(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
95重量%を超えるcis−1,4単位含量と1重量%未満の1,2−ビニル含量とを有する高分子量ポリブタジエンの製造において、ムーニー粘度における段階的上昇を達成するための方法において、
1)ブタジエンおよび/またはイソプレンから選択される少なくとも1種のモノマーを、少なくとも1種の不活性な有機溶媒の存在下、およびネオジムのカルボン酸塩をベースとする少なくとも1種の触媒の存在下に、−20℃〜150℃の温度で重合させ、
2)次いで、プロトン性化合物を添加することによって前記重合を停止させ、
3)次いで、前記ポリマーに硫黄塩化物を添加するが、添加の前に、それらの硫黄塩化物を、8〜20個の炭素原子を有するカルボン酸の群から選択されるカルボン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びオレイン酸からなる群より選択される、飽和またはモノもしくはポリ不飽和の植物性または動物性脂肪酸から選択される脂肪酸および/または前記脂肪酸の天然または変性のエステルから選択される脂肪酸エステルを用いて処理しておく
ことを特徴とする、方法。
硫黄塩化物すなわち、二塩化二硫黄、二塩化硫黄および/または塩化チオニルの、カルボン酸、脂肪酸および/または脂肪酸エステルに対する量比が、1:0.01から1:10までであることを特徴とする、請求項1または7に記載の方法。
工程3)の後に得られる前記ポリブタジエンが、工程2)の後のポリブタジエンのムーニー粘度(ML1+4、100℃)を基準にして、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)において少なくとも50%の段階的上昇を示すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
工程2)の後の前記ポリブタジエンのムーニー粘度(ML1+4、100℃)(初期ムーニー粘度)が、少なくとも20MUであり、工程3)において硫黄塩化物を添加した後の前記ポリブタジエンのムーニー粘度(ML1+4、100℃)(最終ムーニー粘度)が、少なくとも30MUであり、ゲル含量が1重量%よりも低いことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
ポリブタジエンは、タイヤ工業におけるゴム混合物の重要な構成成分として使用され、そこでは、最終的な性質における改良、たとえば転がり抵抗性の低減および摩耗値の低減を達成することが望まれている。他の用途分野としてはゴルフボールの芯材や靴底が挙げられるが、そこでは高い反発弾性が最大の関心事である。
【0003】
高いcis−1,4単位含量を有するポリブタジエンは、かなり長い間、大規模な工業的スケールで製造されてきて、タイヤおよびその他のゴム製品の製造、さらにはポリスチレンの耐衝撃性のための変性に使用されている。
【0004】
現在のところ、高いcis−1,4単位含量は、ほぼ例外なく、例を挙げれば(特許文献1)および(特許文献2)に記載されているような希土類金属の化合物をベースとする触媒を使用することによって達成されている。
【0005】
高cisポリブタジエンの群の中でも、特にネオジム触媒法による(neodymium−catalysed)ポリブタジエンが、転がり抵抗性、摩耗値および反発弾性に関しては特に有利な性質を有していることが、従来技術から公知である。使用される触媒系は、ポリブタジエンの製造において重要な役割を果たす。
【0006】
例を挙げれば、工業的に使用されるネオジム触媒は、複数の触媒成分よりなるZiegler/Natta系である。触媒を形成させるときには、ほとんどの場合、複数の触媒中心が生成し、その結果、そのポリマーには少なくともバイモーダルなモル質量分布が生じる。Ziegler/Natta触媒系中の公知の3触媒成分は、ほとんどの場合、ネオジム源、塩化物源、および有機アルミニウム化合物からなっており、これらは、特定の温度条件下、極めて広く各種の方法で混合され、それによって、エージング操作有りまたは無しで、重合プロセスのための触媒系が調製される。
【0007】
従来技術では、ポリブタジエンの製造に使用されるZiegler/Natta触媒系の製造プロセスが複数開示されている。
【0008】
従来技術から公知のまた別な文献は、(特許文献3)であるが、そこでは、酸化ネオジムおよびネオジムのアルコラート、およびカルボン酸塩を、有機金属ハロゲン化物、およびさらには有機化合物と、20℃〜25℃の温度で混合することによって触媒が製造されている。前記4種の成分を50℃〜80℃で混合することもまた可能である。この変法においては、その混合物を冷却して20〜25℃としてから、DIBAHを添加する。エージングについては何の記述もない。
【0009】
(特許文献4)には、低い溶液粘度/ムーニー粘度比を有するポリブタジエンを製造するためのプロセスが開示されているが、そこでは触媒の製造に、予備形成(preforming)プロセスが使用されている。そこでは、最初にバーサチック酸ネオジムをDIBAHおよびイソプレンと50℃で混合し、次いでその混合物を冷却して5℃としてから、エチルアルミニウムセスキクロリド(EASC)を添加する。エージングは、10℃〜−80℃の温度で、数分から数日の間で実施することができる。その重合プロセスの間に、ポリマーの分岐度を上げ、さらには極めて限定された溶液粘度/ムーニー粘度比を得る目的で、コモノマー、たとえばビスジエンを添加する。ビスジエンによるカップリングが原因で、そのようにして得られた分岐状ポリマー中の、1分子あたりの自由鎖末端の数は、少なくとも4であるが、それに対して直鎖状の分子では、それはわずかに2である。
【0010】
ポリマー中の鎖末端の数が、エネルギー散逸に直接関係する。自由鎖末端の数が増えるにつれて、ポリマーからのエネルギーの散逸も増大する。しかしながら、ポリマー内のエネルギー散逸が少なくなるほど、例を挙げれば、そのポリマーの転がり抵抗性が低下し、その反発弾性が改良される。したがって、モル質量が同じなら、1分子あたり2つの鎖末端しか有していない直鎖状のポリマーの最終的な性質は、そのために、分岐状のポリマーの性質よりも常に良好である。
