、複数の金属パターンMPが接合されている。これら複数の金属パターンMPは、例えば、銅(Cu)膜の表面にニッケル(Ni)膜が積層された積層膜であって、セラミック基板CS1の上面CStまたは下面CSbに銅膜が直接的に接合されている。アルミナなどのセラミックからなる板材に銅膜を接合する場合、共晶反応を利用して接合する。また、銅膜の表面にニッケル膜を積層する方法は、例えば電気メッキ法を用いることができる。
【0041】
また、セラミック基板CS1の下面CSb側に
搭載された金属パターンMPBは放熱用の端子であって、セラミック基板CS1の下面CSbの大部分を覆うように一様に形成されている。
【0042】
また、セラミック基板CS1の上面CStに形成された複数の金属パターンMPは、
図6に示すように、インバータ回路INVの配線経路の一部を構成する配線パターンであって、互いに分離された複数の金属パターンMPが形成されている。
【0043】
複数の金属パターンMPは、ハイサイド側の電位E1が供給される金属パターンMPHを有する。また、複数の金属パターンMPは、ローサイド側の電位E2が供給される金属パターンMPLを有する。また、複数の金属パターンMPは、トランジスタQ1のスイッチング動作に応じて変化する電位が供給される金属パターンMPU、MPV、MPWを有する。また、複数の金属パターンMPは、端子LDを接続するための複数の金属パターンMPTを有する。
【0044】
金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのそれぞれには、上記したように、120度の位相差を持つようにそれぞれ異なる電位が供給される。このため、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのそれぞれは、互いに分離した金属パターンMPである。また、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのそれぞれは、
図5に示すように、出力用の端子LDが搭載された金属パターンMPTと複数のワイヤBWを介して接続されている。このため、
図1に示すU相、V相、およびW相の出力用の伝送経路には、
図5に示すワイヤBWが含まれる。
【0045】
また、金属パターンMPHには、U相、V相、W相(
図1参照)のそれぞれにおいて、同じ電位(ハイサイド側の電位E1(
図6参照))が供給される。したがって、金属パターンMPHは、U相、V相、およびW相の区別に対応して分割されず、一体に形成されている。言い換えれば、ハイサイド側の電位E1はワイヤを介さずに複数のトランジスタQ1のそれぞれに供給される。なお、
図5に対する変形例としては、
図5に示す金属パターンMPHを、U相、V相、およびW相の区別に対応して分割し、分割された金属パターンMPHのそれぞれを、ワイヤなどの導体パターン(図示は省略)を介して電気的に接続する方法も考えられる。しかし、本実施の形態のように、同じ電位が供給される金属パターンMPHを分割せず、一体に形成することで、電位E1の供給経路のインピーダンスを低減することができる。このため、電位E1の供給経路の電気的特性を向上させることができる。また、金属パターンMPHにおける発熱量を低減することができる。
【0046】
また、金属パターンMPLには、U相、V相、W相(
図1参照)のそれぞれにおいて、同じ電位(ローサイド側の電位E2(
図6参照))が供給される。したがって、金属パターンMPLは、U相、V相、およびW相の区別に対応して分割されず、一体に形成されている。なお、
図5に対する変形例としては、
図5に示す金属パターンMPLを、U相、V相、およびW相の区別に対応して分割し、分割された金属パターンMPLのそれぞれを、ワイヤなどの導電性部材(図示は省略)を介して電気的に接続する方法も考えられる。ローサイド側の金属パターンMPLの場合、
図5に示すように、半導体チップCPと金属パターンMPLとは、ワイヤBWを介して電気的に接続される。したがって、金属パターンMPLを分割せず、一体に形成しても、電位E2(
図6参照)の供給経路からワイヤBWは排除されていない。しかし、金属パターンMPLを分割せず、一体に形成することで、電位E2の供給経路を安定させることはできるので、電位E2の供給経路の電気的特性を向上させることができる。また、金属パターンMPLに還流電流が流れる場合における発熱量を低減することができる。
【0047】
また、
図5に示すように、上記した複数の金属パターンMPのうち、複数の金属パターンMPTにはそれぞれ一つの端子LDが搭載されている。また、複数の金属パターンMPのうち、金属パターンMPHおよび金属パターンMPLには、それぞれ複数の端子LDが形成されている。
図5に示す例では、金属パターンMPHおよび金属パターンMPLには、セラミック基板CS1の上面CStが有する四辺のうち、短辺である基板辺CSs3および基板辺CSs4に沿って、それぞれ一つずつ端子LDが搭載されている。
【0048】
また、
図5に示すように、上記した複数の金属パターンMPのうち、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのそれぞれには、端子LDは直接的には接続されていない。金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのそれぞれは、複数のワイヤBWを介して金属パターンMPTと電気的に接続されている。つまり、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのそれぞれは、複数のワイヤBWおよび金属パターンMPTを介して端子LDと電気的に接続されている。
【0049】
また、複数の金属パターンMPのうちの一部(金属パターンMPH、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPW)には、複数の半導体チップCPが搭載されている。
図5に示す複数の半導体チップCPのうちの一部は、
図6に示すトランジスタQ1が形成されたスイッチング素子用の半導体チップCTH、CTLである。本実施の形態では、半導体チップCTH、CTLには、それぞれIGBTが形成されている。また、
図5に示す複数の半導体チップCPのうちの他の一部は、
図6に示すダイオードD1が形成された、半導体チップCDである。
【0050】
上記したように、インバータ回路INV(
図6参照)の出力側にインダクタンスが接続される場合には、スイッチング素子であるトランジスタQ1(
図6)と逆並列でダイオードD1(
図6参照)が接続される。MOSFETのように、一つの半導体チップCPにスイッチング動作を行うトランジスタQ1の回路と還流電流を流すダイオードD1の回路とを内蔵させる場合には、スイッチング素子の数に応じて1個の半導体チップCPを搭載すれば良い。しかし、トランジスタQ1としてIGBTを利用する場合、ダイオードD1用の半導体チップCPを別に
用意する必要がある。このため、本実施の形態では、
図5に示すように、ハイサイド用のトランジスタを備える半導体チップCTH、およびローサイド用のトランジスタを備える半導体チップCTLのそれぞれに対して、ダイオードを備える半導体チップCDがセットで搭載される。
【0051】
図7および
図8に示すように複数の半導体チップCPのそれぞれは、上面CPtおよび上面の反対側に位置する下面CPb(
図8参照)を有する。トランジスタを備える半導体チップCTHおよび半導体チップCTLは、上面CPtにおいて露出するエミッタ用の電極PDEおよびゲート用の電極PDGを有する。また、トランジスタを備える半導体チップCTHおよび半導体チップCTLは、下面CPbにコレクタ用の電極PDCを有する。コレクタ用の電極PDCは、接合材である半田SDを介して金属パターンMPの上面MPmに固定されている。また、コレクタ用の電極PDCは、半田SDを介して金属パターンMPと電気的に接続されている。
【0052】
詳しくは、
図5に示すように、金属パターンMPHには、複数の半導体チップCTHが搭載されている。言い換えれば、一体に形成された金属パターンMPHには、複数の半導体チップCTHのコレクタ用の電極PDC(
