特許第6333889号(P6333889)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6333889
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】有機電界発光表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/10 20060101AFI20180521BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20180521BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20180521BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20180521BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20180521BHJP
   C23C 14/12 20060101ALI20180521BHJP
   C23C 14/04 20060101ALI20180521BHJP
   C23C 14/24 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   H05B33/10
   H05B33/14 A
   H05B33/12 B
   H05B33/12 C
   H01L27/32
   G09F9/30 365
   C23C14/12
   C23C14/04 B
   C23C14/24 R
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-114399(P2016-114399)
(22)【出願日】2016年6月8日
(62)【分割の表示】特願2012-163991(P2012-163991)の分割
【原出願日】2012年7月24日
(65)【公開番号】特開2016-186937(P2016-186937A)
(43)【公開日】2016年10月27日
【審査請求日】2016年6月9日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0042652
(32)【優先日】2012年4月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100159042
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 徹二
(72)【発明者】
【氏名】ドミトリー アントネンコフ
【審査官】 中山 佳美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−141847(JP,A)
【文献】 特開2004−353085(JP,A)
【文献】 特開2005−032464(JP,A)
【文献】 特表2014−503982(JP,A)
【文献】 特表2004−534361(JP,A)
【文献】 特開平05−258859(JP,A)
【文献】 米国特許第07714503(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50−51/56
H01L 27/32
H05B 33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜トランジスタパネルを形成する段階、
前記薄膜トランジスタパネル上にフォトエッチング工程によって蒸着マスクを形成する段階、
線状蒸着源から前記蒸着マスクに有機物を傾斜して噴射して前記薄膜トランジスタパネル上に有機発光層を形成する段階、
接着フィルムを利用して前記蒸着マスクを除去する段階、
を含み、
前記蒸着マスクは遮断角以下に噴射される前記有機物を遮断する複数の蒸着壁を含み、
前記蒸着マスクは、複数の蒸着壁が互いに連結して角形状をなす角形状蒸着壁であって、前記有機発光層は1つの前記角形状で一画素を形成し、画素間は前記角形状蒸着壁の厚みを隔てて、画素を構成する副画素が隣接し、
1つの前記六角形状内に配置される複数の副画素は、平面視において、前記六角形状を構成する、有機発光表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記蒸着マスクは、2つの前記蒸着壁が互いに平行に離隔した平行蒸着壁を含む、請求項1に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記蒸着壁の長さをa、前記蒸着壁によって前記有機物が遮断される遮断角をαとするとき、
前記蒸着壁の高さhは
【数2】
である、請求項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記有機発光層を形成する段階は、
第1六角方向から第1有機物を噴射して前記六角蒸着壁内部に菱形状の第1色有機発光層を形成する段階、
