(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制限処理部は、前記アプリケーションの利用が制限解除されていることを条件に、前記アプリケーションの起動をユーザが指示するためのアイコンを表示させ、前記アプリケーションの利用が制限されている場合、前記アイコンを表示させない請求項1から請求項3のいずれかに記載の制御システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のペアレンタルコントロールの手法は、各携帯通信端末が外部ネットワークに接続され管理サーバと通信可能であることが前提になっており、いずれかの端末が通信圏外の場合に制御ができなかった。
また、例えば子端末のアプリケーションの実行を親端末からの距離に応じて制限する等、端末間の距離に基づく制御を行う場合に、GPS等の測位手段は、数メートルの単位での距離測定に用いるには誤差が大きいため、精度良く制御することが難しかった。
【0005】
本発明は、外部ネットワークを用いることなく、端末間の距離に応じたアプリケーションの利用制限又は制限解除を精度良く行える携帯通信端末、制御システム、制御方法及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る携帯通信端末は、他の端末との直接無線通信を制御する通信制御部と、自端末にインストールされているアプリケーションに関するアプリケーション情報を、前記通信制御部によって他の端末へ送信する送信処理部と、前記通信制御部によって前記他の端末から、当該他の端末との距離に応じて前記アプリケーションの利用を制限又は制限解除するための設定情報を受信する受信処理部と、前記通信制御部における受信感度に基づいて、自端末と前記他の端末との距離を測定する距離測定部と、前記設定情報に従って、前記測定された距離に応じて前記アプリケーションの利用を制限又は制限解除する制限処理部と、を備える。
【0007】
前記制限処理部は、前記設定情報に含まれる指定距離に基づいて、前記測定された距離が前記指定距離以内か否かを条件にして、前記アプリケーションの利用の制限又は制限解除を切り替えてもよい。
【0008】
前記制限処理部は、前記距離測定部によって距離が測定できない場合、前記測定された距離が前記指定距離以上と判断してもよい。
【0009】
前記制限処理部は、前記アプリケーションの利用が制限解除されていることを条件に、前記アプリケーションの起動をユーザが指示するためのアイコンを表示させ、前記アプリケーションの利用が制限されている場合、前記アイコンを表示させなくてもよい。
【0010】
前記制限処理部は、前記アプリケーションの利用を制限する場合、当該アプリケーションの起動指示を無効にしてもよい。
【0011】
前記制限処理部は、前記アプリケーションの利用を制限する際に、実行中の当該アプリケーションを終了させてもよい。
【0012】
前記制限処理部は、前記アプリケーションの利用を制限する際に、実行中の当該アプリケーションの動作を継続させ、当該アプリケーションにおけるユーザインタフェースを遮断してもよい。
【0013】
前記送信処理部は、自端末にインストールされているアプリケーションのうち、利用制限されている特定のアプリケーションに関する前記アプリケーション情報と共に、当該特定のアプリケーションの利用を制限解除するための要求データを、前記通信制御部によって前記他の端末へ送信し、前記受信処理部は、前記通信制御部によって前記他の端末から、前記特定のアプリケーションの利用を制限解除するための前記設定情報を受信し、前記制限処理部は、前記設定情報に従って、前記特定のアプリケーションの実行制限を解除してもよい。
【0014】
前記制限処理部は、前記設定情報に含まれる指定期間情報に基づいて、前記特定のアプリケーションの利用の制限を、一時的に解除してもよい。
【0015】
前記制限処理部は、前記アプリケーションがインストールされた際に、当該アプリケーションの利用を制限する初期設定を行ってもよい。
【0016】
