【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の形態によれば、デュワー瓶の中の冷却液を汲み上げるためのポンプが設けられる。ポンプは、チャンバと閉鎖要素と圧力上昇装置とを有する。チャンバは、流入口と流出口とを有し、流入口を通る重力流によって自動的に満ちるように適応している。その場合、チャンバの流入口は、デュワー瓶の冷却液タンクに接続可能であり、チャンバの流出口は、デュワー瓶の標本容器に接続可能である。閉鎖要素は、チャンバが冷却液によって満たされた場合に浮遊することによって、自動的にチャンバを閉鎖するように適応している。さらにまたはその代わりに、閉鎖要素は、圧力上昇装置によってチャンバの内側に生じた段階的な圧力上昇のおかげで、自動的に流入口を閉鎖することができる。さらに、圧力上昇装置は、チャンバが一部または全体が冷却液で満たされた後、その流体の内の一部または全てが流出口を通って放出されるまで、チャンバの内部の圧力を上昇させるように適応している。
【0008】
すなわち、第1の形態に係る本発明のアイデアは、デュワー瓶のための機械的にシンプルなポンプを備えることに基づくものであり、そのポンプは、複雑に動く機械部品を全く含まずシンプルに動作する、すなわち、疑似静的であるとみなすことができる。ポンプのシンプルな設計と機能のおかげで、そのポンプは、デュワー瓶に直接一体化でき、多くの保守またはサービスを必要としない。標本をデュワー瓶の上面の開口の近くに貯蔵でき、引き続き十分に冷却液の液面下に配置できるように、ポンプは、必要な量の液体窒素のような冷却液をデュワー瓶の上部に提供できる。その場合、デュワー瓶、特にデュワー瓶の標本容器の中の冷却液は、一定の液位に設定できる。さらに、冷却液は、再循環でき、その内部を浄化できる。
【0009】
ポンプのシンプルな構造のおかげで、そのポンプは、デュワー瓶の外側との過度な接続を必要としないという特徴を有する。例えば、ポンプは、単に、少数の電線によって、または単一のエアラインによって外界に接続できる。
【0010】
さらに、ポンプは、疑似容積測定の動作をすることができる。すなわち、ポンプの1回の動作サイクルで標本の領域に送り込まれるまたは運び込まれる冷却液の量は、サイクルを通して本質的に一定である。この量は、ポンプのチャンバの容積と一致しても良く、またはその容積よりも少なくても良い。その場合、標本に、すなわち標本容器に運ばれる冷却液の量は、以下に詳細に説明するように、例えば、ポンプの内部の冷却液に伝えられる熱の量によって、またはポンプのチャンバの中に注入されるガスの体積によって制御できる。
【0011】
さらに、ポンプのシンプルな設計のおかげで、そのサイズは、容易に変更でき、各デュワー瓶の要件に適合させることができる。ポンプのさらなる特徴は、場合によっては、そのポンプが低コストで製作できることである。
【0012】
その場合、ポンプは、冷却液をデュワー瓶の内部に汲み上げる。従って、冷却液は、公知の出願のように外部の位置に汲み上げられず、デュワー瓶の内部を再循環される。具体的には、標本をデュワー瓶の上面の開口の近くに貯蔵でき、引き続き十分に冷却液の液面下に配置できるように、冷却液は、デュワー瓶の上部に提供される。
【0013】
ポンプのチャンバは、予め定義された容積のハウジングを有することができる。ハウジングは、金属および/または合成材料のような材料を含むことができる。例えば、流入口は、チャンバの上部または上面に設けることができる。これは、重力流によってチャンバの充填を強め、閉鎖要素の動作を可能にすることができる。流出口は、チャンバの下部または底に設けることができる。その代わりに、流出口は、チャンバの側壁または上面に設けることができる。冷却液が重力によってチャンバの中に下方向に流れ込むように、流入口は、チャンバの上面に設けるのが好ましい。この場合には、チャンバは、チャンバの底に流入口が設けられる場合に比べて、より急速に満ちることができ、冷却液は、既にチャンバの中に存在している静的な流体圧力に逆らって、チャンバの中に流れ込まなければならない。具体的には、チャンバの内部のガスが吸引されない、または例えば、チャンバから出る方法が全くない場合には、チャンバの底の流入口を用いても、チャンバを満たすことは全くできない。チャンバの上面に流入口を設けると共に、流入口の中または流入口に設けられた弁の中に吸引装置を組み込むことができる。これは、ガスの吸引をより厳密にかつより急速にすることができる。
