特許第6333807号(P6333807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6333807外部温度補償照明制御信号変調器を備えるLEDドライバ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6333807
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】外部温度補償照明制御信号変調器を備えるLEDドライバ
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   H05B37/02 Z
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-510927(P2015-510927)
(86)(22)【出願日】2013年5月8日
(65)【公表番号】特表2015-519702(P2015-519702A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】IB2013053695
(87)【国際公開番号】WO2013168104
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2016年5月2日
(31)【優先権主張番号】61/645,102
(32)【優先日】2012年5月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】アボ アンテネ アレム
(72)【発明者】
【氏名】リナルツ ジーン−パウル マリエ ジェラルド
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0308747(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDドライバを動作させるための装置であって、前記装置は、前記LEDドライバに結合され、
−制御信号であって、前記LEDドライバが制御信号に基づいてLEDの動作を制御できるように、前記LEDドライバの制御信号インレットに供給されようとする制御信号の値を取り込む入力部と、
−所定のプロトコルに従って前記制御信号を前記LEDドライバの機能を増やすよう変調して、変調された前記制御信号を同じ前記制御信号インレットに供給する変調器と
を含む、装置。
【請求項2】
前記変調器は取り込まれた前記制御信号の値に応じて前記制御信号を変調する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
所定の範囲内から前記所定の範囲外への前記制御信号の値の遷移を引き起こすトリガー手段を更に含み、前記制御信号の値の前記遷移は前記LEDドライバに前記制御信号の変調の開始及び/又は終了を示す、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記変調器は前記制御信号に対して開始パルス幅変調スキーム及び/又は終了パルス幅変調スキームを実行し、前記開始パルス幅変調スキームは、前記LEDドライバに前記制御信号の変調が開始されることを示し、前記終了パルス幅変調スキームは、前記LEDドライバに前記制御信号の変調が終了することを示す、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は前記LEDドライバを、
−前記LEDドライバが非変調制御信号に応じてLEDを制御する通常状態で動作し、
−前記LEDドライバが前記変調制御信号に応じてLEDを制御する動的状態で動作するよう制御する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記変調器に結合される制御インターフェイスを更に含み、前記制御インターフェイスは、
−前記LEDドライバの環境から発生する外部制御信号を受信し、
−受信された前記外部制御信号に応じて前記制御信号の変調を制御する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記制御インターフェイスは赤外線センサを含み、前記外部制御信号は赤外線信号を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記変調器はスイッチングアレイを含み、
−前記スイッチングアレイは、複数の制御可能なスイッチを含み、前記複数の制御可能スイッチのスイッチング状態に応じて複数の制御状態のうちの特定の制御状態に設定され、
−前記複数の制御状態はそれぞれ特定の制御信号の値をもたらし、
−前記変調器は前記外部制御信号に応じて前記スイッチングアレイを特定の制御状態にする、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
LEDを駆動するためのLEDドライバユニットであって、前記LEDドライバユニットはLEDドライバと、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置とを含む、LEDドライバユニット。
【請求項10】
前記LEDドライバが前記装置によって生成される前記変調制御信号に応じて前記LEDを制御できるよう、前記LEDドライバのプログラム可能内部制御回路は前記所定のプロトコルに適合される、請求項9に記載のLEDドライバユニット。
【請求項11】
前記装置は前記LEDドライバのアナログ−デジタルコンバータを介して前記LEDドライバに動作的に接続され、前記アナログ−デジタルコンバータは前記変調又は非変調制御信号を受信し、受信された前記変調又は非変調制御信号に応じて前記内部制御回路にデジタル制御信号を供給する、請求項10に記載のLEDドライバユニット。
【請求項12】
前記LEDドライバは、所定の範囲の内外をまたぐ前記制御信号の値の遷移を検出し、かかる遷移が発生する場合、前記LEDドライバの前記内部制御回路に比較器出力信号を供給する比較器を含み、前記比較器出力信号は前記制御信号の変調の開始又は終了を示す、請求項10に記載のLEDドライバユニット。
【請求項13】
前記LEDドライバは、前記内部制御回路に割り込み信号を供給するタイマーを含み、
−前記LEDドライバは、前記割り込み信号が非アクティブな場合、LEDが非変調制御信号に応じて制御される通常状態で動作し、
−前記LEDドライバは、前記割り込み信号がアクティブな場合、LEDが前記変調制御信号に応じて制御される動的状態で動作する、請求項10に記載のLEDドライバユニット。
【請求項14】
LEDドライバの動作方法であって、前記方法は、