本発明に係る制御システムは、端末間で直接無線通信が可能な複数の通信端末を有する制御システムであって、第1の通信端末は、前記直接無線通信によって第2の通信端末から、当該第2の通信端末にインストールされているアプリケーションに関するアプリケーション情報を受信する第1の受信処理部と、前記アプリケーション情報を表示する表示制御部と、前記アプリケーション情報が表示されたアプリケーションのうち選択されたアプリケーションに関して、前記第1の通信端末と前記第2の通信端末との距離に応じて当該アプリケーションの利用を制限又は制限解除するための設定情報を生成する制限設定部と、前記設定情報を、前記直接無線通信によって前記第2の通信端末へ送信する第1の送信処理部と、を備え、前記第2の通信端末は、前記アプリケーション情報を、前記直接無線通信によって前記第1の通信端末へ送信する第2の送信処理部と、前記直接無線通信によって前記第1の通信端末から、前記設定情報を受信する第2の受信処理部と、前記直接無線通信における受信感度に基づいて、前記第1の通信端末と前記第2の通信端末との距離を測定する距離測定部と、前記設定情報に従って、前記測定された距離に応じて前記選択されたアプリケーションの利用を制限又は制限解除する制限処理部と、を備える。
【0017】
前記制限設定部は、予め記憶された所定の条件に基づいて、前記設定情報を生成してもよい。
【0018】
本発明に係る制御方法は、他の端末と直接無線通信が可能な携帯通信端末において、自端末にインストールされているアプリケーションに関するアプリケーション情報を、前記直接無線通信によって他の端末へ送信する送信処理ステップと、前記直接無線通信によって前記他の端末から、当該他の端末との距離に応じて前記アプリケーションの利用を制限又は制限解除するための設定情報を受信する受信処理ステップと、前記直接無線通信における受信感度に基づいて、自端末と前記他の端末との距離を測定する距離測定ステップと、前記設定情報に従って、前記測定された距離に応じて前記アプリケーションの利用を制限又は制限解除する制限処理ステップと、を実行する。
【0019】
本発明に係る制御プログラムは、他の端末と直接無線通信が可能な携帯通信端末において、自端末にインストールされているアプリケーションに関するアプリケーション情報を、前記直接無線通信によって他の端末へ送信する送信処理ステップと、前記直接無線通信によって前記他の端末から、当該他の端末との距離に応じて前記アプリケーションの利用を制限又は制限解除するための設定情報を受信する受信処理ステップと、前記直接無線通信における受信感度に基づいて、自端末と前記他の端末との距離を測定する距離測定ステップと、前記設定情報に従って、前記測定された距離に応じて前記アプリケーションの利用を制限又は制限解除する制限処理ステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ネットワークを用いることなく、端末間の距離に応じたアプリケーションの実行制限又は実行制限解除を精度良く行える。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る制御システム1の概要を示す図である。
【0023】
制御システム1は、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末又はゲーム機等の携帯通信端末としての親端末10及び子端末20を備える。
【0024】
親端末10及び子端末20は、直接無線通信によって相互にデータの送受信を行う。具体的には、例えばBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)のプロトコルに従って、スレーブ機器としての子端末20からのブロードキャスト送信(Advertising)を、マスタ機器としての親端末10が間欠的に検索(Scanning)する。そして、通信可能な電波状態(受信感度)において、親端末10と子端末20との双方で通信設定を行い、通信接続が確立する。
【0025】
親端末10は、直接無線通信によって子端末20にインストールされているアプリケーションに関するアプリケーション情報を受信してユーザに提示する。アプリケーション情報には、アプリケーションの名称及びアイコンデータ等が含まれ、これらが親端末10において一覧表示される。
【0026】
親端末10は、一覧表示されたアプリケーションのそれぞれに対して、ユーザから個々に又は一括で、利用制限又は制限解除の指定入力を受け付ける。また、親端末10に予め入力された条件に従って、利用制限又は制限解除の内容が自動的に設定されてもよい。
親端末10のディスプレイには、例えば、アプリケーション毎に利用の禁止又は許可を切り替えるスイッチや、アプリケーションの利用を許可又は禁止する条件として、子端末20との距離の閾値、又は時刻情報(許可期間)等を入力するインタフェースが設けられる。
