(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来の車両は、電装用のバッテリとして、定格電圧を12Vとする鉛バッテリを搭載し、さらに、大型車両にあっては12Vの鉛バッテリを2組直列に接続して定格電圧を24Vとするバッテリを搭載している。鉛バッテリは、車両のオルタネータで充電されて、車両の電装機器やスタータモータ等の車両負荷に電力を供給している。さらに、電装用バッテリの容積や重量に対する電池容量(Ah)を大きくすることを目的として、鉛バッテリと並列にニッケル水素電池やリチウムイオン二次電池等の電装予備蓄電装置を接続している車両用の電源装置が開発されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の電源装置は、車両のオルタネータに電気接続された鉛バッテリと並列にリチウムイオン二次電池からなる電装予備蓄電装置を接続している。また、この電源装置は、鉛バッテリやリチウムイオン二次電池の内部抵抗や開放電圧を所定の条件を満たすように設定することで、鉛バッテリとリチウムイオン二次電池とをDC/DCコンバータを介することなく並列に接続して、コストダウンを図っている。
【0004】
鉛バッテリと並列に接続されるリチウムイオン二次電池等の電装予備蓄電装置を備える従来の電源装置では、鉛バッテリは車両のエンジンルームに配置されるが、エンジンルームはエンジンや他の機器が発生する熱や外気の熱を受けやすいので、電装予備蓄電装置は鉛バッテリとは別にエンジンルーム以外の場所に配置されることが好ましい。
【0005】
そこで、リチウムイオン二次電池等の電装予備蓄電装置は、キャビン内のデッドスペースを利用して、たとえばキャビン内に設置された座席の下側の床面に配置される(たとえば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電装予備蓄電装置をキャビン内の床面等に配置する構造では、電装予備蓄電装置が雨水等に晒されることは少ないものの、例えば搭乗者がこぼしたジュースやお茶等の液滴が床面に飛散して、電装予備蓄電装置の内部に浸入することがある。あるいはキャビン内に持ち込んだ雨傘から水滴が流下して電装予備蓄電装置の内部に浸入することがある。電装予備蓄電装置の内部に浸入した液体が出力端子やバスバー等の金属に接触すると電池が短絡する。
【0008】
このような問題を解決するために、シール材を利用して電装予備蓄電装置のケースを完全な防水構造とすることが考えられるが、完全な防水構造とするためにはパッキン等が必要になり、部品点数が増え製造工程が複雑になり、製造コストが高くなるという問題がある。なお、電装用のバッテリは12V〜24Vの低電圧であるので、ケースや出力端子を完全に防水することを要しない。
【0009】
本発明は、従来のこのような問題点を解決するためになされたものである。本発明の主な目的は、電装予備蓄電装置のケース内への水分の浸入を簡単な構成で効果的に抑制することができる電装予備蓄電装置並びにこれを備える車両を提供することである。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の車載用の電装予備蓄電装置によれば、車両に装備される車両負荷に電力を供給する電装用バッテリに並列接続される車両用の電装予備蓄電装置であって、出力端子を含む端子部分を有する蓄電部と、前記蓄電部を収納する収納ケースとを備え、前記収納ケースは、前記蓄電部の端子部分が嵌め込まれる孔部と、前記孔部の周縁部から立ち上がる壁面に設けられ、該壁面を伝って流れ落ちる液滴が孔部に浸入することを防止する第1のガイド手段と、前記孔部の周縁部に設けられ、前記孔部の周縁部から液滴が孔部に浸入することを防止する第2のガイド手段とを有している。上記構成により、壁面を伝って流れ落ちる液滴が孔部に浸入することを第1のガイド手段によって効果的に防止することができ、また一方で孔部の周縁部から液滴が浸入することを、第2のガイド手段によって効果的に防止することができる。
【0011】
また、他の車載用の電装予備蓄電装置によれば、第1のガイド手段は壁面と共に山形状に一体成型された凸部である。上記構成により、壁面を伝って流れ落ちる液滴を孔部に落下させず、孔部の周縁部に振り分けて落下させることができる。
