(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に従う製品はまた、以下の任意の特徴の1つ以上を示し得る。
−  好ましくは、酸化クロム(Cr
2O
3)の含量が、重量%として、50%超、さらには55%超、さらには60%超、さらには65%超、さらには70%超、さらには75%超、さらには80%超、さらには85%超、および/または95%未満である。
−  好ましくは、酸化アルミニウム(Al
2O
3)の含量が、重量%として、1%超、さらには1.5%超、さらには2%超、および/または45%未満、さらには40%未満、さらには35%未満、さらには30%未満、さらには20%未満、さらには10%未満、さらには8%未満、さらには5%未満、さらには4%未満である。
−  好ましくは、マトリックス中の酸化アルミニウム(Al
2O
3)の含量が、製品の酸化物の重量に基づく重量%として、1%超、さらには1.5%超、および/または10%未満、さらには8%未満、さらには5%未満である。
−  好ましくは、酸化ジルコニウム(ZrO
2)の含量が、重量%として、3%超、さらには4.5%超、さらには5%超、さらには6%超、および/または10%未満、9%未満または8%未満である。
−  好ましくは、重量%として、上記酸化ジルコニウムの30%超、40%超、50%超、60%超が、立方晶形および/または正方晶形で安定化されている。
−  マトリックス中に存在する酸化ジルコニウムのみが好ましくは、製品の総重量の2.5%超、さらには4%超、さらには5%超を占める。
−  酸化クロム、酸化アルミニウムおよび酸化ジルコニウムの合計含量(Cr
2O
3+Al
2O
3+ZrO
2)が、重量%として、80%超、85%超、90%超である。
−  Cr
2O
3、Al
2O
3、ZrO
2、Y
2O
3およびHfO
2以外の酸化物の合計含量が、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満または5%未満である。
−  好ましくは、酸化イットリウム(Y
2O
3)の含量が、重量%として、0.15%超、さらには0.20%超、さらには0.25%超、さらには0.30%超、さらには0.35%超、さらには0.40%超、および/または6.0%未満、5.0%未満、4.0%未満、3.0%未満、2.0%未満、または1.0%未満である。
−  好ましくは、上記酸化イットリウム(Y
2O
3)の90%超、95%超、さらには97%超、または実質的に100%がマトリックス中に存在する。
−  上記製品が、酸化ジルコニウムのための安定剤として作用するまたは作用しない、CaO、MgO、TiO
2およびそれらの混合物から選択される、好ましくはCaOである、共ドーパント(codopant)を含む。
−  酸化カルシウム(CaO)の含量が、重量%として、0.03%超、さらには0.04%超、さらには0.05%超、さらには0.1%超、さらには0.2%超、さらには0.5%超、および/または5.0%未満、さらには4.0%未満、さらには3.0%未満、さらには2.0%未満、さらには1.0%未満である。
−  酸化マグネシウム(MgO)の含量が、重量%として、0.1%超、さらには0.2%超、さらには0.5%超、および/または4.0%未満、さらには3.0%未満、さらには2.0%未満、さらには1.0%未満である。
−  酸化チタン(TiO
2)の含量が、重量%として、0.5%超、および/または4.0%未満、さらには3.0%未満、さらには2.0%未満、さらには1.0%未満である。
−  好ましくは、酸化カルシウム、酸化マグネシウムおよび酸化チタンの含量の合計(CaO+MgO+TiO
2)が、重量%として、6.0%未満、さらには5.0%未満、さらには4.0%未満、さらには3.0%未満、および/または0.5%超、1.0%超、さらには2.0%超である。
−  好ましくは再び、共ドーパントが、少なくとも部分的に、酸化ジルコニウムのための安定剤として作用する。
−  1実施態様では、重量%として、酸化イットリウムのおよび共ドーパント(特に酸化カルシウム)の50%超、75%超、さらには90%超、95%超、さらには実質的に100%が、マトリックス中に存在する。
−  好ましくは、酸化ケイ素(SiO
2)の含量が、重量%として、0.5%超、さらには0.7%超、さらには1%超、および/または6%未満、さらには5%未満、さらには4%未満、さらには3%未満、さらには1.5%未満である。
−  好ましくは、製品中の酸化ハフニウム(HfO
2)の含量が、重量%として、1.8%未満、さらには1.7%未満、さらには1.5%未満、さらには1.2%未満、さらには1%未満、0.8%未満、0.5%未満、0.3%未満、さらには0.2%未満、さらには0.1%未満である。
−  好ましくは、酸化クロム(Cr
2O
3)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化イットリウム(Y
2O
3)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ケイ素(SiO
2)、酸化チタン(TiO
2)、酸化マグネシウム(MgO)および酸化ハフニウム(HfO
2)の含量の合計が、重量%として、95%超、好ましくは98%超であり、製品の他の成分が、好ましくは不純物である。不純物は慣用的に、主としてFe
2O
3の形の鉄、およびアルカリ金属の酸化物、例えばNa
2OおよびK
2O、を含む。不純物のそのような含量は、本発明によって付与される利点に疑いをかけないと考えられる。
−  好ましくは、上記酸化物が、製品の90%超、95%超、99%超、さらには実質的に100%を占める。
−  製品の開放空隙率(open  porosity)が、5%超、8%超、10%超、および/または25%未満、20%未満、さらには15%未満である。
−  製品が、ガス化装置の反応器の内壁に対して施与された層の形、または上記壁を保護するために配置されたブロックの集まりの形で提供される。好ましくは、上記層全体または上記集まりのブロックの全てが、本発明に従う製品で構成される。
 
