(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記合成光学系は、上記部分ビーム束の各断面において、上記部分ビーム束を構成する各部分ビームのビーム断面の少なくとも一部と上記部分ビーム束を構成する他の部分ビームのビーム断面の少なくとも一部とが互いに重なり合うように、上記部分ビーム群を偏波合成又は波長合成する、
ことを特徴とする請求項2に記載の導光装置。
【発明を実施するための形態】
【0032】
〔用語の定義〕
本明細書において、あるビームの「ビーム断面」とは、そのビームの進行方向に直交する平面においてそのビームの等パワー曲線に囲まれた領域であって、そのビームの総パワーの95%を含む領域のことを指す。また、あるビームの「S軸径」とは、そのビームの進行方向に直交する面に含まれる、そのビームのS軸に平行な辺を有する長方形のうち、そのビームのビーム断面に外接する長方形において、そのビームのS軸に平行な辺の長さのことを指す。一方、あるビームの「F軸径」とは、上記長方形において、そのビームのF軸に平行な辺の長さのことを指す。例えば、ビーム断面がS軸を長軸とする楕円である場合、その楕円の長軸の長さがS軸径となり、その楕円の短軸の長さがF軸径となる。また、「ビーム束」とは、S軸が特定の空間軸に平行な複数のビームの集合のことを指す。ビーム束を構成する各ビームの進行方向は、全て上記特定の空間軸に直交する特定の方向に一致してもよいし、上記特定の空間軸に直交する面内で特定の方向を中心に分布していてもよい。いずれの場合であっても、上記特定の方向を「ビーム束」の進行方向と見做すことができる。あるビーム束の「S軸径」とは、そのビーム束の進行方向に直交する面に含まれる、上記特定の空間軸に平行な辺を有する長方形のうち、そのビーム束を構成する各ビームのビーム断面の和集合に外接する長方形において、上記特定の空間軸に平行な辺の長さのことを指す。
【0033】
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態に係るLDモジュール1について、
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、LDモジュール1の構成を示す平面図である。
図2は、LDモジュール1の各部におけるレーザビーム、部分ビーム、又は部分ビーム束のビーム断面を示す断面図である。
【0034】
LDモジュール1は、
図1に示すように、レーザダイオードLD、コリメートレンズCL1、分割光学系11(分割ミラーDM)、合成光学系12(第1反射ミラーRM1、第2反射ミラーRM2、偏波回転素子PRE、偏波ビームコンバイナPBC)、集光レンズCL2、及び光ファイバOFを備えている。LDモジュール1において、コリメートレンズCL1、分割光学系11、合成光学系12、及び集光レンズCL2は、レーザダイオードLDから出力されたレーザ光を光ファイバOFに導く導光装置を構成している。
【0035】
レーザダイオードLDは、レーザビームを出力する。レーザダイオードLDは、図示した座標系において、活性層がzx面と平行になるように、かつ、出射端面がz軸正方向を向くように配置されている。このため、レーザダイオードLDから出力されたレーザビームは、S軸(Slow軸)がx軸と平行になり、F軸(Fast軸)がy軸と平行になり、偏波方向がx軸に平行になる。レーザダイオードLDから出力されたレーザビームの進行方向は、z軸正方向である。
【0036】
レーザダイオードLDにて生成されたレーザビームの光路上には、コリメートレンズCL1が配置されている。コリメートレンズCL1は、レーザダイオードLDから出力されたレーザビームをコリメートする。すなわち、コリメートレンズCL1を透過する前のレーザビームは、S軸径及びF軸径が次第に大きくなる拡散光であるのに対して、コリメートレンズCL1を透過した後のレーザビームは、S軸径及びF軸径が一定の平行光となる。
【0037】
コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのビーム断面(AA’断面)を
図2の(a)に示す。コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームは、
図2の(a)に示すように、S軸がx軸と平行になり、F軸がy軸と平行になり、偏波方向がx軸に平行になる。なお、
図2に示す各ビーム断面(黒塗りの長方形)は、実際のビーム断面の形状を近似的に表現したものあり、実際のビーム断面の形状を正確に表現したものではない。また、
図2に示す各ビーム断面上に描かれた白線は、そのビームの偏波方向を表す。
図4、6、8、10、12についても同様である。
【0038】
コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームの光路上には、分割ミラーDMが配置されている。分割ミラーDMは、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームを分割することによって、進行方向の異なる第1部分ビーム及び第2部分ビームからなる部分ビーム群を生成する。本実施形態において用いられる分割ミラーDMは、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのx軸正方向側半分をx軸正方向に反射する反射面を有しており、このレーザビームのx軸負方向側半分を遮らないように配置されている。このため、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのx軸負方向側半分は、分割ミラーDMの反射面にて反射されることなく、第1部分ビームとしてz軸正方向に進行する。第1部分ビームのS軸径は、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのS軸径の約1/2になり、第1部分ビームのF軸径は、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのF軸径に一致する。一方、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのx軸正方向側半分は、分割ミラーDMの反射面にて反射され、第2部分ビームとしてx軸正方向に進行する。第2部分ビームのS軸径は、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのS軸径の約1/2になり、第2部分ビームのF軸径は、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのF軸径に一致する。
【0039】
分割ミラーDMにて生成された第1部分ビームのビーム断面(BB’断面)を
図2の(b)に示し、分割ミラーDMにて生成された第2部分ビームのビーム断面(DD’断面)を
図2の(d)に示す。分割ミラーDMにて生成された第1部分ビームのビーム断面は、
図2の(b)に示すように、S軸がx軸と平行になり、F軸がy軸と平行になる。一方、分割ミラーDMにて生成された第2部分ビームのビーム断面は、
図2の(d)に示すように、S軸がz軸と平行になり、F軸がy軸と平行になる。分割ミラーDMにて生成された第1部分ビーム及び第2部分ビームのS軸径は、それぞれ、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのS軸径の約1/2になる。一方、分割ミラーDMにて生成された第1部分ビーム及び第2部分ビームのF軸径は、それぞれ、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのF軸径に一致する。
【0040】
分割ミラーDMにて生成された第1部分ビームの光路上には、第1反射ミラーRM1が配置されている。第1反射ミラーRM1は、分割ミラーDMにて生成された第1部分ビームを反射することによって、その進行方向をz軸正方向からx軸正方向に変換する。
【0041】
第1反射ミラーRM1にて反射された第1部分ビームのビーム断面(CC’断面)を
図2の(c)に示す。第1反射ミラーRM1にて反射された第1部分ビームのビーム断面は、
図2の(c)に示すように、S軸がz軸と平行になり、F軸がy軸と平行になり、偏波方向がz軸と平行になる。
【0042】
分割ミラーDMにて生成された第2部分ビームの光路上には、第2反射ミラーRM2が配置されている。第2反射ミラーRM2は、分割ミラーDMにて生成された第2部分ビームを反射することによって、その進行方向をx軸正方向からz軸正方向に変換する。
【0043】
第2反射ミラーRM2にて反射された第2部分ビームのビーム断面(EE’断面)を
図2の(e)に示す。第2反射ミラーRM2にて反射された第2部分ビームのビーム断面は、
図2の(e)に示すように、S軸がx軸と平行になり、F軸がy軸と平行になり、偏波方向がx軸と平行になる。
【0044】
第2反射ミラーRM2にて反射された第2部分ビームの光路上には、偏波回転素子PREが配置されている。偏波回転素子PREは、第2反射ミラーRM2にて反射された第2部分ビームの偏波方向を90度回転させる。偏波回転素子PREを透過する前の第2部分ビームは、偏波方向がx軸と平行であるのに対して、偏波回転素子PREを透過した後の第2部分ビームは、偏波方向がy軸と平行になる。
【0045】
