(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、吸気口や排気口を放射線遮へい部材により迷路構造とすると、設備の設置面積が大きくなり、設備が大型化すると共に設置コストが増大してしまい、また、作業員による作業スペースが減少してしまうという問題がある。なお、上記特許文献1,2には、放射線遮へい壁のダクトに鉄製などのスクリューを配置することが記載されているが、スクリューに通気部を確保する必要から、十分な遮へい機能を確保するためにはスクリューの長さが長くなり、放射線遮へい壁から突出することとなり、結果として、設備の設置面積が大きくなってしまう。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するものであり、十分な遮へい機能を確保すると共に設備の大型化を抑制するダクト用スクリュー及びダクト並びに放射線遮へい設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を解決するための本発明のダクト用スクリューは、外径が同径をなして螺旋形状をなすと共にタングステン合金により形成される羽根部と、前記羽根部の中心位置を貫通して配置されると共に前記タングステン合金の密度より低い密度の放射線遮へい材料
により形成される軸部と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
従って、螺旋形状をなす羽根部をタングステン合金により形成することで、羽根部により十分な放射線遮へい機能を確保することができ、軸部をタングステン合金の密度より低い密度の放射線遮へい材料により形成することで、材料コストの上昇を抑制することができると共に設備の大型化を抑制することができる。
【0010】
本発明のダクト用スクリューでは、前記羽根部の中心位置に貫通孔が形成され、前記軸部が前記貫通孔に嵌合して締まりばめにより固定されることを特徴としている。
【0011】
従って、羽根部と軸部とを容易に一体化することができ、製造コストを低減することができる。
【0012】
本発明のダクト用スクリューでは、前記羽根部は、軸心方向に分割される複数の分割羽根により構成されることを特徴としている。
【0013】
従って、羽根部を複数の分割羽根により構成することで、製作性を向上することができる。
【0014】
本発明のダクト用スクリューでは、前記軸部を形成する放射線遮へい材料は鉄であり、前記タングステン合金は、密度が前記鉄の密度の2倍以上に設定されることを特徴としている。
【0015】
従って、軸部を鉄により形成し、羽根部のタングステン合金の密度を鉄の密度の2倍以上にすることで、羽根部と軸部により十分な遮へい機能を確保することができる。
【0016】
本発明のダクト用スクリューでは、前記羽根部は、
360度以上捩じられた螺旋形状をなすことを特徴としている。
【0017】
従って、羽根部を
360度以上捩じった螺旋形状とすることで、放射線のすり抜けを防止して適正に遮へいすることができる。
【0018】
また、本発明のダクトは、円筒形状をなすダクト本体と、前記ダクト本体の内部に配置される前記ダクト用スクリューと、を備えることを特徴とするものである。
【0019】
従って、螺旋形状をなす羽根部をタングステン合金により形成することで、羽根部に設けた空間部により流体流通部を確保することができると共に十分な遮へい機能を確保することができ、軸部をタングステン合金の密度より低い密度の放射線遮へい材料により形成することで、材料コストの上昇を抑制することができると共に設備の大型化を抑制することができる。
【0020】
本発明のダクトでは、前記ダクト用スクリューの外周部と前記ダクト本体の内周部との間に隙間閉塞部材が設けられることを特徴としている。
【0021】
従って、隙間閉塞部材によりダクト用スクリューとダクト本体との隙間が閉塞されることとなり、遮蔽機能を向上することができる。
【0022】
また、本発明の放射線遮へい設備は、放射線遮へい材料からなる縦壁部及び天井部により構成される建屋と、前記建屋の内部に配置されて放射性微粒子を捕集可能なフィルタと、前記建屋に設けられる吸気口及び排気口と、前記吸気口と前記排気口の少なくとも一方に設けられる前記ダクトと、を備えることを特徴とするものである。
【0023】
従って、汚染空気が吸気口を通して建屋内に流入すると、フィルタにより放射性微粒子が除去された後、排気口から排出される。このとき、フィルタに放射性微粒子が蓄積されることから、フィルタから放射線が放射されるものの、この放射線は、縦壁部及び天井部により遮へいされると共に、吸気口や排気口に設けられるダクトにより遮へいされる。そのため、十分な遮へい機能を確保することができると共に、設備の大型化を抑制することができる。