【0018】
驚いたことに、本発明者らはまた、本発明に従う製品が腐食に対して注目すべき耐性を示し得ることを見出した。
 
【0019】
特に、本発明に従う製品は、スラグの浸透に対して改善された耐性を示す。腐食耐性が、スラグによる溶解に対する耐性から、およびスラグの耐火製品への浸透に対する耐性から結果することが知られている。特に、この浸透は、浸透層に関して種々の特性を結果し、また剥離を結果する、すなわち耐火製品のかけらが、使用中に分離されるようになり得る。剥離は、高いクロム含量を有する製品の場合の損傷の主要な原因であることが知られている。高いクロム含量を有する製品はさらに、化学的溶解に対して良好な耐性を有することが知られている。
 
【0020】
好ましくは、上記凝集体が、製品の重量の60%超、70%超、および/または90%未満、または80%未満を占め、100%までの残部がマトリックスで構成される。
 
【0021】
1実施態様によれば、製品の構造が、凝集体の重量の80%超、85%超、95%超、さらには97%超が酸化クロムおよび/または酸化アルミニウムで構成される凝集体を示し、上記凝集体が、マトリックスの重量の90%超、さらには94%超が酸化ジルコニウムおよび/または酸化イットリウムおよび/または酸化クロムおよび/または酸化アルミニウムおよび/または酸化ケイ素および任意的にCaO、MgO、TiO
2およびそれらの混合物から選択される共ドーパントで構成されるマトリックスによって結合されており、上記共ドーパントが酸化ジルコニウムのための安定剤として作用しまたは作用しない。特に、上記共ドーパントがCaOであり得る。
 
【0022】
本発明はまた、内壁が少なくとも部分的に、本発明に従う耐火製品を含む、さらにはそのような製品で構成された耐火ライニングで裏張りされた反応器を含むガス化装置に関する。
 
【0023】
上記耐火製品は、層の形、またはブロックの形で提供され得る。
 
【0024】
本発明はまた、焼結によって本発明に従う焼結された耐火製品を結果するのに適するプリフォーム、および成形によって本発明に従うプリフォームを結果するのに適する粒状混合物に関する。
 
【0025】
最後に、本発明は、下記の逐次の段階:
a)投入物(charge)を形成する段階、
b)上記投入物を型に投入し、そして、例えば上記投入物を型内で振動させるおよび/または加圧するおよび/またはたたく(pound)ことにより成形して、プリフォームを形成する段階、
c)上記プリフォームを型から取り出す段階、
d)好ましくは、上記プリフォームを、好ましくは空気中または湿度が制御された雰囲気中で、好ましくはプリフォームの残留水分量が0〜0.5%であるように、乾燥する段階、
e)上記プリフォームを、好ましくは酸化性雰囲気中で、1300〜1600℃の温度で焼成して、焼結された耐火製品を形成する段階
を含む製造法に関する。
 
【0026】
本発明によれば、上記投入物が、段階e)の終わりに、本発明に従う焼結された耐火製品を結果するのに適し、かつマトリックス画分を含む。上記マトリックス画分は、少なくとも部分的に、さらには完全に、酸化イットリウムで、好ましくは酸化ジルコニウムおよび酸化イットリウムの合計重量に基づく重量%として、1%超の、さらには2%超の、さらには3%超の酸化イットリウムで安定化された酸化ジルコニウム粉末を含む。
 
【0027】
1実施態様によれば、マトリックス画分が、共ドーパントをさらに含む酸化イットリウムで安定化された酸化ジルコニウム粉末を含む。好ましくは、共ドーパントがCaOである。
 
