特許第6333810号(P6333810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6333810冷凍貨物コンテナのための自動停止システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6333810
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】冷凍貨物コンテナのための自動停止システム
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20180521BHJP
   B64F 1/32 20060101ALN20180521BHJP
【FI】
   F25D11/00 101D
   !B64F1/32
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-515253(P2015-515253)
(86)(22)【出願日】2013年5月31日
(65)【公表番号】特表2015-526680(P2015-526680A)
(43)【公表日】2015年9月10日
(86)【国際出願番号】US2013043673
(87)【国際公開番号】WO2013181574
(87)【国際公開日】20131205
【審査請求日】2016年5月31日
(31)【優先権主張番号】61/653,702
(32)【優先日】2012年5月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514304773
【氏名又は名称】ダブルデイ・アクイジションズ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】DoubleDay Acquisitions LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ニールド・ジョナサン・ピーター
【審査官】 ▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−046198(JP,A)
【文献】 特開2005−140409(JP,A)
【文献】 特開平08−021678(JP,A)
【文献】 米国特許第05058390(US,A)
【文献】 特開平11−351721(JP,A)
【文献】 特開2008−292341(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0261980(US,A1)
【文献】 特開平08−315269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00
B64F 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍貨物コンテナのための自動停止システムにおいて、
(a)冷凍システムを含む貨物コンテナであって、前記冷凍システムは、少なくとも1つの排気ファンを含む、貨物コンテナと、
(b)熱画像センサ;ガスセンサ;加速度計;光強度センサ;高度計;周波数センサ;電気信号ノイズセンサ;トランスポンダー信号受信機;全地球測位システム;およびそれらの組み合わせ、の群から選択されるセンサと、
を含み、
前記センサは、前記冷凍システムに通信可能に取り付けられるコントローラに通信可能に取り付けられ、前記コントローラは、前記冷凍システムの前記排気ファンからの空気流を自動的に止めるかまたは制限するように構成され、
前記コントローラは、飛行機での運搬の検知に応じて、前記排気ファンを自動的に止めるかまたは前記排気ファンからの空気流を自動的に制限するように構成され、
前記飛行機での運搬は、前記冷凍貨物コンテナを航空機に積み込むこと;航空機の離陸;およびフライトのフェーズから選択され、
前記コントローラは、前記航空機の着陸の検知に応じて、前記排気ファンからの空気流を自動的に回復するか、増大させるか、または向け直すように構成される、自動停止システム。
【請求項2】
請求項1に記載の自動停止システムにおいて、
温度センサ;相対湿度センサ;煙センサ;微粒子センサ;およびそれらの組み合わせ、の群から選択されるセンサをさらに含む、自動停止システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の自動停止システムにおいて、
前記コントローラは、センサによる火災サインの検知に応じて、前記冷凍システムの動作を自動的に制御するように構成され、
前記センサは、熱画像センサ;ガスセンサ;光強度センサ;およびそれらの組み合わせ、の群から選択され、
前記火災サインは、煙;微粒子物質;赤外線放射;高温地点;放射エネルギー;温度;酸素濃度;一酸化炭素濃度;紫外線;およびそれらの組み合わせ、の群から選択される、自動停止システム。
【請求項4】
請求項1に記載の自動停止システムにおいて、
前記コントローラは、火災サインおよび飛行機での運搬に応じて、前記少なくとも1つの排気ファンの動作を自動的に制御するように構成される、自動停止システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動停止システムにおいて、
前記センサは、前記冷凍貨物コンテナの外側に位置する、自動停止システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動停止システムにおいて、
前記センサは、前記冷凍貨物コンテナの内側に位置する、自動停止システム。
【請求項7】
冷凍貨物コンテナの冷凍システムの動作を制御する方法であって、前記冷凍システムは、排気ファンを含む、方法において、
(a)飛行機での運搬を検知する工程であって、飛行機での運搬は、前記冷凍貨物コンテナを航空機に積み込むこと;航空機の離陸;およびフライトのフェーズを含む、工程と、
(b)飛行機での運搬を検知したことをコントローラに伝える工程と、
(c)前記排気ファンからの空気流を自動的に止めるかまたは制限する工程と、
を含み、
飛行機での運搬は、加速度計;高度計;周波数センサ;電気信号ノイズセンサ;トランスポンダー信号受信機;全地球測位システム;およびそれらの組み合わせ、の群から選択されるセンサにより検知され、
前記方法は、航空機の着陸を検知する工程と、
航空機の着陸を検知したことを前記コントローラに伝える工程と、
