(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガラスシートの平均厚さを所望の平均厚さの範囲内で維持するよう、前記第1下流方程式における前記既定リボン速度を変化させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
ステップ(VII)が、前記既定リボン速度が前記ガラスリボンの前記第1エッジ部分の前記実際の速度に一定期間に亘って近付くよう、前記既定直径を前記一定期間に亘って徐々に変化させるステップを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
前記ガラスシートの平均厚さを所望の平均厚さの範囲内で維持するよう、前記第1下流方程式における前記既定リボン速度を変化させるように構成された、厚さ制御機器をさらに備えていることを特徴とする請求項8記載のガラス製造装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
Anderson他の特許文献1における下方/上方牽引ロール装置のマスター/スレーブ構成は、種々のプロセス用途で有益になり得る。しかしながら、ガラスリボンの増大およびシート形成による摂動が、上方ロール対に伝播することがある。例えば
図1はマスター/スレーブ構成の一例のグラフを示し、ここで鉛直軸は力であり、水平軸は時間である。一方のプロット101は下方ロールでガラスリボンに加えられた力を表し、もう一方のプロット103は上方ロールでガラスリボンに加えられた力を表している。図示のように各プロット101、103は鋸歯状の力パターンを含み、第1の力パターン105はガラスリボンの増大を表し、また第2の力パターン107はガラスリボンからのガラスシートの分離を表す。
【0006】
さらに、周知の牽引ロール装置は典型的には牽引ロール部材の対を含み、このとき各牽引ロール部材は、成形機器の底部からガラスリボンを延伸するためにガラスリボンの第1エッジ部分および第2エッジ部分に夫々係合する、耐火性ロールカバーを備えている。この耐火性ロールカバーが時間と共に摩耗し始め、それにより耐火性ロールカバーの実際の外径が変化することがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
詳細な説明の中で説明するいくつかの態様例の基本的な理解を提供するために、以下に本開示の簡単な概要を示す。
【0008】
本開示の一態様例において、ガラスリボンを製造する方法は、第1上流延伸ロール対を含む第1牽引ロール装置と、延伸経路に沿って第1上流延伸ロール対より下流に位置する第1下流延伸ロール対を含む、第2牽引ロール装置とを提供する、ステップ(I)を含む。この方法はさらに、第1エッジ部分と第2エッジ部分との間に延在する幅を有する、ガラスリボンを成形するステップ(II)と、第1上流延伸ロール対の少なくとも一方が回転してガラスリボンの第1エッジ部分を延伸経路に沿って延伸するように、第1牽引ロール装置を動作させるステップ(III)とを含む。この方法は、第1下流延伸ロール対の少なくとも一方の既定直径と第2牽引ロール装置より下流でのガラスリボンの第1エッジ部分の既定リボン速度とを含む第1下流方程式に基づいて、第1下流延伸ロール対の少なくとも一方の第1下流角速度を計算するステップ(IV)をさらに含む。この方法は、ガラスリボンの第1エッジ部分を延伸経路に沿って既定リボン速度でさらに延伸するよう、第1下流延伸ロール対の少なくとも一方が計算された第1下流角速度で回転するように、第2牽引ロール装置を動作させるステップ(V)をさらに含む。この方法は、第2牽引ロール装置より下流でのガラスリボンの第1エッジ部分の実際の速度を監視するステップ(VI)をさらに含む。またこの方法は、第1下流角速度を実質的に変化させることなく、第1下流方程式における既定リボン速度が第2牽引ロール装置より下流でのガラスリボンの第1エッジ部分の監視された実際の速度に実質的に一致するように変わるよう、監視された実際の速度に基づいて第1下流方程式における既定直径を変更するステップ(VII)を含む。
【0009】
本態様の一実施の形態において、この方法は、ガラスシートの平均厚さを所望の平均厚さの範囲内で維持するよう、第1下流方程式における既定リボン速度を変化させるステップをさらに含む。
【0010】
本態様の別の実施形態において、ステップ(VII)は、既定リボン速度がガラスリボンの第1エッジ部分の実際の速度に一定期間に亘って近付くよう、既定直径をこの一定期間に亘って徐々に変化させるステップを含む。
【0011】
本態様のさらに別の実施形態において、この方法は、第1上流延伸ロール対の少なくとも一方の第1上流角速度を監視するステップ、および、監視された第1上流角速度と、ステップ(VI)で監視された第1エッジ部分の実際の速度とを含む第1上流方程式に基づいて、第1上流延伸ロール対の少なくとも一方に関連する既定直径を変更するステップ、をさらに含む。
【0012】
本態様のさらなる実施形態において、ステップ(III)は、第1上流延伸ロール対の少なくとも一方が実質的に一定のトルクで回転するように第1牽引ロール装置を動作させるステップを含む。
【0013】
また本態様のさらなる実施形態において、ステップ(V)は、第1下流延伸ロール対の少なくとも一方が実質的に一定の角速度で回転するように第2牽引ロール装置を動作させるステップを含む。
【0014】
別の態様例において、ガラスリボンを製造する方法は、第1上流延伸ロール対と第2上流延伸ロール対とを含む、第1牽引ロール装置を提供するステップ(I)を含む。この方法はさらに、延伸経路に沿って第1上流延伸ロール対より下流に位置する第1下流延伸ロール対と、延伸経路に沿って第2上流延伸ロール対より下流に位置する第2下流延伸ロール対とを含む、第2牽引ロール装置を提供するステップ(II)を含む。またこの方法は、第1エッジ部分と第2エッジ部分との間に延在する幅を有する、ガラスリボンを成形するステップ(III)を含む。この方法はさらに、第1上流延伸ロール対の少なくとも一方が回転してガラスリボンの第1エッジ部分を延伸経路に沿って延伸し、かつ第2上流延伸ロール対の少なくとも一方が回転してガラスリボンの第2エッジ部分を延伸経路に沿って延伸するように、第1牽引ロール装置を動作させるステップ(IV)を含む。この方法は、第1下流延伸ロール対の少なくとも一方の既定直径と第2牽引ロール装置より下流でのガラスリボンの第1エッジ部分の既定リボン速度とを含む第1下流方程式に基づいて、第1下流延伸ロール対の少なくとも一方の第1下流角速度を計算するステップ(V)をさらに含む。またこの方法は、第2下流延伸ロール対の少なくとも一方の既定直径と第2牽引ロール装置より下流でのガラスリボンの第2エッジ部分の既定リボン速度とを含む第2下流方程式に基づいて、第2下流延伸ロール対の少なくとも一方の第2下流角速度を計算するステップ(VI)を含む。この方法はさらに、ガラスリボンの第1エッジ部分を延伸経路に沿って第1エッジ部分の既定リボン速度でさらに延伸するよう、第1下流延伸ロール対の少なくとも一方が計算された第1下流角速度で回転するように、かつ、ガラスリボンの第2エッジ部分を延伸経路に沿って第2エッジ部分の既定リボン速度でさらに延伸するよう、第2下流延伸ロール対の少なくとも一方が計算された第2下流角速度で回転するように、第2牽引ロール装置を動作させるステップ(VII)を含む。またこの方法は、第2牽引ロール装置より下流でのガラスリボンの第1エッジ部分の実際の速度と、第2牽引ロール装置より下流でのガラスリボンの第2エッジ部分の実際の速度とを監視するステップ(VIII)を含む。この方法はさらに、第1下流角速度を実質的に変化させることなく、第1下流方程式における第1エッジ部分の既定リボン速度がステップ(VIII)で監視された第1エッジ部分の実際の速度に実質的に一致するように変わるよう、第1エッジ部分の監視された実際の速度に基づいて第1下流方程式における既定直径を変更するステップ(IX)を含む。またこの方法は、第2下流角速度を実質的に変化させることなく、第2下流方程式における第2エッジ部分の既定リボン速度がステップ(VIII)で監視された第2エッジ部分の実際の速度に実質的に一致するように変わるよう、第2エッジ部分の監視された実際の速度に基づいて第2下流方程式における既定直径を変更するステップ(X)を含む。
【0015】
本態様の一実施の形態において、この方法は、ガラスシートの平均厚さを所望の平均厚さの範囲内で維持するよう、第1下流方程式における第1エッジ部分の既定リボン速度を変化させるステップ、および/または、第2下流方程式における第2エッジ部分の既定リボン速度を変化させるステップ、をさらに含む。
【0016】
本態様の別の実施形態において、ステップ(IX)および/またはステップ(X)は、対応するエッジ部分の既定リボン速度が、対応するエッジ部分の監視された実際の速度に一定期間に亘って近付くよう、既定直径をこの一定期間に亘って徐々に変化させるステップを含む。
【0017】
本態様のさらに別の実施形態において、この方法は、第1上流延伸ロール対の少なくとも一方の第1上流角速度を監視し、かつ第2上流延伸ロール対の少なくとも一方の第2上流角速度を監視するステップ、監視された第1上流角速度と、ステップ(VIII)で監視された第1エッジ部分の実際の速度とを含む第1上流方程式に基づいて、第1上流延伸ロール対の少なくとも一方に関連する既定直径を変更するステップ、および、監視された第2上流角速度と、ステップ(VIII)で監視された第2エッジ部分の実際の速度とを含む第2上流方程式に基づいて、第2上流延伸ロール対の少なくとも一方に関連する既定直径を変更するステップ、をさらに含む。
【0018】
本態様のさらに別の実施形態において、ステップ(IV)は、第1上流延伸ロール対の少なくとも一方と第2上流延伸ロール対の少なくとも一方とが夫々実質的に一定のトルクで回転するように、第1牽引ロール装置を動作させるステップを含む。
【0019】
本態様のさらなる実施形態において、ステップ(VII)は、第1下流延伸ロール対の少なくとも一方と第2下流延伸ロール対の少なくとも一方とが夫々実質的に一定の角速度で回転するように、第2牽引ロール装置を動作させるステップを含む。