前記第1六角方向から120度回転した第2六角方向から第2有機物を噴射して前記六角蒸着壁内部に菱形状の第2色有機発光層を形成する段階、
前記第2六角方向から120度回転した第3六角方向から第3有機物を噴射して前記六角蒸着壁内部に菱形状の第3色有機発光層を形成する段階、
を含む、請求項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1六角方向、第2六角方向、および第3六角方向のうちのいずれか一方向は、前記六角蒸着壁の対向する角部を連結する方向と平行である、請求項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置(organic light emitting diode display)は、2つの電極とその間に位置する有機発光層を含み、1つの電極から注入された電子(electron)と他の電極から注入された正孔(hole)が有機発光層で結合して励起子(exciton)を形成し、励起子がエネルギーを放出しながら発光する。
【0003】
このような有機発光層を形成するためには、有機物を薄膜トランジスタパネル上に蒸着しなければならず、このために有機物が満たされている蒸着源を加熱して有機物を蒸発させ、薄膜トランジスタパネル上に噴射させる。このとき、蒸発して噴射した有機物を画素領域に蒸着させるために、有機物が通過する開口部と有機物が遮断される金属からなる遮断部とを含む蒸着マスクを使用する。
【0004】
しかし、有機発光表示装置が大型化するに伴い、金属からなる蒸着マスクの整列が困難になる。これを解決するために、蒸着源から有機物が傾斜して蒸着マスクに噴射される方法が開発されたが、この場合、視差(parallax)補正のために蒸着源と薄膜トランジスタパネルの間の距離が薄膜トランジスタパネルのサイズの何倍以上とならなければならず、一般的に大型薄膜トランジスタパネルのサイズは数メートル(m)であるため、このような蒸着方法の実現は困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述したような背景技術の問題点を解決するためのものであって、整列が容易であり、大型有機発光表示装置の製造に適用することができる蒸着マスクを利用した有機発光表示装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置は、複数の薄膜トランジスタが形成されている薄膜トランジスタパネル、前記薄膜トランジスタパネル上に互いに離隔して形成されている第1色有機発光層および第2色有機発光層、前記薄膜トランジスタパネル、第1色有機発光層および第2色有機発光層を覆っている第3色有機発光層を含み、積層された前記第1色有機発光層および第3色有機発光層は第1副画素に対応し、積層された前記第2色有機発光層および第3色有機発光層は第2副画素に対応し、前記第1色有機発光層および第2色有機発光層の間に形成されている前記第3色有機発光層は第3副画素に対応してもよい。
【0007】
前記第1副画素、第2副画素、および第3副画素は、1つの四角画素をなしてもよい。
【0008】
前記第1色有機発光層は赤色有機発光層、前記第2色有機発光層は緑色有機発光層、前記第3色有機発光層は青色有機発光層であってもよい。
【0009】
また、本発明の他の実施形態に係る有機発光表示装置は、複数の薄膜トランジスタが形成されている薄膜トランジスタパネル、前記薄膜トランジスタパネル上に互いに隣接して形成されている菱形状の第1色有機発光層、第2色有機発光層、および第3色有機発光層を含み、前記第1色有機発光層、第2色有機発光層、および第3色有機発光層はそれぞれ第1副画素、第2副画素、および第3副画素に対応し、前記第1副画素、第2副画素および第3副画素は1つの六角画素をなしてもよい。
【0010】
複数の前記六角画素は互いに離隔して形成されており、ハニカム形状に配置されていてもよい。
【0011】
前記第1色有機発光層は赤色有機発光層、前記第2色有機発光層は緑色有機発光層、前記第3色有機発光層は青色有機発光層であってもよい。
【0012】
また、本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法は、薄膜トランジスタパネルを形成する段階、前記薄膜トランジスタパネル上にフォトエッチング工程によって蒸着マスクを形成する段階、線状蒸着源から前記蒸着マスクに有機物を傾斜して噴射して前記薄膜トランジスタパネル上に有機発光層を形成する段階、接着フィルムを利用して前記蒸着マスクを除去する段階を含み、前記蒸着マスクは遮断角以下に噴射される前記有機物を遮断する複数の蒸着壁を含んでもよい。
【0013】
前記蒸着マスクは、2つの前記蒸着壁が互いに平行に離隔した平行蒸着壁を含んでもよい。
【0014】
前記蒸着壁の間の間隔をWp、前記蒸着壁によって前記有機物が遮断される遮断角をα、前記平行蒸着壁内部に前記有機物が蒸着される蒸着長さをWspとするとき、前記蒸着壁の高さhは
【数1】
【0015】
であってもよい。
【0016】