前記排気ファンからの空気流を自動的に回復するか、増大させるか、または向け直す工程と、を更に含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、
前記排気ファンを自動的に停止させる工程をさらに含む、方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法において、
前記冷凍システムを自動的に停止させる工程をさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
本発明は、2012年5月31日に出願された仮特許出願第61/653,702号の利益を主張するものであり、この仮特許出願の開示は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔技術分野〕
本開示は、少なくとも1つの排気ファンを含み得る冷凍システムを含む、冷凍航空貨物コンテナ(refrigerated air cargo containers)と共に使用される自動停止システム(automatic shutdown systems)に関する。1つまたは複数のセンサが、航空貨物コンテナの中および/または上に位置してよく、火災サイン(fire signature)および/または飛行機での運搬(air transit)が1つまたは複数のセンサにより検知されると、停止システムは、以下のうち1つまたは複数を自動的に行うことができる:少なくとも1つの排気ファンを止める;少なくとも1つの排気ファンからの空気流を制限する;および/または冷凍システムを止める。
【0003】
〔背景〕
航空業界では、温度感受性アイテム、例えば、血液、血漿、およびワクチンを輸送するのに、温度制御された貨物コンテナが使用される。貨物コンテナの内部温度は、冷凍システムを使用して維持される。冷凍システムは、典型的には、冷凍圧縮機、冷凍凝縮器、および排気ファンを含む。
【0004】
排気ファンは、例えば凝縮器全体に空気流を向けることおよび外部環境に空気を排出することなどによって、冷凍貨物コンテナの内部から熱を取り去るように動作することができる。通常の動作条件下では、空気流の外部方向(external direction)は問題ではない。しかしながら、航空機に載せて輸送される場合、冷凍貨物コンテナからの排気および/または熱の流れは、航空機の煙探知システムが煙事象を検知し、搭乗員に非常事態を警告する能力を損なう場合がある。さらに、航空機の消火システムが作動した場合には、冷凍貨物コンテナからの排出空気流により生成される気流が、例えば、消火剤の濃度レベル、ひいてはそのノックダウン能力(knockdown capabilities)を変えることによって、消火剤の散布に影響を及ぼし得る。
【0005】
火災、および火災によりもたらされる恐怖は、急速に広がるので、損害を軽減するために適切な行動をとることができるよう、火災の発生を可能な限り早期に警告するのが望ましい。よって、火災の局所環境における変化を迅速に検知することが肝要である。このような変化は、火災サインと呼ばれ得る。火災サインは、いったん火災によって生じると、警報などの反応をもたらす検知器へと伝わらなければならない。
【0006】
早期警告と最小限の誤認警報との間のバランスには、動作環境内の予測される火災の特徴に関して、センサが、それらの適用と合致するように選択されることが必要である。航空機に乗っている可燃性材料および潜在的発火源の分析により、生じるであろう予測される火災サインに関する洞察を提供することができる。
【0007】
現在、貨物コンテナは、煙、相対湿度、温度および/または微粒子の検知器を含み、これらの検知器は、火もしくは煙が検知されると、コンテナの排気ファンの速度を落とすか、または排気ファンを停止させることができる。しかし、可燃物、引火性の高い液体および/または電気設備の無限の組み合わせが、任意の所与のフライトにおいて、航空機の貨物倉内に存在し得る。航空機における火災では、火災が始まった際に前述した検知器により検知可能なもの以外の火災サインが生じ得るのも当然である。
【0008】
よって、さまざまな火災に迅速に反応し、コンテナの排出空気流を止めるかもしくは制限することのできる、冷凍貨物コンテナと共に使用される停止システムを有する必要性がある。飛行機での運搬が検知された際に排出空気流を積極的に止めるかもしくは制限するシステムに対する必要性もある。さらには、誤認警報を最小限に抑える停止システムが望ましい。加えて、使用者がコンテナの排出空気流の停止もしくは制限を開始することを必要としない停止システムに対する必要性がある。
【0009】
〔概要〕
前述した必要性に対処する独自の解決策が、火災または飛行機での運搬の場合に冷凍貨物コンテナの排気ファンへの電力を自動的に停止または制限するために、1つまたは複数の煙検知器、微粒子検知器、温度センサ、および相対湿度センサの代わりに、またはこれらと共に、使用され得る。
【0010】
本開示は、2つの新しい自動停止システム、すなわち、能動的停止システムおよび受動的停止システムを対象としている。能動的停止システムは、火災サインを監視し、受動的停止システムは、飛行機での運搬を監視する。以下で詳細に論じるこれらのシステムは、単独で、または組み合わせて使用されることができる。有利には、これらのシステムは、「自動的」であり、これは、人間の直接的な接触によるか、または遠隔信号を介した、指示、介入、または動作が、停止システムを動作させるのに必要とされないことを意味する。
【0011】
新しい自動停止システムは、より広範な火災サインに対する感度の増大、および/または冷凍貨物コンテナの排気ファンの予防的管理(proactive management)をもたらし、火災による損害を軽減することができる。
【0012】
能動的停止システムは、さまざまな火災サインを検知するという追加的利点をもたらし、さまざまな出所およびそれらの組み合わせから生じる火災を検知することができる。さらに、異なる火災サインを検知するいくつかのセンサを用いることにより、能動的停止システムは、誤認警報を減らすことができる。
【0013】
受動的停止システムは、排気ファンを停止させるか、または、フライト前もしくはフライト中に空気の流出を減らすことができるという追加的利点をもたらす。これらのシステムは、冷凍ユニットが、飛行時間中に止められるか、もしくは性能が制限された状態で動作することが可能となることに耐え得る貨物を輸送するのに特に有用となり得る。
【0014】