−制御信号であって、前記LEDドライバが、前記制御信号に基づいてLEDの動作を制御できるように、前記LEDドライバの制御信号インレットに供給されようとする制御信号の値を取り込むステップと、
−所定のプロトコルに従って前記制御信号を前記LEDドライバの機能を増やすよう変調するステップと、
−前記変調された制御信号を同じ前記制御信号インレットに供給するステップと
を含む、方法。
【請求項15】
LEDドライバを動作させるためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムが前記装置を制御するコンピュータ上で実行されると、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置に請求項14に記載の方法のステップを実行させることができるプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)を動作させるための装置、LEDドライバの動作方法、LEDドライバを動作させるためのコンピュータプログラム、及びLEDドライバユニットを対象とする。特に、本発明は、従来のLEDドライバに特徴を追加するための信号重畳技術に関する。
【背景技術】
【0002】
US2011/0199013A1はLEDアレイを制御するためのLEDドライバを開示する。LEDアレイの温度を測定する温度センサは、LEDドライバに結合され、対応する測定温度値を供給する。LEDドライバは測定温度値に応じてLEDアレイを制御することができる。測定温度値は、LEDアレイの温度が周囲温度とは無関係に一定に保たれるようLEDドライバがLEDアレイを動作させることを可能にする制御信号として働く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の一つの目的は、LEDドライバの機能を増やすことである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の側面において、LEDドライバを動作させるための装置であって、装置は、LEDドライバに結合され、
−制御信号の値を取り込む入力部であって、供給される制御信号に基づいてLEDドライバがLEDの動作を制御できるようLEDドライバの制御信号インレットに制御信号が供給される、入力部と、
−所定のプロトコルに従って制御信号を変調して、変調された制御信号を同じ制御信号インレットに供給する変調器と
を含む、装置が提示される。
【0005】
本発明は、LEDの固有の挙動のために、対応するLEDドライバが、長寿命及び良好な光の質の両方を達成できるようLEDを制御することを可能にするドライバエレクトロニクスを含むことを要求されるという認識を含む。また、かかる従来のLEDドライバ内に使用される内部制御回路は、更なる機能/特徴を追加することによるアップグレードをどちらかと言えば複雑且つ高価にする所定のインターフェイスを通常含むことを認識した。既存のLEDドライバの効率的なアップグレードは特に困難である。なぜなら、一方には例えば制御チャネルの数及び/又はスペクトル組成が異なる多様なLEDトポロジーがあり、他方には多様なアプリケーションがあるからである。例えば、一部のドライバはLEDの調光(減光)を可能にする一方、他のドライバはLEDが発する光の色を調整できる。
【0006】
今日、LEDドライバは、最終的な適合プロセスの複雑さを抑えるプログラム可能汎用集積回路(IC)を通常備えることを認識した。例えば、このような汎用ICは対応する照明製造プロセスの最終段階でプログラミングされる。
【0007】
しかし、インターフェイスの利用可能性については依然として大きな制約がある。言い換えれば、LEDドライバに供給できる入力信号の数が限られている。このため、既存のLEDドライバに新たな特徴を組み入れることは困難である。結局は、むしろ、新しい入力信号に応じたLEDの制御を可能にする全く新しいLEDドライバを設計することが必要になろう。
【0008】
本発明は、更に、LEDドライバのICがはるかに速く変化する入力信号を感知できるのにも関わらず、既存のLEDドライバがスロー(ゆっくりとした)ダイナミクス、例えばLEDドライバが実装される基板のブリッジの温度によって制御信号をモニタリングするための入力部を有するという認識を含む。
【0009】
提案されるLEDドライバを動作させるための装置(以下、単純に装置とも呼ばれる)は、従来技術の上記欠点を克服する。
【0010】
概して言えば、装置は、非変調制御信号と同じ制御信号インレットに、すなわち、本来は(一次的には)異なる用途に使用されるインターフェイスに供給される生成変調制御信号によって新たな制御情報を導入することを可能にする。LEDドライバの一次機能がスローダイナミック非変調制御信号に応じて実行されるという事実は、比較的ハイダイナミックな信号を重畳させることが既存のLEDドライバの意図的用途を妨げないことを示唆する。したがって、装置は既存のLEDドライバの一次的な使用ケースを維持する。結果として、従来のLEDドライバのアプリケーションスコープを拡張することができる。言い換えれば、既存の内部センサインターフェイスを使用することにより、LEDドライバに外部制御情報を直接導入することができる。
【0011】
集積回路のプログラム可能特徴を利用して、一方ではLEDドライバの元々の意図された機能を維持しつつ、他方ではLEDドライバ、すなわち照明ソリューションに新たな特徴を追加することを可能にする信号重畳技術と組み合わせることにより、インターフェイス制約が回避される。この特徴の追加を実行可能たらしめるためには、LEDドライバ全体を完全に再設計する必要はない。したがって、低コスト且つ複雑さが低いアプリケーションスコープ拡張を達成することができる。
【0012】
例えば、手動のリモートコントロールに応じて又は自動の昼光センサ信号に応じて制御信号を変調することにより、既存のLEDドライバに調光機能を組み込むことができる。
【0013】
上述したように、LEDドライバの制御信号インレットから供給される非変調制御信号は、通常、スローダイナミクス、例えば基板の温度の信号である。かかる温度は定電流/定電圧が供給されるNTC/PTC抵抗器における電圧/電流を求めることにより測定され得る。例えば、それ未満ではLEDがオフにされる所定の最小温度が存在し、それ以上ではLEDが同様にオフにされる所定の最大温度が存在する。したがって、LEDドライバの一次機能は、温度が最大温度を超える場合又は最小温度を下回る場合にLEDを停止する又は動作電流を下げることであり得る。LEDドライバはこれらの限界温度に対応する電圧/電流値間の範囲内で制御信号を読み取る。この監視は、以下でより詳細に説明されるように、変調制御信号によって新たな制御情報を伝えるために内部制御回路によって検出可能なイベントを生成する信号重畳プロトコルを展開するために使用され得る。