【0012】
さらに、他の車載用の電装予備蓄電装置によれば、第2のガイド手段は孔部の周縁部に沿って一体成型された凸部である。上記構成により、凸部が壁となって孔部の周縁部から液滴が孔部に浸入することを効果的に防止することができる。
【0013】
さらにまた、他の車載用の電装予備蓄電装置によれば、第2のガイド手段は孔部の周縁部に沿って一体成型された溝部である。上記構成により、孔部の周縁部の液滴は溝部に集まり、孔部の周縁部から液滴が孔部に浸入することを効果的に防止することができる。
【0014】
さらにまた、他の車載用の電装予備蓄電装置によれば、孔部の下方には、孔部から電源装置の内部に浸入した液滴を、収納ケース下部に形成された排液孔に導く第3のガイド手段を備えている。上記構成により、孔部に浸入した液滴を第3のガイド手段を介して排液孔に導くことができる。
【0015】
さらにまた、他の車載用の電装予備蓄電装置によれば、第3のガイド手段は孔部の内部に設けられた下り勾配の溝部を備えている。上記構成により、孔部に浸入した液滴は溝部を伝って効果的に排液孔に導かれる。
【0016】
さらにまた、他の車載用の電装予備蓄電装置によれば、排液孔の流入側開口部は面一とされない。上記構成により、排液孔に流入する液滴が表面張力によって排出孔の入口で滞り、排出されにくくなることを防止することができる。
【0017】
さらにまた、他の車載用の電装予備蓄電装置によれば、収納ケースは上部ケースと下部ケースとで構成され、上部ケースは下部ケースの周囲を包囲するように下部ケースに連結される。上記構成により、収納ケースを上部ケースと下部ケースとに分けて安価に成型することができ、上部ケースと下部ケースとの位置決めを容易に行うことができる。
【0018】
さらにまた、他の車載用の電装予備蓄電装置によれば、蓄電部はリチウムイオン二次電池又はニッケル水素電池である。上記構成により、鉛バッテリに比較して、回生制動で発生する回生エネルギーで極めて効率よく充電されて、車両の燃費を著しく改善できる特徴がある。
【0019】
さらにまた、他の車載用の電装予備蓄電装置によれば、車両に装備される車両負荷に電力を供給する電装用バッテリに並列接続される車両用の電装予備蓄電装置を搭載する車両であって、前記電装予備蓄電装置は蓄電部と前記蓄電部を収納する収納ケースとを備え、前記収納ケースには、蓄電部の端子部分が嵌め込まれる孔部が形成されており、前記孔部の周縁部から立ち上がる壁面には、壁面を伝って流れ落ちる液滴が孔部に浸入することを防止する第1のガイド手段が設けられ、前記孔部の周縁部には前記孔部の周縁部から液滴が孔部に浸入することを防止する第2のガイド手段が設けられている。上記構成により、前記車載用の電装予備蓄電装置を備えた車両を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための車載用の電装予備蓄電装置及び電装予備蓄電装置を搭載する車両を例示するものであって、本発明は車載用の電装予備蓄電装置及び電装予備蓄電装置を搭載する車両を以下のものに特定しない。また実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
【0022】
本発明の実施の形態1に係る車載用の電装予備蓄電装置2を搭載する車両を
図1と
図2に示す。
図1は、電装予備蓄電装置2を搭載する車両の概略構成図を、
図2は、この車両のブロック図をそれぞれ示している。これらの図に示す車両は、車両に搭載される電装用バッテリ1に並列接続される電装予備蓄電装置2を搭載している。図に示す車両は、車両に装備される車両負荷102に電力を供給する電源装置100を搭載しており、この電源装置100が、電装用バッテリ1と電装予備蓄電装置2とを備えている。電装予備蓄電装置2は、電源装置100の容積や重量に対する電池容量を大きくし、また、車両の燃費を改善することを目的として車両に搭載されて電装用バッテリ1に並列接続される。この電源装置100は、車両に搭載される発電機101を介して、電装用バッテリ1が充電され、また、電装予備蓄電装置2が蓄電される。さらに、電源装置100は、電装用バッテリ1と電装予備蓄電装置2から放電して、車両に装備されるスタータモータ107や電装機器106等の車両負荷102に電力を供給する。