本開示のいくつかの実施形態では、冷凍貨物コンテナは、能動的、受動的、またはこれらの組み合わせであってよい、自動停止システムを含む。能動的停止システムおよび受動的停止システム双方の組み合わせを含む実施形態では、自動停止システムは、熱画像センサ;ガスセンサ;加速度計;光強度センサ;高度計;周波数センサ;電気信号ノイズセンサ;トランスポンダー信号受信機;全地球測位システム;およびこれらの組み合わせの群から選択されるセンサを含む。自動停止システムは、コントローラをさらに含む。センサは、コントローラに通信可能に取り付けられ、コントローラは、コンテナの冷凍システムの一部を形成する排気ファンのうちの少なくとも1つに、通信可能に取り付けられる。加えて、または代わりに、コントローラは、少なくとも1つの空気制限器に、通信可能に取り付けられ得る。コントローラは、冷凍システムの排気ファンからの空気流を自動的に止めるか、または自動的に制限するように構成される。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態では、冷凍貨物コンテナは、能動的停止システムを含む。能動的停止システムは、煙検知器;微粒子検知器;温度センサ;相対湿度センサ;およびこれらの組み合わせに加えて、またはこれらの代わりに、1つまたは複数のセンサを含み得る。能動的停止システムは、熱画像センサ;ガスセンサ;光強度センサ;およびこれらの組み合わせの群から選択されるセンサを含み得る。停止システムは、コントローラをさらに含む。センサは、コントローラに通信可能に取り付けられ、コントローラは、コンテナの冷凍システムの一部を形成する排気ファンのうちの少なくとも1つに、通信可能に取り付けられる。加えて、または、代わりに、コントローラは、少なくとも1つの空気制限器に、通信可能に取り付けられ得る。コントローラは、冷凍システムの排気ファンからの空気流を自動的に止めるか、または自動的に制限するように構成される。
【0016】
本開示のいくつかの実施形態では、冷凍貨物コンテナは、受動的停止システムを含む。この停止システムは、加速度計;高度計;周波数センサ;電気信号ノイズセンサ;トランスポンダー信号受信機;全地球測位システム;およびこれらの組み合わせの群から選択されるセンサを含む。停止システムは、コントローラをさらに含む。センサは、コントローラに通信可能に取り付けられ、コントローラは、コンテナの冷凍システムの一部を形成する排気ファンのうちの少なくとも1つに、通信可能に取り付けられる。加えて、または代わりに、コントローラは、少なくとも1つの空気制限器に通信可能に取り付けられ得る。コントローラは、冷凍システムの排気ファンからの空気流を自動的に止めるか、または自動的に制限するように構成される。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態では、冷凍貨物コンテナの冷凍システムの動作を制御するための自動的な方法が提供される。冷凍システムは排気ファンを含む。コンテナの中、上、またはコンテナと関連して位置するセンサが、飛行機での運搬が行われていると判断したら、センサは、コントローラに信号を送る。コントローラは、例えば排気ファンからの空気流を自動的に止めるか、または自動的に制限することによって、冷凍システムの動作を自動的に制限する。いくつかの実施形態では、これは、排気ファンに電力供給する個々の回路への電力を断って、冷凍システムへの電力を断つことにより、達成される。
【0018】
本開示のいくつかの実施形態では、この自動的な方法は、センサが、航空機の離陸もしくは着陸と関連する高度の変化を検知する工程と、高度の変化を検知したことをコントローラに伝える工程と、をさらに含み得る。コントローラは次に、例えば排気ファンからコンテナの外部への空気流を自動的に増大させるかまたは自動的に別の方向に向けることにより、冷凍システムの動作を自動的に回復させる。
【0019】
〔詳細な説明〕
用語「センサ」および「検知器」は、本明細書中、互換的に使用されて、火災または飛行機での運搬と関連させられ得るパラメータを検知する装置を指す。
【0020】
本明細書で使用される用語「飛行機での運搬」は、飛行機への積み込み、離陸、フライト、着陸、および飛行機からの荷降ろしを含む、航空機上のすべての輸送段階を含む。
【0021】
本明細書で使用される用語「火災サイン」は、火災の局所環境における1つまたは複数の変化を指す。火災サインは、煙;温度変化;明かりの変化;微粒子物質;エネルギーの変化;およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0022】
センサに関して本明細書で使用されるフレーズ「と関連して(in connection with)」は、センサが、冷凍貨物コンテナから離れたエリア、すなわち、冷凍貨物コンテナ内もしくは上でないエリアに配され得ることを意味する。
【0023】
本明細書で使用される用語「制限器」または「制限する」とは、冷凍システムの排気ファンのうちの少なくとも1つと関連する空気流の停止、減少、または方向転換(redirection)を指す。
【0024】
本明細書で使用される用語「空気流」は、空気および/または熱の流れを含み得る。
【0025】
さまざまな実施形態の要素または特徴が、以下で詳細に説明される。本開示の単数形の特徴または制限への言及は、言及が行われる文脈により他に規定がないか、または反対のことが明らかに示唆されていない限り、対応する複数形の特徴または制限を含み、逆もまた同様である。
【0026】
本明細書に記載されるシステムおよび方法は、本明細書に記載される開示の要素および特徴部、ならびに、任意の追加的もしくはオプションの構成要素、または本明細書に記載されるかもしくは冷凍貨物コンテナ安全システムにおいて別様に有用である特徴部を含むか、これらからなるか、または本質的にこれらからなることができる。
【0027】
この出願で引用されるすべての文書(特許、特許出願、および他の刊行物)は、それらが本明細書に記載される開示と矛盾しない範囲で、参照により全体として本明細書に組み込まれるものとする。
【0028】
本開示の停止システムは、冷凍貨物コンテナの上、中、および/または冷凍貨物コンテナと関連して、配備される。停止システムは、能動的または受動的であってよく、1つまたは複数のセンサと、コントローラと、を含み得る。
【0029】
冷凍貨物コンテナ
