特許第6333767号(P6333767)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6333767
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20180521BHJP
   E06B 1/12 20060101ALI20180521BHJP
   E06B 1/18 20060101ALI20180521BHJP
   E06B 1/36 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   E06B5/16
   E06B1/12 A
   E06B1/18 X
   E06B1/36
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-84756(P2015-84756)
(22)【出願日】2015年4月17日
(65)【公開番号】特開2016-204868(P2016-204868A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2017年7月3日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】大西 久夫
【審査官】 鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭45−040508(JP,B1)
【文献】 実開平02−105484(JP,U)
【文献】 実開平01−062480(JP,U)
【文献】 特開平11−190170(JP,A)
【文献】 特開2011−099205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/16
E06B 1/12
E06B 1/18
E06B 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サッシ枠と、サッシ枠の縦枠同士を連結する方立とを備え、縦枠と方立とは、互いに係合する爪を有し、縦枠が方立に係合しており、方立と縦枠の間には、縦枠が方立との係合が解除する方向に移動するのを長手方向で規制する開き防止具が設けてあり、開き防止具の外周側にシール材又は気密材が設けてあることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接するサッシ枠の縦枠同士を方立で連結した建具に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル等の窓では、複数の窓枠の縦枠同士を方立で連結し、連窓としたものがある。このような窓では、火災時に縦枠や方立が火災の熱で変形したり溶融したりするのに伴って、縦枠と方立との間に隙間ができ、その隙間を通じて火炎や煙等が室内外を連通するおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、縦枠同士を方立で連結した建具の防火性能の向上を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による建具は、サッシ枠と、サッシ枠の縦枠同士を連結する方立とを備え、縦枠と方立とは、互いに係合する爪を有し、縦枠が方立に係合しており、方立と縦枠の間には、縦枠が方立との係合が解除する方向に移動するのを長手方向で規制する開き防止具が設けてあり、開き防止具の外周側にシール材又は気密材が設けてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明による建具は、縦枠と方立とは、互いに係合する爪を有し、縦枠が方立に係合しており、方立と縦枠の間には、縦枠が方立との係合が解除する方向に移動するのを長手方向で規制する開き防止具が設けてあることで、火災時に縦枠と方立間の隙間の発生を抑制し、火炎や煙の連通を防止できるので、防火性能が向上する。開き防止具の外周側にシール材又は気密材が設けてあるので、方立と縦枠の間からの雨水の浸入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の建具の第1実施形態を示す横断面図(図4のA−A断面)である。
図2】本発明の建具の第2実施形態を示す横断面図(図4のA−A断面)である。
図3】本発明の建具の第3実施形態を示す横断面図(図4のA−A断面)である。