【0027】
親端末10は、アプリケーションを利用制限又は制限解除するための設定情報を、直接無線通信により子端末20へ送信する。これにより、子端末20は、インストールされているアプリケーションの利用に関する少なくとも一部の機能の制限又は制限解除の制御を行う。このとき、子端末20は、利用不可とされたアプリケーションのアイコンを非表示にしてもよい。
【0028】
図2は、本実施形態に係る親端末10及び子端末20の機能構成を示す図である。
親端末10は、記憶部11と、通信制御部12と、受信処理部13(第1の受信処理部)と、表示制御部14と、制限設定部15と、送信処理部16(第1の送信処理部)とを備える。
子端末20は、表示制御部21と、記憶部22と、通信制御部23と、送信処理部24(第2の送信処理部)と、受信処理部25(第2の受信処理部)と、距離測定部26と、制限処理部27とを備える。
【0029】
記憶部11は、ハードウェア群を親端末10として機能させるための各種プログラム、及び各種データ等の記憶領域である。具体的には、記憶部11には、本実施形態の機能を実現させるため各部に実行させるプログラムが記憶される。また、記憶部11には、親端末10のユーザから入力された子端末20のアプリケーションに対する利用制限に関する設定情報が記憶される。
【0030】
通信制御部12は、他の端末との直接無線通信を制御する。具体的には、通信制御部12は、BLEのプロトコルに準拠し、マスタ機器として動作する。すなわち、通信制御部12は、周辺の機器から送信される識別子及び提供サービスを間欠的に検索し、接続すべき子端末20を判定して接続要求を送信する。通信制御部12は、予め登録されている子端末20のIDと照合することにより、接続すべき子端末20を判定してもよい。
【0031】
接続要求に子端末20が応答すると、通信制御部12は、通信設定を行い、子端末20との通信接続を確立する。通信制御部12は、電波状態が通信可能なレベルである間、子端末20との通信接続状態を維持する。
【0032】
受信処理部13は、通信制御部12によって子端末20から、この子端末20にインストールされているアプリケーションに関するアプリケーション情報を受信する。
【0033】
表示制御部14は、利用者からデータの入力を受け付ける画面、又は親端末10による処理結果の画面等を、ディスプレイに表示させる制御を行う。本実施形態においては、表示制御部14は、子端末20から受信したアプリケーションの名称及びアイコン等のアプリケーション情報を、例えば一覧形式で表示させることにより、親端末10のユーザに提示する。
【0034】
制限設定部15は、表示されたアプリケーションのうちユーザに選択されたアプリケーションに関して、親端末10と子端末20との間の距離に応じてこのアプリケーションの利用制限又は制限解除を行うための設定情報を生成し記憶部11に記憶する。
【0035】
送信処理部16は、生成された設定情報を、通信制御部12によって子端末20へ送信する。
設定情報は、アプリケーションの利用可否の情報の他、利用可否を切り替える契機としての時刻情報、さらには、時刻情報の基準となるタイムゾーン及びサマータイムの有無等を含んでもよい。
【0036】
表示制御部21は、利用者からデータの入力を受け付ける画面、又は子端末20による処理結果の画面等を、ディスプレイに表示させる制御を行う。表示制御部21は、例えばホーム画面等において、子端末20にインストールされているアプリケーションのアイコンを表示するが、親端末10から受信した設定情報により利用制限されたアプリケーションのアイコンは消去されてもよい。
表示制御部21は、例えば、親端末10と子端末20との距離によりアプリケーションの利用が制限又は制限解除されている場合、この制限の切り替えに伴って、制限処理部27の制御に従ってアイコンの表示又は非表示を切り替える。
【0037】
記憶部22は、ハードウェア群を子端末20として機能させるための各種プログラム、及び各種データ等の記憶領域である。具体的には、記憶部22には、本実施形態の機能を実現させるため各部に実行させるプログラムが記憶される。また、記憶部22には、親端末10から受信した設定情報が記憶され、制限処理部27により参照される。
【0038】