【0014】
変調器は所定のプロトコルに従って制御信号を変調して、LEDドライバに供給される変調制御信号を生成する。したがって、所定のプロトコルは制御信号が如何に変調されるかを指定する。例えば、プロトコルはパルス幅変調スキーム、振幅変調スキーム、及び/又は周波数変調スキームを規定する。制御信号の変調には様々な可能性が存在する。
【0015】
例えば、変調器は制御信号にデジタル又はアナログ信号を加えることにより制御信号を変調する。また、変調器はパルス幅/デューティ比、周波数、及び/又は振幅等の特徴の1つ以上を変化(変動)させることにより制御信号を変調してもよい。
【0016】
例えば、装置は、制御信号を変調器からの変調出力信号と組み合わせる信号コンバイナを介してLEDドライバに結合される。LEDドライバに供給される生成された変調制御信号は、それに基づいて例えば出射光の強度を変えることによって及び/又は出射光のスペクトルを変えることによってLEDドライバがLEDを制御する制御コマンドを含んでもよい。
【0017】
本発明の説明の範囲においては、用語「制御信号」は、検知される制御信号に応じてLEDドライバがLEDの動作を制御できるよう、特定の制御信号インレット、例えばLEDドライバの集積回路に属するピンからLEDドライバが検知する信号を指す。例えば、制御信号はLEDの動作を制御するためにLEDドライバによって従来使用される信号、すなわち従来のLEDドライバ内に既に存在するベーシックな制御信号である。したがって、制御信号はLEDドライバが実装される基板の温度、駆動されるLED/LEDアレイの温度、ON/OFFコマンド、環境内の光強度、負荷電流/負荷電圧を示し得る。制御信号は例えばLEDドライバのハウジング内で発生してもよいが、かかるハウジングの外部から来てもよい。
【0018】
LEDドライバが変調制御信号に応じてLEDの動作を制御できるよう、LEDドライバの集積回路も所定のプロトコルに適合されることが通常好ましい。かかる適合は通常、ごくわずかなソフトウェア/ファームウェアアップデートを要する。例えば、変調がパルス幅変調により実行される場合、変調制御信号を解釈するためにタイマーに基づくイベントが使用されてもよい。あるいは又は更に、変調が振幅変調の場合、変調制御信号を解釈するために、調整可能な閾値を有する比較器を使用してもよい。通常、従来のLEDドライバ内には少なくともタイマー及び/又は比較器が存在する。
【0019】
例えば、装置によって動作されるLEDドライバの構成は、Cirrus LogicによるLEDドライバCS1610の構成に対応する。かかるLEDドライバはタイマー、比較器、アナログ−デジタルコンバータ、及び/若しくはデジタル−アナログコンバータ、又はこれらの任意の組み合わせ等の上記適合を可能にするハードウェア資源を有する。
【0020】
一実施形態では、装置の変調器は取り込まれる制御信号値に応じて制御信号を変調するよう構成される。
【0021】
信号重畳フォーマット、すなわち所定のプロトコルを展開するとき、及び、後続の段落で説明されるような機能不良モードを排除するためには、一次制御機能についての認識、すなわち非変調内部制御信号に依存するLEDドライバの動作についての認識は有益である。しかし、LEDドライバの通常/一次動作モード中、制御信号の実際の値は重畳プロセス、すなわち変調プロセスにとって必須ではない。むしろ、制御信号は単純にドライバに伝送される。
【0022】
好ましくは、変調器は、取り込まれた制御信号値が所定の範囲内にある場合にのみ制御信号を変調し、取り込まれた制御信号値が所定の範囲外にある場合、制御信号を変調しないよう構成される。例えば、LEDドライバが実装されている基板又は駆動されるLED/LEDアレイの構成要素の温度を示す温度値の超過により、非変調制御信号がLEDが動作されるべきではないことをLEDドライバに示すことが考えられる。例えば、非変調制御信号はLEDを動作させるには基板の温度が高過ぎる又は低過ぎることを示す。このような場合、制御信号が変調されないままであることが得策であり得る。これにより、LEDの損傷を避けることができる。
【0023】
所定の範囲はプロトコル内に指定され得る。
【0024】
取り込まれた制御信号値に基づく制御信号の変調はフィードバック制御の実行を可能にするので、更に好適である。これにより、変調器は制御信号をより正確に変調できる。
【0025】
他の実施形態では、装置は、所定の範囲内から所定の範囲外への制御信号値の遷移を引き起こすトリガー手段を更に含み、制御信号値の遷移はLEDドライバに制御信号の変調の開始及び/又は終了を示す。
【0026】
トリガー手段は変調器の一体的部分であり得る。
【0027】
装置のトリガー手段は、制御信号値を素早く所定の範囲の下限値より十分低く引き下げることにより、又は、制御値を素早く所定の範囲の上限値より十分高く押し上げることによりLEDドライバに通知を行う。このイベントは、いくらかの所定の時間間隔の後、新たなコマンドが発生することをLEDドライバに知らせる。
【0028】
好ましくは、トリガー手段は、制御信号値の強制遷移が例えば温度変化によって引き起こされる制御信号値の自然な遷移とは明らかに異なるよう、制御信号値の比較的速い遷移を引き起こすよう構成される。例えば、制御信号は基板の温度、又は通常経時的に比較的ゆっくりと変化する任意の他のモニタリングパラメータに対応する電圧である。所定の範囲内の制御信号値から所定の範囲外への遷移は、例えば数ミリ秒内に起こり得る。好ましくは、トリガー手段は100ms未満で内部制御信号値の遷移を引き起こすよう構成される。
【0029】
制御信号が温度、例えばLEDドライバ/LED/LEDアレイが実装される基板の温度を示す上記実施形態では、非変調内部制御信号のダイナミクス、すなわち変化の速度は、LEDシステム全体の熱設計、適用される冷却方式、及び/又はヒートシンクのサイズに依存する。温度変化は新しい制御信号値に落ち着くまでに、例えば数秒から数分要し得る。これは重畳信号、すなわち変調された内部制御信号の速い遷移を導入するのに十分遅い。好ましくは、トリガー手段及び変調器は重畳情報、すなわち変調制御信号内に符号化される情報を、LEDアプリケーションのレイテンシ要件、すなわち駆動されるLEDドライバにおいて存在する時間制約も満たすために十分速く伝送するよう構成される。
【0030】
好ましくは、トリガー手段は、
