(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6333884
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】真空キャップ巻締め装置
(51)【国際特許分類】
B67B 3/24 20060101AFI20180521BHJP
B65B 31/02 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
B67B3/24
B65B31/02 G
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-88642(P2016-88642)
(22)【出願日】2016年4月26日
(65)【公開番号】特開2017-197213(P2017-197213A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2017年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】500315460
【氏名又は名称】池田機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083437
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 實
(72)【発明者】
【氏名】池田 益治
【審査官】
谷川 啓亮
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第01913177(US,A)
【文献】
英国特許出願公告第00801918(GB,A)
【文献】
米国特許第01621132(US,A)
【文献】
特開平07−315418(JP,A)
【文献】
特開2015−063343(JP,A)
【文献】
特開2001−063799(JP,A)
【文献】
特開2004−168409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 31/00 − 31/10
B67B 1/00 − 6/00
B67C 3/00 − 11/06
B65D 35/44 − 35/54
B65D 39/00 − 55/16
F16J 12/00 − 13/24
A23L 3/00 − 3/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
広口ビンの直径の大小や平面形状に関わらず、当該対象ビンの芯出し対応と回転止め対応とが可能な芯出し・回転止め機構部を有する減圧室下部とし、その上端に上端嵌合口を開口してなる下部真空ボックスと、該下部真空ボックス上端嵌合口に気密状嵌合可能な下端嵌合口とし、その上に続けて減圧室上部を有する上部真空ボックスとからなり、該下部真空ボックス上端嵌合口に該上部真空ボックス下端嵌合口を気密状に組み合わせて装置本体となし、該上部真空ボックス上部には、減圧・巻締めハンドルより垂下した手動減圧ポンプを、芯出し収容したビンの巻締めキャップ軸心回りに回転自在に縦貫して減圧室上部に臨ませ、該手動減圧ポンプ下端に、巻締めキャップ天面に接合する巻締めヘッドを一体化して手動減圧ポンプ・巻締め機構部とし、減圧室下部および減圧室上部からなる減圧室の適所に真空解除部を設けてなるものとしたことを特徴とする真空キャップ巻締め装置。
【請求項2】
広口ビンの直径の大小や平面形状に関わらず、当該対象ビンの芯出し対応と回転止め対応とが可能な芯出し・回転止め機構部を有する減圧室下部とし、その上端に上端嵌合口を開口してなる下部真空ボックスと、該下部真空ボックス上端嵌合口に気密状嵌合可能な下端嵌合口とし、その上に続けて減圧室上部を有する上部真空ボックスとからなり、該下部真空ボックス上端嵌合口に該上部真空ボックス下端嵌合口を気密状に組み合わせて装置本体となし、該上部真空ボックス上部には、減圧・巻締めハンドルより垂下した手動減圧ポンプを、芯出し収容したビンの巻締めキャップ軸心回りに回転自在に縦貫して減圧室上部に臨ませ、該手動減圧ポンプ下端に、巻締めキャップ天面に接合する巻締めヘッドを一体化して手動減圧ポンプ・巻締め機構部とし、減圧室下部および減圧室上部からなる減圧室の適所に真空解除部を設け、ビンに仮締めした巻締めキャップを減圧室内に芯出し収容し、手動減圧ポンプによって減圧室内を減圧した上、減圧・巻締めハンドルを介して巻締めヘッドを巻締めた上、真空解除部を操作して減圧室内を大気圧に復帰可能なものとしたことを特徴とする真空キャップ巻締め装置。
【請求項3】
広口ビンの直径の大小や平面形状に関わらず、当該対象ビンの芯出し対応と回転止め対応とが可能な芯出し・回転止め機構部を収容した減圧室下部とし、その上端に上端嵌合口を開口してなる下部真空ボックスと、該下部真空ボックス上端嵌合口に気密状嵌合可能な下端嵌合口とし、該下端嵌合口上に続けて減圧室上部を有する上部真空ボックスとからなり、該下部真空ボックス上端嵌合口に該上部真空ボックス下端嵌合口を気密状に組み合わせて装置本体となし、該上部真空ボックス上部には、下端に、逆止弁を有する吸引口を開口し、巻締めキャップ天面に接合する巻締めヘッドが一体化した減圧シリンダーを、上下動、および、芯出し収容したビンの巻締めキャップ軸心回りに回転自在に組み込み、該減圧シリンダーに対し、減圧・巻締めハンドル下に回転止め部を有して垂下したシャフトを、上下動自在に緩挿し、該減圧シリンダー内に配するシャフト下端に、逆止路を有する減圧ピストンを設けて手動減圧ポンプ・巻締め機構部とし、減圧室下部および減圧室上部からなる減圧室の適所に真空解除部を設けてなるものとしたことを特徴とする真空キャップ巻締め装置。
【請求項4】
芯出し・回転止め機構部が、軸部を、減圧室下部底部付近を直径方向に貫き、下部真空ボックス壁間に横架するよう軸着し、該軸部のクランプ位置中心を境とする一方に右ネジ軸部、他方に左ネジ軸部を有し、該軸部の下部真空ボックス外に露出させた少なくとも一方の軸端に、クランプ・ハンドルを一体化して対向送りネジとし、該対向送りネジの右ネジ軸部および左ネジ軸部に、対象となるビンを挟持可能な一対の対峙スライダーを螺着してなるものとした、請求項3記載の真空キャップ巻締め装置。
【請求項5】
