(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6333836
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】ウラン処理工程の留出物からの有価モリブデン成分の分離及び回収
(51)【国際特許分類】
C01G 43/06 20060101AFI20180521BHJP
C01G 39/00 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
C01G43/06 C
C01G39/00 C
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-542761(P2015-542761)
(86)(22)【出願日】2013年11月14日
(65)【公表番号】特表2016-501174(P2016-501174A)
(43)【公表日】2016年1月18日
(86)【国際出願番号】US2013070001
(87)【国際公開番号】WO2014193469
(87)【国際公開日】20141204
【審査請求日】2016年11月4日
(31)【優先権主張番号】61/727,580
(32)【優先日】2012年11月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/079,351
(32)【優先日】2013年11月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】ナレワジェク,デーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ベックマン,ケント
【審査官】
山口 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−271821(JP,A)
【文献】
特開昭60−255624(JP,A)
【文献】
特開2006−046957(JP,A)
【文献】
米国特許第02953431(US,A)
【文献】
米国特許第04393028(US,A)
【文献】
米国特許第03806579(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G25/00−47/00,49/10−99/00
G21C19/00−19/50
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
六フッ化ウランを生産する方法であって、
モリブデン不純物を含む粗六フッ化ウランを処理するために蒸留器中に供給する工程、
大気圧を超える加圧下で前記粗六フッ化ウランを前記蒸留器中で蒸留して、前記粗六フッ化ウランより高純度の六フッ化ウランを第1の軽留出生成物として回収する工程、及び、
前記加圧蒸留からの重質留出生成物を、大気圧未満の減圧下で蒸留して、六フッ化ウランを第2の軽質留出生成物として回収する工程、
を含む方法。
【請求項2】
前記減圧蒸留からの重質留出生成物を水で加水分解して、フッ化水素酸、加水分解されたモリブデン、及びフッ化ウラニルを含む溶液を形成させる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
六フッ化ウラン及びオキシ四フッ化モリブデンを含む組成物からモリブデン及びウランを回収する方法であって、組成物を90kPa未満の圧力下で蒸留して、前記六フッ化ウランの大部分を含有する第1分画及び前記オキシ四フッ化モリブデンの大部分を含有する第2分画を得ることを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる2012年11月16日出願の米国特許仮出願第61/727,580号の利益を主張する。
【0002】
技術分野
本発明は、核グレードの六フッ化ウランの製造中に生ずる工程の重質留出物からモリブデン及びウランの有価成分を回収する方法に関する。より具体的に、本発明は、モリブデン及びウランの有価成分を、互いから及びフッ化物不純物から十分な純度で容易に分離することができるような工程により、生産工程において使用するために販売され、又はリサイクルされる化合物に分離する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