図4】本発明の一実施形態に係る建具の室内側正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1,4は、本発明の建具の第1実施形態を示している。この建具は、ビルの窓に用いられるものであって、図4に示すように、左右に隣接して配置されたサッシ枠1,1の縦枠2,2同士を方立3で連結し、連窓にしたものである。
各サッシ枠1には、図1に示すように、室内側から複層ガラス11を嵌め込み、室内側に押縁12を取付け、サッシ枠1の室外側のガラス保持片13及び室内側の押縁12と複層ガラス11との間に、バックアップ材14とシール材15を装填して複層ガラス11を固定してあり、いわゆる嵌め殺し窓となっている。
サッシ枠1の縦枠2は、アルミニウム合金の押出形材よりなり、図1に示すように、外周側が開放した略コ字状断面となっており、縦枠2の室外側縁部16は室内側に向けて鉤状に曲がった形に形成され、縦枠2の室内側縁部17は室外側に向けて鉤状に曲がった形に形成されている。
【0010】
方立3は、図1に示すように、方立本体23と目板5と目板カバー24とで構成されている。方立本体23は、アルミニウム合金の押出形材よりなり、室外側及び室内側の見付壁19,20と一対の見込み壁21,21とからなる見込み方向に長い矩形断面の中空部22を有している。室外側の見付壁19は、見込み壁21,21よりも側方に張り出している。一対の見込み壁21,21の室外側寄りの位置には、室外側に向けて鉤状に曲がった爪6が長手方向に沿って設けてある。また、一対の見込み壁21,21の室内側端部寄りの位置には、突部7が長手方向に沿って設けてある。突部7の先端部には、縦枠2の室内側縁部17が係止する係止部25を有する。方立本体23の室内側面26は、フラットに形成されている。
目板5は、方立3の略全長に亘って設けられるものであって、アルミニウム合金の押出形材よりなり、方立本体23の室内側の見付壁20と略同じ横幅を有する取付板部27と、取付板部27の左右端部より室内側に若干オフセットして側方にのびる縦枠支持部34,34とを有し、左右の縦枠2,2及び方立本体23の室内側面に跨って配置してある。目板5は、全体が方立本体23より肉厚に形成してある。取付板部27は、室外側面28がフラットになっており、この面28を方立本体23の室内側面26と面接触させ、室内側からのネジ29で固定してある。
目板カバー24は、アルミ又は樹脂の押出形材よりなり、室外側が開放した略コ字状断面に形成され、左右の側壁に形成された係止部30,30を目板5の側縁部に室内側から弾発的に係止させて取付けられ、目板5を室内側から被っている。
【0011】
縦枠2は、図1に示すように、室外側縁部16が方立本体23の見込み壁21に形成された爪6に室外側から係合している。方立本体23の見込み壁21の室外側端部には、金属製の断面コ字状の長尺材よりなる開き防止具4が長手方向の略全長に亘って配置してある。この開き防止具4は、方立本体23の室外側の見付壁19の張り出し部分19aと縦枠2の室外側面間の隙間に、当て木を当てて打ち込んで取付けてあり、方立本体23の室外側の見付壁19の張り出し部分19aと縦枠2の室外側面との間に介在している。この開き防止具4がクサビとなり、縦枠2が方立本体23との係合が解除する方向(室外側)に移動するのを長手方向で規制している。さらに、方立本体23の室外側の見付壁19の張り出し部分19aと縦枠2の室外側面との間には、耐火性のバックアップ材32を挿入した上でシール材33を充填し、雨水の浸入を防いでいる。縦枠2の室内側縁部17は、方立本体23の見込み壁21に長手方向に設けた突部7と目板5の縦枠支持部34とで挟み込まれている。
【0012】
以上に述べたように本実施形態の建具は、縦枠2の室外側縁部16が方立本体23の爪6に室外側から係合し、方立本体23の見込み壁21に縦枠2が方立本体23との係合が解除する方向(室外側)に移動するのを長手方向で規制する開き防止具4が設けてあることで、火災時に縦枠2と方立3間の隙間の発生を抑制し、火炎や煙の連通を防止できるので、防火性能が向上する。
本実施形態によれば、開き防止具4を方立本体23にネジ止めする必要がないため、施工性が向上する。また開き防止具4は、方立3と縦枠2間に隙間なく嵌め込んだだけでネジ止めしてないので、方立3や縦枠2が熱伸びしたときに熱伸びを吸収することができ、開き防止具4と方立3及び縦枠2間に隙間が生ずるのを防止できる。
【0013】