前記有機発光層を形成する段階は、第1方向から第1有機物を噴射して前記平行蒸着壁内部に第1色有機発光層を形成する段階、前記第1方向から180度回転した第2方向から第2有機物を噴射して前記平行蒸着壁内部に第2色有機発光層を形成する段階、前記蒸着壁の高さ方向と平行な第3方向から第3有機物を噴射して前記平行蒸着壁内部に第3色有機発光層を形成する段階を含んでもよい。
【0017】
前記第2色有機発光層は、前記第1色有機発光層と離隔して形成されてもよい。
【0018】
前記蒸着マスクは、6つの蒸着壁が互いに連結して六角形状をなす六角蒸着壁を含んでもよい。
【0019】
前記蒸着壁の長さをa、前記蒸着壁によって前記有機物が遮断される遮断角をαとするとき、前記蒸着壁の高さhは
【数2】
【0020】
であってもよい。
【0021】
前記有機発光層を形成する段階は、第1六角方向から第1有機物を噴射して前記六角蒸着壁内部に菱形状の第1色有機発光層を形成する段階、前記第1六角方向から120度回転した第2六角方向から第2有機物を噴射して前記六角蒸着壁内部に菱形状の第2色有機発光層を形成する段階、前記第2六角方向から120度回転した第3六角方向から第3有機物を噴射して前記六角蒸着壁内部に菱形状の第3色有機発光層を形成する段階を含んでもよい。
【0022】
前記第1六角方向、第2六角方向、および第3六角方向のうちのいずれか一方向は、前記六角蒸着壁の対向する角部を連結する方向と平行してもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実施形態によれば、フォトエッチング工程によって蒸着マスクを形成するため、大型有機発光表示装置を製造する場合にも蒸着マスクの整列が容易となる。
【0024】
また、六角蒸着壁を含む蒸着マスクを利用して有機発光層を形成する場合には、青色有機発光層が赤色有機発光層および緑色有機発光層と重ならないため、視認性および透過率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態に係る有機発光表示装置の断面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る有機発光表示装置の平面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法の一段階であって、蒸着マスクを形成する段階を示す図である。
図4図3の次の段階であって、第1有機物を噴射する段階を示す図である。
図5図4で蒸着された第1有機物の蒸着平面図を示す図である。
図6図4の次の段階であって、第2有機物を噴射する段階を示す図である。
図7図6で蒸着された第2有機物の蒸着平面図を示す図である。
図8図6の次の段階であって、第3有機物を噴射する段階を示す図である。
図9図8で蒸着された第3有機物の蒸着平面図を示す図である。
図10図8の次の段階であって、接着フィルムを蒸着マスクに接着させる段階を示す図である。
図11図10の次の段階であって、接着フィルムを利用して蒸着マスクを薄膜トランジスタパネルから分離させる段階を示す図である。
図12】本発明の第2実施形態に係る有機発光表示装置の平面図である。
図13】本発明の第2実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法において、蒸着マスクに有機物を噴射する状態を示す図である。
図14】本発明の第2実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法において、第1有機物を噴射する段階を示す図である。
図15図14の次の段階であって、第2有機物を噴射する段階を示す図である。
図16図15の次の段階であって、第3有機物を噴射する段階を示す図である。
図17図16の次の段階であって、接着フィルムを蒸着マスクに接着させる段階を示す図である。
図18図17の次の段階であって、接着フィルムを利用して蒸着マスクを薄膜トランジスタパネルから分離させる段階を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態ついて、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は多様に相違した形態に実現されることができ、ここで説明する実施形態に限定されることはない。
【0027】
また、明細書全体に渡り、同一または類似する構成要素については同一する参照符号を付与する。
【0028】
また、図面に示す各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示すものであり、本発明が必ずしも示されたものに限定されることはない。
【0029】
以下、本発明の第1実施形態に係る有機発光表示装置について、図1および図2を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明の第1実施形態に係る有機発光表示装置の断面図である。図2は、本発明の第1実施形態に係る有機発光表示装置の平面図である。
【0031】