−制御信号値を、LEDドライバに制御信号の変調が開始されることを示す、所定の範囲より低い又は高い第1のレベルにするよう構成され、且つ/又は、
−制御信号値を、LEDドライバに制御信号の変調が終了することを示す、所定の範囲より高い又は低い第2のレベルにするよう構成される。
【0031】
上記したように、トリガー手段は制御信号値を比較的速く所定の範囲から外すよう構成される。かかる制御信号の強制遷移はLEDドライバによって容易に検出され得る。制御信号の2つの遷移中、装置は制御信号を変調でき、よって情報、特に制御情報をLEDドライバに伝えることができる。
【0032】
他の実施形態では、変調器は制御信号に対して開始パルス幅変調スキーム及び/又は終了パルス幅変調スキームを実行し、開始パルス幅変調スキームは、LEDドライバに制御信号の変調が開始されることを示し、終了パルス幅変調スキームはLEDドライバに制御信号の変調が終了することを示す。
【0033】
この実施形態では、LEDドライバは代わりに又は追加で特定の変調スキームによって変調の開始又は終了について通知を受けてもよい。かかる変調スキームを認識するために、LEDドライバは対応するタイマー、又はパルス幅変調スキームを検出可能な検出器を備えてもよい。
【0034】
ある好ましい一実施形態では、装置はLEDドライバを、
−LEDドライバが非変調制御信号に応じてLEDを制御する通常状態で動作し、
−LEDドライバが変調制御信号に応じてLEDを制御する動的状態で動作するよう制御する。
【0035】
例えば、装置は制御信号に対して例えば開始パルス幅変調スキームを実行することにより、又は制御信号を所定の範囲より高くさせることにより、LEDドライバに制御信号が変調され、LEDドライバに制御情報が伝えられることを示してもよい。この状態では、LEDドライバは、LEDが変調制御信号に応じて制御される動的状態にあると考えられる。
【0036】
LEDドライバが動的状態で動作する場合であっても、非変調制御信号の情報は必ずしも失われるわけではないことを強調する。例えば、制御信号がLEDドライバの基板の温度を示す電圧レベルである場合、変調制御信号の平均値が非変調制御信号の平均値に等しくなるよう、制御信号が変調されてもよい。したがって、一実施形態では、変調器は、非変調制御信号内に含まれる情報が保持され、更に制御信号インレットから供給されるよう制御信号を変調するべく構成される。
【0037】
他の好ましい実施形態では、装置は、変調器に結合される制御インターフェイスを更に含み、制御インターフェイスは、
−LEDドライバの環境から発生する外部制御信号を受信し、
−受信された外部制御信号に応じて制御信号の変調を制御する。
【0038】
この実施形態では、LEDドライバによって動作するLEDを外部制御できる。変調器が受信される外部制御信号に応じて制御信号の変調を実行できるよう、制御インターフェイスは変調器に結合される。
【0039】
一実施形態では、制御インターフェイスは光センサを含み、外部制御信号はLEDドライバの環境内で起こる光の変化によって誘導され得る。したがって、環境が比較的暗い場合はLEDが自動的にオンにされ、環境が自然に比較的明るい場合はLEDが再びオフにされてもよい。これにより、既存のLEDドライバに昼光制御を加えることができる。
【0040】
例えば、光センサは光レベル/強度を示す1つのデータ、例えば255の光レベルのうちの1つを示すバイト等を送るデジタルセンサである。あるいは、光センサは光レベルを示す電圧値を送るアナログセンサである。
【0041】
他の変形例では、制御インターフェイスは赤外線センサを含み、外部制御信号は赤外線信号を含む。この実施形態は、例えばリモートコントロールを介するLEDの制御を可能にする。単純なオン/オフ機能の他、調光機能を実行することもできる。例えば、リモートコントロールによって制御インターフェイス、すなわち赤外線センサに調光制御信号が送信でき、装置の変調器は赤外線センサによって受信された信号に応じて制御信号を変調する。変調された制御信号は、LEDが発する光の強度を上げるよう又はLEDが発する光の強度を下げるようLEDドライバに命令する。
【0042】
好ましくは、制御インターフェイス及び変調器は一体的なデバイス内に実装される。
【0043】
他の実施形態では、制御インターフェイスは存在検出センサ、例えばパッシブ赤外線感知(passive infrared sensing;PIR)によって動作するモーション検出センサによって実現される。これにより、自動ON/OFF制御が実現され得る。モーション検出は温度センサによって実行されてもよい。したがって、監視領域が人によって占有されていない場合、制御信号は、LEDドライバにLEDをオフにさせる、又はLEDが発する光の強度を特定の低い光レベルに下げさせるレベルに引き下げられる又は押し上げられる。存在検出センサによって監視される領域が人/動物/物体によって占有されている場合、存在検出センサは変調器にLEDドライバがLEDをオンにするよう制御信号を変調させることを命令する。
【0044】
好ましくは、照明を起動するとき、モーション検出信号は存在受容(occupancy acceptance)のために100ms未満の時間で変調器に到達する。
【0045】
他の好ましい実施形態では、変調器はスイッチングアレイを含み、
−スイッチングアレイは複数の制御可能なスイッチを含み、複数の制御可能スイッチのスイッチング状態に応じて複数の制御状態のうちの特定の制御状態に設定され、
−複数の制御状態はそれぞれ特定の制御信号値をもたらし、
−変調器は外部制御信号に応じてスイッチングアレイを特定の制御状態にする。
【0046】
この実施形態は、制御可能信号の複雑性が低い及び単純な変調を可能にする。例えば、スイッチングアレイが光センサ及び/又は赤外線センサ等の他のセンサ、並びにLEDドライバの動作電圧に結合される。制御インターフェイス、すなわちセンサの出力信号がスイッチングアレイの入力側に結合され、スイッチングアレイの出力側はLEDドライバの制御信号インレットに結合される。
【0047】
制御インターフェイスが電圧等のアナログ出力信号を供給するアナログセンサを含む場合、この実施形態は特に好ましい。この場合、変調器はこのアナログ電圧をLEDドライバの制御信号インレットに直接結合してもよいし、アナログセンサ出力信号に別のアナログ信号を加えることによって又はアナログセンサ出力信号から別のアナログ信号を差し引くことによって間接的に結合してもよい。
【0048】
例えば、変調器は動作電圧からセンサ出力電圧を減算して、対応する差電圧をLEDドライバの制御信号インレットに供給してもよい。
【0049】
