(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記抗5T4抗体またはその抗原結合部分が、配列番号3を有するVH領域および配列番号4を有するVL領域からなる、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
切断可能なリンカーがマレイミドカプロイル−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル (mc−Val−Cit−PABA)である、請求項6に記載の医薬組成物。
前記抗5T4抗体またはその抗原結合部分が、配列番号3を有するVH領域および配列番号4を有するVL領域からなる、請求項13から15のいずれか一項に記載の、抗体−薬剤コンジュゲートまたはその薬学的に許容できる塩の使用。
前記抗5T4抗体またはその抗原結合部分が、配列番号1を有する重鎖および配列番号2を有する軽鎖からなる、請求項13から15のいずれか一項に記載の、抗体−薬剤コンジュゲートまたはその薬学的に許容できる塩の使用。
切断可能なリンカーがマレイミドカプロイル−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル (mc−Val−Cit−PABA)である、請求項18に記載の抗体−薬剤コンジュゲートまたはその薬学的に許容できる塩の使用。
LUがマレイミドカプロイルまたはmc−Val−Cit−PABAであり、DがMMAEである、請求項13から15のいずれか一項に記載の、抗体−薬剤コンジュゲートまたはその薬学的に許容できる塩の使用。
LUがマレイミドカプロイルまたはmc−Val−Cit−PABAであり、DがMMAFである、請求項13から15のいずれか一項に記載の、抗体−薬剤コンジュゲートまたはその薬学的に許容できる塩の使用。
LUがmc−Val−Cit−PABAであり、DがMMADである、請求項13から15のいずれか一項に記載の、抗体−薬剤コンジュゲートまたはその薬学的に許容できる塩の使用。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヒト5T4腫瘍関連抗原は、本発明の標的抗原である。5T4抗原が、腫瘍開始細胞(tumor−initiating−cell)とも呼ばれるある特定の高度に腫瘍形成性の細胞で高いレベルで発現することが、最近示されている(WO2010/111659)。腫瘍開始細胞は、標準的な治療法に対する耐性を示し、腫瘍の再発および転移の原因であると考えられており、したがって、ADCの開発のさらに別の障害をもたらしている。
【0005】
本発明の新規な抗5T4 ADCは、ADC技術に伴う課題を克服し、5T4抗原を発現する腫瘍細胞に結合し十分な細胞傷害性薬剤を細胞に送達する高度に特異的で強力なADCを提供し、こうして、革新的で効果的ながん治療を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、本発明の抗体−薬剤コンジュゲートは、式:Ab−(LU−D)pまたはその薬学的に許容できる塩を有する(式中、Abは、配列番号5で示されるVH CDR1領域、配列番号6で示されるVH CDR2領域、および配列番号7で示されるVH CDR3領域を有する重鎖可変領域を含む、抗5T4抗体またはその抗原結合部分であり、LUは、マレイミドカプロイルおよびマレイミドカプロイル−Val−Cit−PABAからなる群から選択されるリンカー単位であり、pは、約1から約8の整数であり、Dは、MMAE、MMAF、およびMMADからなる群から選択される薬剤単位である)。
【0007】
本発明はさらに、前記抗5T4抗体またはその抗原結合部分が、(a)配列番号5で示されるVH CDR1領域、(b)配列番号6で示されるVH CDR2領域、および(c)配列番号7で示されるVH CDR3領域を有する重鎖可変領域を含む、抗5T4抗体−薬剤コンジュゲートを提供する。
【0008】
本発明はさらに、前記抗5T4抗体またはその抗原結合部分が、(a)配列番号8で示されるVL CDR1領域、(b)配列番号9で示されるVL CDR2領域、および(c)配列番号10で示されるVL CDR3領域を有する軽鎖可変領域を含む、抗5T4抗体−薬剤コンジュゲートを提供する。
【0009】
本発明はさらに、前記抗5T4抗体またはその抗原結合部分が、(a)配列番号5で示されるVH CDR1領域、(b)配列番号6で示されるVH CDR2領域、および(c)配列番号7で示されるVH CDR3領域を有する重鎖可変領域、ならびに(a)配列番号8で示されるVL CDR1領域、(b)配列番号9で示されるVL CDR2領域、および(c)配列番号10で示されるVL CDR3領域を有する軽鎖可変領域をさらに含む、抗5T4抗体−薬剤コンジュゲートを提供する。
【0010】
本発明はさらに、前記抗5T4抗体またはその抗原結合部分が、配列番号3のVH領域および配列番号4のVL領域を含む、抗5T4抗体−薬剤コンジュゲートを提供する。
【0011】
本発明はさらに、前記抗5T4抗体が、配列番号1を有する重鎖および配列番号2を有する軽鎖からなる、抗5T4抗体−薬剤コンジュゲートを提供する。
【0012】
本発明はさらに、
(a)前記抗5T4抗体が、配列番号1を有する重鎖および配列番号2を有する軽鎖からなり、(b)前記LUがマレイミドカプロイルであり、(c)前記薬剤がMMAFであり、(d)pが約4の整数である、
抗5T4抗体−薬剤コンジュゲートを提供する。
【0013】
本発明はさらに、
(a)前記抗5T4抗体が、配列番号1を有する重鎖および配列番号2を有する軽鎖からなり、(b)前記LUがマレイミドカプロイル−Val−Cit−PABAであり、(c)前記薬剤がMMAEであり、(d)pが約4の整数である、
抗5T4抗体−薬剤コンジュゲートを提供する。
【0014】
本発明はさらに、
(a)前記抗5T4抗体が、配列番号1を有する重鎖および配列番号2を有する軽鎖からなり、(b)前記LUがマレイミドカプロイル−Val−Cit−PABAであり、(c)前記薬剤がMMADであり、(d)pが約1から約8の整数である、
抗5T4抗体−薬剤コンジュゲートを提供する。
【0015】
本発明はさらに、(a)前記抗5T4抗体が、配列番号15を有する重鎖および配列番号2を有する軽鎖からなり、(b)前記LUがマレイミドカプロイル−Val−Cit−PABAであり、(c)前記薬剤がMMAEであり、(d)pが約1から約8の整数である、抗5T4抗体−薬剤コンジュゲートを提供する。
【0016】
本発明は、前記抗体がヒト5T4抗原上のエピトープを認識し、前記エピトープが配列番号11のアミノ酸配列のアミノ酸残基173〜258および282〜361を含む、抗5T4抗体−薬剤コンジュゲートを提供する。
【0017】
本発明は、上記の抗体−薬剤コンジュゲートおよび薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物を提供する。
【0018】
本発明はさらに、それを必要とする患者において5T4陽性のがんを治療する方法であって、前記患者に上記の抗体−薬剤コンジュゲートを投与するステップを含む、方法を提供する。
【0019】
本発明はさらに、前記がんが、膀胱、乳房、頸部、結腸、子宮内膜、腎臓、肺、食道、卵巣、前立腺、膵臓、肝臓、皮膚、胃、および精巣の癌腫からなる群から選択される、5T4陽性のがんを治療する方法を提供する。
【0020】
さらに好ましくは、本発明は、前記がんが、結腸直腸癌、乳癌、膵癌、および非小細胞肺癌からなる群から選択される、5T4陽性のがんを治療する方法を提供する。
【0021】
本発明はさらに、治療法における使用のための、上記の抗体−薬剤コンジュゲートを提供する。
【0022】
本発明はさらに、医薬の製造のための、上記の抗体−薬剤コンジュゲートの使用を提供する。
【0023】
本発明はさらに、前記使用が、5T4陽性のがんの治療のためのものであり、前記がんが、膀胱、乳房、頸部、子宮内膜、腎臓、肺、食道、卵巣、前立腺、膵臓、皮膚、胃、および精巣の癌腫からなる群から選択される、上記の使用を提供する。