偏波回転素子PREにて偏波回転された第2部分ビームのビーム断面(FF’断面)を
図2の(f)に示す。偏波回転素子PREにて偏波回転された第2部分ビームのビーム断面は、
図2の(f)に示すように、S軸がx軸と平行になり、F軸がy軸と平行になり、偏波方向がy軸と平行になる。偏波回転素子PREを透過する前後で、第2部分ビームの偏波方向がx軸と平行な状態からy軸と平行な状態へと回転している点に留意されたい。
【0046】
第1反射ミラーRM1にて反射された第1部分ビームの光路と、偏波回転素子PREを透過した第2部分ビームの光路との交差点には、偏波ビームコンバイナPBCが配置されている。偏波ビームコンバイナPBCは、第1反射ミラーRM1にて反射された第1部分ビームの進行方向と偏波回転素子PREを透過した第2部分ビームとを偏波合成することによって、進行方向及びS軸方向の等しい第1部分ビーム及び第2部分ビームからなる部分ビーム束を生成する。本実施形態において用いられる偏波ビームコンバイナPBCは、第1反射ミラーRM1にて反射された、偏波方向がzx面と平行な第1部分ビーム(S軸がz軸に平行であり、かつ、x軸正方向に進行する)を透過すると共に、偏波回転素子PREを透過した、偏波方向がzx面と垂直な第2部分ビーム(S軸がy軸に平行であり、かつ、z軸正方向に進行する)をx軸正方向に反射する機能面を有している。このため、偏波ビームコンバイナPBCにて生成される部分ビーム束は、S軸がz軸に平行であり、かつ、x軸正方向に進行する第1部分ビーム及び第2部分ビームにより構成される。
【0047】
本実施形態において用いられる第1反射ミラーRM1及び第2反射ミラーRM2は、第1反射ミラーRM1にて反射された第1部分ビームと、第2反射ミラーRM2にて反射された第2部分ビームとが、偏波ビームコンバイナPBCの機能面の共通の領域に入射するように配置されている。このため、偏波ビームコンバイナPBCにて生成された部分ビーム束において、第1部分ビームのビーム断面全体と第2部分ビームのビーム断面全体とが互いに過不足なく重なり合う。したがって、部分ビーム束のS軸径は、第1部分ビーム及び第2部分ビームのS軸径に一致し、レーザビームのS軸径の約1/2になる。また、部分ビーム束のF軸径は、第1部分ビーム及び第2部分ビームのF軸径に一致し、レーザビームのF軸径に一致する。
【0048】
偏波ビームコンバイナPBCにて生成された部分ビーム束のビーム断面(GG’断面)を
図2の(g)に示す。偏波ビームコンバイナPBCにて生成された部分ビーム束を構成する各部分ビームのビーム断面は、
図2の(g)に示すように、S軸がz軸と平行になり、F軸がy軸と平行になる。上述したように、偏波ビームコンバイナPBCにて生成された部分ビーム束のS軸径は、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのS軸径の約1/2になる。また、偏波ビームコンバイナPBCにて生成された部分ビーム束のF軸径は、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのF軸径に一致する。
【0049】
偏波ビームコンバイナPBCにて生成された部分ビーム束の光路上には、集光レンズCL2が配置されている。集光レンズCL2は、偏波ビームコンバイナPBCにて生成された部分ビーム束を集光する。すなわち、集光レンズCL2を透過する前の部分ビーム束は、S軸径及びF軸径が一定の平行光であるのに対して、集光レンズCL2を透過した後の部分ビーム束は、S軸径及びF軸径が次第に小さくなる収束光となる。
【0050】
集光レンズCL2にて集光された部分ビーム束の光路上には、光ファイバOFの入射端面が配置されている。光ファイバOFの入射端面は、部分ビーム束のS軸径が最小となる点において、光ファイバOFのコアの中心と部分ビーム束のビーム断面の中心とが一致するように位置決めされている。これにより、部分ビーム束のビーム断面は、光ファイバOFの入射端面において、光ファイバOFのコアに包摂される。
【0051】
以上のように、LDモジュール1は、(1)コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームを分割することによって、z軸正方向に進行する第1部分ビーム及びx軸正方向に進行する第2部分ビームからなる部分ビーム群を生成する分割光学系(分割ミラーDM)と、(2)上記部分ビーム群を合成することによって、x軸正方向に進行する第1部分ビーム及び第2部分ビームからなる部分ビーム束を生成する合成光学系(第1反射ミラーRM1、第2反射ミラーRM2、偏波回転素子PRE、偏波ビームコンバイナPBC)と、を含む導光装置を備えている。
【0052】
上記分割光学系は、上記レーザビームのビーム断面を該レーザビームのF軸と平行な分割線で2等分する。このため、第1部分ビーム及び第2部分ビームのS軸径は、それぞれ、上記レーザビームのS軸径の1/2となり、第1部分ビーム及び第2部分ビームのF軸径は、それぞれ、上記レーザビームのF軸径と一致する。一方、上記合成光学系は、上記部分ビーム束の各断面(GG’断面)において、(1)上記部分ビーム束を構成する第1部分ビーム及び第2部分ビームのS軸が第1空間軸(z軸)と平行になり、(2)上記部分ビーム束を構成する第1部分ビームのビーム断面全体と上記部分ビーム束を構成する第2部分ビームのビーム断面全体とが互いに過不足なく重なり合うように、上記部分ビーム群を偏波合成する。このため、上記部分ビーム束のS軸径は、上記レーザビームのS軸径の1/2になり、上記部分ビーム束のF軸径は、上記レーザビームのF軸径と一致する。
【0053】
このような導光装置を用いることによって、レーザダイオードLDから出力されたレーザビームを、S軸径がこのレーザビームのS軸径よりも小さい部分ビーム束に変換することができる。このため、レーザダイオードLDと光ファイバOFとの結合効率を低下させることなく、レーザダイオードLDのエミッタ幅を広げることができる。これにより、LDモジュール1の結合効率を低下させることなく、LDモジュール1の信頼性を向上させることができる。
【0054】
特に、本実施形態に係るLDモジュール1が備える導光装置は、レーザダイオードLDから出力されたレーザビームを、S軸径がこのレーザビームのS軸径の1/2となる部分ビーム束に変換することができる。このため、レーザダイオードLDと光ファイバOFとの結合効率を低下させることなく、レーザダイオードLDのエミッタ幅を2倍に広げることがでる。これにより、LDモジュール1の結合効率を低下させることなく、LDモジュール1の信頼性を飛躍的に向上させることができる。
【0055】
なお、本実施形態においては、上記部分ビーム群を偏波合成する構成を採用しているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、例えば、上記部分ビーム群を波長合成する構成を採用してもよい。なお、上記部分ビーム群を偏波合成するとは、この部分ビーム群を構成する部分ビームの偏波方向を偏波回転素子により異ならせた後、これらの部分ビームをビーム断面が重なり合うように合成することを指す。一方、部分ビーム群を波長合成するとは、この部分ビーム群を構成する部分ビームの波長を波長変換素子により異ならせた後、これらの部分ビームをビーム断面が重なり合うように合成することを指す。
【0056】
また、本実施形態においては、上記レーザビームのビーム断面を該レーザビームのF軸と平行な分割線で等分割し、第1部分ビームのS軸径と第2部分ビームのS軸径とを一致させる構成を採用しているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、上記レーザビームのビーム断面を該レーザビームのF軸と平行な分割線で不等分割し、第1部分ビームのS軸径と第2部分ビームのS軸径とを異ならせる構成を採用してもよい。この場合、上記部分ビーム束のS軸径は、第1部分ビームのS軸径と第2部分ビームのS軸径とのうち、大きい方のS軸径に一致する。したがって、上記部分ビーム束のS軸径は、上記レーザビームのS軸径の1/2よりは大きくなるが、上記レーザビームのS軸径よりは小さくなる。
【0057】
また、本実施形態においては、上記部分ビーム束を構成する第1部分ビームのビーム断面全体と上記部分ビーム束を構成する第2部分ビームのビーム断面全体とが互いに過不足なく重なり合うという条件を満たすように上記部分ビーム群を合成する構成を採用しているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、この条件は、(1)上記部分ビーム束を構成する第1部分ビームのビーム断面の第1空間軸(z軸)への射影全体と上記部分ビーム束を構成する第2部分ビームのビーム断面の第1空間軸への射影全体とが互いに重なり合うという第1の条件と、(2)上記部分ビーム束を構成する第1部分ビームのビーム断面の第1空間軸に直交する第2空間軸(y軸)への射影全体と上記部分ビーム束を構成する第2部分ビームのビーム断面の第2空間軸への射影全体とが互いに重なり合うという第2の条件とに分解することができる。そして、上記レーザビームのビーム断面が十分に扁平である場合、第1の条件さえ満たしていれば、本実施形態と同様、上記部分ビームのS軸径を上記レーザビームのS軸径の1/2とすることができる。なお、第1の条件は、上記部分ビーム束を構成する第1部分ビームのビーム断面の第1空間軸への射影の一部と上記部分ビーム束を構成する第2部分ビームのビーム断面の第1空間軸への射影の一部とが互いに重なり合うという条件に置き換えることもできる。この場合、上記部分ビーム束のS軸径は、上記レーザビームのS軸径の1/2よりは大きくなるが、上記レーザビームのS軸径よりは小さくなる。
