(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2リンク軸部は、前記第1リンク軸部の中心軸と前記回動軸部の中心軸を結ぶ基準平面に対し、前記第1位置から前記第2位置になった際に前記基準平面を通過することを特徴とする請求項3に記載の換気装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、実施形態に係る換気装置10が取り付けられるカーテンウォールの構成を示す正面図である。
図2は、実施形態に係る換気装置10の構成を示す側面断面図であり、
図3は、換気装置10の平面断面図である。なお、
図2は、
図3に示す換気装置10の線分A−Aの断面図である。
【0019】
換気装置10は、
図2に示すように、建物の壁により仕切られた室外空間12と室内空間14との間を換気する。実施形態において、換気装置10は、カーテンウォールの無目部や膳板部に取り付けられる。
【0020】
図1に戻り、カーテンウォール71は、建物躯体の端部に固定された方立支持金具によって、水平方向に所定の間隔をおいて上下方向にそって方立を固定した後、この方立間に上下方向に所定間隔で無目を架け渡して開口枠を形成し、各開口枠に対してガラス等のパネルを嵌合設置したカーテンウォール構造である。カーテンウォール71は、複数の枠部材を矩形状に枠組みして構成された枠体72と、枠体72の内側に嵌め込まれたガラス板73とを備える。カーテンウォール71は、換気装置10の取り付け位置において、上下に間隔を空けて設けられた一対の換気装置用横枠72aを備えている。換気装置10は、その一対の換気装置用横枠72aに取り付けられる。
【0021】
なお、上記ではカーテンウォールの一例として、ノックダウン方式で組立られたカーテンウォール71を示し、ノックダウン方式のカーテンウォール71に換気装置10を取り付ける態様を示したが、この態様には限られない。例えば、ユニット方式のカーテンウォールに換気装置10を取り付けてよい。また、カーテンウォールに限られず、サッシの無目部に換気装置10を取り付けてもよい。
【0022】
図2に示すように、換気装置10の通風部20は、空気の流路24を形成するともに、換気装置10の外形を形成するハウジングとして機能する。通風部20は、
図2、
図3に示すように、例えば、上下に間隔を空けて配置された上部フレーム20bと下部フレーム20aと、上部フレーム20b及び下部フレーム20aの左右方向両側の側部に接続された側部フレーム20cとを備えている。通風部20は、これら上部フレーム20b、下部フレーム20a及び側部フレーム20cにより箱状に形成されている。通風部20は、一対の換気装置用横枠72aの室内側側面に対してビス等の固定具により固定して取り付けられる。
【0023】
通風部20は、
図2に示すように、室外空間12に開口して設けられた室外側開口16と、室内空間14に開口して設けられた室内側開口18と、室外側開口16から室内側開口18に至る流路24とを有している。これら室外側開口16、室内側開口18及び流路24は、上部フレーム20b、下部フレーム20a及び側部フレーム20cにより形成されている。
図2では、室外側開口16は水平方向に開口して設けられ、室内側開口18は鉛直方向上側に向けて開口して設けられているが、その開口する方向に限られず、別の方向に開口してもよい。室内側開口18は、水平方向に対して傾斜して形成されており、水平方向に沿って形成する場合と比べて、開口面積が大きくなっている。
図2に示すように室外側開口16には、異物の流入を防ぐ網戸17が設けられる。
【0024】
室外側開口16は、
図1の換気装置用横枠72aの隙間に位置し、長手状の矩形に形成され、室内側開口18も同様に長手状の矩形に形成される。
図3に示すように換気装置10も長手状に設けられる。
【0025】
図2に示すように室内側開口18の流路24側の開口縁には、樹脂製のシール材22が設けられる。シール材22は室内側開口18の開口縁の全周に形成され、長手状の一辺に位置する第1縁シール22a、長手状の他辺に位置する第2縁シール22b、両側辺に位置する側縁シール22cを有する。
【0026】
羽根部26は、室外側開口16から室内側開口18までの流路24内において、通風部20に対して回転自在に支持されている。
図2に示すように羽根部26は、その軸部が通風部20の室外側開口16から室内側開口18に向けて空気が流れる方向と交差するように、略水平に設けられている。羽根部26の軸部は、