(電源装置100)
【0023】
図1と
図2に示す電源装置100は、電装用バッテリ1と、この電装用バッテリ1に並列接続される電装予備蓄電装置2とを備えている。
図2に示す電源装置100は、電装用バッテリ1と電装予備蓄電装置2とを互いに並列に接続できるように、第1スイッチ103を介して接続している。この電源装置100は、第1スイッチ103をオンとする状態で電装用バッテリ1と電装予備蓄電装置2とを並列に接続し、第1スイッチ103をオフとする状態で電装用バッテリ1と電装予備蓄電装置2の接続状態を遮断する。さらに、電源装置100は、図示しないが、ダイオードを介して電装用バッテリ1と電装予備蓄電装置2を並列に接続し、あるいは互いに並列に接続されたダイオードとスイッチを介して電装用バッテリ1と電装予備蓄電装置2を並列に接続することもできる。このようにダイオードを介して電装用バッテリ1と電装予備蓄電装置2とを並列に接続する構造は、一方向への電流の通過を許容しながら、反対方向への電流の通過を制限できる。
【0024】
電装用バッテリ1と電装予備蓄電装置2とは、車両の所定の位置に配置されている。
図1に示す車両は、電装用バッテリ1をエンジンルーム11に配置し、電装予備蓄電装置2をキャビン12内に配設された座席13の下側に配置している。電装用バッテリ1については、その構造や配置を特定するものではなく、適宜変更することができる。すなわち、電装用バッテリ1は、必ずしもエンジンルーム11に配置する必要はなく、キャビン12内やトランクルーム等の他の場所に配置することも可能である。
図1に示すように、離れて配置される電装用バッテリ1と電装予備蓄電装置2とは、リード線6を介して接続される。
【0025】
電装予備蓄電装置2は、キャビン12内において助手席又は運転席の下側に配置される。電装予備蓄電装置2は、あるいは後部座席の下側に配置される。ワゴン車やボックスカー等のように、後部に複数列の座席を有する車両においては、2列目や3列目の座席の下側に電装予備蓄電装置2を配置することもできる。ただ、エンジンルーム11から離れた車両の後部に電装予備蓄電装置2を配置すると、電装用バッテリ1と接続するためのリード線6を長くする必要があるので、電装予備蓄電装置2は、好ましくは車両の前方側の座席の下側に配置する。
(電装用バッテリ1)
【0026】
なお、電装用バッテリ1は、6セルを直列に接続して定格電圧を12Vとする鉛バッテリ1Aである。ただ、本発明は、鉛バッテリ1Aの定格電圧を12Vには特定しない。2個の鉛バッテリ1Aを直列に接続して定格電圧を24Vとし、また、3個の鉛バッテリ1Aを直列に接続して36V、4個の鉛バッテリを直列に接続して48Vとして使用することもできるからである。従来の電装機器は、12Vの電源電圧で動作するように設計されているが、24V〜48Vの電装用バッテリ1を搭載する車両は、この電圧で動作する電装機器を搭載する。
(電装予備蓄電装置2)
【0027】
本発明の実施例1に係る電装予備蓄電装置2の斜視図を
図3に示し、この電装予備蓄電装置2の分解斜視図を
図4に示す。
図5は、
図3に示す電装予備蓄電装置2のV−V縦断面図であり、
図6は上部ケース23を外した状態の斜視図である。
図7は、電装予備蓄電装置2の取り付け要領を示す分解斜視図である。
図8は正負の出力端子とリード板とを外した状態の斜視図である。
図9は正の出力端子41側の支持部63の断面図である。
図10は負の出力端子42側の支持部64の断面図である。電装予備蓄電装置2は、
図4に示すように、収納ケース21と、この収納ケース21に収納される蓄電器22とを備えている。
(収納ケース3)
【0028】
収納ケース21はプラスチック等の絶縁材で成形される。収納ケース21は上部ケース23と下部ケース24とを備えており、上部ケース23は下部ケース24の周囲を包囲するように下部ケース24に被せられた状態で下部ケース24にねじ止めされる。収納ケース21は、内部に蓄電器22を所定の位置に収納できる形状と大きさとを備えている。
【0029】