通信制御部23は、他の端末との直接無線通信を制御する。具体的には、通信制御部23は、BLEのプロトコルに準拠し、スレーブ機器として動作する。すなわち、通信制御部23は、間欠的に自端末の識別子及び提供サービスをブロードキャスト送信し、他の端末からの接続要求を待機する。通信制御部23は、親端末10からの接続要求を受信すると、応答を返信して通信設定を行い、親端末10との通信接続を確立する。
このとき、通信制御部23は、予め登録されているIDと合致する親端末10からの接続要求に対してのみ応答する。例えば、子供用端末の場合、子端末20の短縮ダイヤルの1番又は上位に保護者(親)の電話番号が登録されていることが想定される。そこで、通信制御部23は、短縮ダイヤルの1番又は上位に登録されている親端末10からの接続要求のみに応答してもよい。
【0039】
送信処理部24は、子端末20にインストールされているアプリケーションに関するアプリケーション情報を、通信制御部23によって通信接続が確立している親端末10へ送信する。
【0040】
受信処理部25は、通信制御部23によって親端末10から、アプリケーションの利用制限又は制限解除を行う設定情報を受信する。
【0041】
距離測定部26は、通信制御部23における受信感度(例えば、RSSI(Received Signal Strength Indicator))の強弱に基づいて、子端末20と親端末10との間の距離を測定する。
【0042】
制限処理部27は、親端末10から受信した設定情報に従って、測定された距離に基づくアプリケーションの利用制限又は制限解除を行う。
具体的には、制限処理部27は、設定情報に含まれる指定距離に基づいて、距離測定部26により測定された距離が指定距離以内であれば、選択されたアプリケーションの利用を許可又は制限する。逆に、測定された距離が指定距離よりも長い、又は距離測定部26によって距離が測定できない場合、制限処理部27は、許可されたアプリケーションの利用を制限、又は制限されたアプリケーションの利用を許可する。
【0043】
このとき、制限処理部27は、設定情報に従って、利用制限されたアプリケーションへのユーザからのアクセスを遮断することによって、アプリケーションの利用制限又は制限解除を行う。
例えば、制限処理部27は、表示制御部21を制御し、ホーム画面、アプリケーション一覧、利用履歴一覧等に本来表示される、アプリケーションの起動をユーザが指示するためのアイコンの表示又は非表示を切り替える。すなわち、制限処理部27は、アプリケーションの利用が制限解除されていることを条件に、このアプリケーションのアイコンを表示させ、アプリケーションの利用が制限されている場合、アイコンを表示させないことでユーザによるアプリケーションの起動を制限する。
【0044】
また、制限処理部27は、アプリケーションの利用を制限する場合、このアプリケーションの起動指示を無効にして起動を制限してもよい。
さらに、制限処理部27は、アプリケーションの起動指示(例えば、コマンド入力等)を受け付け可能な各種ドライバを無効にすることにより、より確実にユーザによる起動を抑制してもよい。
【0045】
また、制限処理部27は、アプリケーションの利用を制限する際に、実行中の当該アプリケーションを終了させて、バックグラウンドで動作可能なアプリケーションの全機能を停止してもよい。
あるいは、制限処理部27は、アプリケーションの利用を制限する際に、実行中の当該アプリケーションの動作を継続させ、当該アプリケーションにおけるユーザインタフェース(入出力)を遮断することにより利用を制限してもよい。例えば、他の端末とメッセージを交換するアプリケーション等の場合、制限処理部27は、バックグラウンドでメッセージの受信を可能とし、アプリケーションの利用制限が解除されるとメッセージを表示できるように制御してもよい。
【0046】
なお、制限処理部27は、子端末20に対して新規にアプリケーションがインストールされた際に、このアプリケーションの利用を制限する初期設定を行うことにより、利用制限の要否に関する設定情報を受信する前に、このアプリケーションが起動されることを抑制してもよい。
【0047】
図3は、本実施形態に係る制御システム1におけるアプリケーションの利用制限又は制限解除の設定処理を示すシーケンス図である。
この処理では、親端末10が契機となって能動的に子端末20の制御を行う。
【0048】