冷凍貨物コンテナは、冷凍システムを含む。図1は、典型的な冷凍システム100の概略表示である。描かれたシステムは、冷凍圧縮機101;冷凍凝縮器102;凝縮器ファン103;システムコントローラ104;ユーザーインターフェース105;蒸発装置107および内側ファン108を含む、製品用の低温側区画106;ならびに周囲条件において能動的構成要素(active components)を備える高温側区画109を含み、凝縮器ファン103は、冷凍システムが中に設置される貨物コンテナの外側へと空気を排出するかまたは吐き出す。
【0030】
冷凍システムは、貨物コンテナの中身を所望の温度範囲内に維持するのに適した任意の方法で、貨物コンテナ内部に配され得る。冷凍システムを含む貨物コンテナの非限定的な例が、米国特許第7,913,511号および7,263,855号に開示されている。貨物コンテナは、航空機に載せられる、輸送に有用な任意の形態をとってよく、図2に示すような航空機用に構成されたコンテナ(aircraft-configured container)1、または図3に示すような貨物用に構成されたコンテナ(cargo-configured container)1が含まれるがこれらに限定されない。
【0031】
自動停止システム
本開示によれば、2種類の自動停止システム:能動的停止システムおよび受動的停止システム、がある。これらのシステムは、別々に、または組み合わせて、利用され得る。
【0032】
能動的停止システムは、フライト時間中、運転可能なままである。火災サインが検知された場合には、システムは、フライトの残り時間にわたり、または緊急事態が終了するまで、排気ファンを自動的に停止させるか、または、冷凍コンテナの排気ファンからの空気流を自動的に制限する。
【0033】
受動的停止システムは、飛行機での運搬が感知された際に、排気ファンを自動的に止めるかまたは排気ファンからの空気流を自動的に制限することによって、動作する。自動停止は、離陸直前、冷凍貨物コンテナの積み込み中、または、フライトの早い段階で、行われ得る。いくつかの実施形態では、飛行機での運搬が終わったことが感知された場合、例えば、冷凍貨物コンテナが航空機から降ろされる直前、またはその間に、排気ファンが、自動的に再稼働するか、または、空気流が自動的に通常に戻ることができる。
【0034】
本開示によるシステムは、冷凍貨物コンテナに対してさまざまな数量および位置で、1種類または複数種類のセンサを使用し得る。センサは、任意の有用な方法で、冷凍貨物コンテナの上および/または中に据え付けられることができる。例えば、火災サインを検知するセンサが、コンテナの外部と通信するように、貨物コンテナ上に据え付けられてよい。これらのセンサは、運搬中に、冷凍貨物コンテナ周辺の周囲条件を監視する。この代わりに、またはこれに加えて、センサは、コンテナ内部の周囲条件を監視できるように、貨物コンテナの内部と通信する場所に据え付けられてもよい。センサは、ファンまたは空気流に近接していてよい。そのような場所の非限定的な例は、通気孔またはエアダクトの中を含む。
【0035】
図4は、能動的停止システムを含む例示的な冷凍貨物コンテナを通った垂直断面の概略図である。センサ300は、コンテナ1の上部290上で外部に置かれ、コンテナの外側の環境をサンプリングすることができる。さらなるセンサ301、302が、冷凍貨物コンテナの内部に配されており、これらのセンサは、コンテナ内部の火災サインをサンプリングすることができる。センサのうちの一方301は、コンテナの内側から空気を動かす凝縮器の排気ファン103付近に配される。
【0036】
センサにより取り込まれたデータは、コントローラに出力される。火災サインが検知された場合、または、飛行機での運搬が検知された場合、コントローラは、排気ファンを自動的に停止させるか、または、空気流の出力を自動的に制限する。典型的には、これは、ファンへの電力を取り除き、(例えば電力を断つことにより)冷凍システムを止め、排気ファンに電力供給するある回路への電力を切ることにより、または、排気ダクトもしくは通気孔の空気流(vent airflow)を閉鎖もしくは制限することにより、達成され得る。
【0037】
能動的フライトモードシステムセンサ
能動的フライトモードシステムは、火災サインを検知するための任意の有用なセンサを含み得る。開示のいくつかの実施形態では、以下に記載するセンサのうちの1つまたは複数は、以下に加えて、または以下に代えて、使用され得る:煙検知器;微粒子検知器;温度センサ;相対湿度センサ;およびそれらの組み合わせ。センサの使用は、コンテナの外側の火災サインを測定することに限定されることは意図していない。むしろ、センサは、コンテナ内部で起こり得る火災を監視するために、冷凍貨物コンテナの内側と通信して存在することができる。
【0038】
冷凍貨物コンテナの排気ファンは、センサが火災サインを検知するようなときまで、安全に動作し得る。センサのうちの1つまたは複数が火災サイン(例えば、赤外線放射、温度の上昇など)を検知すると、そのセンサはコントローラに信号を送ることができ、コントローラは、排気ファンの停止を自動的に誘発するか、または排気ファンからの空気流を自動的に制限する。誤認警報を最小限に抑えるために、コントローラは、2つまたは3つ以上のセンサが一斉に火災サインを検知したときのみ作用するように、プログラムされ得る。
【0039】
有用なセンサの非限定的な例は、熱画像センサ;温度センサ;ガスセンサ;光強度センサ;煙および/もしくは微粒子検知器;ならびにそれらの組み合わせの群から選択される。
【0040】
熱画像センサは、火災を示す高温地点および/または放射エネルギーなど、赤外線放射を監視するために、サーモグラフィカメラを使用する。任意の適切な種類の熱画像センサを使用し得る。熱画像センサの種類の非限定的な例は、火花検知器;火炎検知器;赤外線(IR)黒体熱放射検知器;およびそれらの組み合わせ、を含む。開示される停止システムは、これらの熱画像センサのうちの任意の1つまたは複数を含むことができる。有用な熱画像センサとしては、FLIR Systems(マサチューセッツ州ボストン)から入手可能なFLIR Compact A-Seriesサーマルカメラが含まれる。
【0041】
火炎検知器は、冷凍貨物コンテナの外側および/または内側のエリアを監視するように動作する。任意の適切な種類の火炎検知器を使用してよい。有用な種類の火炎検知器の非限定的な例は、紫外線検知器;近IRアレイ検知器;赤外線検知器;UV/IR検知器;IR/IR検知器;IR3検知器;可視検知器(visible detectors);電離電流火炎検知器(ionization current flame detectors);および熱電対火炎検知器を含む。有用な紫外線火炎検知器の非限定的な例は、Hochiki America Corporation(カリフォルニア州ブエナパーク)から入手可能なHF-24 Ultraviolet Flame Detectorである。