収納ケース21は非防水構造である。ここで、非防水構造とは、外部からの水の浸入を完全に阻止できる完全防水構造ではない構造を意味している。したがって、非防水構造の収納ケース21とは、箱形のケースの開口部を蓋体で閉塞する構造等のように、通常の使用状態において、外部からの水が安易に浸入しない構造を含む広い意味で使用する。このような非防水構造の収納ケース21は、構造を簡単にして安価に製造しながら、メンテナンスを簡単にできる特徴がある。
【0030】
(上部ケース)
上部ケース23は概ね直方体の下部が開口した蓋状に形成されており、上部ケース23の上面25から外周壁26に繋がる角部には段付き部27が所定の間隔を開けて2箇所設けられている。段付き部27の底面である段付き面28は、外方に向かって緩やかに下方傾斜している。段付き面28には孔部29A,29Bが各々形成されており、孔部29Aから蓄電器22の正の出力端子41が突出し、孔部29Bから蓄電器22の負の出力端子42が突出している。
孔部29A,29Bの周縁部には上面に向かって立ち上がる壁面30が形成されており、この壁面30には山形状の凸部31が形成されている。山形状の凸部31は第1のガイド手段である。凸部31の山形を形成する斜面32は、孔部29A,29Bから突出する正負の出力端子41,42に対して左右対称に形成されており、この斜面32の下端は上下方向の側面33に接続されている。
【0031】
正の出力端子41が突出する孔部29Aの両側部には、壁面30に形成された凸部31の下端から下方に傾斜した傾斜面37と、傾斜面37の下端に連設される連設面38とが形成される。傾斜面37と連設面38とは第2のガイド手段である。傾斜面37と連設面38とは凸状に形成されており、壁面30に形成された凸部31の両側面33の下端が、傾斜面37と連設面38との外側面に直線状に接続されている。
【0032】
負の出力端子42側が突出する孔部29Bの周縁部にはリード板44の長さ方向に沿った溝部45が一体成型されている。溝部45は第2のガイド手段である。溝部45は凸部31の側面33下端と直線状に接続されて、外方に向かって形成されている。
【0033】
なお、上部ケース23の各孔部29A,29Bの外側には、リード板43,44の喉部46,47に係合する係合部48,49が形成されている。上部ケース23の外周面26には、蓄電器22が発生する熱を外部に放出するためのフィン51が設けられており、上部ケース23の下端角部には、上部ケース23を下部ケース24にねじ止めするための孔部55と、上部ケース23をキャビン12の座席13下部の床面等にねじ止めするための孔部56が形成されている。
(蓄電器4)
【0034】
蓄電器22は、正負の接続端子61,62を上面側に備えている。正負の接続端子61,62にはリード板43,44の1端部が接続されており、リード板43,44の他端部には出力端子41,42が係合している。蓄電器22の上面にはリード板43,44に係合した出力端子41,42を支持する支持部63,64が設けられている。支持部63,64は蓄電器22の上面に凸状に形成されており、リード板43,44に係合した出力端子41,42は、リード板43,44と共に支持部63,64の上面に形成された開口部68,84に嵌め込まれる。なお、このとき出力端子41,42の下部は段付き部65,67に当接している。
【0035】
正の出力端子41側の支持部63では、出力端子41がリード板43と共に開口部68に嵌め込まれる。開口部68の下方奥側には、リード板43の両側面に沿って断面コの字状の溝部70が各々形成されている。溝部70は蓄電器22の外方に向かって緩やかに下側に傾斜している。溝部70下端の下方には孔部71が形成されており、孔部71の下方には中央にリブが設けられた空間72が形成されている。空間72の底面73には孔部75が形成されている。
【0036】
支持部63の開口部68の外側には、リード板43の両側に沿って下方に傾斜した断面コの字状の傾斜溝79と傾斜溝79の下端から外方に連接された断面コの字状の連接溝80とが形成されている。連接溝80の下端は空間72に繋がっている。正の出力端子側では、溝部70と傾斜溝79と連接溝80とによって第3のガイド手段が構成される。
【0037】