図8参照)が電気的に接続されている。また、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWには、それぞれ半導体チップCTLが1個ずつ搭載されている。言い換えれば、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのそれぞれには、半導体チップCTLのコレクタ用の電極PDC(
図8参照)が電気的に接続されている。
【0053】
また、電極PDEには、
図5に示すように複数のワイヤBWが接続されている。詳しくは、
図5に示すように、ハイサイド用の半導体チップCTHの電極PDE(
図7参照)は複数のワイヤBWを介して金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのうちのいずれかに接続されている。つまり、ハイサイド用の半導体チップCTHの電極PDEは、U相の出力端子UT(
図6参照)、V相の出力端子VT(
図6参照)、またはW相の出力端子WT(
図6参照)のうちのいずれかに接続されている。また、
図5に示すように、ローサイド用の半導体チップCTLの電極PDE(
図7参照)は複数のワイヤBWを介して金属パターンMPLに接続されている。つまり、ローサイド用の半導体チップCTLの電極PDEは、
図6に示すローサイド用の電位E2が供給される端子LTと電気的に接続されている。
【0054】
また、電極PDGには、
図5に示すように一本のワイヤBWが接続されている。詳しくは、
図5に示すように、ハイサイド用の半導体チップCTHおよびローサイド用の半導体チップCTLのそれぞれが有する電極PDG(
図7参照)のそれぞれは、ワイヤBWを介して金属パターンMPTと電気的に接続されている。金属パターンMPTからは、半導体チップCTHおよび半導体チップCTLが有するトランジスタQ1(
図6参照)のスイッチング動作を駆動する駆動信号が供給される。
【0055】
また、
図7および
図8に示すようにダイオードを備える半導体チップCDは、上面CPtにおいて露出するアノードの電極PDAを有する。また、
図8に示すように、半導体チップCDは、下面CPbにカソードの電極PDKを有する。カソードの電極PDKは、接合材である半田SDを介して金属パターンMPの上面MPmに固定されている。また、カソードの電極PDKは、半田SDを介して金属パターンMPと電気的に接続されている。
【0056】
詳しくは、
図5に示すように、金属パターンMPHには、複数の半導体チップCDが搭載されている。言い換えれば、一体に形成された金属パターンMPHには、複数の半導体チップCDのカソードの電極PDK(
図8参照)が電気的に接続されている。また、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWには、それぞれ半導体チップCDが1個ずつ搭載されている。言い換えれば、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのそれぞれには、半導体チップCDのカソードの電極PDK(
図8参照)が電気的に接続されている。
【0057】
また、電極PDAには、
図5に示すように複数のワイヤBWが接続されている。詳しくは、
図5に示すように、ハイサイド用の半導体チップCDの電極PDA(
図7参照)は複数のワイヤBWを介して金属パターンMPU、金属パターンMPV、または金属パターンMPWのいずれかに接続されている。また、ハイサイド用の半導体チップCDの電極PDA(
図7参照)は複数のワイヤBWを介して出力用の金属パターンMPTにも接続されている。つまり、ハイサイド用の半導体チップCDの電極PDAは、U相の出力端子UT(
図6参照)、V相の出力端子VT(
図6参照)、またはW相の出力端子WT(
図6参照)のうちのいずれかに接続されている。また、
図5に示すように、ローサイド用の半導体チップCDの電極PDA(
図7参照)は複数のワイヤBWを介して金属パターンMPLに接続されている。つまり、ローサイド用の半導体チップCDの電極PDAは、
図6に示すローサイド用の電位E2が供給される端子LTと電気的に接続されている。
【0058】
図5に示す複数のワイヤBWは、金属ワイヤであって、本実施の形態では例えばアルミニウムから成る。ただし、ワイヤBWの材料には種々の変形例があって、アルミニウムの他、金、あるいは銅を用いることもできる。
【0059】
また、
図4に示すように、蓋材CVとセラミック基板CS1との間の空間には、封止材MGが充填されている。複数の半導体チップCPおよび複数のワイヤBWのそれぞれは、この封止材MGにより封止されている。封止材MGは、半導体チップCP、ワイヤBWおよび端子LDの一部を保護する部材である。封止用の部材としては、例えばエポキシ樹脂など、加熱することで硬化し、ある程度の強度が確保できる樹脂材料を用いる方法がある。しかし、封止材MGが硬化すると、半導体装置PKG1に温度変化が生じた時にセラミック基板CS1と封止材MGの線膨張係数の差に起因して、半導体装置PKG1の内部に応力が発生する。そこで、本実施の形態では、エポキシ樹脂よりも柔らかい樹脂材料を用いて封止材MGを形成している。詳しくは、本実施の形態では、封止材MGは、シロキサン結合による主骨格を持つ、高分子化合物である、シリコーン樹脂である。
【0060】
シリコーン樹脂は、エポキシ樹脂よりも柔らかい特性を有する。半導体装置PKG1に温度変化が生じた時に発生した応力は、シリコーン樹脂である封止材MGが変形することにより、低減される。
【0061】
<金属パターンのレイアウト>
次に、
図5に示す金属パターンの詳細について説明する。本セクションでは、まず、
図6を用いて
図5に示す金属パターンのレイアウトの概要について説明した後、各金属パターンMPに形成された窪み部DPの構成について説明する。
【0062】
図9は、
図5に示す複数の金属パターンのレイアウトを示す平面図である。また、
図10は、
図5に示す複数の半導体チップのうち、ローサイド側の半導体チップの周辺を拡大して示す拡大平面図である。また、
図11は、
図10のA−A線に沿った拡大断面図である。また、
図12は、
図10に対応する検討例を示す平面図である。また、
図13は、
図5に示す複数の半導体チップのうち、ハイサイド側の半導体チップの周辺を拡大して示す拡大平面図である。
【0063】
図9に示すように、本実施の形態の半導体装置PKG1のセラミック基板CS1の上面CStに搭載される複数の金属パターンMPには、相対的に高いハイサイド側の電位E1(
図6参照)が供給される金属パターンMPHが含まれる。金属パターンMPHは、U相、V相、あるいはW相の区分に応じて分割されず、一体に形成される。これにより、電位E1の供給経路のインピーダンスを低減することができる。
【0064】
また、複数の金属パターンMPには、相対的に低いローサイド側の電位E2(
図6参照)が供給される金属パターンMPLが含まれる。金属パターンMPLも、金属パターンMPHと同様に、U相、V相、あるいはW相の区分に応じて分割されず、一体に形成される。これにより、電位E2の供給経路のうち、
図10に示す複数のワイヤBWLまでの部分のインピーダンスを低減することができる。
【0065】
また、複数の金属パターンMPには、U相、V相、およびW相の出力ノードのそれぞれを構成する、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWが含まれる。金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのそれぞれには、120度の位相差を持つようにそれぞれ異なる電位が供給される。このため、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのそれぞれは、U相、V相、あるいはW相の区分に応じて分割されている。
【0066】
また、複数の金属パターンMPには、入出力用の端子LDが搭載される複数の金属パターンMPTが含まれる。複数の金属パターンMPTには、それぞれ一個の端子LDが半田SD(
図4参照)を介して搭載されている。このように金属パターンMPTには、それぞれ一個の端子LDが搭載されるので、金属パターンMPTの平面積は、金属パターンMPH、金属パターンMPL、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWの平面積よりも小さい。