手動減圧ポンプ・巻締め機構部が、上部真空ボックスの下端嵌合口上に続く減圧室上部に、減圧シリンダー用案内筒部、および、該減圧シリンダー用案内筒部下に配する巻締めヘッド用案内筒部を設け、該減圧シリンダー用案内筒部内に、減圧シリンダーを、上下動、および、芯出し収容したビンの巻締めキャップ軸心回りに回転自在に組み込み、同減圧シリンダーの巻締めヘッド用案内筒部内に達する下端に、逆止弁を有して減圧室上部に臨むよう吸引口を開口し、巻締めキャップ天面に接合する巻締めヘッドを一体化し、該減圧シリンダーの上部真空ボックス上に露出させた上端からは、減圧・巻締めハンドル下に回転止め部を有して垂下したシャフトを、上下動自在・回転不能に緩挿し、該減圧シリンダー内に配するシャフト下端に、逆止路を有する減圧ピストンを設けてなるものとした、請求項1ないし4何れか一記載の真空キャップ巻締め装置。
【請求項6】
巻締めヘッドが、巻締めキャップ天面に当接する下面に弾性・摩擦層を設けてなるものとした、請求項1ないし5何れか一記載の真空キャップ巻締め装置。
【請求項7】
装置本体が、外部適所に、減圧室の気圧を表示する真空圧ゲージを設けてなるものとした、請求項1ないし6何れか一記載の真空キャップ巻締め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、容器に対して巻締めキャップを効率的に施蓋可能とするキャッパー技術に関連するものであり、特に、容器内を大気圧より減圧して密閉可能とする真空キャップ用の巻締め装置を製造、提供する分野は勿論のこと、その輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
近年の食品包装技術は、食の安全性は勿論のこと、包装容器のリサイクルへの対応など環境への配慮が求められる上、賞味期限の延長や、酸化防止、変色防止の観点から真空保存の必要性が高まり、再利用可能なビン詰め商品が見直されており、さらに、ビン詰め商品には、店頭陳列中に内容物が見えるという特徴を有していて商品販売上有利であり、化学的に安定で容器の成分が溶け出す虞がなく食品などの保存性に優れ、しかも、硬質で強度および耐熱性が高いという特性を有し、飲料や調味料などの食品類の他、小物商品などの展示、販売などにも利用され、食品に留まらず幅広い分野にまで広がり、特に、広口ビンについては、果実、野菜、ジャム、蜂蜜、その他の個体や半個体、粘性の高い液体などを包装するのに適しているという理由もあって、総じて、ビン商品の真空キャップ巻締め装置の需要が高まってきている。
【0003】
現在、広く普及している広ロビン用の従来型真空キャップ巻締め装置は、大手企業が商品やビン形状、容量毎などに設置した専用ラインにおいて少品種多量生産するのに対応するよう設計されたものが殆どであり、ベルトコンベアによる自動供給、自動制御の真空ポンプによる自動減圧、および自動制御のモーターによる自動巻締めなどを実現化するため、専ら高価な専用機として普及してきていたが、近年は、多様化した市場ニーズに応じて幅広い商品の提供が求められるようになり、従来の全自動化された真空キャップ巻締め装置よりも、個別包装に柔軟に対応できる小型且つ軽量なキャップ巻締め装置の需要が高まる傾向にある。
【0004】
しかしながら、真空機能の無いキャップ巻締め装置を使用し、真空保存ビンの容器内部を一度過熱してからキャップの巻締めをし、熱膨張を利用して真空包装する作業方法が求められ、包装工程が複雑化してしまう上、海産物など過熱できない食品には対応不可能なものであり、また、家庭内の利用を目的として開発された従来型の真空キャップには、手動ポンプを接続して広ロビンを簡単に真空にすることができるものが普及しているが、キャップの複雑な弁構造や耐久強度、生産コストなどの面から、一般市場に流通する真空包装用としての利用は不可能なものであり、企業や個人が多品種少量生産を行う場合や、試作・研究の用途に少量生産する場合、および、一般家庭内で市販の広口ビンを用いて真空保存する場合などに廉価にて購入、および、利用できる汎用性に優れた真空キャップ巻締め装置へのニーズが高まっている。
【0005】
(従来の技術)
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、プレス装置と真空ポンプを使用して簡単な治具により内部への空気の混入を嫌うビンの口への封栓、缶体容器の蓋止め、電池やコンデンサのケースのカシメ止め、フィルムの積層圧着などの所定の真空引き加工を行うことができ、プレス装置全体を真空隔室内に収容する必要がない簡易なプレス装置による簡易真空引き加工方法と装置や、同特許文献1(2)に見られるような、空室を有するボディと、該ボディに設けられた把持用エアーシリンダと、この把持用エアーシリンダによりボディ内で摺動されるプッシャと、ボディの下面開口縁部に取り付けられ、前記プッシャにより押圧されて変形することにより、容器のキャップがボディの空室内に挿入した状態で容器本体の外周を気密に把持する弾性シーリングリングと、ボディの空室をボディ外から真空引きするための真空引き手段と、ボディに設けられたロータ押し付け用エアーシリンダと、このロータ押し付け用エアーシリンダによりボディの空室内で容器のキャップに押し付けられるとともに、モーターにより回転されてキャップを締めるキャップ締めロータとを備えてなるキャップ締め装置。
【0006】
また、本願出願人によって既に開発済みの、同特許文献1(3)に示されているような、機体下部にビン容器を挟持する固定クランプを設け、該固定クランプに対向して前後に摺動する移動クランプを設け、ビン容器の上部に回転ヘッドを内設したパッキングヘッドを上下移動可能に設けると共に、バキュームヘッドの当接位置に吸引穴を設けてバキューム装置に連通し、ビン容器の固定およびビン蓋の巻締めと、ビン容器外部の空気を遮断する機構を同一の装置で行うようにしたバキューム式キャップ巻締機などがある外、同特許文献1(4)のような、開栓使用後のビン詰め製品やチューブ製品を置く内部空間を有する真空形成ボックスおよびその蓋、即ち真空形成ボックス蓋から構成され、真空形成ボックスの周壁の一面に、底辺から少し上方にいった高さに、中央から左右に間隔幅をおいて二つの貫通穴を形成し、この貫通穴から形成ボックス内部に向かって、樹脂やシリコン等の柔軟な素材を用いて、指の長さ程伸びるところの容器保持指サック部を設置し、同様に、真空形成ボックス蓋の中央から、周壁面の貫通穴に照応する形で左右に間隔幅をおいて、二つの貫通穴を形成し、その貫通穴から真空形成ボックス内部の下方に向かって、指の長さほど伸びるところのキャップ施栓指サック部を設置し、真空形成ボックス蓋の真ん中あたりに真空吸引バルブを設け、全体を真空施栓ボックスと呼び、これと別に用意した真空ポンプと組み合わせて使用するものとした真空施栓ボックスなどが散見される。