【0024】
本発明の放射線遮へい設備では、前記建屋は、内部に通電部が配置され、電源ケーブルが外部から前記ダクトを通って前記通電部に接続されることを特徴としている。
【0025】
従って、放射線の遮へい機能を確保した上で、縦壁部や天井部を通して建屋内の通電部に対して容易に電源ケーブルを挿通することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のダクト用スクリュー、ダクト、放射線遮へい設備によれば、螺旋形状をなす羽根部をタングステン合金により形成し、軸部をタングステン合金の密度より低い密度の放射線遮へい材料により形成するので、十分な遮へい機能を確保することができると共に設備の大型化を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るダクト用スクリュー、ダクト、放射線遮へい設備の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0029】
図1は、本実施形態の放射線遮へい設備を表す概略図である。
【0030】
本実施形態において、
図1に示すように、放射線遮へい設備10は、第1建屋11と、第2建屋12と、第3建屋13とを有している。第1建屋11と第2建屋12と第3建屋13は、所定間隔を空けて配置されている。
【0031】
第1建屋11は、基礎21上に複数の縦壁部22が立設され、複数の縦壁部22の上部に天井部23が連結されて構成され、内部が密閉構造となっている。縦壁部22及び天井部23は、放射線遮へい材料である鉄により形成されており、厚さがこの鉄の密度(7.86g/cm
3)に応じた要求遮へい厚さに設定されている。
【0032】
また、第1建屋11は、内部の基礎21上に放射性微粒子を捕集可能なフィルタ装置24が配置されている。このフィルタ装置24は、プレフィルタ25と高性能微粒子フィルタ26を有している。また、第1建屋11は、天井部23に吸気口27が設けられ、第2建屋12側の縦壁部22の下部に排気口28が設けられている。プレフィルタ25の入口部が吸気口27に隣接して配置され、高性能微粒子フィルタフィルタ26の出口部と排気口28とが配管29により連結されている。そして、第1建屋11は、吸気口27の上方に位置して遮へい部材30が設けられ、排気口28に遮へいダクト31が設けられている。
【0033】
第2建屋12は、基礎41上に複数の縦壁部42が立設され、複数の縦壁部42の上部に天井部43が連結されて構成され、内部が密閉構造となっている。第2建屋12は、内部の上部に加熱装置44が配置されると共に、内部の基礎41上に送風機(ブロア)45が配置されている。また、第2建屋12は、第1建屋11側の縦壁部42の上部に吸気部46が設けられ、第3建屋13側の縦壁部42の下部に排気部47が設けられている。加熱装置44の入口部が吸気部46に隣接して配置され、送風機45の出口部と排気部47とが配管48により連結されている。そして、第1建屋11の排気口28(遮へいダクト31)と、第2建屋12の吸気部46とが連結配管32により連結されている。
【0034】
第3建屋13は、基礎51上に複数の縦壁部52が立設され、複数の縦壁部52の上部に天井部53が連結されて構成され、内部が密閉構造となっている。縦壁部52及び天井部53は、放射線遮へい材料である鉄により形成されており、厚さがこの鉄の密度(7.86g/cm
3)に応じた要求遮へい厚さに設定されている。
【0035】
また、第3建屋13は、内部の基礎51上に放射性微粒子を除去可能な微粒子フィルタ装置54が配置されている。また、第3建屋13は、第2建屋12側の縦壁部52の上部に吸気口55が設けられ、反対側の縦壁部52の下部に排気口56が設けられている。微粒子フィルタ装置54の入口部が吸気口55に隣接して配置され、微粒子フィルタ装置の出口部と排気口56とが配管57により連結されている。そして、第3建屋11は、吸気口55に遮へいダクト58が設けられ、排気口56に遮へいダクト59が設けられている。そして、第2建屋12の排気部47と、第3建屋13の吸気口55(遮へいダクト58)とが連結配管49により連結されている。なお、第3建屋13の排気口56(遮へいダクト59)と、図示しない第4建屋の吸気口とが連結配管60により連結されている。
【0036】
以下、上述した各建屋11,12,13に設けられた遮へいダクト31,58,59について説明するが、各遮へいダクト31,58,59は、ほぼ同様構成となっていることから、第1建屋11の排気口28に設けられた遮へいダクト31について詳細に説明する。