【0011】
商業的に製造されるポリマーが統計的なモル質量分布を有していることは公知であり、そこにおけるモル質量分布の幅は、触媒製造プロセスの影響を受ける。
【0012】
「ムーニー粘度における段階的上昇」という表現および同様の表現たとえば「ムーニー値における段階的上昇」または「ムーニー・ジャンプ」は、ポリマーのムーニー粘度を顕著に増大させる技術を指している。
【0013】
エラストマー性の不飽和ジエンポリマーの分子量を増大させることができるということは、各種の理由から、重要である。それによって、極めて有利なことには、通常使用される溶液重合技術で、最初に低分子の親ポリマーを製造することが可能となって、「セメント」(重合プロセスにおいて使用される有機−溶媒媒体中のポリマーの溶液)中の粘度がより低くなり、より良好な熱伝達が達成されることから、その「セメント」の中の固形分含量を高くして運転することが可能となる。それらのジエンポリマーのコールドフローを低下させることもまた可能であって、それにより、油展性能が向上する。
【0014】
高分子量ポリマー、特に高分子量のネオジム触媒法によるポリブタジエンを直接製造するために溶液重合法を使用するのは、溶液粘度が高いために、特別に困難で、コスト高であるということは、従来技術からも周知である。撹拌が困難である。他の現象としては、重合系における不均一性があり、熱伝導性が極端に低下する。したがって、直接的な重合プロセスで高分子量に到達させようとすると、その反応空間内での固形分含量を下げることによって、ポリマーの生産速度を下げる必要が生じるであろう。このタイプの作業手順では、ポリマー製造コストがかなり高くなる。
【0015】
予備形成プロセスが、Nd触媒の触媒効果を変化させ、それらの予備形成されたNd触媒が比較的低いコールドフローを有するポリマーを与える可能性があるということは公知であるが、予備形成プロセスは、ほとんどの場合、触媒の活性を低下させ、そのために、ネオジムの消費量が、時としてかなり高くなる。
【0016】
さらには、重合プロセスの後にジエンポリマーを二塩化二硫黄、二塩化硫黄、塩化チオニル、二臭化二硫黄または臭化チオニルを用いて処理すると、低いコールドフローを有するポリジエンが得られるということも公知である(特許文献5)。しかしながら、(特許文献5)に記載されているエラストマー性のジエンポリマーを製造するための方法は、ムーニー値における段階的上昇を、重合プロセスの後のポリマーのムーニー粘度よりも少なくとも50%は高くしようとするのならば、前記プロセスは、高分子量のネオジム触媒法によるポリブタジエンには適していない、その理由は、その「段階的上昇・ポリマー」が、ゲル化を示し、そのことによって、反応器の内壁の上に析出物が生じるために、反応器の運転時間が短くなるからである。そのような反応器の保守と清掃は、時間もコストもかかる。さらに、実際のポリマーの中にゲル成分が存在していて、そのためにタイヤ用途で使用することができないという危険性も存在する。
【0017】
(特許文献6)にも、Nd触媒法によるジエンゴムの分子量における段階的上昇を達成するための、同様の方法が記載されているが、そこでは、反応混合物の低沸点成分をすべて除去するために、重合プロセスの後に減圧工程を設けるによってポリマー固有の臭気を低減している。この場合、ムーニー値における段階的上昇は、重合プロセスの後のジエンゴムのムーニー粘度よりも、約27%高くなる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここで、使用されている用語について説明する:
初期ムーニー粘度:ポリマーの重合後、すなわち工程2)の後のムーニー粘度(ML1+4、100℃)
最終ムーニー粘度:変性の後、すなわちムーニー値における段階的上昇、ポリマーの段階的上昇反応の後(段階的上昇・ポリマー)、すなわち、工程3)の後のムーニー粘度(ML1+4、100℃)、
段階的上昇ポリマー:変性の後、ムーニー値における段階的上昇の後、すなわち段階的上昇反応の後の高分子量ポリブタジエン。
【0027】
希土類金属の化合物、たとえばセリウム化合物、ランタン化合物、プラセオジム化合物、ガドリニウム化合物またはネオジム化合物(これらは炭化水素に可溶性である)をベースとする、Ziegler−Natta触媒を使用するのが好ましい。Ziegler−Natta触媒としては、希土類金属に対応する塩を使用するのが特に好ましく、例を挙げれば、ネオジムのカルボン酸塩、特にネオデカン酸ネオジム、オクタン酸ネオジム、ナフテン酸ネオジム、2,2−ジエチルヘキサン酸ネオジム、または2,2−ジエチルヘプタン酸ネオジム、またはそうでなければ、ランタンに対応する塩、またはプラセオジムに対応する塩である。使用することが可能なZiegler−Natta触媒にはさらに、たとえば欧州特許出願公開第A−1025136号明細書および欧州特許出願公開第A−1078939号明細書に記載されているような、メタロセンをベースとする触媒系も含まれる。
【0028】
特許請求されている方法が、以下の工程に基づいているのが好ましい:
a)以下のもの
− 成分A:ネオジムのアルコラートまたはカルボン酸塩、好ましくはバーサチック酸ネオジム、
− 成分B:水素化ジアルキルアルミニウム、好ましくは水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAH)、
− 成分C:ジエン、好ましくはブタジエンまたはイソプレン、および
− 成分D:少なくとも1種の有機金属ハロゲン化物、好ましくはエチルアルミニウムセスキクロリド(EASC)
からなるネオジムをベースとする触媒系を使用し、予備形成プロセス有りまたは無しで、触媒を製造する工程、
b)−20℃〜150℃の温度でそれらのモノマーを重合させる工程、
c)使用またはその重合を停止させるプロトン性化合物、および
d)硫黄塩化物を添加する工程(その硫黄塩化物は、添加に先立って、カルボン酸、脂肪酸および/または脂肪酸エステルを用いて処理したものである)。
【0029】