【0007】
しかし、前者特許文献1(1)に示されているようなプレス装置を利用したものは、自動プレス機構を組み込むため大型化、重量化してしまう上、キャップを巻締めする機構を有していないから、巻締めキャップの施蓋には利用不可能なものであり、同特許文献1(2)のキャップ締め装置は、把持用エアーシリンダ、ロータ押し付け用エアーシリンダ、およびキャップ締めロータ用モーターなどを搭載し、さらに、真空引き手段を外部に設ける必要があるなど、装置の大型化が避けられないものとなっており、特許文献1(3)のバキューム式キャップ巻締機もまた、手動による入力部を持たず、各種駆動源や、別体の真空装置への接続が不可欠なものとなり、大型化が避けられないものであり、また、後者特許文献1(4)のような真空施栓ボックスは、手動型の真空装置を接続してボックス内を真空化した上で、人の手によって施蓋操作するものとしているが、巻締め操作のための空間を確保するため、ボックス内の容積が大きくなり、真空ポンプの操作量が増加してしまう上、人の手で直接巻締めする作業は、少量生産の場合であっても負担が大きく、作業効率を高めるのが難しいという致命的な欠点があった。
【特許文献1】(1)特開平9−182997号公報 (2)特開2001−63799号公報 (3)特開2004−168409号公報 (4)特開2015−63343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種真空キャップ類の巻締め装置などは、何れも少品種多量生産に適するものとして、装置本体が大型で、殆どの動作を自動化したものとなっているから、小型・軽量化するのが難しく、また、家庭向けの真空キャップ巻締め装置類は、手動型の真空ポンプと組み合わせ、キャップの巻締め操作を直接的に行うものとなってしまい、真空ボックスの大型化による減圧作業の負担増や、気密性と柔軟性が求められる指サック部分の耐久性などに不安が残り、使用頻度の少ない一般家庭用として適するが、日産100個を超えるような業務用の用途としては、不向きであるという欠点が残るものであり、企業や個人が、ビン詰め商品を多品種少量生産する場合や、ビン詰め商品の試作・研究を行う場合などに、形状や寸法の異なるビンに柔軟に対応可能な優れた汎用性を有し、しかも電動モーターやコンプレッサー、真空ポンプなどの自動機械類を要さず、高い耐久性を有する上、小型・軽量で可搬性に優れ、市場ニーズに充分に答えることができる新たな真空キャップ巻締め装置の構成につき、更なる改善の可能性を痛感するに至ったものである。
【0009】
(発明の目的)
そこで、この発明は、小型・軽量で可搬性に優れ、電動モーターやコンプレッサー、真空ポンプなどの外部装置類への接続を必要とせず、簡単な手作業のみによって真空キャップの巻締め操作を効率的且つ迅速に完結できる上、企業や個人の多品種少量生産に適する耐久性を有し、しかも一般家庭での利用も可能な価格帯まで低廉化可能な新たな真空キャップの巻締め技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の真空キャップ巻締め装置を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の真空キャップ巻締め装置は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、広口ビンに対応可能な芯出し・回転止め機構部を有する減圧室下部とし、その上端に上端嵌合口を開口してなる下部真空ボックスと、該下部真空ボックス上端嵌合口に気密状嵌合可能な下端嵌合口とし、その上に続けて減圧室上部を有する上部真空ボックスとからなり、該下部真空ボックス上端嵌合口に該上部真空ボックス下端嵌合口を気密状に組み合わせて装置本体となし、該上部真空ボックス上部には、減圧・巻締めハンドルより垂下した手動減圧ポンプを、芯出し収容したビンの巻締めキャップ軸心回りに回転自在に縦貫して減圧室上部に臨ませ、該手動減圧ポンプ下端に、巻締めキャップ天面に接合する巻締めヘッドを一体化して手動減圧ポンプ・巻締め機構部とし、減圧室下部および減圧室上部からなる減圧室の適所に真空解除部を設けてなるものとした構成を要旨とする真空キャップ巻締め装置である。
【0011】
この基本的な構成からなる真空キャップ巻締め装置は、その表現を変えて示すならば、広口ビンに対応可能な芯出し・回転止め機構部を有する減圧室下部とし、その上端に上端嵌合口を開口してなる下部真空ボックスと、該下部真空ボックス上端嵌合口に気密状嵌合可能な下端嵌合口とし、その上に続けて減圧室上部を有する上部真空ボックスとからなり、該下部真空ボックス上端嵌合口に該上部真空ボックス下端嵌合口を気密状に組み合わせて装置本体となし、該上部真空ボックス上部には、減圧・巻締めハンドルより垂下した手動減圧ポンプを、芯出し収容したビンの巻締めキャップ軸心回りに回転自在に縦貫して減圧室上部に臨ませ、該手動減圧ポンプ下端に、巻締めキャップ天面に接合する巻締めヘッドを一体化して手動減圧ポンプ・巻締め機構部とし、減圧室下部および減圧室上部からなる減圧室の適所に真空解除部を設け、ビンに仮締めした巻締めキャップを減圧室内に芯出し収容し、手動減圧ポンプによって減圧室内を減圧した上、減圧・巻締めハンドルを介して巻締めヘッドを巻締めた上、真空解除部を操作して減圧室内を大気圧に復帰可能なものとした構成からなる真空キャップ巻締め装置となる。
【0012】
より具体的には、広口ビンに対応可能な芯出し・回転止め機構部を収容した減圧室下部とし、その上端に上端嵌合口を開口してなる下部真空ボックスと、該下部真空ボックス上端嵌合口に気密状嵌合可能な下端嵌合口とし、該下端嵌合口上に続けて減圧室上部を有する上部真空ボックスとからなり、該下部真空ボックス上端嵌合口に該上部真空ボックス下端嵌合口を気密状に組み合わせて装置本体となし、該上部真空ボックス上部には、下端に、逆止弁を有する吸引口を開口し、巻締めキャップ天面に接合する巻締めヘッドが一体化した減圧シリンダーを、上下動、および、芯出し収容したビンの巻締めキャップ軸心回りに回転自在に組み込み、該減圧シリンダーに対し、減圧・巻締めハンドル下に回転止め部を有して垂下したシャフトを、上下動自在に緩挿し、該減圧シリンダー内に配するシャフト下端に、逆止路を有する減圧ピストンを設けて手動減圧ポンプ・巻締め機構部とし、減圧室下部および減圧室上部からなる減圧室の適所に真空解除部を設けてなるものとした構成からなる真空キャップ巻締め装置ということができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のとおり、この発明の真空キャップ巻締め装置によれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、小型・軽量で可搬性に優れ、電動モーターやコンプレッサー、真空ポンプなどの外部装置類への接続を必要とせず、簡単な手作業のみによって真空キャップの巻締め操作を効率的且つ迅速に完結できる上、企業や個人の多品種少量生産に適する耐久性を有し、しかも一般家庭での利用も容易な簡便な操作性を確保した新たな真空キャップの巻締め装置を提供することができるという秀でた特徴が得られるものである。