【0014】
ポンプは、デュワー瓶の内部、特にデュワー瓶の冷却液タンクの内部に配置するように設計される。その場合、冷却液は、例えば、液体窒素であっても良い。チャンバの流入口は、冷却液タンクに接続でき、チャンバの流出口は、デュワー瓶の標本容器に接続できる。
【0015】
閉鎖要素は、浮遊要素(i)として、または例えば、表面の大きい逆止弁(ii)として設計できる。一般に、閉鎖要素は、例えば、浮遊要素(i)の場合には重力によって、または逆止弁(ii)の場合には力の弱いスプリングによって開放できる。さらに、閉鎖要素は、圧力上昇装置によって創出されたチャンバの中の急速な圧力上昇によって閉鎖できる。
【0016】
浮遊要素(i)の場合、ポンプが空の時には浮遊要素は浮遊していないので、流入口は開いている。その場合、浮遊要素は、冷却液よりも低密度の材料を含む。具体的には、閉鎖要素は、チャンバの中に液体窒素が満たされた場合にその液面を泳動するように、液体窒素よりも低密度の材料で作製される。さらに、閉鎖要素が逆止弁(ii)として設計された場合、流入口は、重力によって、または力の弱いスプリングによって開いたまま保たれる。チャンバの内部には、閉鎖要素を案内するためのガイドレールまたはガイドロッドを設けることができる。すなわち、閉鎖要素の可動方向は、チャンバの内部の1次元に制限できる。例えば、閉鎖要素は、チャンバの底からチャンバの流入口までガイドロッドに沿って動くことができる。
【0017】
ポンプが冷却液の内部に配置される、または少なくとも部分的にデュワー瓶の内部の冷却液の液面下に配置されると、チャンバは、重力のおかげで自動的に冷却液で満ちる。その場合、ポンプは、流入口が冷却液の液面下に配置されるように、冷却液の内部に配置される。浮遊要素(i)として設計された場合、閉鎖要素は、冷却液の液面を浮遊し、チャンバが満たされると、流入口を閉鎖する。その代わりに、逆止弁(ii)として設計された場合、圧力上昇装置によってチャンバの中に急速な圧力上昇が創出されると、閉鎖要素が閉まる。従って、チャンバが冷却液で満たされると、閉鎖要素が自動的に閉まる、すなわち、閉鎖要素の閉鎖機能は、チャンバの充填液位だけに直接依存し、特定の充填液位に到達するとすぐに実行される。
【0018】
さらなる代替手段によれば、閉鎖要素は、電磁石によって駆動される、または機械的に駆動される能動弁であっても良い。すなわち、閉鎖要素は、能動弁に電気的に接続される駆動ユニットによって駆動できる。さらに、閉鎖要素は、機械的な接続によって、例えば、手動的にまたは自動的に駆動できる。例えば、能動弁に結合したロッドのように、例えば、デュワー瓶の上面から機械的に接続できる。
【0019】
チャンバが満たされた後に、チャンバの内部の圧力を上昇させるために、圧力上昇装置が作動される。その場合、例えば、圧力上昇装置は、チャンバの中身を加熱することによって間接的に、またはそれを圧縮することによって直接的に圧力を上昇させるように適応できる。特に、圧力上昇装置は、抵抗の大きい電線のような熱慣性の低い加熱要素であっても良い。その代わりに、圧力上昇装置は、チューブを介してチャンバに接続されたガスポンプ、例えば、ピストンポンプであっても良い。
【0020】