負の出力端子42側の支持部64では、出力端子42が係合されたリード板44は開口部84から上方に突出しており、この状態でリード板44が上部ケース23の孔部29Bに嵌め込まれる。開口部84の下方奥側には、リード板44の両側面に沿って断面コの字状の溝部85が各々形成されている。溝部85は蓄電器22の外方に向かって緩やかに下側に傾斜している。溝部85下端の下方には孔部86が形成されており、孔部86の下方には空間87が形成されている。空間87の底面88には孔部89が形成されている。負の出力端子42側では、溝部85によって第3のガイド手段が構成される。
【0038】
(下部ケース)
図11は下部ケース24に形成される正の出力端子41側の排液孔92を示し、
図12は下部カバー24に形成される正の出力端子42側の排液孔93を示す。
図13は排液孔92,93の入口側を示す。下部ケース24は概ね四角形のプレート状に形成されている。下部ケース24の底壁91であって、蓄電器22に形成された正の出力端子41側の孔部75と、負の出力端子42側の孔部89との下方には、各々
排液孔92と93とが形成されている。
排液孔92,93は開口部が四角形に形成されており、底壁91の上面側に位置する
排液孔92,93の入口側開口部では、開口部の3辺に断面コの字状の凸部94が形成されている。なお、下部ケース24の4隅には上部ケース23と下部ケース24とを連結ねじ止めするためのねじ孔が設けられている。
【0039】
上部ケース23の上面25に落下した液滴が壁面30を伝って流れ落ちると、液滴は壁面30に形成された凸部31の山形の斜面32を伝って、正負の出力端子41,42に対して左右に振り分けられる。凸部31の左右に振り分けられた液滴は、凸部31の両側面33を伝って流れ落ちる。
【0040】
正の出力端子41側においては、凸部31の両側面33を伝って流れ落ちた液滴は、段付き面28に形成された傾斜面37と傾斜面37の下端に連設された連設面38との外縁部に沿って流れる。凸部31の両側面33と、傾斜面37と連設面38との外縁部とは互いに直線状に接続されており、液滴は、壁面30に形成された凸部31の山形の斜面32および両側面33、さらに段付き面28に形成された傾斜面37と連設面38との外縁部を伝ってスムーズに流れ落ちる。
【0041】
負の出力端子42側においては、凸部31の両側面33を伝って流れ落ちた液滴は、段付き面28に形成された溝部45に流れ込む。凸部31の両側面33と溝部45とは互いに直線状に接続されており、液滴は、壁面30に形成された凸部31の山形の斜面32および両側面33、さらに段付き面28に形成された溝部45を伝ってスムーズに流れ落ちる。
【0042】
このようにして、上部ケース23の上面を伝って正負の出力端子41,42側に流れ落ちた液滴が、正負の出力端子41,42が嵌め込まれた孔部29A,29Bから電装予備蓄電装置2の内部に浸入することを効果的に抑制することができる。
【0043】
正の出力端子41が嵌め込まれた孔部29Aに液滴が直接飛散した場合等には、傾斜面37あるいは連設面38の開口部側端面97と、蓄電器22の支持部63側面との隙間から液滴が収納ケース21の内部に浸入することがある。あるいは支持部63と支持部63に嵌め込まれたリード板43との隙間から液滴が浸入することがある。傾斜面37の端面97と支持部63側面との隙間から浸入した液滴は、蓄電器22の支持部63側面を伝って傾斜溝79に入り、連設面38の端面97から浸入した液滴は、蓄電器22の支持部63側面を伝って、傾斜溝79に連接された連設溝80に入る。
【0044】
傾斜溝79あるいは連設溝80に入った液滴は、空間72に落下する。空間72に落下した液滴は孔部75に流れ込み、下部ケース24の底壁91に落下する。下部ケース24の底壁91に落下した液滴は、底壁91に形成された
排液孔92に流れ込み、電装予備蓄電装置2の外部に排出される。
【0045】
支持部63と支持部63に嵌め込まれたリード板43との隙間から浸入した液滴は、リード板43の両側面に沿って形成された溝部70に入る。溝部70に流れ込んだ液滴は孔部71を通り、空間72に落下する。空間72に落下した液滴は孔部75に流れ込んで下部ケース24の底壁91に落下し、底壁91に形成された