【0014】
加えて、装置本体を下部真空ボックスと上部真空ボックスとに容易に分離可能なものとし、下部真空ボックスに広口ビンに対応可能な芯出し・回転止め機構部を有する減圧室下部のを設けたから、様々な寸法、形状の対象ビンのキャッピングに使用することができ、しかも巻締めキャップを仮締めした状態の対象ビンを減圧室下部に収容し、芯出し・回転止め機構部を操作するだけで、寸法、形状の異なる対象ビンを素早く芯出し位置決めすると共に、回転止めすることができるから、多品種少量生産の作業性を格段に高め、作業負担を大幅に軽減し、より効率的なキャッピングを実現化することができる大きな効果を奏するものとなる。
【0015】
また、下部真空ボックス上に上部真空ボックスを搭載するよう組み合わせ、減圧・巻締めハンドルを上下進退操作し、手動減圧ポンプを作動させて減圧室内を簡単、迅速に減圧し、所望の真空状態にすると、上端嵌合口と下端嵌合口が一体的に吸着し、下部真空ボックスと上部真空ボックスが強固に一体化し、一個の密閉された装置本体を形成するものとなり、さらに、減圧室内では、対象ビンの巻締めキャップ天面に巻締めヘッドが、自動的に吸着して両者接合壁面間に大きな摩擦力を発生し、減圧・巻締めハンドルを、鉛直下向きに押し込む入力を要さずとも、巻締めキャップの締め付け方向に回転操作するだけで、容易に確実な巻締めを完了することができ、キャッピングを終えた後は、真空解除部を操作して減圧室内を大気圧まで上昇させて、下部真空ボックスから上部真空ボックスを分離し、減圧室下部の芯出し・回転止め機構部の芯出し・回転止め状態を解除し、施蓋した対象ビンを取り出すことができるから、手作業によって過酷な労働負担を負うことなく、簡単、迅速にキャッピング作業できるという利点も得られることになる。
【0016】
そして、芯出し・回転止め機構部を、下部真空ボックス外に露出させた少なくとも一方の軸端にクランプ・ハンドルを一体化した対向送りネジを設け、該対向送りネジの右ネジ軸部および左ネジ軸部に対し、対象ビンを挟持する一対の対峙スライダーを螺着してなるものとすることにより、クランプ・ハンドルを締め付け方向に回転操作するだけで、対象ビンの直径の大小や平面形状に関わらず、芯出し位置決め、および回転止めを同時に達成可能なものとし、対象ビンの取り外しにもクランプ・ハンドルを逆転操作するだけで、簡単且つ迅速に取り外すことができるから作業工数を大幅削減することができるものとなる。
【0017】
さらにまた、手動減圧ポンプ・巻締め機構部を、上部真空ボックスに対して上下動、および、芯出し収容したビンの巻締めキャップ軸心回りに回転自在に組み込んだ減圧シリンダーの下端に、逆止弁を有する吸引口を開口した巻締めヘッドを一体化し、該減圧シリンダー上端から、減圧・巻締めハンドルより垂下し、その下端に逆止路を有する減圧ピストンを設けたシャフトを、上下動自在、回転不能に挿着したものとすることにより、減圧・巻締めハンドルを上下動操作することによって手動減圧ポンプを動作させ、その上下動操作を複数回に渡って繰り返すことにより、減圧室内を所望する真空圧まで減圧することができる上、切り換え操作などを要さずとも、同じ減圧・巻締めハンドルを巻締め方向に回転操作することによって巻締めヘッドを回転操作し、対象ビンの巻締めキャップを簡便に巻締め操作することができるから、手動減圧ポンプおよび巻締め機構部を個別に装備した従来型のものに比較して、構造の大幅な簡素化と、格段の小型・軽量化を達成することが可能となる。
【0018】
しかも、巻締めヘッドの巻締めキャップ天面に当接する下面に弾性・摩擦層を設けてなるものは、減圧室内を真空にした場合に生じる、対象ビンの巻締めキャップ天面に対する巻締めヘッド下面の摩擦力を、一段と増大化して巻締め操作中の滑りを無くし、巻締め操作の効率を格段に高めたものとすることができ、また、装置本体外部適所に、減圧室の気圧を表示する真空圧ゲージを設けてなるものは、巻締め対象ビンの目標真空圧に達したか否かを簡単、確実に目視確認できるから、ビン詰め品質を常に一定以上に保つことができ、信頼性が高く品質に優れたビン詰め商品を、より効率的に生産することができるものとなるという大きな効果を発揮するものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
下部真空ボックスは、上部真空ボックスとの組み合わせによって真空キャップ巻締め装置の装置本体をなすものとなり、減圧室下部を気密状とする機能を担い、減圧室下部内に芯出し・回転止め機構部を有すると共に、同減圧室下部の上端に上端嵌合口を開口したものとしなければならず、後述する実施例にも示すように、減圧室下部内の側壁形状を、略平面矩形状とし、対峙する2辺の寸法を、市場に流通する一般的なビンの最大直径より僅かに大きく設定し、該2辺に直交する他の2辺を、市場に流通する一般的なビンの最大直径に、芯出し・回転止め機構部の対峙スライダーの進退方向の厚み、およびその後退範囲を加えた大きさより僅かに大きな寸法に設定し、減圧室下部の容積を最小限度に留めたものとするのが良い。
【0020】
下部真空ボックスの上端嵌合口は、上部真空ボックスの下端嵌合口に対して気密状に嵌合し、減圧室下部および減圧室上部を1つの減圧室に一体化し、対象とするビンおよび該ビンに仮締めした巻締めキャップを気密状に収容可能とする機能を担うものであり、下端嵌合口との接合部を互いの嵌合口の環状の全周囲に渡って気密状に嵌合可能なものとしなければならず、下部真空ボックスと上部真空ボックスとを1つの鉛直軸心上に配して互いにズレ動かないよう確りと嵌合可能な形状とすべきであり、後述する実施例にも示しているように、下端嵌合口との接合部間に天然ゴム製や合成ゴム製、シリコン樹脂製などの何れかの通気性を持たない弾性素材製気密リングを介在させたものとするのが望ましいと言える。
