(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
固有の識別情報を記憶する識別情報記憶部を有する医療用施術具と、該医療用施術具と着脱自在に接続可能であるとともに前記識別情報を読取る読取部が備えられた医療用機器本体とで構成される医療用診療装置であって、
前記医療用施術具の滅菌処理に関する滅菌処理情報を記憶する滅菌処理情報記憶部と、
前記医療用施術具の前記滅菌処理情報を読込んで滅菌処理済か滅菌未処理かを判定する滅菌処理判定部と、
該滅菌処理判定部による滅菌未処理の判定結果に基づいて、前記医療用施術具の使用を規制する使用規制部と、
前記医療用施術具の使用を検知する使用検知部と、
該使用検知部の検知結果に基づいて、少なくとも使用された前記医療用施術具の使用を前記医療用施術具毎に報知する使用報知部とが備えられ、
前記医療用施術具は、
前記医療用機器本体に設けられた本体側接続部と接続する施術具側接続部が備えられ、
前記医療用施術具または前記医療用機器本体の少なくとも一方に、
前記使用規制部として機能し、前記本体側接続部と前記施術具側接続部との接続を防止する接続防止形状を形成する接続障害部が備えられた
医療用診療装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上記問題点に鑑み、交代した次の患者に対して滅菌未処理の医療用施術具が使用されることを防止できる医療用診療装置および医療用施術具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、固有の識別情報を記憶する識別情報記憶部を有する医療用施術具と、該医療用施術具と着脱自在に接続可能であるとともに前記識別情報を読取る読取部が備えられた医療用機器本体とで構成される医療用診療装置であって、前記医療用施術具の滅菌処理に関する滅菌処理情報を記憶する滅菌処理情報記憶部と、前記医療用施術具の前記滅菌処理情報を読込んで滅菌処理済か滅菌未処理かを判定する滅菌処理判定部と、該滅菌処理判定部による滅菌未処理の判定結果に基づいて、前記医療用施術具の使用を規制する使用規制部と、
前記医療用施術具の使用を検知する使用検知部と、該使用検知部の検知結果に基づいて、少なくとも使用された前記医療用施術具の使用を前記医療用施術具毎に報知する使用報知部とが備えられ、前記医療用施術具は、前記医療用機器本体に設けられた本体側接続部と接続する施術具側接続部が備えられ、前記医療用施術具または前記医療用機器本体の少なくとも一方に、前記使用規制部として機能し、前記本体側接続部と前記施術具側接続部との接続を防止する接続防止形状を形成する接続障害部が備えられたたことを特徴とする。
【0009】
またこの発明は、医療用機器本体と着脱自在に装着する医療用施術具であって、滅菌処理に関する滅菌処理情報を記憶する滅菌処理情報記憶部と、前記医療用施術具の前記滅菌処理情報を読込んで滅菌処理済か滅菌未処理かを判定する滅菌処理判定部
による滅菌未処理の判定結果に基づいて使用を規制する使用規制部と、前記医療用機器本体に設けられた本体側接続部と接続する施術具側接続部が備えられ、該施術具側接続部に、前記使用規制部として機能し、前記本体側接続部との接続を防止する接続防止形状を形成する接続障害部が設けら
れ、施術に使用されたことを検知する使用検知部と、該使用検知部による検知結果に基づいて、使用を報知する使用報知部とが備えられたことを特徴とする。
【0010】
前記医療用施術具は、前記医療用機器本体から取り外して滅菌可能な医療用施術具を指し、例えば、歯科用エアータービンハンドピースや、マイクロモータハンドピース、エアーモーターハンドピース、スケーラーハンドピース、レーザ治療用ハンドピース、根管治療用ハンドピース、口腔外科手術用ハンドピースなどを含む。
【0011】
前記医療用機器本体は、接続された前記医療用施術具の駆動を制御する制御機器であり、前記医療用施術具に電気や空気、水などの媒体を供給するチューブと連結した歯科用チェアーユニットや、前記歯科用チューブの先端に前記医療用施術具と接続が可能なモータを備えた歯科用チェアーユニット、前記歯科用チェアーユニットとは別体のアシスタント用のインスツルメント、持ち運び可能な往診用診療装置、レーザ治療装置などを含む。