【0042】
温度センサは、冷凍貨物コンテナの外側および/または内側の周囲温度を監視するために温度プローブを使用する。温度センサの非限定的な例は、定温検知器;熱電検知器;温度上昇率を検知する検知器;およびそれらの組み合わせ、を含む。有用な温度センサとしては、U.S. Sensor Corp.(カリフォルニア州オレンジ)から入手可能なThermistor Probe、Hochiki America Corporation(カリフォルニア州ブエナパーク)から入手可能なDFE 135/190 Fixed Temperature Heat DetectorおよびDCD-135-190 Fixed Temperature/Rate of Rise Detectorが含まれる。
【0043】
ガスセンサは、冷凍貨物コンテナの外側および/または内側に存在するガスの環境濃度を監視するために計測器を用いる。ガスセンサの非限定的な例は、酸素センサ;一酸化炭素センサ;およびこれらの組み合わせの群から選択され得る。有用な酸素センサには、Sensortechnics, Inc.(マサチューセッツ州マンスフィールド)から入手可能なXYA oxygen sensorsが含まれる。有用な一酸化炭素検知器は、Kidde Fire Safety(ノースカロライナ州メバネ(Meban))から入手可能なKidde KN-COB-IC Hardwire Carbon Monoxide Alarmである。
【0044】
紫外線(UV)検知器を含むがこれに限定されない光強度センサは、冷凍貨物コンテナの外側および/または内側の周辺光を監視するためにカメラを使用し得る。UV検知器は、炭化水素、金属、硫黄、水素、ヒドラジンおよびアンモニアを伴うものを含む、大部分の火災に敏感である。火災を示す光レベル(light level)が検知されると、光強度センサがコントローラに信号を送り、コントローラは、排気ファンの停止を自動的に引き起こすか、または、空気流の出力を自動的に制限する。有用な光強度センサの非限定的な例としては、Intermatic, Inc.(イリノイ州スプリンググローブ)からの以下のシリーズの光制御装置(photo controls):K1100、K1200、K4000C、K4100、K4400、K4200、K4500、LC4500およびLC2000が含まれる。
【0045】
煙および/または微粒子検知器は、冷凍貨物コンテナの外側および/または内側のエリアを監視するように動作する。煙検知器の非限定的な例としては、イオン化検知器;光電検知器;およびそれらの組み合わせ、が含まれる。光電的に動作する煙検知器は、低エネルギーの火災(くすぶっている火災)を示す信号に対し、より速い反応をもたらすことができ、それは、これらの火災が最初は一般的に大量の目に見える(より大きな粒子の)煙を生成するためである。イオン化原理の下で動作する煙検知器は、典型的には、高エネルギーの火災(裸火)に対し、より速い反応をもたらし、それは、これらの火災が、この種類の検知器で、より検知しやすい、より小さな煙粒子をもたらすためである。有用な煙および/または微粒子検知器の非限定的な例としては、Hochiki America Corporation(カリフォルニア州ブエナパーク)から入手可能である、Direct-Wire Photoelectric Heat Smoke DetectorおよびSLR-24H Photoelectric/Heat Smoke Detectorが含まれる。
【0046】
受動的フライトモードシステムセンサ
受動的フライトモードセンサは、飛行機での運搬中にコンテナに関してキー条件(key condition)を監視する。コンテナが飛行機での運搬に突入しようとしているかまたは突入したばかりであることを示すパラメータが検知されると、装置からのデータは、コントローラに出力される。コントローラは次に、排気ファンを自動的に停止させるか、または空気流の出力を自動的に制限する。典型的には、これは、ファンへの電力を取り除き、冷凍ユニットを停止させることによって、または、排気ダクトもしくは通気孔の空気流を閉鎖もしくは別様に制限することによって、達成され得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、フライトが終了に近いかまたは終了したことを示すパラメータが検知されると、コントローラは、自動的に排気ファンを再び作動させるか、または、空気流の出力を増大させることができる。典型的には、これは、排気ファンに電力を送り、冷凍ユニットを作動させることによって、または、空気流の出力を開放するか、もしくは空気流の出力の増大を別様に促進することによって、達成され得る。
【0048】
以下のセンサのうち任意のものが、単独で、または、他の受動的フライトモードセンサおよび/もしくは能動的フライトモードセンサと組み合わせて、使用され得る。受動的フライトモードセンサは、加速度計;高度計;周波数/電気ノイズセンサ;トランスポンダー信号受信機;全地球測位システム(GPS);およびそれらの組み合わせ、の群から選択され得る。
【0049】
加速度計は、航空機の離陸と関連付けられる、速度および加速力を監視する。離陸が検知されると、加速度計は、メッセージをコントローラに送り、コントローラは、排気ファンを自動的に停止させるか、または空気流の出力を自動的に制限する。いくつかの実施形態では、加速度計は、航空機の着陸と関連付けられる、速度および減速力を検知するのに使用され得る。着陸が検知されると、加速度計は、メッセージをコントローラに送って、排気ファンを自動的に再稼働させるか、または空気流の出力を所望のレベルに戻す。有用な加速度計の非限定的な例としては、Omega Engineering, Inc.(コネティカット州スタンフォード)から入手可能である、ACC793 Accelerometerが含まれる。
【0050】
高度計は、航空機の離陸および着陸と関連付けられる、高度を監視する。離陸が検知されると、高度計は、メッセージをコントローラに送り、コントローラは次に、排気ファンを停止させるか、または空気流の出力を制限する。着陸が検知されると、高度計は、信号をコントローラに送ることができ、コントローラは、その後、航空機の着陸と関連付けられた高度が検知されると、排気ファンを自動的に再稼働させる。有用な高度計の非限定的な例としては、Measurement Specialties (バージニア州ハンプトン)から入手可能である、NS5611-01BA03 Pressure Sensorが含まれる。