【0021】
芯出し・回転止め機構部は、減圧室内に収容した巻締めキャップを仮締めしたビンの、該巻締めキャップの回転中心を、下部真空ボックスに組み合わせた上部真空ボックスがわに有する巻締め機構部分の巻締めヘッドの回転中心に一致するよう位置決め、および巻締めキャップの巻締め操作力に抗してビンの回転を止める機能を分担し、ビンの水平面方向の位置決め、および、ビンの垂直軸心回りの回転を規制可能なものとしなければならず、例えば水平面上の直交するX―Y軸方向に送り移動・調節可能としたステージ上に、ビンの形状寸法に応じて異なる形状の嵌合搭載用治具や、クランプ具などを交換可能に固定してなるものとしたり、L字形枠の下端でビンの底部を受け、同L字形枠の角部を水平軸心回りに回動自在に軸着し、L字形枠の上端がビンの周壁に当接可能としたL字形クランプの複数個を、ビンの支持位置中心回りに、花冠の花弁状に均衡するよう配したものとし、複数個のL字形クランプの下端上にビンの底部を接するよう載置し、ビンの自重を受けて梃の原理により、内向きに回動する各L字形クランプの上端が、自動的にビンの周壁を中心に向けて抑え込み、ビンを中心位置に支持するものとし、それら複数個のL字形クランプの回動を、適宜仮止め機構によって仮止めし、ビンを芯出し・回転止め可能としてなるものとしたりすることが可能である外、後述する実施例にも示してあるように、減圧室下部底部付近を直径方向に貫き、下部真空ボックス壁間に横架するよう軸着した軸部の、クランプ位置中心を境とする一方に右ネジ軸部、他方に左ネジ軸部を有し、下部真空ボックス外に露出させた少なくとも一方の軸端にクランプ・ハンドルを一体化した対向送りネジを設け、該対向送りネジの右ネジ軸部および左ネジ軸部に、対象となるビンを挟持する一対の対峙スライダーを螺着してなるものとすることができる。
【0022】
上部真空ボックスは、下部真空ボックスとの組み合わせによって真空キャップ巻締め装置の装置本体をなすものとなり、減圧室上部を気密状とする機能を担っており、該上部真空ボックス上部には、減圧・巻締めハンドルより垂下した手動減圧ポンプを、芯出し収容したビンの巻締めキャップ軸心回りに回転自在に縦貫し、減圧室上部に臨ませた該手動減圧ポンプ下端に、巻締めキャップ天面に接合する巻締めヘッドを一体化して手動減圧ポンプ・巻締め機構部としてなるものとし、減圧室上部の下端には、下端嵌合口を開口したものとしなければならず、後述する実施例にも示すとおり、該上部真空ボックス上部には、下端に、逆止弁を有する吸引口を開口し、巻締めキャップ天面に接合する巻締めヘッドを一体化した減圧シリンダーを、上下動、および、芯出し収容した場合のビンの巻締めキャップ軸心回りに回転自在に組み込み、該減圧シリンダーに対し、減圧・巻締めハンドル下に回転止め部を有して垂下したシャフトを、上下動自在に緩挿し、該減圧シリンダー内に配するシャフト下端に、逆止路を有する減圧ピストンを設けて手動減圧ポンプ・巻締め機構部としてなるものとすることができる。
【0023】
上部真空ボックスの下端嵌合口は、下部真空ボックスの上端嵌合口に対して気密状に嵌合して減圧室下部および減圧室上部を1つの減圧室に一体化し、対象とするビンおよび該ビンに仮締めした巻締めキャップを気密状に収容可能とする機能を担うものであり、上端嵌合口との接合部を、互いの嵌合口の環状の全周囲に渡って気密状に嵌合可能なものとしなければならず、上部真空ボックスと下部真空ボックスとを1つの鉛直軸心上に配して互いにズレ動かないよう確りと嵌合可能な形状とすべきであり、後述する実施例にも示しているように、上端嵌合口との接合部間には、天然ゴム製や合成ゴム製、シリコン樹脂製などの何れか通気性を持たない弾性素材製の気密リングを介在させたものとするのが望ましい。
【0024】
手動減圧ポンプ・巻締め機構部は、減圧室内を手作業によって所望の真空圧まで減圧可能とすると共に、手作業によって減圧室内に収容したビンの仮締め状態の巻締めキャップを、完全に巻締めする工程を可能とする機能を担っており、手動減圧ポンプとしての機能と、巻締め機構部としての機能とを兼ね備えたものとしなければならず、上部真空ボックスの一箇所に手動減圧ポンプおよび巻締め機構部を一体的に設けたものとすべきであり、後述する実施例にも示してあるとおり、上部真空ボックスの下端嵌合口上に続く減圧室上部に、減圧シリンダー用案内筒部、および該減圧シリンダー用案内筒部下に配する巻締めヘッド用案内筒部を設け、該減圧シリンダー用案内筒部内に、減圧シリンダーを、上下動、および芯出し収容したビンの巻締めキャップ軸心回りに回転自在に組み込み、同減圧シリンダーの巻締めヘッド用案内筒部内に達する下端に、逆止弁を有して減圧室上部に臨むよう吸引口を開口し、巻締めキャップ天面に接合する巻締めヘッドを一体化し、該減圧シリンダーの上部真空ボックス上に露出させた上端からは、減圧・巻締めハンドル下に回転止め部を有して垂下したシャフトを、上下動自在・回転不能に緩挿し、該減圧シリンダー内に配するシャフト下端に、逆止路を有する減圧ピストンを設けてなるものとすることができる。
【0025】
減圧シリンダーは、その内部に収容した減圧ピストンが往復動を繰り返すことによって減圧室内の空気を強制的に吸引し、外部へ排気可能にするという手動減圧ポンプの一部となる機能を担うと共に、減圧・巻締めハンドルの回転動を減圧室内に臨ませた巻締めヘッドに伝達し、巻締めキャップの巻締め動作を実現化可能にするという機能を担うものであり、上部真空ボックスに対し、芯出し収容したビンの巻締めキャップ軸心回りに回転自在とするよう組み込み、巻締めキャップ天面に接合する巻締めヘッドを一体化し、減圧・巻締めハンドルおよびシャフトの垂直軸心回りの回転力を確実に伝達可能なものとしなければならず、後述する実施例にも示したが、巻締めヘッドが、巻締めキャップ天面に当接する下面に天然ゴムや合成ゴム、発泡樹脂、軟質樹脂、その他何れかの弾性・摩擦層を設けてなるものとするのが望ましい。
【0026】
巻締めヘッドは、減圧室内のビンの巻締めキャップの天面に接合し、減圧室内の真空化に伴って発生する巻締めキャップの天面との間の吸引力(外気圧との差)によって摩擦力を増し、減圧・巻締めハンドル、シャフトを介して外部からの手作業により、減圧シリンダーおよび巻締めヘッドを回転し、減圧室内の締めキャップをビンに対して遠隔的に巻締め可能とする機能を担うものであって、減圧シリンダーの下端に強固に一体化したものとしなければならず、後述する実施例にも示すように、該巻締めヘッドの中央に上下に貫通する吸引口を開口し、該吸引口の適所に逆止弁を設け、減圧室内から減圧シリンダーへ送り込んだ空気が逆流するのを阻止すようにしたものとすることができる。