図1および図2に示すように、本発明の第1実施形態に係る有機発光表示装置は、複数の薄膜トランジスタ110が形成されている薄膜トランジスタパネル100、薄膜トランジスタパネル100上に互いに離隔して形成されている第1色有機発光層210および第2色有機発光層220、薄膜トランジスタパネル100、第1色有機発光層210および第2色有機発光層220をすべて覆っている第3色有機発光層230を含む。
【0032】
薄膜トランジスタパネル100は、走査信号を伝達する複数のゲート線、データ信号を伝達する複数のデータ線、および駆動電圧を伝達する複数の駆動電圧線と、これらに連結している複数の薄膜トランジスタ110を含む。複数の薄膜トランジスタ110は、スイッチング薄膜トランジスタ(switchingthin film transistor)、駆動薄膜トランジスタ(drivingthin film transistor)、ストレージキャパシタ(storage capacitor)、駆動薄膜トランジスタの出力端子に連結しているアノード(anode)120を含む。
【0033】
スイッチング薄膜トランジスタは、ゲート線に印加される走査信号に応答してデータ線に印加されるデータ信号を駆動薄膜トランジスタに伝達し、駆動薄膜トランジスタは、制御端子と出力端子の間にかかる電圧に応じてその大きさが変わる出力電流を流す。
【0034】
第3色有機発光層230上には、共通電圧(Vss)に連結しているカソード(cathode)300が形成されている。アノード120、有機発光層210、220、230、およびカソード300は有機発光ダイオード(organic light emitting diode:OLED)をなし、駆動薄膜トランジスタ(Qd)の出力電流(ILD)に応じて強度を相違させて発光することによって映像を表示する。
【0035】
第1色有機発光層210および第3色有機発光層230は積層して第1副画素(P1)に対応し、第2色有機発光層220および第3色有機発光層230は積層して第2副画素(P2)に対応し、第1色有機発光層210および第2色有機発光層220の間に形成されている第3色有機発光層230は第3副画素(P3)に対応する。また、第1副画素(P1)、第2副画素(P2)、および第3副画素(P3は)1つの四角画素(P)をなし、隣接する四角画素(P)は互いに所定の間隔だけ離隔して配置されている。隣接する四角画素の間の領域(d)は、除去された蒸着マスク400が形成されていた領域である。
【0036】
第1色有機発光層210は赤色有機発光層、第2色有機発光層220は緑色有機発光層、第3色有機発光層230は青色有機発光層であってもよい。したがって、第1副画素からは赤色(R)が発光し、第2副画素からは緑色(G)が発光し、第3副画素からは青色(B)が発光する。これは、赤色有機発光層210と青色有機発光層230が積層した第1副画素(P1)からは赤色の視認性が青色より優れているためであり、緑色有機発光層220と青色有機発光層230が積層した第2副画素(P2)からは緑色の視認性が青色より優れているためである。
【0037】
以下では、本発明の第1実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法について、図3図11を参照しながら詳しく説明する。
【0038】
図3は、本発明の第1実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法の一段階であって、蒸着マスクを形成する段階を示す図面である。図4は、図3の次の段階であって、第1有機物を噴射する段階を示す図である。図5は、図4で蒸着された第1有機物の蒸着平面図を示す図である。図6は、図4の次の段階であって、第2有機物を噴射する段階を示す図である。図7は、図6で蒸着された第2有機物の蒸着平面図を示す図である。図8は、図6の次の段階であって、第3有機物を噴射する段階を示す図である。図9は、図8で蒸着された第3有機物の蒸着平面図を示す図である。図10は、図8の次の段階であって、接着フィルムを蒸着マスクに接着させる段階を示す図である。図11は、図10の次の段階であって、接着フィルムを利用して蒸着マスクを薄膜トランジスタパネルから分離させる段階を示す図である。
【0039】
図3に示すように、本発明の第1実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法は、まず、薄膜トランジスタパネル100を形成する。そして、薄膜トランジスタパネル100上にフォトエッチング工程によって蒸着マスク400を形成する。
【0040】
このような蒸着マスク400は、遮断角(α)以下に噴射される有機物10、20、30を遮断する複数の蒸着壁410を含み、2つの蒸着壁410が互いに平行に離隔して平行蒸着壁41をなす。蒸着壁410は、上端面410b、上端面410bから下方に伸びる第1壁410a、および第2壁410cを含む。
【0041】
このとき、蒸着壁410の間の間隔をWp、蒸着壁410によって有機物10、20、30が遮断される遮断角をα、平行蒸着壁41内部に有機物10、20、30が蒸着される蒸着長さをWspとするとき、蒸着壁410の高さhは下記の数式(1)のように定義される。
【数3】
【0042】