【0028】
好ましくは、マトリックス画分が、5μm超のメジアンサイズを示す少なくとも1の安定化された酸化ジルコニウム粉末を含む。
 
【0029】
熱衝撃に対して優れた耐性を示す本発明に従う焼結された耐火製品を製造することを可能にする実施態様によれば、マトリックス画分が、製品に基づく重量%として、下記を含む。
−  1%超、好ましくは2%超、さらには2.5%超、または3%超、および/または10%未満、好ましくは7.5%未満、好ましくは5%未満の第一の粉末、ここで、上記粉末は、重量%として、80%超、好ましくは90%超、さらには実質的に100%の、酸化イットリウムで安定化された酸化ジルコニウムを含む粒子で構成されている、
  酸化ジルコニウムに基づく重量%として、上記酸化ジルコニウムの40%超、好ましくは50%超、好ましくは60%超、および/または90%未満、さらには80%未満が好ましくは正方晶形および/または立方晶形で安定化されている、
  上記第一の粉末のD
90パーセンタイルが100μm未満、さらには60μm未満、さらには50μm未満、および/または10μm超、20μm超、さらには30μm超である、
  好ましくは、上記第一の粉末のメジアンサイズD
50が2μm超、さらには5μm超、および/または30μm未満、さらには20μm未満、さらには15μm未満である、および
−  1%超、さらには1.5%超、および/または10%未満、7%未満、5%未満の第二の粉末、ここで、上記粉末は、重量%として、80%超、好ましくは90%超、さらには実質的に100%の、酸化カルシウムおよび酸化イットリウムで安定化された酸化ジルコニウムを含む粒子で構成されている、
  酸化ジルコニウムに基づく重量%として、上記酸化ジルコニウムの40%超、好ましくは50%超、好ましくは60%超、および/または90%未満、さらには80%未満が好ましくは正方晶形および/または立方晶形で安定化されている、
  上記第二の粉末のD
90パーセンタイルが100μm未満、さらには60μm未満、さらには50μm未満、および/または20μm超、さらには30μm超、さらには40μm超である、
  好ましくは、上記第二の粉末のメジアンサイズD
50が2μm超、さらには5μm超、さらには10μm超、および/または30μm未満、さらには20μm未満、さらには15μm未満である。
 
【0030】
第一の粉末では、酸化イットリウムの重量%が好ましくは、酸化イットリウムおよび酸化ジルコニウムの合計に基づく重量%として、3%超、5%超、および/または15%未満、10%未満、さらには8%未満である。
 
【0031】
第二の粉末では、酸化ジルコニウム、酸化カルシウムおよび酸化イットリウムの合計に基づく重量%として、酸化カルシウムの重量%が好ましくは、1%超、2%超、および/または10%未満、5%未満であり、および/または酸化イットリウムの重量%が好ましくは、0.5%超、および/または5%未満、3%未満である。
 
【0032】
酸化ジルコニウム源は、酸化ハフニウム、慣用的に2%未満の酸化ハフニウムを含み得る。
 
【0033】
定義
「プリフォーム」は慣用的に、バインダー、一般的には一時的なバインダー、によって結合された粒子の集まりを意味し、そのミクロ構造が焼結中に変化するだろうと理解される。プリフォームは特に、ブロックまたは層の形、例えば反応器の壁に噴霧されたもの、を示し得る。
 
【0034】
「粒子」は、粉末または「粒状混合物」内の固体物体を意味すると理解される。特に、150μm超のサイズを示す粒子(「グレイン(grains)」として知られる)と150μm以下のサイズを示すもの(「微粒子」または「マトリックス粒子」として知られる)とが区別される。グレインの集まりは「凝集体」を構成する。マトリックス粒子の集まりは、「マトリックス画分」を構成する。
 
【0035】
さらに、「凝集体」および「マトリックス画分」はまた、プリフォームの形に統合された後のグレインおよびマトリックス粒子を意味する。「凝集体」はまた、焼結後にマトリックスによって結合されたグレインを意味する。
 
【0036】
「粒状混合物」は、粒子の乾燥混合物(互いに結合されていない)を意味すると理解される。
 
【0037】
粒子の「サイズ」は、大きい方の寸法dMと小さい方の寸法dmとの平均:(dM+dm)/2を意味する。粒状混合物の粒子のサイズは、慣用的に、レーザー粒子サイザーによって行われる粒子サイズ分布の解析によって評価される。レーザー粒子サイザーは、例えば、HoribaからのPartica  LA−950であり得る。
 