【0024】
さらに好ましくは、本発明はさらに、前記使用が、5T4陽性のがんの治療のためのものであり、前記がんが、結腸直腸癌、乳癌、膵癌、および非小細胞肺癌からなる群から選択される、上記の使用を提供する。
【0025】
本発明はさらに、抗5T4抗体をコードする核酸、前記核酸を含むベクター、および前記ベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0026】
本発明はさらに、上記のベクターを含む宿主細胞を培養するステップ、および細胞培養物から抗体を回収するステップを含む、抗5T4抗体を生産するための方法を提供する。
【0027】
本発明はさらに、(a)細胞培養物から回収された抗体を取得するステップ、(b)前記抗体を、マレイミドカプロイルまたはマレイミドカプロイル−Val−Citからなる群から選択されるリンカー単位を介して、MMAE、MMAD、またはMMAFからなる群から選択される薬剤単位に化学的に連結させるステップ、および(c)抗体−薬剤コンジュゲートを精製するステップを含む、抗5T4抗体−薬剤コンジュゲートを生産するための方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、がんの治療のための抗5T4抗体−薬剤コンジュゲートを提供する。本発明がさらに容易に理解されるように、ある特定の用語をまず定義する。
【0029】
本開示において用いられる全てのアミノ酸の略記は、37C.F.R.§1.822(B)(I)に示されているように、米国特許商標庁によって認められているものである。
【0030】
5T4は、42kDaのグリコシル化されていない核を含む72kDaの高度にグリコシル化された膜貫通糖タンパク質である、5T4腫瘍胎児抗原を指す(US5,869,053を参照されたい)。ヒト5T4は、膀胱、乳房、頸部、結腸、子宮内膜、腎臓、肺、食道、卵巣、前立腺、膵臓、肝臓、皮膚、胃、および精巣の癌腫を含む、多くのがんタイプにおいて発現する。がん幹細胞または腫瘍開始細胞とも呼ばれる、高度に腫瘍形成性の細胞は、高レベルの5T4発現を有することが示されている(WO2010/111659)。本発明の抗5T4抗体は、ヒト5T4抗原を特異的に結合する抗体を含む(US2007/0231333を参照されたい)。
【0031】
「抗体」は、免疫グロブリン分子の可変領域内に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を介して、糖質、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどの標的に特異的に結合することができる、免疫グロブリン分子である。本明細書において用いられる場合、用語「抗体」は、インタクトなポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体だけではなく、そのあらゆる抗原結合断片(すなわち「抗原結合部分」)または一本鎖、抗体を含む融合タンパク質、および抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子のあらゆる他の修飾された立体配置も包含し、これには、例えば、限定はしないが、VHドメインおよびCH1ドメインから構成されるFab断片、Fab’断片、F(ab’)
2断片、およびFd断片、抗体の単一のアームのVLドメインおよびVHドメインから構成されるFv断片、単離された相補性決定領域(CDR)、scFv、単一ドメイン抗体(例えば、サメおよびラクダ抗体)、マキシボディ、ミニボディ、イントラボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、v−NAR、ならびにビス−scFvが含まれる。
【0032】
抗体は、IgG、IgA、またはIgM(またはそのサブクラス)などのあらゆるクラスの抗体を含み、また抗体は、何らかの特定のクラスのものである必要はない。抗体の重鎖の定常領域のアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンの5つの主要なクラス、すなわちIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMが存在し、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2にさらに分けることができる。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常領域は、それぞれ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および三次元立体配置は周知である。
【0033】
抗体の「可変領域」は、単独のまたは組み合わせた、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域を指す。当技術分野において知られているように、重鎖および軽鎖の可変領域は、それぞれ、超可変領域としても知られている、抗体の抗原結合部位の形成に関与する3つの相補性決定領域(CDR)によって接続されている、4つのフレームワーク領域(FR)から構成される。特にCDR領域の外側(すなわちフレームワーク領域内)のアミノ酸残基が置換された、目的の可変領域の変異体が所望であれば、目的の可変領域を、目的の可変領域と同一のカノニカルクラスのCDR1配列およびCDR2配列を含有する他の抗体の可変領域と比較することによって、適当なアミノ酸置換、好ましくは保存的なアミノ酸置換を同定することができる(ChothiaおよびLesk、J Mol Biol 196(4):901〜917、1987)。目的のCDRに隣接させるためのFRを選択する場合、例えば抗体をヒト化または最適化する場合、同一のカノニカルクラスのCDR1配列およびCDR2配列を含有する抗体のFRが好ましい。
【0034】
可変ドメインの「CDR」は、Kabat、Chothia、KabatおよびChothiaの両方の集積、AbM、接触の定義、ならびに/もしくは立体構造による定義、または当技術分野において周知のあらゆるCDR決定方法に従って同定される、可変領域内のアミノ酸残基である。抗体CDRは、Kabatらによって最初に定義された超可変領域として同定することができる。例えば、Kabatら、1992、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、NIH、Washington,D.C.を参照されたい。CDRの位置はまた、Chothiaらによって最初に記載された構造的ループ構造として同定することができる。例えば、Chothiaら、1989、Nature 342:877〜883を参照されたい。CDR同定のための他のアプローチには「AbM定義」が含まれ、これは、KabatとChothiaとの間の折衷であり、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェア(現在はAccelrys(登録商標))、または、MacCallumら、1996、J.Mol.Biol.、262:732〜745において記載されている、観察される抗原接触に基づくCDRの「接触定義」を用いて誘導される。本明細書においてCDRの「立体構造による定義」と呼ばれる別のアプローチにおいて、CDRの位置は、抗原結合へのエンタルピー寄与をもたらす残基として同定することができる。例えば、Makabeら、2008、Journal of Biological Chemistry、283:1156〜1166を参照されたい。さらに他のCDR境界の定義は、上記のアプローチの1つに厳密に従わなくてもよいが、それでも、特定の残基または残基群またはさらにCDR全体が抗原の結合に有意に影響を与えないという予測または実験的所見に照らして短くまたは長くなり得るものの、Kabat CDRの少なくとも一部とオーバーラップするであろう。本明細書において用いられる場合、CDRは、アプローチの組み合わせを含む、当技術分野において知られているあらゆるアプローチによって定義されたCDRを指し得る。本明細書において用いられる方法は、これらのアプローチのいずれかに従って定義されたCDRを利用し得る。2つ以上のCDRを含有するあらゆる所与の実施形態で、CDRは、Kabat、Chothia、拡張、AbM、接触、および/または立体構造による定義のいずれかに従って定義され得る。