【0027】
減圧・巻締めハンドルは、手動減圧ポンプ・巻締め機構部の一連の操作入力を可能とする機能を担い、また、手動減圧ポンプの上下動を可能とし、且つ巻締め機構部の垂直軸心回りの回転操作を実現化するという機能を担うものであり、シャフトの上端に、円形、一文字型、星型、四角型、多角形型、異形型など様々な形状のものとして設けたものとすることができ、該減圧・巻締めハンドルから垂下したシャフトの下端には、手動減圧ポンプ減圧シリンダーに配した減圧ピストンを設け、該減圧・巻締めハンドルおよび減圧ピストンは、減圧シリンダーに対して上下方向に進退移動自在とし、且つ、垂直軸心回りに回動不能とするキーおよびキー溝、または、それに代替可能な機構からなるものなどの回転止め部を設けたものとすることができる。
【0028】
下部真空ボックスおよび上部真空ボックスの組み合わせからなる装置本体は、外部適所に、減圧室の気圧を表示する真空圧ゲージを設けてなるものとすることができ、また、減圧室下部および減圧室上部からなる減圧室の適所に、装置本体外部にある真空解除部を設けてなるものとすることができ、真空解除部は、ビンのキャッピング操作中、減圧室内の真空状態を維持し、キャッピングを終えて減圧室の真空を解除する場合に、減圧室内と装置本体外部とを連通して大気圧に復帰可能とする機能を担っていて、減圧室と外部とを繋ぐ筒状ネジに、気密シールを内装した袋ナットを螺着し、気密を確保可能とし、袋ナットを螺解して減圧室と外部とを繋ぎ、真空を解除可能としてなるような簡素なものとすることが可能である。
【0029】
また、真空解除部は、例えば、装置本体適所の肉厚方向に貫通する小排気路を設け、該小排気路に進退自在な解除軸を挿通し、同解除軸の内端に抜け止め鍔部を設け、同解除軸の外端には弁部を設けた真空解除バルブとし、減圧室内が真空状態では、弁部が該小排気路の外端に自動的に吸引されて密着し、減圧室の気密状態を維持するものとなり、真空解除バルブを外がわに向けて引き放すよう操作すると、弁部が該小排気路の外端から離脱して開放し、減圧室内と外気とを連通状とし、真空状態を解除可能としたものとすることが可能であり、さらにまた、後述する実施例にも示したように、装置本体適所の肉厚方向に貫通する小排気路を設け、該小排気路に進退自在な解除軸を挿通し、同解除軸の内端に減圧室内壁に対して密着可能な弁部を設け、同解除軸の外端に、減圧室中心がわから遠心方向に向けて付勢する弾性付勢部を設けた真空解除ボタンとし、減圧室内が真空状態では、弾性付勢部が、弁部を減圧室内壁に対して密着させて気密状態を維持し、装置本体外部から真空解除ボタンを、該弾性付勢部の弾性押圧力に抗して減圧室内がわに押し込み操作すると、弁部が減圧室内壁から僅かに離脱して、減圧室内と外気とを連通状とし、真空状態を解除可能とするようにしたものとすることができる。
【0030】
ビンおよび巻締めキャップは、上端を開口した容器と、それに装着する巻締めタイプのキャップであり、ボトルとスクリューキャップとすることができ、細口ビンとスクリューキャップとすることができる外、例えば、Φ40mm〜Φ80mm、高さ50mm〜100mmの寸法範囲内、またはそれ以外の寸法範囲の、丸、四角、六角、その他などのあらゆる広口ビンと、それに装着するネジキャップやツイストキャップとすることが可能であって、後述する実施例にも示しているが、広口ビンと、それに装着するセーフティボタン付のツイストキャップなどとすることができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図面は、この発明の真空キャップ巻締め装置の技術的思想を具現化した代表的な一実施例を示すものである。
【
図1】真空キャップ巻締め装置を断面化して示す正面図である。
【
図2】真空キャップ巻締め装置を示す平面図である。
【
図3】真空キャップ巻締め装置を示す下面図である。
【
図4】真空キャップ巻締め装置を示す正面図である。
【
図5】真空キャップ巻締め装置を示す側面図である。
【
図7】下部真空ボックスを断面化して示す正面図である。
【
図8】減圧ピストンの上昇操作を開始した上部真空ボックスを断面化して示す側面図である。
【
図9】減圧ピストンを上昇操作中の上部真空ボックスを断面化して示す側面図である。
【
図10】減圧ピストンの降下操作を開始した上部真空ボックスを断面化して示す側面図である。
【
図11】減圧ピストンの降下を終えようとする上部真空ボックスを断面化して示す側面図である。
【実施例1】
【0032】
図1ないし
図11に示す事例は、広口ビンJに対応可能な芯出し・回転止め機構部3を有する減圧室R下部の上端に上端嵌合口20を開口した下部真空ボックス2を設け、該下部真空ボックス2上端嵌合口20に気密状嵌合可能な下端嵌合口40上に続く減圧室R上部を有する上部真空ボックス4を設け、該下部真空ボックス2上端嵌合口20に上部真空ボックス4下端嵌合口40を気密状に組み合わせて装置本体10となるものとし、該上部真空ボックス4上部には、減圧・巻締めハンドル8下より垂下した手動減圧ポンプ5を、芯出し収容したビンJの巻締めキャップTC軸心回りに回転自在に縦貫し、減圧室R上部に臨ませた該手動減圧ポンプ5下端に、巻締めキャップTC天面に接合する巻締めヘッド60を一体化して手動減圧ポンプ5・巻締め機構部50とし、減圧室R下部および減圧室R上部からなる減圧室Rの適所に真空解除部22を設けてなるものとした、この発明の真空キャップ巻締め装置における代表的な一実施例を示すものである。
【0033】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の真空キャップ巻締め装置1は、減圧室R内に直径Φ40mm〜Φ80mm、高さH50mm〜H100mmの丸、六角、四角等のあらゆる形状、寸法の広口ビンJにツイストキャップTCを仮締めして立てた姿勢に収容可能にすると共に、同減圧室Rの底部に、後述する芯出し・回転止め機構部3の主要部分を内蔵可能な寸法、形状に設定したものとし、当該装置本体10の下部真空ボックス2は、略円筒形の外郭形状をなし、底部に3個の防振脚23,23,23を有すると共に、