【0020】
さらに別の態様において、ガラス製造装置は、第1エッジ部分と第2エッジ部分との間に延在する幅を有するガラスリボンを生成するように構成された、成形機器を含む。このガラス製造装置は、ガラスリボンの幅を横切って延在する延伸経路に沿ってガラスリボンの第1エッジ部分を成形機器から延伸するように構成された第1上流延伸ロール対を含む、第1牽引ロール装置をさらに備えている。このガラス製造装置はさらに、少なくとも第1下流ロール駆動機器と第1下流延伸ロール対とを含む第2牽引ロール装置を備えている。第1下流延伸ロール対は、延伸経路に沿って第1上流延伸ロール対より下流に位置している。第1下流ロール駆動機器は、第1下流延伸ロール対の少なくとも一方を回転させてガラスリボンの第1エッジ部分を延伸経路に沿ってさらに延伸するように構成されている。このガラス製造装置はさらに、第1下流延伸ロール対の少なくとも一方の既定直径と第2牽引ロール装置より下流でのガラスリボンの第1エッジ部分の既定リボン速度とを含む第1下流方程式に基づいて、第1下流延伸ロール対の少なくとも一方の第1下流角速度を計算するように構成された、制御機器を含む。この制御機器は、ガラスリボンの第1エッジ部分を延伸経路に沿って既定リボン速度でさらに延伸するよう、第1下流延伸ロール対の少なくとも一方が計算された第1下流角速度で回転するように、第1下流ロール駆動機器を動作させるようにさらに構成されている。このガラス製造装置は、第2牽引ロール装置より下流でのガラスリボンの第1エッジ部分の監視された実際の速度を制御機器に提供するように構成された、フィードバック機器をさらに含む。このとき制御機器は、第1下流角速度を実質的に変化させることなく、第1下流方程式における既定リボン速度が監視された実際の速度に実質的に一致するように変わるよう、監視された実際の速度に基づいて第1下流方程式における既定直径を変更するようにさらに構成されている。
【0021】
本態様の一例においてガラス製造装置は、ガラスシートの平均厚さを所望の平均厚さの範囲内で維持するよう、第1下流方程式における既定リボン速度を変化させるように構成された、厚さ制御機器をさらに備えている。
【0022】
本態様の別の例において制御機器は、既定リボン速度がガラスリボンの第1エッジ部分の実際の速度に一定期間に亘って近付くよう、既定直径をこの一定期間に亘って徐々に変化させるように構成されている。
【0023】
本態様のさらに別の例において制御機器は、第1上流延伸ロール対の少なくとも一方の監視された第1上流角速度を受信し、さらに監視された第1上流角速度と監視された実際の速度とを含む第1上流方程式に基づいて、第1上流延伸ロール対の少なくとも一方に関連する既定直径を変更するように構成されている。
【0024】
本態様のさらなる例において制御機器は、第1上流延伸ロール対の少なくとも一方が実質的に一定のトルクで回転するように第1牽引ロール装置を動作させるように構成されている。
【0025】
本態様の別の例において制御機器は、第1下流延伸ロール対の少なくとも一方が実質的に一定の角速度で回転するように第2牽引ロール装置を動作させるように構成されている。
【0026】
本態様のさらなる例において、第1牽引ロール装置は、延伸経路に沿ってガラスリボンの第2エッジ部分を成形機器から延伸するように構成された第2上流延伸ロール対を含み、第2牽引ロール装置は、第2下流ロール駆動機器と第2下流延伸ロール対とを含み、このとき第2下流延伸ロール対は、延伸経路に沿って第2上流延伸ロール対より下流に位置し、第2下流ロール駆動機器は、第2下流延伸ロール対の少なくとも一方を回転させてガラスリボンの第2エッジ部分を延伸経路に沿ってさらに延伸するように構成され、制御機器は、第2下流延伸ロール対の少なくとも一方の既定直径と第2牽引ロール装置より下流でのガラスリボンの第2エッジ部分の既定リボン速度とを含む第2下流方程式に基づいて、第2下流延伸ロール対の少なくとも一方の第2下流角速度を計算するようにさらに構成され、このとき制御機器は、ガラスリボンの第2エッジ部分を延伸経路に沿って既定リボン速度でさらに延伸するよう、第2下流延伸ロール対の少なくとも一方が計算された第2下流角速度で回転するように、第2下流ロール駆動機器を動作させるようにさらに構成され、さらに制御機器は、第2下流角速度を実質的に変化させることなく、第2下流方程式における第2エッジ部分の既定リボン速度がガラスリボンの第2エッジ部分の監視された実際の速度に実質的に一致するように変わるよう、ガラスリボンの第2エッジ部分の監視された実際の速度に基づいて第2下流方程式における第2下流延伸ロール対の少なくとも一方の既定直径を変更するようにさらに構成されている。
【0027】
本態様の別の例においてガラス製造装置は、ガラスシートの平均厚さを所望の平均厚さの範囲内で維持するよう、対応する第1下流方程式および第2下流方程式におけるリボンの第1エッジ部分および第2エッジ部分の既定リボン速度を変化させるように構成された、厚さ制御機器をさらに備えている。
【0028】
本態様のさらに別の例において制御機器は、既定リボン速度が夫々ガラスリボンの第1エッジ部分および第2エッジ部分の実際の速度に一定期間に亘って近付くよう、第1下流延伸ロール対および第2下流延伸ロール対の少なくとも一方の既定直径を、この一定期間に亘って徐々に変化させるように構成されている。
【0029】
本態様のさらに別の例において制御機器は、第1上流延伸ロール対の少なくとも一方の監視された第1上流角速度と、第2上流延伸ロール対の少なくとも一方の監視された第2上流角速度とを受信し、さらに監視された第1上流角速度および第2上流角速度とガラスリボンの第1エッジ部分および第2エッジ部分の監視された実際の速度とを含む夫々第1上流方程式および第2上流方程式に基づいて、第1上流延伸ロール対および第2上流延伸ロール対の少なくとも一方の夫々に関連する既定直径を変更するように構成されている。
【0030】
本態様のさらに別の例において制御機器は、第1上流延伸ロール対および第2上流延伸ロール対の少なくとも一方が夫々実質的に一定のトルクで回転するように、第1牽引ロール装置を動作させるように構成されている。
【0031】
本態様の別の例において制御機器は、第1下流延伸ロール対および第2下流延伸ロール対の少なくとも一方が夫々実質的に一定の角速度で回転するように、第2牽引ロール装置を動作させるように構成されている。
【0032】
これらおよび他の態様は、以下の詳細な説明を添付の図面を参照して読むと、よりよく理解される。
【発明を実施するための形態】
【0034】
ここで、実施形態例を示した添付の図面を参照し、例をより詳細に以下に説明する。可能な限り、図面を通じて、同じまたは同様の部分の参照に同じ参照番号を使用する。ただし、態様は多くの異なる形で具現化し得、本書に明記される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。
【0035】
ここで
図2を参照すると、本開示の態様に従って使用することができる例示的なガラス製造装置201の概略図が示されている。例示的なガラス製造装置201はダウンドローフュージョン装置として図示されているが、さらなる例では他の成形装置を使用してもよい。一例において、ガラス製造装置201はガラスリボン205を生成する成形機器203を含み得、ガラスリボン205は、ガラスリボン205の第1エッジ部分205aと第2エッジ部分205bとの間に延在する幅「W」を含む。
【0036】
図2にさらに示されているように、ガラス製造装置201は、溶解槽207、清澄槽209、混合槽211、送出槽213、成形機器203、牽引ロール機器215、217、218、および分離機器219を含み得る。
【0037】
溶解槽207では、ガラスバッチ材料が矢印221で示されているように導入されて溶解され、溶融ガラス223が形成される。清澄槽209は、溶解槽207から溶融ガラス223(この時点では図示されていない)を受け入れる高温処理エリアを有し、ここで溶融ガラス223から気泡が除去される。清澄槽209は、清澄器−撹拌チャンバ接続管225によって混合槽211に接続される。混合槽211は、撹拌チャンバ−ボウル接続管227によって送出槽213に接続される。送出槽213は、溶融ガラス223を、下降管229を通じて注入口231に、さらに成形機器203内へと送出する。
【0038】
種々の成形機器を本開示の態様に従って使用することができる。例えば
図2および3に示されているように、成形機器203はトラフ235へと流れ入る溶融ガラス223を受け入れる開口233を含む。
図3に最もよく示されているが、トラフ235からの溶融ガラス223はその後溢れ出て、2つの側面237aおよび237bを流れ落ちた後、成形機器203の底部239で融合する。底部239では2つの側面237a、237bが合流し、この位置で2つの側面237a、237bの夫々を流れてくる2つの溢れ出た溶融ガラス223の壁がガラスリボン205として融合し、このガラスリボン205が底部239から下向きに延伸される。
【0039】
ガラスリボン205の一部分は底部239から、ガラスリボン205が最終的な厚さへと薄くなり始める粘性ゾーン241に引き込まれる。ガラスリボン205のこの部分は、次いで粘性ゾーン241から硬化ゾーン243に引き込まれる。ガラスリボン205のこの部分は硬化ゾーン243において、粘性状態から所望の輪郭を有する弾性状態に硬化される。ガラスリボン205のこの部分は、その後硬化ゾーン243から弾性ゾーン245に引き込まれる。弾性ゾーン245内に入ると、ガラスリボン205の輪郭を恒久的に変化させることはなく、制限範囲内でガラスリボン205は変形され得る。
【0040】
図2に戻ると、ガラスリボン205のこの部分が弾性ゾーン245に入った後、一定期間に亘ってガラスリボン205から複数のガラスシート247を連続して分離するために、分離機器219を設けてもよい。分離機器219は図示の移動アンビル装置を含み得るが、さらなる例ではさらに他の分離機器を提供してもよい。