【0035】
用語「モノクローナル抗体」(Mab)は、単一のコピーまたは例えばあらゆる真核生物、原核生物、もしくはファージのクローンを含むクローンに由来する抗体を指し、それを生産する方法を指すわけではない。好ましくは、本発明のモノクローナル抗体は、均質なまたは実質的に均質な集団で存在する。
【0036】
「ヒト化」抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有する、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはその断片(例えばFv、Fab、Fab'、F(ab')
2、または抗体の他の抗原結合部分配列)である、非ヒト(例えばマウス)抗体の形態を指す。好ましくは、ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)の残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有するマウス、ラット、またはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDRの残基によって置き換えられている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。
【0037】
用語「キメラ抗体」は、可変領域配列が1つの種に由来し定常領域配列が別の種に由来する抗体、例えば、可変領域配列がマウス抗体に由来し定常領域配列がヒト抗体に由来する抗体を指すものである。
【0038】
本発明の抗体は、当技術分野において周知の技術、例えば、組換え技術、ファージディスプレイ技術、合成技術、またはこのような技術の組み合わせ、または当技術分野において容易に知られる他の技術を用いて生産することができる(例えば、Jayasena,S.D.、Clin.Chem.、45:1628〜50(1999)、およびFellouse,F.A.ら、J.Mol.Biol.、373(4):924〜40(2007)を参照されたい)。
【0039】
以下の表1および2は、本発明の抗体のための好ましいCDRを示す。
【0042】
本発明は、
a)i)配列番号8および17からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するLCDR1、
ii)配列番号9および18からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するLCDR2、ならびに
iii)配列番号10および19からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するLCDR3
を含む軽鎖可変領域と、
b)i)配列番号5および22からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するHCDR1、
ii)配列番号6および23からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するHCDR2、ならびに
iii)配列番号7および24からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するLCDR3
を含む重鎖可変領域と
を含む、抗体またはその抗原結合部分を含む。
【0043】
本発明の好ましい抗体またはその抗原結合部分は、
a)配列番号8のLCDR1、配列番号9のLCDR2、および配列番号10のLCDR3を含むLCVR、ならびに
b)配列番号5のHCDR1、配列番号6のHCDR2、および配列番号7のHCDR3を含むHCVR
を含む。
【0044】
本発明の好ましいモノクローナル抗体は、本明細書において、A1(ヒト化抗5T4 IgG1抗体)、A1−IgG4(ヒト化抗5T4 IgG4抗体)、A3(マウス/ヒトキメラ抗体)、およびA3hu(ヒト化抗5T4 IgG1抗体)と呼ばれる。Mab A1、A1−IgG4、およびA3をコードするアミノ酸配列の配列番号を、以下の表3に示す。
【0046】
表現「抗原を認識する抗体」および「抗原に特異的な抗体」は、用語「抗原に特異的に結合する抗体」と、本明細書において区別せずに用いられる。
【0047】
抗5T4抗体−薬剤コンジュゲートは、リンカー単位分子(LU)を介して細胞傷害性薬剤部分(D)に連結している、本明細書において記載される抗5T4抗体またはその抗原結合部分を指す。
【0048】
リンカー単位(LU):LUは、薬剤への抗体の直接的または間接的な連結を説明する。mAbへのリンカーの付着は、様々な方法で、例えば、表面リジン、酸化糖質への還元的カップリング、および鎖間ジスルフィド連結の還元により遊離するシステイン残基を介して行われ得る。ヒドラゾン、ジスルフィド、およびペプチドに基づく連結を含む様々なADC連結系が、当技術分野において知られている。
【0049】
薬剤(D):薬剤は、生物学的なまたは検出可能な活性を有するあらゆる物質、例えば治療剤、検出可能な標識、結合剤など、およびインビボで活性作用物質に代謝されるプロドラッグである。薬剤およびペイロードという用語は、区別せずに用いられる。いくつかの実施形態において、薬剤は、オーリスタチンE(ドラスタチン−10の誘導体としても当技術分野において知られている)などのオーリスタチン、またはその誘導体である。オーリスタチンは、例えば、オーリスタチンEとケト酸との間で形成されるエステルであり得る。例えば、オーリスタチンEは、パラアセチル安息香酸またはベンゾイル吉草酸と反応して、それぞれAEBおよびAEVBを生産し得る。他の典型的なオーリスタチンには、AFP、MMAF、およびMMAEが含まれる。例示的なオーリスタチンの合成および構造は、米国特許第6,884,869号、米国特許第7,098,308号、米国特許第7,256,257号、米国特許第7,423,116号、米国特許第7,498,298号、および米国特許第7,745,394号において記載されており、そのそれぞれは、その全体が全ての目的で参照によって本明細書に組み込まれる。
【0050】
オーリスタチンは、微小管の力学ならびに核および細胞の分裂に干渉し、抗がん活性を有することが示されている。本発明のオーリスタチンは、チューブリンを結合し、5T4を発現する細胞または細胞系に対して細胞傷害性のまたは細胞増殖抑制性の効果を及ぼし得る。オーリスタチンまたは得られた抗体−薬剤コンジュゲートが所望の細胞または細胞系に対して細胞増殖抑制性のまたは細胞傷害性の効果を及ぼすかどうかを決定するために用いることができる多くの異なるアッセイが、当技術分野において知られている。化合物がチューブリンを結合するかどうかを決定するための方法は、当技術分野において知られている。例えば、Mullerら、Anal.Chem 2006、78、4390〜4397;Hamelら、Molecular Pharmacology、1995 47:965〜976;およびHamelら、The Journal of Biological Chemistry、1990 265:28、17141〜17149を参照されたい。
【0051】