また本実施形態の建具は、縦枠2が方立3と係合しており、目板5は、方立3の略全長に亘って設けてあり、左右の縦枠2,2及び方立3(方立本体23)の室内側面に跨って配置してあり、方立3の突部7と目板5とで縦枠2の室内側縁部17を挟み込んでいることで、縦枠2が見込み方向に移動して方立本体23との係合が外れるのをより一層確実に防止できると共に、縦枠2の室内側縁部17と方立3間に隙間が開くことも防止できるため、縦枠2と方立3間からの火炎や煙の連通を防止し、防火性能を向上できる。
また、方立本体23の室内側面26と目板5の室外側面28とが面接触していることで、火災時に目板5が熱せられたときに熱を方立3側に効率よく逃がすことができるため、目板5の溶融や変形を抑えられる。
【0014】
図2は、本発明の建具の第2実施形態を示している。この実施形態では、方立本体23の見込み壁21の室外側端部に凹部36が形成してあり、開き防止具4はアルミ合金の押出形材よりなるが断面コ字状の長尺材となっており、この開き防止具4は、一対の係止爪37,37を凹部36の入口部に形成した突起38,38に弾発的に係止させて取付けている。それ以外の点は、第1実施形態と同様である。
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、開き防止具4を方立本体23にネジ止めする必要がないため、施工性が向上する。また開き防止具4は、方立3と縦枠2間に隙間なく嵌め込んだだけでネジ止めしてないので、方立3や縦枠2が熱伸びしたときに熱伸びを吸収することができ、開き防止具4と方立3及び縦枠2間に隙間が生ずるのを防止できる。
【0015】
図3は、本発明の建具の第3実施形態を示している。この実施形態では、方立本体23の見込み壁21の室外側端部に凹部36が形成してあり、開き防止具4はアルミ合金の押出形材よりなり、凹部36入口側の突起38に弾発的に係止する一対の係止片37,37と、気密材保持部39とを有し、気密材保持部39に気密材40を取付けている。それ以外の点は、第1実施形態と同様である。
本実施形態によれば、第1,2実施形態と同様に、開き防止具4を方立本体23にネジ止めする必要がない上、シール材33を打設する手間も不要なため、施工性がさらに向上する。
【0016】
方立3は、方立本体23とカバーとからなり、目板5を有しないものであってもよい。この場合、方立本体23は、第1実施形態のものと同様に、見込み方向に長い矩形断面の中空部22を有する中空形材とし、室内側端部に左右の縦枠2,2との隙間を隠す張り出し部(目板5の縦枠支持部34,34に相当する)を一体に設け、その張り出し部を縦枠2に室内側からのネジで固定する。カバーは、左右の張り出し部の先端に室内側から係止して取付け、ネジを隠す。
【0017】
このように張り出し部を方立本体23に一体に設けることで、別体の目板5を取付けた場合よりも、張り出し部と方立本体23の見込み壁21,21間の熱伝導性が優れており、しかも方立本体23は中空部22を有する形材で見込み壁21,21が一対設けられ、尚且つ室外側端部が縦枠2より室外側に張り出していることにより、加熱面側から非加熱面側への放熱(例えば、室内で火災が発生した場合には、室内側から室外側への放熱)が促進され、方立3や縦枠2の溶融や変形を抑制できるので、防火性能が向上する。
【0018】
また、方立本体23は室内側端部の張り出し部より室外側に離間した見込み壁21,21上に突部7を長手方向に沿って設け、縦枠2の室内側縁部17を張り出し部と突部7間に保持した上で室内側からのネジで方立本体23の張り出し部に固定することができる。
本実施形態によれば、室外側の開き防止具4に加え、室内側でも縦枠2が室外側に移動して係合が解除されるのを防止するため、防火性能がより一層向上する。
【0019】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。縦枠及び方立の断面形状は、適宜変更することができる。開き防止具の材質や断面形状は、適宜変更することができる。開き防止具を設ける位置は、適宜変更することができ、縦枠に固定して設けることもできる。本発明の建具は、実施形態のような嵌め殺し窓に限らず、サッシ枠内に2枚の障子を引違い状に開閉自在に収めた引違い窓や、サッシ枠内に1枚の障子をすべり出し式に開閉自在に収めたすべり出し窓等に適用することもできる。
【符号の説明】
【0020】
1 サッシ枠
2 縦枠
3 方立
4 開き防止具
5 目板
6 爪
7 突部
16 縦枠の室外側縁部(爪)
23 方立本体(方立)
図1
図2
図3
図4