【0041】
ガラス製造装置201は、
図2に概略的に示されている牽引ロール機器215、217、218をさらに含む。以下でより詳細に論じるが、牽引ロール機器215、217、218を提供することで、底部239からのガラスリボン205の延伸を助けることができ、また弾性ゾーン245から硬化ゾーン243へとガラスリボン205の上方に向かう力の伝達を絶縁することができる。従って、本開示の牽引ロール機器はガラスリボンを所望の厚さに延伸することができると同時に、ガラスシート内の残留応力を低減することもできる。図示のように、牽引ロール機器215、217、218は完全に弾性ゾーン245の範囲内に位置付けてもよい。実際に、図面に示されているように、全ての牽引ロール装置は弾性ゾーン245の範囲内に位置付けられる。さらなる例では、少なくとも1つの牽引ロール装置の一部分を硬化ゾーン243内に位置付けてもよい。例えば、第1牽引ロール装置を硬化ゾーン243内に位置付けてもよく、一方残りの(例えば、第2、第3などの)牽引ロール装置は弾性ゾーン245内に位置付けられる。さらに他の例において、牽引ロール機器215、217、218の全体を硬化ゾーン243の範囲内に位置付けてもよい。例えば、全ての牽引ロール装置(すなわち、第1、第2、第3などの)を硬化ゾーン243の範囲内に位置付けてもよい。
【0042】
図2に概略的にさらに示されているように、ガラス製造装置201は下流牽引ロール装置より下流でのガラスリボン205の第1エッジ部分205aおよび/または第2エッジ部分205bの監視された実際の速度を制御機器251(例えば、プログラマブルロジックコントローラ)に提供するように構成された、フィードバック機器をさらに含み得る。一例においてフィードバック機器は、ある一定期間に亘ってガラスシート247の一部分の長さを感知するように構成された、少なくとも1つの感知機器253a、253bを含み得る。別の例においてフィードバック機器は、図示の第1感知機器253aおよび第2感知機器253bなどの複数の感知機器を含んでもよい。第1感知機器253aは、ある一定期間に亘ってガラスシート247の第1エッジ部分205aの第1長さL1を測定するように構成され得る。同様に第2感知機器253bは、ある一定期間に亘ってガラスシート247の第2エッジ部分205bの第2長さL2を測定するように構成され得る。長さL1および/またはL2に関連する感知された信号は、その後第1感知機器253aおよび/または第2感知機器253bによって制御機器251に送ることができる。このとき制御機器251を、ある長さのガラスシート247を生成している間の対応する測定された長さおよび期間に基づいて、第1エッジ部分205aおよび/または第2エッジ部分205bの実際の速度を計算するように構成してもよい。
【0043】
第1感知機器253aおよび/または第2感知機器253bを含むフィードバック機器は、1以上の感知手順の間の人間の干渉を限定することが可能な、または完全に排除することが可能な、自動感知機器を含み得る。さらなる例において、フィードバック機器は手動のフィードバック機器255を含んでもよい。例えばオペレータが、1つのガラスシートの第1エッジ部分205aおよび/または第2エッジ部分205bを定期的に測定してもよいし、あるいは多くのシートのエッジ部分を連続して測定することさえ可能である。オペレータはその後、各ガラスシートの長さと、これに対応する夫々のガラスシートを生成するための時間とを、ユーザインターフェースなどの手動フィードバック機器255に入力してもよい。その後手動フィードバック機器255が手動で測定された情報を制御機器251に提供し、第1エッジ部分205aおよび/または第2エッジ部分205bの実際の速度を計算することができる。
【0044】
いくつかの例において感知機器253a、253bは、ある一定期間に亘って、夫々の次に続くガラスシート247の長さを測定するように構成してもよいし、あるいはより少数のガラスシートを定期的に測定するように構成してもよい。同様にオペレータは、全てのガラスシートを生成されている間ずっと測定してもよいし、あるいはより少数のガラスシートを全ガラスシートの代表的なサンプルとして測定してもよい。オペレータはその後、情報を定期的に手動フィードバック機器255に入力してもよい。別の例ではシート高さ計測機器を提供し、シートの高さをカメラの組によって測定してもよい。カメラからの情報を次いでPLCのタイマーとして制御機器に送ってもよく、またCCDカメラは精密であり、デジタル出力が自動補正を可能にする。
【0045】
情報を提供して実際のリボン速度を計算するために、他のフィードバック機器を使用してもよい。例えばフィードバック機器は、感知機器253a、253bではなく、コイル状に巻かれたガラスリボン205の保管ロール254における重量(
図2の「F」参照)の変化を測定するように構成された、秤などの力センサ257を含んでもよい。このような構成は、例えば後に続いて処理するためにガラスリボン205を連続したリボンとして保管ロール上にコイル状に巻くよう、分離機器219が停止されている場合に望ましいであろう。制御機器251は、コイル状に巻かれた保管ロール254の重量の変化の割合と、ガラスリボンに関連する他のパラメータ(例えば、リボンの厚さ、幅、密度など)とに基づいて、ガラスリボン205の実際の速度を計算するように構成することができる。以下でより詳細に説明するが、制御機器251はフィードバック機器からの情報を使用して牽引ロール機器215、217、218の動作を助けることができる。
【0046】
図3は、本開示の一例による第1例の牽引ロール機器215を示しているが、さらなる例では他の牽引ロール機器の構造を提供してもよい。
図3に示されているように、牽引ロール機器215は第1牽引ロール装置301を備えてもよく、第1牽引ロール装置301は、ガラスリボン205の幅「W」を横切って延在する延伸経路305に沿ってガラスリボン205の第1エッジ部分205aを成形機器203から延伸するように構成された、第1上流延伸ロール対303を含む。
【0047】
図示のように、第1上流延伸ロール対303は第1牽引ロール部材307aおよび第2牽引ロール部材307bを含み得る。第1牽引ロール部材307aおよび第2牽引ロール部材307bは、それらの間でガラスリボン205の第1エッジ部分205aに係合するように構成された、各耐火性ロールカバー309a、309bを夫々備え得る。第1上流延伸ロール対303の少なくとも一方が回転してガラスリボン205の第1エッジ部分205aを延伸経路305に沿って延伸するよう、第1牽引ロール部材307aおよび第2牽引ロール部材307bの少なくとも一方が、第1上流延伸ロール対303の少なくとも一方を回転させるように構成された第1上流ロール駆動機器を備えてもよい。図示のように第1上流ロール駆動機器は、各モータ311a、311bの少なくとも一方または両方を含み得る。例えば図示では、第1牽引ロール部材307aおよび第2牽引ロール部材307bの両方が夫々モータ311a、311bを備えている。さらなる例では、第1牽引ロール部材307aおよび第2牽引ロール部材307bの一方のみがモータを備え、このとき他方の牽引ロール部材は、第1牽引ロール部材307aおよび第2牽引ロール部材307bの一方のみが駆動されるよう軸受を備えてもよい。
【0048】
さらに図示されているが、監視機器を第1牽引ロール部材307aおよび/または第2牽引ロール部材307bと関連付けて、各牽引ロール部材の角速度を監視してもよい。例えば
図3に示されているように、第1モータ311aおよび第2モータ311bの夫々が、対応する第1監視機器312aおよび第2監視機器312bを備えてもよい。監視機器は、提供される場合には、第1牽引ロール部材307aおよび/または第2牽引ロール部材307bの一方または両方の監視された角速度のフィードバックを制御機器251に提供することができる。
【0049】
別の例では、第1上流延伸ロール対303に加えて、またはその代わりに、第1牽引ロール装置301は延伸経路305に沿ってガラスリボン205の第2エッジ部分205bを成形機器203から延伸するように構成された、第2上流延伸ロール対313を含んでもよい。図示のように、第2上流延伸ロール対313は第1牽引ロール部材315aおよび第2牽引ロール部材315bを含み得る。第1牽引ロール部材315aおよび第2牽引ロール部材315bは、それらの間でガラスリボン205の第2エッジ部分205bに係合するように構成された、各耐火性ロールカバー317a、317bを夫々備え得る。第2上流延伸ロール対313の少なくとも一方が回転してガラスリボン205の第2エッジ部分205bを延伸経路305に沿って延伸するよう、第1牽引ロール部材315aおよび第2牽引ロール部材315bの少なくとも一方が、第2上流延伸ロール対313の少なくとも一方を回転させるように構成された第2上流ロール駆動機器を備えてもよい。図示のように第2上流ロール駆動機器は、各モータ319a、319bの少なくとも一方または両方を含み得る。例えば図示では、第1牽引ロール部材315aおよび第2牽引ロール部材315bの両方が夫々モータ319a、319bを備えている。さらなる例では、第1牽引ロール部材315aおよび第2牽引ロール部材315bの一方のみがモータを備え、このとき他方の牽引ロール部材は、第1牽引ロール部材315aおよび第2牽引ロール部材315bの一方のみが駆動されるよう軸受を備えてもよい。
【0050】
さらに図示されているが、監視機器を第1牽引ロール部材315aおよび/または第2牽引ロール部材315bと関連付けて、各牽引ロール部材の角速度を監視してもよい。例えば
図3に示されているように、第1モータ319aおよび第2モータ319bの夫々が、対応する第1監視機器320aおよび第2監視機器320bを備えてもよい。この随意的な監視機器は、第1牽引ロール部材315aおよび/または第2牽引ロール部材315bの一方または両方の監視された角速度のフィードバックを制御機器251に提供することができる。
【0051】