図3に示すように、羽根部26の上方に設けられる一対の第1リンク軸部44と、羽根部26の両側に設けられる一対の羽根軸部28とを有し、2種類の軸部により支持される。羽根部26は、回転することにより通風部20内の流路24の開度を変更可能に設けられ、これにより、流路24内を通過する空気の流量を調整可能となる。
【0027】
羽根部26は、流路24内を通過する空気の風速が遅いとき、流路24を開く通常回転位置で静止し、流路24内を通過する空気の風速が速いとき、流路24を閉じる閉回転位置まで回転して静止する。
図2では、通常回転位置にある羽根部26を実線で、閉回転位置にある羽根部26を点線で示す。
【0028】
図3に示すように、羽根部26を回転自在に支持する羽根軸部28は、羽根部26の左右方向両端にある側板27から外向きに突出するように設けられ、通風部20の側部フレーム20cの羽根軸ガイド部30に支持される。羽根部26と側部フレーム20cとの隙間が側部流路24cとなっており、羽根部26が閉回転位置にあっても側部流路24cが開いており、一定の通風量を確保できる。
【0029】
図2および
図3に示すように、通風部20の側部フレーム20cの内面には、羽根部26の回転を制限する第1制限部34aおよび第2制限部34b(これらを区別しない場合「制限部34」という)が設けられる。通常回転位置にて羽根部26の第2クッション32bが第2制限部34bに当接して回転が止まり、閉回転位置にて第1クッション32aが第1制限部34aに当接して回転が止まる。第1クッション32aおよび第2クッション32bを区別しない場合「クッション32」という。ここで、
図4を参照して、羽根軸部28および羽根軸ガイド部30、クッション32および制限部34について詳細に説明する。
【0030】
図4は、羽根部26の構造および回転止め構造について説明する図である。
図4(a)は羽根部26を側方外側からみた側面図であり、
図4(b)は主に側板27および側部フレーム20cの上面図である。
【0031】
図4(a)に示すように、側板27は、ビスなどの固定具29により羽根部26の端部に固定される。
図4(b)に示すように、羽根軸部28およびクッション32は、側板27の外側に設けられ、側板27に対向する側部フレーム20cに向かって張り出すように設けられる。羽根軸部28のすべり軸受28aおよび樹脂製のクッション32は、ピンにより側板27に支持される。
【0032】
羽根軸ガイド部30および制限部34は、側部フレーム20cの内面に形成され、対向する側板27に向かって突出するように設けられる。羽根軸ガイド部30は、一対の壁部30aが平行に設けられ、一対の壁部30aの先端部30bは接近して対向間隔が狭くなるように設けられる。狭くなった先端部30bにより、羽根軸部28が軸方向に抜け止めされる。また、羽根軸部28は、一対の壁部30aに挟まれることで水平方向の移動が制限される。羽根軸部28を羽根部26に設け、その軸受となる羽根軸ガイド部30を側部フレーム20cの内面に形成することで、羽根部26や通風部20に余分な孔を設ける必要がなくなる。
【0033】
制限部34は、平板を屈曲して形成され、断面L字形状に形成され、側部フレーム20cから壁面が立設するように設けられる。クッション32が制限部34の立設した壁面に当接して羽根部26の回転が止まる。樹脂製のクッション32により制限部34に当接したときの衝撃や音が軽減される。
【0034】
羽根部26は、室外側の前端部26a、室内側の後端部26b、下面中途に形成された絞り部26c、絞り部26cより前方側の平板部26d、平板部26dから傾斜する傾斜部26e、前端部26a側の上面に形成された第1当接面26f、および後端部26b側の上面に形成された第2当接面26gを有する。羽根部26は、アルミニウム等の金属材料を素材とした押出成形等をすることにより成形され、各部位が一体に設けられているが、別々の部材を組み合わせて構成されていてもよい。以下においては、羽根部26に対して重心Gから平板部26dが延びている方向を羽根部26の前側とし、その逆方向を羽根部26の後側として説明する。
【0035】