【0037】
図2は、本実施形態のダクトを表す断面図である。
【0038】
図2に示すように、第1建屋11は、縦壁部22にその厚さ方向を貫通する排気口28が設けられ、この排気口28に遮へいダクト31が装着されている。遮へいダクト31は、ダクト本体61と、ダクト用スクリュー62とから構成されている。
【0039】
ダクト本体61は、円筒形状をなし、外周部が排気口28の内周部に嵌合して固定されている。ダクト本体61は、軸心方向における各端部に取付フランジ71,72が設けられ、一方の取付フランジ71に配管29(
図1参照)が連結され、他方の取付フランジ72に連結配管32(
図1参照)が連結される。
【0040】
ダクト用スクリュー62は、ダクト本体61の内部に配置されており、羽根部81と、軸部82とから構成されている。このダクト用スクリュー62は、外径がダクト本体61の内径より若干小径をなし、ダクト本体61内に配置され、所定の位置に固定されている。
【0041】
ここで、ダクト用スクリュー62について、詳細に説明する。
図5は、本実施形態のダクト用スクリューを表す分解斜視図、
図6は、本実施形態のダクト用スクリューを表す斜視図である。
【0042】
図5及び
図6に示すように、ダクト用スクリュー62にて、羽根部81は、4個の羽根本体83a,83b,83c,83dが周方向に均等間隔で設けられ、各羽根本体83a,83b,83c,83dは、180度以上、好ましくは360度以上捩じられた螺旋形状をなしている。なお、
図5及び
図6では、構造を詳細に説明するため、各羽根本体83a,83b,83c,83dの捩じり角度を180度以下にして表している。羽根部81は、各羽根本体83a,83b,83c,83dにおける周方向に沿う幅が中心部から外周部側に行くほどに広くなる扇形状をなし、各羽根本体83a,83b,83c,83dの間に周方向に沿う幅が中心部から外周部側に行くほどに広くなる扇形状をなす溝部84a,84b,84c,84dが設けられている。そのため、羽根部81は、各羽根本体83a,83b,83c,83dと各溝部84a,84b,84c,84dが螺旋形状を描くこととなる。
【0043】
なお、羽根部81における羽根本体83a,83b,83c,83d(溝部84a,84b,84c,84d)の個数は、この実施形態に限定されるものではなく、3個以下であっても、5個以上であってもよい。また、羽根本体83a,83b,83c,83d(溝部84a,84b,84c,84d)の形状も扇形状に限るものではない。
【0044】
また、羽根部81は、各羽根本体83a,83b,83c,83dの外径が同径をなすように螺旋形状をなし、この外径がダクト本体61(
図2参照)の内径より若干小径に設定されている。そして、羽根部81は、その中心位置に貫通孔85が形成されている。
【0045】
軸部82は、円柱形状をなし、外径が羽根部81の貫通孔84の内径より若干大径に設定され、長さが羽根部81の軸心方向の長さより長く設定されている。そして、軸部82は、羽根部81の貫通孔84に嵌合して締まりばめにより固定される。例えば、軸部82を冷却して収縮した状態で貫通孔84に嵌合した後、軸部82を常温に戻すと膨張するために貫通孔84に嵌着し、羽根部81と軸部82が一体化する。また、羽根部81を加熱して貫通孔84が膨張した状態で軸部82を貫通孔84に嵌合した後、羽根部81を常温に戻すと収縮するために軸部82が貫通孔84に嵌着し、羽根部81と軸部82が一体化する。
【0046】
なお、羽根部81と軸部82との一体化は、締まりばめに限るものではなく、溶接、接着、ボルト締結などであってもよい。
【0047】
また、本実施形態にて、羽根部81は、軸心方向に分割される複数の分割羽根81A,81B,81C,81D,81Eにより構成される。即ち、羽根部81の螺旋形状に合わせて鍛造や切削により5個の分割羽根81A,81B,81C,81D,81Eを製作し、各分割羽根81A,81B,81C,81D,81Eを周方向の角度を合わせて軸心方向に密着させ、貫通孔85に軸部82を嵌合して固定する。
【0048】
そして、この羽根部81は、タングステン合金により形成される。このタングステン合金は、例えば、タングステンヘビーアロイであり、タングステンを主成分とし、バインダー相をニッケル、銅、鉄などにより構成したタングステン基焼結合金である。このタングステン合金(タングステンヘビーアロイ)は、純タングステンと比較して切削加工が容易であり、高密度であることから放射線の遮へい能力に優れている。純タングステンの密度は、19.3g/cm
3であるが、本実施形態で使用するタングステン合金は、15g/cm
3〜18g/cm
3である。
【0049】