また、変調器が、所定のプロトコルに従って複数の制御可能スイッチをスイッチングすることによって、センサ出力信号に応じて複数の制御可能スイッチを用いてパルス幅変調を実行してもよい。したがって、振幅を変調させることによってだけではなく、周波数及び/又はパルス幅を変調させることによっても制御情報をLEDドライバに伝えることができる。
【0050】
概して言えば、変調器は制御信号のパラメータである周波数、振幅、パルス幅のうちの1つ以上を変調するよう構成されることが好ましい。例えば、変調器は制御信号上にアナログ又はデジタル信号を重ねることによってかかる変調を実行するよう適合される。
【0051】
本発明の第2の側面では、LEDを駆動するためのLEDドライバユニットが提供され、LEDドライバユニットはLEDドライバと、本発明の第1の側面に係る装置とを含む。
【0052】
当該装置により、LEDドライバユニットは拡張されたアプリケーション範囲を呈する。
【0053】
好ましくは、LEDドライバが装置によって生成される変調制御信号に応じてLEDを制御できるよう、LEDドライバのプログラム可能内部制御回路は所定のプロトコルに適合される。言い換えれば、LEDドライバが装置によって生成される変調制御信号に応じてLEDを制御することができるよう、LEDドライバは変調制御信号を復調するよう構成された復調器を備えることが好ましい。
【0054】
通常、従来のLEDドライバモジュールは指定の適合に必要なハードウェア資源を既に備える。かかるハードウェア資源は、例えばタイマー、アナログ−デジタルコンバータ(ADC)、比較器、及び/若しくはデジタル−アナログコンバータ(DAC)、又はこれらの任意の組み合わせであり得る。このような構成要素は、LEDドライバが変調制御信号に応じてLEDを制御することができるよう容易に構成され得る。
【0055】
例えば、LEDドライバが変調器によって引き起こされる遷移を認識するよう、LEDドライバの比較器は1つ以上の特定の閾値を用いてプログラミングされ得る。LEDドライバのタイマーは、LEDドライバの内部制御回路が変調制御信号に応じてLEDを制御するよう割り込みを発生させるべくプログラミングされ得る。したがって、タイマーからの割り込みに基づき、内部制御回路は制御信号を読み取り、これを非変調制御信号又は変調制御信号の値として解釈する。従来のLEDドライバが変調制御信号を取り扱いそれに対応してLEDを制御し得るよう従来のLEDドライバを容易に適合させる様々な可能性が存在する。
【0056】
好ましい一実施形態では、装置はLEDドライバのアナログ−デジタルコンバータを介してLEDドライバに動作的に接続され、アナログ−デジタルコンバータは変調又は非変調制御信号を受信し、受信された信号に応じて内部制御回路にデジタル制御信号を供給する。
【0057】
他の実施形態では、LEDドライバは、所定の範囲の内外をまたぐ制御信号の値の遷移を検出し、かかる遷移が発生する場合、LEDドライバの内部制御回路に比較器出力信号を供給する比較器を含み、比較器出力信号は制御信号の変調の開始又は終了を示す。
【0058】
他の実施形態では、LEDドライバは、内部制御回路に割り込み信号を供給するタイマーを含み、
−LEDドライバは、割り込み信号が非アクティブな場合、LEDが非変調制御信号に応じて制御される通常状態で動作し、
−LEDドライバは、割り込み信号がアクティブな場合、LEDが変調制御信号に応じて制御される動的状態で動作する。
【0059】
本発明の第3の側面では、LEDドライバの動作方法であって、
−制御信号の値を取り込むステップであって、制御信号はLEDドライバの制御信号インレットに供給され、LEDドライバが供給される制御信号に基づいてLEDの動作を制御することを可能にする、ステップと、
−所定のプロトコルに従って制御信号を変調するステップと、
−変調された制御信号を同制御信号インレットに供給するステップと
を含む、方法が提示される。
【0060】
本発明の第3の側面の方法は、本発明の第1の側面の装置の利点を共有する。
【0061】
本発明の第4の側面では、LEDドライバを動作させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータプログラムが装置を制御するコンピュータ上で実行されると、本発明の第1の側面に係る装置に本発明の第2の側面に係る方法のステップを実行させるためのプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラムが提供される。
【0062】
本発明の第4の側面のコンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに又は他のハードウェアの一部として供給される光学記憶媒体又はソリッドステート媒体等の適切な媒体によって記憶/供給され得るが、他の形態で、例えばインターネット又は他の有線若しくは無線通信システム等を介して供給されてもよい。
【0063】
本発明の第1の側面の装置、本発明の第2の側面のLEDドライバユニット、本発明の第3の側面の動作方法、及び本発明の第4の側面のコンピュータプログラムは、同様の及び/又は同一の好ましい実施形態、特に従属請求項に記載されるような好ましい実施形態を有することを理解されたい。
【0064】
また、本発明の好ましい一実施形態は、従属請求項と独立請求項との任意の組み合わせであり得ることを理解されたい。例えば、装置が上記トリガー手段と、制御信号に対して上記開始パルス幅変調スキーム及び上記終了パルス幅変調スキームを実行可能な変調器との両方を含むことは好ましい。通常、装置がLEDドライバを上記通常状態又は上記動的状態に設定できることは好ましい。また、トリガー手段に加えて、及び/又は上記開始/終了パルス幅変調スキームを実行可能な特定の変調器に加えて、好ましくは上記制御インターフェイスが存在することを理解されたい。
【0065】
本発明の第2の側面のLEDドライバユニットに関して、LEDドライバユニットは好ましくは上記比較器及び上記タイマーを含むことを理解されたい。
【0066】
本発明は一般的にLEDドライバが存在する如何なる場所/場面にも適用でき、特に照明制御等のホームアプリケーションにおいて、自動車アプリケーションにおいて、例えば室内又は屋外照明を制御するための既存のLEDドライバに昼光制御を加えるために、及び一般電子器全般に適用され得る。また、本発明は、ピンの数が少ないためにインターフェイスアクセスが制限される他の低コストのマイクロコントローラベースソリューションにも適用され得る。
【0067】
単一の制御信号のみを変調する代わりに、一実施形態では、変調器は複数の制御信号を取り込み変調することができる。本発明は1つだけの制御信号の変調に制限されない。
