特許第6333876号(P6333876)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テーセェーテク スウェーデン アクチエボラグの特許一覧

特許6333876成形型または金型を加熱する装置および方法
<>
  • 特許6333876-成形型または金型を加熱する装置および方法 図000004
  • 特許6333876-成形型または金型を加熱する装置および方法 図000005
  • 特許6333876-成形型または金型を加熱する装置および方法 図000006
  • 特許6333876-成形型または金型を加熱する装置および方法 図000007
  • 特許6333876-成形型または金型を加熱する装置および方法 図000008
  • 特許6333876-成形型または金型を加熱する装置および方法 図000009
  • 特許6333876-成形型または金型を加熱する装置および方法 図000010
  • 特許6333876-成形型または金型を加熱する装置および方法 図000011
  • 特許6333876-成形型または金型を加熱する装置および方法 図000012
  • 特許6333876-成形型または金型を加熱する装置および方法 図000013
  • 特許6333876-成形型または金型を加熱する装置および方法 図000014
  • 特許6333876-成形型または金型を加熱する装置および方法 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6333876
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】成形型または金型を加熱する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/02 20060101AFI20180521BHJP
   B29C 35/08 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   B29C33/02
   B29C35/08
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-53203(P2016-53203)
(22)【出願日】2016年3月17日
(62)【分割の表示】特願2014-518488(P2014-518488)の分割
【原出願日】2012年6月8日
(65)【公開番号】特開2016-153237(P2016-153237A)
(43)【公開日】2016年8月25日
【審査請求日】2016年4月14日
(31)【優先権主張番号】61/501,976
(32)【優先日】2011年6月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513325155
【氏名又は名称】テーセェーテク スウェーデン アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】TCTech Sweden AB
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ヤーデルバリ,ヨーン
【審査官】 ▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/133406(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/089883(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00−35/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作用面を用いてブランクをエンボス加工/加圧成形する金型であって、前記作用面に上部層(25)を含む積層体を有し、前記上部層が、エンボス加工/加圧成形中に加熱される金型において、前記作用面から見て、前記積層体内で、前記上部層の下にある2つの層間に画定され、前記作用面の大部分の下に延び、少なくとも一部が流体で満たされる空洞(47)を備え、
前記上部層が導電性を有し、前記上部層が、エンボス加工/加圧成形中に、前記積層体内のコイルによって誘導された電流で加熱され、前記コイルが前記空洞の下に配置されていることを特徴とする金型。
【請求項2】
請求項1に記載の金型において、前記作用面がブランクと接触しない状態で、すでに前記空洞内の圧力が大気圧よりも高く、そのため、前記上部層がある程度出っ張ることを特徴とする金型。
【請求項3】
