特許第6333834号(P6333834)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6333834
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】水力発電タービン用の発電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 16/04 20060101AFI20180521BHJP
   H02K 19/16 20060101ALI20180521BHJP
   H02K 1/16 20060101ALI20180521BHJP
   F03B 13/10 20060101ALI20180521BHJP
   F03B 13/26 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   H02K16/04
   H02K19/16 Z
   H02K1/16 Z
   F03B13/10
   F03B13/26
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-538494(P2015-538494)
(86)(22)【出願日】2013年10月29日
(65)【公表番号】特表2015-534445(P2015-534445A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(86)【国際出願番号】EP2013072577
(87)【国際公開番号】WO2014067928
(87)【国際公開日】20140508
【審査請求日】2016年10月25日
(31)【優先権主張番号】12190731.5
(32)【優先日】2012年10月31日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511144343
【氏名又は名称】オープンハイドロ アイピー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】カウソーン,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】スプーナー,エドワード
【審査官】 田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0007225(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02479876(EP,A1)
【文献】 特開2003−088190(JP,A)
【文献】 特開2008−271641(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0256422(US,A1)
【文献】 特開2005−333687(JP,A)
【文献】 特表2007−529679(JP,A)
【文献】 特表2008−523782(JP,A)
【文献】 特開2008−048571(JP,A)
【文献】 特表2007−503198(JP,A)
【文献】 特表2008−511281(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0040728(US,A1)
【文献】 特開2011−72182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/16,1/27,16/04,19/16,21/24 H02P 9/00−9/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水力発電タービン用の発電機であって、前記発電機が、前記水力発電タービンに軸方向に連結され、かつ
前記タービンを通る流体の流れに応じて、軸を中心にして回転するように構成される回転子と、
前記軸の周囲に円周方向に配置され、かつ前記回転子から第1の内側方向に軸方向にずらされる第1の巻線を組み込む第1の固定子と
前記軸の周囲に円周方向に配置され、かつ前記回転子から第2の外側方向に軸方向にずらされる第2の巻線を組み込む第2の固定子と
を備え、
前記回転子が、前記巻線と電気的に接続されるように構成され
前記第1の巻線および前記第2の巻線のそれぞれが単相巻線であり、前記第1の固定子および前記第2の固定子のそれぞれが、前記第1の巻線および前記第2の巻線をそれぞれ収容するための複数のスロットを有する複数の積層体を備え、
前記第1の固定子および前記第2の固定子のそれぞれの各々のスロットが、連続するスロット間の間隔をもって不均一に離間されており、前記間隔が、前記連続するスロットの正弦分布を生じるように次第に増加しその後次第に減少する、発電機。
【請求項2】
前記発電機が直接駆動発電機である、請求項1に記載の発電機。
【請求項3】
前記発電機が、
グリッドに接続するように構成される1つのポートと、DCリンクに接続するように構成される第2のポートとを有する第1段階と、
前記DCリンクに接続するように構成される1つのポートと、前記固定子の巻線に接続するように構成される第2のポートとを有する第2段階と