【0068】
本発明の上記及び他の側面は、下記の実施形態を参照して説明され、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1図1は、従来技術に係る従来のLEDドライバの回路トポロジーの表現を概略的且つ例示的に示す。
図2図2は、本発明の第1の側面に係るLEDを駆動するための装置の第1の実施形態の表現を概略的且つ例示的に示す。
図3図3は、本発明の第1の側面に係るLEDを駆動するための装置の第2の実施形態の表現を概略的且つ例示的に示す。
図4図4は、本発明の第1の側面に係るLEDを駆動するための装置の第3の実施形態の表現を概略的且つ例示的に示す。
図5図5は、本発明の第2の側面に係るLEDドライバユニットの第1の実施形態の表現を概略的且つ例示的に示す。
図6図6は、本発明の第2の側面に係るLEDドライバユニットの第2の実施形態の表現を概略的且つ例示的に示す。
図7図7は、本発明の第2の側面に係るLEDドライバユニットの第3の実施形態の表現を概略的且つ例示的に示す。
図8図8は、LEDドライバの動作方法の第1の実施形態を示すフローチャートを例示的に示す。
図9図9は、LEDドラバの動作方法の他の実施形態を示すフローチャートを例示的に示す。
図10図10は、非変調制御信号の経時的な傾向を示すグラフを例示的に示す。
図11図11は、変調制御信号の経時的な第1の傾向を例示的に示す。
図12図12は、変調制御信号の経時的な第2の傾向を例示的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0070】
図1は、従来技術に係るLEDドライバ100の回路トポロジーの表現を概略的且つ例示的に示す。LEDドライバ100は1つ以上のLED120の動作を制御する。LEDドライバ100は商用電源インターフェイス180を介して電源182に結合され、最終的にLED120に所定の電流及び/又は所定の電圧を供給する電力変換ステージ140の動作を制御するプログラム可能集積回路160を含む。
【0071】
従来、LED120の動作はスローダイナミック制御信号164によって制御される。図1に示す例では、制御信号164は、集積回路160とグランド102との間に結合されるNTC(negative temperature coefficient)抵抗器162を介して生成される。当然ながら、制御信号は他のセンサ、例えばPTC(positive temperature coefficient)抵抗器を介して生成することもできる。
【0072】
LEDドライバ100の制御信号インレット105には電圧Vが与えられる。電圧V、すなわち制御信号164の値は、LEDドライバ100が実装されている基板(図示無し)の温度を示す。
【0073】
図10に非変調(変調されていない)制御信号164の値の例示的な傾向を示す。これによれば、制御信号164の値が所定の範囲R20内、例えば例示的温度80°Cに対応する電圧値と例示的温度20°Cに対応する電圧値との間にある場合、LEDドライバ100は通常動作状態にある。言い換えれば、LED120には制御信号164の値に応じた電流/電圧が供給される。電圧Vが上限温度を示す値VHIGHを超える場合(領域R30)、又は、電圧が下限温度を示す電圧レベルVLOWを下回る場合(領域R10)、LEDドライバ100はこの異常温度範囲に反応し、これに対応してLED120の動作を制御する。例えば、電圧Vが範囲R30内にある場合、LED120はオフにされてもよいし、又はLED電流が著しく下げられてもよい。
【0074】
図2は、従来のLEDドライバ100を動作させるための装置200の第1の実施形態を示す。装置200は動作電圧184(VCC)及びグランド102に結合される。装置200は更に、制御信号164の値を取り込む入力部202を備える。装置200は、所定のプロトコルに従って制御信号164を変調し、同じ制御信号インレット105から変調(変調された)制御信号164を供給することができる変調器210を備える。例えば、変調器は制御信号164上にデジタル又はアナログ信号を重ねる。更に又は代わりに、変調器210は制御信号164の周波数、振幅、及び/又はパルス幅を変調する。LEDドライバが変調制御信号に応じてLED120の動作を制御できるよう、従来のドライバのプログラム可能集積回路160も所定のプロトコルに適合される。
【0075】
装置200は更に、変調器210に結合され、LEDドライバの環境から発生する外部制御信号256を受信する制御インターフェイス250を備える。制御インターフェイス250は受信された外部制御信号を用いて変調を制御する。したがって、制御インターフェイス250は変調器210に制御インターフェイス出力信号258を供給する。下記でより詳細に説明されるように、かかる制御信号はLEDドライバの環境内で起こる光の変化及び/若しくは物体の存在によって引き起こされる温度変化、又は赤外線信号に起因し得る。制御インターフェイスはかかる外部制御信号を変調器制御信号に変換することにより変調を制御する。
【0076】
図11及び図12は変調制御信号164の傾向を示す。図11及び図12に示されるグラフの全体構成は、図10に示されるグラフの構成に本質的に対応する。制御信号164を変調する前に、変調器200は、所定の範囲R20内から所定の範囲の範囲外(図11及び図12では領域R10)への制御信号値の比較的速い遷移を引き起こす。かかる制御信号値の比較的速い遷移は、LEDドライバ100に制御信号164の変調の開始を示す。変調の開始を示すための制御信号164の比較的速い遷移は時間tにおいて起こる。図11の例では、変調器210は制御信号164にパルス幅変調スキームを実行し、これによりLEDドライバ100にデータ、すなわち制御コマンドを伝える。例えば、特定のパルス幅変調は、LED120が発する光の強度を上昇又は減少させるようLEDドライバ100に命令する調光コマンドを含み得る。
【0077】
図12の例では、変調器は制御信号164の振幅を変化させることによりLEDドライバ100にデータを伝える。図11及び図12に係る例のいずれにおいても、制御信号の変調は時間区間t<t<t内に起こる。
【0078】
制御信号164の変調の終了を示すために、変調器210は、所定の範囲内(R20)から所定の範囲外への制御信号164の値の比較的速い遷移を引き起こす。この比較的速い遷移は時間tにおいて起こる。図11及び図12に係る例では、後者の遷移は、制御信号値を所定の範囲R20を十分に超えて範囲R30内まで押し上げることにより起こる。その後、LEDドライバ100は非変調制御信号164に応じてLED120の動作を制御する。