作用面を用いてブランクをエンボス加工/加圧成形する金型を使用する製造方法であって、前記金型は、前記作用面に上部層を含む積層体を有し、前記上部層は、エンボス加工/加圧成形中に加熱される金型において、前記作用面から見て、前記積層体内で、前記上部層の下にある2つの層間に画定される空洞を介して前記ブランクに圧力を加え、前記空洞は、前記作用面の大部分の下に延び、少なくとも一部が流体で満たされ、
前記上部層が導電性を有し、前記上部層が、エンボス加工/加圧成形中に、前記積層体内のコイルによって誘導された電流で加熱され、前記コイルが前記空洞の下に配置されていることを特徴とする製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の製造方法において、前記作用面がブランクと接触しない状態で、すでに前記空洞内の圧力が大気圧よりも高く、そのため、前記上部層がある程度出っ張ることを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、樹脂またはプラスチック材料を成形するのに使用する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック材料を成形する金型内に加熱部分を設けることが提案された。加熱は、誘導加熱によって、すなわち、高周波ACパルスを供給されるコイルを用いて行うことができる。これは、射出成形およびプラスチックブランクのエンボス加工/加圧成形で使用することができる。コイルは、渦電流を誘導することによって、再成形されるプラスチック材料に面する表面の周辺で成形型または金型を加熱する振動磁界を発生させる。
【0003】
金型または成形型表面の周辺を流れる水などの流体を用いて冷却を行うこともできる。
【0004】
そのような加熱を行う様々な方法が開示されている。米国特許出願公開第2009/0068306A号明細書では、磁界をもたらすコイル担体部分を有する構造物が示されている。コイル担体は、ソフトフェライトとして機能し、PERMEDYN MF1などの互いに電気絶縁された磁性粒子を含む。成形型面または金型面に近接して、例えば、オーステナイト鋼の形態の上部部分があり、このオーステナイト鋼は特に強磁性ではなく、コイルによって誘導された渦電流から熱を発生させるのに適した、例えば、約7x10−7Ωmの抵抗を有する。上部部分から見てコイル担体の他方の側には、例えば、銅でできたバックプレートがあり、このバックプレートは、上部部分よりもかなり低い抵抗を有する。バックプレートは、誘導された渦電流をコイルの背面で短絡させる。上部部分の上面には、成形型または金型内の樹脂またはブランクに複製されるパターンを含むスタンパがある。この材料の積層体は、上部部分に近接した冷却ダクトを有する。
【0005】
米国特許出願公開第2009/0239023A号明細書では、上記の材料積層体に、コイル担体部分を上部部分から分離するもう1つの層が設けられた、さらに発展した構造体が示されている。この中間層は、磁気的および電気的には概ね不感であるが高い機械抵抗を有するセラミック材料で構成することができる。冷却ダクトは、この中間層に配置することができる。中間層の機械抵抗が高いことは、上部部分を薄くすることができ、ひいては上部部分が低い比熱を有することを意味する。それにより、上部部分を素速く冷却および加熱できるので、サイクルをより短くすることができる。さらに、冷却ダクトは、上部部分との接触を回避することができるので、ダクト内の水を沸騰させることなく、より高い温度を使用することができる。
【0006】
公知の技術にまつわる1つの問題は、そのような金型を必要とするプロセスの効率をどのようにしてさらに改良し、コスト効率のよい態様でそれを行うかである。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本開示の1つの目的は、効率を改善した金型を得ることである。
【0008】
この目的は、請求項1に定義した金型を用いて達成される。より具体的には、加熱装置を含む射出成形金型またはエンボス加工/加圧成形金型などの金型は、作用金型面を加熱する積層体を含む。積層体は、振動磁界を発生させる少なくとも1つの巻きコイルを含むコイル担体層と、作用金型面に隣接する導電性上部層と、上部層から見てコイル担体層の下に配置された裏当て層とを含み、裏当て層は、コイル巻線が方向を変える縁部で上部層に電気接続され、上部層よりも低い抵抗を有する。導電性中間層は、コイル担体層と上部層との間に配置され、中間層は、上部層よりも低い抵抗を有する。対応する製造方法も検討される。
【0009】
そのような積層体において、中間層は、エネルギを上部層に非常に効率的に伝達することができ、同時に、加圧成形/エンボス加工が行われる場合に、かなりの機械荷重を受けることができる。
【0010】
熱抵抗層は、中間層と上部層との間に配置することができる。例えば、ガラスでできたそのような層は、上部層から熱が逃げるのをある程度遅らせ、それにより、製造サイクル中の上部層のピーク温度を上げる。