羽根部26の平板部26dは、羽根部26が通常回転位置にあるときに、羽根軸部28に対して流路24内を流れる空気の向き(例えば、水平方向)に沿って延びて設けられている。また、平板部26dは、羽根部26が通常回転位置にあるときに、室外側開口16側から室内側開口18側にかけての流路24内の空気の流れを遮らないように延びている。平板部26dは、室外側開口16が水平方向に開口しており、その平板部26dが設けられた位置において流路24内を略水平に空気が流れることから、その空気の流れる向きに沿うように略水平に延びて設けられている。
【0036】
傾斜部26eは、通常回転位置にて平板部26dから斜め上方に傾斜するように設けられ、水平方向に流れる風を受ける。羽根部26を軸方向からみて平板部26dの水平方向の長さは、傾斜部26eより長く形成される。これにより、羽根部26が回転した際に、羽根部26の回転角に対して羽根部26の鉛直方向の面積を大きくできる。つまり、平板部26dは、羽根部26が通常回転位置にあるときに、水平方向に延びる長さが長くなるほど、圧力差による力により通常回転位置から回転し易くなり、流路24の開度を変化させ易くできる。
【0037】
第1当接面26fは、羽根部26の前端側の上面にて平らに帯状に形成され、第2当接面26gは羽根部26の後端側の上面にて平らに帯状に形成される。第1当接面26fおよび第2当接面26gは、同一平面上に形成され、側板27の上端面27aも同一平面に形成される。第1当接面26f、第2当接面26gおよび上端面27aは、室内側開口18の開口縁のシール材22に当接することで、室内側開口18を閉塞する。
【0038】
羽根部26の重心Gは、羽根軸部28の下方に位置し、平板部26dが水平の通常回転位置では、羽根軸部28の真下に位置する。羽根部26が回転すると重心Gが回転移動して羽根部26に自重によるトルクが生じる。この自重によるトルクにより、羽根部26に外力が付与されない場合、羽根部26の平板部26dが略水平方向に延びた通常回転位置に維持される。羽根部26の重心Gおよび羽根軸部28は、前端部26aおよび後端部26bの中間に位置する中央部26hに設けられる。羽根部26の回動支点を中央部26hに設けることで、シーソーのように回動しやすくなる。なお中央部26hは、羽根部26を前後方向に3分割した場合の中央部分の範囲にあればよく、前後方向の中心に限定されるものではない。
【0039】
羽根部26は、流路24内を流れる空気を平板部26dにより受けなくとも通常回転位置から回転できるように絞り部26cが設けられている。絞り部26cは、羽根部26の中間位置において、羽根部26の下方に向けて突出するように設けられ、羽根部26の下面が円弧状に突出するように設けられる。
【0040】
図2に戻って、羽根部26の絞り部26cの機能について説明する。羽根部26が通常回転位置にあるとき、通風部20の流路24が羽根部26により仕切られることによって、羽根部26を挟んで通風部20との間に、上部流路24aと下部流路24bとの異なる流路が形成される。実施形態において、下部流路24bは、羽根部26の下面と通風部20の上部フレーム20bとにより形成される。上部流路24aは、羽根部26の上面と通風部20の下部フレーム20aとにより形成される。
【0041】
絞り部26cは、羽根部26の下側の下部流路24b中に設けられている。実施形態において、絞り部26cは、羽根部26に設けられているが、通風部20の流路24の内面である下部フレーム20aに設けられていてもよい。この場合、通風部20の下部フレーム20aは、羽根部26が通常回転位置にあるときに、下部流路24bの室外側開口16側から室内側開口18側に向かう中間位置において、その下部フレーム20aの一部が羽根部26に向けて突出するように設けられることになる。
【0042】
絞り部26cは、下部流路24bを通過する空気の抵抗として機能し、下部流路24bを通過する空気の流速は、上部流路24aを通過する空気の流速よりも遅くなる。この結果、通風部20の室外側開口16から流路24内に空気が通過したときに、上部流路24aの圧力が下部流路24bの圧力より小さくなり、上部流路24aと下部流路24bとの間で圧力差が生じる。そして、羽根部26の平板部26dに対して閉回転位置に向かう力が圧力差により作用し、平板部26dが通常回転位置から回転し始める。
【0043】
このように絞り部26cは、下部流路24bと上部流路24aとで圧力差を生じさせることにより、平板部26dを通常回転位置から回転させる圧力差発生手段として設けられる。羽根部26の平板部26dに作用する圧力差により、羽根部26が通常回転位置から回転可能となるように、下部流路24bは、その途中に絞り部26cが設けられることによって、その断面形状が調整される。この断面形状は、下部流路24bの室外側開口16側の断面積に対して、その絞り部26cの位置での断面積が小さくなるように調整される。この断面積の比が大きくなるほど、平板部26dに作用する圧力差が増大し、羽根部26が通常回転位置から回転しやすくなる。