薬剤またはペイロードの例は、DM1(メイタンシン、N2’−デアセチル−N2’−(3−メルカプト−1−オキソプロピル)−またはN2’−デアセチル−N2’−(3−メルカプト−1−オキソプロピル)−メイタンシン)、mc−MMAD(6−マレイミドカプロイル−モノメチルアウリスタチン−DまたはN−メチル−L−バリル−N−[(1S,2R)−2−メトキシ−4−[(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−3−[[(1S)−2−フェニル−1−(2−チアゾリル)エチル]アミノ]プロピル]−1−ピロリジニル]−1−[(1S)−1−メチルプロピル]−4−オキソブチル]−N−メチル−(9CI)−L−バリンアミド)、mc−MMAF(マレイミドカプロイル−モノメチルアウリスタチンFまたはN−[6−(2,5−ジヒドロ−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−1−イル)−1−オキソヘキシル]−N−メチル−L−バリル−L−バリル−(3R,4S,5S)−3−メトキシ−5−メチル−4−(メチルアミノ)ヘプタノイル−(αR,βR,2S)−β−メトキシ−α−メチル−2−ピロリジンプロパノイル−L−フェニルアラニン)およびmc−Val−Cit−PABA−MMAE(6−マレイミドカプロイル−ValcCit−(p−アミノベンジルオキシカルボニル)−モノメチルアウリスタチンEまたはN−[[[4−[[N−[6−(2,5−ジヒドロ−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−1−イル)−1−オキソヘキシル]−L−バリル−N5−(アミノカルボニル)−L−オルニチル]アミノ]フェニル]メトキシ]カルボニル]−N−メチル−L−バリル−N−[(1S,2R)−4−[(2S)−2−[(1R,2R)−3−[[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニルエチル]アミノ]−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル]−1−ピロリジニル]−2−メトキシ−1−[(1S)−1−メチルプロピル]−4−オキソブチル]−N−メチル−L−バリンアミド)からなる群から選択される。DM1は、チューブリン阻害剤であるメイタンシンの誘導体であり、一方、MMAD、MMAE、およびMMAFは、オーリスタチン誘導体である。本発明の好ましいペイロードは、mc−MMAFおよびmc−Val−Cit−PABA−MMAEからなる群から選択される。
【0052】
用語「エピトープ」は、抗体の抗原結合領域の1つまたは複数で抗体によって認識および結合され得る、分子の部分を指す。エピトープは、アミノ酸または糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面の配置から構成され、特異的な三次元構造特徴および特異的な電荷特徴を有することが多い。本明細書において用いられる用語「抗原性エピトープ」は、当技術分野において周知のあらゆる方法によって、例えば従来の免疫アッセイによって決定される、抗体が特異的に結合し得るポリペプチドの一部として定義される。「非線状エピトープ」または「立体構造的エピトープ」は、エピトープに特異的な抗体が結合する抗原性タンパク質内の不連続なポリペプチド(またはアミノ酸)を含む。
【0053】
本明細書において用いられる用語「結合親和性(K
D)」は、特定の抗原−抗体相互作用の解離速度を指すものである。K
Dは、会合速度または「オン速度(k
on)」に対する、「オフ速度(k
off)」とも呼ばれる解離速度の比率である。したがって、K
Dはk
off/k
onに等しく、モル濃度(M)として表される。これは、K
Dが小さいほど結合の親和性が強いということになる。したがって、1μMのK
Dは、1nMのK
Dと比較して弱い結合親和性を示す。抗体のK
D値は、当技術分野において良く確立されている方法を用いて決定することができる。抗体のK
Dを決定するための1つの方法は、表面プラズモン共鳴(SPR)を用いることによるもの、典型的にはBiacore(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムを用いるものである。
【0054】
本明細書において用いられる用語「特異的に結合する」は、抗体と5T4抗原との間の結合に言及するものであり、抗体は、25℃でSPRによって決定すると、約30nM未満のK
Dで5T4抗原を結合する。
【0055】
本明細書において用いられる薬学的に許容できる塩は、薬学的に許容できる、分子または高分子の有機塩または無機塩を指す。
【0056】
用語「効力」は、生物学的活性の測定値であり、IC
50、すなわち実施例3において記載されているように5T4陽性の細胞系の成長の50%を阻害するために必要な抗体の効果的濃度として示すことができる。あるいは、効力は、実施例4において示されるようにインビボでの腫瘍異種移植片(xenograft)モデルにおいて決定される抗腫瘍活性を指し得る。
【0057】
本明細書において用いられる用語「ポリヌクレオチド」または「核酸分子」は、DNA分子およびRNA分子を含むものである。核酸分子は、一本鎖または二本鎖であり得るが、好ましくは二本鎖DNAである。
【0058】
本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドは、以下のものを含み得る:変異体のコード配列のみ;変異体のコード配列およびさらなるコード配列、例えば機能的ポリペプチドまたはシグナル配列もしくは分泌配列もしくは前駆タンパク質配列;抗体のコード配列および非コード配列、例えばイントロンまたは抗体のコード配列の5’および/もしくは3’非コード配列。用語「抗体をコードするポリヌクレオチド」は、変異体のさらなるコード配列を含むポリヌクレオチドだけではなく、さらなるコード配列および/または非コード配列を含むポリヌクレオチドも包含する。特異的な宿主細胞/発現系に最適化されたポリヌクレオチド配列が所望のタンパク質のアミノ酸配列から容易に得られ得ることは、当技術分野において知られている(GENEART(登録商標)AG、Regensburg、Germanyを参照されたい)。
【0059】
本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドは、当技術分野において知られている天然に関連するまたは異種のプロモーター領域を含む、抗体のコード配列に作動可能に連結している発現制御ポリヌクレオチド配列を典型的に含む。好ましくは、発現制御配列は、真核宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトし得るベクターにおける真核生物プロモーター系であるが、原核宿主の制御配列もまた用いることができる。ベクターが適当な宿主細胞系に組み込まれると、宿主細胞を、ヌクレオチド配列の発現に、また必要に応じて抗体の収集および精製に適切な条件下で増殖させる。好ましい真核細胞系には、CHO細胞系、様々なCOS細胞系、HeLa細胞、骨髄腫細胞系、形質転換されたB細胞、またはヒト胚腎臓細胞系が含まれる。最も好ましい宿主細胞は、CHO細胞系である。
【0060】
本発明は、5T4抗原上の特異的エピトープに結合する抗体またはその抗原結合部分を包含する。同定されたエピトープは、アミノ酸残基173と252との間のヒト5T4抗原(配列番号11)との第1の接触を含み、アミノ酸残基276と355との間の第2の接触を含む、非線状エピトープまたは立体構造的エピトープである(実施例7を参照されたい)。したがって、本明細書において記載されるCDRならびに重鎖および軽鎖の可変領域は、5T4抗原の上記のエピトープに特異的なCDRを採用して、タンパク質の結合親和性を維持する完全長抗体ならびに機能的断片および類似体を作製するために用いられる。
【0061】
本発明の抗体の結合親和性は、SPRを用いて決定される(実施例6)。これらの実験において、5T4抗原は、低密度でBIAcore(登録商標)チップ上に固定され、抗体が流される。チップ表面での塊の形成が測定される。この分析方法によって、結合に対する親和性(K
D)を得るためのオン速度およびオフ速度の両方をリアルタイムで決定することが可能になる。本発明のヒト化抗体は、約0.30から約30nMの間、約0.30から約20nMの間、約0.30から約10nMの間、約0.5から約7nMの間、約1.0から約5nMの間、および約1.0から約3nMの間のK