核グレードの六フッ化ウランの製造において、少量のバナジウム、チタン、及びそれより多いモリブデンを含有する粗UF
6は気化されて、処理するために蒸留器中に供給される。低沸点不純物、即ちHF、VOF
3及びMoF
6は、UF
6の蒸留が始まる前に容易に除去されるが、オキシ四フッ化モリブデンMoOF
4として存在するモリブデン汚染が残る。バッチからバッチへと続ける粗六フッ化ウランの精製は、結果として、モリブデン不純物の高沸点成分の蒸留器底における蓄積を生ずる。ある点で、モリブデン不純物とUF
6との共蒸留が起こり、MoOF
4を含有するUF
6組成物は、制御規格に不合格になる。このモリブデンを含有するUF
6組成物は、次に、廃棄されるか、又は適当な回収技法が開発されるまで貯蔵されなければならない。有価ウラン成分及び/又は有価モリブデン成分の捕捉は、UF
6製造工程の経済性を向上させる。
【0004】
有価ウラン成分を酸浸出液から回収する従来の分離方法は知られている。一般的に、これらの工程は、イオン交換技法又は溶媒抽出技法のいずれかを利用する。しかしながら、これらの方法は、モリブデンを含有するUF
6組成物を扱うためにそのような方法を使用する場合の常として、高濃度のモリブデン及びフッ化物イオンの存在下で実施することは困難である。
【0005】
先行技術は、ウランからモリブデンを除去する必要性を認識していた。しかしながら、先行技術の方法は、モリブデン回収の問題を目指していなかった。そのような方法として、Foxらの米国特許第3,790,658号、Ruizらの米国特許第4,092,399号又はKuehlらの米国特許第4,304,757号におけるイオン交換の努力が挙げられる。有価金属成分の再生利用のためにモリブデンを含有するUF
6組成物を処理するこれらの方法の限界が表明されている。例えば、モリブデンが、樹脂に吸着されるアニオン性錯体を形成することにおいてウランと同様に反応することは周知である。有価モリブデン成分は樹脂上で増加し続けるので、その結果合計ウラン容量が減少する。実際には、鉱石浸出物をブレンドしてモリブデンのレベルを1リットル当たり0.01から0.02グラムの範囲内に保つことによりモリブデン濃度を制御するための努力が為されている。しかしながら、本発明が指向するモリブデンを含有するUF
6組成物の処理においては、90重量%まで又はそれ以上の濃度のモリブデンが存在し得る。明らかに、これらの方法による分離を達成するための希釈は経済的でない。
【0006】
この系のためには、工程の重質分の加水分解中に生ずるフッ化物イオンの高濃度がはるかに大きい関心事である。高濃度のフッ化物イオン(≧1000ppm)が存在する場合に、ウラン及びモリブデンの早すぎる破過が起こることが見出された。これは必然的に、再処理される金属にとって受け入れられない高い相互汚染因子並びに許容限度を超えるフッ化物イオンを含有する最終生成物をもたらす。これに代わる工程が必要とされる。
【0007】
米国特許第4,011,296号に記載されたような従来の溶媒抽出技法を使用する試みの結果は、限られた実用性である。工程廃棄物中の高濃度のモリブデンは、抽出用溶剤のアミン中に蓄積して、イオン交換樹脂で観察されたのと同様な様式で「毒」として作用する。これは、通常、モリブデンの濃度が有機相1リットル当たり0.03gを超えると起こる。最終的に、ヘテロポリモリブデン酸アミン錯体の沈殿が起こる点で最大許容レベルに達する。沈殿は、有機相−水性相界面でゴム状物質として生成し、それは操作の重大な妨げになる。問題を一層大きくするのは、モリブデンを含有するUF
6組成物がそのような工程により処理される場合に存在する高いフッ化物イオン濃度である。フッ化ウラニルの形成が可能であり、したがってこれらの錯体はストリッピング中有機相に保持される。その結果は、回収された金属における受け入れがたい相互汚染レベルである。高いフッ化物イオン濃度も、速やかな相分離を妨げることにより問題を大きくする。
【0008】
Crossleyにより米国特許第4,393,028号に開示された沈殿技法を使用する試みが為された。しかしながら、該技法は、モリブデンを含有するUF
6組成物における使用には不適合であることがわかった。有価ウラン成分のリサイクルにとって有害な望ましくないカチオンが導入されて、全ての生成物が、生成物のリサイクル又は再販を妨げる程度にフッ化物を含有する化合物と相互汚染される。