【0058】
また、本実施形態においては、上記部分ビーム群及び上記部分ビーム束を構成する部分ビームの個数を2としているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、上記部分ビーム群及び上記部分ビーム束を構成する部分ビームの個数は、2以上の自然数nに一般化可能である。この場合、上記部分ビーム束のS軸径は、上記レーザビームのS軸径の1/nとなる。
【0059】
また、本実施形態においては、分割ミラーDMから光ファイバOFの入射端面に至る2つの部分ビームの光路長を互いに等しくする構成が採用されている。これにより、レーザダイオードLDから出力されるレーザビームがシングルモードの場合であっても、2つの部分ビームが弱め合うように干渉するという事態を回避することができる。なお、レーザダイオードLDから出力されるレーザビームがマルチモードの場合には、2つの部分ビームが弱め合うように干渉するという事態が起こり得ないので、分割ミラーDMから光ファイバOFの入射端面に至る2つの部分ビームの光路長を互いに等しくする構成を採用する必要はない。
【0060】
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態に係るLDモジュール2について、
図3及び
図4を参照して説明する。
図3は、LDモジュール2の構成を示す平面図である。
図4は、LDモジュール2の各部におけるレーザビーム、部分ビーム、又は部分ビーム束のビーム断面を示す断面図である。
【0061】
LDモジュール2は、
図3に示すように、レーザダイオードLD、コリメートレンズCL1、分割ミラーDM、第1反射ミラーRM1、第2反射ミラーRM2、第3反射ミラーRM3、偏波回転素子PRE、偏波ビームコンバイナPBC、集光レンズCL2、及び光ファイバOFを備えている。LDモジュール2において、コリメートレンズCL1、分割ミラーDM、第1反射ミラーRM1、第2反射ミラーRM2、第3反射ミラーRM3、偏波回転素子PRE、偏波ビームコンバイナPBC、及び集光レンズCL2は、レーザダイオードLDから出力されたレーザ光を光ファイバOFに導く導光装置を構成している。
【0062】
レーザダイオードLDは、レーザビームを出力する。レーザダイオードLDは、図示した座標系において、活性層がzx面と平行になるように、かつ、出射端面がz軸正方向を向くように配置されている。このため、レーザダイオードLDから出力されたレーザビームは、S軸がx軸と平行になり、F軸がy軸と平行になり、偏波方向がx軸に平行になる。レーザダイオードLDから出力されたレーザビームの進行方向は、z軸正方向である。
【0063】
レーザダイオードLDにて生成されたレーザビームの光路上には、コリメートレンズCL1が配置されている。コリメートレンズCL1は、レーザダイオードLDから出力されたレーザビームをコリメートする。すなわち、コリメートレンズCL1を透過する前のレーザビームは、S軸径及びF軸径が次第に大きくなる拡散光であるのに対して、コリメートレンズCL1を透過した後のレーザビームは、S軸径及びF軸径が一定の平行光となる。
【0064】
コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのビーム断面(AA’断面)を
図4の(a)に示す。コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームは、
図4の(a)に示すように、S軸がx軸と平行になり、F軸がy軸と平行になる。
【0065】
コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームの光路上には、分割ミラーDMが配置されている。分割ミラーDMは、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームを分割することによって、進行方向の異なる第1部分ビーム及び第2部分ビームからなる部分ビーム群を生成する。本実施形態において用いられる分割ミラーDMは、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのx軸負方向側半分をx軸負方向に反射する第1反射面と、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのx軸正方向側半分をx軸正方向に反射する第2反射面とを有している。このため、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのx軸負方向側半分は、分割ミラーDMの第1反射面にて反射され、第1部分ビームとしてx軸負方向に進行する。第1部分ビームのS軸径は、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのS軸径の1/2になり、第1部分ビームのF軸径は、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのF軸径に一致する。一方、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのx軸正方向側半分は、分割ミラーDMの第2反射面により反射され、第2部分ビームとしてx軸正方向に進行する。第2部分ビームのS軸径は、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのS軸径の1/2になり、第2部分ビームのF軸径は、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのF軸径に一致する。
【0066】
分割ミラーDMにて生成された第1部分ビームのビーム断面(BB’断面)を
図4の(b)に示し、分割ミラーDMにて生成された第2部分ビームのビーム断面(EE’断面)を
図4の(e)に示す。分割ミラーDMにて生成された第1部分ビームのビーム断面は、
図4の(b)に示すように、S軸がz軸と平行になり、F軸がy軸と平行になる。一方、分割ミラーDMにて生成された第2部分ビームのビーム断面は、
図4の(e)に示すように、S軸がz軸と平行になり、F軸がy軸と平行になる。分割ミラーDMにて生成された第1部分ビーム及び第2部分ビームのS軸径は、それぞれ、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのS軸径の1/2になる。一方、分割ミラーDMにて生成された第1部分ビーム及び第2部分ビームのF軸径は、それぞれ、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのF軸径に一致する。
【0067】
分割ミラーDMにて生成された第1部分ビームの光路上には、第1反射ミラーRM1が配置されている。第1反射ミラーRM1は、分割ミラーDMにて生成された第1部分ビームを反射することによって、その進行方向をx軸負方向からz軸正方向に変換する。
【0068】
第1反射ミラーRM1にて反射された第1部分ビームのビーム断面(CC’断面)を
図4の(c)に示す。第1反射ミラーRM1にて反射された第1部分ビームのビーム断面は、
図4の(c)に示すように、S軸がx軸と平行になり、F軸がy軸と平行になり、偏波方向がx軸と平行になる。
【0069】
第1反射ミラーRM1にて反射された第1部分ビームの光路上には、第2反射ミラーRM2が配置されている。第2反射ミラーRM2は、第1反射ミラーRM1にて反射された第1部分ビームを反射することによって、その進行方向をz軸正方向からx軸正方向に変換する。
【0070】
第2反射ミラーRM2にて反射された第1部分ビームのビーム断面(DD’断面)を
図4の(d)に示す。第2反射ミラーRM2にて反射された第1部分ビームのビーム断面は、
図4の(d)に示すように、S軸がz軸と平行になり、F軸がy軸と平行になり、偏波方向がz軸と平行になる。
【0071】
分割ミラーDMにて生成された第2部分ビームの光路上には、第3反射ミラーRM3が配置されている。第3反射ミラーRM3は、分割ミラーDMにて生成された第2部分ビームを反射することによって、その進行方向をx軸正方向からz軸正方向に変換する。
【0072】
第3反射ミラーRM3にて反射された第2部分ビームのビーム断面(FF’断面)を
図4の(f)に示す。第3反射ミラーRM3にて反射された第2部分ビームのビーム断面は、
図4の(f)に示すように、S軸がx軸と平行になり、F軸がy軸と平行になり、偏波方向がx軸と平行になる。
【0073】
第3反射ミラーRM3にて反射された第2部分ビームの光路上には、偏波回転素子PREが配置されている。偏波回転素子PREは、第3反射ミラーRM3にて反射された第2部分ビームの偏波方向を90度回転させる。偏波回転素子PREを透過する前の第2部分ビームは、偏波方向がx軸と平行であるのに対して、偏波回転素子PREを透過した後の第2部分ビームは、偏波方向がy軸と平行になる。
【0074】
偏波回転素子PREにて偏波回転された第2部分ビームのビーム断面(GG’断面)を