使用することが可能なジエンは、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、および2,3−ジメチルブタジエン、特にブタジエンおよびイソプレンである。上述のジエンは、個別に使用することも、あるいは相互の混合物で使用することも可能であり、それに応じて、上述のジエンのホモポリマーか、またはコポリマーが得られる。
【0030】
触媒系が製造できたら、有機溶媒中で、重合プロセスを実施する。それらの溶媒は、使用される触媒系に対して不活性でなければならない。好適な物質の例は、芳香族、脂肪族および脂環族の炭化水素、たとえばベンゼン、トルエン、ペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、各種異性体のペンタン、およびシクロヘキサンである。これらの溶媒は、個別に使用しても、組み合わせて使用してもよい。好ましいのは、シクロヘキサンおよびn−ヘキサンである。極性溶媒とブレンドすることも、同様に可能である。
【0031】
不活性な有機溶媒の使用量は、100重量部のモノマーを基準にして、200〜900重量部である。300〜500重量部の量であるのが好ましい。
【0032】
その重合プロセスは、連続式、バッチ式いずれで実施することもできる。
【0033】
重合プロセスは、−20℃〜150℃、好ましくは0〜130℃の温度で実施する。
【0034】
その重合プロセスは、慣用される方法を使用することができ、1段または多段、バッチ式、連続式を含むことができる。複数の、好ましくは少なくとも2基、特には2〜6基の反応器からなるカスケード反応器における、連続の作業手順が好ましい。
【0035】
所望の転化率が達成されたら、通常は、プロトン性化合物を添加することによって触媒を不活性化させる、すなわち重合プロセスを停止させる。そのプロトン性化合物の量は、使用したモノマーを基準にして、好ましくは0〜1phrである。
【0036】
そのプロトン性化合物が、カルボン酸および/または脂肪酸を含んでいるのが好ましい。
【0037】
重合プロセスを不活性化させるのに、ステアリン酸またはラウリン酸を使用するのが好ましい。
【0038】
所望の転化率が達成されたら、その触媒と反応して、ポリマー鎖に官能性末端基として結合することが可能な1種または複数の反応性の極性有機化合物と触媒を反応させることも、さらに可能である。
【0039】
重合プロセスの後に、ポリマーから低沸点成分をすべて除去する目的で、減圧工程を実施することも、必須という訳ではないが、同様に可能である。
【0040】
得られたポリマーと硫黄塩化物を混合するが、それらの硫黄塩化物は、カルボン酸、脂肪酸および/または脂肪酸エステルを用いて、前処理しておく。前処理のためには、カルボン酸、脂肪酸および/または脂肪酸エステルを硫黄塩化物と混合する。
【0041】
使用する硫黄塩化物の、カルボン酸、脂肪酸および/または脂肪酸エステルに対する量比は、好ましくは1:0.01から1:10までである。
【0042】
そのカルボン酸には、8〜20個の炭素原子を有するカルボン酸、たとえばバーサチック酸、オクタン酸またはイソオクタン酸の群から選択された化合物が含まれているのが好ましい。
【0043】
その脂肪酸に、飽和またはモノもしくはポリ不飽和の植物性または動物性脂肪酸、たとえばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸またはオレイン酸が含まれているのが好ましい。
【0044】
その脂肪酸エステルに、天然または変性の、飽和またはモノもしくはポリ不飽和の植物性または動物性脂肪酸エステル、たとえばエポキシ化大豆油(ESBO)が含まれているのが好ましい。
【0045】
その硫黄塩化物に、二塩化二硫黄、二塩化硫黄および/または塩化チオニルが含まれているのが好ましい。変性を実施するために二塩化二硫黄を使用するのが、特に好ましい。
【0046】
硫黄塩化物、好ましくは二塩化二硫黄の添加量は、100重量部のジエンゴムあたり、一般的には0.05〜0.7重量部、好ましくは0.1〜0.4重量部である。
【0047】
変性を実施する温度は、通常20℃〜150℃、好ましくは50〜120℃である。
【0048】
特許請求されている方法においては、カルボン酸、脂肪酸および/または脂肪酸エステルを用いて前処理した硫黄塩化物を、ポリマーと共に約5〜60分間撹拌する。
【0049】
後作業の前に、慣用される安定剤を慣用される量でポリマー溶液に添加することもできる。使用される安定剤の例は、立体障害のあるフェノール、たとえば、2,6−ジ−tert−ブチル−4,5−メチルフェノール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、または3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピン酸オクタデシル、または芳香族アミンたとえば、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−パラフェニレンジアミン、またはホスファイト、たとえば、トリス(ノニルフェニル)ホスファイトである。その他の市販されている安定剤を使用することもまた可能である。
【0050】
ポリマー溶液の濃度を上げるための蒸発法、非溶媒たとえばメタノール、エタノール、またはアセトンを用いた沈殿法、または好ましくは溶媒の水蒸気蒸留法によって、ポリマーを単離する。
【0051】
水蒸気ストリッピングの後、適切なシーブ装置、または適切なスクリュー装置、たとえばエクスペラースクリューもしくはエキスパンダースクリュー、または流動床乾燥機を使用して、水を除去する。
【0052】
乾燥プロセスでは、たとえば乾燥オーブン中、またはスクリューコンベヤ乾燥機の中で、慣用される方法を使用する。
【0053】
特許請求されている方法で製造された高分子量ポリブタジエンのムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、工程2)の後のポリブタジエンのムーニー粘度よりも、工程3)の後では少なくとも50%高い。