【0079】
図3は、LEDドライバを動作させるための装置の他の実施形態を示し、本実施形態では、例えばリモコン(図示無し)によって送信される赤外線信号の形態の外部制御信号256を受信する赤外線受信機によって制御インターフェイス250が実現される。制御インターフェイス250は制御インターフェイス出力信号258を変調器210に供給する。図3に示す実施形態によれば、変調器200はゲートドライバ214によって制御されるトランジスタ212を含み、ゲートドライバ214は制御インターフェイス出力信号258によって制御される。この単純な構成では、装置200は独自のロジックを有する必要はなく、外部制御信号256によって完全に制御される。したがって、制御信号164の変調を決定するプロトコルは装置200内にプログラミングされず、例えば、装置200に外部制御信号256を送信するリモコン上にプログラミングされる。
【0080】
図4に示す他の実施形態では、変調器210は複数のスイッチS0、S1、S2、S3、S4を含むスイッチングアレイ222を制御するための独自の論理制御220、例えばシーケンサを備える。スイッチングアレイ222は、制御インターフェイス250、動作電圧VCC、及び制御信号インレット105を互いに相互接続する。この実施形態では、制御インターフェイス250は光センサ252及び1つ以上の他のセンサ254を含む。これにより、昼光制御が実行され得る。昼光に応じて生成される制御インターフェイス出力信号258がスイッチングアレイ222に供給される。制御信号164が変調されないままであるべき場合、論理制御220はスイッチS1のみを閉じ、図4に示される他のスイッチを開状態に保つ。制御信号164の変調が開始されることをLEDドライバ100に知らせるために、論理制御220はスイッチS4又はS0のいずれかを短時間閉じて、範囲R10又は範囲R30における制御信号値の素早い遷移を引き起こしてもよい。かかる指示が発生した後、論理制御220はスイッチS3のみを閉じ、これにより光センサ252の出力信号をLEDドライバの制御信号インレット105から供給してもよい。光センサ252の実際の構成に応じて、周囲昼光に依存する単純なオン/オフ機能が実行されてもよいし、又は、光センサ252は、昼光に応じてLED120が発する光の強度を制御するようLEDドライバに命令する出力信号を供給してもよい。他のセンサ254は、例えば関連付けられた領域を監視して、監視領域内の物体の有無(存在/不在)に応じて出力信号を供給する存在センサ(人感センサ)でもよい。スイッチS2のみを閉じて残りのスイッチを開いたままにすることにより、変調器210は、論理制御220を用いることにより、LEDドライバ100の制御信号インレット105から他の信号254の出力信号を供給することができる。センサ252及び254は、LEDドライバ100の使用目的に応じて任意の種類のものであり得る。
【0081】
図5は、LEDドライバユニット400の一実施形態の例示的な構成を示す。LEDドライバユニット400は、LEDドライバ300、及びLEDドライバ300を駆動するための装置200を備える。
【0082】
装置200は図2図3、及び図4に関連して既に説明されているので、再度の説明は避ける。装置200は入力部202を介してLEDドライバ300の内部センサ362に結合される。装置200の変調器210は、制御信号インレット305への出力部208を介して、変調制御信号又は非変調制御信号のいずれかをLEDドライバに供給する。
【0083】
LEDドライバユニット400のLEDドライバ300は従来の構成を有する。(変調又は非変調)制御信号はアナログ−デジタルコンバータ(ADC)330に供給される。CPU360は、ADC制御信号338を介してADC330を制御し得る。ADC330はアナログ制御信号をデジタル制御信号334に変換し、デジタル信号334を中央処理装置(CPU)360に供給する。また、制御信号はLEDドライバ300の比較器340にも供給される。CPU360は、デジタル−アナログコンバータ(DAC)350を介して上記所定の範囲を定める閾値THR1及びTHR2を設定することにより比較器340を制御するようプログラミングされてもよい。
【0084】
図11及び図12に関連して説明された比較的速い強制制御信号値遷移に応じて、比較器340は開始及び停止信号342をCPU360に供給する。開始信号は制御信号の変調の開始を示し、停止信号は制御信号の変調の終了を示す。
【0085】
更に、LEDドライバ300は同様にCPU360によって構成又は設定され得るタイマー310を慣習的に含む。CPU360はタイマー制御信号312を介してタイマー310を制御できる。タイマー310は対応する割り込み信号314を送信することによりCPUにおいて割り込みを起こす。タイマー310からの割り込み信号314に基づき、CPU360はADC330からの出力データ334を読み取り、非変調制御信号(内部センサ情報)又は変調制御信号(外部重畳情報又は外部重畳情報+一次的内部センサ情報)のいずれかとして解釈する。CPU360は、対応する電流/電圧が駆動されるLED(図示無し)に供給されるよう、変調又は非変調制御信号に応じて他のハードウェアモジュール320を制御する。他のハードウェアモジュール320の制御は、第1及び第2のモジュール制御信号322、324を介して起こる。
【0086】
図6は、LEDドライバユニット400の他の実施形態を示す。LEDドライバ300を動作させるための装置200は変更されていないが、LEDドライバ300は図5に関連して説明されたような比較器又はDACを備えておらず、それらの機能は、開始及び終了条件を決定するためにADC330のADC出力データ334を定期的にモニタリングするソフトウェア機能によって置き換えられている。これは他のドライバ機能のために必要とされ得るハードウェア資源を開放することを可能にする。変調器210は、LEDドライバ300に制御信号の変調が開始/停止されることを示すために、制御信号に対して特定の開始パルス幅変調スキーム/終了パルス幅変調スキームを実行する。CPU360は、これらの特定の変調スキームを認識するようプログラミングされる。開始パルス幅変調スキームが認識されると、CPU360が制御信号を変調制御信号として解釈するよう、タイマー310はCPU360にタイマー割り込み信号314を供給する。
【0087】