圧力上昇装置は、圧力がチャンバの流出口で制限要素に打ち勝つほど高くなるまで、圧力を上昇させる。その場合、制限要素は、例えば、逆止弁または制限器、例えば、絞り弁であっても良い。次に、チャンバの中に入っている冷却液は、ラインを介してデュワー瓶の標本容器に放出されるまたは排出される。流入口が開放される前にほとんどの冷却液がチャンバから放出されるように、圧力は、「瞬く間」に上昇するのが好ましい。「ストローク」とも表記される汲み上げサイクルを繰り返すことができるように、チャンバが空になった後に閉鎖要素がゆっくり下降し、流入口が再び開く。デュワー瓶の標本容器が新鮮な不凍冷却液で継続的に満たされるように、サイクルを継続的に繰り返すことができる。さらに、これによって、標本が手動搬送のために容易にアクセス可能であり、ロボット化されたシステムによって高速遠隔操作できるデュワー瓶の開口の近くに、標本容器を配置できるようになる。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、圧力上昇装置は、冷却液を加熱して冷却液の一部を気化させることによってチャンバの内部の圧力を上昇させるのに適した抵抗器である。具体的には、抵抗器は、抵抗のある電線、すなわち電線に提供された電気エネルギの一部が熱に変換される抵抗の高い電線であっても良い。抵抗器は、大きい表面を有するように設計できる。例えば、抵抗器は、いくつかのコイルまたは巻線を用いて設計できる。さらに、抵抗器は、曲がりくねった形状を有することができる。
【0022】
その場合、抵抗器は、チャンバの内部に配置され、チャンバの内部の冷却液に直接接触する。さらに、抵抗器は、電圧源のようなエネルギ源に接続される。エネルギ源は、ポンプの外側に、場合によっては、デュワー瓶の外側に配置できる。抵抗器は、少なくとも1本の電線ラインによってエネルギ源に接続でき、その電線ラインは、例えば、2本の電線を有することができる。
【0023】
ポンプの流入口が閉鎖要素によって閉鎖された後に、抵抗器にエネルギが供給される。その場合、閉鎖とは、完全な閉鎖またはほぼ完全な閉鎖を示すことができる。例えば、閉鎖要素が浮遊要素として設計される場合には、流入口が実際に閉鎖された後に、抵抗器にエネルギを供給できる。しかしながら、閉鎖要素が表面の大きい逆止弁として設計される場合には、チャンバの中の充填液位が特定の高さに到達した後、逆止弁が流入口の付近にある場合に、抵抗器にエネルギを供給できる。この場合には、圧力が上昇した後に、圧力の動的な差異のおかげで、逆止弁が流出口を閉鎖する。
【0024】
供給された電気エネルギは、抵抗器で熱に変換される。熱は、直接チャンバの中の冷却液に伝えられる。冷却液の一部が気化し、冷却液をポンプのチャンバから標本容器の中に移す急速な圧力上昇を引き起こす。その場合、チャンバの流出口を開くのに必要な圧力を創出するには、液体窒素ならば少量の気化した窒素で十分である。
【0025】
本発明のさらなる一実施形態によれば、圧力上昇装置は、ピストンポンプである。ピストンポンプは、チャンバの外側に、場合によっては、ポンプの外側かつデュワー瓶の外側に配置できる。その場合、ピストンポンプは、直径の小さいエアチューブによってチャンバに接続され、室温で動作できる。従って、ピストンポンプは、以下に説明するエッジデュワー瓶との併用に適している。しかしながら、ピストンポンプは、他のタイプのポンプまたは翼との併用による加圧ガス供給装置に置き換えることもできる。
【0026】
本発明のさらなる一実施形態によれば、圧力上昇装置は、場合によっては、制御弁との併用によるガス供給装置である。例えば、圧力上昇装置は、窒素ガスまたは乾燥した空気をチャンバに供給できる。窒素ガスまたは乾燥した空気の供給装置は、制御弁を介してポンプに接続できる。窒素ガスまたは乾燥した空気は、約1バールの圧力でチャンバに供給できる。
【0027】
本発明のさらなる一実施形態によれば、ポンプは、さらに、チャンバの中の充填液位と無関係に、予め定義可能な時間間隔で、圧力上昇装置を作動させるのに適した制御装置を有する。例えば、自動的にチャンバを満たすのに、約10秒かかるかもしれない。そして、圧力上昇および冷却液の排出に、約5秒かかるかもしれない。従って、制御装置は、圧力上昇装置を15秒間隔で作動させることができる。この場合には、充填液位センサは必要ない。汲み上げサイクルのために必要な時間は、チャンバの容積と、流入口のサイズと、1ストロークあたりの容積に依存できる。従って、これらの時間は、数秒から数分まで変動できる。