【0067】
本実施の形態では、電位E1(
図6参照)の供給用の端子LD、および電位E2(
図6参照)の供給用の端子LD以外の端子は、複数の金属パターンMPTにそれぞれ搭載されている。金属パターンMPTに搭載される端子LDには、上記したU相、V相、およびW相の出力ノードを構成する端子LD、半導体チップCTH、CTL(
図5参照)に駆動信号を伝送する端子LD、および、半導体チップCTH、CTLの電極PDA(
図7参照)の電位を出力する計測用の端子LDが含まれる。また、
図9に示す例では、複数の金属パターンMPTのそれぞれは、セラミック基板CS1の上面CStが有する四辺のうち、基板辺CSs1または基板辺CSs2に最も近い位置に、X方向に沿って並ぶように配列されている。
【0068】
また、
図9に示す例における、複数の金属パターンMPの配列の構成例を詳細に説明すると、以下である。すなわち、セラミック基板CS1の四辺のうち、基板辺CSs1に最も近い位置には、複数の金属パターンMPTがX方向に沿って配列されている。また、基板辺CSs1側に配列される複数の金属パターンMPTの隣には、金属パターンMPLが配列される。また、金属パターンMPLの隣には、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWがX方向に沿って配列される。また、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWの隣には、X方向に沿って延びる金属パターンMPHが配列されている。また、金属パターンMPHと基板辺CSs2との間には、複数の金属パターンMPTがX方向に沿って配列されている。
【0069】
また、セラミック基板CS1の金属パターンMPHは、平面視において、X方向に延びる辺MHs1と、辺MHs1の反対側に位置する辺MHs2と、を有する。辺MHs1および辺MHs2は、それぞれ金属パターンMPHの長辺である。また、辺MHs1は、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのそれぞれと対向する辺であって、辺MHs2は、複数の金属パターンMPTと対向する辺である。
【0070】
また、本実施の形態のセラミック基板CS1が有する金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのそれぞれは、金属パターンMPHと金属パターンMPLの間に配列される金属パターンMPである。金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWは、X方向に沿って並べて配列されている。また、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのそれぞれの面積は金属パターンMPHの面積よりも相対的に小さい。
【0071】
金属パターンMPUは、平面視において、X方向に延びる辺MUs1と、辺MUs1の反対側に位置する辺MUs2と、を有する。また、辺MUs1は、金属パターンMPLと対向する辺であって、辺MUs2は、金属パターンMPHと対向する辺である。
【0072】
また、金属パターンMPVは、平面視において、X方向に延びる辺MVs1と、辺MVs1の反対側に位置する辺MVs2と、を有する。また、辺MVs1は、金属パターンMPLと対向する辺であって、辺MVs2は、金属パターンMPHと対向する辺である。
【0073】
また、金属パターンMPWは、平面視において、X方向に延びる辺MWs1と、辺MWs1の反対側に位置する辺MWs2と、を有する。また、辺MWs1は、金属パターンMPLと対向する辺であって、辺MWs2は、金属パターンMPHと対向する辺である。
【0074】
また、本実施の形態のセラミック基板CS1の金属パターンMPLは、平面視において、X方向に延びる辺MLs1と、辺MLs1の反対側に位置する辺MLs2と、を有する。辺MLs1および辺MLs2は、それぞれ金属パターンMPLの長辺である。また、辺MLs2は、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのそれぞれと対向する辺であって、辺MLs1は、複数の金属パターンMPTと対向する辺である。
【0075】
<金属パターンの接合強度>
上記の通り、セラミック基板CS1の上面CSt側には、平面積が異なる複数の金属パターンが、互いに分離された状態で接合されている。詳しくは、複数の金属パターンMPのそれぞれは、
図8に示すように、セラミック基板CS1の上面CStと対向接触する下面MPb、および下面MPbの反対側に位置する上面MPm、を備える。セラミック基板CS1の上面CStと金属パターンMPの下面MPbとは、上記したように、共晶反応を利用して、直接的に接合されている。
【0076】
しかし、本願発明者が検討した所、セラミック材料と金属パターンとの線膨張係数の差が大きいことにより、パッケージに温度サイクル負荷が繰り返して印加されると、金属パターンMPの一部がセラミック材料から剥離する場合があることが判った。また、金属パターンMPの剥離は、各金属パターンMPの周縁部で発生し、周縁部に生じた剥離が金属パターンMPの中央部に向かって進展することで、剥離面積が増大することが判った。
【0077】
そこで、本願発明者は、
図12に示す検討例の半導体装置PKG2のように、セラミック基板CS2に接合された複数の金属パターンMPのそれぞれの周縁部に沿って、複数の窪み部DPを形成する構成について検討を行った。
【0078】
図12に示す半導体装置PKG2は、ローサイド側のスイッチング素子である半導体チップCTLが搭載された金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのそれぞれの周縁部に、全周に亘って規則的に窪み部DPが形成されている点で、
図10に示す半導体装置PKG1とは相違する。
【0079】
また、
図12に示す複数の窪み部DPのそれぞれは、
図11に示す半導体装置PKG1が備える窪み部DPと同じ構造を有する。窪み部DPは、金属パターンMPの厚さが局所的に薄くなるように、金属パターンMPの上面MPm側に形成された窪み(溝、ディンプル、薄肉部)である。
図11に示す例では、金属パターンMPLの上面MPm側の一部を、例えばエッチングにより取り除くことにより形成されている。このように金属膜の一部をエッチングにより取り除く処理はハーフエッチング処理と呼ばれる。
【0080】
図11に示す例では、窪み部DPの深さは、金属パターンMPの板厚のうち、窪み部DPが形成されていない部分の厚さに対して半分程度である。例えば、窪み部DPが形成されていない部分の金属パターンMPの厚さが1mm程度である場合には、窪み部DPが形成された部分の厚さ、および窪み部DPの深さは、それぞれ0.5mm程度である。また、
図10および
図12に示す窪み部DPの平面形状は、円形(厳密な意味での真円形には限定されない)であり、
図10および
図12に示す例では、半径が約0.5mm程度の円形の窪み部DPが1mm程度の間隔で金属パターンMPの周縁部に沿って規則的に配列されている。
【0081】
図11に示すように、金属パターンMPの厚さが周辺領域と比較して相対的に薄くなっている、窪み部DPが形成された領域の周辺領域では、他の領域と比較して、外力が印加されると弾性変形が生じやすい。このため、金属パターンMPの周縁部に複数の窪み部DPが設けられていれば、金属パターンMPの周縁部に応力が印加された時、窪み部DPの周辺領域が優先的に弾性変形することで応力が緩和される。この結果、金属パターンMPとセラミック基板CS1の基材との接合界面に印加される応力が低減され、金属パターンMPの剥離を抑制できる。
【0082】
つまり、本実施の形態の半導体装置PKG1および
図12に示す検討例の半導体装置PKG2は、金属パターンMPの周縁部に沿って複数の窪み部DPを設けることで、金属パターンMPの周縁部に印加される応力を低減する。なお、上記したように、応力を低減する観点から複数の窪み部DPが設けられる場合、窪み部DPの形状および深さには、種々の変形例がある。窪み部DPの形状に係る変形例については後述する。