【0038】
粉末のパーセンタイルまたは「センタイル」10(D
10)、50(D
50)、90(D
90)および99.5(D
99.5)は、粉末の粒子の累積粒子サイズ分布曲線上のそれぞれ10重量%、50重量%、90重量%および99.5重量%に対応する粒子のサイズである。ここで、粒子のサイズは、増加する順によって分類される。例えば、粉末の粒子の10重量%はD
10未満のサイズを有し、粒子の90重量%は、D
10以上のサイズを有する。パーセンタイルは、レーザー粒子サイザーを使用して作られる粒子サイズ分布を使用して評価され得る。
 
【0039】
「最大サイズ」は、当該粉末の99.5(D
99.5)パーセンタイルを意味する。
 
【0040】
粉末の「メジアンサイズ」は、D
50パーセンタイルを意味する。すなわち、粒子を重量の等しい第一と第二の集団に分割するサイズであり、このような第一および第二の集団はそれぞれ、メジアンサイズ以上のサイズまたはメジアンサイズ未満のサイズを示す。
 
【0041】
「ブロック」は、(ライニング層と違って)粒状混合物を含む投入物を成形することによって得られる固体物体を意味すると理解される。
 
【0042】
「マトリックス」は、グレイン間に連続した構造を付与し、かつ焼結中にマトリックス画分から得られる、結晶性または非結晶性の相を意味すると理解される。
 
【0043】
「焼結」は、プリフォームの耐火粒子が転化されて、上記プリフォームの他の粒子を互いに結合するマトリックスを形成するところの熱処理を意味する。
 
【0044】
「耐火製品」は、1000℃超の融点または解離点を示す製品を意味すると理解される。
 
【0045】
「不純物」は、出発材料と共に非意図的にかつ必然的に導入されたかまたはそれらとの反応から結果として生じる不可避的構成成分を意味する。不純物は必要な構成成分ではなく、単に許容されるものである。好ましくは、不純物の重量による量は、2%未満、1%未満、0.5%未満、さらには実質的にゼロである。
 
【0046】
化合物または元素の「前駆体」は、本発明に従う製造法の実施中に上記化合物または元素を付与し得る構成成分を意味すると理解される。
 
【0047】
酸化物の含量は、工業の通常の慣例に従ってより安定な酸化物の形で表される、対応する化学元素の各々の含量の全体を意味する。
 
【0048】
特に断らない限り、本発明に従う製品の酸化物の含量は全て、酸化物に基づく重量%である。
 
【0049】
「1を含む」は、特に断らない限り、「少なくとも1を含む」を意味すると理解される。
 
【0050】
本発明に従う焼結された耐火製品は、マトリックスによって結合されかつ囲まれたグレインで構成される。
 
【0051】
グレインは、種々の化学分析値を示し得、特に酸化クロムを含み得る。
 
【0052】
特に、凝集体は、その重量の80%超、さらには85%超、さらには90%超、さらには95%超、さらには97%超が、酸化クロムおよび/または酸化アルミニウム、特に酸化クロムで構成され得る。
 
【0053】
マトリックスは好ましくは、酸化ジルコニウムを含む。マトリックス中に存在する酸化ジルコニウムのみが、好ましくは製品の総重量の2.5%超、さらには5%超、さらには10%超を占める。酸化ジルコニウムは酸化イットリウムによって安定化されており、少なくとも20重量%が立方晶形および正方晶形で安定化されている。
 
【0054】
特に、マトリックスは、その重量の90%超、さらには94%超が、酸化ジルコニウムおよび酸化イットリウムおよび/または酸化クロムおよび/または酸化アルミニウムおよび/または酸化ケイ素で、および任意的にCaO、MgO、TiO
2およびそれらの混合物から選択される共ドーパントで構成され得る。上記共ドーパントは、酸化ジルコニウムのための安定剤として作用し、または作用しない。好ましくは、共ドーパントがCaOである。
 
【0055】
1実施態様では、製品が、酸化物に基づく重量%として合計100%に対して、
  60%<Cr
2O
3<95%、好ましくは65%<Cr
2O
3<90%、
  1%<Al
2O
3<25%、好ましくは2%<Al
2O
3<10%、好ましくはAl
2O
3<5%、
  3%<ZrO
2<10%、好ましくは4%<ZrO
2<8%、
  HfO
2<1.0%、好ましくはHfO
2<0.5%、
  0.1%<Y
2O
3<4.0%、好ましくは0.2%<Y
2O
3<3.0%、
  他の酸化物<10%、好ましくは他の酸化物<5%
を含む。
 