【0028】
本発明のさらなる一実施形態によれば、ポンプは、さらに、チャンバの中の充填液位を測定するのに適した制御装置を有する。その場合、測定されたチャンバの中の充填液位が、特定の予め定義可能な充填液位の値に到達した後に、制御装置は、圧力上昇装置を作動させるように適応している。例えば、制御装置は、中央制御ユニット(CPU)であっても良く、電気的におよび/または機能的に、閉鎖要素、充填液位センサおよび/または圧力上昇装置に接続できる。予め定義可能なまたは予め定義された充填液位の値は、例えば、制御装置のメモリに記憶できる。
【0029】
本発明のさらなる一実施形態によれば、ポンプは、さらに、充填液位センサを有する。充填液位センサは、例えば、接触センサとして設計でき、チャンバの流入口またはその近くに配置できる。例えば、充填液位センサは、閉鎖要素に配置できる。その場合、充填液位センサは、チャンバの中の充填液位を測定し、充填液位を制御装置に送信するように適応している。制御装置は、測定された値を予め定義可能な値と比較し、充填液位が予め定義可能な値に到達するとすぐに、圧力上昇装置を作動させる。充填液位センサの利用は、汲み上げサイクルを最適化するおよび/またはポンプの動作を監視するのに役立つかもしれない。
【0030】
オーバーフロー路の中、例えば、標本容器の上側エッジに、ポンプの動作を監視するための追加のセンサを利用できる。1つまたは場合によっては複数の追加のセンサをガス/液体検出器として設計できる。
【0031】
本発明のさらなる一実施形態によれば、ポンプは、さらに、一方向弁とも表記されかつチャンバの流出口に配置された逆止弁を有する。逆止弁は、チャンバの内部が予め定義された圧力に到達した後に開くように適応している。逆止弁は、ボール式チェックバルブ、ダイヤフラム式チェックバルブ、または傾斜ディスク式チェックバルブとして設計できる。逆止弁は、冷却液をポンプのチャンバからデュワー瓶の標本容器まで流すだけのために開くことができる。逆止弁の利用は、逆止弁の上方向の配管の内部が、2回のポンプストロークの間、冷却液で満ちているので、ポンプをより効率的にするという特徴を有する。
【0032】
本発明のさらなる一実施形態によれば、ポンプは、さらに、絞りまたは絞り弁のような制限器を有する。制限器は、チャンバの流出口に配置される。その場合、制限器は、流出口を通る冷却液の流れを制限し、チャンバの内部の圧力上昇を促進するように適応している。制限器は、圧力が上昇するとすぐに、流出口を通る流れを始めさせる。制限器は、流れを制限し、チャンバの中の圧力上昇を可能にする。制限器または絞り弁の利用は、そのシンプルさと、高信頼性と、低コストという特徴を有する。
【0033】
本発明の第2の形態によれば、標本を冷却液の中に貯蔵するためのデュワー瓶が準備される。デュワー瓶は、冷却液のための断熱タンクと、断熱タンクの中に配置された標本容器と、を有する。その場合、タンクは、標本容器とは別に設けられる。特に、タンクは、標本容器を収容する。タンクは、標本容器の中の冷却液の液位が一定に保たれる方法で、標本容器に接続される。
【0034】
すなわち、第2の形態に係る本発明のアイデアは、デュワー瓶の上面の近くまたはデュワー瓶の開口の近くに配置される標本を、デュワー瓶の冷却液タンクの中に追加の標本容器を配置することによって、かつタンクからの冷却液を標本容器に継続的に供給することによって、高信頼で冷却することに基づくものである。
【0035】
デュワー瓶の設計のおかげで、デュワー瓶の表面に近接した位置に標本を貯蔵することが可能になるので、標本を必要な低い温度に保ちながら、標本へのアクセスが短縮されかつ容易にできるようになる。これに対して、一般のデュワー瓶では、標本は、十分に冷却するためにタンクの底に貯蔵されなければならない。