【0083】
ところで、
図11に示すように、本実施の形態では、半導体チップCPは、半田SDを介して金属パターンMPの上面MPm上に搭載されている。金属パターンMPは、半導体チップCPに対して電位を供給する配線、または、半導体チップCPから供給された電位を出力する配線として機能する。このため、金属パターンMPと半導体チップCPの下面CPbとは電気的に接続される必要がある。本実施の形態では、金属パターンMPと半導体チップCPとを半田SDで接続することにより、半導体チップCPの下面CPbの電極PDCと金属パターンMPとは互いに電気的に接続されている。
【0084】
ここで、半導体チップCPを搭載する領域に窪み部DPが形成されていた場合、半田SDが硬化した後に、窪み部DPに気泡(ボイド)が残っていないことが重要である。窪み部DP内にボイドが残っていた場合、半導体チップCPの下面CPbと金属パターンMPとを電気的に接続する経路の電気的特性が低下する原因になる。また、窪み部DP内にボイドが残っていた場合、ボイドの周辺の温度変化によってボイドの体積が変化して、半田SDの損傷などの原因になる場合がある。
【0085】
上記観点からは、複数の半導体チップCPのそれぞれと厚さ方向に重なる位置には、複数の窪み部DPが形成されていないことが好ましい。また、半導体チップCPと金属パターンMPとを接続する半田SDは、複数の窪み部DPの内部まで広がっていないことが特に好ましい。
【0086】
また、本実施の形態の複数の窪み部DPは、上記したように局所的に板厚が薄い部分を設けることで、金属パターンMPとセラミック基板CS1との接合界面に対する応力集中を緩和することを目的として形成されている。この場合、窪み部DPの内部に半田SDなどの金属材料が埋め込まれた場合、応力緩和特性が低下する原因になる。したがって、金属パターンMPとセラミック基板CS1との接合界面に対する応力集中を緩和する観点から、半田SDは、窪み部DPの内部に埋め込まれていないことが好ましい。
【0087】
図10および
図11に示す半導体装置PKG1、および
図12に示す半導体装置PKG2のそれぞれは、複数の半導体チップCPのそれぞれと厚さ方向に重なる位置に、複数の窪み部DPが形成されていない。また、
図10、
図11に示す半導体装置PKG1および
図12に示す半導体装置PKG2のそれぞれは、半導体チップCPと金属パターンMPとを接続する半田SDは、複数の窪み部DPの内部まで広がっていない。
【0088】
したがって、半田SDにボイドが形成されることを回避している点で、
図10に示す半導体装置PKG1および
図12に示す半導体装置PKG2は、同様である。また、半田SDにより窪み部DPの応力緩和特性が低下することを回避している点で、半導体装置PKG1および半導体装置PKG2は、同様である。
【0089】
<ローサイド側の電位供給経路>
次に、
図5に示す複数の半導体チップCPのうち、ローサイド側のスイッチング素子である、半導体チップCTLと金属パターンMPの上面MPmの周縁部との最短距離に着目すると、
図10および
図11に示す半導体装置PKG1と、
図12に示す半導体装置PKG2は相違する。
【0090】
すなわち、
図10に示す半導体チップCTLと金属パターンMPUの上面MPmの辺MUs1との離間距離は、
図12に示す半導体チップCTLと金属パターンMPUの上面MPmの辺MUs1との離間距離よりも短い。また、
図10に示す半導体チップCTLと金属パターンMPVの上面MPmの辺MVs1との離間距離は、
図12に示す半導体チップCTLと金属パターンMPVの上面MPmの辺MVs1との離間距離よりも短い。また、
図10に示す半導体チップCTLと金属パターンMPWの上面MPmの辺MWs1との離間距離は、
図12に示す半導体チップCTLと金属パターンMPWの上面MPmの辺MWs1との離間距離よりも短い。
【0091】
また、
図10および
図11に示すように、半導体装置PKG1の場合、半導体チップCTLと金属パターンMPUの上面MPmの辺MUs1との間には、窪み部DPは形成されていない。また、半導体チップCTLと金属パターンMPVの上面MPmの辺MVs1との間には、窪み部DPは形成されていない。また、半導体チップCTLと金属パターンMPWの上面MPmの辺MWs1との間には、窪み部DPは形成されていない。
【0092】
つまり、
図12に示す半導体装置PKG2のように、半導体チップCTLと金属パターンMPUの上面MPmの辺MUs1との間に複数の窪み部DPが形成されている場合、複数の窪み部DPに半田SDが広がらないようにするためには、半導体チップCTLと金属パターンMPUの上面MPmの辺MUs1との離間距離を大きくする必要がある。この結果、半導体装置PKG2の場合、半導体チップ
CTLの電極PDEと金属パターンMPLとを電気的に接続する複数のワイヤBW2の延在距離(経路距離、ループ形状に沿った接続部間の距離)が長くなってしまう。
【0093】
言い換えれば、
図10および
図11に示す半導体装置PKG1は、半導体チップCTLと金属パターンMPUの上面MPmの辺MUs1との間に窪み部DPが形成されていないので、半導体チップCTLを金属パターンMPUの辺MUs1に近づけることができる。この結果、半導体チップCTLの電極PDEと金属パターンMPLとを電気的に接続する複数のワイヤ(導電性部材)BWLの延在距離を短くすることができる。
図10に示す複数のワイヤBWLが接続される金属パターンMPLには、
図6に示すインバータ回路において、電位E2が供給される端子LTが搭載される。したがって、
図10に示すワイヤBWLの延在距離を短くすることで、電位E2(
図6参照)をローサイド側のトランジスタQ1(
図6参照)に供給する経路のインピーダンスを低減することができる。この結果、
図6に示すインバータ回路の電気的特性を向上させることができる。
【0094】
本セクションでは、ローサイド側の半導体チップCPの例として、トランジスタQ1(
図6参照)に対して電位E2(
図6参照)を供給する経路について説明した。しかし、ダイオードD1(
図6参照)に対して電位E2を供給する経路についても同様である。本実施の形態の場合、上記したように、トランジスタQ1は、IGBTなので、トランジスタQ1が形成された半導体チップCTLの隣に、ダイオードD1が形成された半導体チップCDが搭載されている。半導体チップCDの電極PDAには複数のワイヤBWLが接続され、電極PDAは、複数のワイヤBWLを介して金属パターンMPLと電気的に接続されている。
【0095】
ここで、
図10に示すようにローサイド側の半導体チップCDと金属パターンMPUの上面MPmの辺MUs1、辺MVs1、および辺MWs1のそれぞれとの間には、窪み部DPは形成されていない。したがって、半導体チップCDに電位E2(
図6)を供給する複数のワイヤBWLの延在距離を短くすることができる。したがって、
図10に示すワイヤBWLの延在距離を短くすることで、電位E2(
図6参照)をローサイド側のダイオードD1(
図6参照)に供給する経路のインピーダンスを低減することができる。
【0096】
また、
図10に示すように、半導体チップCTLの電極PDEは、一本のワイヤBWTに接続されている。ワイヤBWTは、半導体チップCTLの電極PDEとセラミック基板CS1の周縁部側(基板辺CSs1側)に設けられた金属パターンMPTとを電気的に接続する。このワイヤBWTを経由する出力経路は、
図1に示す制御回路CMD(詳しくは、制御回路CMD中の計測回路)に接続されている。このようにローサイド側に供給される電位E2(
図6参照)を計測し、制御回路CMDに伝送することで、制御回路CMDでは、電位E2の値に基づいて
図1に示すインバータ回路INVの動作を制御することができる。
【0097】
ここで、計測される電位の精度を向上させる観点からは、計測用のワイヤBWTの延在距離を短くすることが好ましい。そこで、
図10に示す例では、ローサイド側の供給電位を計測するワイヤBWTは、基板辺CSs1側の金属パターンMPTに接続され、かつ、ローサイド側の半導体チップCTLは、基板辺CSs1側に寄せて搭載されている。つまり、