【0012】
上述の識別情報を読取るとは、前記医療用機器本体と接続された前記医療用施術具から前記識別情報を読取る場合や、前記医療用機器本体と非接触の前記医療用施術具から前記識別情報を読取る場合を含む。前記医療用施術具と前記医療用機器本体とが接触されている場合には、電気回路や通信回路を介して識別情報を読取る場合などを含み、非接触の場合には、例えば、赤外線を利用した通信機能、磁力を利用した通信機能、バーコードやQRコード(登録商標)のように光を利用した通信機能、画像認識を利用した通信機能などにより読取る場合などを含む。
なお、前記識別情報は、前記医療用施術具毎を識別するため情報であり、例えばシリアルナンバーをさす。また、前記識別情報は前記滅菌処理情報や使用時期に関する情報などの他の情報を含んでも良い。
【0013】
前記滅菌処理とは、例えば高温高圧環境下で滅菌するオートクレーブを用いた滅菌処理や、酸化エチレンガスを用いた滅菌処理、過酢酸等の滅菌溶液に浸漬させる浸漬滅菌処理、低温プラズマを利用したプラズマ滅菌処理、ガンマ線や電子線などの放射線を照射することにより滅菌する放射線滅菌処理などを含む。
【0014】
上述の接続防止形状を形成するとは、前記医療用機器本体と前記医療用施術具との接続に対して物理的な障害となる接続防止形状を形成する場合や、前記医療用機器本体と前記医療用施術具とが接続されていても、接続状態を保持できないような形状を形成する場合、前記本体側接続部および前記施術具側接続部の形状を変形させる場合を含む。
【0015】
具体的には、前記本体側接続部または前記施術具側接続部の少なくとも一方に接続を妨げる突出片を突出させることや、前記本体側接続部または前記施術具側接続部の少なくとも一方の接続部位を陥没させること、前記本体側接続部または前記施術具側接続部にそれぞれ備えた凹部と凸部とが嵌合することにより接続する場合に、前記凸部を前記凹部に挿入することを防止するように前記凹部の窪み方向に向けて突出片を突出させること、前記本体側接続部および前記施術具側接続部以外の位置に設けた接続障害部を所定の位置を中心として枢動することで前記接続障害部が接続を防止する位置に配置されることなどを含む。すなわち、前記本体側接続部または前記施術具側接続との接続を防止できる形状であればどのような形状であっても良い。
なお、前記突出片が接続を防止する位置に突出する場合において、前記突出片の突出方向は前記医療用施術具の長手軸方向であっても良いし、径方向や斜め方向であっても良い。
【0016】
上述の使用を規制するとは、前記医療用機器本体から前記医療用施術具への駆動信号の伝達の遮断や、エアーや電気などの作用媒体の供給の停止などの他、前記医療用機器本体に備えた前記制御部による前記医療用施術具の駆動規制、操作スイッチの物理的または電気的な無効化、前記医療用施術具への駆動力の伝達を規制する場合なども含む。
【0017】
前記使用報知部は、各医療用施術具を使用したことが医療用施術具毎に報知できるように備えられていればどのような場所に備えられていてもよく、例えば、前記医療用機器本体に設けられた前記医療用施術具を保持するホルダに備えた場合や、前記医療用施術具に備えた場合、前記医療用機器本体に備えた表示部などを含む。
【0018】
上述の報知するとは、使用済みの前記医療用施術具に対応する前記使用報知部に常に報知する場合や、使用命令の受け付けにより受信する電気信号を検出して報知する場合などを含み、その報知方法は、例えばLED等の点灯又は点滅等の光によって報知する場合や、表示部に使用済みの前記医療用施術具を表示する場合、音や振動により報知する場合などを含む。
【0019】