【0044】
図3に示すように、羽根部26は、複数のリンク機構42により回動軸部36から吊り下げるように保持される。回動軸部36は、室内側開口18の縁に固定された支持部40により、回動可能に支持される。回動軸部36は羽根部26の長手方向に延び、回動軸部36を電動で回動させる駆動部38に連結される。駆動部38は、スイッチのオン/オフをトリガーとして駆動し、回動軸部36を所定の方向に回動させる。なお、回動軸部36は手動で回動可能に設けられてもよい。
【0045】
羽根部26に設けられた2種類の回動軸である羽根軸部28およびリンク機構42の第1リンク軸部44は、
図3に示すように同軸に設けられる。これにより、羽根軸部28での回動と第1リンク軸部44での回動が干渉することを防ぐことができる。
【0046】
図5は、
図3に示す換気装置10の線分B−Bの断面図である。
図5(a)は羽根部26が調整位置にある状態を示し、
図5(b)は羽根部26が閉鎖位置にある状態を示す。また、なお、
図5に示す換気装置10は側板27を省いて示す。
【0047】
図5(b)に示すように、実施形態の換気装置10では、通風量調整用の羽根部26が吊り上げられて、室内側開口18を閉塞した閉塞位置にある。このように、羽根部26は、昇降可能に設けられて、
図5(a)に示す通風量を調整する調整位置と、
図5(b)に示す室内側開口18を閉塞する閉塞位置との2つの位置をとる。調整位置は、換気装置10が通風路として機能する初期位置ととらえてもよい。
【0048】
羽根部26は、リンク機構42により上下方向に昇降される。
図3に示すように、複数のリンク機構42が羽根部26に設けられる。リンク機構42は、羽根部26を吊り下げる形で回動可能に支持する。ここでリンク機構42について、
図6を参照しつつ詳細に説明する。
【0049】
図6は、換気装置10のリンク機構42について説明するための図である。
図6(a)はリンク機構42の側面図であり、
図6(b)はリンク機構42の正面図であり、
図6(c)はリンク機構42の上面図である。
【0050】
リンク機構42は、羽根部26の上面に固定される第1固定部54と、回動軸部36の外周面に固定される第2固定部46と、第1リンク軸部44により羽根部26に回動可能に連結する第1リンク部48と、第1リンク部48および回動軸部36に連結する第2リンク部50と、第1リンク部48を羽根部26に回動可能に連結する第1リンク軸部44と、第2リンク部50および第1リンク部48を回動可能に連結する第2リンク軸部52と、を有する。第2リンク部50は、第2固定部46に一体に形成される。
【0051】
図6(a)に示すように、第1リンク軸部44および第2リンク軸部52は、回動軸部36の回転軸に平行に設けられる。板状の第1リンク部48は湾曲した略円弧形に形成され、内径側に回動軸部36が入り込み可能に形成される。板状の第2リンク軸部52は長手形状に形成される。
【0052】
第1リンク部48は、第2リンク部50より長く形成され、第2リンク軸部52と第1リンク軸部44の間隔は、第2リンク軸部52と回動軸部36の間隔より長く形成される。第2リンク部50を短く形成することで、第2リンク軸部52の回転軌跡を小さくできる。
【0053】
図5に戻る。羽根部26で室内側開口18を閉じることで、別の蓋部材およびそのヒンジ部分が不要となり、換気装置10を小型化できる。また、別の蓋部材を室内側開口18に設ける必要がなくなるため、蓋部材による通風の抵抗がなくなり、通風性を高めることができる。
【0054】
リンク機構42により羽根部26を昇降させて通風部20側から室内側開口18を閉じることで、固く閉めることが可能になる。例えば、羽根部26の前端部26aに回転機構を設けて、回転機構により回転させて室内側開口18を閉じる場合、後端部26bの閉塞荷重が前端部26aより小さくなり、シール性が低下するおそれがある。一方、羽根部26を吊り上げて室内側開口18を閉じることで、室内側開口18の開口縁にかかる閉塞荷重をバランスよくでき、安定して閉じることができる。また、室内側に位置するリンク機構42により吊り上げることで、羽根部26の下面に孔を設ける必要がなくなり、閉鎖位置でのシール性能を高めることができる。