図10に示すように、ローサイド側の半導体チップCTLと金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWの上面MPmの辺MUs1、辺MVs1、および辺MWs1のそれぞれとの間には、窪み部DPが形成されていないので、計測用のワイヤBWTの延在距離を短くできる。
【0098】
言い換えれば、半導体チップCTLから金属パターンMPUの辺MUs1までの距離は、半導体チップCTLから金属パターンMPUの辺MUs2までの距離よりも短い。また、半導体チップCTLから金属パターンMPVの辺MVs1までの距離は、半導体チップCTLから金属パターンMPVの辺MVs2までの距離よりも短い。また、半導体チップCTLから金属パターンMPWの辺MWs1までの距離は、半導体チップCTLから金属パターンMPWの辺MWs2までの距離よりも短い。
【0099】
なお、
図10に示すように、半導体チップCTLのゲート用の電極PDGは、一本のワイヤBWGを介して基板辺CSs1側の金属パターンMPTに接続されている。このため、ローサイド側の半導体チップCTLが、基板辺CSs1側に寄せて搭載されることにより、ワイヤBWGの延在距離を短くすることができる。ただし、ゲート電極PDGには、トランジスタQ1(
図6参照)のスイッチング動作を制御する信号が供給される。したがって、複数のワイヤBWLや計測用のワイヤBWTの方が、ワイヤBWGよりも、ワイヤBWの延在距離を短くしてインピーダンスを低減することによる影響(効果)が相対的に大きい。
【0100】
<ハイサイド側の電位供給経路>
次に、ハイサイド側のスイッチング素子である、半導体チップCTHが搭載される金属パターンMPHに着目すると、ハイサイド側では、上記したローサイド側とは構造が異なる。すなわち、
図13に示すように、ハイサイド側のスイッチング素子である半導体チップCTHは、金属パターンMPHに半田SDを介して搭載されている。金属パターンMPHは、上記したように、電位E1(
図6参照)を半導体チップCTHに供給する経路を構成する。言い換えれば、半導体チップCTHに電位E1を供給する経路は、金属パターンMPHに搭載される二個の端子LD、金属パターンMPH、および半導体チップCTHの電極PDC(
図8参照)に接続される半田SDにより構成される。したがって、ハイサイド側のトランジスタQ1(
図1参照)に電位E1を供給する経路中にはワイヤBWは介在していない。したがって、
図6に示す電位E1の供給経路のインピーダンスを低減させる観点からは、半導体チップCTHは金属パターンMPH上の任意の位置に搭載することができる。
【0101】
また、
図13に示す半導体チップCTHの電極PDEは、複数のワイヤ(導電性部材)BWOを介して、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのうちのいずれかに接続される。この、電極PDEと、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのうちのいずれか一つと、を電気的に接続する複数のワイヤBWOの延在距離は、
図10に示す複数のワイヤBWLの延在距離よりも長い。
【0102】
しかし、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのそれぞれは、別の複数のワイヤBWOを介して、出力端子UT、出力端子VT、および出力端子WTのそれぞれと電気的に接続される。詳しくは、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのそれぞれに接続される複数のワイヤBWOは、半導体チップCDの電極PDAに接続され、かつ、出力端子UT、出力端子VT、および出力端子WTのそれぞれと電気的に接続される。つまり、半導体チップCTHから出力された電力は、金属パターンMPHの辺MHs1側に設けられた、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのうちのいずれかを経由して、金属パターンMPHの辺MHs2側に設けられた、金属パターンMPTに接続される。
【0103】
したがって、
図13に示す配線構造の場合、半導体チップCTHを辺MHs1側に寄せて配置した場合と、半導体チップCTHを辺MHs2側に寄せて配置した場合と、では、半導体チップCTHの電極PDEと、出力端子UT,VT、WTとを接続する伝送経路の経路距離は、大きくは変わらない。
【0104】
一方、
図13に示すように、半導体チップCTHの電極PDEは、一本のワイヤBWTに接続されている。ワイヤBWTは、半導体チップCTHの電極PDEとセラミック基板CS1の周縁部側に設けられた金属パターンMPTとを電気的に接続する。このワイヤBWTを経由する出力経路は、
図1に示す制御回路CMD(詳しくは、制御回路CMD中の計測回路)に接続されている。このように出力ノードの電位を計測し、制御回路CMDに伝送することで、制御回路CMDでは、出力ノードの電位の値に基づいて
図1に示すインバータ回路INVの動作を制御することができる。
【0105】
ここで、上記したように、計測される電位の精度を向上させる観点からは、計測用のワイヤBWTの延在距離を短くすることが好ましい。そこで、
図13に示す例では、
図13に示すように、ハイサイド側の半導体チップCTHと金属パターンMPHの上面MPmの辺MHs2との間には、窪み部DPが形成されていない。これにより、半導体チップCTHを金属パターンMPHの辺MHs2側に寄せて搭載しても、半田SDが窪み部DPまで広がることを抑制できる。本実施の形態では、半導体チップCTHは、金属パターンMPHの辺MHs2側に寄せて搭載される。言い換えれば、半導体チップCTHから金属パターンMPHの辺MHs2までの距離は、半導体チップCTHから金属パターンMPHの辺MHs1までの距離よりも短い。
【0106】
つまり、本実施の形態では、ハイサイド側の供給電位を計測するワイヤBWTは、基板辺CSs2側の金属パターンMPTに接続され、かつ、ハイサイド側の半導体チップCTHは、基板辺CSs2側に寄せて搭載されている。これにより、計測用のワイヤBWTの延在距離を短くできるので、出力ノードの電位を計測する精度を向上させることができる。
【0107】
また、
図13に示す例では、上記したように、金属パターンMPHの上面MPmにおいて、ハイサイド側の半導体チップCTHは、基板辺CSs2側に寄せて搭載されている。したがって、金属パターンMPHの辺MHs1と対向する金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのうちのいずれかと、半導体チップCTHとを、電気的に接続する複数のワイヤBWOの延在距離は、
図10に示す複数のワイヤBWLと比較して長くなる。このため、
図13に示すように、半導体チップCTHと金属パターンMPHの辺MHs1との間に複数の窪み部DPを形成した場合でも、窪み部DP内に半田SDが広がることを防止できる。
【0108】
図13に示す例では、半導体チップCTHと金属パターンMPHの辺MHs1との間に複数の窪み部DPが形成されている。ただし、
図14に示す変形例の半導体装置PKG3のように、半導体チップCTHが金属パターンMPHの上面MPmの辺MHs2側に寄せて搭載されている場合でも、金属パターンMPHの辺MHs1との間に複数の窪み部DPが設けられていなくても良い。
図14は、
図13に対する変形例である半導体装置のハイサイド側の半導体チップの周辺を拡大して示す拡大平面図である。詳細は後述するが、上記した金属パターンMPとセラミック基板CS1の接合界面における剥離は、発生し易い場所と発生し難い場所があり、窪み部DPを形成する領域は、剥離の発生し易さに応じて決定することができる。
【0109】
また、
図13に示す例では、ハイサイド側の半導体チップCTHは、基板辺CSs2側に寄せて搭載されている。しかし、出力ノードに接続される伝送経路のインピーダンスを低減させることを優先させる場合、
図15に示す変形例の半導体装置PKG4のように、半導体チップCTHは、金属パターンMPHの辺MHs1側に寄せて搭載されていても良い。
図15は、