いくつかの例において制御機器251は、第1上流延伸ロール対303のうち少なくとも一方の監視された第1上流角速度と、第2上流延伸ロール対313のうち少なくとも一方の監視された第2上流角速度とから信号を受け入れるように構成することができる。次いで制御機器251は、監視された第1上流角速度および第2上流角速度とフィードバック機器(例えば、フィードバック機器253a、253b、255、257)によって監視されたガラスリボンの第1エッジ部分および第2エッジ部分の実際の速度とを含む夫々第1上流方程式および第2上流方程式に基づいて、第1上流延伸ロール対303および第2上流延伸ロール対313の少なくとも一方の夫々に関連する既定直径を随意的に変更してもよい。例えば
図3に示されているように、「D」は各耐火性ロールカバーの摩耗特性の違いに基づいて互いに異なる可能性がある、各耐火性ロールカバー309a、309b、317a、317bに関連した直径とすることができる。制御機器251が使用する第1上流方程式および第2上流方程式は以下の方程式(1)を含み得る。
【0052】
D=2(V/ω) (1)
ここで、Dは夫々の牽引ロール部材の耐火性ロールカバーの直径、Vは夫々のエッジ部分の実際の速度、そしてωは夫々の牽引ロール部材の角速度である。
【0053】
従って制御機器は、フィードバック機器(例えば、253a、255、257)で得られた第1エッジ部分205aの実際の速度と、監視機器312a、312bで監視された角速度とに基づいて、耐火性ロールカバー309a、309bの実際の直径を追跡することができる。同様に制御機器は、フィードバック機器(例えば、253b、255、257)で得られた第2エッジ部分205bの実際の速度と、監視機器320a、320bで監視された角速度とに基づいて、耐火性ロールカバー317a、317bの実際の直径を追跡することができる。実際の直径の追跡は、第1牽引ロール装置301を一定のトルクではなく一定の速度下で動作するように変える場合に有用になり得る。例えばガラスリボンがどこか下流の位置で(例えば、ガラスリボン205の幅「W」を通る亀裂によって)失敗となった場合に、ガラス製造装置201は第1牽引ロール装置301を一定トルクでの動作から一定速度での動作に自動的に切り替えることができる。従って、力の乱れがリボンを通じてガラスリボン205の硬化ゾーンおよび粘性ゾーン内へと上方に移動しないようにするなど、力の乱れを抑制することができ、これにより、再び高品質のガラスリボンの生成を開始するべく平衡状態に到達させるための著しい処理時間を回避することができる。さらに、正確な直径が追跡されるため、耐火性ロールカバーの直径がロールが摩耗する間に変化した可能性があっても、第1牽引ロール装置301を正確な速度下で動作させることができる。一旦ガラスリボンが十分に延伸されると、第2、第3などの牽引ロール装置をリボンに適切に係合させることができる。その後、第1牽引ロール装置301を切り替えて、実質的に一定のトルク下での動作に戻してもよい。
【0054】
牽引ロール機器215は、延伸経路305に沿って第1上流延伸ロール対303の下流に位置する第1下流延伸ロール対323を備えた、第2牽引ロール装置321をさらに含み、第1下流延伸ロール対323は、延伸経路305に沿ってガラスリボン205の第1エッジ部分205aをさらに延伸するように構成されている。図示のように、第1下流延伸ロール対323は第1牽引ロール部材325aおよび第2牽引ロール部材325bを含み得る。第1牽引ロール部材325aおよび第2牽引ロール部材325bは、それらの間でガラスリボン205の第1エッジ部分205aに係合するように構成された、各耐火性ロールカバー327a、327bを夫々備え得る。
【0055】
第1下流延伸ロール対323の少なくとも一方が回転してガラスリボン205の第1エッジ部分205aを延伸経路305に沿ってさらに延伸するよう、第1牽引ロール部材325aおよび第2牽引ロール部材325bの少なくとも一方が、第1下流延伸ロール対323の少なくとも一方を回転させるように構成された第1下流ロール駆動機器を備えてもよい。図示のように第1下流ロール駆動機器は、各モータ329a、329bの少なくとも一方または両方を含み得る。例えば図示では、第1牽引ロール部材325aおよび第2牽引ロール部材325bの両方が夫々モータ329a、329bを備えている。さらなる例では、第1牽引ロール部材325aおよび第2牽引ロール部材325bの一方のみがモータを備え、このとき他方の牽引ロール部材は、第1牽引ロール部材325aおよび第2牽引ロール部材325bの一方のみが駆動されるよう軸受を備えてもよい。
【0056】
別の例では、第1下流延伸ロール対323に加えて、またはその代わりに、第2牽引ロール装置321は延伸経路305に沿って第2上流延伸ロール対313の下流に位置する第2下流延伸ロール対331を含み得、第2下流延伸ロール対331は、延伸経路305に沿ってガラスリボン205の第2エッジ部分205bをさらに延伸するように構成されている。図示のように、第2下流延伸ロール対331は第1牽引ロール部材333aおよび第2牽引ロール部材333bを含み得る。第1牽引ロール部材333aおよび第2牽引ロール部材333bは、それらの間でガラスリボン205の第2エッジ部分205bに係合するように構成された、各耐火性ロールカバー335a、335bを夫々備え得る。
【0057】
第2下流延伸ロール対331の少なくとも一方が回転してガラスリボン205の第2エッジ部分205bを延伸経路305に沿ってさらに延伸するよう、第1牽引ロール部材333aおよび第2牽引ロール部材333bの少なくとも一方が、第2下流延伸ロール対331の少なくとも一方を回転させるように構成された第2下流ロール駆動機器を備えてもよい。図示のように第2下流ロール駆動機器は、各モータ337a、337bの少なくとも一方または両方を含み得る。例えば図示では、第1牽引ロール部材333aおよび第2牽引ロール部材333bの両方が夫々モータ337a、337bを備えている。さらなる例では、第1牽引ロール部材333aおよび第2牽引ロール部材333bの一方のみがモータを備え、このとき他方の牽引ロール部材は、第1牽引ロール部材333aおよび第2牽引ロール部材333bの一方のみが駆動されるよう軸受を備えてもよい。
【0058】
さらなる例では制御機器251を、第1下流延伸ロール対323の少なくとも一方の既定直径と第2牽引ロール装置321からのガラスリボン205の第1エッジ部分205aの既定リボン速度とを含む第1下流方程式に基づいて、第1下流延伸ロール対323の少なくとも一方の第1下流角速度を計算するように構成してもよい。
【0059】
同様に、さらなる例では制御機器251を、第2下流延伸ロール対331の少なくとも一方の既定直径と第2牽引ロール装置321からのガラスリボン205の第2エッジ部分205bの既定リボン速度とを含む第2下流方程式に基づいて、第2下流延伸ロール対331の少なくとも一方の第2下流角速度を計算するように構成してもよい。
【0060】
例えば
図3に示されているように、「D」は各耐火性ロールカバーの摩耗特性の違いに基づいて互いに異なる可能性がある、各耐火性ロールカバー327a、327b、335a、335bに関連した既定直径と考えることもできる。制御機器251が使用する第1下流方程式および第2下流方程式は以下の方程式(2)を含み得る。
【0061】
ω=2(V/D) (2)
ここで、Dは夫々の牽引ロール部材の耐火性ロールカバーの既定直径、Vは夫々のエッジ部分の既定リボン速度、そしてωは夫々の牽引ロール部材の角速度である。
【0062】
従って制御機器は、耐火性ロールカバー327a、327bの既定直径と第1エッジ部分205aの既定速度とに基づいて、第1下流延伸ロール対323の少なくとも一方の第1下流角速度を計算することができる。同様に制御機器は、耐火性ロールカバー335a、335bの既定直径と第2エッジ部分205bの既定速度とに基づいて、第2下流延伸ロール対331の少なくとも一方の第2下流角速度を計算することができる。この事例において既定直径は、おおよその実際の測定された、あるいは想定された、耐火性ロールカバーの直径でもよい。
【0063】
制御機器によって第1下流角速度が計算されると、モータ329a、329bの一方または両方などの第1下流ロール駆動機器を計算された第1下流角速度で回転するように動作させてガラスリボン205の第1エッジ部分205aをその既定リボン速度で延伸経路305に沿ってさらに延伸するように、制御機器251はさらに構成される。同様に、制御機器によって第2下流角速度が計算されると、モータ337a、337bの一方または両方などの第2下流ロール駆動機器を計算された第2下流角速度で回転するように動作させてガラスリボン205の第2エッジ部分205bをその既定リボン速度で延伸経路305に沿ってさらに延伸するように、制御機器251はさらに構成される。
【0064】
制御機器251は、第1下流角速度を実質的に変化させることなく、第1下流方程式(上記方程式(2)参照)における既定リボン速度が監視された実際の速度に実質的に一致するように変わるよう、監視された実際の速度に基づいて第1下流方程式の既定直径を変更するようにさらに構成することができる。例えば制御機器251は、第1下流延伸ロール対323の第1牽引ロール部材325aおよび第2牽引ロール部材325b夫々に関連する第1下流角速度を実質的に変化させることなく、第1下流方程式(上記方程式(2)参照)における第1エッジ部分205aの既定リボン速度が第1エッジ部分の監視された実際の速度に実質的に一致するように変わるよう、第1リボン205の第1エッジ部分205aの監視された実際の速度に基づいて第1下流方程式の耐火性ロールカバー327a、327bの少なくとも一方の既定直径を変更するように構成することができる。同様に制御機器251は、第2下流延伸ロール対331の第1牽引ロール部材333aおよび第2牽引ロール部材333b夫々に関連する第2下流角速度を実質的に変化させることなく、第2下流方程式(上記方程式(2)参照)における第2エッジ部分205bの既定リボン速度が第2エッジ部分の監視された実際の速度に実質的に一致するように変わるよう、第1リボン205の第2エッジ部分205bの監視された実際の速度に基づいて第2下流方程式の耐火性ロールカバー335a、335bの少なくとも一方の既定直径を変更するように構成することができる。