Dを有する。
【0062】
抗体への薬剤のコンジュゲーション
薬剤は、抗体上のコンジュゲーション点と反応性の基を有するか、またはそれを含むように修飾されている。例えば、薬剤は、アルキル化(例えば、抗体のイプシロン−アミノ基のリジン、またはN末端で)、酸化糖質の還元的アミノ化、ヒドロキシル基とカルボキシル基との間のトランスエステル化、アミノ基またはカルボキシル基でのアミド化、およびチオールへのコンジュゲーションによって付着させることができる。いくつかの実施形態において、抗体1分子当たりのコンジュゲートした薬剤部分の数pは、平均1から8、1から7、1から6、1から5、1から4、1から3、または1から2の範囲である。いくつかの実施形態において、pは、平均2から8、2から7、2から6、2から5、2から4、または2から3の範囲である。他の実施形態において、pは、平均1、2、3、4、5、6、7、または8である。いくつかの実施形態において、pは、平均約1から約8、約1から約7、約1から約6、約1から約5、約1から約4、約1から約3、または約1から約2の範囲である。いくつかの実施形態において、pは、約2から約8、約2から約7、約2から約6、約2から約5、約2から約4、または約2から約3の範囲である。コンジュゲーションに用いることができる化学の例については、例えば、Current Protocols in Protein Science(John Wiley & Sons,Inc.)、第15章(Chemical Modifications of Proteins)を参照されたい(この文献の開示は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0063】
例えば、タンパク質の化学的活性化によって遊離チオール基が形成される場合、タンパク質はスルフヒドリル反応性の作用物質とコンジュゲートし得る。一態様において、作用物質は、遊離チオール基に実質的に特異的なものである。このような作用物質には、例えば、マレイミド、ハロアセトアミド(例えば、ヨード、ブロモ、クロロ)、ハロエステル(例えば、ヨード、ブロモ、またはクロロ)、ハロメチルケトン(例えば、ヨード、ブロモ、またはクロロ)、ハロゲン化ベンジル(例えば、ヨウ化物、臭化物、または塩化物)、ビニルスルホン、およびピリジルチオが含まれる。
【0064】
リンカー
薬剤は、リンカーによって抗体に連結させることができる。適切なリンカーには、例えば、切断可能なリンカーおよび切断不可能なリンカーが含まれる。切断可能なリンカーは、典型的には、細胞内条件下で切断を受けやすい。適切な切断可能なリンカーには、例えば、リソソームプロテアーゼまたはエンドソームプロテアーゼなどの細胞内プロテアーゼによって切断可能なペプチドリンカーが含まれる。例示的な実施形態において、リンカーは、ジペプチドリンカー、例えばバリン−シトルリン(val−cit)リンカー、フェニルアラニン−リジン(phe−lys)リンカー、またはマレイミドカプロニック−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル(mc−Val−Cit−PABA)リンカーであり得る。別のリンカーは、スルホスクシンイミジル−4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシレート(smcc)である。スルホ−smccコンジュゲーションは、スルフヒドリル(チオール、−SH)と反応するがそのスルホ−NHSエステルは第一級アミン(リジンおよびタンパク質またはペプチドのN末端において見られる)に対して反応性である、マレイミド基を介して生じる。さらに別のリンカーは、マレイミドカプロイル(mc)である。他の適切なリンカーには、特異的なpHまたはpH範囲で加水分解可能なリンカー、例えばヒドラゾンリンカーが含まれる。さらなる適切な切断可能なリンカーには、ジスルフィドリンカーが含まれる。リンカーは、薬剤が放出されるために抗体が細胞内で分解されなければならない程度まで、抗体に共有結合され得る(例えばmcリンカーなど)。
【0065】
リンカーは、抗体に連結するための基を含み得る。例えば、リンカーは、アミノ反応基、ヒドロキシル反応基、カルボキシル反応基、またはスルフヒドリル反応基(例えば、マレイミド、ハロアセトアミド(例えば、ヨード、ブロモ、またはクロロ)、ハロエステル(例えば、ヨード、ブロモ、またはクロロ)、ハロメチルケトン(例えば、ヨード、ブロモ、またはクロロ)、ハロゲン化ベンジル(例えば、ヨウ化物、臭化物、または塩化物)、ビニルスルホン、およびピリジルチオ)を含み得る。全体として、Wong、Chemistry of Protein Conjugation and Cross−linking、CRC Press,Inc.、Boca Raton、1991を参照されたい。
【0066】
免疫療法
免疫療法のために、抗体は、適切な薬剤、例えば細胞傷害性作用物質または細胞増殖抑制性作用物質、免疫抑制性作用物質、放射性同位体、毒素などにコンジュゲートさせることができる。コンジュゲートは、腫瘍もしくはがん細胞のアポトーシスをもたらす腫瘍細胞もしくはがん細胞の増殖の阻害に、または患者におけるがんの治療に用いることができる。コンジュゲートは、動物のがんの治療のための様々な状況でしかるべく用いることができる。コンジュゲートは、腫瘍細胞またはがん細胞に薬剤を送達するために用いることができる。理論に拘束されることはないが、いくつかの実施形態において、コンジュゲートは、がん細胞関連抗原または腫瘍関連抗原に結合するかまたはそれを伴い、コンジュゲートおよび/または薬剤は、受容体介在性のエンドサイトーシスを介して腫瘍細胞またはがん細胞内に取り込まれ得る。抗原は、腫瘍細胞もしくはがん細胞に付着し得るか、または腫瘍細胞もしくはがん細胞に関連する細胞外マトリクスタンパク質であり得る。細胞内に入ると、コンジュゲート内の1つまたは複数の特異的なペプチド配列(例えばリンカー内)は、1つまたは複数の腫瘍細胞関連プロテアーゼまたはがん細胞関連プロテアーゼによって、加水分解によって切断され、薬剤を放出させる。放出された薬剤はそして、細胞内を自由に移動でき、細胞傷害性の活性または細胞増殖抑制性の活性または他の活性を誘発する。いくつかの実施形態において、薬剤は、腫瘍細胞またはがん細胞の外側で抗体から切断され、薬剤はその後、細胞に侵入するか、または細胞表面で作用する。
【0067】
がんの治療法
上述のように、限定はしないが腫瘍、転移、または制御されていない細胞の成長を特徴とする他の疾患もしくは障害を含む、がんは、タンパク質−薬剤コンジュゲートの投与によって治療または予防することができる。
【0068】
他の実施形態において、有効量のコンジュゲートおよび化学療法剤を、それを必要とする患者に投与するステップを含む、がんを治療または予防するための方法が提供される。いくつかの実施形態において、化学療法剤は、それを用いるがんの治療が不応性であることが分かっていないものである。いくつかの実施形態において、化学療法剤は、それを用いるがんの治療が不応性であることが分かっているものである。コンジュゲートは、がんの治療のための外科手術などの治療も受けた患者に投与することができる。別の実施形態において、さらなる治療方法は、放射線照射療法である。
【0069】
がんの多剤療法
がんを治療するための方法は、有効量の抗体−薬剤コンジュゲートおよび抗がん剤である別の治療剤を、それを必要とする患者に投与するステップを含む。適切な抗がん剤には、限定はしないが、メトトレキサート、タキソール、L−アスパラギナーゼ、メルカプトプリン、チオグアニン、ヒドロキシウレア、シタラビン、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソウレア、シスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシン、ダカルバジン、プロカルビジン、トポテカン、ナイトロジェンマスタード、サイトキサン、エトポシド、5−フルオロウラシル、BCNU、イリノテカン、カンプトテシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン、アスパラギナーゼ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、カリケアマイシン、およびドセタキセルが含まれる。