【0011】
中間層には、冷却媒体を移送するための冷却ダクトを設けることができる。これは、製造サイクルを短縮することができる。
【0012】
上部層の抵抗は、1x10−7〜1x10−6Ωmの範囲をとることができ、中間層は、1〜3x10−8Ωmの範囲の抵抗を有することができる。
【0013】
目的は、作用面でブランクをエンボス加工/加圧成形する金型を用いてさらに達成され、その金型は、導電性上部層を有し、導電性上部層は、作用面から見て上部層の下に配置されたコイルによって誘導された電流で加熱される。裏当て層は、作用面から見てコイルの下に配置され、裏当て層は、上部層よりも低い抵抗を有し、少なくとも、コイルの巻線が方向を変える両縁部で上部層に接続される。上部層よりも低い抵抗を有し、作用面を囲む導電フレームが設けられて、上部層は、少なくともその縁部の一部の近くで導電フレームに載る。対応する製造方法も検討される。
【0014】
これは、裏当て層と上部層との間を良好に接続して、上部層の加熱を改善し、それと同時に、上部層が導電フレームの上面で浮動するのを可能にする。
【0015】
上部層は、コイルの巻線が方向を変える縁部において、上部層の縁部から離れた位置で導電フレームに載ることができるので、上部層のこの縁部は、電流が裏当て層から上部層に流れるときに、上部層の内側部分よりも程度を落として加熱される。これは、例えば、光ガイドプレートを製造する場合に有益であり、さもなければ、溶融縁部が、プロセスの歩留まりを低くする光学的な欠陥をもたらすことがある。
【0016】
クランプ装置は、作用面から見て導電フレームの下に配置することができる。クランプ装置は、電流が裏当て層から上部層に流れる段階時に、導電フレームを上部層に押し付けることができるように、クランプ装置が載った層に対して移動することができる。これは、導電フレームと上部層との間の導電性を改善する。
【0017】
クランプ装置は、閉じた空間が間に形成されるように、一方が他方を囲み、両方が金型の作用面を囲む2つの圧縮封止リングと、閉じた空間内の圧力を上げるために、流体を前記閉じた空間に押し込み、それにより、封止リングを高くしてクランプ動作を行うための、導管などの手段とを有するフレームとして構築することができる。
【0018】
上部層は、上側上部層および下側上部層に分割することができ、上側上部層は、裏当て層の抵抗よりも高い均一な抵抗を有する金属を含み、下側上部層は、作用面で発生する熱が作用面上で一様でないように、様々な抵抗をもったパターンを有する。これにより、作用面上の熱の発生を意図的に一様でないようにすることができる。
【0019】
目的は、金型の作用面でブランクをエンボス加工/加圧成形する金型を用いて達成することもでき、金型は、作用面に上部層を含む積層体を有し、上部層は、エンボス加工/加圧成形時に加熱される。積層体内で、作用面から見て上部層の下の2つの層間に空洞が画定され、空洞は、作用面の大部分の下に延び、少なくとも一部が流体で満たされる。これは、圧力が空洞全体にわたって均一になるので、金型の作用面にかかる圧力を均一にする。対応する製造方法も検討される。
【0020】
作用面がブランクに接触しない状態で、空洞内の圧力が大気圧よりも高くなるように前もって空洞内の圧力を上げて、上部層がある程度出っ張るようにすることが可能である。これは、金型の作用面がブランクと接触する部分から任意のエアポケットを抜くように機能する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、ブランクをエンボス加工/加圧成形する金型を概略的に示している。
図2図2は、射出成形金型を概略的に示している。
図3図3は、金型面を効率的に加熱するように設計された積層体を概略的に示している。
図4図4は、エンボス加工/加圧成形金型半体の斜視図を示している。
図5図5は、2つの断面A−AおよびB−Bの位置を示す、図4の金型半体の上面図を示している。
図6図6は、図3の層内での電流の誘導を概略的に示している。
図7図7は、金型面の場合の短縁部における、図4の金型半体のA−A断面図を示している。
図8図8は、金型面の場合の長縁部における、図4の金型半体のB−B断面図を示している。
図9図9Aは、図8の断面図の細部を示している。図9Bは、図8の断面図の細部を示している。
図10図10は、図7の断面図の細部を示している。
図11図11は、上部層と裏当て層との間の良好な電気接続を確立するために、上部層がどのように導電フレームに載ることができるかを示している。