【0065】
こういったやり方で直径を変化させると、第2牽引ロール装置321より下流のガラスリボン205に意図されていないスピードの変化を生じさせないよう、耐火性ロールカバー327a、327b、335a、335bの直径の変化に適応する助けになり得る。従って、ガラスリボンと分離機器219との間のスピードの不一致が、例えば防止されるなど最小限に抑えられ、それによりスピードの不一致に起因する力の乱れがリボンを通じて粘性ゾーンおよび/または硬化ゾーンへと上方に伝播することが防止される。実際に、第2牽引ロール装置321と分離機器219との間のスピードの不一致は、第1下流延伸ロール対323および/または第2下流延伸ロール対331の一方または両方を通るガラスリボンに滑りを生じさせることがある。そのため耐火性ロールカバー327a、327b、335a、335bの摩耗に対し、これらの耐火性ロールカバーに関連する既定直径を上記のように変更することによって対処してもよい。従って、スピードの不一致によって生成される可能性があった力の乱れは、例えば回避されるなど最小限に抑えることができる。
【0066】
上記の第1下流方程式および第2下流方程式において既定直径を変更する場合、対応する既定リボン速度がガラスリボンの対応するエッジ部分の実際の速度に一定期間に亘って近付くよう、耐火性ロールカバー327a、327b、335a、335bの既定直径を一定期間に亘って徐々に変化させるように制御機器251を随意的に構成してもよい。従って制御機器251は既定直径の補正を一定期間に亘って解決し、比較的短時間での既定直径の急な飛びに関連し得る問題を回避することができる。
【0067】
ガラス製造装置201は、第1下流方程式および/または第2下流方程式における既定リボン速度を変化させてガラスシートの平均厚さを所望の平均厚さの範囲内で維持するように構成された、厚さ制御機器をさらに含んでもよい。例えば
図2に示されているように、ガラス製造装置はガラスリボン205の第1エッジ部分205aに関連する第1エッジ厚さセンサ259aをさらに含み得る。同様にガラス製造装置は、ガラスリボン205の第2エッジ部分205bに関連する第2エッジ厚さセンサ259bをさらに含み得る。
【0068】
制御機器251は、第1エッジ厚さセンサ259aおよび/または第2エッジ厚さセンサ259bから厚さ信号を受信することができる。受信した信号に基づいて制御機器251は第1下流方程式および/または第2下流方程式(上記方程式(2)参照)における既定リボン速度「V」を変化させてもよく、これにより上記方程式(2)の角速度ωが変更される。例えば制御機器251は、第1エッジ厚さセンサ259aからガラスリボンの第1エッジ部分205aの厚さを示す厚さ信号を受信することができる。実際の測定された厚さが補正を必要とする場合には、制御機器251は第2下流方程式において第1エッジ部分205aに関連する既定リボン速度を変化させてモータ329a、329bの制御に使用される角速度を変更し、ガラスリボン205の第1エッジ部分205aの厚さを補正することができる。同様に制御機器251は、第2エッジ厚さセンサ259bからガラスリボンの第2エッジ部分205bの厚さを示す厚さ信号を受信することができる。実際の測定された厚さが補正を必要とする場合には、制御機器251は第2下流方程式において第2エッジ部分205bに関連する既定リボン速度を変化させてモータ337a、337bの制御に使用される角速度を変更し、ガラスリボン205の第2エッジ部分205bの厚さを補正することができる。
【0069】
制御機器251は、第1上流延伸ロール対303の少なくとも一方が実質的に一定のトルクで回転し、また第1下流延伸ロール対323の少なくとも一方が実質的に一定の角速度で回転するように、第1牽引ロール装置301および第2牽引ロール装置321を独立して動作させるようにさらに構成される。本開示の目的で第1牽引ロール装置および第2牽引ロール装置の独立した動作とは、第1牽引ロール装置および第2牽引ロール装置の一方を、第1牽引ロール装置および第2牽引ロール装置の他方の動作の影響を受けずに動作させることができることを意味する。従って、例えば第1牽引ロール装置301を制御機器で独立して動作させるとき、制御機器は第2牽引ロール装置321の動作パラメータの変化を考慮することなく第1牽引ロール装置301を動作させることができる。
【0070】
前述したように第1上流延伸ロール対303は、第1牽引ロール部材307aまたは第2牽引ロール部材307bの一方に関連する単一のモータを含み得る。この例において制御機器251は、単一のモータを、関連する第1牽引ロール部材307aまたは第2牽引ロール部材307bを実質的に一定のトルクで回転させるように動作させることができる。さらに上述したように、第1牽引ロール部材307aおよび第2牽引ロール部材307bの夫々は対応するモータ311a、311bを備え得る。この例において制御機器251は、第1上流延伸ロール対303の少なくとも一方、例えば両方などを、実質的に一定のトルクで回転させるようにモータ311a、311bを動作させることができる。第1上流延伸ロール対303の両方の牽引ロール部材307a、307bを実質的に一定のトルクで回転させることは、ガラスリボン205の第1エッジ部分205aの両側で等しく力を加えるのに望ましいであろう。
【0071】
前述したように、第1牽引ロール装置301は随意的な第2上流延伸ロール対313をさらに含み得る。この例において第2上流延伸ロール対313は、第1牽引ロール部材315aまたは第2牽引ロール部材315bの一方に関連する、単一のモータを含み得る。この例において制御機器251は、単一のモータを、関連する第1牽引ロール部材315aまたは第2牽引ロール部材315bを実質的に一定のトルクで回転させるように動作させることができる。さらに上述したように、第1牽引ロール部材315aおよび第2牽引ロール部材315bの夫々は対応するモータ319a、319bを備え得る。この例において制御機器251は、第2上流延伸ロール対313の少なくとも一方、例えば両方などを、実質的に一定のトルクで回転させるようにモータ319a、319bを動作させることができる。第2上流延伸ロール対313の両方の牽引ロール部材315a、315bを実質的に一定のトルクで回転させることは、ガラスリボン205の第2エッジ部分205bの両側で等しく力を加えるのに望ましいであろう。
【0072】
必須であるわけではないが、いくつかの例において制御機器251は、第1上流延伸ロール対303に関連するモータの一方または両方を、実質的に一定の第1トルクで動作させるようにしてもよく、かつ同時に第2上流延伸ロール対313に関連するモータの一方または両方を、第1トルクに実質的に等しい実質的に一定の第2トルクで回転させるように動作させてもよい。実質的に等しい第1トルクおよび第2トルクを与えることは、例えばガラスリボン205に第1エッジ部分205aおよび第2エッジ部分205bで実質的に同じ力を加えるのに望ましいであろう。
【0073】
前述したように第1下流延伸ロール対323は、第1牽引ロール部材325aまたは第2牽引ロール部材325bの一方に関連する単一のモータを含み得る。この例において制御機器251は、単一のモータを、関連する第1牽引ロール部材325aまたは第2牽引ロール部材325bを実質的に一定の角速度で回転させるように動作させることができる。さらに上述したように、第1牽引ロール部材325aおよび第2牽引ロール部材325bの夫々は対応するモータ329a、329bを備え得る。この例において制御機器251は、第1下流延伸ロール対323の少なくとも一方、例えば両方などを、実質的に一定の角速度で回転させるようにモータ329a、329bを動作させることができる。第1下流延伸ロール対323の両方の牽引ロール部材325a、325bを実質的に一定の角速度で回転させることは、ガラスリボン205の第1エッジ部分205aの両側でガラスリボンを等しく延伸するのに望ましいであろう。
【0074】
前述したように、第2牽引ロール装置321は随意的な第2下流延伸ロール対331をさらに含み得る。この例において第2下流延伸ロール対331は、第1牽引ロール部材333aまたは第2牽引ロール部材333bの一方に関連する、単一のモータを含み得る。この例において制御機器251は、単一のモータを、関連する第1牽引ロール部材333aまたは第2牽引ロール部材333bを実質的に一定の角速度で回転させるように動作させることができる。さらに上述したように、第1牽引ロール部材333aおよび第2牽引ロール部材333bの夫々は対応するモータ337a、337bを備え得る。この例において制御機器251は、第2下流延伸ロール対331の少なくとも一方、例えば両方などを、実質的に一定の角速度で回転するように動作させることができる。第2下流延伸ロール対331の両方の牽引ロール部材333a、333bを実質的に一定の角速度で回転させることは、ガラスリボン205の第2エッジ部分205bの両側でガラスリボン等しく延伸するのに望ましいであろう。
【0075】
必須であるわけではないが、いくつかの例において制御機器251は、第1下流延伸ロール対323に関連するモータの一方または両方を、実質的に一定の第1角速度で動作させるようにしてもよく、かつ同時に第2下流延伸ロール対331に関連するモータの一方または両方を、第1角速度に実質的に等しい実質的に一定の第2角速度で回転させるように動作させてもよい。実質的に等しい第1角速度および第2角速度を与えることは、例えばガラスリボンに第1エッジ部分205aおよび第2エッジ部分205bで等しく延伸を加えるのに望ましいであろう。
【0076】
いくつかの例において、本明細書を通じて論じている延伸ロール対は、その全体が参照することにより本書に組み込まれる2009年4月30日に公開されたAnderson他に対する米国特許出願公開第2009/0107182号明細書に明記されているものに類似した構造および向きを有するものでもよい。例えば延伸ロール対のいずれも、ガラスリボンに対して鉛直下方に傾斜したロールでもよいし、あるいは水平なロールでもよい。さらに