図13に対する他の変形例である半導体装置のハイサイド側の半導体チップの周辺を拡大して示す拡大平面図である。
【0110】
図15に示す半導体装置PKG4の例では、金属パターンMPHの辺MHs1との間に複数の窪み部DPが設けられず、かつ、半導体チップCTHは、金属パターンMPHの辺MHs1側に寄せて搭載されている。この場合、
図15に示す出力ノードに接続される伝送経路を構成する複数のワイヤBWOの延在距離は、
図10に示す複数のワイヤBWLと同程度の長さにすることができる。
【0111】
また、
図15に示す変形例では、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのそれぞれに、出力端子UT、出力端子VT、および出力端子WTのうちのいずれかが半田SDを介して搭載されている。この場合、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのそれぞれと、出力端子UT、出力端子VT、および出力端子WTのそれぞれとの伝送経路中にワイヤBWが介在しないので、出力ノードにおけるインピーダンスを低減することができる。
【0112】
ただし、
図15に示す変形例の場合、出力ノードの電位を計測する経路を構成するワイヤBWTの延在距離は、
図10に示すワイヤBWTの延在距離と比較して長くなる。つまり、
図15に示す変形例は、出力ノードの電位を計測する経路のインピーダンス低減よりも、電力を出力する伝送経路のインピーダンスを低減することを優先した実施態様である。
【0113】
<剥離発生の傾向>
次に、上記した金属パターンMPとセラミック基板CS1の接合界面における剥離が発生しやすい領域について、説明する。
図16〜
図18は、それぞれ
図9に対する変形例である複数の金属パターンのレイアウトを示す平面図である。
【0114】
まず、
図9に示すセラミック基板CS1の実施態様は、以下で説明する剥離が発生する可能性がある部分のそれぞれに、窪み部DPを設けた実施態様である。上記したように、本願発明者が検討した結果、上記した剥離は、金属パターンMPの周縁部において発生し、その剥離が中央部に進展することにより、剥離範囲が大きくなる。したがって、剥離が発生する可能性がある部分のそれぞれに窪み部DPを設けることで、剥離が進展する始点の発生を抑制できる。
図9に示す例では、辺MUs1、辺MVs1、辺MWs1の一部、および辺MHs2の複数箇所を除き、複数の金属パターンMPの周縁部を連続的に囲むように、複数の窪み部DPが形成されている。
【0115】
しかし、更に検討を進めると、剥離を発生させる要因となる応力は、セラミック基板CS1の上面CStの中心からの距離が遠くなる程増加する。つまり、
図16に示す変形例のセラミック基板CS3のように、セラミック基板CS3の上面CStにおける周縁部に最も近い位置に配置される複数の金属パターンMPのそれぞれに窪み部DPを形成することが好ましい。
【0116】
図16に示す例では、複数の金属パターンMPのうち、セラミック基板CS3の周縁部を構成する基板辺CSs1、基板辺CSs2、基板辺CSs3、および基板辺CSs4のうちのいずれかと隣り合って設けられた辺(以下、最外周辺と記載する)を有する金属パターンMPに複数の窪み部DPを形成している。また、複数の窪み部DPは、複数の金属パターンMPが有する四辺のうち、上記した最外周辺に設けられている。言い換えれば、複数の金属パターンMPのそれぞれには、セラミック基板CS3の周縁部に近い側の辺に複数の窪み部DPが形成されている。
【0117】
また、
図16に示す例では、金属パターンMPの角部(金属パターンMPの四辺の交点)に応力集中が発生し易いことを考慮して、上記した最外周辺と交差する辺の一部にも複数の窪み部DPを配置している。
【0118】
図16に示す変形例によれば、複数の金属パターンMPのうち、特に、セラミック基板CS3との接合界面における剥離が特に発生し易い箇所に複数の窪み部DPを設けることにより、剥離の発生を抑制することができる。
【0119】
また、
図16に示す変形例によれば、複数の窪み部DPは、複数の金属パターンMPが有する四辺のうち、上記した最外周辺に設けられている。このため、
図14を用いて説明した変形例の半導体装置PKG3と同様に、金属パターンMPの上面MPmのうち、ワイヤBWが接合されるワイヤボンディング領域と、金属パターンMPの上面MPmの周縁部との間に複数の窪み部DPが形成されていない。したがって、
図13に示す半導体装置PKG1と比較してワイヤBWの延在距離をさらに近づけることができる。
【0120】
なお、
図14では、半導体チップCTHと、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのうちのいずれかと、を接続するワイヤBWOについて示している。しかし、
図16に示す変形例によれば、金属パターンMPU、MPV、MPWのそれぞれの周縁部には窪み部DPが設けられていない。したがって、
図16に示す変形例の場合、
図10に示す複数のワイヤBWLのそれぞれの延在距離も短くすることができる。
【0121】
また、本願発明者が、剥離の発生原因についてさらに検討した所、金属パターンMP上に部材が搭載されている場合、搭載された部材の線膨張係数、および搭載後の部材の高さと、上記剥離の発生し易さに相関関係があることが判った。すなわち、
図5に示す複数の半導体チップCPよりも線膨張係数が大きく、かつ、複数の半導体チップCPのそれぞれの上面CPt(
図4参照)よりも高い位置まで延びる部材が金属パターンMPに搭載されている場合、当該部材の周辺で剥離が発生し易いことが判った。
【0122】
本実施の形態で、上記条件に該当する部材は、
図4に示すように半田SDを介して金属パターンMP上に搭載される端子LDである。
図4に示す例ではセラミック基板CS1を構成するセラミック材料の線膨張係数は3〜7程度である。また、半導体チップCPの大部分を構成する半導体基板は、例えばシリコン(Si)であり、半導体チップCP全体としての線膨張係数は3程度である。一方、複数の端子LDの線膨張係数は、18程度である。また、端子LDを接合する半田SDの線膨張係数は、20〜30程度である。
【0123】
ここで、本願発明者の検討結果によれば、半導体チップCPが搭載された箇所の近傍では、端子LDが搭載された箇所の近傍と比較して剥離は生じ難い。また、セラミックコンデンサなど、線膨張係数が半導体チップCPの線膨張係数以下である部材を、半田SD(
図4参照)を介して金属パターンMPに搭載した場合、セラミックコンデンサの搭載領域周辺での剥離は確認されなかった。例えば、
図16に示す例では、コンデンサCAP1が半田を介して二個の金属パターンMPに跨って搭載されている。この場合、コンデンサCAP1の近傍よりも端子LDの近傍において、剥離が発生し易いことが判った。また、金属パターンMP上に、単に半田SD(
図4参照)を接合させた場合には、半田SDの近傍での剥離の発生は確認されなかった。
【0124】
また、
図4に示すように、半導体チップCPと金属パターンMPとを電気的に接続する複数のワイヤBWは、上記条件に該当するが、金属パターンMPのうち、ワイヤBWが接合された部分の近傍において、剥離の発生は確認されなかった。したがって、上記した剥離が発生し易くなるための条件には、剥離の発生原因となる部材の大きさ(体積および重さ)も関係すると考えられる。定性的には、半田SDを用いて金属パターンMP上に搭載するような部材は、剥離発生の原因になると考えられる。
【0125】
以上の結果から、
図4に示す端子LDのように、半導体チップCPよりも線膨張係数が大きく、かつ、半導体チップCPの上面CPtよりも高い位置まで延びる部材が半田SDを介して搭載された領域の近傍では、剥離が発生し易いことが判った。これは、金属パターンMP上に、線膨張係数が大きい部材を搭載することで、金属パターンMPとセラミック基板CS1との接合界面における変形量の差が大きくなることが原因と考えられる。
【0126】
そこで、端子LDを搭載したことに起因する剥離を抑制する観点からは、
図17に示す変形例のセラミック基板CS4のように、複数の端子LDのそれぞれが搭載された領域の周囲を囲むように、複数の窪み部DPが設けられていることが好ましい。
【0127】