【0054】
特許請求されている高分子量ポリブタジエン(NdBR)の初期ムーニー粘度が、少なくとも20MU(ML1+4、100℃)、好ましくは20〜25MU(ML1+4、100℃)、特に好ましくは少なくとも40MU(ML1+4、100℃)であり、硫黄塩化物、たとえば二塩化二硫黄、二塩化硫黄および/または塩化チオニルを添加した後では、その最終ムーニー粘度が、少なくとも30MU(ML1+4、100℃)、好ましくは40〜50MU(ML1+4、100℃)、特に好ましくは60〜80MU(ML1+4、100℃)で、ゲル化がまったく無いか、またはゲル化が顕著に低減されているのが好ましい。ゲル含量が、1重量%未満であるのが好ましい。
【0055】
初期ムーニー粘度とは、重合プロセスの後のポリブタジエンのムーニー粘度を指している。
【0056】
ASTM D1646−00に従いムーニー応力緩和(MSR)を使用して、ムーニー値における段階的上昇を求めることも同様に可能である。その場合、MSR値は、工程2)および工程3)の後に測定する。MSR(2)とMSR(3)とから計算される商によって、変性係数(modification coefficient)が得られる。MSR値は、ASTM D1646−00の標準試験法に従って、100℃で測定する。
【0057】
特許請求されているポリブタジエンの変性係数は、好ましくは1.3〜2.5、より好ましくは1.4〜2.1である。
【0058】
本発明にはさらに、特許請求されている方法によって得ることができる高分子量のネオジム触媒法によるポリブタジエンも含まれる。
【0059】
特許請求されている高分子量のネオジム触媒法によるポリブタジエンにカルボン酸、脂肪酸および/または脂肪酸エステルが含まれているのが好ましい。特に、天然または変性の、飽和またはモノもしくはポリ不飽和の植物性または動物性脂肪酸エステル、特にエポキシ化大豆油、またはバーサチック酸、オクタン酸、イソオクタン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸もしくはオレイン酸が、特許請求されているネオジム触媒法によるポリブタジエンの中に検出しうる。当業者ならば、たとえば薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、HPLCまたは質量分析法などを使用する慣用される検出方法を知っているが、従来からのカルボン酸、脂肪酸および/または脂肪酸エステルの抽出/単離方法も任意選択的である。
【0060】
特許請求されている高分子量のネオジム触媒法によるポリブタジエンでは、ゴムのムーニー粘度を調節するためのエクステンダー油、たとえば芳香族エクステンダー油を添加する必要はない。
【0061】
特許請求されているポリブタジエンは単独で使用することも、または芳香族油または脂肪族油とのブレンドの形で使用することも、または他のゴムとの混合物の形で使用することも可能である。さらに、ゴム加硫物を製造するのに適したさらなるゴムは、天然ゴムのみならず、合成ゴムも同様である。好ましい合成ゴムについては、たとえば次の文献に記載がある:W.Hofmann,Kautschuktechnologie,Gentner Verlag,Stuttgart,1980、およびI.Franta,Elastomers and Rubber Compounding Materials,Elsevier,Amsterdam,1989。それらには、なかんずく以下のものが含まれる。
BR:通常のポリブタジエン
ABR:ブタジエン/アクリル酸C1〜C4−アルキル・コポリマー
CR:ポリクロロプレン
IR:ポリイソプレン
SBR:スチレン/ブタジエンコポリマー(スチレン含量が、1〜60重量%、好ましくは20〜50重量%のもの)
IIR:イソブチレン/イソプレン・コポリマー
NBR:ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー(アクリロニトリル含量が、5〜60重量%、好ましくは10〜40重量%のもの)
HNBR:部分水素化または完全水素化NBRゴム
EPDM:エチレン/プロピレン/ジエン・コポリマー
ならびに前記ゴムの混合物。表面変性充填剤を助剤とした自動車用タイヤの製造のための関心の高い物質は、特に、天然ゴム、エマルション法SBR、さらには欧州特許出願公開第A−0 447 066号明細書に記載されているような、−50℃よりも高いガラス転移温度を有し、任意選択でシリルエーテルまたは他の官能基で変性されている溶液法SBRゴム Ni、Co、TiまたはNdベースの触媒を用いて製造した、高い1,4−cis含量(>90重量%)を有するポリブタジエンゴム、さらには0〜75重量%のビニル含量を有するポリブタジエンゴム、さらにはそれらの混合物である。
【0062】
それらのゴム混合物には、本発明によっても提供され、一般的には、5〜300重量部の、たとえば下記のような活性もしくは不活性な充填剤が含まれている。
・ 微粒子シリカ、たとえばシリケートの溶液からの沈降法またはハロゲン化ケイ素の火炎加水分解法で製造され、比表面積(BET表面積)が5〜1000m
2/g、好ましくは20〜400m
2/gであり、一次粒径が10〜400nmであるもの。それらのシリカは、適切であるならば、他の金属の酸化物たとえばAl酸化物、Mg酸化物、Ca酸化物、Ba酸化物、Zn酸化物、Zr酸化物、またはTi酸化物との混合酸化物の形態をとることもできる、
・ 合成シリケート、たとえばケイ酸アルミニウム、またはアルカリ土類金属シリケート、たとえば、ケイ酸マグネシウムもしくはケイ酸カルシウムで、BET表面積が20〜400m
2/gで、一次粒径が10〜400nmのもの、
・ 天然シリケート、たとえばカオリン、およびその他各種の天然のシリカの形態のもの、
・ ガラス繊維およびガラス繊維製品(マット、ストランド)、またはガラスマイクロビーズ、
・ 金属酸化物たとえば、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、
・ 金属炭酸塩たとえば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、