排液孔92に流れ込み、電装予備蓄電装置2の外部に排出される。
【0046】
負の出力端子42が嵌め込まれた孔部29Bに液滴が直接落下した場合等には、孔部29Bの開口部側端面98とリード板44との隙間から液滴が浸入することがある。孔部29Bの開口部側端面98とリード板44との隙間から浸入した液滴は、支持部開口部84の下方奥側に形成された溝部85に入り込む。溝部85に入り込
んだ液滴は孔部86に流れ込み、その後空間87に落下する。空間87に落下した液滴は孔部89に流れ込み、下部ケース24の底壁91に落下する。下部カバー24の底壁91に落下した液滴は、底壁91に形成された
排液孔93に流れ込み、電装予備蓄電装置2の外部に排出される。
【0047】
図14は液滴95が排液孔92,93に入る状態を示す。
排液孔92,93の開口部は長方形とされるが、
排液孔92,93の入口側である底壁91の上面側開口部において、開口部の4辺のうち3辺がコの字状の凸部94で覆われている。このように
排液孔92,93の入口側の開口部を面一としないことによって、
排液孔92,93の入口で液滴の流れが滞ることを防止することができる。
【0048】
本実施例においては、第1のガイド手段として、壁面30に山形状の凸部31が形成されており、上部ケース23の上面21に落下した液滴が、この山形状の凸部31によって正負の出力端子41,42に対して左右に振り分けられて流れ落ちるが、これに限定されるものではなく、たとえば壁面30に形成された溝によって上部ケース23の上面21に落下した液滴が、正負の出力端子41,42に対して左右に振り分けられるものでもよい。
【0049】
このように、パッキン等のシール材を用いて電装予備蓄電装置2の収納ケース21を完全な防水構造とすることなく、簡単な構成で電装予備蓄電装置2の収納ケース21内への水分の浸入を抑制している。これによって部品点数を減らし、製造工程を簡単にすることができる。さらに、電装予備蓄電装置2の収納ケース21に液滴が浸入した場合には、浸入した液滴を簡単に排出することができる。
【0050】
以上のようにして車両に搭載される電源装置100は、
図2に示すように、車両に搭載される発電機101や車両負荷102に接続されて充放電される。図に示す電源装置100は、電装予備蓄電装置2と電装用バッテリ1の中間に接続されて、電装予備蓄電装置2を電装用バッテリ1に並列に接続する第1スイッチ103と、電装予備蓄電装置2の出力側に接続されて、電装予備蓄電装置2の過充電や過放電を防止する第2スイッチ104とを備えている。第1スイッチ103と第2スイッチ104は、制御回路105によって接続状態が制御される。第1スイッチ103や第2スイッチ104は、リレーや半導体スイッチング素子等のスイッチング素子が使用できる。半導体スイッチング素子は、トランジスタ、FET、IGBT等の素子が使用できる。第1スイッチ103は、エンジンルーム11に配置され、あるいはキャビン12内に配置することができる。第2スイッチ104は、電装予備蓄電装置2の収納ケース21内に配置されて、出力端子41,42と組電池との間に接続される。
【0051】
図2の回路図に示す電源装置100は、車両側の発電機104で充電される。車両側の発電機101は、電源装置100を充電する状態で、充電電圧が最高電圧(例えば14V〜15V)以上に上昇しないように出力電圧を制御して、電源装置100の過充電を防止している。制御回路105は、電装予備蓄電装置2の残容量を検出すると共に、電装予備蓄電装置2の残容量が最大残容量を越えて充電状態にあると、第2スイッチ1104をオフに切り換えて電装予備蓄電装置2の過充電を防止して電装予備蓄電装置2を保護する。
【0052】
さらに、図の電源装置100は、電装機器106やスタータモータ107に電力を供給して放電される。車両側は、電源装置100の電圧が最適電圧以下に低下しないように発電機101を制御して、電源装置100を充電する。電源装置100が放電される状態で、電装予備蓄電装置2の残容量は制御回路105で検出され、残容量が最低残容量以下になって放電される状態にあると、制御回路105は第2スイッチ104をオフに切り換えて電装予備蓄電装置2の過放電を防止する。