【0051】
周波数および/または電気信号ノイズ検知器は、航空機のシステムと関連付けられる、電気周波数または電気信号ノイズの存在をスキャンする。周波数および/または電気信号ノイズ検知器は、アンテナを介して電気周波数またはノイズを監視する検知回路を含み得る。これらの信号がごく近接して検知されると、コントローラは、電気周波数または電気信号ノイズが検知されなくなるまで、排気ファンを自動的に停止させるか、または、排出空気流を自動的に制限することができる。いくつかの実施形態では、検知器が電気周波数または電気信号ノイズを検知しなくなると、排気ファンは、自動的に再稼働され得るか、または、排出空気流は、通常出力に自動的に戻ることができる。
【0052】
トランスポンダー信号受信機は、航空機または航空管制塔と関連付けられるトランスポンダー信号の存在を監視する。いくつかの実施形態では、検知回路は、貨物コンテナが中に載せられるかもしくは中に入れて輸送される予定の航空機に割り当てられ、かつ/または空港施設に割り当てられる、信号、放送、および/または送信について、アンテナを介して、ADS−Bトランスポンダーを監視する。これらの信号のうちの1つまたは複数が検知され、非常に近接している場合、排気ファンは、信号が検知されなくなるまで、自動的に停止するか、または排気が制限される。いくつかの実施形態では、排気ファンはその後、自動的に再稼働され得るか、または、排出空気流が、自動的に通常出力に戻ることができる。
【0053】
空港を含むがこれに制限されない、キーとなる場所(key locations)に対する、冷凍貨物コンテナの場所を追跡するために、GPSが使用され得る。さらに、GPSは、運転中の航空機の移動および/または速度プロファイルを算出するのに使用され得る。GPSの発見に基づき、コントローラは、トランスポンダー信号が検知されなくなるまで、自動的に排気ファンを停止させるか、または排出空気流を制限する。いくつかの実施形態では、冷凍貨物コンテナがその目的地に到着したことをGPSが検知すると、排気ファンは、自動的に再稼働するか、または、排出空気流は、自動的に通常の状態に戻る。有用なGPSの非限定的な例としては、7PSolutions, LLC.(インディアナ州ブラウンズバーグ)から入手可能である、EMMプローブ付きのGL200-Trackerが含まれる。
【0054】
コントローラ
コントローラは、センサから信号を受信して、火災サインが冷凍貨物コンテナの内側もしくは外側にあるかどうかを判定し、かつ/または飛行機での運搬が行われているかどうかを判定する。いったん信号が受信および理解されると、コントローラ内部のプロトコルが、冷凍システムの1つまたは複数の機能の停止を自動的に実行して、コンテナからの空気流を制限する。図4を参照すると、コントローラは、独立したシステム200として貨物コンテナ内に存在できるか、コンテナの配電/管理システム201に組み込まれ得るか、または、コンテナの能動的温度制御管理システム202に組み込まれ得る。
【0055】
停止方法は、以下のとおりであってよい。火災もしくは飛行機での運搬に関連し得るパラメータを示す信号をコントローラが受信すると、コントローラは、コンテナから出ていく空気流を止めるか、または制限する機能を自動的に実行し、この機能は、多くの方法で、また多くの組み合わせにおいて、実行され得る。いくつかの実施形態では、空気流は、空気流を止めるかもしくは向け直すダクト構造もしくは通気孔の内側の弁により、コンテナを離れることができない。いくつかの実施形態では、排気ファンに供給される電力を制限し、これにより排気ファンの速度を落とすことによって、空気流が止められるか、または空気流量が制限される。いくつかの実施形態では、コントローラは冷凍システムを停止させる。いくつかの実施形態では、ファンに供給される電力の極性を逆にすることにより、空気がコンテナから出るのを防ぐよう、空気流の方向が逆にされる。
【0056】
停止システムは、任意の有用な構成を含み得る。図5は、組み合わせられた能動的および受動的停止システムのブロック図を示す。能動的停止センサは、煙検知器300、酸素センサ310、および光強度センサ320、温度センサ330、および一酸化炭素検知器340を含み、これらはそれぞれ、コントローラ104に接続される。さらに、GPS400およびトランスポンダー信号受信機410を含む受動的停止センサも、コントローラ104に接続される。コントローラ104は、コンテナ電源、すなわちバッテリー250およびAC電源260に接続される。コントローラ104はまた、冷凍圧縮機240に接続される。火災サインおよび/または飛行機での運搬が検知されると、コントローラ104は、排気ファン103を自動的に停止させることができる。加えて、または代わりに、コントローラ104は、冷凍圧縮機240への電力を自動的に切ることができる。この実施形態が能動的および受動的停止システムを含むことを考慮すれば、その使用者は、貨物のその特定の輸送に使用するのに、どのシステムが最も適切であるかを判断する柔軟性を有する。適切性は、冷凍圧縮機への電力なしに冷凍貨物コンテナがどれくらいの間所望の温度を維持できるかを含む要因により、判断され得る。
【0057】
図6は、図5に描かれた組み合わせられた能動的および受動的停止システムを含む冷凍貨物コンテナ1の実施形態の後部外側斜視図である。取り外し可能な後方パネル275内の通気スロット500は、凝縮器の排気ファン(不図示)が取り外し可能なパネル275の内側で位置する場所に対応している。
【0058】
図7は、図6の実施形態の後部外側斜視図であり、取り外し可能な後方パネルが貨物コンテナ1から取り外されている。細長い繊維強化箱型支持体74が、コンテナの外側シェル54の後壁72に取り付けられるか、または結合され、第2の取り外し可能な後方パネル276により取り囲まれる。3つの冷凍凝縮器排気ファン103のセットが、箱型支持体74により支持される。制限器弁600が、排気ファン103それぞれの上に位置している。充電器264が、後壁72上に据え付けられており、汎用AC電圧源255に接続される。モーター駆動の冷凍圧縮機240が、矩形突出部74の上壁の上に据え付けられ、貨物コンテナの内部に位置する圧縮機コントローラ800を通じて、内部および外部のDC電源に接続される。配電盤700が、貨物コンテナの内部に位置する。米国特許第6,740,381号に開示されるように、別の箱型支持体280も、外側シェル54の後壁72に取り付けられるかまたは結合され、やはり繊維強化複合パネルから構築されている。支持体280は、開口した上部を有しており、蓄電池250を受容および支持するために後部が開口している。