を備える2段階変換器に接続される、請求項2に記載の発電機。
【請求項4】
前記第1段階が三相電圧源インバータであり、前記第2段階が三相電圧源インバータである、請求項3に記載の発電機。
【請求項5】
前記第1段階が三相電圧源インバータであり、前記第2段階が二相出力を提供するHブリッジである、請求項3に記載の発電機。
【請求項6】
前記単相巻線のそれぞれが、前記変換器への各固定子の単相接続を可能にするように構成される、請求項3または5に記載の発電機。
【請求項7】
前記単相巻線がケーブル巻線である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の発電機。
【請求項8】
前記第1の固定子の第1の巻線が、前記第2の固定子の第2の巻線から接線方向にずらされる、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の発電機。
【請求項9】
前記発電機が誘導発電機である、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の発電機。
【請求項10】
前記発電機が永久磁石発電機である、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の発電機。
【請求項11】
前記水力発電タービンが中央開口型シャフトレス潮流タービンである、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水力発電タービン用の発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのタイプの電気機械において、固定子に流れる電流は進行磁界を生じ、進行磁界が、機械の可動部分、すなわち、回転機械の場合の回転子、または線形機械の場合のトランスレータにおける一連の電流、一連の永久磁石または一連の強磁性機構と相互作用する。通常の進行磁界発生方法は、積層鉄心固定子にある均一な配列のスロットに一緒に収容され、かつ三相電源から3つの交流を供給される、3つの要素巻線を用いることである。各要素巻線では、コイルが環状に配置され、また3つの要素巻線は、それらの磁軸が波長の1/3の間隔を置く状態で固定子に沿って配置される。巻線に供給される交流どうしは、120度の相対位相差を有する。その結果、合成磁束は、交流1周期当たり環状配置1波長に等しい速度で進行する一定振幅の正弦波に近づく。その他の多相巻線も可能ではあるが、電源の普及形態が三相タイプであるため、ほとんど用いられない。
【0003】
最も一般的な電気駆動装置、すなわち、多くの産業上の用途で用いられるタイプの三相誘導モータは、この方法を用いて回転磁界を生成している。図1(a)を参照すると、回転子12は、内部に誘導電流が生じ、回転磁界と相互作用して、出力軸にトルクを生じる、一連の導体バー(図示せず)を保持している。
【0004】
三相電源が利用できない家庭用および軽工業の用途では、2つの要素巻線に位相の異なる交流が供給される代替的な構成が用いられている。第1の電流は、利用可能な単相電源によって直接提供され、第2の電流は、通常、位相シフトをもたらすコンデンサを介して、同じ電源から取得される。位相シフトは、ある負荷条件下に限り妥当であり、ほとんどの条件下では、そのようなモータの作動は理想的ではない。このような機械は、単相電源で動作することから単相モータと呼ばれるが、巻線は、より正確に、二相巻線と説明される。90度位相をずらした2つの電流を提供する平行二相電源が利用できる場合、要素巻線が1/4波長だけずらされているこのタイプの電気機械は、一定振幅の回転磁界を生じ、標準的な三相機械と全く同じ効果があり得る。
【0005】
近年、リニア電気モータは、軌道陸上輸送を含むいくつかの用途および航空母艦上の電磁式発射システムに関して関心を集めている。さらにリニア発電機が、往復運動を利用する特定の波力発電装置に用いられている。リニア電気機械は、図1(a)から図1(c)に示されるように、切断して展開した標準的な回転機械とみなすことができる。こうすると、固定子10とトランスレータ14との間の力線16によって示される磁気引力は、固定子10と回転子12との場合のような等しくかつ反対向きの力による釣り合いの状態にない。
【0006】
この問題を克服するための一般的な手法は、図2に示されるように、単一のトランスレータ14の両側に配置される2つの固定子10’、10”を用いることである。多くの場合、磁束18は、第1の固定子10’から、トランスレータ14、第2の固定子10”、そして再度トランスレータを通って一周する。
【0007】
2つの固定子のリニア機械は、元の軸(図1(b)にAとして示されている)を中心として丸めて、2つの同軸の固定子が中空の円筒状回転子を包囲し、かつ磁束が内側の固定子から、内側の間隙、円筒状の回転子、そして外側の間隙を経て、外側の固定子まで径方向に通る、回転機械を形成することもできる。この構成の機械は、極めて低慣性の駆動が要求されるサーボ制御システムに応用される。
【0008】