ステップS1において、子端末20は、BLEプロトコルのスレーブ機器として、間欠的に自端末の識別子及び提供サービスを、ブロードキャスト送信する。また、親端末10は、BLEプロトコルのマスタ機器として、間欠的に子端末20から送信される識別子及び提供サービスを検索する。
【0049】
ステップS2において、親端末10は、受信した識別子及び提供サービスを、予め登録されている特定の子端末20の情報と照合し、接続対象であるか否かを判定する。この判定がYESの場合に、処理はステップS3へ移り、通信接続の手続が進行する。
【0050】
ステップS3において、親端末10は、制御対象である特定の子端末20の識別子及び提供サービスを発見すると、この子端末20へ接続要求を送信する。
【0051】
ステップS4において、子端末20は、接続要求に含まれる親端末10の識別子を、予め登録されている特定の親端末10の情報と照合し、接続対象であるか否かを判定する。この判定がYESの場合に、処理はステップS5へ移り、通信接続の手続が進行する。
【0052】
ステップS5において、子端末20は、親端末10からの接続要求に応答する。親端末10及び子端末20は、双方で通信設定を行い、これによりBLEの通信接続が確立する。
【0053】
ステップS6において、親端末10は、子端末20に対して、アプリケーション情報の送信を要求する。
【0054】
ステップS7において、子端末20は、自端末にインストールされているアプリケーションに関するアプリケーション情報を、親端末10へ送信する。
【0055】
ステップS8において、親端末10は、子端末20から受信したアプリケーション情報を表示する。このとき、親端末10は、既に設定済みの利用制限又は制限解除の情報を合わせて表示することにより、現在の状態から変更する情報のみを受け付ける。
【0056】
ステップS9において、親端末10は、ステップS8で受け付けた内容により、利用制限又は実行制限解除の設定情報を生成して記憶する。
【0057】
ステップS10において、親端末10は、ステップS9で生成された設定情報を子端末20へ送信する。
【0058】
ステップS11において、子端末20は、親端末10から受信した設定情報を記憶する。子端末20は、この設定情報に従って、アプリケーションの利用制限又は制限解除の処理を行う。
【0059】
図4は、本実施形態に係る子端末20におけるアプリケーションの利用制限又は制限解除の処理手順の一例を示すフローチャートである。
この例は、指定距離以内でのみアプリケーションの利用制限を解除する場合を示しており、一連のステップが繰り返し実行される。
【0060】
ステップS21において、制限処理部27は、親端末10とBLEの通信が確立しており相互の通信が可能か否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップS22に移り、判定がNOの場合、処理はステップS25に移る。
【0061】
ステップS22において、距離測定部26は、BLEの電波の受信感度に基づいて、親端末10との距離を測定する。
【0062】
ステップS23において、制限処理部27は、ステップS22で測定された距離が設定情報により指定されている距離以内であるか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップS24に移り、判定がNOの場合、処理はステップS25に移る。
【0063】
ステップS24において、制限処理部27は、親端末10が近くにあるため、利用制限を解除し、制限されていたアプリケーションの利用を許可する。
【0064】
ステップS25において、制限処理部27は、親端末10との距離が離れている、又は距離を測定できない状況であるため、アプリケーションの利用を制限する。
【0065】
本実施形態によれば、制御システム1は、親端末10と子端末20との間で、直接無線通信を用いてアプリケーション情報及び設定情報を送受信し、子端末20におけるアプリケーションの利用制限又は制限解除を行う。さらに、子端末20において、無線通信における受信感度に基づいて測定される親端末10との距離に応じた利用制限又は制限解除の制御を実現できる。したがって、制御システム1は、外部ネットワークを用いることなく直接無線通信によって、端末間の距離に応じたアプリケーションの利用制限又は制限解除を精度良く行える。
【0066】
このとき、子端末20は、親端末10から指定された距離を閾値として、アプリケーションの利用制限又は制限解除を容易に行うことができる。