図4に示されているように任意のロール対(水平の、あるいは下方に傾斜した)を、既定の水平角θを有するように位置付けてもよく、この既定の水平角θとは、ロールの各面がガラスリボン205の夫々の主表面401、403に対して位置付けられることになる角度である。水平角θは、適切なレベルの横断方向延伸張力341を提供すること、および/または通常のロール摩耗時に生じ得るテーパ効果に適応することが望ましいであろう。
【0077】
図3は、第1上流延伸ロール対303および第2上流延伸ロール対313と第1下流延伸ロール対323および第2下流延伸ロール対331の夫々が、ガラスリボン205に対して鉛直下方に傾斜したロールを備え得る例を示している。任意の延伸ロール対の下方傾斜角度は、プロセス考察次第で任意の他の延伸ロール対と異なっていてもよいし、あるいは同じでもよい。第1上流延伸ロール対303および/または第2上流延伸ロール対313を下方に傾斜させると、2つの延伸ロール対303、313間に所望レベルの横断方向延伸張力341を与えることができる。同様に、第1下流延伸ロール対323および/または第2下流延伸ロール対331を下方に傾斜させると、2つの延伸ロール対323、331間に所望レベルの横断方向延伸張力343を与えることができる。
【0078】
いくつかの例では、ガラスリボン205を横切る平均の横断方向延伸張力341、343を制御(すなわち調整)するために、自動ポジショナ(図示なし)を作動させるよう制御機器251を構成してもよいし、あるいは手動機構を使用して、鉛直下方に傾斜したロールの下方傾斜位置を調整してもよい。
【0079】
さらなる例において1以上の延伸ロール対は、ガラスリボンに対して水平なロールでもよい。例えば
図7は、ガラスリボンに対して水平にし得る延伸ロール対を含んだ牽引ロール機器217を示し、このとき回転軸はガラスリボンの延伸経路305に実質的に垂直に延在する。牽引ロール機器のロール対の一方または両方を水平のロールとして提供することは、ロール対に沿ってガラスリボンの幅を横切る横断方向張力が必要ではない場合に望ましいであろう。
【0080】
図7および8は、牽引ロール機器217を含む別の例のガラス製造装置701をさらに示している。牽引ロール機器217は、第1牽引ロール部材707aと第2牽引ロール部材707bとを有する第1上流延伸ロール対705を含む、第1牽引ロール装置703を備えている。第1牽引ロール部材707aは、第1上方柄部711に連結された第1耐火性ロールカバー709aおよび第2耐火性ロールカバー709bを含み得る。同様に第2牽引ロール部材707bは、第2上方柄部715に連結された第1耐火性ロールカバー713aおよび第2耐火性ロールカバー713bを含み得る。第1耐火性ロールカバー709a、713aは、これらの間でガラスリボン205の第1エッジ部分205aに係合するように構成される。同様に第2耐火性ロールカバー709b、713bは、これらの間でガラスリボン205の第2エッジ部分205bに係合するように構成される。
【0081】
第1牽引ロール部材707aおよび第2牽引ロール部材707bの少なくとも一方は夫々のモータ717a、717bを備え得る。例えば図示では、第1牽引ロール部材707aおよび第2牽引ロール部材707bの両方が夫々モータ717a、717bを備えている。モータ717aは、第1上方柄部711に連結された第1耐火性ロールカバー709aおよび第2耐火性ロールカバー709bを第1上方柄部711と共に回転させることができる。同様にモータ717bは、第2上方柄部715に連結された第1耐火性ロールカバー713aおよび第2耐火性ロールカバー713bを第2上方柄部715と共に回転させることができる。さらなる例では、第1牽引ロール部材707aおよび第2牽引ロール部材707bの一方のみがモータを備え、このとき第1牽引ロール部材707aおよび第2牽引ロール部材707bの一方のみが駆動されるよう他方の牽引ロール部材は軸受を備えてもよい。
【0082】
牽引ロール機器217は、延伸経路305に沿って第1上流延伸ロール対705の下流に位置する第1下流延伸ロール対721を含む、第2牽引ロール装置719をさらに備えている。第1下流延伸ロール対721は、ガラスリボン205の第1エッジ部分205aおよび第2エッジ部分205bを延伸経路305に沿ってさらに延伸するように構成される。第1下流延伸ロール対721は、第1牽引ロール部材723aおよび第2牽引ロール部材723bを含む。第1牽引ロール部材723aは、第1下方柄部727に連結された第1耐火性ロールカバー725aおよび第2耐火性ロールカバー725bを含み得る。同様に第2牽引ロール部材723bは、第2下方柄部731に連結された第1耐火性ロールカバー729aおよび第2耐火性ロールカバー729bを含み得る。第1耐火性ロールカバー725a、729aは、これらの間でガラスリボン205の第1エッジ部分205aに係合するように構成される。同様に第2耐火性ロールカバー725b、729bは、これらの間でガラスリボン205の第2エッジ部分205bに係合するように構成される。
【0083】
第1牽引ロール部材723aおよび第2牽引ロール部材723bの少なくとも一方は夫々のモータ733a、733bを備え得る。例えば図示では、第1牽引ロール部材723aおよび第2牽引ロール部材723bの両方が夫々モータ733a、733bを備えている。モータ733aは、第1下方柄部727に連結された第1耐火性ロールカバー725aおよび第2耐火性ロールカバー725bを第1下方柄部727と共に回転させることができる。同様にモータ733bは、第2下方柄部731に連結された第1耐火性ロールカバー729aおよび第2耐火性ロールカバー729bを第2下方柄部731と共に回転させることができる。さらなる例では、第1牽引ロール部材723aおよび第2牽引ロール部材723bの一方のみがモータを備え、このとき第1牽引ロール部材723aおよび第2牽引ロール部材723bの一方のみが駆動されるよう他方の牽引ロール部材は軸受を備えてもよい。
【0084】
図7に示されているようにガラス製造装置701は、第1上流延伸ロール対705の少なくとも一方が実質的に一定のトルクで回転し、また第1下流延伸ロール対721の少なくとも一方が実質的に一定の角速度で回転するように、第1牽引ロール装置703および第2牽引ロール装置719を独立して動作させるように構成された制御機器251をさらに備えてもよい。一例において制御機器251は、第1上流延伸ロール対705の両方が実質的に一定のトルクで回転するよう第1牽引ロール装置703を動作させるように構成される。別の例において制御機器251は、第1下流延伸ロール対721の両方が実質的に一定の角速度で回転するよう第2牽引ロール装置719を動作させるように構成される。
【0085】
図9は牽引ロール機器218を含む別の例のガラス製造装置901を示している。牽引ロール機器218は、第1牽引ロール装置301と第2牽引ロール装置321との間の中間高度に位置する中間牽引ロール装置903を備えている。図では全部で3つの牽引ロール装置(例えば、装置301、321、および903)を示すよう単一の中間牽引ロール装置903が示されているが、全部で4以上の牽引ロール装置が存在するように、さらなる例において2以上の中間牽引ロール装置を提供し得ることは明らかであろう。いくつかの例においてガラスリボンのエッジ部分に沿った支持を分散させるためには、2つの牽引ロール装置を提供することで十分であろう。追加の牽引ロール装置の提供は、さらなる例においてリボンのエッジ部分を多数の高度で運ぶことで荷重をさらに分けるのを助けるために望ましいであろう。
【0086】
図9に示されているように1以上の中間牽引ロール装置903は、第1牽引ロール装置301および/または第2牽引ロール装置321と類似した、例えば同一などの構造を有し得る。実際には、中間牽引ロール装置は第1牽引ロール部材および第2牽引ロール部材907(1つが
図9に示されている)を含む、第1中間延伸ロール対905を備え得る。第1中間延伸ロール対905は第1耐火性ロールカバーおよび第2耐火性ロールカバー909(1つが
図9に示されている)を含み得る。同様に中間牽引ロール装置903は、第1牽引ロール部材および第2牽引ロール部材910(1つが
図9に示されている)を含む、第2中間延伸ロール対911を備え得る。第2中間延伸ロール対911は第1耐火性ロールカバーおよび第2耐火性ロールカバー913(1つが
図9に示されている)を含み得る。第1耐火性ロールカバー909は、それらの間でガラスリボン205の第1エッジ部分205aに係合するように構成され、同様に第2耐火性ロールカバー913は、それらの間でガラスリボン205の第2エッジ部分205bに係合するように構成される。
【0087】
上述した他の牽引ロール部材と同様に、第1牽引ロール部材907または第2牽引ロール部材910の少なくとも一方は、対応する牽引ロール部材を回転させるように構成されたモータを含み得る。いくつかの例において中間牽引ロール装置903は、第1牽引ロール装置301と同じように制御機器251で制御され得る。代わりの例において中間牽引ロール装置903は、第2牽引ロール装置321と同じように制御機器251で制御され得る。例えば一例では中間牽引ロール装置を、第1牽引ロール装置301のように実質的に一定のトルクで動作させる。代わりに中間牽引ロール装置を、第2牽引ロール装置321のように実質的に一定の速度で動作させてもよい。さらに制御機器251は、中間牽引ロール装置が実質的に一定の角速度モードで動作しているか、あるいは実質的に一定のトルクモードで動作しているかどうかによって、第1牽引ロール装置に、あるいは第2牽引ロール装置に類似したやり方で、耐火性ロールカバーの摩耗に適応することができる。
【0088】