図17に示す変形例によれば、端子LDが搭載された領域の周囲に複数の窪み部DPを形成することで、温度変化に起因して生じる応力を緩和し易くなるので、端子LDが搭載された領域の近傍における剥離の発生を抑制できる。
【0128】
また、
図17に示すセラミック基板CS4は、
図16に示すセラミック基板CS3を用いて説明した構成を含むので、上記
図16を用いて説明した効果が得られる。
【0129】
また、
図17に示す変形例では、複数の端子LDのそれぞれが搭載された領域の周囲を連続的に囲むように、複数の窪み部DPが設けられている。しかし、
図17に対する更なる変形例として、
図18に示すセラミック基板CS5のように、端子LDが搭載された領域の周囲を囲む四辺のうち、セラミック基板CS5の上面CStの周縁部から最も遠い位置に存在する辺には、複数の窪み部DPが設けられていない構成でも良い。
【0130】
図18によれば、端子LDが搭載された領域の周囲を囲む四辺のうちの一辺には、窪み部DPが形成されていないので、
図17に示すセラミック基板CS4と比較して、半田SD(
図4参照)が窪み部DP内に広がり難くなっている。剥離の発生を抑制する観点からは、
図17に示すセラミック基板CS4の構造の方が好ましいが、金属パターンMPTの平面積との関係で、端子LDが搭載された領域の周囲を連続的に囲むように、複数の窪み部DPが設けることが難しい場合もある。このような場合には、
図18に示すセラミック基板CS5のような実施態様が好ましい。
【0131】
また、
図18に示すセラミック基板CS5は、
図16に示すセラミック基板CS3を用いて説明した構成を含むので、上記
図16を用いて説明した効果が得られる。また、
図18に示すセラミック基板CS5は、端子LDが搭載された領域の周囲に複数の窪み部DPが形成されているので、
図16に示すセラミック基板CS3と比較すると、端子LDが搭載されたことに起因する剥離を抑制することができる。
【0132】
また、
図17および
図18に示すように、端子LDを搭載したことによる剥離の発生は、相対的に平面積が小さい複数の金属パターンMPTの他、金属パターンMPHや金属パターンMPLでも発生する。したがって、
図17および
図18に示すように、金属パターンMPHおよび金属パターンMPLのそれぞれにおいて、端子LDを搭載した領域の周囲に複数の窪み部DPが設けられていることが好ましい。
【0133】
<窪み部の構造>
次に、上記した窪み部DPの構造について説明する。
図19は、
図9に示す複数の窪み部を金属パターンの周縁部に規則的に設けた例を模式的に示す平面図である。また、
図20は、
図19のA−A線に沿った拡大断面図である。また、
図21は、
図20に対する変形例を示す拡大断面図である。また、
図22は、
図19に対する変形例を示す平面図である。
【0134】
図19および
図20に示す金属パターンMP1は、
図9に示す複数の金属パターンMPのそれぞれの周縁部に、複数の窪み部DPが形成された状態を単純化したモデルパターンである。また、
図19に示す窪み部DP1は、
図11に示す窪み部DPと同じ構造である。
【0135】
図19に示す金属パターンMP1の上面MPmは、周縁部にX方向に沿って延びる辺MPs1、辺MPs1の反対側に位置する辺MPs2、X方向に直交するY方向に沿って延びる辺MPs3、および辺MPs3の反対側に位置する辺MPs4の四辺を備えている。また、上面MPmの周縁部を構成する四辺は、互いに交差し、金属パターンMP1は、四辺の交点である四つの角部MPcを備える。
【0136】
また、金属パターンMP1の上面MPmの周縁部には、四辺のそれぞれに沿って、複数の窪み部DP1が規則的に配列されている。
図19および
図20に示す例では、窪み部DP1は、上記したハーフエッチング処理により形成されている。このため、
図20に示すように、窪み部DP1の最も深い位置(最深部)は、金属パターンMP1の上面MPmと下面MPbとの間に設けられ、下地のセラミック基板CS1は露出していない。
【0137】
ただし、
図20に対する変形例として、
図21に示す金属パターンMP2に設けられた複数の窪み部DP2のように、窪み部DP2の最深部がセラミック基板CS1の上面CStまで到達しても良い。このような窪み部DP2を形成した金属パターンMP2に温度変化に起因する応力が印加されると、窪み部DP2の窪み部の開口形状が変化するように、周囲の金属が弾性変形することで、応力を緩和することができる。
【0138】
また、窪み部DPの平面形状の変形例として、
図22に示す金属パターンMP3に設けられた、窪み部DP3のように、楕円形状であっても良い。一つの窪み部DP3の開口面積が大きくなれば、金属パターンMP3は変形し易くなる。一方、
図19に示すように多数の窪み部DPを規則的に配列すれば、応力集中が発生し難くなる。
【0139】
また、窪み部DPの平面形状の変形例として、
図22に示す金属パターンMP3に設けられた、窪み部DP4のように、屈曲部を有するL字型の形状であっても良い。
図22に示す窪み部DP4は、金属パターンMP3の角部MPcを結ぶ対角線上に屈曲部が位置するように、配置されている。金属パターンMPとセラミック基板CS1(
図19参照)の接合界面に生じる応力は、金属パターンMPの角部MPcにおいて大きくなりやすい。したがって、金属パターンMPの角部MPcに相対的に平面積が大きいL字型の窪み部DP4を形成することで、剥離の発生を抑制し易くなる。
【0140】
なお、図示は省略するが、
図22に示す窪み部DP3や窪み部DP4は、それぞれ
図20に示す窪み部DP1のようにハーフエッチング処理により形成されても良いし、
図21に示す窪み部DP2のように、金属パターンMP3を貫通するように形成されていても良い。
【0141】
また、
図22に示す金属パターンMP3のように一つの金属パターンMP3に複数種類の窪み部DP3、DP4が形成されていても良い。
【0142】
<半導体装置の製造方法>
次に、
図1〜
図13を用いて説明した半導体装置PKG1の製造工程について、
図23に示す工程フローに沿って説明する。
図23は、
図2に示す半導体装置の組立てフローを示す説明図である。
【0143】
<基板準備>
まず、
図23に示す基板準備工程では、
図9に示すセラミック基板を準備する。本工程で準備するセラミック基板CS1は、例えばアルミナを主成分とするセラミックであって、上面CStおよび下面CSb(
図4参照)に複数の金属パターンMPが接合されている。
【0144】
これら複数の金属パターンMPは、例えば、銅(Cu)膜の表面にニッケル(Ni)膜が積層された積層膜であって、セラミック基板CS1の上面CStまたは下面CSbに共晶反応を利用して直接的に接合されている。また、銅膜には、電気メッキ法によりニッケル膜が積層されている。
【0145】
また、複数の金属パターンMPの上面MPmには複数の窪み部DPが形成されている。
【0146】
なお、複数の金属パターンMPのレイアウトや窪み部DPの形状やレイアウトについては、既に説明した通りなので、重複する説明は省略する。
【0147】
<ダイボンド>
次に、
図23に示すダイボンド工程では、
図5に示すように、セラミック基板CS1の金属パターンMP上に、複数の半導体チップCPを搭載する。
【0148】
本工程では、複数の金属パターンMPのうち、ハイサイド側の電位E1(
図6参照)が供給される金属パターンMPHには、複数(本実施の形態では3個)の半導体チップCTHおよび複数(本実施の形態では3個)の半導体チップCDが搭載される。また、複数の金属パターンMPのうち、交流電力の出力端子に接続される金属パターンMPU、MPV、MPWには、それぞれ1個の半導体チップCTLおよび1個の半導体チップCDが搭載される。また、複数の金属パターンMPのうち、ローサイド側の電位E2(
図6参照)が供給される金属パターンMPLには半導体チップCPは搭載されない。また、複数の金属パターンMPのうち、入出力用の端子LDを接続するための複数の金属パターンMPTには、半導体チップCPは搭載されない。
【0149】
また、