次に、図4および図5に示すように、線状蒸着源500から蒸着マスク400に第1有機物10を傾斜して噴射して薄膜トランジスタパネル100上に第1色有機発光層210を形成する。このために、線状蒸着源500から噴射される第1有機物10の噴射方向と薄膜トランジスタパネル100の表面の間に遮断角(α)が形成されるように線状蒸着源500を傾斜して設置する。そして、薄膜トランジスタパネル100を固定し、線状蒸着源500を水平方向に移動させて第1有機物10を噴射したり、線状蒸着源500を固定し、薄膜トランジスタパネル100を水平方向に移動させて第1有機物10を噴射したりする。
【0043】
このとき、第1有機物10の噴射方向である第1方向(k1)から第1有機物10を噴射して平行蒸着壁41内部に第1色有機発光層210を形成する。このとき、第1方向(k1)を向く蒸着壁410の第1壁410a、蒸着壁410の上端面410b、第1壁410aに隣接した第1副画素(P1)に第1有機物10が蒸着され、第1壁410aに隣接した第1副画素に蒸着した第1有機物10が第1色有機発光層210となる。
【0044】
次に、図6および図7に示すように、第1方向(k1)から180度回転した第2方向(k2)から第2有機物20を噴射して平行蒸着壁41内部に第2色有機発光層220を形成する。このとき、薄膜トランジスタパネル100を固定し、線状蒸着源500を水平方向に移動させて第2有機物20を噴射したり、線状蒸着源500を固定し、薄膜トランジスタパネル100を水平方向に移動させて第2有機物20を噴射したりする。
【0045】
このとき、第2有機物20は、蒸着壁410の上端面410b、第2方向(k2)を向く蒸着壁410の第2壁410c、第2壁410cに隣接した第2副画素(P2)に蒸着され、第2壁410cに隣接した第2副画素(P2)に蒸着した第2有機物20が第2色有機発光層220となる。第2色有機発光層220は、第1色有機発光層210と離隔して形成される。
【0046】
次に、図8および図9に示すように、蒸着壁410の高さ方向と平行な第3方向(k3)から第3有機物30を噴射して平行蒸着壁41内部に第3色有機発光層230を形成する。このとき、薄膜トランジスタパネル100を固定し、線状蒸着源500を水平方向に移動させて第3有機物30を噴射したり、線状蒸着源500を固定し、薄膜トランジスタパネル100を水平方向に移動させて第3有機物30を噴射したりする。
【0047】
このとき、第3有機物30は、蒸着壁410の上端面410b、第1副画素(P1)、第2副画素(P2)、および第3副画素(P3)にすべて蒸着され、第1副画素(P1)と第2副画素(P2)の間に蒸着した第3有機物3が第3色有機発光層230となる。
【0048】
次に、図10に示すように、接着フィルム600を蒸着マスク400の上端に接着させる。そして、図11に示すように、接着フィルム600を上部に引き離すと同時に、蒸着マスク400を薄膜トランジスタパネル100から分離させる。これは、接着フィルム600の接着力によって蒸着マスク400が接着フィルム600に接着しているためである。
【0049】
したがって、図2に示すように、第3色有機発光層230上にカソード300を形成することにより、互いに分離している四角画素(P)が完成する。このように、フォトエッチング工程によって蒸着マスクを形成するため、大型有機発光表示装置を製造する場合にも蒸着マスクの整列が容易となる。
【0050】
一方、前記第1実施形態では平行蒸着壁を利用して四角画素を形成したが、六角蒸着壁を利用して六角画素を形成する第2実施形態も可能である。
【0051】
以下、図12を参照しながら、本発明の第2実施形態に係る有機発光表示装置について詳しく説明する。
【0052】
図12は、本発明の第2実施形態に係る有機発光表示装置の断面図である。
【0053】
図12に示す第2実施形態は、図1および図2に示す第1実施形態と比較し、六角画素を形成したことのみを除いては実質的に同じであるため、繰り返される説明は省略する。
【0054】
図12に示すように、本発明の第2実施形態に係る有機発光表示装置は、複数の薄膜トランジスタ110が形成されている薄膜トランジスタパネル100、薄膜トランジスタパネル100上に互いに隣接して形成されている菱形状の第1色有機発光層210、第2色有機発光層220、および第3色有機発光層230を含む。
【0055】
第1色有機発光層210、第2色有機発光層220、および第3色有機発光層230はそれぞれ第1副画素(Q1)、第2副画素(Q2)、および第3副画素(Q3)に対応する。そして、第1副画素(Q1)、第2副画素(Q2)、および第3副画素(Q3)は1つの六角画素(Q)をなし、隣接する六角画素(Q)は互いに所定の間隔だけ離隔してハニカム形状に配置されている。隣接する六角画素の間の領域(d2)は、除去された蒸着マスク400が形成されていた領域である。
【0056】
第1色有機発光層210は赤色有機発光層、第2色有機発光層220は緑色有機発光層、第3色有機発光層230は青色有機発光層であってもよい。したがって、第1副画素(Q1)からは赤色(R)が発光し、第2副画素(Q2)からは緑色(G)が発光し、第3副画素(Q3)からは青色(B)が発光する。この場合、第1実施形態とは異なり、青色有機発光層230が赤色有機発光層210および緑色有機発光層220と重ならないため、視認性および透過率が向上する。