【0009】
これらの有価金属成分を回収するためのさらなる先行する特許化された工程(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,584,184号を参照されたい)では、大量の有機アルコールの使用が必要とされ、それは、変化する環境規制のため最早望ましい工程ではない。それ故、如何なる有機物質の使用も避けてモリブデンを含有するUF
6組成物からモリブデン及び有価ウラン成分を回収する方法が最も望ましいことは明らかである。
【発明の概要】
【0010】
減圧下の蒸留による高沸点成分の蒸留器底からの有価ウラン成分回収を含む、UF
6製造工程を提供することが、本発明の第1の目的である。好ましくはこの工程は、フッ素化された有機廃棄物の形成を防止するように、有機物(炭素)を含有する物質を存在させずに実施される。
【0011】
有害でない非核廃棄物として販売又は廃棄することができる純度で、UF
6製造工程から有価モリブデン成分を回収することが、本発明の第2の目的である。好ましくは、モリブデン及び有価モリブデン成分は、モリブデン塩、及びさらにより好ましくは、多くの商業的用途を有するモリブデン酸カルシウムとして、再生利用される。
【0012】
同様に、UF
6及びMoOF
4を含む、本質的にそれらからなる、又はそれらからなる組成物からウラン及び/又は有価モリブデン成分を回収することが、本発明の第3の目的である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、核グレードの六フッ化ウランの生産中に生ずる工程蒸留器の高沸点成分から、モリブデン及び有価ウラン成分を分離して回収する方法を提供する。本発明の重要な態様は、モリブデン及び有価ウラン成分の両方が、リサイクルされるか又は販売されるために十分な純度で回収され得るという事実に存する。低レベル核廃棄物の埋め立て処分用地における貯蔵又は処分の費用が省かれる。
【0014】
先に論じたように、核グレードの六フッ化ウランを製造するための一つの方法においては、少量のバナジウム、チタン、及びそれより多いモリブデンを含有する粗UF
6が、気化されて処理のために蒸留器中に供給される。この蒸留は、加圧して、即ち、UF
6が液体形態で存在し得るように大気圧より有意に高い圧力で実施される。
【0015】
本発明の1態様により、加圧蒸留工程中にモリブデン不純物とUF
6との共蒸留が起こった後、UF
6及びMoOF
4を含む工程蒸留器の高沸点成分は、次に減圧で、即ち90kPaで蒸留される。好ましくは、蒸留は約50kPa未満の圧力で実施され、最も好ましくは、蒸留は、約20kPaと約35kPaの間、例えば、約28kPa(即ち約210mmHg)の圧力で実施される。蒸留は、そのような蒸留に適した温度、例えば、210mmHgにおける蒸留のためには60℃で実施される)。高沸点蒸留器中に含まれるUF
6の大部分はこの工程中に除去される。
【0016】
次に、蒸留器中に残存する生じた固体は、次に水を使用して加水分解し、残存材料も可溶化する。その時、この溶液はフッ化水素酸を含有し、加水分解されたモリブデン、及びフッ化ウラニルUO
2F
2のような残存ウランを含有する。
【0017】
本発明の1つの目的は、ウランを実質的に含まず最少量のフッ化物を含有する有価モリブデン成分の単離をもたらす工程を提供することであるから、加水分解された溶液を水酸化ナトリウムと反応させて、残存ウランを、不溶性塩の二ウラン酸ナトリウムNa
2U
2O
7として、及びフッ化物の大部分、好ましくは少なくとも95%を、フッ化ナトリウムNaFとして沈殿させる。モリブデンは、可溶性塩のモリブデン酸ナトリウムNa
2MoO
4として溶液中に残存する。
【0018】
モリブデンは、可溶性のモリブデン酸ナトリウムを不溶性カルシウム塩のモリブデン酸カルシウムCaMoO