【0056】
本発明に従う焼結された耐火製品で作られたブロックを製造するために、上記段階a)〜e)を含む方法が使用され得る。
 
【0057】
段階a)〜e)は、焼結製品を製造するために慣用的に使用される段階である。
 
【0058】
段階a)では、下記:
  焼結された耐火製品を形成するために意図された酸化物の粒子でおよび/またはこれらの酸化物の前駆体の粒子で構成された粒状混合物、
  任意的に1以上の添加剤、
  任意的に水
を含む投入物が調製される。
 
【0059】
投入物の粒状混合物の組成は、ブロックの最終の組成の相関的要素(function)として決定される。
 
【0060】
好ましくは、粒状混合物が、重量で90%超、95%超、さらには実質的に100%の、20mm未満のサイズを有する粒子で構成される。
 
【0061】
好ましくは、グレインが、粒状混合物の重量の60%超、さらには70%超、および/または90%未満、80%未満を占める。100%までの残部は、マトリックス粒子で構成される。
 
【0062】
投入物中の酸化物または酸化物の前駆体の量を決定する方法は、当業者に十分知られている。特に、当業者は、出発投入物に存在する酸化クロム、酸化アルミニウムおよび酸化ジルコニウムが、製造された耐火製品において再遭遇することを知っている。いくつかの酸化物はまた、添加剤によって提供され得る。したがって、焼結された耐火製品の構成成分の1つの同じ量に関して、出発投入物の組成が、特にこの投入物に存在する添加剤の量および性質の相関的要素(function)として、変わり得る。
 
【0063】
酸化クロムは、任意的に酸化アルミニウムを含む、酸化クロムの焼結されたまたは溶融された粒子の混合物の形で提供され得る。
 
【0064】
好ましくは、酸化ジルコニウムの源が、80重量%超の、好ましくは90重量%超の酸化ジルコニウムを含む。
 
【0065】
酸化ジルコニウムは、安定化された酸化ジルコニウム粉末、好ましくは酸化イットリウムによって安定化されたものの形で提供される。酸化ジルコニウムの少なくとも20重量%は、立方晶形および/または正方晶形で安定化されている。酸化ジルコニウムは、共ドーパントを含み得る。好ましくは、共ドーパントがCaO、MgO、TiO
2およびそれらの混合物から選択される。好ましくは、共ドーパントがCaOである。
 
【0066】
好ましくは、酸化ジルコニウムが、酸化ジルコニウム、酸化イットリウムおよび共ドーパントの総重量に基づく重量%として、3%超、さらには4%超、さらには5%超まで、酸化イットリウムおよび任意的に共ドーパント(好ましくはCaO、MgO、TiO
2およびそれらの混合物から選択される)でドープされている。好ましくは、共ドーパントがCaOであり、酸化ジルコニウム粉末中のその含量が酸化ジルコニウム、酸化イットリウムおよび酸化カルシウムの総重量に基づいて2〜4%である。
 
【0067】
安定化された酸化ジルコニウムは、好ましくは、その重量の70%超、80%超、90%超、さらには実質的に100%がマトリックス粒子の形で導入される。
 
【0068】
酸化ハフニウムHfO
2は常に、酸化ジルコニウムの源に一般に2%未満の量で天然に存在する。1実施態様では、酸化ハフニウムが不純物としてのみ、特に酸化ジルコニウムの源と共に、導入される。
 
【0069】
酸化アルミニウムは、特に、酸化クロムおよび酸化アルミニウムの焼結されたまたは溶融された粒子の混合物の形で凝集体に、または焼成されたまたは反応性のアルミナの、さらにはホワイトコランダムの粒子の混合物の形でマトリックス画分に提供され得る。
 
【0070】
添加剤は、成形段階b)中に投入物に十分な可塑性を付与するために、および段階c)およびd)の終わりに得られたプリフォームに十分な機械的強度を与えるために、投入物に添加され得る。当業者に周知の使用され得る添加剤の例として、以下が挙げられ得るが、それらに限定されない。
  一時的な(すなわち、乾燥および焼成段階中に全部または一部が除去される)有機バインダー、例えば、樹脂、セルロース誘導体またはリグノン、またはポリビニルアルコール;好ましくは一時的バインダーの量が、投入物の粒状混合物の重量に対して0.1〜6重量%である;
  成形剤、例えばステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム;
  水硬性バインダー、例えばCaOアルミネート型のセメント;
  解膠剤、例えばアルカリ金属ポリホスフェートまたはメタクリレート誘導体;
  焼結促進剤、例えば二酸化チタンまたは水酸化マグネシウム;
  加工処理を促進し、焼結を助けるであろうクレー型の添加剤。
 