図12図12Aは、パターン付きの下側上部層をどのように使用して、上部層の作用面上の熱の発生を多様にすることができるかを示している。図12Bは、パターン付きの下側上部層をどのように使用して、上部層の作用面上の熱の発生を多様にすることができるかを示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示は、樹脂またはプラスチック材料を成形するのに使用する装置および方法に関する。以下の説明は、主に、プラスチックブランクをエンボス加工するシステムについて説明するが、当業者には分かるように、本明細書で説明する多くの技術的問題解決策は、射出成形および他のプロセスに同様に適用可能である。
【0023】
図1は、ブランク1をエンボス加工/加圧成形する金型を概略的に断面で示している。金型は、2つの金型半体3、5を有する。2つの金型半体のそれぞれ、または一方には、加熱装置7を設けることができる。エンボス加工において、プラスチックの固体片であるブランク1は、金型内で熱および圧力を加えることで、すなわち、ブランク1に面した半体の作用面で半体を加熱しながら、半体を互いに押し付けることで、一定の範囲で再成形される。通常では、表面パターンが付けられる。この技術が使用される一例は、バックライト付き平面パネルLCDテレビ画面用の光ガイドを製造する場合である。この場合に、透明の長方形プラスチックシートには、その一方の平面に微細表面パターンが設けられる。シートの縁部が光を当てられると、表面パターンにより、導入光が表面一面に均一に光ガイドから出て行く。そのようなパターンは、下記に開示する金型システムで説明するスタンパ/上部層によって得ることができる。エンボス加工を用いて製造される他の製品として、例えば、フレネルレンズも考えられる。表面パターンを設けること(エンボス加工)に加えて、またはそれに代えて、例えば、ブランクを曲げること(加圧成形)も可能である。サイクル時間が比較的短い場合、能動的な加熱および冷却が行われる。
【0024】
図2に概略的に示す射出成形とは、固形物を形成するために、(矢印で示すように)溶融樹脂9をノズル13から空洞11に射出することを意味する。下記に説明する金型用の加熱装置7は、そのような空洞を加熱するために使用することができ、空洞11を画定する1つまたは複数の金型部品15、17内に配置することができる。これは、加熱されない成形型と比較して、完成品におけるより薄い構造体およびより微細なパターンの形成を可能にする。同時に、特に、製造サイクルの一部中に、例えば、冷却ダクト内を流れる流体によって、成形型が、能動的にも冷却される場合、より短い製造サイクルが可能になる。開示される加熱技術は、吹き込み成形プロセスにも有用であり得る。
【0025】
図3は、作用金型面31を効率的に加熱するように設計された積層体を断面図で概略的に示している。ここでは、作用金型面とは、再成形されるプラスチックまたは樹脂と接触した状態になる面を意味する。積層体は、成形型または金型を加熱するのに使用できる誘導コイル19を有する。積層体は、コイル担体層21、電気的に活性の中間層23、上部層25、裏当て層27、および熱抵抗層29を有する。
【0026】
コイル担体層21は、巻きコイル19を含み、例えば、室温で300の高い相対透磁率と、例えば、2.5x10−3Ωmの非常に高い電気抵抗とを有する材料でできている。したがって、磁界を伝達しやすいが、電流をほとんど流さない材料である。これは、コイル担体層21が、コイル19によってコイル担体層内に発生した磁界を他の層に伝達し、適合させるが、コイル担体層21自体に渦電流をほとんど誘導しないことを意味する。コイル19は開放溝に置かれ、コイル担体の表面にわたって均一な分布の磁界をもたらす。PERMEDYN MF1(商標)は、コイル担体層用の1つの適切な材料と考えられ、電気絶縁樹脂によって共に固められた粒状の強磁性材料を含む。通常、コイル担体の厚さは、典型的には10〜30mmの範囲内をとることができる。
【0027】
電気的に活性の中間層23は、銅またはアルミニウムなどの抵抗が非常に低い(通常、1〜3x10−8Ωm以下)金属を含む。この層は、コイルが層内に電流を誘導したときに活性とされる。しかし、抵抗はそのように低いので、これらの電流は、熱をほとんど発生させない。層の厚さは、典型的には10〜30mmとすることができ、相対透磁率はほぼ1とすることができ(非強磁性)、熱伝導率は、典型的には100〜400W/m/Kとすることができる。
【0028】
上部層25は、活性中間層23よりも高い抵抗を有する金属を含むことができる。1〜2mm厚さのオーステナイト鋼は1つの適切な例である。抵抗がより高いので、上部層25は、コイル19によって誘導され、活性中間層23を経由した渦電流によって熱が発生する層である。
【0029】
上部層部分は、非強磁性とすることができ、抵抗は、典型的には1x10−7〜1x10−6Ωmの範囲をとることができる。したがって、上部部分は導電性であるが、中間層よりも導電性がかなり低い。