【0059】
支持体74および外側シェル54の後壁72はまた、煙検知器300および酸素センサ310を支持する。以下のセンサの一部が、貨物コンテナの屋根290から延出するか、または屋根290と同じ高さにあるのが分かる:光強度検知器320、定温/温度上昇率センサ(fixed temperature/rate in rise temperature sensor)330、一酸化炭素検知器340、およびGPS400。トランスポンダー信号受信機が、この実施形態に含まれる(不図示)。センサのうちのいずれかが火災サインまたは飛行機での運搬を検知すると、コントローラは、排気ファンを停止させる。
【0060】
方法
いくつかの実施形態では、本開示は、冷凍貨物コンテナの排気ファンの動作を自動的に制御する方法を対象としている。この方法は、受動的停止システム、能動的停止システム、またはそれらの組み合わせを使用することができる。
【0061】
受動的停止システムを使用する実施形態では、この方法は、以下のとおりであってよい。センサは、冷凍貨物コンテナの、飛行機での運搬を検知する。飛行機での運搬は、1つまたは複数のフライトフェーズにより示される。フライトフェーズは、冷凍貨物コンテナを空港へ持っていくこと;冷凍貨物コンテナを航空機に積み込むこと;航空機の離陸;航空機の着陸;冷凍貨物コンテナを航空機から降ろすこと;および/または冷凍貨物コンテナを空港から移すこと、を含み得る。
【0062】
飛行機での運搬を検知するのに使用され得るセンサを、前記に詳述した。有用なセンサは、加速度計;高度計;周波数センサ;電気信号ノイズセンサ;トランスポンダー信号受信機;全地球測位システム;およびそれらの組み合わせ、の群から選択され得る。
【0063】
センサが飛行機での運搬を検知したことをコントローラに伝えたら、コントローラは、コンテナから出ていく空気流を止めるかもしくは制限する機能を自動的に実行し、この機能は、多くの方法で、また多くの組み合わせで実行され得る。いくつかの実施形態では、空気流は、空気流を止めるかもしくは向け直すダクト構造もしくは通気孔の内側にある、バタフライ弁などの弁により、コンテナを離れることができない。いくつかの実施形態では、排気ファンに供給される電力を制限し、これにより排気ファンの速度を落とすことによって、空気流が止められるか、または空気流量が制限される。いくつかの実施形態では、コントローラは、冷凍システムを停止させる。いくつかの実施形態では、ファンに供給される電力の極性を逆にすることにより、空気がコンテナから出るのを防ぐように、空気流の方向が逆にされる。
【0064】
いくつかの実施形態では、この方法は、センサが、航空機の着陸または冷凍貨物コンテナの荷降ろしを検知する工程をさらに含む。センサは、これらの飛行機での運搬フェーズのいずれかを検知したことを、コントローラに伝える。コントローラは、コンテナから出ていく空気流を置き換えるか、増大させるか、または向け直す機能を自動的に実行し、この機能は、多くの方法で、また多くの組み合わせで実行され得る。例えば、空気流は、空気流を可能にするかもしくは向け直すダクト構造もしくは通気孔の内側の弁を開けることにより、コンテナから出ることができる。いくつかの実施形態では、排気ファンに供給される電力を増やし、これにより排気ファンの速度を上げることによって、空気流が出されるか、または空気流量が増大する。いくつかの実施形態では、コントローラは、冷凍システムを作動させる。いくつかの実施形態では、ファンに供給される電力の極性を逆にすることにより、空気がコンテナから出ることができるように、空気流の方向が逆にされる。
【0065】
能動的停止システムを使用する実施形態では、この方法は、以下のとおりであってよい。センサは、火災サインを検知する。火災サインは、煙;温度の変化;光の変化;微粒子物質;エネルギーの変化;およびそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。
【0066】
火災サインを検知するのに使用され得るセンサが、前記で詳述された。有用なセンサの非限定的な例は、熱画像センサ;温度センサ;ガスセンサ;光強度センサ;煙および/または微粒子検知器;ならびにそれらの組み合わせ、の群から選択され得る。本開示のいくつかの実施形態では、これらのセンサのうちの1つまたは複数が、煙検知器;微粒子検知器;温度センサ;相対湿度センサ;およびそれらの組み合わせに加えて、またはその代わりに、使用され得る。
【0067】
センサが、火災サインを検知したことをコントローラに伝えたら、コントローラは、コンテナから出ていく空気流を止めるかもしくは制限する機能を自動的に実行し、この機能は、多くの方法で、また多くの組み合わせで、実行され得る。いくつかの実施形態では、空気流を止めるかもしくは向け直すダクト構造もしくは通気孔の内側の、バタフライ弁などの弁により、空気流は、コンテナから出ることができない。いくつかの実施形態では、排気ファンに供給される電力を制限し、これにより排気ファンの速度を落とすことによって、空気流が止められるか、または空気流量が制限される。いくつかの実施形態では、コントローラが冷凍システムを停止させる。いくつかの実施形態では、ファンに供給される電力の極性を逆にすることにより、空気がコンテナから出るのを防ぐために、空気流の方向が逆にされる。
【0068】
能動的および受動的停止システムの組み合わせを使用する実施形態では、方法は以下のとおりであってよい。この方法で役に立つセンサは、前記に詳述したように、火災サインおよび飛行機での運搬を検知するのに使用されるものを、含み得る。1つまたは複数のセンサは、飛行機での運搬の前または後、すなわち排気ファンおよび/または冷凍システムが正常に動作している際に、火災サインを検知する。飛行機での運搬は、1つまたは複数のフライトフェーズにより示される。フライトフェーズは、冷凍貨物コンテナを空港に持っていくこと;冷凍貨物コンテナを航空機に積み込むこと;航空機の離陸;航空機の着陸;冷凍貨物コンテナを航空機から降ろすこと;および/または冷凍貨物コンテナを空港から移すこと、を含み得る。
【0069】