【0036】
タンクの中の冷却液の液位が標本容器の中の冷却液の液位と無関係になるように、標本容器は、タンクの中に貯蔵された冷却液よりも上方のデュワー瓶の上面の近くに配置できる。具体的には、タンクの中の冷却液の液位は、標本容器の中の冷却液の液位よりも低い。このように、標本は、容易にアクセス可能であると同時に、タンクの中の熱損失は、低く保たれる。
【0037】
さらに、不凍冷却液が常時標本容器に供給されるので、標本は、高速遠隔操作される時でさえも、氷結しない環境にいることができる。標本容器は、さらに、新しい標本またはデュワー瓶の開口を通った周囲の空気によってもたらされる氷を取り除くためのオーバーフロー路、氷排出ポートおよび/または氷排出配管を有することができる。従って、氷は、デュワー瓶を頻繁に加熱または再加熱したり、乾燥させたりせずに、定期的に取り除くことができる。
【0038】
本発明に係るデュワー瓶のさらなる特徴は、標本容器の中の冷却液の液位に影響を与えずに、システム、すなわちタンクに冷却液を補充できるようにすることである。例えば、タンクは、標準的な高ヒステリシスの自動デュワー瓶補充システムを介して補充できる。
【0039】
デュワー瓶は、例えば、自動化された高分子X線結晶構造解析のシンクロトロンビームラインによる凍結標本のような標本を貯蔵するのに適しているかもしれない。標本は、流動性の冷却液の中、好ましくは液体窒素の中に貯蔵できる。
【0040】
デュワー瓶は、外側のケーシングと、タンクと表記される内側のコンテナと、を有することができる。ケーシングおよび/またはコンテナは、金属および/または合成材料を含むことができる。外側のケーシングとタンクとの間には、タンクとデュワー瓶の周囲との間の熱交換を防止する真空層がある。従って、タンクは、断熱される。タンクの内部には、別個の容器、すなわち標本容器が備えられる。標本容器は、タンクの上部に配置される。その場合、標本容器は、タンクの中の冷却液の液面よりも上方に、または部分的に冷却液の液面下に配置できる。標本容器も同様に、金属および/または合成材料を含むことができる。
【0041】
タンクは、標本容器の中の冷却液の液位が一定になる方法で、標本容器に接続される。すなわち、冷却液は、タンクから標本容器に継続的に供給され、例えば、冷却液の気化する分を補うために、および標本の取り除きの影響を補うためにオーバーフローする。この目的のために、例えば、以上に説明したポンプを利用できる。
【0042】
デュワー瓶は、さらに、冷却液のオーバーフロー路を備える。すなわち、標本容器の中の冷却液の液位を一定に保つために、必要量よりも多い冷却液が標本容器に供給される。余分な冷却液は、例えば、標本容器のエッジを越えて下方の元のタンクに再度流れ込む。従って、デュワー瓶は、エッジデュワー瓶とも表記できる。
【0043】
本発明のさらなる一実施形態によれば、デュワー瓶は、さらに、標本容器にアクセスするための開口を有する。開口は、デュワー瓶の上部または上面に配置できる。その場合、標本容器は、開口の付近に配置される。さらに、開口を覆うために、カバーを備えることができる。
【0044】
本発明のさらなる一実施形態によれば、デュワー瓶は、以上に説明したようなポンプを有する。ポンプは、タンクの内部に配置される。すなわち、ポンプは、タンクの冷却液の液面下に配置される。その場合、ポンプは、冷却液をタンクから以上に説明したような標本容器の中に継続的に運ぶように適応している。さらに、ポンプの流出口は、ラインを介して、または配管を介して標本容器に接続される。配管は、標本容器の下側領域で、または好ましくは上側領域で、標本容器に接続できる。
【0045】
本発明のさらなる一実施形態によれば、デュワー瓶は、さらに、氷を濾過するための粒子フィルタを有する。その場合、フィルタは、ポンプの流入口に配置される。フィルタは、重大な氷混入が発生した時でさえも、重力によって(低い圧力損失)濾過できるようにするために、大きい表面を有することができる。フィルタは、タンクから標本容器に不凍冷却液だけが確実に供給されるようにする。