【0030】
上部層を2つの副層に分割するのが適切なことがある。例えば、微細構造がスタンパによって複製される場合に、スタンパは、電気めっきで処理されたニッケルで適切に作製することができる。ニッケルは強磁性であるので、(作用面ではなくて)コイルの方を向いたニッケル副層の面は加熱され、これは、層が薄くできるのが好ましい1つの理由である。他の理由は、厚い材料を電気めっきするのは時間がかかることである。
【0031】
上部部分に全体としてある程度の厚さをもたせるために、薄いニッケル層(例えば、0.7mm)をオーステナイト非強磁性層(例えば、1.0mmの厚さ)の上面に置くことができる。これは均一な熱分布を保証する。さらに別の代替案として、製造するのに費用がかかることがあるが、厚さが1〜2mmのニッケル層がある。
【0032】
裏当て層27(例えば、2〜15mmの厚さ)は、加工される樹脂またはブランクに面する表面31から見てコイル担体層21の他方の側に設けられ、活性中間層23と同じ材料で作製することができる。裏当て層27は、図3にきわめて概略的に示され、後でさらに説明される接続器33を用いて上部層25に電気接続されている。
【0033】
熱抵抗層29は、活性中間層23と上部層25との間に配置することができる。熱抵抗層29は、上部層25が、より高いピーク温度に達することができるように、上部層25から活性中間層23への熱の伝達をある程度妨害するように機能する。この層がない場合、より多くの熱が上部層25から連続的に逃げ、活性中間層23に伝達されるので、サイクル中に上部層内がより低いピーク温度になる。
【0034】
熱抵抗層の厚さは、その熱伝導特性に応じて、例えば、1〜5mmの範囲をとることができる。これは、高い最高温度(厚い)と短いサイクル時間(薄い)との間の兼ね合いで選択することができる。層は、電気的に絶縁することができ、熱伝導率は、典型的には約1W/m/Kとすることができる。相対透磁率は、ほぼ1(非強磁性)とすることができる。ガラスが、1つの適切な材料と考えられる。
【0035】
また、熱抵抗層により、強磁性の上部層(例えば、ニッケル)を使用することがあまり問題でなくなる。強磁性材料の表皮効果により、上部層のコイルの方を向いた側が主に加熱されることになる。しかし、熱抵抗層があるために、この熱エネルギは、活性中間層に伝達されるよりもむしろ作用面に伝達される。
【0036】
使用できる層材料およびその厚さの一例を下記に示す。
【0037】
シミュレーションでは、周波数25kHz、電力体積密度1.5x10W/mでAC電力を加えた場合、10秒後の上部層の温度上昇は200℃である。同時に、裏当て層の温度は約3℃だけ上昇し、コイル担体の温度は約6℃上昇し、中間層の温度は約15℃上昇する。
【0038】
図4は、エンボス加工または加圧成形金型半体の斜視図を示している。この金型は、42インチLCDテレビ用のプラスチック光ガイド、すなわち、寸法が約930x520mmの基材/ブランクをエンボス加工するのに使用することができる。対向する半体(図示せず)は、示した半体の概ね鏡像とすることができ、これ以上説明しない。金型は、図3で概説したコンセプトに合わせて構築され、金型半体を担持し、加圧成形機能を提供するのに必要とされるすべての機械連結器を含む基礎プレート43上に構築されている。
【0039】
図5は、図4の金型半体の小さい上面図を示し、金型加熱の全体的な作動原理を簡単に説明した後、詳細に説明される、2つの断面であるA−AおよびB−Bの位置を示している。
【0040】
図6は、図3の層内の電流の誘導を示し、図3の積層体の分解斜視図である。示した例では、上部層25は、長辺35が930mm、短辺37が520mmの長方形である。他の層は同じ形状を有する。コイル担体層21は、長方形の短辺37と平行な方向に巻線を有するコイル19を巻き付けられている、すなわち、巻線の折り返し部が長辺に配置されている。高周波ACパルスがコイル19に加えられると、コイル19内の電流に対応する電流39が活性中間層23の下側面に誘導される。この電流は、活性中間層23の表面で閉じた電流ループを形成して、活性中間層23の下側面で、隣接するコイル電流と逆平行に流れ、(上部層25から見た)上側面で同じコイル電流と平行に流れる。これらの電流は、活性中間層の長縁部で相互接続され、電流は、表皮効果のために、主に活性中間層の表面に近接して存在する。次に、活性中間層23の上面のAC電流は、上部層25に電流40を誘導する。上部層25は高い抵抗を有するので、この層は、かなりの量の熱を発生させる。上部層は、その長辺で接続器33を用いて連続的に、またはある程度の間隔を置いて裏当て層27に電気接続されて、この電流が上部層の表面全体にわたって流れるのを可能にする。
【0041】