また、軸部82は、このタングステン合金の密度より低い密度の放射線遮へい材料としての鉄により形成される。この鉄の密度は、7.86g/cm
3であり、羽根部81を形成するタングステン合金の密度は、鉄の密度の2倍以上である16g/cm
3以上であることが望ましい。
【0050】
即ち、第1建屋11は、縦壁部22と天井部23が鉄で形成され、排気口28にタングステン合金で形成された羽根部81を有する遮へいダクト31が配置されている。この遮へいダクト31の羽根部81は、放射線遮へい機能を有する羽根本体83a,83b,83c,83dと、空気の流通部として機能する溝部84a,84b,84c,84dが必要となる。羽根本体83a,83b,83c,83dと溝部84a,84b,84c,84dの軸心方向の長さを同じにした場合、羽根部81を縦壁部22内に収納しようとすると、羽根本体83a,83b,83c,83dの軸心方向の長さは、縦壁部22の厚さの1/2となる。そのため、羽根本体83a,83b,83c,83dを鉄の2倍の密度であるタングステン合金により形成することで、遮へいダクト31を鉄製の縦壁部22と同等の遮へい機能を確保することができる。
【0051】
図1に示すように、第2建屋12の送風機45が作動すると、吸引力が第2建屋12から連結配管32を通して第1建屋11に作用する。すると、第1建屋11にて、放射性物質で汚染された外部の空気が天井部23の吸気口27から内部に取り込まれ、フィルタ装置24により空気に含まれる放射性の無機よう素、有機よう素、セシウムなどの放射性微粒子が捕集される。そして、放射性微粒子が捕集された空気は、配管29、排気口28の遮へいダクト31、連結配管32を通して第2建屋12に送られる。この第2建屋12にて、第1建屋11から送られた空気は、吸気部46から流入し、加熱装置44により加熱された後、送風機45により配管48、排気部47、連結配管49を通して第3建屋13に送られる。
【0052】
この第3建屋13にて、第2建屋12から送られた空気は、吸気口55の遮へいダクト58から流入し、微粒子フィルタ装置54により残留している放射性微粒子が捕集されて浄化され、配管57、排気口56の遮へいダクト59、連結配管60を通して次の第4建屋に送られる。
【0053】
この空気の浄化処理によりフィルタ装置24や微粒子フィルタ装置54に放射性微粒子が蓄積するため、このフィルタ装置24や微粒子フィルタ装置54から周囲に放射線が放射される。本実施形態では、各建屋11,13の縦壁部22,52及び天井部23,53が鉄製であることから、この放射線が減衰して遮蔽される。また、第1建屋11の吸気口27に遮へい部材30が設けられていることから、放射線が減衰して遮蔽される。更に、各建屋11,13の排気口28,56に遮へいダクト31,59が配置されると共に、第3建屋13の吸気口55に遮へいダクト58が設けられていることから、放射線が減衰して遮蔽される。
【0054】
即ち、
図2に示すように、第1建屋11の排気口28に配置された遮へいダクト31にて、ダクト用スクリュー62の中心を指向する放射線R1は、軸心方向に長い鉄製の軸部82により減衰される。また、ダクト用スクリュー62の中心から径方向にずれた軸心方向を指向する放射線R2は、密度の高いタングステン合金製の羽根部81により減衰される。更に、ダクト用スクリュー62の中心軸心に対して傾斜する方向を指向する放射線R3は、タングステン合金製の羽根部81と鉄製の軸部82により減衰される。即ち、排気口28は、遮へいダクト31により直線的な貫通部はなく、放射線は、タングステン合金製の羽根部81や鉄製の軸部82により適正に減衰されることとなる。
【0055】
なお、上述した遮へいダクト31は、この実施形態の構成に限定されるものではない。
図3及び
図4は、本実施形態のダクトの変形例を表す断面図である。
【0056】
図3に示すように、遮へいダクト31Aは、ダクト本体61とダクト用スクリュー62とから構成されている。ダクト本体61は、円筒形状をなし、縦壁部22の排気口28に嵌合して固定されており、ダクト用スクリュー62は、ダクト本体61の内部に配置されており、羽根部81と、軸部82とから構成されている。このダクト用スクリュー62は、ダクト本体61内に配置され、所定の位置に固定されている。そして、ダクト本体61の内周部とダクト用スクリュー62の羽根部81の外周部との間には、ダクト本体61の内周面と羽根部81の外周面との隙間を塞ぐ隙間閉塞部材91が設けられている。この隙間閉塞部材91は、ダクト本体61の内周面に沿う螺旋形状をなす板材であり、ダクト本体61の内周面に固定される。
【0057】
また、