【0070】
本発明のADCは、選択された投与方式に適当となるように製剤された、投与のための医薬組成物、および薬学的に許容できる希釈剤または賦形剤、例えば緩衝剤、界面活性剤、防腐剤、可溶化剤、等張剤、安定剤、担体などを含む形態であり得る。参照によって本明細書に組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton Pa.、第18版、1995は、医師に一般に知られているように、製剤技術の概要を提供している。
【0071】
これらの医薬組成物は、がんを治療するための一般に意図される目的を達成する、当技術分野において知られているあらゆる手段によって、投与することができる。好ましい投与経路は非経口であり、これは、本明細書において限定はしないが静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、および関節内の注射および注入を含む投与方式を指すとして定義される。投与される量は、レシピエントの年齢、健康状態、および体重、もしあれば併用する治療の種類、治療の頻度、ならびに所望の効果の性質に応じる。
【0072】
本発明の範囲内の組成物には、ADCががんの治療のための所望の医学的効果を達成するために有効な量で存在する、全ての組成物が含まれる。個体の要求は患者ごとに異なり得るが、全成分の有効量の最適な範囲の決定は、通常の技能を有する臨床医の能力の範囲内である。
【実施例】
【0073】
(実施例1)
抗5T4 ADCの調製
5T4−A1抗体薬剤コンジュゲート(ADC)を、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)でmAbを部分的に還元し、その後、還元されたCys残基を所望のマレイミド末端リンカー−ペイロードと反応させることを介して調製する。具体的には、5T4−A1 mAbを、2.8モル過剰の、100mMのHEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸緩衝液)(pH7.0)および1mMのジエチレントリアミン5酢酸(DTPA)内のトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の添加を介して、37℃で2時間、部分的に還元する。所望のリンカー−ペイロードを次に、5.5(マレイミドカプロニック−モノメチルオーリスタチンF[mc−MMAF])または8(マレイミドカプロニック−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル−モノメチルオーリスタチンE[mc−Val−Cit−PABA−MMAE])のリンカー−ペイロード/mAb−チオールのモル比で反応混合物に添加し、15%v/vのジメチルアセトアミド(DMA)の存在下で、25℃でさらに1時間反応させる。1時間のインキュベーション期間の後、N−エチルマレイミド(mc−MMAFについては4.5倍過剰、mc−Val−Cit−PABA−MMAEについては2倍過剰)を、未反応のチオールにキャップをするために添加し、15分間の反応を可能にし、その後、6倍過剰なL−Cysを添加して、あらゆる未反応のリンカー−ペイロードをクエンチする。反応混合物を、pH7.4のリン酸緩衝溶液(PBS)内で、4℃で一晩透析し、SEC(AKTA explorer、Superdex 200 10/30GLカラム)を介して精製する。ADCを、純度のためのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、および液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析(LC−ESI MS)を介してさらに特徴付けして、負荷量を計算し、濃度を、UV分光光度計を介して決定する。
【0074】
(実施例2)
結合の研究
5T4抗原を発現する細胞、および陰性対照であるRaji細胞を、組織培養物で処理していない96ウェルプレート上に500,000細胞/ウェルの密度で蒔き、氷上で維持する。A1抗体およびA1−IgG4抗体またはA1−mcMMAF ADCの希釈物を、ダルベッコリン酸緩衝溶液(DPBS)内の3%ウシ血清アルブミンBSA内に作製し、10μg/mLの最終濃度でプレートに添加する。プレートを次に、氷上で1時間インキュベートし、その後2回洗浄する。二次抗体、すなわちPE(フィコエリスリン)にコンジュゲートしたヤギ抗ヒトIgG Fcをウェルに添加する。4℃で30分間インキュベートした後、平均蛍光強度を次に、フローサイトメーターを用いて測定する。
【0075】
表4のデータは、A1抗体が5T4陽性細胞系の様々なパネルを結合することを示す。表5のデータは、いくつかの異なる細胞系に対する類似の結合がA1抗体およびA1−IgG4抗体ならびにA1−mcMMAF ADCで観察されることを示す。
【0076】
【表4】
【0077】
【表5】
【0078】
(実施例3)
細胞傷害性アッセイ
5T4を発現する細胞系、および陰性対照であるRaji細胞系を、増大濃度のADCと培養する。4日後、各培養物の生存能力を評価する。IC
50値を、ロジスティック非線形回帰によって計算し、ng Ab/mLとして表す。A1−mcMMAF、A1−vcMMAE、A3−mcMMAF、およびA3−mcMMAEは、5T4を発現する細胞系の成長を阻害する(MDAMB435/5T4、MDAMB468、およびMDAMB361DYT2)が、5T4陰性細胞(Raji)に対しては不活性であることが示される、表6。
【0079】
【表6】
【0080】
さらに、5T4+原発性肺腫瘍37622a細胞を単離し、培養物内で成長させる。細胞を、増大濃度のADCと培養する。10日後、各培養物の生存能力を、MTS法を用いて評価する。IC
50値を、ロジスティック非線形回帰によって計算し、ng Ab/mLとして表す。A1−mcMMAF、A1−vcMMAE、A3−mcMMAF、およびA3−vcMMAEは、原発性肺腫瘍細胞の成長を阻害する、表7。
【0081】
【表7】
【0082】
(実施例4)
皮下異種移植モデル
雌の無胸腺(ヌード)マウス(または別の免疫抑制マウス株)に、MDAMB435/5T4腫瘍細胞、MDAMB361DYT2腫瘍細胞、またはH1975腫瘍細胞をs.c.注入する。およそ0.1から0.3gのステージ付けされた腫瘍を有するマウス(治療群当たりn=6から10匹のマウス)に、Q4Dx4を、生理食塩水(媒体)、A1−mcMMAF、A1−vcMMAE、A1−mcMMAD、A1−smccDM1、A3−mcMMAF、A3−vcMMAE、またはmcMMAFもしくはvcMMAEにコンジュゲートした非結合性の対照抗体と共に、1kg当たり3mgのAbの用量で静脈内投与する。全ADCは、Ab含有量に基づいて投与する。腫瘍を少なくとも1週に1回測定し、そのサイズ(mm
3±SEM)を、mm
3=0.5×(腫瘍の幅
2)×(腫瘍の長さ)として計算する。
【0083】
表8のデータは、A1−mcMMAF、A1−vcMMAE、A1−vcMMAD、A3−mcMMAF、およびA3−vcMMAEが、MDAMB435/5T4異種移植片の成長を阻害するが、A1−mcMMADおよびA1−smccDM1はこのモデルにおいて活性でなかったことを示す。
【0084】
表9のデータは、A1−mcMMAF、A1−vcMMAE、A1−vcMMAD、A1−smccDM1、A3−mcMMAF、およびA3−vcMMAEが、MDAMB361DYT2異種移植片の成長を阻害するが、A1−mcMMADはこのモデルにおいて活性でなかったことを示す。
【0085】