あるいは、リニア機械は、元の軸に直交する軸(図2にBとして示されている)を中心として丸めて、磁束が、円筒状の空隙を径方向に通るのではなく、2つの平面的な空隙を横断して軸方向に通る回転機械を作成することもある。このタイプの軸方向磁束型回転機械は、とりわけ、再生可能エネルギー用途、特に、小型風力タービンのための永久磁石発電機として用いられている。このような場合では、2つの固定子のそれぞれは、通常、上述のような3つの要素巻線を備える三相巻線を保持している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
水力発電タービン内における発電を改善することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、請求項1に記載される水力発電タービン用の発電機が提供される。
【0011】
本発明の実施形態では、2つの固定子のそれぞれは、1つの要素巻線が各固定子に収容され、かつ2つの要素巻線がそれらの磁軸を約90度の電気角だけずらした状態で配置される、単相巻線を有する。
【0012】
2つの巻線の磁軸間の変位は、理想的には90°であり、巻線は、理想的には、位相が90°異なる交流を供給される。各固定子は、単一の巻線を保持し、これは、共通のスロットアレイを共有しなければならない各巻線によってもたらされる制限を取り除く。その結果は次のとおりである。
1.巻線分布は、もはやスロットを均一に配置させる必要がなく、それらの中に収容される1つの巻線だけの要件に従って配置され得るために、正弦波パターンに密接に近づくように構成され得る。
2.巻線がその他の巻線と重なる必要がないために、巻線の巻き方は簡素化され、そしてそのためリニア機械または軸方向磁束型回転機械の場合には、簡単な一連の平面コイルであり得る。
3.巻線がグラウンドと絶縁されてさえいればよく、その他の巻線とはその必要がないことから、絶縁がより簡素である。
4.2および3の結果、連続的な1本の絶縁ケーブルから各巻線を形成することが実施可能となる。海中での用途では、このことは特に有益であり、それは、すべての巻線接続が単一密閉ユニット内で容易になされ得ることから、固定子の電装品の防水を簡素化するためである。
【0013】
電気機械内では、回転子は、機械が誘導モータまたは発電機として動作するように、環状の導体シートであり得る。このような誘導発電機は、図3図5に示されているタイプのタービン内におけるシャフトレス回転子の動きによって生み出される内転サイクロイド運動に耐える。環状のシートはまた、強磁性部品を含んで、2つの固定子構造間における磁束の通過を助け得る。あるいは、回転子は、永久磁石のアレイを備えて、機械が永久磁石同期モータまたは発電機として動作するようにし得る。
【0014】
2つの巻線は二相電源から給電され得る、あるいは、発電機の場合には、それらは二相負荷に給電し得る。二相電源は、
特殊用途の二相交流発電機、
二相出力を有するパワーエレクロトニクス変換器、例えば、IGBTを用いる2つのHブリッジを用いて構成されて、共通DCリンクに接続され得るものなど、
スコット−T結線変圧器などの三相システムと二相システムとの間で変換するための一連の変圧器が接続されている三相電源、または
単相モータで用いられる位相シフト用インピーダンスを有する単相電源
によって提供され得る。
【0015】
発電機用の二相負荷は、逆の電力潮流で動作する上記構成のうちの1つを使用し得る、あるいは、単純に抵抗負荷バンクを備え得る。
【0016】
大直径の回転機械の場合には、固定子をいくつかの管理可能なセクションに分割することが好ましい。セクションは、機械の周囲に配置される一連の円弧であり得る、あるいは、多数のセクションが用いられる場合、軸方向磁束型機械の場合には、セクションを直線的にし、接線方向に配置すると便利かつよりコスト効率が高くなり得る。セクションが離間している場合、それらの巻線の起電力は、位相が異なる。セクション間の距離が1/3波長の場合、位相差は120度であり、固定子が3の倍数で分割される場合、三相電源が用いられて、1つの固定子のセクションに給電し得る。距離が1/6波長の場合、交互にブロックの巻線を逆にした状態で、三相電源が用いられ得る。いずれの場合も、第2の三相電源が用いられて、その3つの出力が第1の三相電源の出力と位相が直交する状態で、第2の固定子のセクションを給電し得る。第1の固定子のセクションの巻線が、スター結線で接続される場合、要求される第2の三相電源は、第2の固定子の巻線をデルタ結線で同じ三相電源に接続することによって提供され得る。このようにして、標準的な三相電源が使用され得る。デルタ結線で接続された巻線に印加される電圧は、スター結線で接続された巻線に印加される電圧よりも高く、かつ電流は少ないことに留意されたい。したがって、2つの固定子の巻線は、異なる断面積の導体の異なるターン数を比例して指定することによって、異なる電圧および電流で動作するように構成されることが好ましい。
【0017】
ここで、例として、添付の図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1(a)から図1(c)は回転およびリニア電気機械の要素を示す概略図である。
図2】2つの固定子のリニア機械を示す図である。
図3】本発明の実施形態による発電機を含む、中央開放型水力発電タービン用のハウジングを示す立面図である。