【0057】
以下、本発明の第2実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法について、図13図18を参照しながら詳しく説明する。
【0058】
図13は、本発明の第2実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法であって、蒸着マスクに有機物を噴射する状態を示す図である。図14は、本発明の第2実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法であって、第1有機物を噴射する段階を示す図である。図15は、図14の次の段階であって、第2有機物を噴射する段階を示す図である。図16は、図15の次の段階であって、第3有機物を噴射する段階を示す図である。図17は、図16の次の段階であって、接着フィルムを蒸着マスクに接着させる段階を示す図である。図18は、図17の次の段階であって、接着フィルムを利用して蒸着マスクを薄膜トランジスタパネルから分離させる段階を示す図である。
【0059】
図13に示すように、本発明の第2実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法は、まず、薄膜トランジスタパネル100を形成する。そして、薄膜トランジスタパネル100上にフォトエッチング工程によって蒸着マスク400を形成する。
【0060】
このような蒸着マスク400は、遮断角(α)以下に噴射される有機物10、20、30を遮断する複数の蒸着壁410を含み、6つの蒸着壁410が互いに連結して六角形状をなす六角蒸着壁42をなす。蒸着壁410は、上端面410b、上端面410bから下方に伸びる第1壁410a、および第2壁410cを含む。
【0061】
このとき、蒸着壁410の長さをa、蒸着壁410によって有機物10、20、30が遮断される遮断角をαとするとき、蒸着壁410の高さhは下数の数式(2)のように定義される。
【数4】
【0062】
次に、図13および図14に示すように、線状蒸着源500から蒸着マスク400に第1有機物を傾斜して噴射し、薄膜トランジスタパネル100上に第1色有機発光層210を形成する。このために、線状蒸着源500から噴射される第1有機物の噴射方向と薄膜トランジスタパネルの表面の間に遮断角(α)が形成されるように線状蒸着源500を傾斜して設置する。
【0063】
このとき、第1有機物の噴射方向の第1六角方向(j1)から第1有機物10を噴射して六角蒸着壁42内部に第1色有機発光層210を形成する。このとき、六角蒸着壁42によって遮断されない六角蒸着壁42の内部に菱形状の第1色有機発光層210が形成される。このような第1六角方向(j1)は、六角蒸着壁42の対向する角部を連結する方向と平行する。
【0064】
次に、図13および図15に示すように、第1六角方向(j1)から120度回転した第2六角方向(j2)から第2有機物を噴射して六角蒸着壁42内部に菱形状の第2色有機発光層220を形成する。
【0065】
次に、図13および図16に示すように、第2六角方向(j2)から120度回転した第3六角方向(j3)から第3有機物を噴射して六角蒸着壁42内部に菱形状の第3色有機発光層230を形成する。
【0066】
次に、図17に示すように、接着フィルム600を蒸着マスク400の上端に接着させる。そして、図18に示すように、接着フィルム600を上方に力を加えて引き離すと同時に、蒸着マスク400を薄膜トランジスタパネル100から分離させる。これは、接着フィルム600の接着力によって蒸着マスク400が接着フィルム600に接着しているためである。
【0067】
したがって、図12に示すように、互いに分離している六角画素(Q)が完成する。
【0068】
このように、フォトエッチング工程によって蒸着マスクを形成するため、大型有機発光表示装置を製造する場合にも蒸着マスクの整列が容易となる。
【0069】
また、六角蒸着壁を含む蒸着マスクを利用して有機発光層を形成するため、青色有機発光層が赤色有機発光層および緑色有機発光層と重ならず、視認性および透過率が向上する。
【0070】
本発明を上述した好ましい実施形態を参照しながら説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、添付の特許請求の範囲の概念と範囲を逸脱しない限り、多様な修正および変形が可能であるということは、本発明が属する技術分野に従事する者によって簡単に理解できるであろう。
【符号の説明】
【0071】
100:薄膜トランジスタパネル
210:第1色有機発光層30
220:第2色有機発光層
230:第3色有機発光層
400:蒸着マスク
410:蒸着壁
500:線状蒸着源
600:接着フィルム
図1
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