・ 金属水酸化物たとえば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、
・ 金属塩、たとえばα,β−不飽和脂肪酸、たとえば3〜8個の炭素原子を有するアクリル酸またはメタクリル酸の亜鉛塩またはマグネシウム塩、たとえば、アクリル酸亜鉛、二アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛、二メタクリル酸亜鉛、およびそれらの混合物;
・ カーボンブラック。本発明において使用されるカーボンブラックは、たとえばランプ−ブラックプロセス、ファーネス−ブラックプロセス、またはガス−ブラックプロセスによって製造され、20〜200m
2/gのBET表面積を有するものであり、例としては、SAF、ISAF、HAF、FEF、またはGPFカーボンブラックが挙げられる、
・ ゴムゲル、特にポリブタジエン、ブタジエン/スチレンコポリマー、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、およびポリクロロプレンをベースとするもの。
【0063】
特に好ましいのは、二アクリル酸亜鉛、微粒子シリカ、およびカーボンブラックである。
【0064】
上述の充填剤は、単独で使用しても、あるいは混合物の形で使用してもよい。一つの特に好ましい実施態様においては、そのゴム混合物に、充填剤として、淡色の充填剤、たとえば微粒子シリカと、カーボンブラックとの混合物が含まれるが、ここでその混合物中における淡色の充填剤のカーボンブラックに対する比率は、0.05〜20、好ましくは0.1〜10である。
【0065】
特許請求されているポリブタジエンの溶液に充填剤が添加される形態は、好ましくは、固形物の形態、または水中もしくは溶媒中のスラリーの形態である。前もってゴム溶液を製造しておくことも可能であるが、重合反応から得られる溶液を直接使用するのが好ましい。次いで、その溶媒を、熱的、好ましくは水蒸気を利用して除去する。前記ストリッピングプロセスのための条件は、予備的な実験から容易に決めることができる。
【0066】
さらに、特許請求されている固形のポリブタジエンまたはゴムの混合物に充填剤を添加し、公知の方法での混合、たとえばニーダーを使用して組み込むのが好ましい。
【0067】
特許請求されているゴム混合物にはさらに、適切であるならば、架橋剤も含む。使用される架橋剤には、硫黄またはペルオキシドが含まれるが、この場合、硫黄が特に好ましい。本発明によるゴム混合物には、さらなるゴム助剤を含むことができるが、そのようなものとしては,たとえば以下のものが挙げられる:反応促進剤、抗酸化剤、熱安定剤、光安定剤、オゾン劣化防止剤、加工助剤、可塑剤、粘着付与剤、発泡剤、染料、顔料、ワックス、エクステンダー、有機酸、遅延剤、金属酸化物、ならびにさらに、活性化剤、たとえば、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコール、ヘキサントリオールなど(これらは、ゴム工業においては公知である)。
【0068】
高活性の沈降シリカを使用する好ましいゴム混合物においては、さらなる充填剤活性化剤を使用するのが特に有利である。好適な充填剤活性化剤は、独国特許出願公開第A−2,141,159号明細書および独国特許出願公開第A−2,255,577号明細書に記載されている、硫黄含有シリルエーテル、特にビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィド、独国特許出願公開第A−4,435,311号明細書および欧州特許出願公開第A−0 670 347号明細書のオリゴマー性および/またはポリマー性の硫黄含有シリルエーテル、ならびにたとえば、独国特許出願公開第A−195 44 469号明細書に記載されているような、メルカプトアルキルトリアルコキシシラン、特にメルカプトプロピルトリエトキシシランおよびチオシアナトアルキルシリルエーテルである。
【0069】
それらのゴム助剤の使用量は通常の量であるが、なかんずく、目的としている用途に依存する。通常の量の例は、ゴムを基準にして、0.1〜50重量%の量である。
【0070】
ゴムと、上述のその他のゴム助剤製品、架橋剤および加硫促進剤とのさらなるブレンドは、通常の方法で、適切な混合装置たとえば、ロール、インターナルミキサー、混合エクストルーダーを用いて実施することができる。
【0071】
コンパウンディングおよび加硫のプロセスは、たとえば次の文献にさらに詳しく記載されている:Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.4、p.66〜(コンパウンディング)およびVol.17、p.666〜(加硫)。
【0072】
本発明におけるゴム混合物は、通常の温度、100〜200℃、好ましくは130〜180℃(適切であるならば、10〜200barの加圧下)で加硫することができる。
【0073】
特許請求されているゴム混合物は、各種のタイプの成形物を製造するための、優れた適合性を有している。
【0074】
前記成形物の非限定的な例としては、Oリング、異形品、ガスケット、膜、タイヤ、タイヤトレッド、制振要素、およびホースが挙げられる。
【0075】
各種のタイヤ構成成分およびタイヤトレッドが特に好ましい。
【0076】
本発明によるゴム混合物はさらに、耐衝撃性熱可塑性プラスチック、特にポリスチレンおよびスチレン/アクリロニトリルコポリマーに好適である。
【0077】
それらのゴム混合物は、ゴルフボール、特にゴルフボールの芯に使用するのに特に適している。
【0078】
本発明の範囲には、一般的な項目としてまたは好ましい範囲として、ここまでに提供し、以後において列挙する、成分の定義、指数、パラメーター、および説明のすべての組合せが包含されている、すなわち、個別の範囲と好ましい範囲を含めた各種所望の組み合わせが包含されている。
【実施例】
【0079】
以下で実施例を使用して、本発明をさらに説明する。
【0080】
I.高分子量のネオジム触媒法によるポリブタジエン(NdBR)の製造