図4図3のハウジングを示す斜視図である。
図5図3および図4に示される線V−Vおよび面V−Vを通る断面図である。
図6図3図5のタービン用の固定子における巻線の巻き方を示す図である。
図7図7(a)および図7(b)は図6の固定子のある磁極における巻線の巻き方を示す詳細図である。
図8図6および図7の巻線を収容するための例示的な積層体を示す断面図である。
図9】固定子用の巻線を収容するための代替的な積層体を示す断面図である。
図10】標準的な三相電気システムで動作するように構成される2つの固定子の巻線のための電気的結線を示す図である。
図11図10のシステムで用いるための2台のブリッジによる変換器を示す図である。
図12】本発明の代替的な実施の際に使用するための二相出力を提供する変換器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のための1つの特定の用途は、中央開放型シャフトレス潮流タービンで用いるための軸方向磁束型低速直結式回転発電機である。ここで図3および図4を参照すると、本発明の実施形態による電気モータ/発電機を含む、そのようなタービン30が示されている。タービンは、シュラウド38に収容された、内輪34と外輪36との間に固定される一連のブレード32を備える、ランナを備える。一般的には、タービンハウジングはまた、タービンを重力式のベースなどの海底構造物に固定できるようにするマウントを含むが、この詳細は本件では示されていない。
【0020】
ここで、タービンの一部を断面で示している図5を参照する。外輪36は、前方環状支持体40と、外側円筒状支持体42と、後方環状支持体44とによって画定されるチャネル内を動く。ここで、前方および後方は、矢印Fによって示される、タービンを通る流体の動きに対して既定される。とはいえ、タービンは二方向性であり、そのため、いずれの方向にも流体の流れに応答し得ることが理解されよう。各支持体40、42、44は、それぞれのベアリング40’、42’、44’によってリング36から離間されている。実施形態では、これらの要素のどれも磁性を持たなくてよく、機械的伝達効率の観点から純粋に設計され得る。
【0021】
この実施形態では、モータ/発電機アセンブリは、タービンアセンブリから軸方向に離して配置されている。モータ/発電機アセンブリは同様に、前方環状支持体46と、円筒状外側支持体48と、後方環状支持体50とを備える。前方環状支持体46は、後方環状支持体44に固定され得る、あるいは実際、これらは一体の要素として製造され得る。第1の円形固定子は、より詳細に後述するように、円形積層体53の周囲に巻き付けられた一連のコイル52を備え、積層体53は、前方支持体46に固定される。第2の円形固定子は、同様により詳細に後述するように、円形積層体55の周囲に巻き付けられた一連のコイル54を備え、積層体55は、後方支持体50に固定される。環状回転子56は、2つの固定子52、54の間に配置され、このモータ/発電機の回転子56は、ランナの外輪36に伝達輪60を介して直接連結される。このように、モータ/発電機52、54、56が駆動されて、タービンを始動すると、回転がリング60を介してランナに伝達され、一旦動き出したならば、ランナがリング60を介してモータ/発電機を駆動する。ただし、最適な潮流条件では、タービンを電気的に始動する必要なく、潮流がタービンを始動するために用いられ得ることが理解されよう。しかしながら、タービンを始動させる可能性は、タービンが、このオプションが利用できない場合よりも、低流量条件を含む、広範な条件にわたって動作し得ること意味している。
【0022】
図6は、図5の固定子52、54の構造をより詳細に示している。一部の用途では、固定子は、9mの平均直径を有し得、この場合、48の極数、すなわち、各固定子52、54上の巻線53、55は、単相48極構成である。第2の固定子54は、第1の固定子52と同一であり、これに面していることが理解されるが、48極構成では、第1の固定子から磁極ピッチの半分である3.75°の角度だけ円周方向にずらされる。
【0023】
一実施形態では、各固定子の巻線は、864本のスロット内に巻かれる12本の絶縁ケーブルから形成される。図7aは、1つの磁極60に関するケーブルレイアウトの第1段階60(1)を示しており、ここで、図を簡素化するために、1つの磁極あたりのスロット数は、18本から10本に減らされている。ケーブルの巻き付けは、外側から内側へらせん状に進んで、単層9ターンの平面コイルを形成する。次いで、ケーブルの巻き付けは、図7(a)において点線で示されるように進んで、第2の層60(2)が、外側で終わる図7(b)に示されるパターンで、同じスロットに形成される。第2の層が完成すると、ケーブルの巻き付けは、2つのさらなる層を同じスロットに形成するように進み得る。あるいは、ケーブルの巻き付けは、隣接する磁極に2つの層を形成するように進み得る。本実施例では、12本のケーブルのそれぞれが、計16組の層を形成するために用いられ、これらは、16極のそれぞれに2層、8極のそれぞれに4層、または4極のそれぞれに8層のように構成され得る。各ケーブルの2つの端部が巻線の外側にあり、そのため、ケーブルの端部が耐水性ケーブルグランドを通され得る電気機器の筐体(図示せず)に到達するのに十分な予備の長さを提供するのに便利であることがわかる。この構成は海中での使用に好都合であり、それは、形成するのが高価であり、かつ電気的な故障が起こりやすい脆弱点である、あらゆるケーブル継手または接続部を回避するためである。12本のケーブルは、共通の単相AC電源に接続され得る、あるいは、それらは、絶縁されて、別個の独立した単相電源に接続されて、ケーブル不良または電源の故障の際に、システムが動作を継続できるようにし得る。