この発明により、前記患者が交代した際に前記医療用機器本体に接続する前記医療用施術具が滅菌処理済か滅菌未処理かの判定結果に基づいて、滅菌未処理の前記医療用施術具と前記医療用機器本体とを接続しようとした場合に、前記接続障害部が前記滅菌処理情報に基づいて前記接続防止形状を形成することにより、前記医療用施術具と前記医療用機器本体との接続を防止できるため、前記施術具側接続部と前記本体側接続部との物理的な接続を確実に防止することができ、交代した次の患者である交代後患者に対して滅菌未処理の前記医療用施術具が使用されることを防止できるとともに、医療用機器本体側の汚染の問題が生じないようにできる。
加えて、交代検出部を備えた場合には、前記患者が交代したことを検出できるとともに、前記患者が交代した際に前記医療用機器本体に接続する前記医療用施術具が滅菌処理済か滅菌未処理かを判定することができる。この判定結果に基づいて、接続障害部により接続を妨害することができ、前記使用規制部が前記交代後患者に滅菌未処理の前記医療用施術具と前記医療用機器本体との接続を規制できる。したがって、施術者は滅菌処理済の前記医療用施術具のみを施術に用いることができる。
【0020】
また、前記医療用施術具の使用を検知する使用検知部と、該使用検知部の検知結果に基づいて、少なくとも使用された前記医療用施術具の使用を前記医療用施術具毎に報知する使用報知部が備えられたことにより、実際に施術に使用された前記医療用施術具のみが報知されるため、報知された前記医療用施術具のみを滅菌処理すれば良く、滅菌処理すべき対象が一目瞭然となる。
【0021】
また、医療用施術具毎に使用を報知することができるため、別の患者の施術を行う場合に交換すべき前記医療用施術具を容易に判断できる。したがって、施術者は交換すべき前記医療用施術具を明確かつ容易に判断することができ、円滑な施術を行うことができる。
【0022】
また、前記使用報知部は、前記医療用施術具のホルダ部に設けている場合において、交換すべき前記医療用施術具毎にランプ等を点灯又は点滅等をさせる構成にすれば、施術者は次の患者に対する施術を行うにあたり、点灯又は点滅等をしたランプが必ず視野に入るため、一旦使用された前記医療用施術具のみを滅菌処理すれば良いことに気付き、滅菌未処理の前記医療用施術具の再使用を確実に控えることができる。
【0023】
この発明の態様として、前記医療用施術具は、前記識別情報記憶部を備えた識別体が備えられ、前記読取部が、近接した前記識別体から前記識別情報を非接触で読取ることを特徴とすることができる。
【0024】
前記識別体は、前記読取部との間で通信機能を有する識別体であり、前記通信機能には、例えば、RFIDなどのように電波を利用した通信機能や、赤外線を利用した通信機能、磁力を利用した通信機能、バーコードやQRコード(登録商標)のように光を利用した通信機能、画像認識を利用した通信機能などを含む。
【0025】
この発明により、前記医療用機器本体に接続予定の前記医療用施術具が滅菌未処理の場合に、前記医療用機器本体と前記医療用施術具とを接触させることを防止できる。したがって、前記医療用機器本体が汚染されることを防止できる。
【0026】
具体的には、前記読取部と前記識別体を設けることにより、前記医療用機器本体は、前記医療用施術具と接触させることなく前記識別情報を読取ることができる。このため、前記医療用機器本体に滅菌処理判定部を備えた場合には、前記医療用機器本体は前記医療用施術具と接触することなく前記識別情報に対応する前記滅菌処理情報を読込み、前記医療用施術具が滅菌処理済か滅菌未処理かを判定することができる。
【0027】
このように、滅菌処理の判定を行うにあたり、前記医療用施術具と前記医療用機器本体とを接触させる必要が無いため、前記医療用機器本体に接続予定の前記医療用施術具が万一滅菌処理されていない場合であっても、前記医療用機器本体に滅菌処理済でない前記医療用施術具を接続することで前記医療用機器本体が汚染されることを防止できる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記使用規制部は、前記医療用機器本体
から前記医療用施術具に送られる操作信号により前記医療用施術具の作動を禁止することを特徴とすることができる。