分子量を段階的上昇させて、各種のNdBRを製造した。
【0081】
比較例1:ゲル化なしで、ムーニー値において低い段階的上昇(<50%)を有するNdBR
重合プロセス:
8500gのヘキサン(モレキュラーシーブ上で乾燥させたもの)、1300gの1,3−ブタジエン、21.4mmolの水素化ジイソブチルアルミニウムの20%溶液(ヘキサン中)、1.44mmolのエチルアルミニウムセスキクロリドの10%溶液(ヘキサン中)、および1.44mmolのバーサチック酸ネオジムの40%溶液(ヘキサン中)を、乾燥させ、窒素で不活性化した20Lのスチール製オートクレーブの中に導入した。その系を、撹拌しながら73℃に加熱し、その混合物を、撹拌しながら60分かけて重合させた。転化率用のサンプルを抜き出した。その重合プロセスの後のブタジエンの転化率は、99.7%であった。
【0082】
3.75gのステアリン酸(0.25phr)を添加することによってその重合プロセスを停止させ、1.3gのIrganox1520(0.1phr)を安定化のために使用した。その溶液は、さらに15分間65℃に保持した。
初期ムーニー粘度(ML1+4、100℃):39MU
ムーニー応力緩和(MSR、100℃、ASTM D1646−00に準拠):MSR(2)=0.64。
【0083】
変性:
720gのポリマー溶液を2Lのガラス製反応器の中へ移した。変性プロセスのために、1.71gの二塩化二硫黄の溶液(ヘキサン中)を添加した(濃度:11%(0.2phr))。その溶液を、65℃で15分間撹拌した。5kgのエタノールの中に導入することによってそのポリマーを沈殿させ、Irganox1520(0.2phr)を用いて安定化させ、真空中70℃で乾燥させた。
乾燥後重量:95g
最終ムーニー粘度(ML1+4、100℃):44MU
ムーニー応力緩和MSR(3)=0.52
ゲル含量<0.3重量%
微細構造:97.5重量%の1,4−cis;1.7重量%の1,4−trans;0.8重量%の1,2−ビニル。
【0084】
その高分子量のネオジム触媒法によるポリブタジエンはゲル化を示さず、初期ムーニー粘度よりも12.8%高い、ムーニー値における低い段階的上昇であった。
【0085】
変性係数(MC)は1.2である。
【0086】
比較例2:ゲル化を伴い、ムーニー値において50%を超える高い段階的上昇を有するNdBR
重合プロセス:
8500gのヘキサン(モレキュラーシーブ上で乾燥させたもの)、1300gの1,3−ブタジエン、21.3mmolの水素化ジイソブチルアルミニウムの20%溶液(ヘキサン中)、1.44mmolのエチルアルミニウムセスキクロリドの10%溶液(ヘキサン中)、および1.44mmolのバーサチック酸ネオジムの40%溶液(ヘキサン中)を、乾燥させ、窒素で不活性化した20Lのスチール製オートクレーブの中に導入した。その系を、撹拌しながら73℃に加熱し、その混合物を、撹拌しながら60分かけて重合させた。転化率用のサンプルを抜き出した。その重合プロセスの後のブタジエンの転化率は、99.7%であった。
【0087】
6.5gのステアリン酸を添加することによって、その重合プロセスを停止させた。その溶液は、さらに15分間65℃に保持した。
初期ムーニー粘度(ML1+4、100℃):36MU
MSR(2)=0.77。
【0088】
変性:
720gのポリマー溶液を2Lのガラス製反応器の中へ移した。変性プロセスのために、3.42gの二塩化二硫黄の溶液(ヘキサン中)を添加した(濃度:11%(0.4phr))。その溶液を、65℃で15分間撹拌した。5kgのエタノールの中に導入することによってそのポリマーを沈殿させ、Irganox1520(0.2phr)を用いて安定化させ、真空中70℃で乾燥させた。
乾燥後重量:95g
最終ムーニー粘度(ML1+4、100℃):82MU
MSR(3)=0.35;
ゲル含量:8.5重量%
微細構造:97.6重量%の1,4−cis;1.7重量%の1,4−trans;0.7重量%の1,2−ビニル。
【0089】
その高分子量のネオジム触媒法によるポリブタジエンは、8.5重量%の量のゲル化を示し、初期ムーニー粘度よりも127.8%高い、ムーニー値の高い段階的上昇であった。
【0090】
したがって、その変性係数は2.2である。
【0091】
本発明の実施例1:ゲル化なしで、ムーニー値において83%の高い段階的上昇を有するNdBR
重合プロセス:
8500gのヘキサン(モレキュラーシーブ上で乾燥させたもの)、1300gの1,3−ブタジエン、29.2mmolの水素化ジイソブチルアルミニウムの20%溶液(ヘキサン中)、1.44mmolのエチルアルミニウムセスキクロリドの10%溶液(ヘキサン中)、および1.44mmolのバーサチック酸ネオジムの40%溶液(ヘキサン中)を、乾燥させ、窒素で不活性化した20Lのスチール製オートクレーブの中に導入した。その系を、撹拌しながら73℃に加熱し、その混合物を、撹拌しながら60分かけて重合させた。転化率用のサンプルを抜き出した。その重合プロセスの後のブタジエンの転化率は、99.5%であった。
【0092】
6.5gのステアリン酸(0.5phr)を添加することによって、その重合プロセスを停止させた。その溶液は、さらに15分間65℃に保持した。
初期ムーニー粘度(ML1+4、100℃):24MU
MSR(2)=0.78。
【0093】
変性:
720gのポリマー溶液を2Lのガラス製反応器の中へ移した。変性プロセスのために、1.24gの二塩化二硫黄の溶液(ESBO中)を添加した(濃度:54%(0.7phr))。その溶液を、65℃で15分間撹拌した。5kgのエタノールの中に導入することによってそのポリマーを沈殿させ、Irganox1520(0.2phr)を用いて安定化させ、真空中70℃で乾燥させた。
乾燥後重量:95.2g
最終ムーニー粘度(ML1+4、100℃):44MU
MSR(3)=0.46;
ゲル含量<0.3重量%
微細構造:97.4重量%の1,4−cis;1.9重量%の1,4−trans;0.6重量%の1,2−ビニル。
【0094】
したがって、その変性係数は1.7である。
【0095】
本発明の実施例2:ゲル化なしで、ムーニー値において55%の高い段階的上昇を有するNdBR