【0055】
羽根部26は、閉鎖位置にて室内側開口18の開口縁に当接するように設けられる。通風部20側から羽根部26を吊り上げて室内側開口18の開口縁に当接させることで、シール性能を高めることができる。室内側開口18の開口縁にはシール材22を設けることで、シール性能をより高めることができる。なお、シール材22は羽根部26に設けられてもよい。
【0056】
羽根部26の端部の少なくとも一辺には、開口縁に面接触する当接面が形成される。羽根部26の前端部26aには第1当接面26fが平らに形成され、後端部26bには第2当接面26gが平らに形成される。さらに、側板27の上端面27aにも平らな当接面が形成される。閉鎖位置にて、第1当接面26fは第1縁シール22aに面接触し、第2当接面26gは第2縁シール22bに面接触し、側板27の上端面27aは、側縁シール22cに面接触する。これにより、羽根部26が室内側開口18の開口縁に対して少しだけ位置ずれしても、接触を確保でき、羽根部26のシール性能を高めることができる。なお、羽根部26を室内側開口18の開口縁の全周に渡って面接触させる必要はなく、部分的に線接触させてもよい。例えば、側板27が薄板に形成され側板27の上端が尖っており、側板27の上端がシール材22の側縁シール22cに対して線接触してもよい。
【0057】
また、
図4に示すように第1当接面26f、第2当接面26gおよび上端面27aを同一平面上に形成している。また、室内側開口18の開口縁も全周に渡って同一平面上に形成される。これにより、羽根部26の当接面を室内側開口18の開口縁の全周に均等に面接触させてシール性能をいっそう高めることができる。羽根軸部28やクッション32を羽根部26の外側に設けることで、羽根部26の当接面を同一平面上に形成可能となる。
【0058】
図5に戻る。羽根軸ガイド部30は、羽根軸部28の調整位置から閉塞位置への移動をガイドする。羽根軸ガイド部30のガイドによって昇降時の羽根軸部28の水平方向の移動を制限する。これにより、リンク機構42により羽根部26を吊り上げる際に、羽根部26のガタツキを抑え、室内側開口18の開口縁と羽根部26の第1当接面26fおよび第2当接面26gが水平方向に位置ずれすることを抑えることができる。
【0059】
羽根軸ガイド部30は、調整位置での羽根軸部28の水平方向への動きを制限する。これにより、調整位置で回動する羽根部26の水平方向のガタツキを抑えることができる。また、リンク機構42で水平方向の移動を制限する必要がなくなり、リンク機構42の構成を簡素にすることができる。
【0060】
第1制限部34aおよび第2制限部34bは、調整位置での回転止めとして機能するとともに、羽根部26の吊り上げ時のガイドとしても機能する。羽根部26を吊り上げる際に第1クッション32aおよび第2クッション32bは、第1制限部34aおよび第2制限部34bに当接して、室内側開口18に向かってガイドされる。回動可能な羽根部26の回動を抑えて羽根部26を吊り上げることができる。第1制限部34aおよび第2制限部34bは、羽根部26を室内側開口18へ移動させる際に室内側開口18に対する羽根部26の角度を室内側開口18の傾斜に合わせるガイドになる。制限部34により羽根部26の前端側および後端側の動きを制限することで、羽根部26の傾斜角を定め、傾斜する室内側開口18に対するずれを抑えることができる。
【0061】
図7は、閉鎖位置におけるリンク機構42の作用を説明するための図である。
図7には、第1リンク軸部44の中心軸および回動軸部36の中心軸を結ぶ基準平面S1と、第1リンク軸部44の中心軸および第2リンク軸部52の中心軸を結ぶ平面S2と、回動軸部36の中心軸を通る鉛直方向に平行な鉛直平面S3とを断面線で示し、これらの平面は軸方向に沿って延びる。
【0062】
第1リンク部48は、閉鎖位置にて回動軸部36を跨ぐ湾曲形状として形成される。これにより、羽根部26の荷重が回動軸部36を跨いだ第1リンク部48から回動軸部36に加わるため、リンク機構42の回動を抑えることができる。
【0063】
閉鎖位置における第1リンク軸部44と第2リンク軸部52は、回動軸部36の中心軸を挟む位置にて安定する。つまり、閉鎖位置において、第1リンク軸部44は鉛直平面S3に対して前側に位置し、第2リンク軸部52は鉛直平面S3に対して後ろ側に位置する。これにより、第1リンク軸部44および第2リンク軸部52それぞれでの荷重が回動軸部36に付与されて、羽根部26の荷重によるリンク機構42の回動を抑えることができる。