【0071】
これらの添加剤は、クレーの種類に応じて、アルミナおよび酸化ケイ素、および少しのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物、さらには酸化鉄すらを与える。
 
【0072】
添加剤の量は、制限されない。特に、焼結プロセスにおいて慣用的に使用される量が適する。
 
【0073】
好ましくは、投入物におけるクレーの含量が、酸化物に基づく重量%として、0.5%超、1.0%超、1.5%超、および/または5.0%未満、3.0%未満である。
 
【0074】
酸化ジルコニウムの源は慣用的に、痕跡量の酸化ハフニウムを含む。
 
【0075】
適切ならば、添加剤が、耐火製品の組成に寄与する酸化物の1以上を与えるならば、この付与は、好ましくは、粒状混合物の組成の決定において考慮される。
 
【0076】
好ましくは、投入物が、重量%として、
  60%超、好ましくは90%超のグレイン、
  40%未満のマトリックス粒子、
  7%未満の1以上の成形添加剤
を含む。
 
【0077】
好ましくは、グレインおよびマトリックス粒子が一緒になって、投入物の重量の94%超、好ましくは95%超を占める。
 
【0078】
投入物の種々の構成成分の混合は、実質的に均一な塊が得られるまで続けられる。
 
【0079】
好ましくは、粒状混合物に基づく重量%として1〜5%の水が添加される。
 
【0080】
投入物は好ましくは、コンディショニングされる。有利には、こうして使用に備える。
 
【0081】
本発明はまた、上述した粒状混合物および段階a)中に調製されたまたは調製され得る投入物に関する。
 
【0082】
段階b)では、投入物が型に入れられ、次いで成形される。
 
【0083】
加圧による成形の場合には、400〜800kg/cm
2の特定の圧力が適する。加圧は好ましくは、一軸加圧または等方圧のやり方で、例えば液圧プレスを使用して、行われる。有利には、手動または空気圧による打ち込み(ramming)および/または振動操作によって先行され得る。
 
【0084】
段階c)では、こうして得られたプリフォームが型から取り出される。
 
【0085】
段階d)では、乾燥が、適度に高い温度で行われ得る。好ましくは、110〜200℃の温度で行われる。慣用的には、プリフォームのフォーマットに依存して、プリフォームの残留水分量が0.5%未満になるまで、10時間〜1週間続く。
 
【0086】
本発明はまた、段階c)または段階d)で得られたプリフォームに関する。
 
【0087】
段階e)では、乾燥したプリフォームが焼成される。低温から低温までの約3〜15日間という焼成時間は、組成物に従って変わり得るが、プリフォームのサイズおよび形状によっても変わり得る。焼成サイクルは好ましくは、慣用的に空気中で1300〜1600℃の温度で行われる。
 
【0088】
好ましくは、段階e)の終わりに得られた焼結された耐火製品は、1kg超の重量を有するおよび/または寸法の全てが100mm超であるブロックの形で存在する。
 
【0089】
驚いたことに、段階e)の終わりに得られた焼結された耐火製品は、ガス化装置反応器の内側で遭遇する応力に対して、特にスラグまたは溶融された灰分による浸潤に対して、特に耐性を有することが分かった。
 
【0090】
焼成段階e)は、全部または一部が、反応器におけるプリフォームの組み立ての後に行われ得る。
 
【0091】
ブロックは、当業者に周知の技術に従って、適切な膨張ジョイントによって組み立てられる。
 
【0092】
本発明に従う製品の製造は、上述した方法に限定されない。特に、本発明はまた、反応器、特にガス化装置、のライニングの形の本発明に従う耐火製品に関する。このために、投入物(例えば上記段階a)に従って製造されたもの)が、反応器の壁の内側表面に層として、例えばキャスティング(casting)、ビブロキャスティング(vibro−casting)または噴霧によって、要求に従っておよび高い柔軟性を伴って、施与され、次いで、反応器の予熱の間にインシチューで焼結されて、本発明に従う耐火製品で作られたライニングを製造し得る。焼結は好ましくは、大気圧で、好ましくは酸化性雰囲気で、好ましくは1300〜1600℃の温度で行われる。
 
【0093】
本発明の記載を不必要に長くしないために、種々の態様の本発明に従うありうる組み合わせの全てが示されているわけではない。しかし、上記製品、マトリックスまたは凝集体または方法に関して上述した初期のおよび/または好ましい範囲および値のありうる組み合わせの全てが意図されることが明らかに理解される。
 