図6に示すように、中央に、略直方体形状の減圧室R下部を天面開口状に凹設し、対峙する短辺(2辺)の寸法を、市場に流通する一般的なビンJの最大直径より僅かに大きく設定し、該短辺(2辺)に直交する他の長辺(2辺)を、市場に流通する一般的なビンJの最大直径に、芯出し・回転止め機構部3の対峙スライダー34,34の進退方向の厚み、およびその後退範囲を加えた大きさより僅かに大きな寸法に設定し、該減圧室R下部の容積を最小限度に留めたものとした上、該減圧室R下部の上端周囲に、中央寄りを短筒状に立ち上げた凸状段差形の上端嵌合口20を設け、該上端嵌合口20の短筒状部分の外周壁には、環状溝を刻設して弾性素材製の気密リングR0を環装したものである。
【0034】
図1、
図6および
図7に示すように、芯出し・回転止め機構部3は、概略直方体形状の減圧室R下部底部中央付近を、その長辺に平行となる直径方向に貫き、下部真空ボックス2壁間に横架するよう軸着した軸部30の、対象広口ビンJのクランプ位置中心を境とする一方に右ネジ軸部31、他方に左ネジ軸部32を有し、下部真空ボックス2外に露出させた一方の軸端にクランプ・ハンドル33を一体化し、該対向送りネジ33の右ネジ軸部31および左ネジ軸部32に、対象となる広口ビンJを平面V字形やL字形を成して挟持する一対の対峙スライダー34,34を螺着し、クランプ・ハンドル33を一方向に回転操作すると対向送りネジ33が回転し、対峙スライダー34,34を互いに求心方向に移動し、クランプ・ハンドル33を逆方向に回転操作すると、対峙スライダー34,34が互いに遠心方向に移動するものとしてある。
【0035】
さらに、下部真空ボックス2の外周壁適所には、減圧室R内の空気圧を表示する真空圧ゲージ21を設け、また、下部真空ボックス2の外周壁適所の肉厚方向に貫通する小排気路を設け、該小排気路に進退自在な解除軸を挿通し、同解除軸の内端に減圧室R下部内壁に対して密着可能な弁部を設け、同解除軸の外端に、減圧室中心がわから遠心方向に向けて付勢する弾性付勢部を設けた真空解除ボタン22を設け、減圧室R内が真空状態では、弾性付勢部が、弁部を減圧室R下部内壁に対して密着させて気密状態を維持し、装置本体10外部から真空解除ボタン22を、該弾性付勢部の弾性押圧力に抗して減圧室R下部内がわに押し込み操作すると、弁部が減圧室R下部内壁から僅かに離脱して、減圧室R内と外気とを連通状とし、真空状態を解除可能とするようにしたものとすることができる。
【0036】
上部真空ボックス4は、その下端に前記下部真空ボックス2上端嵌合口20の凸段差形に気密状嵌合可能な凹状段差形の下端嵌合口40を有し、その外郭形状が、下部真空ボックス2の外径と同等か、それよりも僅かに大きくなるよう寸法設定し、最大径が下部真空ボックス2を超えない円筒形や円錐形などとするのが望ましく、例えば、
図1にも示すように、塔状にして安定に搭載可能な形状のものとすることができる。
【0037】
上部真空ボックス4の下端嵌合口40上中央には、該下端嵌合口40内側上に延びる減圧室R上部中央に、少なくとも適応可能な最大直径の広口ビンJの巻締めキャップTCである例えばツイストキャップTCの外径Φ80mmを僅かに超える内径、および、後述する巻締めヘッド60の上下厚み寸法に、同じく後述する減圧シリンダー6の上下ストローク寸法を加えた高さ寸法を僅かに超える高さに設定した円筒形の巻締めヘッド用案内筒部41を設け、該巻締めヘッド用案内筒部41上の中央には、後述する減圧シリンダー6の上下動を安定的に案内可能な上下寸法に設定した円筒形の減圧シリンダー用案内筒部42を縦貫状に穿設したものとしてある。
【0038】
手動減圧ポンプ5・巻締め機構部50は、該減圧シリンダー用案内筒部42内に、所定長寸法の円筒形状に設定した減圧シリンダー6を、上下動、および、芯出し収容した場合の対象広口ビンJのツイストキャップTC軸心回りに回転自在に組み込み、同減圧シリンダー6の巻締めヘッド用案内筒部41内に達する下端には、巻締めヘッド用案内筒部41内径より僅かに小径とし、所定の厚み寸法に設定し、芯出し収容した場合の対象広口ビンJのツイストキャップTCの中央上部に対応する、中心部に減圧室Rと減圧シリンダー6内とを逆止弁62を有して繋ぐ吸引口61を開口し、該吸引口61を除く下面の、対象広口ビンJのツイストキャップTCとの接触範囲に、天然ゴムやシリコン樹脂などの高摩擦、弾性素材製とした弾性・摩擦層63を積層状に一体化してなる巻締めヘッド60を設け、該逆止弁62は、例えば、吸引口61を縦貫する柱部の減圧シリンダー6内に露出する上端に頭部を設けて気密リングを装着し、同柱部の減圧室Rに臨む下端にEリングを嵌着し、減圧室Rから減圧シリンダー6内に空気を通過可能とし、しかも逆流を阻止するものとしてある。
【0039】
減圧シリンダー6の上部真空ボックス4上に露出させた上端から、同減圧シリンダー6内に、柱状の下端に減圧ピストン9を設け、周壁に回転止め部70の凸状キーを一体化したシャフト7を垂下状に挿着し、同減圧シリンダー6上端に、該シャフト7を上下動自在に案内可能な中央案内・排気孔に、該回転止め部70のキー溝を一体化したシャフト案内口64を開口したものとしてあり、減圧シリンダー6シャフト案内口64上に突出するシャフト7上端には、上下動操作および回転操作を可能とする減圧・巻締めハンドル8を設けたものとしてある。
【0040】
減圧ピストン9は、概略短筒状をないし、シャフト7下端に設けたフランジ状鍔形であって、同フランジ状鍔形上面に弁シール環73を環装したピストン受け部71と、該ピストン受け部71上の減圧ピストン9の厚み寸法より僅か上となる位置に環状をなして固着したピストン規制部72との上下間に、該シャフト7下端外周壁に筒状の筒状逆止路90を確保するよう遊嵌し、該ピストン受け部71弁シール環73に臨む箇所に凹状段差形状の係合部91を設け、さらに、減圧シリンダー6の内周壁に面する該減圧ピストン9の外周壁には、環状溝を刻設し、外周気密リング92を環装してなるものとしてある。
【0041】
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明の真空キャップ巻締め装置1は、
図1ないし
図11に示すように、直径Φ40mm〜Φ80mm、高さH50mm〜H100mmの丸、六角、四角などのあらゆる形状、寸法の広口ビンJにツイストキャップTCを仮締めしたものを立てた姿勢に収容可能なものであり、該広口ビンJの形状や寸法の違いに関わらず、段取り作業など要さずとも、キャッピング作業を開始することが可能であり、
図6および