コイル担体の裏面のコイルは、活性中間層におけるのと同様に、裏当て層27に電流を誘導する。この電流は、電流40と同じ方向を有し、電流40に重ね合わされる。その抵抗が低いために、ごくわずかな熱が裏当て層27に発生する。
【0042】
活性中間層23には、成形型または金型の冷却を可能にする冷却ダクト(図示せず)を設けることができる。ダクトは、水またはオイルなどの冷却媒体を移送する。流れは、製造サイクルの一段階だけの間冷却するために連続的でよいし、またはパルス状であってもよい。
【0043】
図7を参照して、図5のA−A断面が、図4の斜視図を随時参照しながら、以下にさらに詳細に説明される。
【0044】
図3の概略図に対応する積層体が、基礎プレート43上に構築されている。最初に、裏当て層プレート27が基礎プレート43上に配置され、続いてコイル担体21が配置され、示した例では、コイル担体21は、それぞれがコイル(図示せず)を担持する7つのコイル部45を有する。これらのコイルには、それぞれ個別のインバータからではあるが、互いに同期して給電することができる。これは、絶縁条件があまり厳しくないので、共通のインバータを用いてコイル部に給電するのと比較して有利である。
【0045】
示した例では、コイル担体21上に置かれた活性中間層23は、2つの副層39、41からなり、後で説明される冷却チャネル(図7では見えない)を含む。第1の副層39は、第1の副層39および第2の副層41が、作用金型面の大部分の下に延びることができる平坦な空洞47を共同して画定するように、機械加工によって窪みを付けられている。動作時、この空洞は、流体で満たすことができ、後で説明するように、流体均圧器として機能する。
【0046】
第2の活性中間副層41は、流体分割器ブロック51によって流体を供給される冷却ダクトを内包し、流体分割器ブロック51は、段階的に、主流れを各ダクトごとに1つの複数の均等な副流れに対称に分割する。第2の副層41の上面には熱抵抗層29が配置され、続いて上部層/スタンパ25が配置されている。
【0047】
図4に示す金型半体で使用できる材料および厚さの例を下記に示す。
【0048】
各金型半体は、同期して給電される、それぞれ巻線ターン数が22の7つのコイルを有することができ、各コイルは、エンボス加工時に25kW/25kHz/10秒のパルスを給電される。
【0049】
図8は、金型半体の短縁部における、図5の金型半体からの図5のB−B断面図を示している。断面図は、基礎プレート43、裏当てプレート27、コイル担体21、および空洞47が間にある、活性中間層の2つの副層39、41を示している。熱抵抗層29および上部層/スタンパ25も示されている。
【0050】
第2の活性中間副層41は、金型の作用領域、すなわち、加圧および加熱が行われる領域の長手方向に延びる冷却ダクト53を内包する。冷却ダクト53は、示した例に見られるように、第2の副層41の全長にわたる長い穴としてドリル加工することができる。穴は、両端で塞ぐことができ、穴が塞がれた縁部の近くで副層41の平面を貫通する接続穴を設けることができる。接続穴は、流体分割器ブロックに接続することができる。
【0051】
ドリル加工穴53の形態の冷却ダクトを設ける1つの可能な代替案は、第2の副層41を2つの副層として設け、これらの副層の一方または両方の平面に溝を機械加工することで冷却ダクトを形成することである。
【0052】
図8はさらに、裏当て層27を上部層25と接続する接続バー55を示している。接続バー55は、熱生成電流が上部層25を流れるのを可能にする接続(概略的に示した図3の33を参照のこと)を形成する。接続バーは、ねじ57、59を用いて、それぞれ裏当て層27と、上部層25が載った導電フレーム63とに取り付けられている。通常、そのような接続バーの1つは、図4に示すように、金型の各長辺でコイル部ごとに設けることができる。ギャップ61は、接続バー55と活性中間副層39、41との間に設けることができる。
【0053】
上記した積層体は、金型の良好な加熱を可能にする。ただし、示した金型は、以下にさらに詳細に説明する、複数のさらなる技術的問題解決策を必要とする。
【0054】
圧力の均等化
特に、光ガイドプレートを形成するためにブランクを加圧成形/エンボス加工する場合、加圧力を均等にし、剪断力をなくすことで、良好な光特性が得られる。図7および図8に示す、流体を充填した空洞47は、表面および金型にわたって圧力を均等にし、剪断力を全く伝達しない。能動的加熱なしに使用することができるし、または代替の能動的加熱手段と共に使用することもできるこの特徴がある結果として、流体を充填される空洞47が使用されない金型と比較して、完成品の品質および/または歩留まりが改善される。
【0055】