また、直接無線通信の受信感度が低下し通信ができないような状況においては、実際の距離が測定できないため、アプリケーションの利用制御は初期状態、例えば利用制限された状態とする。これにより、制御システム1は、端末間の距離が不明な場合に、意図しない利用制限解除又は利用制限が行われることを抑制できる。
【0067】
子端末20は、親端末10からの指令により、利用が制限されているアプリケーションのアイコンが表示されないように制御するので、利用制限されたアプリケーションのユーザによる起動を抑制できると共に、ユーザは、容易に制限状態であることを把握できる。
【0068】
子端末20は、親端末10からの指令により、利用が制限されているアプリケーションの起動指示を無効にするので、何らかの手段によってユーザから起動指示がされた場合にも、より確実にアプリケーションの利用を制限できる。
【0069】
子端末20は、アプリケーションの利用を制限する際に、既に実行中の対象アプリケーションを終了させることにより、より確実に対象アプリケーションの利用を制限できる。
あるいは、子端末20は、アプリケーションの利用を制限する際に、対象アプリケーションの動作を継続させ、ユーザインタフェースを遮断することにより、バックグラウンドの処理の実行を許可できる。これにより、アプリケーションの利用制限が解除された際に、ユーザは、バックグラウンドでの処理結果に即座にアクセスできるため、利便性が向上する。
【0070】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
第1実施形態では、親端末10が契機となって能動的に子端末20の制御を行ったが、本実施形態では、子端末20が契機となって、親端末10は受動的に子端末20の制御を行う。具体的には、親端末10は、子端末20からの申請に対する応答として、制限解除設定を行う。
なお、本実施形態に係る制御システム1が備える機能ブロックは、第1実施形態のもの(
図2)と同様であるが、それぞれ以下の機能が付加される。
【0071】
送信処理部24は、子端末20にインストールされているアプリケーションのうち、利用制限されている特定のアプリケーションに関するアプリケーション情報と共に、この特定のアプリケーションの利用を制限解除するための申請データを、通信制御部23によって親端末10へ送信する。
【0072】
受信処理部25は、通信制御部23によって親端末10から許可データ、すなわち特定のアプリケーションの利用を制限解除するための設定情報を受信する。
【0073】
制限処理部27は、設定情報に従って、特定のアプリケーションの利用制限を解除する。
このとき、制限処理部27は、設定情報に含まれる指定期間情報に基づいて、特定のアプリケーションの利用の制限を、一時的に解除してもよい。あるいは、制限処理部27は、次に利用制限されるまでの間、特定のアプリケーションの利用を継続的に制限解除してもよい。
【0074】
また、子端末20は、第1実施形態における距離による制限解除の条件を満たした場合(例えば、親端末10と子端末20とが指定距離以内に近付いた場合)に、ユーザから制限解除の申請入力を受け付け、実際に制限解除するための許可を親端末10から得る構成でもよい。
【0075】
図5は、本実施形態に係る制御システム1におけるアプリケーションの利用制限解除の設定処理を示すシーケンス図である。
【0076】
ステップS1〜S5において、親端末10及び子端末20は、第1実施形態における処理(
図3)と同様に、直接無線通信の接続を確立する。
【0077】
ステップS7aにおいて、子端末20は、自端末にインストールされているアプリケーションのうち、利用制限されているアプリケーションに関するアプリケーション情報を、制限解除申請として親端末10へ送信する。
【0078】
ステップS8aにおいて、親端末10は、子端末20から受信したアプリケーション情報を表示する。
【0079】
ステップS9aにおいて、親端末10は、ステップS8aの表示情報に基づいて、申請を許可(制限解除)するか否かの入力を受け付け、許可される場合に制限解除の設定情報を生成して記憶する。
【0080】
ステップS10aにおいて、親端末10は、ステップS9aで生成された制限解除許可の設定情報を子端末20へ送信する。
【0081】
ステップS11aにおいて、子端末20は、親端末10から受信した設定情報を記憶する。子端末20は、この設定情報に従って、アプリケーションの利用制限又は制限解除の処理を行う。