図8に示すように、本工程では、複数の半導体チップCPのそれぞれは、半導体チップCPの下面CPbと金属パターンMPの上面MPmを対向させた状態で、所謂フェイスアップ実装方式で搭載される。また、半導体チップCPの下面CPbには、電極PDK、PDCが形成されており、電極PDK、PDCと金属パターンMPとを電気的に接続するため、半導体チップCPは半田SDを介して搭載される。
【0150】
半田SDを介して半導体チップCPを搭載する方法は、以下のように行う。まず、半導体チップの搭載予定領域に、ペースト状の半田を塗布する。このペースト状の半田には、半田成分と、フラックス成分が含まれる。次に、複数の半導体チップCPを準備して(
図23に示す半導体チップ準備工程)半導体チップCPのそれぞれを半田上に押し付ける。複数の半導体チップCPがペースト状の半田を介して金属パターンMP上に仮接着された状態で、半田に対してリフロー処理(加熱処理)を施す。このリフロー処理により、半田が溶融し、一方は金属パターンMPに接合され、他方が半導体チップCPの電極PDK、PDCに接合される。そして半田を冷却することで、硬化させると、半導体チップCPのそれぞれが金属パターンMP上に固定される。
【0151】
この時、本実施の形態によれば、金属パターンMPの上面MPmのうち、複数の半導体チップCPのそれぞれと厚さ方向に重なる位置には、窪み部DP(
図9参照)が形成されていない。このため、窪み部DP内に半田SDが埋め込まれる際にボイドが発生することを防止できる。
【0152】
また、本工程において、半導体チップCPと金属パターンMPとを接続する半田SDが広がる範囲には、窪み部DPが形成されていない。このため、窪み部DP内に半田SDが埋め込まれ、窪み部DPの応力緩和特性が低下することを抑制できる。
【0153】
なお、半導体チップCPの他、例えばコンデンサCAP1など、半導体チップCP以外のチップ部品(電子部品、機能性素子)を搭載する場合には、本工程において、一括して搭載することができる。
【0154】
<ワイヤボンド>
次に、
図23に示すワイヤボンド工程では、
図5に示すように、半導体チップCPと金属パターンMPとをワイヤ(導電性部材)BWを介して電気的に接続する。
【0155】
本工程では、ハイサイド側の複数の半導体チップCTHのエミッタの電極PDE(
図8参照)のそれぞれと、複数の金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのそれぞれとを複数のワイヤBWを介して電気的に接続する。
【0156】
また、本工程では、ローサイド側の複数の半導体チップCTLのエミッタの電極PDE(
図8参照)のそれぞれと、複数の金属パターンMPLとを複数のワイヤBWを介して電気的に接続する。
【0157】
また、本工程では、ハイサイド側の複数の半導体チップCTHのゲートの電極PDG(
図8参照)およびローサイド側の複数の半導体チップCTLのゲートの電極PDGのそれぞれと、複数の金属パターンMPTとをワイヤBWを介して電気的に接続する。
【0158】
また本工程では、複数のワイヤBWを介して、ハイサイド側の複数の半導体チップCDのアノードの電極PDAと、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのそれぞれと、複数の金属パターンM
Pのそれぞれと、を複数のワイヤBWを介して電気的に接続する。
図13に示すように一本のワイヤBWで複数箇所を電気的に接続することもできる。
図13に示す例では、まず、ワイヤBWの一方の端部を複数の金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのうちのいずれか一つに接続する。次に、ワイヤBWの中間部分を半導体チップCDのアノードの電極PDAに接続する。次に、ワイヤBWの他方の端部を金属パターンMPTに接合する。
【0159】
また本工程では、複数のワイヤBWを介して、ローサイド側の複数の半導体チップCDのアノードの電極PDAと、複数の金属パターンMPTのそれぞれと、を複数のワイヤBWを介して電気的に接続する。
【0160】
なお、本実施の形態では、半導体チップCPと金属パターンMPとを電気的に接続する部材としてワイヤを用いる例を示しているが、変形例としては、帯状に形成された金属(例えばアルミリボン)を用いることもできる。またあるいは、パターニングされた金属板(銅クリップ)を用いて、半田を介して接続することもできる。
【0161】
<端子搭載>
次に、
図23に示す端子搭載工程では、
図5に示すように、複数の金属パターンMP上に端子LDを搭載する。端子LDは、複数の金属パターンと、図示しない外部機器とを電気的に接続するためのリード端子であって、細長く伸びる一方の端部を金属パターンMPに接続する。
図4に示す例では、複数の端子LDのそれぞれは、半田SDを介して金属パターンMP上に搭載される。
【0162】
また、
図5に示す例では、複数の金属パターンMPのうち、ハイサイド側の電位が供給される金属パターンMPH、およびローサイド側の電位が供給される金属パターンMPLには、それぞれ長手方向の両端(短辺である基板辺CSs3側および基板辺CSs4側)に端子LDが搭載される。また、複数の金属パターンMPTのそれぞれには、一本ずつ端子LDが搭載される。また、金属パターンMPU、金属パターンMPV、および金属パターンMPWのそれぞれには、端子LDは直接的には接続されない。
【0163】
<蓋材取付>
次に、
図23に示す蓋材取付工程では、
図4に示すように、セラミック基板CS1の上面CStを覆うように蓋材CVを接着固定する。セラミック基板CS1の上面CStの周縁部と蓋材CVとは、接着材BD1を介して接着固定される。
【0164】
この時、蓋材CVの上面CVtには複数の貫通孔THLが形成されており、複数の端子LDは複数の貫通孔THLにそれぞれ挿入される。
【0165】
なお、
図4に示す例では、蓋材CVは複数の貫通孔THLが形成された部分と、セラミック基板CS1に接着固定される部分とが一体成型されている。しかし、変形例として、セラミック基板CS1に接着固定される部分と、複数の貫通孔THLが形成された部分とを分離可能な独立した部材としても良い。この場合、端子LDのレイアウトが変更になった場合でも複数の貫通孔THLが形成された部分のみを交換すれば良い。
【0166】
<封止>
次に、
図23に示す封止工程では、
図4に示すようにセラミック基板CS1と蓋材CVとに囲まれた空間内に封止材MGを供給し、複数の端子LDのそれぞれの一部分、複数の半導体チップCP、および複数のワイヤBWを封止する。封止材MGは、ゲル状の材料であり、蓋材CVの一部に図示しない供給用の貫通孔を形成しておき、貫通孔からゲル状の封止材MGを充填する。
【0167】
ここで、ゲル状の封止材MGは、
図9に示す複数の窪み部DP内に埋め込まれる。しかし、ゲル状の材料は、窪み部DPの周辺領域よりも変形し易い柔らかい材料なので、ゲル状の材料が窪み部DPに埋め込まれたとしても窪み部DPの応力緩和特性は低下しない。
【0168】
以上の各工程により、
図1〜
図13を用いて説明した半導体装置PKG1が得られる。その後、外観検査や電気的試験など、必要な検査、試験を行い、出荷される。また、
図1に示す電力変換システムに組み込まれる。
【0169】
<変形例>
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。なお、上記実施の形態中でもいくつかの変形例について説明したが、以下では、上記実施の形態で説明した変形例以外の代表的な変形例について説明する。
【0170】
<変形例1>
例えば、上記実施の形態では、スイッチング素子として、ハイサイド用のトランジスタQ1を3個、およびローサイド用のトランジスタQ1を3個用いて、三相交流電力を出力する電力変換回路について説明したが、スイッチング素子の数には種々の変形例がある。
【0171】
例えば、一個のハイサイド用のトランジスタと、一個のローサイド用のトランジスタを用いて、ハーフブリッジ回路を構成すれば、単
相交流電力を出力させることができる。また、フルブリッジ回路で単
相交流
電力を出力させる場合には、4個のトランジスタQ1を用いる。
【0172】
<変形例2>
また、例えば、上記の通り種々の変形例について説明したが、上記で説明した各変形例同士を組み合わせて適用することができる。