空洞47は、作用面の大部分の下に延びることができる。空洞内に形成される流体層は厚い必要はなく、4〜5mmが有用な一例であり得る。使用する流体は水でよいが、オイルも別の選択肢である。流体は、活性中間副層39、41間で圧縮され、何れかの副層の溝内に延びるシール79によって空洞内に閉じ込められ、溝は空洞47を囲む。金型に圧力をかけることで流体圧力が大幅に上昇する。この圧力は、空洞全体にわたって均一であり、作用面にわたる均一な圧力を保証する。
【0056】
空洞が液体で満たされて閉じられたときに、限定された量の空気を空洞に圧送することで、空洞内に正圧、例えば、0.5〜1barの超過圧力をかけることが可能である。これにより、第2の副層41および第2の副層41の上面の上の層が若干出っ張る。これは、圧力が金型半体とブランクとの間に加えられたときに、金型半体とブランクとの間にエアポケットが閉じ込められるのを回避できるという効果をもたらす。作用金型面の中央部分が最初にブランクを押し、押付力が高くなると、すべての空気を縁部に向かって排出する。しかし、エンボス加工が行われるときの最終的な圧力(例えば、2MPa)において、この出っ張り効果はごくわずかであり、最終的な結果に影響を及ぼさない。一方、この正圧により、金型半体とブランクとの間にエアポケットが閉じ込められる危険性を概ねなくすことができる。
【0057】
かけられた圧力を示すフィードバック信号を供給するために、流体と接触する圧力センサを設けることが可能である。
【0058】
上部層との接触の改善
上部層25は、多くの場合非常に薄くすることができ、加熱および冷却時に、それぞれある程度膨張および収縮することがあるとしても、電流が流入する縁部において、裏当て層27への信頼できる接続が形成されなければならない。これは、金型半体の作用面全体を囲む、例えば、銅でできた導電フレーム63によって達成することができる。上部層25は、上部層の縁部で、浮動する態様で導電フレーム63上に置かれる。これは図11にも示されている。
【0059】
したがって、図9Aに示すように、上部層25は、熱抵抗層29および導電層63上を浮動することができる。これは、上部層が、通常では上部層をその平面から外れて変形させることがあるねじなどの影響を受けることなく、膨張および収縮することができるので有益である。接続バー55が接続された導電フレーム63は、それでもなお、上部層25と裏当て層27との間を良好に接続する。
【0060】
上部層25と導電フレーム63との間の電気接触はさらに改善することができる。上部層は通常、長縁部間の最大電流として、25000アンペア程度を流すことができ、この電流が作用面の全長にわたって分散したとしても、電流密度は高い。
【0061】
上部層が浮動するのを可能にしながら、上部層25を良好に接触させるために、クランプ装置77が、導電フレーム63の下に設けられている。
【0062】
したがって、ブランクが2つの金型半体間で圧力をかけられた場合に、導電フレーム63を上部層25に押し付け、それにより、それらの間に良好な電気接触をもたらすクランプ装置77を機能させることが可能である。
【0063】
大きな振幅を有する電流が、主に、この例ではコイルが向きを変える長縁部で導電フレームと上部層との間を流れるが、上部層の周縁全体を囲んで、すなわち、短縁部でも、上部層と電流との間のクランプ効果を提供するのが好ましい。これは、例えば、上部層の隅部での望ましくない磁界異常を防止することができる。
【0064】
クランプ装置は、図9Aに示すように、導電フレーム63が載った、プラスチックなどの絶縁材料からなるフレーム77で構成することができる。このプラスチックフレームは、下側面の2つの溝と上側面の2つの溝とを有し、それらの溝の中に内側圧縮封止リング81、83および外側圧縮封止リング79、85が延びている。図9Aに示すように、溝が配置された内側領域におけるプラスチックフレーム77の厚さは、内側および外側封止リングの各対間に小空間87が形成されるように幾分薄くなっている。これらの空間は、内側および外側封止リング間でプラスチックフレーム77を貫通する穴によって相互接続することができる。例えば、導管を介して供給される圧縮空気を用いて、この閉じ込められた空間の圧力を高くすることで、封止リングは導電フレーム63を若干持ち上げ、それにより、クランプ動作をもたらす。
【0065】
ブランク縁部の熱プロファイル
上記のように光ガイドを製造する場合、縁部が特別な注意を必要とすることがある。樹脂がその縁部で溶融しすぎた場合、縁部において、光が意図しない形で漏れることがある。縁部でのブランクの厚さが薄くなることもある。同時に、ブランク面全体にわたって圧力をかけることが望ましい。
【0066】
これに対処する1つの方法は、確実に、ブランクが縁部であまり加熱されないようにすることである。これにより、加えた熱によって表面が溶融したブランクの内側部分を囲む「低温フレーム」ができる。この結果、光が漏れるといった縁部での光学的な欠陥が少ない、より均一な厚さの光ガイドを得ることができる。