4に変換する塩化カルシウム溶液を用いて、ウラン及びフッ化物除去ステップからの溶液を処理することにより回収することができる。この塩は、濾過及び乾燥により単離されて、土壌添加剤から、エナメル結合剤、保護及び装飾用金属コーティング、鉄及び鋼合金、潤滑剤、石油精製触媒、リンモリブデン酸及びリンタングステン酸トナー、顔料、腐蝕防止剤、防煙剤、及びエレクトロニクス、電気的、及び耐火性金属産業用の金属モリブデン製造までの範囲にわたる多くの用途における使用に適する。好ましくは、単離された塩は、約300ppm未満のウランを含有し、そのような塩は、有害でなく及び/又は非核廃棄物として安全に廃棄され得る。さらにより好ましくは、単離された塩は、10ppm未満、又はさらに1ppm未満のウランを含有し、その結果、それは多数の商業的用途に容易に販売及び使用することができる。
【0019】
所望であれば、二ウラン酸ナトリウム塩/フッ化ナトリウム混合物中に含有される有価ウラン成分は、当業者に知られた標準的な化学処理を使用することにより回収してリサイクルすることができる。
【0020】
本発明の第1の好ましい実施形態において、六フッ化ウランUF
6及びオキシ四フッ化モリブデンMoOF
4からなる工程蒸留器の高沸点成分は、60℃及び210mmHgで蒸留されて、高沸点混合物中に含まれる六フッ化ウランの大部分を除去される。蒸留後に残存する残渣は水を使用して加水分解される。水の量はあまり重要ではないが、固体を溶解するために十分であるべきである。典型的には、固体の水に対する1:1の質量比が適当である。生ずる高度に酸性の溶液を、水酸化ナトリウムの20wt%溶液で、pHが7.5以上になるまで処理する。水酸化ナトリウムの濃度はあまり重要ではない。5%から50%の範囲の溶液を使用することができる。希薄な濃度ではより大きい反応容器が必要になり、フッ化ナトリウムは水に微溶解性なので、最終のモリブデン生成物を汚染する量のフッ化ナトリウムを加えることになり得て、一方、濃縮すると、中和ステップ中に発生する熱を相殺するために追加の冷却の使用が必要になり得る。水酸化ナトリウムの添加により、残存ウランを不溶性塩の二ウラン酸ナトリウムNa
2U
2O
7として沈殿する。含有されるフッ化物イオンの少なくとも95%も、部分的に可溶性の塩であるフッ化ナトリウムNaFとして、このステップ中に沈殿する。これらの塩は、有価モリブデン成分を含有する溶液から標準的濾過技法により除去される。これらの固体は、そのまま使用するか、又は乾燥された後、当業者に知られた典型的なウラン回収工程にリサイクルすることができる。
【0021】
やはり第1の好ましい実施形態により、有価モリブデン成分を含有する上の濾過からの濾液を、塩化カルシウムの20wt%溶液と反応させる。例えば、臭化カルシウム、硝酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム等の他のカルシウム塩も、このステップで使用することができるが、塩化カルシウムが、経済的理由及び有利な反応速度のために好ましい。塩化カルシウム溶液の濃度は、それほど重要ではないが、5%から70%という高い範囲までであってよい。より低い濃度では、廃棄しなければならない追加の水性廃棄物が生じ、より高い濃度では、攪拌困難な濃いスラリーが生じ、したがって所望のカルシウム塩であるモリブデン酸カルシウムCaMoO
4の最終の純度に影響することがある。添加反応は周囲条件、例えば、約25℃で実施され、これが工程にとって最も経済的な条件である。1時間攪拌後、反応は完結して沈殿したモリブデン酸カルシウムは、当業者に知られた標準的濾過技法により単離することができる。生成物は、100℃で加熱することにより都合良く乾燥される。この生成物は、フッ化カルシウムCaF
2として少量のフッ化物を含有する。モリブデン酸カルシウムは、上記の用途で使用するのに適する。
【0022】
本発明を、以下の実施例によってさらに例示する。しかしながら、実施例は本発明のある好ましい操作条件を詳細に記載することもあるが、該実施例は、主として本発明のその広い態様における例示の目的で提供され、本発明がそれらに限定されないことは理解されるであろう。例えば、実施例でバッチの六フッ化ウラン処理工程が詳細に説明されるが、本発明の処理は、連続した処理でも同様に、例えば、加圧蒸留から重質留出物の一部分を周期的に及び/又は連続的に取り出して、次にその部分を減圧蒸留にかけることにより実施することができる。
【0023】
実施例1
この実施例は、高沸点複合試料から六フッ化ウランを除去する工程の詳細である。
1289.4gの高沸点成分を入れたニッケル円筒を蒸留にかけた。該円筒を60℃に加熱して、蒸留中、真空を200〜220mmHgの間に保った。3時間蒸留した後、円筒の重量に観察可能な変化なかった。蒸留を停止して生成物円筒を秤量した。合計213.3gの留出物が得られ、それは純粋なUF