【実施例】
【0094】
下記の実施例は、本発明を説明することを可能にするが、完全に網羅しているわけではない。これらの実施例に関して、下記の出発材料が使用された。
  約98重量%のCr
2O
3および2重量%のTiO
2を含み、かつ少なくとも90重量%の20ミクロン超かつ5mm未満のサイズを有する粒子で構成された焼結された酸化クロム粉末(粉末G1)、
  約88重量%のCr
2O
3、約6重量%のAl
2O
3、約3.5重量%のSiO
2および約1.8重量%のTiO
2を含み、かつ少なくとも90重量%の20ミクロン超かつ5mm未満のサイズを有する粒子で構成された焼結された酸化クロム粉末(粉末G2)、
  約45重量%のCr
2O
3、約52重量%のAl
2O
3、約1.1重量%のSiO
2および約1.6重量%のTiO
2を含み、かつ少なくとも90重量%の20ミクロン超かつ5mm未満のサイズを有する粒子で構成された焼結された酸化クロム粉末(粉末G3)、
  メジアンサイズ(D
50)が2ミクロン未満である顔料酸化クロム粉末(>98%のCr
2O
3)(粉末P1)、
  4.2重量%のCaOで安定化され、粒子のサイズが50ミクロン未満であり、メジアンサイズが約12μmであり、上記粒子が、約70%の正方晶形および/または立方晶形の酸化ジルコニウムを含む、酸化ジルコニウム粉末(>98重量%のZrO
2)(粉末P2)、
  メジアンサイズ(D
50)が10ミクロン未満であるアルミナ粉末(>98重量%のAl
2O
3)(粉末P3)、
  約3.2重量%のCaOおよび約1.1重量%のY
2O
3で安定化され、ジルコニアに基づく重量%として約70%の正方晶形および/または立方晶形の酸化ジルコニウムを含み、粒子のサイズが60ミクロン未満であり(D
90=47μm)、メジアンサイズが約13μmである、酸化ジルコニウム粉末(>91重量%のZrO
2)(粉末P4)、
  約6.4重量%のY
2O
3で安定化され、ジルコニアに基づく重量%として約70%の正方晶形および/または立方晶形の酸化ジルコニウムを含む酸化ジルコニウム粉末(>91重量%のZrO
2)であって、粒子のサイズが50ミクロン未満であり(D
90=34μm)、メジアンサイズが約8μmである粉末(粉末P5a)、または粒子のサイズが50ミクロン未満であり(D
90=8μm)、メジアンサイズが約3μmである粉末(粉末P5b)、
  メジアンサイズ(D
50)が5〜10ミクロンである酸化イットリウム粉末(>99%のY
2O
3)(粉末P6)、
  添加剤:約40%のAl
2O
3、約55%のSiO
2、約2.3%のTiO
2、約2%のFe
2O
3および約0.6%のCaOを含むRR40クレー
【0095】
  試験された製品は、上記段階a)〜e)に従って製造された。
【0096】
  段階a)では、表1に示す出発材料が、0.5〜2%のRR40クレーおよび約3%の水と混合され、また、0.3〜0.7%のバインダー(ステアリン酸マグネシアおよびBretax  C)が上記粒状混合物に添加された。%は、上記粒状混合物に基づく%である。
【0097】
  酸化ケイ素は、本質的にクレーの添加に由来する。
【0098】
  段階b)では、投入物を型内で600kg/cm
2の圧力で固めることが、プリフォームを形成するように行われた。
【0099】
  段階d)では、焼成が、空気中で、1400〜1600℃の温度で、焼結された耐火製品が形成されるように行われた。
【0100】
嵩密度(Bd)および開放空隙率(Op)の測定が、腐食前の製品に関して、基準ISO5017にしたがって行われた。
【0101】
800℃と20℃との間での熱衝撃に付された製品の破壊の曲げ弾性率における変化が、基準ISO5014に従って評価された。表1において、熱衝撃試験後の破壊値の残留曲げ弾性率が「MOR  res」と表示され、MORの低下(20℃で測定された初期MORに関する「MOR  res」)が「ΔMOR」と表示される。「MOR  res」は、できるだけ高くなければならない。(絶対値で少なくとも20%の)より低い「ΔMOR」は、製品の特性のより大きい安定性を示す。同様に、表1において、3つの熱衝撃試験後の破壊値の残留曲げ弾性率が、「MOR  res3」と表示され、MORの低下(20℃で測定された初期MORに関する「MOR  res3」)が「ΔMOR3」と表示される。
【0102】