図4の(g)に示す。偏波回転素子PREにて偏波回転された第2部分ビームのビーム断面は、
図4の(g)に示すように、S軸がx軸と平行になり、F軸がy軸と平行になり、偏波方向がy軸と平行になる。偏波回転素子PREを透過する前後で、第2部分ビームの偏波方向がx軸と平行な状態からy軸と平行な状態へと回転している点に留意されたい。
【0075】
第2反射ミラーRM2にて反射された第1部分ビームの光路と、偏波回転素子PREを透過した第2部分ビームの光路との交差点には、偏波ビームコンバイナPBCが配置されている。偏波ビームコンバイナPBCは、第2反射ミラーRM2にて反射された第1部分ビームと偏波回転素子PREを透過した第2部分ビームとを偏波合成することによって、進行方向及びS軸方向の等しい第1部分ビーム及び第2部分ビームからなる部分ビーム束を生成する。本実施形態において用いられる偏波ビームコンバイナPBCは、第2反射ミラーRM2にて反射された、偏波方向がzx面と平行な第1部分ビーム(S軸方向がz軸に平行であり、かつ、x軸正方向に進行する)を透過すると共に、偏波回転素子PREを透過した、偏波方向がzx面と垂直な第2部分ビーム(S軸がy軸に平行であり、かつ、z軸正方向に進行する)をx軸正方向に反射する機能面を有している。このため、偏波ビームコンバイナPBCにて生成される部分ビーム束は、S軸がz軸に平行であり、かつ、x軸正方向に進行する第1部分ビーム及び第2部分ビームにより構成される。
【0076】
本実施形態において用いられる第1反射ミラーRM1、第2反射ミラーRM2、及び第3反射ミラーは、第1ミラー及び第2反射ミラーにて反射された第1部分ビームと、第3反射ミラーにて反射された第2部分ビームとが、偏波ビームコンバイナPBCの機能面の共通の領域に入射するように配置されている。このため、偏波ビームコンバイナPBCにて生成された部分ビーム束において、第1部分ビームのビーム断面全体と第2部分ビームのビーム断面全体とが互いに過不足なく重なり合う。したがって、部分ビーム束のS軸径は、第1部分ビーム及び第2部分ビームのS軸径に一致し、レーザビームのS軸径の約1/2になる。また、部分ビーム束のF軸径は、第1部分ビーム及び第2部分ビームのF軸径に一致し、レーザビームのF軸径に一致する。
【0077】
偏波ビームコンバイナPBCにて生成された部分ビーム束のビーム断面(HH’断面)を
図4の(h)に示す。偏波ビームコンバイナPBCにて生成された部分ビーム束を構成する各部分ビームのビーム断面は、
図4の(h)に示すように、S軸がz軸と平行になり、F軸がy軸と平行になる。上述したように、偏波ビームコンバイナPBCにて生成された部分ビーム束のS軸径は、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのS軸径の約1/2になる。また、偏波ビームコンバイナPBCにて生成された部分ビーム束のF軸径は、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのF軸径に一致する。
【0078】
偏波ビームコンバイナPBCにて生成された部分ビーム束の光路上には、集光レンズCL2が配置されている。集光レンズCL2は、偏波ビームコンバイナPBCにて生成された部分ビーム束を集光する。すなわち、集光レンズCL2を透過する前の部分ビーム束は、S軸径及びF軸径が一定の平行光であるのに対して、集光レンズCL2を透過した後の部分ビーム束は、S軸径及びF軸径が次第に小さくなる収束光となる。
【0079】
集光レンズCL2にて集光された部分ビーム束の光路上には、光ファイバOFの入射端面が配置されている。光ファイバOFの入射端面は、部分ビーム束のS軸径が最小となる点において、光ファイバOFのコアの中心と部分ビーム束のビーム断面の中心とが一致するように位置決めされている。これにより、部分ビーム束のビーム断面は、光ファイバOFの入射端面において、光ファイバOFのコアに包摂される。
【0080】
以上のように、LDモジュール2は、(1)コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームを分割することによって、x軸負方向に進行する第1部分ビーム及びx軸正方向に進行する第2部分ビームからなる部分ビーム群を生成する分割光学系(分割ミラーDM)と、(2)上記部分ビーム群を合成することによって、x軸正方向に進行する第1部分ビーム及び第2部分ビームからなる部分ビーム束を生成する合成光学系(第1反射ミラーRM1、第2反射ミラーRM2、第3反射ミラーRM3、偏波回転素子PRE、偏波ビームコンバイナPBC)と、を含む導光装置を備えている。
【0081】
上記分割光学系は、上記レーザビームのビーム断面を該レーザビームのF軸と平行な分割線で2等分する。このため、第1部分ビーム及び第2部分ビームのS軸径は、それぞれ、上記レーザビームのS軸径の1/2となり、第1部分ビーム及び第2部分ビームのF軸径は、それぞれ、上記レーザビームのF軸径と一致する。一方、上記合成光学系は、上記部分ビーム束の各断面(HH’断面)において、(1)上記部分ビーム束を構成する第1部分ビーム及び第2部分ビームのS軸が第1空間軸(z軸)と平行になり、(2)上記部分ビーム束を構成する第1部分ビームのビーム断面全体と上記部分ビーム束を構成する第2部分ビームのビーム断面全体とが互いに過不足なく重なり合うように、上記部分ビーム群を偏波合成する。このため、上記部分ビーム束のS軸径は、上記レーザビームのS軸径の1/2になり、上記部分ビーム束のF軸径は、上記レーザビームのF軸径と一致する。
【0082】
このような導光装置を用いることによって、レーザダイオードLDから出力されたレーザビームを、S軸径がこのレーザビームのS軸径よりも小さい部分ビーム束に変換することができる。このため、レーザダイオードLDと光ファイバOFとの結合効率を低下させることなく、レーザダイオードLDのエミッタ幅を広げることができる。これにより、LDモジュール2の結合効率を低下させることなく、LDモジュール2の信頼性を向上させることができる。
【0083】
特に、本実施形態に係るLDモジュール2が備える導光装置は、レーザダイオードLDから出力されたレーザビームを、S軸径がこのレーザビームのS軸径の1/2となる部分ビーム束に変換することができる。このため、レーザダイオードLDと光ファイバOFとの結合効率を低下させることなく、レーザダイオードLDのエミッタ幅を2倍に広げることがでる。これにより、LDモジュール2の結合効率を低下させることなく、LDモジュール2の信頼性を飛躍的に向上させることができる。
【0084】
〔第3の実施形態〕
本発明の第3の実施形態に係るLDモジュール3について、
図5及び
図6を参照して説明する。
図5において、(a)は、LDモジュール3の構成を示す平面図であり、(b)は、LDモジュール3が備える二連反射ミラーDRMの構成を示す斜視図である。
図6は、LDモジュール3の各部におけるレーザビーム、部分ビーム、又は部分ビーム束のビーム断面を示す断面図である。
【0085】
LDモジュール3は、
図5の(a)に示すように、レーザダイオードLD、コリメートレンズCL1、分割ミラーDM、第1反射ミラーRM1、第2反射ミラーRM2、第3反射ミラーRM3、第4反射ミラーRM4、二連反射ミラーDRM、集光レンズCL2、及び光ファイバOFを備えている。LDモジュール3において、コリメートレンズCL1、分割ミラーDM、第1反射ミラーRM1、第2反射ミラーRM2、第3反射ミラーRM3、第4反射ミラーRM4、二連反射ミラーDRM、及び集光レンズCL2は、レーザダイオードLDから出力されたレーザ光を光ファイバOFに導く導光装置を構成している。
【0086】
レーザダイオードLDは、レーザビームを出力する。レーザダイオードLDは、図示した座標系において、活性層がzx面と平行になるように、かつ、出射端面がz軸正方向を向くように配置されている。このため、レーザダイオードLDから出力されたレーザビームは、S軸がx軸と平行になり、F軸がy軸と平行になり、偏波方向がx軸に平行になる。レーザダイオードLDから出力されたレーザビームの進行方向は、z軸正方向である。
【0087】
レーザダイオードLDにて生成されたレーザビームの光路上には、コリメートレンズCL1が配置されている。コリメートレンズCL1は、レーザダイオードLDから出力されたレーザビームをコリメートする。すなわち、コリメートレンズCL1を透過する前のレーザビームは、S軸径及びF軸径が次第に大きくなる拡散光であるのに対して、コリメートレンズCL1を透過した後のレーザビームは、S軸径及びF軸径が一定の平行光となる。
【0088】
コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのビーム断面(AA’断面)を
図6の(a)に示す。コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームは、
図6の(a)に示すように、S軸がx軸と平行になり、F軸がy軸と平行になる。
【0089】
コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームの光路上には、分割ミラーDMが配置されている。分割ミラーDMは、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームを分割することによって、進行方向の異なる第1部分ビーム及び第2部分ビームからなる部分ビーム群を生成する。本実施形態において用いられる分割ミラーDMは、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのx軸負方向側半分をx軸負方向に反射する第1反射面と、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのx軸正方向側半分をx軸正方向に反射する第2反射面とを有している。このため、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのx軸負方向側半分は、分割ミラーDMの第1反射面にて反射され、第1部分ビームとしてx軸負方向に進行する。第1部分ビームのS軸径は、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのS軸径の1/2になり、第1部分ビームのF軸径は、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのF軸径に一致する。一方、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのx軸正方向側半分は、分割ミラーDMの第2反射面により反射され、第2部分ビームとしてx軸正方向に進行する。第2部分ビームのS軸径は、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのS軸径の1/2になり、第2部分ビームのF軸径は、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのF軸径に一致する。
【0090】
分割ミラーDMにて生成された第1部分ビームのビーム断面(BB’断面)を
図6の(b)に示し、分割ミラーDMにて生成された第2部分ビームのビーム断面(EE’断面)を
図6の(e)に示す。分割ミラーDMにて生成された第1部分ビームのビーム断面は、
図6の(b)に示すように、S軸がz軸と平行になり、F軸がy軸と平行になる。一方、分割ミラーDMにて生成された第2部分ビームのビーム断面は、
図6の(e)に示すように、S軸がz軸と平行になり、F軸がy軸と平行になる。分割ミラーDMにて生成された第1部分ビーム及び第2部分ビームのS軸径は、それぞれ、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのS軸径の1/2になる。一方、分割ミラーDMにて生成された第1部分ビーム及び第2部分ビームのF軸径は、それぞれ、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのF軸径に一致する。
【0091】
分割ミラーDMにて生成された第1部分ビームの光路上には、第1反射ミラーRM1が配置されている。第1反射ミラーRM1は、分割ミラーDMにて生成された第1部分ビームを反射することによって、そのy軸正方向から見た進行方向をx軸負方向からz軸正方向に変換する。なお、第1反射ミラーRM1は、第1部分ビームを仰角を付けて反射するよう、傾けられている。このため、第1反射ミラーRM1にて反射された後の第1部分ビームは、進行するに従ってビーム断面の位置がy軸正方向に次第にシフトする。
【0092】
第1反射ミラーRM1にて反射された第1部分ビームのビーム断面(CC’断面)を
図6の(c)に示す。第1反射ミラーRM1にて反射された第1部分ビームのビーム断面は、
図6の(c)に示すように、S軸がx軸と平行になり、F軸のxy面への射影がy軸と平行になり、偏波方向がx軸と平行になる。
【0093】
第1反射ミラーRM1にて反射された第1部分ビームの光路上には、第2反射ミラーRM2が配置されている。第2反射ミラーRM2は、第1反射ミラーRM1にて反射された第1部分ビームを反射することによって、そのy軸正方向から見た進行方向をz軸正方向からx軸正方向に変換する。
【0094】
第2反射ミラーRM2にて反射された第1部分ビームのビーム断面(DD’断面)を
図6の(d)に示す。第2反射ミラーRM2にて反射された第1部分ビームのビーム断面は、
図6の(d)に示すように、S軸がz軸と平行になり、F軸のyz面への射影がy軸と平行になり、偏波方向がz軸と平行になる。
【0095】
分割ミラーDMにて生成された第2部分ビームの光路上には、第3反射ミラーRM3が配置されている。第3反射ミラーRM3は、分割ミラーDMにて生成された第2部分ビームを反射することによって、そのy軸正方向から見た進行方向をx軸正方向からz軸正方向に変換する。なお、第3反射ミラーRM3は、第2部分ビームを俯角を付けて反射するよう、傾けられている。このため、第3反射ミラーRM3にて反射された後の第2部分ビームは、進行するに従ってビーム断面の位置がy軸負方向に次第にシフトする。
【0096】
第3反射ミラーRM3にて反射された第2部分ビームのビーム断面(FF’断面)を
図6の(f)に示す。第3反射ミラーRM3にて反射された第2部分ビームのビーム断面は、
図6の(f)に示すように、S軸がx軸と平行になり、F軸のxy面への射影がy軸と平行になり、偏波方向がx軸と平行になる。
【0097】
第3反射ミラーRM3にて反射された第2部分ビームの光路上には、第4反射ミラーRM4が配置されている。第4反射ミラーRM4は、第3反射ミラーRM3にて反射された第2部分ビームを反射することによって、そのy軸正方向から見た進行方向をz軸正方向からx軸負方向に変換する。
【0098】
第4反射ミラーRM4にて反射された第2部分ビームのビーム断面(GG’断面)を
図6の(g)に示す。第4反射ミラーRM4にて反射された第2部分ビームのビーム断面は、
図6の(g)に示すように、S軸がz軸と平行になり、F軸のyz面への射影がy軸と平行になり、偏波方向がz軸と平行になる。
【0099】
第2反射ミラーRM2と第4反射ミラーRM4との中点には、二連反射ミラーDRMが配置されている。二連反射ミラーDRMは、第2反射ミラーRM2にて反射された第1部分ビームと第4反射ミラーRM4にて反射された第2部分ビームとを空間合成することによって、y軸正方向から見た進行方向及びS軸方向の等しい第1部分ビーム及び第2部分ビームからなる部分ビーム束を生成する。本実施形態において用いられる二連反射ミラーDRMは、第2反射ミラーRM2にて反射された第1部分ビーム(y軸正方向から見てx軸正方向に進行する)をy軸正方向から見てz軸正方向に反射する第1反射面と、第4反射ミラーRM4にて反射された第2部分ビーム(y軸正方向から見てx軸負方向に進行する)をy軸正方向から見てz軸正方向に反射する第2反射面とを有している。このため、2連反射ミラーDRMにて生成される部分ビーム束は、S軸がx軸に平行であり、y軸正方向から見てz軸正方向に進行する第1部分及び第2部分ビームにより構成される。
【0100】
本実施形態において、二連反射ミラーDRMの第1反射面及び第2反射面は、y軸に沿って並んでおり、第1反射ミラーRM1、第2反射ミラーRM2、第3反射ミラーRM3、及び第4反射ミラーRM4は、第1部分ビーム及び第2部分ビームがそれぞれ二連反射ミラーDRMの第1反射面及び第2反射面に入射するように配置されている。したがって、偏波ビームコンバイナPBCにて生成される部分ビーム束を第1部分ビーム及び第2部分ビームのビーム断面は、S軸がx軸と平行に配置され、x軸への射影の少なくとも一部が互いに重なり合うようにy軸に沿って並ぶ。このため、偏波ビームコンバイナPBCにて生成される部分ビーム束のS軸径は、第1部分ビームのS軸径と第2部分ビームのS軸径との和よりも小さくなる。特に本実施形態においては、第1部分ビーム及び第2部分ビームのS軸径が何れもレーザビームのS軸径の約1/2になり、第1部分ビーム及び第2部分ビームのビーム断面のx軸への射影全体が過不足なく重なり合うので、部分ビーム束のS軸径もレーザビームのS軸径の約1/2になる。なお、二連反射ミラーDRMは、例えば
図5の(b)に示すように、第1反射面を有する三角柱状のミラーの上に、第2反射面を有する三角柱状のミラーを載置することにより構成することができる。
【0101】
二連反射ミラーDRMにて生成された部分ビーム束のビーム断面(HH’断面)を
図6の(h)に示す。二連反射ミラーDRMにて生成された部分ビーム束を構成する各部分ビームのビーム断面は、
図6の(h)に示すように、S軸がx軸と平行になり、F軸のxy面への射影がy軸と平行になる。上述したように、二連反射ミラーDRMにて生成された部分ビーム束のS軸径は、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのS軸径の約1/2になる。
【0102】
二連反射ミラーDRMにて生成された部分ビーム束の光路上には、集光レンズCL2が配置されている。集光レンズCL2は、二連反射ミラーDRMにて生成された部分ビーム束を集光する。すなわち、集光レンズCL2を透過する前の部分ビーム束を構成する各部分ビームは、S軸径及びF軸径が一定の平行光であるのに対して、集光レンズCL2を透過した後の部分ビーム束を構成する各部分ビームは、S軸径及びF軸径が次第に小さくなる収束光となる。また、集光レンズCL2を透過する前の部分ビーム束は、当該部分ビーム束を構成する部分ビーム同士の間隔が一定のビーム束であるのに対して、集光レンズCL2を透過した後の部分ビーム束は、当該部分ビーム束を構成する部分ビーム同士の間隔が次第に小さくなるビーム束となる。