6からなった。この留出分画の分析により留出物のモリブデン汚染は起こらなかったことが示された。有価モリブデン成分は≦1ppmであった。高沸点複合物は16.55%の回収可能なUF
6を含有した。
【0024】
実施例2
この実施例は、実施例1で記載した蒸留後に残存したUF
6を記録するために提示した。
【0025】
実施例1から得られた25gの液体の試料を、残存ウランについて分析した。ウラン含有率は2340ppmに等しいことが決定された。
実施例3
この実施例は、実施例1に記載した蒸留を実施した後に生じて加水分解された留出物から残存ウラン及びフッ化物を除去する工程を例示する。
【0026】
実施例1に記載した蒸留後に残存する材料の93.1gの試料(これは、多量のモリブデンをMoOF
4として含有する)に、100gの蒸留水を加えることにより加水分解した。この生成した微黄色溶液に、水酸化ナトリウムの20wt%溶液を、最終の溶液pHが10.0になるまで添加した。このために600mlのNaOH溶液の添加が必要であった。生じたスラリーを1時間攪拌してから濾過した。生じた黄色固体を100℃で乾燥すると、二ウラン酸ナトリウムとして残存するウランで汚染された86.15gのNaFが生じた。
【0027】
実施例4
この実施例は、有価モリブデン成分を、モリブデン酸カルシウムCaMoO
4として製造し単離する工程を例示する。
【0028】
実施例3からの無色の濾液に、325mlの20wt%CaCl
2溶液を加えた。白色沈殿が直ちに形成された。該スラリーを1時間25℃で攪拌し、続いて濾過して洗浄した。生じたモリブデン酸カルシウムを分析すると、フッ化カルシウムとして2.6%のフッ化物及び≦2ppmの有価ウラン成分を含有していた。
【0029】
実施例5
この実施例は、40wt%のNaOHの使用を例示し、実施例3及び4に記載した手順に従って、この工程により最終生成物であるCaMoO
4を得る。
【0030】
最終生成物CaMoO
4について得られた分析は、U≦1ppmであり、フッ化物はフッ化カルシウムとして1.9%であった。
実施例6
この実施例は、50wt%のNaOHの使用を例示し、実施例3及び4に記載した手順に従って最終生成物CaMoOF
4を単離する。ウラン濃度を定量してU≦1.6ppmであることを見出した。
[1]六フッ化ウランを生産する方法であって、
モリブデン不純物を含む粗六フッ化ウランを処理するために蒸留器中に供給する工程、
大気圧を超える加圧下で前記粗六フッ化ウランを前記蒸留器中で蒸留して、実質的に純粋な六フッ化ウランを第1の軽留出生成物として回収する工程、及び、
前記加圧蒸留からの重質留出生成物を、大気圧未満の減圧下で蒸留して、実質的に純粋な六フッ化ウランを第2の軽質留出生成物として回収する工程、
を含む方法。
[2]前記減圧蒸留からの重質留出生成物を水で加水分解して、フッ化水素酸、加水分解されたモリブデン、及びフッ化ウラニルを含む溶液を形成させる工程をさらに含む、[1]に記載の方法。
[3]前記溶液を水酸化ナトリウムと反応させて、ウランを二ウラン酸ナトリウムとして及びフッ化物をフッ化ナトリウムとして沈殿させる工程をさらに含む、[2]に記載の方法。
[4]水酸化ナトリウム処理工程からの溶液をカルシウム塩と反応させて、モリブデンをモリブデン酸カルシウムとして沈殿させる工程をさらに含む、[3]に記載の方法。
[5]カルシウム塩が塩化カルシウムである、[4]に記載の方法。
[6]モリブデン酸カルシウムを濾過及び乾燥により単離する工程をさらに含む、[4]に記載の方法。
[7]単離されたモリブデン酸カルシウムが、約300ppm未満のウランを含む、[6]に記載の方法。
[8]単離されたモリブデン酸カルシウムが約1ppm未満のウランを含む、[7]に記載の方法。
[9]六フッ化ウラン及びオキシ四フッ化モリブデンを含む組成物からモリブデン及びウランを回収する方法であって、組成物を約90kPa未満の圧力下で蒸留して、前記六フッ化ウランの大部分を含有する第1分画及び前記オキシ四フッ化モリブデンの大部分を含有する第2分画を得ることを含む方法。
[10]第1の分画は本質的に六フッ化ウランからなり、第2の分画は本質的にオキシ四フッ化モリブデンからなる、[9]に記載の方法。