【0024】
固定子53、55のそれぞれは、理想的には、電気鋼板の連続的ならせんから形成され得る連続的な積層リングである。しかしながら、必要とされる寸法の連続的なリングは、扱いにくいことがあり、一部の用途では、いくつかの円弧または多角形を形成するように組み立てられる短い直線部材にコアを分割することが好ましい。本実施例では、好適な構成は、12の円弧または直線部材を有し、ケーブル巻線は、それぞれに8層ある4極として形成される。したがって、コアセクションが組み立てられて、慣性した固定子リング(または多角形)を形成する前に、巻線が形成され得る。
【0025】
一実施形態では、スロット80は、図8に示されるように、位置が選択されて、極軸から離れるほどターンが次第に高密度になり、正弦波電流分布によく近似する状態で配置される。図8は、互いに向き合い、磁極ピッチの半分だけずらされている2つの固定子の断面を示している。
【0026】
代替的な構成では、スロットは、均一なスロットのアレイで構成され得るが、各スロットは、異なるターン数を含む。このことは、最初の数層に関し、各磁極の周囲のケーブルの内側のループの一部を省略することによって達成され得る。この場合では、スロット深さは、割り当てられるターン数によって異なり得る、あるいは、スロットは、すべて同じ深さであり得、ターン数の少ないものは不活性充填物を含み得る。図9の図は、8層のケーブルを含み得る、極軸から最遠の深いスロット90を有する積層体を示している。各磁極の巻線の最初の2つの層は、2つのループを有する。極軸に近づくと、より浅いスロットは、次の2つの層が3つのループを有することができるようにし、また最後の4つの層が4つのループを含むことができるようにする。
【0027】
正弦波分布を達成するための図8および図9に示されている手法の組み合わせもまた採用され得る。正弦波への密接な近似を達成することの利点は、電流分布の空間高調波成分に関連する損失の低減である。高調波成分は、基本波の速度とは異なる速度で回転する磁束成分を生じさせ、さらなる損失につながる不要な電流を回転子内に誘導する。
【0028】
図10は、発電機用の例示的な電気システムを示す電気回路図である。一実施形態では、3つの巻線a、bおよびcは、スター結線で電源/グリッド100に接続され、かつ一方の固定子と共に収容され、他方、第2の一連の巻線A、BおよびCは、デルタ結線で電源/グリッドに接続され、かつ他方の固定子と共に収容される。各固定子構造は、機械内の進行磁界が単相交流起電力を120度の電気角だけ位相がずれたセクション内に誘導するように、セクションが構成される状態で、セクションに分割される。このようにして、各巻線a、b、c、A、B、Cは、各固定子のそれぞれのセクションに接続される。デルタ結線で接続される巻線A、B、Cは、スター結線で接続された巻線の約√3倍のターン数を有するべきであり、それは、それらが同じ磁束であるが、√3倍高い電圧で動作するためである。しかしながら、それらは、同じ電力を送達するのに1/√3だけの電流を搬送し、そのため、それらの巻線は、対応してより小さい断面であり得る。
【0029】
電圧源インバータを備える例示的な電力変換回路100が、国際出願第PCT/EP2012/065701号(代理人参照番号:P101404pc00/OHG41−PCT)に説明されている。図11は、特に、2台のブリッジによる変換器を示しており、ここで、第1段階変換器110および第2段階変換器120の両方が、DCリンク140を介して接続される三相電圧源インバータを備える。図10に示されるように、第1段階110の位相ポートは、電源/グリッドに接続され、他方、第2段階120の位相ポートP1、P2、P3は、固定子ブロックに接続される。
【0030】
ここで図12を参照すると、その他の実施形態では、各固定子の単相巻線は、DC電源140を単相AC電源、すなわちA相およびB相に変換するそれぞれのHブリッジを備える電力変換器110、140、125に接続され得、2台のHブリッジ125のDCポートが共通DC電源140に接続され、それらのACポートが位相の異なる電圧A相およびB相を提供するように構成される。
【0031】
回転子56は、環状の導体シートまたは導体プレートであり、図5に示されるように、2つの固定子の間の間隙で回転する。環状部は、いくつかの円弧または台形シートから製作され得る。固定子セクション数に等しいシート数を用いるのは避けて、接合部で生じるあらゆるトルク脈動を相互に打ち消しやすくした方が良い。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7(a)】
図7(b)】
図8
図9
図10
図11
図12