他の測定は、焼結後に、ガス化装置のライニングの高温面によって体験される運転条件を表わす腐食に付された製品に関して行われた。この腐食は、下記方法で得られた。長さが200mmであり、台形の断面を有し、その底辺がそれぞれ63mmおよび90mmであり、高さが33mmである、試験されるべき製品の8個の試験片が、溶融されたスラグが入れられる回転炉を形成するために、金属枠に1600℃の温度で5時間入れられる。試験片および枠が1分につき2回転の速度で回転される。
【0103】
使用されたスラグは、下記組成を示す(重量%)。
  SiO
2:約30〜50%、
  Al
2O
3:約10〜20%、
  Fe
2O
3またはFeO:15〜25%、
  CaO:約10〜20%、
  他の成分、例えばMgO:100%までの残部。
【0104】
  このスラグの塩基性指数B、すなわち(CaO+MgO+Fe
2O
3)/(SiO
2+Al
2O
3)の重量比は、典型的に、0.6のオーダーであった。CaO/SiO
2の重量比は0.4のオーダーであった。
【0105】
  スラグに由来するCaOの浸透の深さが、金属組織学断面において行われたミクロプローブアナライザーによって測定される。浸透の指標(Ip)は、参照実施例(実施例2〜8のための実施例1、実施例10、13および14のための実施例9、実施例12のための実施例11および実施例16のための実施例15)の試験片の浸透深さの、考慮下の実施例の試験片の浸透深さに対する比を100倍したものに等しい。Ipはすなわち、参照製品の場合には100であり、110より大きい値は、スラグの浸透に対してより良好な耐性を有することを示す。165より大きい値は、スラグの浸透に対して非常に有意に改善された耐性を示す(+50%)。
【0106】
得られた結果を下記表1にまとめる。
HfO
2含量は実質的に0.1%に等しい
【0107】
【0108】
【0109】
上記表から確認できるように、酸化イットリウムでドープされた酸化ジルコニウムの添加が、製品中の酸化イットリウムの含量が0.1重量%に達すると、特により高い含量(特に70重量%超)の酸化クロムを有する製品の場合には、スラグの浸透に対する耐性(Ip)に関して非常に有利な効果を有し、その結果、剥離の現象が減少し、したがって、この種の製品の寿命を改善することが可能である。
【0110】
この添加はまた、熱衝撃に対する耐性を保持し、さらには改善すらすることを可能にする。これは、実施例5と6とのまたは実施例8と7との比較によって示されるように、マトリックス画分に導入された酸化イットリウムでドープされた酸化ジルコニウム粉末が5μm超のメジアンサイズを示すときにはよりそうである。
【0111】
熱衝撃に対する耐性はまた、実施例8と実施例4および5との比較、実施例13または14と実施例10との比較、または最後に実施例16と実施例15との比較によって示されるように、酸化カルシウムおよび酸化イットリウムでドープされた酸化ジルコニウム粉末が、酸化イットリウムでドープされた酸化ジルコニウム粉末と協同で使用されるとき、顕著に改善される。
【0112】
実施例1と2との比較は、酸化ジルコニウムから独立した酸化イットリウムの添加は、上記性能を改善しないことを示す。すなわち、酸化ジルコニウムが、焼結前に、少なくとも部分的に、さらには完全に、酸化イットリウムで安定化されることが重要である。
【0113】
ガス化装置における用途では、実施例5〜8、13および14が、最良であるとみなされる。特に実施例8、13および14は、CaOの浸透に対する耐性、熱衝撃に対する耐性および製造コスト(CaOはY
2O
3より安価である)の間の非常に良好な妥協を差し出す。
【0114】
実施例11と12との比較はまた、その凝集体が酸化クロムおよび酸化アルミニウムで構成されるところの焼結された製品に関するCaOの浸透に対する耐性を改善し、一方で熱衝撃に対する良好な耐性を保持することに関して、酸化イットリウムで安定化された酸化ジルコニウムの粒子で形成された粉末の添加の利点を示す。これらの実施例の比較はまた、酸化イットリウムでの安定化が、酸化カルシウムでの安定化よりも有効であることを確認する。
【0115】
EDS(エネルギー分散分光計)分析と結合された走査電子顕微鏡(SEM)による分析は、本発明の製品において、酸化イットリウム(および適切ならば酸化カルシウム)が実際にマトリックスの酸化ジルコニウムと一緒にされることを確認することを可能にする。
【0116】
もちろん、本発明は、説明のための非制限的実施例として提供された上記実施態様に限定されない。
【0117】
特に、本発明に従う焼結された耐火製品の用途は、ガス化装置に限定されない。