図7図6に示される実施形態の変形例を示す。この実施形態では、ADC330はタイマー310によって、対応するタイマートリガー信号316を介して直接トリガーされる。ADC変換が直接開始されるので、これは、CPU360による割り込み処理のためのタイミング要件を緩和させるという利点を有する。ADC内でのデータバッファリングは、緩和されたタイミング制約でのCPU360による読み取りを可能にする。CPU360はタイマー制御信号312を介してタイマー310を制御できる。
【0088】
この実施形態では、制御信号の変調が開始/停止されると認識されると、タイマー310は対応するトリガー信号316によってADC330をトリガーする。トリガー信号316を受信すると、ADC330はCPU360に割り込み信号336を送信する。
【0089】
開始/終了情報は、ADC330内にバッファされているデータからソフトウェアを介して得られる。これはCPU360によってモニタリングされる。開始及び終了信号値/レベルが通常の制御信号値/レベルから明らかに異なるという事実は、CPU360が順次のバッファサンプルの減算(引き算)、及び減算結果の閾値との比較を実行して、開始及び終了条件を決定することを可能にする。あるいは、CPU360はADCバッファから受信されたサンプルをチェックして、重畳信号、すなわち変調制御信号が図11及び図12に示される領域R10及びR30内に初めて入る時点を特定し、開始及び終了条件を推論する。
【0090】
図8は、本発明の第1の側面に係る装置によって制御されるLEDドライバの動作方法の第1の実施形態を示す。
【0091】
第1のステップ502では、制御信号164の値が取り込まれる。第2のステップ504では、制御信号164の変調が開始されることが装置200によりLEDドライバに示されたか否かがチェックされる。かかる例示的指示は図11及び図12に示される(すなわち、t=tにおける遷移)。かかる指示が検出できない場合、ステップ506において、LEDドライバは一次機能(プライマリ機能)を実行するよう、すなわち非変調制御信号に応じて制御される。一方、かかる指示が検出できる場合、ステップ508において制御信号インレット105/305から変調制御信号が読み取られる。
【0092】
次のステップであるステップ510では、変調制御信号164が完全に取り込まれたか否かがチェックされる。完全に取り込まれていない場合、ステップ508において制御信号インレット105/305からの変調制御信号の読み取りが継続される。
【0093】
変調制御信号が完全に取り込まれたと検出される場合、ステップ512において、LEDドライバは完全に取り込まれた変調制御信号に応じて二次機能(セカンダリ機能)を実行するよう動作される。二次機能が実行されると、LEDドライバは一次状態に戻るよう制御される。
【0094】
図9は、動作方法の他の実施形態を示す。この方法は、ステップ512において、変調の終了を示すであろう新たな信号傾向が検出されるまでLEDドライバが変調制御信号に応じて二次機能を実行するよう制御される点で、図8に示される方法とは異なる。かかるチェックはステップ514で起こる。一方、制御信号の変調が終了したと示される場合、LEDドライバは一次状態に戻り、非変調制御信号に応じてLEDを動作させるよう制御される(ステップ506)。
【0095】
上記の2つの方法に関して、制御信号値の比較的速い遷移により、すなわち制御信号の振幅を素早く変化させることにより、LEDドライバに制御信号の変調の開始/終了について知らせることができる。しかし、当然ながらかかる指示は他の方法で、例えば制御信号に対して開始/終了パルス幅変調スキームを実行することにより実行することもできる。
【0096】
図面、開示、及び添付の特許請求の範囲を分析することにより、当業者は開示の実施形態の他の変形例を理解し、実行できる。
【0097】
各図面の要素の配置は主に明瞭な描写の目的に適うものであり、本発明に基づいて製造されたデバイスの部品の如何なる実際の幾何学的配置にも関連しないことを理解されたい。特に変調器、制御インターフェイス、及びトリガー手段について、これらの構成要素は一体的なモジュール内に実現されてもよいし、互いに別々に実現されてもよいと理解されたい。
【0098】
請求項において、用語「含む(又は備える若しくは有する)」は他の要素又はステップを除外せず、要素は複数を除外しない。
【0099】
単一のユニット又はデバイスが請求項に記載される複数のアイテムの機能を果たしてもよい。単にいくつかの手段が互いに異なる従属請求項内に記載されているからといって、それらの手段の組み合わせを好適に使用することができないとは限らない。
【0100】
請求項内の如何なる参照符号も特許請求の範囲を限定すると解されるべきではない。
【0101】
本発明はLEDドライバに関連し、特に既存のLEDドライバに特徴を追加するための信号重畳(オーバーレイ)を対象とする。具体的には、本発明はLEDドライバを動作させるための装置、LEDドライバの動作方法、LEDドライバを動作させるためのコンピュータプログラム、及びLEDドライバユニットを対象とする。装置は、外部制御情報に応じてLEDドライバの制御信号に重畳信号(デジタル又はアナログ)を重ねることができる。重畳信号を重ねることにより、装置は制御信号を変調して、変調された制御信号を同じ制御信号インレットに供給する。
【符号の説明】
【0102】
100 従来技術に係るLEDドライバ
102 グランド
105 制御信号インレット
120 LED
140 電力変換ステージ
160 プログラム可能IC
162 内部センサ
164 非変調又は変調制御信号
180 商用電源インターフェイス
182 電源
184 動作電圧Vcc

200 装置
202 制御信号入力部
204 GND入力部
206 Vcc入力部
208 変調/非変調制御信号出力部

210 変調器
212 トランジスタ
214 ゲートドライバ
220 論理制御
222 スイッチングアレイ
250 制御インターフェイス
252 光センサ
254 他のセンサ
256 外部制御信号
258 制御インターフェイス出力信号

300 LEDドライバ
305 制御信号インレット
310 タイマー
312 タイマー制御信号
314 タイマー割り込み
316 タイマートリガー
320 他のハードウェアモジュール
322 第1のモジュール制御信号
324 第2のモジュール制御信号
330 ADC
332 ADCリクエスト
334 ADCデータ
336 ADC割り込み
338 ADC制御信号
340 比較器
342 比較器開始
344 比較器停止
350 DAC
360 CPU
362 内部センサ

400 LEDドライバユニット

R10 ローレンジ
R20 通常レンジ
R30 ハイレンジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12