重合プロセス:
8500gのヘキサン(モレキュラーシーブ上で乾燥させたもの)、1300gの1,3−ブタジエン、21mmolの水素化ジイソブチルアルミニウムの20%溶液(ヘキサン中)、1.44mmolのエチルアルミニウムセスキクロリドの10%溶液(ヘキサン中)、および1.44mmolのバーサチック酸ネオジムの40%溶液(ヘキサン中)を、乾燥させ、窒素で不活性化した20Lのスチール製オートクレーブの中に導入した。その系を、撹拌しながら73℃に加熱し、その混合物を、撹拌しながら60分かけて重合させた。転化率用のサンプルを抜き出した。その重合プロセスの後のブタジエンの転化率は、98.7%であった。
【0096】
6.5gのステアリン酸(0.5phr)を添加することによって、その重合プロセスを停止させた。その溶液は、さらに15分間65℃に保持した。
初期ムーニー粘度(ML1+4、100℃):40MU
MSR(2)=0.65。
【0097】
変性:
720gのポリマー溶液を2Lのガラス製反応器の中へ移した。変性プロセスのために、0.40gの二塩化二硫黄の溶液(ESBO中)を添加した(濃度:64%(0.3phr))。その溶液を、65℃で15分間撹拌した。5kgのエタノールの中に導入することによってそのポリマーを沈殿させ、Irganox1520(0.2phr)を用いて安定化させ、真空中70℃で乾燥させた。
乾燥後重量:95.1g
最終ムーニー粘度(ML1+4、100℃):62MU
MSR(3)=0.36;
ゲル含量<0.3重量%
微細構造:97.4重量%の1,4−cis;2.0重量%の1,4−trans;0.6重量%の1,2−ビニル。
モル質量:Mn=202kg/mol、Mw=418kg/mol、Mz=1050kg/mol;多分散性(Mw/Mn)=2.07
溶液粘度:218mPas
【0098】
したがって、その変性係数は1.8である。
【0099】
本発明の実施例3:ゲル化なしで、ムーニー値において97%の高い段階的上昇を有するNdBR
重合プロセス:
8500gのヘキサン(モレキュラーシーブ上で乾燥させたもの)、1300gの1,3−ブタジエン、21mmolの水素化ジイソブチルアルミニウムの20%溶液(ヘキサン中)、1.44mmolのエチルアルミニウムセスキクロリドの10%溶液(ヘキサン中)、および1.44mmolのバーサチック酸ネオジムの40%溶液(ヘキサン中)を、乾燥させ、窒素で不活性化した20Lのスチール製オートクレーブの中に導入した。その系を、撹拌しながら73℃に加熱し、その混合物を、撹拌しながら60分かけて重合させた。転化率用のサンプルを抜き出した。その重合プロセスの後のブタジエンの転化率は、99.5%であった。その重合溶液を停止させることなく、直接次の加工をした。ポリマーのサンプルを抜き出して、そのポリマーのムーニー値を測定した。
プレポリマーの初期ムーニー粘度(ML1+4、100℃):37MU
MSR(2)=0.65。
【0100】
変性:
720gのポリマー溶液を2Lのガラス製反応器の中へ移した。変性プロセスのために、0.76gの二塩化二硫黄の溶液(ESBO中)を添加した(濃度:37.5%(0.3phr))。その溶液を、65℃で15分間撹拌した。5kgのエタノールの中に導入することによってそのポリマーを沈殿させ、Irganox1520(0.2phr)を用いて安定化させ、真空中70℃で乾燥させた。
乾燥後重量:95.1g
最終ムーニー粘度(ML1+4、100℃):73MU
MSR(3)=0.33;
ゲル含量<0.3重量%
微細構造:97.7重量%の1,4−cis;1.7重量%の1,4−trans;0.6重量%の1,2−ビニル。
【0101】
変性係数(MC)は1.97である。
【0102】
特許請求されている方法で製造されたNdBRはすべて、ムーニー値の大きな段階的上昇を示している。最終ムーニー粘度が、そのNdBRの初期ムーニー粘度よりも50%を超えて高く、しかもゲル含量が0.3重量%未満である。
【0103】
試験:
A:BAYELAS MO AQ259−A LAB法をベースとした重量法による、スチレン中のポリブタジエンのゲル含量の測定:
化学天秤で、25.0gのポリマーを感量0.1gまで秤量する。端部は切断して、廃棄しておいてから作業手順に入る。ポリマーを切断して、小片にする。850mLの濾過したスチレンを1Lの広口ビンに仕込み、シェーカー上で約4時間かけてそのポリマーを溶解させる。
【0104】
幅0.036mm、φ50mmのメッシュを有する金網(wire cloth)から構成されているワイヤネット(wire netting)を、作業手順の前に赤熱するまで加熱し、デシケーター中のデシケーターボトルの中で冷却する。冷却後、デシケーターボトルからそのワイヤネットを取り出し、化学天秤で感量0.1mgまで秤量する。これにより、重量Aが得られる。ガラスビーカー3個のそれぞれに、濾過したスチレン100mLを準備する。直径50mmのワイヤネットを、「Gelman」金属濾過系(シール・フィルター・シール)に置き、ロート装置を、定位置にねじ止めする。
【0105】
そこで、そのフィルターにポリマー溶液を通過させる。スチレンを含む3個のガラスビーカーの最初のものを使用して、広口ビンを洗い流し、その溶液も同様に、フィルターを通過させる。次いで、残りの2個のスチレン部分を使用して、フィルターを洗い流す。
【0106】
次いでペンチ(pincers)を用いてそのフィルターを注意深く取り外し、きれいな紙ティッシューの上に置く。そのペンチを使用して、フィルターの縁に注意深く圧力をかける。スチレンの蒸発を観察するためにレンズを用いる。まだスチレンで湿っている、湿ったワイヤフィルターが、スチレンの量が少なくなるにつれて、見かけ上、より青白くなる。フィルターメッシュのすべてからスチレンがなくなったら、直ちに天秤でそれを再び秤量する。これにより、重量Bが得られる。
【0107】
フィルターの2回目の秤量がすんだら、乾燥キャビネットの中、100℃(±5℃)で15分間乾燥させて、ドライゲル含量を求める。ここでは、そのフィルターは、オープンなデシケーターボトルの中にいれておく。乾燥した後、そのボトルをフィルターと共に、約10分間デシケーターの中に置いてから、再び秤量する。これにより、重量Cが得られる。