【0103】
集光レンズCL2にて集光された部分ビーム束の光路上には、光ファイバOFの入射端面が配置されている。光ファイバOFの入射端面は、部分ビーム束を構成する各部分ビームのS軸径が最小となる(又は、部分ビーム束を構成する部分ビーム同士の間隔が最小になる)点において、光ファイバOFのコアの中心と部分ビーム束を構成する2つの部分ビームのビーム断面の中心の中点とが一致するように位置決めされている。これにより、部分ビーム束を構成する各部分ビームのビーム断面は、光ファイバOFの入射端面において、光ファイバOFのコアに包摂される。
【0104】
以上のように、LDモジュール3は、(1)コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームを分割することによって、x軸負方向に進行する第1部分ビーム及びx軸正方向に進行する第2部分ビームからなる部分ビーム群を生成する分割光学系(分割ミラーDM)と、(2)上記部分ビーム群を合成することによって、y軸正方向から見てz軸正方向に進行する第1部分ビーム及び第2部分ビームからなる部分ビーム束を生成する合成光学系(第1反射ミラーRM1、第2反射ミラーRM2、第3反射ミラーRM3、第4反射ミラーRM4、二連反射ミラーDRM)と、を含む導光装置を備えている。
【0105】
上記分割光学系は、上記レーザビームのビーム断面を該レーザビームのF軸と平行な分割線で2等分する。このため、第1部分ビーム及び第2部分ビームのS軸径は、それぞれ、上記レーザビームのS軸径の1/2となり、第1部分ビーム及び第2部分ビームのF軸径は、それぞれ、上記レーザビームのF軸径と一致する。一方、上記合成光学系は、上記部分ビーム束の各断面(HH’断面)において、(1)上記部分ビーム束を構成する第1部分ビーム及び第2部分ビームのS軸が第1空間軸(x軸)と平行になり、(2)上記部分ビーム束を構成する第1部分ビームのビーム断面の第1空間軸への射影全体と上記部分ビーム束を構成する第2部分ビームのビーム断面の第1空間軸への射影全体とが互いに過不足なく重なり合うように、上記部分ビーム群を空間合成する。このため、上記部分ビーム束のS軸径は、第1部分ビーム及び第2部分ビームのS軸径に一致し、上記レーザビームのS軸径の1/2になる。
【0106】
このような導光装置を用いることによって、レーザダイオードLDから出力されたレーザビームを、S軸径がこのレーザビームのS軸径よりも小さい部分ビーム束に変換することができる。このため、レーザダイオードLDと光ファイバOFとの結合効率を低下させることなく、レーザダイオードLDのエミッタ幅を広げることができる。これにより、LDモジュール3の結合効率を低下させることなく、LDモジュール3の信頼性を向上させることができる。
【0107】
特に、本実施形態に係るLDモジュール3が備える導光装置は、レーザダイオードLDから出力されたレーザビームを、S軸径がこのレーザビームのS軸径の1/2となる部分ビーム束に変換することができる。このため、レーザダイオードLDと光ファイバOFとの結合効率を低下させることなく、レーザダイオードLDのエミッタ幅を2倍に広げることがでる。これにより、LDモジュール3の結合効率を低下させることなく、LDモジュール3の信頼性を飛躍的に向上させることができる。
【0108】
なお、本実施形態においては、上記レーザビームのビーム断面を該レーザビームのF軸と平行な分割線で等分割し、第1部分ビームのS軸径と第2部分ビームのS軸径とを一致させる構成を採用しているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、上記レーザビームのビーム断面を該レーザビームのF軸と平行な分割線で不等分割し、第1部分ビームのS軸径と第2部分ビームのS軸径とを異ならせる構成を採用してもよい。この場合、上記部分ビーム束のS軸径は、第1部分ビームのS軸径と第2部分ビームのS軸径とのうち、大きい方のS軸径に一致する。したがって、上記部分ビーム束のS軸径は、上記レーザビームのS軸径の1/2よりは大きくなるが、上記レーザビームのS軸径よりは小さくなる。
【0109】
また、本実施形態においては、上記部分ビーム束を構成する第1部分ビームのビーム断面の第1空間軸(x軸)への射影全体と上記部分ビーム束を構成する第2部分ビームのビーム断面の第1空間軸への射影全体とが互いに過不足なく重なり合うという条件を満たすように部分ビーム群を合成する構成を採用しているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、この条件は、上記部分ビーム束を構成する第1部分ビームのビーム断面の第1空間軸への射影の一部と上記部分ビーム束を構成する第2部分ビームのビーム断面の第1空間軸への射影の一部とが互いに重なり合うという条件に置き換えることもできる。この場合、上記部分ビーム束のS軸径は、上記レーザビームのS軸径の1/2よりは大きくなるが、上記レーザビームのS軸径よりは小さくなる。
【0110】
また、本実施形態においては、上記部分ビーム群及び上記部分ビーム束を構成する部分ビームの個数を2としているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、上記部分ビーム群及び上記部分ビーム束を構成する部分ビームの個数は、2以上の自然数nに一般化可能である。この場合、上記部分ビーム束のS軸径は、上記レーザビームのS軸径の1/nとなる。
【0111】
また、本実施形態においては、分割ミラーDMから光ファイバOFの入射端面に至る2つの部分ビームの光路長を互いに等しくする構成が採用されている。これにより、レーザダイオードLDから出力されるレーザビームがシングルモードの場合であっても、2つの部分ビームが弱め合うように干渉するという事態を回避することができる。なお、レーザダイオードLDから出力されるレーザビームがマルチモードの場合には、2つの部分ビームが弱め合うように干渉するという事態が起こり得ないので、分割ミラーDMから光ファイバOFの入射端面に至る2つの部分ビームの光路長を互いに等しくする構成を採用する必要はない。
【0112】
〔第4の実施形態〕
本発明の第4の実施形態に係るLDモジュール4について、
図7及び
図8を参照して説明する。
図7において、(a)は、LDモジュール4の構成を示す平面図であり、(b)は、LDモジュール4が備える第2二連反射ミラーDRM2の構成を示す斜視図である。
図8は、LDモジュール4の各部におけるレーザビーム、部分ビーム、又は部分ビーム束のビーム断面を示す断面図である。
【0113】
LDモジュール4は、
図7の(a)に示すように、レーザダイオードLD、コリメートレンズCL1、分割ミラーDM、第1反射ミラーRM1、第1二連反射ミラーDRM1、第2反射ミラーRM2、第2二連反射ミラーDRM2、合成ミラーCM、集光レンズCL2、及び光ファイバOFを備えている。LDモジュール4において、コリメートレンズCL1、分割ミラーDM、第1反射ミラーRM1、第1二連反射ミラーDRM1、第2反射ミラーRM2、第2二連反射ミラーDRM2、合成ミラーCM、及び集光レンズCL2は、レーザダイオードLDから出力されたレーザ光を光ファイバOFに導く導光装置を構成している。
【0114】
レーザダイオードLDは、レーザビームを出力する。レーザダイオードLDは、図示した座標系において、活性層がzx面と平行になるように、かつ、出射端面がz軸正方向を向くように配置されている。このため、レーザダイオードLDから出力されたレーザビームは、S軸がx軸と平行になり、F軸がy軸と平行になり、偏波方向がx軸に平行になる。レーザダイオードLDから出力されたレーザビームの進行方向は、z軸正方向である。
【0115】
レーザダイオードLDにて生成されたレーザビームの光路上には、コリメートレンズCL1が配置されている。コリメートレンズCL1は、レーザダイオードLDから出力されたレーザビームをコリメートする。すなわち、コリメートレンズCL1を透過する前のレーザビームは、S軸径及びF軸径が次第に大きくなる拡散光であるのに対して、コリメートレンズCL1を透過した後のレーザビームは、S軸径及びF軸径が一定の平行光となる。
【0116】
コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのビーム断面(AA’断面)を
図8の(a)に示す。コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームは、
図8の(a)に示すように、S軸がx軸と平行になり、F軸がy軸と平行になる。
【0117】
コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームの光路上には、分割ミラーDMが配置されている。分割ミラーDMは、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームを分割することによって、進行方向の異なる第1部分ビーム及び第2部分ビームからなる部分ビーム群を生成する。本実施形態において用いられる分割ミラーDMは、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのx軸負方向側半分をx軸負方向に反射する第1反射面と、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのx軸正方向側半分をx軸正方向に反射する第2反射面とを有している。このため、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのx軸負方向側半分は、分割ミラーDMの第1反射面にて反射され、第1部分ビームとしてx軸負方向に進行する。第1部分ビームのS軸径は、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのS軸径の1/2になり、第1部分ビームのF軸径は、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのF軸径に一致する。一方、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのx軸正方向側半分は、分割ミラーDMの第2反射面により反射され、第2部分ビームとしてx軸正方向に進行する。第2部分ビームのS軸径は、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのS軸径の1/2になり、第2部分ビームのF軸径は、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのF軸径に一致する。
【0118】
分割ミラーDMにて生成された第1部分ビームのビーム断面(BB’断面)を
図8の(b)に示し、分割ミラーDMにて生成された第2部分ビームのビーム断面(EE’断面)を
図8の(e)に示す。分割ミラーDMにて生成された第1部分ビームのビーム断面は、
図8の(b)に示すように、S軸がz軸と平行になり、F軸がy軸と平行になる。一方、分割ミラーDMにて生成された第2部分ビームのビーム断面は、
図8の(e)に示すように、S軸がz軸と平行になり、F軸がy軸と平行になる。分割ミラーDMにて生成された第1部分ビーム及び第2部分ビームのS軸径は、それぞれ、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのS軸径の1/2になる。一方、分割ミラーDMにて生成された第1部分ビーム及び第2部分ビームのF軸径は、それぞれ、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのF軸径に一致する。
【0119】
分割ミラーDMにて生成された第1部分ビームの光路上には、第1反射ミラーRM1が配置されている。第1反射ミラーRM1は、分割ミラーDMにて生成された第1部分ビームを反射することによって、その進行方向をx軸負方向からz軸正方向に変換する。
【0120】
第1反射ミラーRM1にて反射された第1部分ビームのビーム断面(CC’断面)を
図8の(c)に示す。第1反射ミラーRM1にて反射された第1部分ビームのビーム断面は、
図8の(c)に示すように、S軸がx軸と平行になり、F軸がy軸と平行になり、偏波方向がx軸と平行になる。
【0121】
第1反射ミラーRM1にて反射された第1部分ビームの光路上には、第1二連反射ミラーDRM1が配置されている。第1二連反射ミラーDRM1は、第1反射ミラーRM1にて反射された、z軸正方向に進行する第1部分ビームをy軸正方向に反射する第1反射面と、この第1反射面にて反射された、y軸正方向に進行する第1部分ビームをx軸正方向に反射する第2反射面とを有している。第1二連反射ミラーDRM1は、第1反射ミラーRM1にて反射された第1部分ビームをこれら2つの反射面で続けて反射することによって、その進行方向をz軸正方向からx軸正方向に変換すると共に、S軸方向及びF軸方向を90°回転させる。
【0122】
第1二連反射ミラーDRM1にて反射された第1部分ビームのビーム断面(DD’断面)を
図8の(d)に示す。第1二連反射ミラーDRM1にて反射された第1部分ビームのビーム断面は、
図8の(d)に示すように、S軸がy軸と平行になり、F軸がz軸と平行になり、偏波方向がy軸と平行になる。
【0123】
分割ミラーDMにて生成された第2部分ビームの光路上には、第2反射ミラーRM2が配置されている。第2反射ミラーRM2は、分割ミラーDMにて生成された第2部分ビームを反射することによって、その進行方向をx軸正方向からz軸正方向に変換する。
【0124】
第2反射ミラーRM2にて反射された第2部分ビームのビーム断面(FF’断面)を
図8の(f)に示す。第2反射ミラーRM2にて反射された第2部分ビームのビーム断面は、
図8の(f)に示すように、S軸がx軸と平行になり、F軸がy軸と平行になり、偏波方向がx軸と平行になる。
【0125】
第2反射ミラーRM2にて反射された第2部分ビームの光路上には、第2二連反射ミラーDRM2が配置されている。第2二連反射ミラーDRM2は、第2反射ミラーRM2にて反射された、z軸正方向に進行する第2部分ビームをy軸正方向に反射する第1反射面と、この第1反射面にて反射された、y軸正方向に進行する第2部分ビームをx軸負方向に反射する第2反射面とを有している。第2二連反射ミラーDRM2は、第2反射ミラーRM2にて反射された第1部分ビームをこれら2つの反射面で続けて反射することによって、その進行方向をz軸正方向からx軸負方向に変換すると共に、S軸方向及びF軸方向を90°回転させる。なお、第2二連反射ミラーDRM2は、例えば
図7の(b)に示すように、第1反射面として機能する全反射表面と第2反射面として機能する全反射表面とを有するプリズムにより実現することができる。上述した第1二連反射ミラーDRM1についても同様である。
【0126】
第2二連反射ミラーDRM2にて反射された第2部分ビームのビーム断面(GG’断面)を
図8の(g)に示す。第2二連反射ミラーDRM2にて反射された第2部分ビームのビーム断面は、
図8の(g)に示すように、S軸がy軸と平行になり、F軸がz軸と平行になり、偏波方向がy軸と平行になる。
【0127】
第1二連反射ミラーDRM1と第2二連反射ミラーDRM2との中点には、合成ミラーCMが配置されている。合成ミラーCMは、第1二連反射ミラーDRM1にて反射された第1部分ビームと第2二連反射ミラーDRM2にて反射された第2部分ビームとを空間合成することによって、進行方向及びS軸方向の等しい第1部分ビーム及び第2部分ビームからなる部分ビーム束を生成する。本実施形態において用いられる合成ミラーCMは、第1二連反射ミラーDRM1にて反射された第1部分ビーム(x軸正方向に進行する)をz軸正方向に反射する第1反射面と、第2二連反射ミラーDRM2にて反射された第2部分ビーム(x軸負方向に進行する)をz軸正方向に反射する第2反射面とを有している。このため、合成ミラーCMにて生成される部分ビーム束は、S軸がy軸に平行であり、z軸正方向に進行する第1部分及び第2部分ビームにより構成される。
【0128】
本実施形態において、合成ミラーCMの第1反射面及び第2反射面は、x軸に沿って並んでおり、第1反射ミラーRM1、第2反射ミラーRM2、第1二連反射ミラーDRM1、及び第2二連反射ミラーDRM2は、第1部分ビーム及び第2部分ビームがそれぞれ合成ミラーCMの第1反射面及び第2反射面に入射するように配置されている。したがって、偏波ビームコンバイナPBCにて生成される部分ビーム束を第1部分ビーム及び第2部分ビームのビーム断面は、S軸がy軸と平行に配置され、y軸への射影の少なくとも一部が互いに重なり合うようにx軸に沿って並ぶ。このため、偏波ビームコンバイナPBCにて生成される部分ビーム束のS軸径は、第1部分ビームのS軸径と第2部分ビームのS軸径との和よりも小さくなる。特に本実施形態においては、第1部分ビーム及び第2部分ビームのS軸径が何れもレーザビームのS軸径の約1/2になり、第1部分ビーム及び第2部分ビームのビーム断面のy軸への射影全体が過不足なく重なり合うので、部分ビーム束のS軸径もレーザビームのS軸径の約1/2になる。なお、合成ミラーCMは、例えば、互いに直交する2つの側面を有する三角柱状のミラーにより構成することができる。
【0129】
合成ミラーCMにて生成された部分ビーム束のビーム断面(HH’断面)を
図8の(h)に示す。合成ミラーCMにて生成された部分ビーム束を構成する各部分ビームのビーム断面は、
図8の(h)に示すように、S軸がy軸と平行になり、F軸がx軸と平行になる。上述したように、合成ミラーCMにて生成された部分ビーム束のS軸径は、コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームのS軸径の約1/2になる。
【0130】
合成ミラーCMにて生成された部分ビーム束の光路上には、集光レンズCL2が配置されている。集光レンズCL2は、合成ミラーCMにて生成された部分ビーム束を集光する。すなわち、集光レンズCL2を透過する前の部分ビーム束を構成する各部分ビームは、S軸径及びF軸径が一定の平行光であるのに対して、集光レンズCL2を透過した後の部分ビーム束を構成する各部分ビームは、S軸径及びF軸径が次第に小さくなる収束光となる。また、集光レンズCL2を透過する前の部分ビーム束は、部分ビーム同士の間隔が一定のビーム束であるのに対して、集光レンズCL2を透過した後の部分ビーム束は、部分ビーム同士の間隔が次第に小さくなるビーム束となる。
【0131】