【0046】
氷は、新しい標本によって、またはデュワー瓶の開口を通った周囲の空気への混入によってデュワー瓶の中に入れることができる。氷は、オーバーフロー路ならびに氷排出ポートと配管とを介して、標本容器からタンクの中に移動できる。フィルタは、この氷がタンクの中に、および標本が氷結しない環境に、確実にいるようにする。さらに、氷がフィルタに蓄積し、フィルタを特定の期間の後に交換できるので、フィルタは、デュワー瓶を加熱せずに、氷を取り除くことができるようにする。
【0047】
本発明のさらなる一実施形態によれば、デュワー瓶は、さらに、氷排出ポートを有する。氷排出ポートは、標本容器の底に設けられる。その場合、氷排出ポートは、標本容器の底に蓄積した氷をタンクの中に放出するように適応している。この氷排出ポートを通って、冷却液よりも高密度の氷を取り除くことができる。冷却液の密度よりも低密度の氷は、冷却液の上を浮遊でき、標本容器のエッジを越えるオーバーフローによって自動的に取り除くことができる。さらにまたはその代わりに、第1の開口と第2の開口とを有する配管を備えることができる。第1の開口は、標本容器の上面の高さに配置でき、第2の開口は、標本容器の下側エリア、例えば、底に配置できる。標本容器の底に設けられた開口から標本容器のエッジに設けられた開口までの配管を通る冷却液の流れによって動かされない限り、高密度の氷は、オーバーフローによって標本容器から排出でき、浮遊している氷も同様に、標本容器から排出される。標本容器から来た氷は、フィルタによって流れが妨げられるので、デュワー瓶の中にいるであろう。
【0048】
本発明のさらなる一実施形態によれば、氷排出ポートには一方向弁、例えば、逆止弁が配置される。一方向弁は、標本容器の底に予め決定された量の氷が蓄積した時に開くように適応している。例えば、一方向弁は、予め決定された重量または体積の氷が存在する場合だけ開くことができる。バルブは、プッシャによって、または追加の制御装置によってデュワー瓶の上面から駆動できる。その場合、バルブは、制御装置によって、予め決定された時間間隔で駆動できる。
【0049】
本発明の第3の形態によれば、以上に説明したポンプを製作する方法が提供される。その方法は、流入口と流出口とを備え、流入口を通って重力によって満たされるように適応しているチャンバを準備し、チャンバが冷却液で満たされた時に、自動的にチャンバを閉鎖するまたはほとんど閉鎖するように適応している閉鎖要素をチャンバの中に配置し、チャンバが閉鎖された後、流体が流出口を通って放出されるまで、圧力上昇装置がチャンバの内部の圧力を上昇させるように適応しているように、圧力上昇装置をチャンバに接続するかまたはそれをチャンバの中に配置する方法である。
【0050】
本発明の第4の形態によれば、以上に説明したデュワー瓶を製作する方法が提供される。その方法は、冷却液のための断熱タンクを準備し、断熱タンクとは別に標本容器を準備し、断熱タンクの内部に標本容器を配置し、標本容器の中の冷却液の液位が、例えば、ポンプを介して一定に保たれる方法で、タンクを標本容器と接続する方法である。
【0051】
留意すべきは、ポンプがデュワー瓶との併用に適しているように説明されるが、これに対して、ポンプがデュワー瓶と無関係にも使用できることである。例えば、ポンプは、冷却液とは別の流体のために使用できる。この場合には、圧力上昇装置として、ピストンポンプが使用できる。さらに、デュワー瓶は、以上に説明したようなポンプとの併用に適しているように説明されるが、これに対して、デュワー瓶は、無関係に、すなわち別のポンプと併用できる。
【0052】
さらに、留意すべきは、さまざまな装置および方法に関連して説明した機能を互いに組み合わせることができることである。本発明のこれらおよび他の形態は、以下に説明する実施形態から明らかであり、それを参照して説明する。