【0064】
第2リンク軸部52は、基準平面S1に対し、調整位置から閉鎖位置になった際に基準平面S1を通過し、
図7に示すように、閉鎖位置にて基準平面S1より後ろ側(図中右側)に位置する。つまり、水平方向において、調整位置にて基準平面S1より前側に位置していた第2リンク軸部52が、閉鎖位置にて基準平面S1より後ろ側に位置する。これにより、羽根部26の荷重によるリンク機構42の回動を抑えることができる。
【0065】
このように、閉鎖位置ではリンク機構42自体によって回動を抑えた状態となり、羽根部26による室内側開口18の閉鎖が安定し、室外側開口16から雨が吹き込んだ場合にも室内への流入を確実に防ぐことができる。また、リンク機構42自体で羽根部26の荷重による回動を抑えることで、別の回動ロック機構を設ける必要がなくなる。例えば、駆動部38で回動軸部36の回動をロックすることも可能であるが、自体で羽根部26の荷重による回動を抑えることで、駆動部38にかかる負荷を低減できる。
【0066】
図8は、変形例の換気装置100について説明するための図である。変形例の換気装置100は、
図5(a)および(b)に示す換気装置10と比べて、リンク機構142の形状が異なり、吊り上げ式の羽根部26を設ける点では同じである。
【0067】
リンク機構42は、第1リンク部148と、回動軸部36に連結する第2リンク部150と、羽根部26および第1リンク部148を回動可能に連結する第1リンク軸部44と、第1リンク部148および第2リンク部150を回動可能に連結する第2リンク軸部152と、を有する。
【0068】
第1リンク部148および第2リンク部150は、長手状の平板により形成される。例えば、第1リンク部148および第2リンク部150の形状を共通化することで製造コストを抑えることができる。
【0069】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎない。また、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能である。
【0070】
上述の実施形態においては、本発明に係る換気装置10を建物に適用した例を示したが、トンネル等の土木構造物に適用されていてもよい。
【0071】
また、実施形態においては、絞り部26cのような圧力差発生手段が下部流路24b中に設けられた例を示したが、圧力差発生手段は上部流路24a中に設けられていてもよい。この場合、閉回転位置から通常回転位置に向けて羽根部26を回転させるうえでは、公知の錘等の付勢手段により通常回転位置に向かう付勢力を羽根部26に作用させることとしてよい。
【0072】
また、実施形態においては、羽根部26が通常回転位置にあるときに、羽根部26の平板部26dが、略水平に延びた流路24中に、略水平に延びて設けられている場合を説明した。変形例においては、略鉛直に空気が流れるような略鉛直に延びた流路24中に、羽根部26の平板部26dが略鉛直に延びて設けられていてもよい。この変形例においては、羽根部26の平板部26dが設けられた位置において、流路24内を略鉛直に空気が流れることから、平板部26dもその空気の流れに沿って略鉛直に延びて設けられる。
【0073】
また、実施形態においては、リンク機構42により羽根部26を昇降させる態様を示したが、この態様に限られない。例えば、ワイヤーを回動軸部36と第1リンク軸部44に連結し、回動軸部36でワイヤーを巻き上げることで羽根部26を吊り上げてよい。リンク機構42もワイヤーも羽根部26を吊り上げる吊り上げ機構として機能する。
【0074】
また、実施形態においては、羽根部26を回動させて通風量を調整させる態様を示したが、この態様に限られない。例えば、羽根部を上下移動または水平移動することで、流路の開度を変えて通風量を調整してもよい。この場合、流路の断面積が上下方向または水平方向に変化するように形成される。例えば、上向きに流路の断面積が狭くなるように形成された通風部にて、羽根部が吊り上げ機構により上方に移動すると、流路の開度が小さくなって通風量が減り、羽根部が下方に移動すると、流路の開度が大きくなって通風量が増す。このように、流路24の通風量を調整する手段は、回動する羽根部26に限られず、上下移動や水平移動など移動する羽根部によって実現可能であり、これらを含めて移動により通風量を調整可能な羽根部という。