上述したように、各牽引ロール装置は少なくとも1つのモータを含む。モータは夫々のロールを駆動させるためのギアボックスを随意的に備え得る、サーボモータを含んでもよい。サーボモータは、提供される場合には、トルクおよび/または角速度の測定結果を制御機器251(例えば、プログラマブルロジックコントローラ)に戻して提供することができ、これを制御機器251が用いて所望の制御方式を実行してもよい。代わりに制御機器251は、各モータの角速度および/またはトルクを制御するために、可変周波数ドライブなどの他のタイプのモータコントローラとやり取りすることもできる。この例ではトルクセンサおよび/または角速度センサを使用して動作条件を感知し、感知された条件のフィードバックを制御機器251に提供してもよい。
【0089】
ここでガラスリボン205を製造する方法について、類似の、例えば同一の方法が
図7〜8に示した牽引ロール機器217および/または
図9に示した牽引ロール機器218でガラスリボン205を製造するために実行され得るという理解の下、
図3〜6に示した牽引ロール機器215を参照して説明する。
【0090】
図3を参照し、この方法は第1上流延伸ロール対303を含む第1牽引ロール装置301を提供するステップを含み得る。別の例において第1牽引ロール装置301は、第2上流延伸ロール対313を随意的に備えてもよい。
【0091】
この方法は、延伸経路305に沿って第1上流延伸ロール対303の下流に位置する第1下流延伸ロール対323を含む、第2牽引ロール装置321を提供するステップをさらに含む。さらなる例において第2牽引ロール装置321は、延伸経路305に沿って第2上流延伸ロール対313の下流に位置する、第2下流延伸ロール対331を随意的に備えてもよい。
【0092】
この方法は、第1エッジ部分205aと第2エッジ部分205bとの間に延在する幅「W」を有するガラスリボン205を成形するステップをさらに含む。第1牽引ロール装置301は、例えば制御機器251で、第2牽引ロール装置321からの入力がない状態で独立して動作させることができる。例えば第1上流延伸ロール対303の少なくとも一方が実質的に一定のトルクで回転してガラスリボン205の第1エッジ部分205aを延伸経路305に沿って延伸するように、第1牽引ロール装置301を独立して動作させることができる。一例では第1牽引ロール装置301を、第1上流延伸ロール対303の両方が実質的に一定のトルクで回転するように動作させてもよい。
【0093】
第2上流延伸ロール対313が提供される場合には、第2上流延伸ロール対313の少なくとも一方が実質的に一定のトルクで回転してガラスリボン205の第2エッジ部分205bを延伸経路305に沿って延伸するように、第2上流延伸ロール対313をさらに独立して動作させてもよい。一例では第1牽引ロール装置301を、第2上流延伸ロール対313の両方が実質的に一定のトルクで回転するように動作させてもよい。従って、底部239と第1牽引ロール装置301との間のガラスリボン205で、延伸経路305に沿って所望の張力345を維持することができる。
【0094】
この方法はさらに、第1下流延伸ロール対323の少なくとも一方が実質的に一定の角速度で回転してガラスリボン205の第1エッジ部分205aを延伸経路305に沿ってさらに延伸するように、第2牽引ロール装置321を独立して動作させる。一例においてこの方法は、第1下流延伸ロール対323の両方が実質的に一定の角速度で回転するように第2牽引ロール装置321を動作させるステップを含み得る。
【0095】
第2下流延伸ロール対331が提供される場合には、第2下流延伸ロール対331の少なくとも一方が実質的に一定の角速度で回転してガラスリボン205の第2エッジ部分205bを延伸経路305に沿ってさらに延伸するように、第2下流延伸ロール対331をさらに独立して動作させてもよい。一例においてこの方法は、第2下流延伸ロール対331の両方が実質的に一定の角速度で回転するように第2牽引ロール装置321を動作させるステップを含み得る。従って、第1牽引ロール装置301と第2牽引ロール装置321との間のガラスリボン205で、延伸経路305に沿って所望の張力347を維持することができる。
【0096】
この方法は、延伸経路305に沿って第1下流延伸ロール対323より下流の位置で、ガラスリボン205から複数のガラスシート247を一定期間に亘って連続して分離するステップをさらに含んでもよい。例えば
図2に示されているように、ガラスリボン205が成形機器203から延伸されるときに、分離機器219を定期的に作動させて複数のガラスシート247を連続して分離してもよい。
【0097】
図10は、本開示の方法例によるステップの例を説明したフローチャートを示している。
図10に表されている方法は、
図3〜6に示した牽引ロール機器215、
図7〜8に示した牽引ロール機器217、および/または
図9に示した牽引ロール機器218、または他の牽引ロール機器の構成に適用することができる。
【0098】
この方法はステップ1001で開始することができ、矢印1003で示されているように、上でより詳細に説明した少なくとも第1牽引ロール装置301および第2牽引ロール装置321を提供するステップ1005に進む。この方法は次いで矢印1007で示されているように、第1エッジ部分205aと第2エッジ部分205bとの間に延在する幅Wを有するガラスリボン205を成形するステップ1009に進んでもよい。この方法は次いで矢印1011で示されているように、第1上流延伸ロール対303および/または第2上流延伸ロール対313が回転して夫々第1エッジ部分205aおよび/または第2エッジ部分205bを延伸経路305に沿って延伸するように、第1牽引ロール装置を動作させるステップ1013に進んでもよい。
【0099】
この方法は次いで矢印1015で示されているように、第1下流角速度および/または第2下流角速度を計算するステップ1017に進む。上述したように第1下流角速度は、第1下流延伸ロール対323の少なくとも一方の既定直径と第2牽引ロール装置より下流でのガラスリボンの第1エッジ部分の既定リボン速度とを含む第1下流方程式に基づいて計算することができる。同様に、上述したように第2下流角速度は、第2下流延伸ロール対の少なくとも一方の既定直径と第2牽引ロール装置より下流でのガラスリボンの第2エッジ部分の既定リボン速度とを含む第2下流方程式に基づいて計算することができる。
【0100】
図10にさらに示されているが、この方法は次いで矢印1019で示されているように、第1下流延伸ロール対および/または第2下流延伸ロール対の少なくとも一方が夫々計算された第1下流角速度および第2下流角速度で回転してガラスリボンの夫々第1エッジ部分および第2エッジ部分を延伸経路に沿って既定リボン速度でさらに延伸するように、第2牽引ロール装置を動作させるステップ1021に進んでもよい。
【0101】
この方法は次いで矢印1023でさらに示されているように、第2牽引ロール装置より下流での第1エッジ部分および/または第2エッジ部分の実際の速度を監視するステップ1025に進んでもよい。
【0102】
この方法は次いで矢印1027で示されているように、第1下流方程式および/または第2下流方程式における既定リボン速度が、対応する第1下流角速度および/または第2下流角速度を実質的に変化させることなく第2牽引ロール装置より下流でのガラスリボンの第1エッジ部分および/または第2エッジ部分の監視された実際の速度に実質的に一致するように変化するよう、夫々第1エッジ部分205aおよび第2エッジ部分205bの監視された実際の速度に基づいて第1下流方程式および/または第2下流方程式の既定直径を変更するステップ1029に進んでもよい。必須であるわけではないが、いくつかの例において変更するステップ1029は、既定リボン速度がガラスリボンの第1エッジ部分および/または第2エッジ部分の実際の対応する速度に徐々に近付くよう、既定直径を一定期間に亘って徐々に変化させるステップを含んでもよい。
【0103】
いくつかの例では矢印1031で示されているように、この方法は1033で示されているように終了してもよい。さらなる例では、この方法は矢印1035で示されているように、例えば厚さセンサ259a、259bでガラスリボンの厚さを監視するステップ1037を随意的に含み得る。この方法は次いで矢印1039で示されているように、ガラスシートの夫々のエッジ部分の平均厚さを所望の平均厚さの範囲内で維持するために、第1下流方程式および/または第2下流方程式における既定リボン速度を変化させるステップ1041を含んでもよい。
【0104】
この方法は次いで矢印1043で示されているように、変化させた既定リボン速度で第1下流角速度および/または第2下流角速度を計算するステップ1017にループで戻ってもよい。
【0105】
第1下流方程式および/または第2下流方程式の既定直径を変更するステップ1029に戻ると、この方法は次いで矢印1045で示されているように、対応する第1上流延伸ロール対303および/または第2上流延伸ロール対313に関連する第1上流角速度および/または第2上流角速度を監視するステップ1047に代わりに進んでもよい。この方法は次いで矢印1049で示されているように、監視された第1上流角速度および/または第2上流角速度とステップ1025で監視された第1エッジ部分および/または第2エッジ部分の対応する実際の速度とを含む第1上流方程式および/または第2上流方程式に基づいて、第1上流延伸ロール対303および/または第2上流延伸ロール対313に関連する既定直径を変更するステップ1051に進んでもよい。矢印1053で示されているように、この方法は次いで1055で終了してもよい。代わりに矢印1057で示されているように、この方法は監視するステップ1025にループで戻ってもよい。
【0106】
図11は、第1上流延伸ロール対303および第1下流延伸ロール対323によってガラスリボンに加えられる力の一例のグラフを示したものである。Y軸は力(ポンド)であり、X軸は時間(分:秒)である。一方のプロット1101は第1上流延伸ロール対303によってガラスリボン205に加えられた力を表し、もう一方のプロット1103は第1下流延伸ロール対323によってガラスリボンに加えられた力を表している。図示のように、一定期間を通じて、第1上流延伸ロール対303は延伸経路305に沿ってガラスリボン205の第1エッジ部分205aに実質的に一定の力を加え、また第1下流延伸ロール対323は延伸経路305に沿ってガラスリボン205の第1エッジ部分205aに変動する力を加える。