表10のデータは、A1−mcMMAF、A1−vcMMAE、A1−vcMMAD、A3−mcMMAF、およびA3−vcMMAEが、H1975異種移植片の成長を阻害するが、A1−mcMMADおよびA1−smccDM1はこのモデルにおいて活性でなかったことを示す。
【0086】
【表8】
【0087】
【表9】
【0088】
【表10】
【0089】
あるいは、37622a原発性腫瘍細胞異種移植片が皮下に確立されたヌードマウスを、Q4Dx4と、A1−mcMMAF、A1−mcMMAD、A1−vcMMAD、またはA3−mcMMAFとで、1kg当たり3mgのAbの用量でiv処理し、腫瘍成長を96日間の期間にわたりモニタリングする。表11は、A1−mcMMAF、A1−vcMMAD、およびA3−mcMMAFが、37622a原発性腫瘍異種移植片の成長を、媒体対照で処理した動物と比較して阻害するが、A1−mcMMADはこのモデルにおいて活性でなかったことを示す。
【0090】
【表11】
【0091】
予想外に、表8〜11のデータは、同一の抗体および薬剤ペイロードを有するが異なるリンカーを有するADCが、4つの異種移植モデル全てにおいて、類似していない有効性プロフィール、すなわちA1−mcMMAD対A1−vcMMADを有していたことを示す。さらに、データは、同一の抗体およびリンカーを有するが異なる薬剤ペイロードを有するADCもまた、4つの異種移植モデル全てにおいて、異なる有効性プロフィール、すなわちA1−mcMMAF対A1−mcMMADを有していたことを示す。したがって、薬剤MMADは、vcリンカーによってA1抗体に連結している場合は4つの異種移植モデル全てにおいて効果的であるが、mcリンカーによって連結している場合は試験した異種移植モデルのいずれにおいても活性を有さない。逆に、薬剤MMAFは、mcリンカーでA1抗体に連結している場合は4つの異種移植モデル全てにおいて非常に効果的であるが、一方、化学的に関連する薬剤MMADは、同一のリンカーによって同一の抗体に連結している場合に4つの異種移植モデル全てにおいて活性を有さない。
【0092】
さらに別の予想外の所見は、ADC A1−smccDM1で見られる(表8〜10)。このADCは、MDAMB361DYT2異種移植片に対して非常に効果的であったが、全ての異種移植片が5T4標的抗原の高い発現を有しているにもかかわらず、MDAMB435/5T4異種移植片およびH1975異種移植片に対して基本的に効果を有さなかった。このデータは、リンカー−ペイロードの有効性が、同一の高親和性抗体が利用される場合であっても、または同一のADCが用いられる場合であっても、予測され得ないことを説明する。
【0093】
(実施例5)
抗体依存性の細胞介在性細胞傷害性(ADCC)
ADCCアッセイ:
健康なボランティアの血液を、ナトリウムヘパリンを有するBD Vacutainer CPT細胞調製管内に収集する。ヒト末梢血単核球(PBMC)を採取し、アッセイ緩衝液(10mMのHEPESを補ったRPMI1640)内に2.5×10
7細胞/mlで再懸濁する。標的細胞(MDAMB435/5T4またはMDAMB435/neo)を、96ウェルアッセイプレート内に1×10
4細胞/ウェルの密度で播種する。A1抗体またはA1−mcMMAFを添加し、次に、ヒトPBMCエフェクター細胞(5×10
5)を、50:1のエフェクター:標的細胞の比率(E:T)となるように、ウェル内に分注する。アッセイプレートを、ADCC活性のために、37℃で4時間インキュベートする。プレートを、等容積のCytoTox−One試薬(Promega)を添加することによって採取する。停止溶液(Promega、50μl)を各ウェルに添加し、ラクテートデヒドロゲナーゼの放出を、蛍光強度を測定することによって定量した。陽性対照として、ウェル当たり2μlの溶解緩衝液を添加して、対照ウェルにおける最大LDH放出(100%細胞傷害性)を生じさせる。細胞傷害性のパーセントを、以下の方程式を用いて計算する。
【0094】
【数1】
【0095】
「実験値」が実験条件の1つにおいて測定されたシグナルに対応する場合、「エフェクター自然値」は、PBMCのみの存在下で測定されたシグナルに対応し、「標的自然値」は、標的細胞のみの存在下で測定されたシグナルに対応し、「標的最大値」は、デタージェントで溶解された標的細胞のみの存在下で測定されたシグナルに対応する。
【0096】
A1−IgG4 Abと比較した、A1−IgG1 AbおよびA1−mcMMAFのADCC活性を、表12に示す。A1抗体およびA1−mcMMAFの両方は、匹敵するADCC活性を示し、このことは、A1−mcMMAFのADCC活性がその抗腫瘍活性に寄与し得ることを示している。
【0097】
【表12】
【0098】
(実施例6)
結合親和性
表面プラズモン共鳴(SPR)分析を、BIAcore(登録商標)を利用して行って、pH6.0およびpH7.4でのヒトまたはカニクイザルの5T4へのA1−IgG1およびA1−IgG4の結合の親和性定数を決定する。BIAcore(登録商標)技術は、表面層に固定されたヒト5T4タンパク質へのhuA1抗体変異体の結合の際の、表面層での屈折率の変化を利用するものである。結合は、表面からのレーザー光屈折のSPRによって検出される。オン速度およびオフ速度でのシグナル動態の分析によって、非特異的相互作用と特異的相互作用との間の区別が可能になる。この分析に用いられる5T4タンパク質は、ヒトIgG1−Fcドメインに融合したヒトまたはカニクイザルの5T4細胞外ドメインから構成され、親和性定数を正確に測定するために、低密度(ヒトおよびカニクイザルでそれぞれ45.1および45.4RU)がCM5チップ上に固定される。
【0099】
5T4細胞外ドメインへの特異的結合の測定は、5T4−Fc表面上の密度と同一の密度でCM5チップ上に固定されたヒトIgG1−Fcタンパク質のみを有する参照表面への結合を差し引くことによって得られる。次に、pH7.4のHBS−EP緩衝液またはpH6.0のMES−EP緩衝液内の様々な濃度のA1抗体、A1−IgG4抗体、またはA3抗体を、表面全体に注入する。表面を、注入サイクルの間に、pH1.7のグリシン+0.05%Surfactant P20(GE Healthcare、BR−1000−54)で2回再生させる。
【0100】
結果は、A1が、A1−IgG4と比較して、pH6.0およびpH7.4の両方で、低密度の5T4表面を用いて、ヒト5T4に対してわずかに高い親和性を有することを示す(それぞれ1.5倍および1.2倍、表13)。さらに、A1は、A1−IgG4と比較して、pH6.0およびpH7.4の両方で、カニクイザル5T4に対してわずかに良好な結合を示し(それぞれ1.7倍および1.2倍)、A1およびA1−IgG4の両方は、カニクイザル5T4よりも3〜4倍良好にヒト5T4を結合した(表13)。
【0101】
【表13】
【0102】
A1抗体およびA3抗体を比較すると、A1抗体がpH6.0よりもpH7.4で良好にヒトおよびカニクイザルの5T4を結合し、一方、A3抗体がpH7.4と比較してpH6.0で増強した結合を示すことが明らかである、表14。
【0103】
【表14】
【0104】
(実施例7)
5T4キメラを用いるエピトープマッピング
A1抗体およびA3抗体のそれぞれが結合するエピトープを同定するために、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)を、(1)5T4細胞外ドメインFc構築物、および(2)COS−1細胞において一時的に発現したヒト/マウス5T4キメラ構築物を用いて行う。細胞外ドメインは、アミノ末端領域、ロイシンに富んだ2つの反復、および介在する親水性領域を含む。マウスおよびラットの5T4細胞外ドメインは、その親水性領域内に6つのアミノ酸直接反復を含有する。
【0105】
ヒトIgG1の5T4細胞外ドメインおよびFc定常領域を含有する融合タンパク質を、ヒト5T4(アミノ酸1〜355)、マウス5T4(アミノ酸1〜361)、ラット5T4(アミノ酸1〜361)、カニクイザル5T4(アミノ酸1〜355)、チンパンジー5T4(アミノ酸1〜355)、およびオグロマーモセット(アミノ酸1〜355)を用いて調製する。ヒト/マウス5T4キメラ構築物との結合結果を表15にまとめ、これは、A1抗体およびA3抗体による特異的結合、部分的結合、または結合の欠除を示す。