図7に示すように、上部真空ボックス4を分離した下部真空ボックス2減圧室R下部に、食品などの被包装物を充填し、ツイストキャップTCを仮締めした広口ビンJを自立姿勢のまま収容し、クランプ・ハンドル33をクランプ方向に回転操作すると、対向送りネジ30の右ネジ軸部31、左ネジ軸部32が従動回転し、対峙スライダー34,34を下部真空ボックス2の中央に向けて互いに近接するよう送り移動し、広口ビンJを挟持し、芯出し位置決めすると同時に、クランプ・ハンドル33を増し締め操作して確りと挟持、固定して回転止めすることができる。
【0042】
広口ビンJの芯出し、回転止め操作を終えた後、
図1ないし
図5に示すように、下部真空ボックス2に上部真空ボックス4を搭載し、上端嵌合口20に下端嵌合口40を気密状に嵌合させて組み合わせ、減圧室R下部および減圧室R上部が、気密リングR0介して1個の気密な減圧室Rとなり、
図8および
図9に示すように、手動減圧ポンプ5・巻締め機構部50の減圧・巻締めハンドル8を上昇操作すると、シャフト7減圧ピストン9係合部91が、シャフト7弁シール環73に密着して筒状逆止路90を閉鎖すると共に減圧シリンダー6内を上昇し、その負圧によって巻締めヘッド60逆止弁62が開放し、減圧室R内の空気を巻締めヘッド60吸引口61を通じて減圧シリンダー6内の減圧ピストン9下に吸い上げると共に、減圧シリンダー6内の減圧ピストン9上にあった空気をシャフト案内口(中央案内・排気孔)64から排気し、続いて
図10および
図11に示すように、減圧・巻締めハンドル8を降下操作すると、減圧シリンダー6内減圧ピストン9下の圧力上昇によって巻締めヘッド60逆止弁62が閉鎖し、逆止弁62の閉鎖によって圧力が上昇した減圧シリンダー6内減圧ピストン9下の空気は、減圧ピストン9をシャフト7に対して相対的に僅かに上昇させて筒状逆止路90を開放し、減圧シリンダー6内減圧ピストン9上に上昇し、減圧ピストン9が下死点付近に達した後、
図8および
図9に示すように、減圧・巻締めハンドル8を上昇操作するという上下動操作を複数回繰り返し、減圧室R内の空気を排気し、凡そ0ないし80Kpaの真空圧まで減圧することができ、減圧室R内が真空状態にある間は、下部真空ボックス2上端嵌合口20と上部真空ボックス4下端嵌合口40とが、強固に一体化し、不用意に外れることなく装置本体10としての強い一体感を維持するものとなる。
【0043】
図1ないし
図7に示すように、真空圧ゲージ21の表示を目視しながら、上述の如く減圧・巻締めハンドル8を上下動操作し、目標の真空圧に達したのを確認した後、巻締め機構部50による巻締め操作を行うこととなるが、減圧室R内を真空圧状態にすると、巻締めヘッド60弾性・摩擦層63下面と、ツイストキャップTC天面との間に負圧を生じて互いに吸着し、大きな摩擦力を得るものとなり、しかもツイストキャップTC中央のセーフティボタンSBが、広口ビンJ内の負圧を受けて平坦状に没した状態となり、手動減圧ポンプ5と兼用となる同じ減圧・巻締めハンドル8を巻締め方向に回転操作すると、シャフト7のキーと減圧シリンダー6のキー溝とからなる回転止め部70が、減圧・巻締めハンドル8と減圧シリンダー6とを一体に回転するものとするから、減圧・巻締めハンドル8に連動回転する巻締めヘッド60が、ツイストキャップTCを広口ビンJに対して確実に密閉、巻締めすることができる。
【0044】
こうした一連の作業中に生ずる振動は、防振脚23,23,23が減衰し、静粛性に優れた作業を実現化すると共に、同防振脚23,23,23が作業台天面との摩擦力を発生して、巻締め操作による下部真空ボックス2の不用意な回転やズレ動きを、より確実に防止するものとなり、巻締め作業を完了した後には、真空解除ボタン22をワンタッチ操作するだけで、減圧室R内を大気圧に復帰させ、下部真空ボックス2上端嵌合口20から上部真空ボックス4下端嵌合口40を容易に分離することができ、クランプ・ハンドル33を操作して迅速に広口ビンJを取り出し、次の仮締め状態の広口ビンJを供給し、円滑且つ連続的に真空キャッピング可能となり、しかもツイストキャップTCおよびスクリューキャップTC共に、略同様の作業工数によってキャッピング作業を行うことができ、凡そ120本/1時間の生産力を達成することができる。
【0045】
(結 び)
叙述の如く、この発明の真空キャップ巻締め装置は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの真空キャップの巻締め装置技術に比較して大幅に、小型・軽量化して可搬性に優れたものとし、1人でも簡単に持ち運ぶことができ、簡単に卓上に設置し、調整などの段取りを要さずとも即座にキャッピング作業に取り掛かることができる上、電動モーターやアクチュエーター、コンプレッサーなどの圧縮機、真空ポンプなどの外部機器や電力その他の外部エネルギーを必要としない完全な手動式で静粛性にも優れ、遥かに経済的なものとすることができる上、ビン詰め商品の試作・研究や、サンプル品の製作、試作品の評価用などの少量生産に適するから、ビン詰め商品の開発を行う企業や開発部門などは勿論のこと、ビン詰め商品の多品種少量生産を行う企業におけるキャッピング作業の作業負担を大幅に軽減し得るものとなり、食品業界や小物等のビン詰め雑貨類を手掛ける雑貨業界などは固よりのこと、低コストで気軽に高品質且つ長期保存可能なビン詰め加工を行いたいと希望する小規模農家や一般家庭においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【符号の説明】
【0046】
1 真空キャップ巻締め装置
10 同 装置本体
2 下部真空ボックス
20 同 上端嵌合口
21 同 真空圧ゲージ
22 同 真空解除ボタン
23 同 防振脚
3 芯出し・回転止め機構部
30 同 対向送りネジ(軸部)
31 同 右ネジ軸部
32 同 左ネジ軸部
33 同 クランプ・ハンドル
34 同 対峙スライダー
4 上部真空ボックス
40 同 下端嵌合口
41 同 巻締めヘッド用案内筒部
42 同 減圧シリンダー用案内筒部
5 手動減圧ポンプ
50 同 巻締め機構部
6 減圧シリンダー
60 同 巻締めヘッド
61 同 吸引口
62 同 逆止弁(逆止駒、気密リング、Eリング)
63 同 弾性・摩擦層
64 同 シャフト案内口(中央案内・排気孔)
7 シャフト
70 同 回転止め部(キー溝、キー)
71 同 ピストン受け部
72 同 ピストン規制部
73 同 弁シール環
8 減圧・巻締めハンドル
9 減圧ピストン
90 同 筒状逆止路
91 同 係合部
92 同 外周気密リング
R 減圧室(減圧室下部、減圧室上部)
R0 同 気密リング
J 広口ビン
TC 同 ツイストキャップ(スクリューキャップ、巻締めキャップ)
SB 同 セーフティボタン