【0108】
計算:
【数1】
B:ムーニー粘度およびムーニー応力緩和、ASTM D1646−00に準拠
C:溶液粘度、ISO 3105に準拠:
Brokfield DV I 回転粘度計を使用し、室温で、トルエン中5.43%ポリマーの溶液の粘度を測定する。
D:GPCは、Currentaにより実施した。
E:微細構造測定。
Currenta、ELA 101:ポリマーのトルエン中の溶液を、KBrウィンドウの上に置き、溶媒を蒸発させて、2枚のKBrウィンドウに挟んだそのポリマー膜をFTIR分光光度法の手段により検討する。
ESBO:エポキシ化大豆油(Cognis製)
Irganox1520:4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール(BASF製)。
【0109】
II.ゴム混合物および加硫物の製造
比較例2は、ゲル含量が極めて高いので、化合物の試験には不適切である。
【0110】
ムーニー値の段階的上昇を実施していないNd触媒法によるポリブタジエンとしてのBUNA(商標)CB 22、およびさらには比較例1からのポリマー、および本発明の実施例2からの特許請求されているポリマーとを含むゴム混合物を製造した。表2にそれらの混合物の構成成分を列記した。それらの混合物はまず、硫黄および加硫促進剤なしで、1.5Lのニーダーの中で製造した。次いで、混合物の構成成分である硫黄および加硫促進剤を、40℃でロール上で混ぜ込んだ。
【0111】
比較例1からのNdBRの初期ムーニー粘度は、39MUであり、本発明の実施例2からの特許請求されているNdBRの初期ムーニー粘度、39MUである。ムーニー値の段階的上昇を実施していないBuna CB22のムーニー粘度は、63MUである。
【0112】
混合物の検討に使用した物質は、以下の通りである。
【0113】
【表1】
【0114】
【表2】
【0115】
コンパウンディング性能を評価するために、ゴム薬品を組み入れる混合の前と後に、ミルドシートの評価をした。混合物CE1およびCE1
*、さらには本発明によるIE2およびIE2
*の混合物は、平滑なミルドシートを示したが、それに対して、変性していないBuna CB22を用いた混合物CE2およびCE2
*は、極めてひどいバギング(bagging)とロールへの接触が不充分な不均質なミルドシートを示す。
【0116】
加硫物について、下記の標準に従って、以下の物性を求めた:
DIN 53505:ショアーA硬度(23℃および70℃)
DIN 53512:反発弾性(23℃、70℃)(「R23」)
DIN 53504:10%、25%、50%、100%、200%および300%伸びにおける応力値(σ
10、σ
25、σ
50、σ
100、σ
200およびσ
300)、引張強度、および破断時伸び
DIN 53516:摩耗値。
【0117】
Eplexor装置(Eplexor 500N)(Gabo−Testanlagen GmbH,Ahlden,Germany製)を使用して、動的性質(−60℃〜0℃の温度範囲における貯蔵モジュラスE’の温度依存性、さらには60℃におけるtanδ)を測定した。それらの値は、DIN 53513に従って、円筒状試験片について、−100℃〜+100℃の温度範囲、1K/分の加熱速度、10Hzで求めた。測定は、圧縮モードで、静的圧縮率1%、動的変形率0.1%で実施した。
【0118】
その方法を使用して、以下の変数を得たが、ここにおける用語はASTM D5992−96に従ったものである。
E’(−60℃):−60℃における貯蔵モジュラス
E’(−50℃):−50℃における貯蔵モジュラス
E’(−40℃):−40℃における貯蔵モジュラス
E’(−30℃):−30℃における貯蔵モジュラス
E’(−20℃):−20℃における貯蔵モジュラス
E’(−10℃):−10℃における貯蔵モジュラス
E’(0℃):0℃における貯蔵モジュラス
およびさらに
tanδ(60℃):60℃における損失係数(E’’/E’)。
【0119】
E’は、氷上および雪上における冬用タイヤのトレッドのグリップ性の目安を与える。E’が低くなるほど、グリップ性が改良される。
【0120】
tanδ(60℃)は、運転条件下におけるタイヤからのヒステリシス損失の目安である。tanδ(60℃)が低くなるほど、タイヤの転がり抵抗性が低下する。
【0121】
表3は、それら混合物の加硫物の物性を示している。
【0122】
【表3】
【0123】
比較例のCE1およびCE1
*に比較して、本発明によるIE2およびIE2
*は、たとえば以下に示すような低転がり抵抗性についての指標において顕著な改良を示す:60℃における高い反発弾性、60℃でのMTS試験における低いtanデルタ最大値、およびEplexor試験における60℃での低いtanデルタ、S300/S10の商が大きいことから認められる引張伸び試験における良好な結果、ならびに摩耗試験における極めて良好な低い値。
【0124】
比較例CE2およびCE2
*における変性をしていないBuna CB22と比較すると、本発明の実施例IE2およびIE2
*は、顕著に平滑で均質なミルドシートおよび完全に満足のいくGarvey押出し物などから認められるように、加工性能において顕著な改良を示すが、それでいてなお、コンパウンド物の性質は比較的良好である。
【0125】
図1は、(上から順に)比較例CE1、本発明の実施例IE2、比較例CE2からの、90℃、回転速度50rpmでのGarvey押出し物を示している。
【0126】
CE1およびIE2は平滑な押出し物を与えているが、それに対してCE2は明らかに、のこぎりの歯のような外観を有している。
【0127】
総括すると、ムーニー値における50%を超える大きな段階的上昇を有する、特許請求されているポリマーを使用して、加工するのが容易であり、平滑な押出し物を与えるが、物理的な化合物の性質の面では、加工するのが困難な、変性をしていないネオジム触媒法によるポリブタジエンゴムと同等である混合物を製造することが可能であることが見いだされた。