【0107】
図5に示されているように、ガラスリボン205は延伸経路305に沿って延伸方向501に延伸される。
図11に戻ると、この一定期間を通じて第1上流延伸ロール対303は、ガラスリボン205の第1エッジ部分205aに対して延伸方向501とは反対の方向に実質的に一定の力(例えば10ポンド(4.536kg))を加える。さらに図示されているように、第1下流延伸ロール対323はガラスリボン205の第1エッジ部分205aに対して延伸方向501の方向に、変動する力(例えば、約8ポンドから約28ポンド(3.629kgから12.7kg))を加える。従って第1エッジ部分205aは、その期間を通じて、第1上流延伸ロール対303と第1下流延伸ロール対323との間で常に引っ張られた状態で維持される。さらなる例では、この両方の力は装置の設定次第で延伸方向501に対して正の方向または負の方向に作用し得る。
【0108】
さらに
図11に示されているように、延伸ロール323の一定の角速度に起因して、第1下流延伸ロール対323は変動する力を加える。プロット1103のパターン1105は、ガラスリボン205の長さが増加するにつれて変化する力を表し、一方パターン1107は、ガラスシートをガラスリボンから分離する際に生じる突然の力の変化を表している。この同じ期間の間、第1上流延伸ロール対303の一定のトルクは、ガラスリボンに対する実質的に一定の力を維持することができる。従って、応力集中と対応する表面欠陥とが望ましくない形でガラスリボン内に固定され得る硬化ゾーン243内へと、力の乱れがガラスリボンを上って伝達されるのを防ぐことができる。
【0109】
従って本開示の方法は、第1上流延伸ロール対303が延伸経路305に沿ってガラスリボン205の第1エッジ部分205aに実質的に一定の力を加えるように、第1牽引ロール装置301を一定期間に亘って独立して動作させることができる。この方法は、第1下流延伸ロール対323の少なくとも一方が実質的に一定の角速度で回転し、かつ第1下流延伸ロール対323が延伸経路305に沿ってガラスリボン205の第1エッジ部分205aに変動する力を加えるように、第2牽引ロール装置321を一定期間に亘って独立して動作させるステップをさらに含み得る。この方法は、延伸経路305に沿って第1下流延伸ロール対323より下流の位置で、ガラスリボン205から複数のガラスシート247を一定期間に亘って連続して分離するステップをさらに含んでもよい。
【0110】
上で論じたように、第1牽引ロール装置301は第2上流延伸ロール対313を備えてもよい。この例においてこの方法は、第2上流延伸ロール対313が延伸経路305に沿ってガラスリボン205の第2エッジ部分205bに実質的に一定の力を加えるように第1牽引ロール装置301を動作させるステップをさらに含んでもよい。さらに前述したように、第2牽引ロール装置321は延伸経路305に沿って第2上流延伸ロール対313より下流に位置する、第2下流延伸ロール対331を含んでもよい。この例においてこの方法は、第2下流延伸ロール対331の少なくとも一方が実質的に一定の角速度で回転しかつ第2下流延伸ロール対331が延伸経路305に沿ってガラスリボン205の第2エッジ部分205bに変動する力を加えるように、第2牽引ロール装置321を動作させるステップをさらに含んでもよい。
【0111】
牽引ロール機器215、217を使用すると、ガラスリボンにおいて横断方向延伸張力および/または下方延伸シート張力の一貫性を向上させることができ、これにより製造されるガラスリボンでの残留応力が減少し、ガラスの平坦度が向上する。より具体的には、牽引ロール機器215、217を使用すると、製品の応力および平坦度がガラスリボンに固定される硬化ゾーンをガラスリボンが通過するときに、その通過エリア内での横断方向延伸張力および/または下方延伸シート張力の一貫性を制御および向上させることができる。
【0112】
図12は種々の制御方式で作製されたシートによる、全面シート歪みデータのグラフを示している。全面シート歪みとは、重力に垂直な向きの平坦な表面上にシートを置いたときの、平面からのガラスシートの変位を測定した結果である。異なる条件下で作製された3組のシートに対する、平面からの最大変位が
図12にプロットされている。
図12のY軸は最大変位をマイクロメートルで表し、一方X軸はシート番号を表している。プロット1201はマスター/スレーブ構成での、すなわち下方牽引ロール装置が下方ロール対を一定の角速度で回転させるマスターモータを含み、また上方牽引ロール装置が、下方ロール対のマスターモータにおいて測定されたトルクの既定パーセントに一致するトルクで上方ロール対を回転させるように構成されたスレーブモータを含んでいる構成での、全面シート歪みデータを表している。プロット1201で示されているように、全面シート歪みデータは約58μmから約117μmまでの範囲内の比較的高い最大変位を示している。
【0113】
図12のプロット1203は、上方ロール対および下方ロール対の両方において一定の角速度で独立して動作する下方牽引ロール装置および上方牽引ロール装置を用いて作製されたシートによる、最大の全面シート歪みを表している。プロット1203で示されているように、上方ロール対および下方ロール対での独立した一定の角速度により、最大変位は約37μmから約60μmまでの範囲内に減少することになる。
【0114】
図12のプロット1205は、第1上流延伸ロール対の少なくとも一方が実質的に一定のトルクで回転しかつ第1下流延伸ロール対の少なくとも一方が実質的に一定の角速度で回転するように第1牽引ロール装置および第2牽引ロール装置を独立して動作させるように制御機器が構成されている、本明細書の実施形態を使用して作成されたシートによる最大の全面シート歪みを表している。プロット1205で示されているように、この制御構成によって最大変位は驚くべきことに約22から約48μmまでの範囲内に大幅に減少する。
【0115】
図13は種々の制御方式で作製されたシートによる、エッジ勾配データを示した別のグラフである。エッジ勾配は、全面シート歪みの測定結果より、エッジから100mmの距離での値をエッジでの値から減算することによって計算される。その差は全面シート歪みの測定結果における、シートのエッジでのガラスの傾きの大きさである。
図13のY軸は最大変位を100mm当たりのマイクロメートルで表し、一方X軸はシート番号を表している。プロット1301はマスター/スレーブ構成での、すなわち下方牽引ロール装置が下方ロール対を一定の角速度で回転させるマスターモータを含み、また上方牽引ロール装置が、下方ロール対のマスターモータにおいて測定されたトルクの既定パーセントに一致するトルクで上方ロール対を回転させるように構成されたスレーブモータを含んでいる構成での、エッジ勾配データを表している。プロット1301で示されているように、エッジ勾配データは約25μm/100mmから約45μm/100mmまでの範囲内の比較的高い最大変位を示している。
【0116】
図13のプロット1303は、上方ロール対および下方ロール対の両方において一定の角速度で独立して動作する下方牽引ロール装置および上方牽引ロール装置を用いて作製されたシートによる、エッジ勾配データを表している。プロット1303で示されているように、上方ロール対および下方ロール対での独立した一定の角速度により、最大のエッジ勾配変位は約17μm/100mmから約30μm/100mmまでの範囲内に減少することになる。
【0117】
図13のプロット1305は、第1上流延伸ロール対の少なくとも一方が実質的に一定のトルクで回転しかつ第1下流延伸ロール対の少なくとも一方が実質的に一定の角速度で回転するように第1牽引ロール装置および第2牽引ロール装置を独立して動作させるように制御機器が構成されている、本明細書の実施形態を使用して作成されたシートによるエッジ勾配データを表している。プロット1305で示されているように、このような制御構成によって最大のエッジ勾配変位は驚くべきことに約12μm/100mmから約22μm/100mmまでの範囲内に大幅に減少する。
【0118】
さらに、本明細書の実施形態により説明し、またプロット1205、1305で示したように、上流延伸ロール対を実質的に一定のトルクで動作させることができると、実質的に一定の角速度(プロット1203および1303で示したような)で上流延伸ロール対を動作させた場合を超えるさらなる利点が提供される。第1に一定の角速度の上流延伸ロール対は、ロールの直径が異なると、異なる張力を与える可能性がある。これに対し上流延伸ロール対を実質的に一定のトルクで動作させると、時間と共に一貫した鉛直張力を得ることができる。実際には、実質的に一定のトルクで動作させるとロールの摩耗は略補償される。一定のトルクでロールが摩耗すると、力はロールの直径と共に若干変化するが、その影響は極小さいものである。速度制御の感度は、ロールの直径に対し、はるかに高い。第2に、ロールの直径が不確実であるため、上流延伸ロール対の一定の角速度をシートの速度と関連付けることが困難であることは分かるであろう。これに対し上流延伸ロール対を実質的に一定のトルクで動作させると、ロールを適切な角速度にするよう関連付ける必要性は排除される。第3に、上流延伸ロール対を実質的に一定のトルクで動作させると、上流延伸ロール対の速度を調整してロールの摩耗を補償しようとした場合に生じ得る、座屈や亀裂が生じるリスクを回避することができる。第4に、上流延伸ロール対を実質的に一定のトルクで動作させると、一定の角速度が過度に遅い場合にロールが飛んでしまうリスクを回避することができる。第5に、上流延伸ロール対を動作させると、一定の角速度でのロールの逃げに起因して生じ得る過度の牽引力のばらつきを回避することができる。
【0119】
請求される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の改変および変形が作製可能であることは当業者には明らかであろう。