【0082】
本実施形態によれば、子端末20は、利用制限されているアプリケーションに関して、制限解除の申請を親端末10に対して行うことにより、親端末10から許可通知を受け取ることで制限解除できる。これにより、制御システム1は、子端末20からの明示的な申請に基づいて、親端末10が近くの通信可能な場所、又は指定距離以内にある(親が近くにいる)ことを条件に、親端末10が制限を解除することができる。
このとき、親端末10は、指定期間情報に基づいて、子端末20における特定のアプリケーションの利用制限を一時的に解除できる。
【0083】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0084】
親端末10及び子端末20において保持される接続対象端末のIDは、鍵情報により暗号化されたデータであってもよい。これにより安全性が向上する。
また、これらの接続対象端末のIDは、親端末10及び子端末20の双方のユーザによる明示的な承認操作に応じて登録されてもよい。
【0085】
前述の実施形態では、親端末10及び子端末20が1対1の関係である場合を例に説明したが、これには限られない。例えば、親端末10は、複数の子端末20を制御対象としてもよい。
また、子端末20は、複数の親端末10から制御され、複数の親端末10の全て、所定数又はいずれかの許可設定によりアプリケーションの利用制限を解除してもよい。例えば、子端末20は、最も近い距離にある親端末10と選択的に接続してもよい。
【0086】
また、前述の実施形態では、親端末10をマスタ機器、子端末20をスレーブ機器として説明したが、逆に子端末20がマスタ機器、親端末10がスレーブ機器として動作してもよい。
【0087】
制限処理部27は、子端末20に対して新規にアプリケーションがインストールされた際に、このアプリケーションの利用を制限する初期設定を行うことにより、利用制限の要否に関する設定情報を受信する前に、このアプリケーションが起動されることを抑制してもよい。
【0088】
親端末10が子端末20からアプリケーション情報を取得した際、制限設定部15は、予め記憶された所定の条件に基づいて、設定情報を生成してもよい。例えば、制限設定部15は、新規のアプリケーションに対しては利用制限の設定をし、制限解除申請に対しては、時間を限定した一時的な制限解除設定を行ってもよい。
このように設定情報が自動的に生成され子端末20へ提供されることにより、親端末10のユーザの手間が削減され、利便性が向上する。
【0089】
また、子端末20は、親端末10との距離及び時刻情報に基づく複合条件によってアプリケーションのりよう制限又は制限解除を制御してもよい。すなわち、制限処理部27は、例えば、親端末10との距離が指定以内となり、かつ、指定時間内である場合に利用制限を解除してもよい。
【0090】
このとき、制限処理部27は、設定情報に含まれる指定タイムゾーンの現在時刻情報を強制的に取得する。これにより、子端末20は、異なるタイムゾーンが参照されて親端末10で設定された際の意図と異なる時刻に、アプリケーションの利用制限又は制限解除が行われることを抑制する。
また、制限処理部27は、タイムゾーン又はサマータイム等の時刻情報の設定変更を禁止してもよい。これにより、子端末20は、親端末10で設定された際の意図と異なる時刻情報が制御に利用されることを抑制する。
さらに、子端末20は、親端末10から、基準時刻情報を設定情報として受信し、この基準時刻情報を起点として現在時刻を計時してもよい。これにより、子端末20は、ユーザが子端末20の保持している時刻を改竄できたとしても、正しい時刻情報に基づいて制御を行える。
【0091】
制御システム1による制御方法は、ソフトウェアにより実現される。ソフトウェアによって実現される場合には、このソフトウェアを構成するプログラムが、情報処理装置(親端末10及び子端末20)にインストールされる。また、これらのプログラムは、CD−ROMのようなリムーバブルメディアに記録されてユーザに配布されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータにダウンロードされることにより配布されてもよい。さらに、これらのプログラムは、ダウンロードされることなくネットワークを介したWebサービスとしてコンピュータに提供されてもよい。