集光レンズCL2にて集光された部分ビーム束の光路上には、光ファイバOFの入射端面が配置されている。光ファイバOFの入射端面は、部分ビーム束を構成する各部分ビームのS軸径が最小となる(又は、部分ビーム束を構成する部分ビーム同士の間隔が最小になる)点において、光ファイバOFのコアの中心と部分ビーム束を構成する2つの部分ビームのビーム断面の中心の中点とが一致するように位置決めされている。これにより、部分ビーム束を構成する各部分ビームのビーム断面は、光ファイバOFの入射端面において、光ファイバOFのコアに包摂される。
【0132】
以上のように、LDモジュール4は、(1)コリメートレンズCL1にてコリメートされたレーザビームを分割することによって、x軸負方向に進行する第1部分ビーム及びx軸正方向に進行する第2部分ビームからなる部分ビーム群を生成する分割光学系(分割ミラーDM)と、(2)上記部分ビーム群を合成することによって、z軸正方向に進行する第1部分ビーム及び第2部分ビームからなる部分ビーム束を生成する合成光学系(第1反射ミラーRM1、第1二連反射ミラーDRM1、第2反射ミラーRM2、第2二連反射ミラーDRM2、合成ミラーCM)と、を含む導光装置を備えている。
【0133】
上記分割光学系は、上記レーザビームのビーム断面を該レーザビームのF軸と平行な分割線で2等分する。このため、第1部分ビーム及び第2部分ビームのS軸径は、それぞれ、上記レーザビームのS軸径の1/2となり、第1部分ビーム及び第2部分ビームのF軸径は、それぞれ、上記レーザビームのF軸径と一致する。一方、上記合成光学系は、上記部分ビーム束の各断面(HH’断面)において、(1)上記部分ビーム束を構成する第1部分ビーム及び第2部分ビームのS軸が第1空間軸(y軸)と平行になり、(2)上記部分ビーム束を構成する第1部分ビームのビーム断面の第1空間軸への射影全体と上記部分ビーム束を構成する第2部分ビームのビーム断面の第1空間軸への射影全体とが互いに過不足なく重なり合うように、上記部分ビーム群を空間合成する。このため、上記部分ビーム束のS軸径は、第1部分ビーム及び第2部分ビームのS軸径に一致し、上記レーザビームのS軸径の1/2になる。
【0134】
このような導光装置を用いることによって、レーザダイオードLDから出力されたレーザビームを、S軸径がこのレーザビームのS軸径よりも小さい部分ビーム束に変換することができる。このため、レーザダイオードLDと光ファイバOFとの結合効率を低下させることなく、レーザダイオードLDのエミッタ幅を広げることができる。これにより、LDモジュール4の結合効率を低下させることなく、LDモジュール4の信頼性を向上させることができる。
【0135】
特に、本実施形態に係るLDモジュール4が備える導光装置は、レーザダイオードLDから出力されたレーザビームを、S軸径がこのレーザビームのS軸径の1/2となる部分ビーム束に変換することができる。このため、レーザダイオードLDと光ファイバOFとの結合効率を低下させることなく、レーザダイオードLDのエミッタ幅を2倍に広げることがでる。これにより、LDモジュール4の結合効率を低下させることなく、LDモジュール4の信頼性を飛躍的に向上させることができる。
【0136】
〔第5の実施形態〕
本発明の第5の実施形態に係るLDモジュール5について、
図9及び
図10を参照して説明する。
図9は、LDモジュール5の構成を示す平面図である。
図10は、LDモジュール5の各部におけるレーザビーム、部分ビーム、又は部分ビーム束のビーム断面を示す断面図である。
【0137】
LDモジュール5は、第1の実施形態に係るLDモジュール1においてレーザダイオードLD、コリメートレンズCL1、分割ミラーDM、及び第1反射ミラーRM1を複数化したものである。すなわち、LDモジュール5は、
図9に示すように、複数のレーザダイオードLDa〜LDc、同数のコリメートレンズCL1a〜CL1c、同数の分割ミラーDMa〜DMc、同数の第1反射ミラーRM1a〜RM1c、第2反射ミラーRM2、偏波回転素子PRE、偏波ビームコンバイナPBC、集光レンズCL2、及び光ファイバOFを備えている。なお、レーザダイオードLDa〜LDcの個数は、
図9において3としているが、2以上の任意の自然数であり得る。
【0138】
LDモジュール5において、コリメートレンズCL1a、分割ミラーDMa、第1反射ミラーRM1a、第2反射ミラーRM2、偏波回転素子PRE、偏波ビームコンバイナPBC、及び集光レンズCL2により構成される第1の導光装置は、第1の実施形態に係るLDモジュール1の導光装置と同様、第1のレーザダイオードLDaから出力されたレーザ光を光ファイバOFに導く機能を担う。
【0139】
また、LDモジュール5において、コリメートレンズCL1b、分割ミラーDMb、第1反射ミラーRM1b、第2反射ミラーRM2、偏波回転素子PRE、偏波ビームコンバイナPBC、及び集光レンズCL2により構成される第2の導光装置は、第1の実施形態に係るLDモジュール1の導光装置と同様、第2のレーザダイオードLDbから出力されたレーザ光を光ファイバOFに導く機能を担う。
【0140】
また、LDモジュール5において、コリメートレンズCL1c、分割ミラーDMc、第1反射ミラーRM1c、第2反射ミラーRM2、偏波回転素子PRE、偏波ビームコンバイナPBC、及び集光レンズCL2により構成される第3の導光装置は、第1の実施形態に係るLDモジュール1の導光装置と同様、第3のレーザダイオードLDcから出力されたレーザ光を光ファイバOFに導く機能を担う。
【0141】
なお、LDモジュール5においては、レーザダイオードLDa〜LDcの位置をy軸方向に異ならせている。これにより、各レーザダイオードLDa〜LDcから出力されたレーザビームは、互いに干渉することなく光ファイバOFに導かれる。
【0142】
〔第6の実施形態〕
本発明の第6の実施形態に係るLDモジュール6について、
図11及び
図12を参照して説明する。
図11は、LDモジュール6の構成を示す平面図である。
図12は、LDモジュール6の各部におけるレーザビーム、部分ビーム、又は部分ビーム束のビーム断面を示す断面図である。
【0143】
LDモジュール6は、第5の実施形態に係るLDモジュール5において、分割ミラーDMa〜DMcを第1二連反射ミラーDRM1a〜DRM1cに置き換えると共に、第1反射ミラーRM1a〜RM1cを第2二連反射ミラーDRM2a〜DRM2cに置き換えたものである。すなわち、LDモジュール6は、
図11に示すように、複数のレーザダイオードLDa〜LDc、同数のコリメートレンズCL1a〜CL1c、同数の第1二連反射ミラーDRM1a〜DRM1c、同数の第2二連反射ミラーDRM2a〜DRM2c、第2反射ミラーRM2、偏波回転素子PRE、偏波ビームコンバイナPBC、集光レンズCL2、及び光ファイバOFを備えている。なお、レーザダイオードLDa〜LDcの個数は、
図11において3としているが、2以上の任意の自然数であり得る。
【0144】
LDモジュール6において、コリメートレンズCL1a、第1二連反射ミラーDRM1a、第2二連反射ミラーDRM2a、第2反射ミラーRM2、偏波回転素子PRE、偏波ビームコンバイナPBC、及び集光レンズCL2により構成される第1の導光装置は、第5の実施形態に係るLDモジュール5の第1の導光装置と同様、第1のレーザダイオードLDaから出力されたレーザ光を光ファイバOFに導く機能を担う。ただし、第1二連反射ミラーDRM1a及び第2二連反射ミラーDRM2aは、部分ビームのビーム断面を90°回転させる機能を有しているので、部分ビームのS軸は、y軸と平行になる。
【0145】
また、LDモジュール6において、コリメートレンズCL1b、第1二連反射ミラーDRM1b、第2二連反射ミラーDRM2b、第2反射ミラーRM2、偏波回転素子PRE、偏波ビームコンバイナPBC、及び集光レンズCL2により構成される第2の導光装置は、第5の実施形態に係るLDモジュール5の第2の導光装置と同様、第2のレーザダイオードLDbから出力されたレーザ光を光ファイバOFに導く機能を担う。ただし、第1二連反射ミラーDRM1b及び第2二連反射ミラーDRM2bは、部分ビームのビーム断面を90°回転させる機能を有しているので、部分ビームのS軸は、y軸と平行になる。
【0146】
また、LDモジュール6において、コリメートレンズCL1c、第1二連反射ミラーDRM1c、第2二連反射ミラーDRM2c、第2反射ミラーRM2、偏波回転素子PRE、偏波ビームコンバイナPBC、及び集光レンズCL2により構成される第3の導光装置は、第5の実施形態に係るLDモジュール5の第3の導光装置と同様、第3のレーザダイオードLDcから出力されたレーザ光を光ファイバOFに導く機能を担う。ただし、第1二連反射ミラーDRM1c及び第2二連反射ミラーDRM2cは、部分ビームのビーム断面を90°回転させる機能を有しているので、部分ビームのS軸は、y軸と平行になる。
【0147】
なお、LDモジュール6においては、第1二連反射ミラーDRM1a〜DRM1cの位置をz軸方向に異ならせると共に、第2二連反射ミラーDRM2a〜DRM2cの位置をz軸方向に異ならせている。これにより、各レーザダイオードLDa〜LDcから出力されたレーザビームは、互いに干渉することなく光ファイバOFに導かれる。
【0148】
〔付記事項〕
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。