【0067】
この特徴は、金型半体の長縁部および短縁部において、様々な方法で得ることができる。
【0068】
説明したように、図9Aおよび図9Bは、図8の断面図の細部を示している。金型半体の長縁部において、導電フレーム63の外側部分は、接続バー55にねじで連結されている。導電フレーム63の内側部分は、上部層/スタンパ25と接触している。上部層25は、図9Bに示すように、導電フレームの最も内側の部分の接触領域65において、導電フレーム63に重なり、その上で浮動する。接触領域65が導電フレーム本体から若干突出しているので、例えば、1mmの長さとすることができる接触領域65の外側で、上部層25と導電フレーム63との間に、例えば、0.2mmのギャップ67が形成されている。上部層25はまた、導電フレーム63の溝71に置かれた封止リング69に載っている。金型がエンボス加工後に開放された場合、上部層の後ろの圧力を低く維持することで、浮動する上部層25を所定の位置に保持することができる。導電フレーム63は、上部層の縁部からいくらか離れて上部層25と接触しているので、導電フレーム63によって導かれた電流73は、上部層の縁部からこの距離の位置で上部層に流入し、その結果、ブランクの縁部で、上部層の比較的加熱が少ない部分75が得られる。
【0069】
図10は、図7の断面図の細部を示している。この部分では、金型半体の短縁部において、導電フレーム63は、金型半体の長縁部を相互接続する分路として機能する。したがって、導電フレーム63のこの部分は、図10の断面図の平面に垂直に向けられた大きな電流が流れる。銅製の導電フレーム63は、上部層25と比較して非常に低い抵抗を有するので、この電流は、導電フレームをほとんど加熱しない。しかし、金型内の他のすべての電流と同じ周波数で交番するこの電流は、活性中間層の上部部分と導電フレームとの電流が反対方向であるため、次に、活性中間層23によって上部層25に誘導される磁界を打ち消す磁界を形成する。これは、上部層の誘導された磁界を上部層25の短縁部から強制的に遠ざけるので、この縁部も金型半体の内側部分ほど加熱されない。
【0070】
それにより、ブランクの縁部のまわりに、比較的低温のブランクフレームを得ることができる。
【0071】
図12Aおよび図12Bは、金型半体の作用面上の熱の発生を意図的に一様でないようにするさらなる方法を示している。この場合に、導電フレームに共に載った2つの副層を有する上部層が使用される(図11を参照のこと)。図12Aの上側上部層は、前述した、すなわち、例えば、ニッケル、オーステナイト鋼、またはニッケル−鋼の組み合わせなどの均一な強磁性または非強磁性層として構築することができる。
【0072】
図12Bの下側上部層は、パターンを形成することができる。通常、パターンは、加熱される領域に切り抜き部79を有する銅製シート77を含むことができる。瞬間電流の方向が、図12Bに矢印で示す通りの場合、上側上部層は、下側上部クレイヤ(clayer)が銅からなる領域でほとんど加熱されない。これらの領域では、電流は、より低い抵抗を有する下側層を通って流れる。切り抜き領域は、銅製シートと同じ厚さを有する、ガラスなどの絶縁材料で覆うことができる。これは、この領域において、電流が上側上部層に向かうようにし、それにより、上側上部層および作用面を加熱する。絶縁体の代替として、上側上部層と同様な、または同じ抵抗を有する、オーステナイト鋼などの材料を使用することができる。これにより、これらの領域において、上側および下側上部層の両方が加熱される。いずれにしても、結果として、より高温の小領域81が作用面にできる。これは、例えば、前述したように、それぞれが比較的低温の周囲フレームを有する2つのブランクを同時にエンボス加工するために使用することができる。様々な結果を得るために、作用面上での熱の発生を他の方法で変えることができると当業者には分かるであろう。1つの金型は、下側上部層を交換することで、多くの異なる方法で使用することができる。
【0073】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、添付の請求項の範囲内で様々に変更および改造することができる。例えば、図示したように、コイル巻線の折り返し部が、作用面の長縁部に配置されるのではなくて、コイルは、短縁部間に巻き付けることができる。上記のものと同様の特性を有する他の材料を使用することもできる。例えば、上部層のオーステナイト鋼の代わりに、例えば、フェライト鋼またはマルテンサイト鋼が考えられる。銅合金は、多くの場合、アルミニウム合金などに置き換えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12