【0106】
表15は、様々なヒト/マウスキメラに対する抗体の結合能力を示し、命名は、マウス5T4の内容によって指定されている。結合が観察されない場合、これは、抗体がマウス5T4を結合しないため、これらの抗体がヒト5T4を結合する場所を示す。例えば、A3抗体は、最もN末端の結合エピトープを有し(83〜163の間)、このことは、残基83〜163がマウス5T4によって置き換えられている5T4キメラへの結合の欠除によって示され、したがってA3はもはや結合し得ない。これらの結果に基づいて、ヒト化されたA1抗体が、アミノ酸残基173と252との間のヒト5T4との第1の接触、およびアミノ酸残基276と355との間のヒト5T4との第2の接触を有することが決定される。A3抗体は、アミノ酸残基83から163の間のヒト5T4の第1のロイシンに富んだ反復領域を結合する。アミノ酸残基の番号は、配列番号11のヒト5T4抗原のアミノ酸配列に対応する。
【0107】
【表15】
【0108】
(実施例8)
A1−mcMMAF ADCとA1−IgG4−CM ADCとの比較
A1−mcMMAFを、安全性および有効性の両方について、A1−IgG4−AcButカリケアマイシン(A1−IGG4−CM)と比較する。A1−4−CMは、リンカーAcBut[−(4’アセチルフェノキシ)ブタン酸]でカリケアマイシンペイロードにコンジュゲートしたA1−IgG4抗体で構成される。カリケアマイシンは、細菌ミクロモノスポラ・エキノスポラ(Micromonospora echinospora)に由来するエンジイン抗生物質のクラスの強力な抗腫瘍作用物質である。
【0109】
A1 Ab、A1−IgG4 Ab、A1−mcMMAF ADC、およびA1−IgG4−CM ADCの細胞結合活性を、いくつかの5T4陽性細胞系を用いて比較する(実施例2、表5を参照されたい)。データは、類似の結合がA1抗体およびA1−IgG4抗体ならびにA1−mcMMAF ADCで観察され、その全てが、全ての試験した5T4陽性細胞系について、A1−IgG4−CMよりも高い平均蛍光強度を有することを示す。
【0110】
A1−mcMMAFおよびA1−IgG4−CMを、MDAMB435/5T4皮下異種移植モデルにおいて並行して試験する。両ADCは、腫瘍がおよそ200mm
3のサイズに達する場合、iv投与される(Q4dx2)。3mg/kgの用量でのA1−IgG4−CMの抗腫瘍活性は、10mg/kgの用量で投与されたA1−mcMMAFの抗腫瘍活性に類似している(表16)。これらの結果に基づいて、A1−IgG4−CMの抗腫瘍活性は、A1−mcMMAFよりもおよそ3.3倍強力である。
【0111】
【表16】
【0112】
A1−mcMMAFの効力よりもA1−IgG4−CMの効力が3.3倍増強したということはつまり、動物の毒性研究においてA1−IgG4−CMの安全域よりもA1−mcMMAFの安全域が3.3倍増強したということであると期待され得る。しかし、カニクイザルにおけるA1−IgG4−CMの安全性プロフィールを見直すと、A1−IgG4−CMがカニクイザルにおいてA1−mcMMAFよりも少なくとも100倍毒性であることが決定される。A1−IgG4−CMを0.032、0.095、および0.32mg Ab/kg/サイクル(2、6、20μgのカリケアマイシン/kg/サイクル)で雄(n=3)および雌(n=3)のカニクイザルに投与すると、毒性は各用量レベルで観察される。2サイクル(2回の投与)の後、0.095処理群における6頭の動物のうち4頭が、安楽死させられるか、または死亡しているのが発見される。他方、A1−mcMMAFで最大10mg/kgの投与量では(247μgのmc−MMAF/kg/サイクル)、2サイクル(2回の投与)の後、同じ4週間の期間にわたり、死亡は観察されない。要約すると、両方とも4週間の観察期間でカニクイザルに2回投与されると、A1−mcMMAFの10mg/kg投与量群は安全であるが、A1−IgG4−CMの0.096mg/kg投与量群は毒性であると見なされる。
【0113】
予想外に、これらの結果は、各ADCの相対的抗腫瘍効力に基づいて期待される3.3倍の安全域ではなく、A1−IgG4−CMの安全域に対するA1−mcMMAFの安全域が105倍(10/0.095=105)であることを示す。このデータは、同一の抗原標的に対する抗体を利用するが異なる薬剤ペイロードにコンジュゲートしている抗体−薬剤コンジュゲートの、予測不可能な性質を明らかにしている。
【0114】
(実施例9)
A1−mcMMAFマウスのPK/PDモデリングおよび臨床的用量の予測
PK/PDモデリングは、細胞系全体にわたって有効な濃度を決定するために、マウス異種移植片研究においてA1−mcMMAFの腫瘍応答を定量するために用いられている。用いられる、トランジットコンパートメント腫瘍死滅PK/PDモデルは、Simeoniらによって以前に記載された(Simeoniら、Cancer Res、64:1094、(2004))。モデルは、腫瘍の線形の、指数関数的な、およびロジスティックな成長、ならびに薬剤による飽和的死滅を説明するように修正されている。PK/PDモデルのパラメータには、
k
g ex 指数関数的な成長
k
g ロジスティックな成長
w
0 最初の腫瘍容積
tau 形質導入率
k
max 最大死滅率
kC
50 最大死滅率の半分での濃度
が含まれる。
【0115】
PK/PDモデリングの結果を用いて、腫瘍増殖抑制濃度(TSC、方程式1)を計算する。これは、腫瘍の成長が腫瘍の死亡速度に等しく腫瘍容積が変化しないままである場合の薬剤濃度である。TSCは、有効性に必要な最小濃度と定義され得る。TSCは、臨床における有効性に必要なTSCを超える濃度での、臨床的用量の選択に関する指導を提供するために用いられる。
【0116】
A1−mcMMAFでは、マウスPKを個別の研究において決定した(3mg/kgのIV、雌無胸腺nu/nuマウス)。マウス異種移植片の研究を、A1−mcMMAFを1から30mg/kgの間の用量レベルで4日ごとに投与した3つの異なる5T4細胞系、すなわち細胞系MDAMB435/5T4(1、3、10、および30mg/kgでの投与)、細胞系H1975(1、3、および10mg/kgでの投与)、および細胞系37622A(1および10mg/kgでの投与)を用いて完了した。PK/PDモデリングを記載されているように行い、TSCを表17において報告する。
【0117】
各異種移植片細胞系についてのマウスPK/PDパラメータをA1−mcMMAFの予測されたヒトPKと組み合わせて、臨床における有効性に必要な用量をシミュレートした。この方法論を用いて、A1−mcMMAFは、約0.22から約2.3mg/kg Q3週間[3週間ごと]の予測最小有効臨床的用量を有する(表17)。
【0118】
本発明の一実施形態において、用量範囲は、Q3週間での投与で、約0.18mg/kgから約2.7mg/kg、約0.22mg/kgから約2.6mg/kg、約0.27mg/kgから約2.5mg/kg、約0.32mg/kgから約2.3mg/kg、約0.37mg/kgから約2.15mg/kg、約0.42mg/kgから約2.10mg/kg、約0.47mg/kgから約2.05mg/kg、約0.52mg/kgから約2.00mg/kg、約0.57mg/kgから約1.95mg/kg、約0.62mg/kgから約1.90mg/kg、約0.67mg/kgから約1.85mg/kg、約0.72mg/kgから約1.80mg/kg、約0.82mg/kgから約1.70mg/kg、約0.92mg/kgから約1.60mg/kg、約1.02mg/kgから約1.50mg/kg、約1.12mg/kgから約1.40mg/kg、または約1.20mg/kgから約1.30mg/kgの範囲であり得る。好ましくは、用量範囲は、約0.22mg/kgから約2.3mg/kgの範囲であり得る。
【0119】
【数2】
【0120】
【表17】