図4に示すように、遮へいダクト31Bは、ダクト本体61とダクト用スクリュー62とから構成されている。ダクト本体61は、円筒形状をなし、縦壁部22の排気口28に嵌合して固定されており、ダクト用スクリュー62は、ダクト本体61の内部に配置されている。そして、羽根部81は、羽根本体83a,83b,83c,83dにより溝部84a,84b,84c,84d(
図6参照)が設けられている。第1建屋11は、内部に通電部として、例えば、制御機器などが配置されており、電源ケーブル92が外部から遮へいダクト31Bを通って通電部に接続されている。この電源ケーブル92は、ダクト用スクリュー62の溝部84a,84b,84c,84dを挿通している。なお、電源ケーブル92に代えて信号ケーブルなどの種々のケーブル類であってもよい。
【0058】
このように本実施形態のダクト用スクリューにあっては、外径が同径をなして螺旋形状をなすと共にタングステン合金により形成される羽根部81と、羽根部81の中心位置を貫通して配置されると共にタングステン合金の密度より低い密度の放射線遮へい材料
により形成される軸部82とを設けている。
【0059】
従って、螺旋形状をなす羽根部81をタングステン合金により形成することで、羽根部81により十分な放射線遮へい機能を確保することができ、軸部82をタングステン合金の密度より低い密度の放射線遮へい材料により形成することで、材料コストの上昇を抑制することができると共に設備の大型化を抑制することができる。
【0060】
本実施形態のダクト用スクリューでは、羽根部81の中心位置に貫通孔85を形成し、軸部82を貫通孔85に嵌合して締まりばめにより固定している。従って、羽根部81と軸部82とを容易に一体化することができ、製造コストを低減することができる。
【0061】
本実施形態のダクト用スクリューでは、羽根部81を軸心方向に分割される複数の分割羽根81A,81B,81C,81D,81Eにより構成している。従って、羽根部81の製作性を向上することができる。
【0062】
本実施形態のダクト用スクリューでは、軸部82を形成する放射線遮へい材料を鉄とし、タングステン合金の密度を鉄の密度の2倍以上に設定している。従って、羽根部81と軸部82により十分な遮へい機能を確保することができる。
【0063】
本実施形態のダクト用スクリューでは、羽根部81を
360度以上捩じった螺旋形状としている。従って、放射線のすり抜けを防止して適正に遮へいすることができる。
【0064】
また、本実施形態のダクトにあっては、円筒形状をなすダクト本体61と、ダクト本体61の内部に配置されるダクト用スクリュー62とを設けている。従って、螺旋形状をなす羽根部81をタングステン合金により形成することで、羽根部81により流体流通部を確保することができると共に十分な放射線遮へい機能を確保することができ、軸部82をタングステン合金の密度より低い密度の放射線遮へい材料により形成することで、材料コストの上昇を抑制することができると共に設備の大型化を抑制することができる。
【0065】
本実施形態のダクトでは、ダクト用スクリュー62の外周部とダクト本体61の内周部との間に隙間閉塞部材91を設けている。従って、隙間閉塞部材91によりダクト用スクリュー62とダクト本体61との隙間が閉塞されることとなり、遮蔽機能を向上することができる。
【0066】
また、本実施形態の放射性遮へい設備にあっては、放射線遮へい材料からなる縦壁部22,52及び天井部23,53により構成される建屋11,13と、建屋11,13の内部に配置されて放射性微粒子を捕集可能なフィルタ装置24,44と、建屋11,13に設けられる吸気口55及び排気口28,56と、吸気口55と排気口28,56に設けられる遮へいダクト31,58,59とを設けている。従って、汚染空気が吸気口55を通して建屋11,13内に流入すると、フィルタ装置24,44により放射性微粒子が除去された後、排気口28,56から排出される。このとき、フィルタ装置24,44に放射性微粒子が蓄積されることから、放射線が放射されるものの、この放射線は、縦壁部22,52及び天井部23,53により遮へいされると共に、吸気口55や排気口28,56に設けられる遮へいダクト31,58,59により遮へいされる。そのため、十分な遮へい機能を確保することができると共に、設備の大型化を抑制することができる。
【0067】
本実施形態の放射線遮へい設備では、第1建屋11の内部に通電部を配置し、電源ケーブル92を外部から遮へいダクト31を通して通電部に接続している。従って、放射線の遮へい機能を確保した上で、縦壁部22や天井部23を通して第1建屋11内の通電部に対して容易に電源ケーブル92を挿通することができる。また、電源ケーブル92を容易に交換することができる。