能動的および受動的停止システムの組み合わせを使用する実施形態では、コントローラは、火災サインおよび/または飛行機での運搬に応じて、少なくとも1つの排気ファンの動作を自動的に制御するように構成される。
【0070】
センサが、火災サインを検知したことをコントローラに伝えたら、コントローラは、コンテナから出ていく空気流を止めるかもしくは制限する機能を自動的に実行し、この機能は、多くの方法で、また多くの組み合わせで、実行され得る。いくつかの実施形態では、空気流を止めるかもしくは向け直すダクト構造もしくは通気孔の内側の、バタフライ弁などの弁によって、空気流はコンテナから出ることができない。いくつかの実施形態では、排気ファンに供給される電力を制限し、これにより排気ファンの速度を落とすことによって、空気流が止められるか、または空気流量が制限される。いくつかの実施形態では、コントローラが冷凍システムを停止させる。いくつかの実施形態では、ファンに供給される電力の極性を逆にすることにより、空気がコンテナから出るのを防ぐよう、空気流の方向が逆にされる。
【0071】
〔実施の態様〕
(1) 冷凍貨物コンテナのための自動停止システムにおいて、
(a)冷凍システムを含む貨物コンテナであって、前記冷凍システムは、少なくとも1つの排気ファンを含む、貨物コンテナと、
(b)熱画像センサ;ガスセンサ;加速度計;光強度センサ;高度計;周波数センサ;電気信号ノイズセンサ;トランスポンダー信号受信機;全地球測位システム;およびそれらの組み合わせ、の群から選択されるセンサと、
を含み、
前記センサは、前記冷凍システムに通信可能に取り付けられるコントローラに通信可能に取り付けられ、前記コントローラは、前記冷凍システムの前記排気ファンからの空気流を自動的に止めるかまたは制限するように構成される、自動停止システム。
(2) 実施態様1に記載の自動停止システムにおいて、
温度センサ;相対湿度センサ;煙センサ;微粒子センサ;およびそれらの組み合わせ、の群から選択されるセンサをさらに含む、自動停止システム。
(3) 実施態様1または2に記載の自動停止システムにおいて、
前記コントローラは、センサによる火災サインの検知に応じて、前記冷凍システムの動作を自動的に制御するように構成され、
前記センサは、熱画像センサ;ガスセンサ;光強度センサ;およびそれらの組み合わせ、の群から選択され、
前記火災サインは、好ましくは、煙;微粒子物質;赤外線放射;高温地点;放射エネルギー;温度;酸素濃度;一酸化炭素濃度;紫外線;およびそれらの組み合わせ、の群から選択される、自動停止システム。
(4) 実施態様1に記載の自動停止システムにおいて、
前記コントローラは、飛行機での運搬に応じて、前記冷凍システムの動作を自動的に制御するように構成され、
前記センサは、好ましくは、加速度計;高度計;周波数センサ;電気信号ノイズセンサ;トランスポンダー信号受信機;全地球測位システム;およびそれらの組み合わせ、の群から選択され、
飛行機での運搬は、好ましくは、前記冷凍貨物コンテナを空港に持っていくこと;前記冷凍貨物コンテナを航空機に積み込むこと;航空機の離陸;フライト;航空機の着陸;前記冷凍貨物コンテナを航空機から降ろすこと;および前記冷凍貨物コンテナを前記空港から移すこと、のフェーズから選択される、自動停止システム。
(5) 実施態様1〜4のいずれかに記載の自動停止システムにおいて、
前記コントローラは、前記少なくとも1つの排気ファンの動作を自動的に制御するように構成され、
好ましくは、前記コントローラは、前記少なくとも1つの排気ファンからの空気流を自動的に止めるか、または自動的に制限するように構成される、自動停止システム。
【0072】
(6) 実施態様1に記載の自動停止システムにおいて、
前記コントローラは、火災サインおよび飛行機での運搬に応じて、前記少なくとも1つの排気ファンの動作を自動的に制御するように構成される、自動停止システム。
(7) 実施態様1〜6のいずれかに記載の自動停止システムにおいて、
前記センサは、前記冷凍貨物コンテナの外側に位置する、自動停止システム。
(8) 実施態様1〜7のいずれかに記載の自動停止システムにおいて、
前記センサは、前記冷凍貨物コンテナの内側に位置する、自動停止システム。
(9) 冷凍貨物コンテナの冷凍システムの動作を制御する方法であって、前記冷凍システムは、排気ファンを含む、方法において、
(a)飛行機での運搬を検知する工程であって、飛行機での運搬は、好ましくは、前記冷凍貨物コンテナを空港に持っていくこと;前記冷凍貨物コンテナを航空機に積み込むこと;航空機の離陸;フライト;航空機の着陸;前記冷凍貨物コンテナを航空機から降ろすこと;および前記冷凍貨物コンテナを前記空港から移すこと、のフェーズを含む、工程と、
(b)飛行機での運搬を検知したことをコントローラに伝える工程と、
(c)前記排気ファンからの空気流を自動的に止めるかまたは制限する工程と、
を含み、
飛行機での運搬は、好ましくは、加速度計;高度計;周波数センサ;電気信号ノイズセンサ;トランスポンダー信号受信機;全地球測位システム;およびそれらの組み合わせ、の群から選択されるセンサにより検知される、方法。
(10) 実施態様9に記載の方法において、
前記排気ファンを自動的に停止させる工程をさらに含む、方法。
【0073】
(11) 実施態様9に記載の方法において、
前記冷凍システムを自動的に停止させる工程をさらに含む、方法。
(12) 実施態様9〜11のいずれかに記載の方法において、
航空機の着陸を検知する工程と、
航空機の着陸フェーズを検知したことを前記コントローラに伝える工程と、
前記排気ファンからの空気流を自動的に回復するか、増大させるか、または向け直す工程と、
をさらに含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1】例示的な冷凍システムを示す概略図である。
図2】例示的な、航空機用に構成された貨物コンテナを示す概略図である。
図3】例示的な、貨物用に構成された貨物コンテナを示す概略図である。
図4】停止システムを含む冷凍貨物コンテナの断面の概略図である。
図5】冷凍貨物コンテナ用の停止システムの電気的構成要素のブロック図である。
図6図5に描いた停止システムの電気的構成要素を含む冷凍貨物コンテナの実施形態の後部外側斜視図である。
図7図6に示す冷凍貨物コンテナの実施形態の後部外側斜視図であり、取り外し可能な後部パネルが、貨物コンテナから取り外されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7