前記操作信号とは、前記医療用施術具を駆動させるための駆動信号や、前記医療用施術具に所定の操作命令を行わせる操作信号、照射光や冷却水などの媒体の供給を停止させる信号などを含むものであり、前記医療用施術具に対する操作信号によって何らかの作動や駆動を伴う電気、水、エアー、光等の作用媒体の供給信号である。
【0029】
上述の作動を禁止するとは、前記医療用施術具を作動させる入力信号を物理的に遮断する構成や、例えば前記医療用施術具の作動スイッチの操作に基づく電気信号の送信を防止することによる前記医療用機器本体から前記医療用施術具に電気信号が送信の防止などを含む。
【0030】
この発明により、例えば、前記医療用施術具が滅菌未処理と判定された場合に、前記医療用機器本体から前記医療用施術具への駆動信号が伝達されず前記医療用施術具の駆動が規制される。したがって、施術者が誤って他の患者に使用した前記医療用施術具を用いて施術することを防止できる。
【0031】
またこの発明の態様として、前記医療用施術具の交換を検出する交換検出部と、前記滅菌処理情報に基づいて前記使用規制部による前記医療用施術具の使用規制を解除する規制解除部とが備えられたことを特徴とすることができる。
上述の前記医療用施術具の交換とは、前記医療用施術具が前記医療用機器本体から取り外されたことや、前記医療用機器本体に接続されていた前記医療用施術具を別の医療用施術具に取り替えることを含む。
【0032】
この発明により、使用規制された前記医療用施術具を、滅菌処理済の医療用施術具と交換することで前記使用規制が解除できるため、施術者が施術に使用できる前記医療用施術具が前記医療用機器本体に接続されていることを認識できる。したがって、施術者は患者の交代後に医療用施術具が交換されたか否かを気にすることなく施術に集中することができる。
【0033】
またこの発明の態様として、前記滅菌処理を行った滅菌処理回数を記憶する滅菌処理回数記憶部が備えられ、前記使用規制部は、前記滅菌処理情報および前記滅菌処理回数に基づいて前記医療用施術具の使用を規制することを特徴とすることができる。
【0034】
前記滅菌処理回数とは、滅菌処理を行った回数や、所定の条件で前記滅菌処理を行った場合を基準として算出した滅菌処理回数を含む。
上述の算出した滅菌処理回数とは、基準となる滅菌条件に対する滅菌処理温度や滅菌処理時間の違いに基づいた負荷係数を設けて算出した滅菌処理回数や、所定の滅菌処理条件に対して予め決定された回数を加算した滅菌処理回数、前記滅菌処理回数の積算値に基づいて前記医療用施術具の劣化を考慮して算出された滅菌処理回数などを含む。
【0035】
この発明により、滅菌処理により劣化した前記医療用施術具を施術に使用することを防止できる。
例えば、オートクレーブを用いて前記医療用施術具を滅菌処理した場合、前記医療用施術具は所定の時間、高温高圧条件下におかれることとなる。このように前記医療用施術具の滅菌処理を繰り返すことにより、前記医療用施術具に使用されるモータやOリング等の消耗品が徐々に劣化して、施術中に使用できなくなるおそれがあった。
【0036】
しかし、前記使用規制部が、前記滅菌処理情報および前記滅菌処理回数に基づいて前記医療用施術具の使用を規制する構成とすることにより、前記医療用施術具が所定の滅菌処理回数を超えた場合に前記医療用施術具の使用を規制できるため、施術中に前記医療用施術具の駆動が停止することなどを防止できる。したがって、施術者は安心して施術できる。
【0037】
またこの発明の態様として、前記滅菌処理回数に基づいて前記医療用施術具の取替の要否を判定する取替判定部と、前記取替判定部の判定結果に基づいて所定の報知を行う取替報知部とを備えることができる。
【0038】
上述の前記医療用施術具の取替とは、前記医療用施術具本体の取替や、例えば内部に備えたモータやOリングなど前記医療用施術具を構成する消耗部品の取替なども含む。
上述の取替の要否を判定するとは、例えば、前記識別部に予め記憶してある積算滅菌処理回数の限界値と前記積算滅菌処理回数とを比較して判定する場合や、前記滅菌処理情報から算出された積算滅菌処理回数と積算滅菌処理回数の限界値に所望の係数を乗算又は加算した値とを比較して判定する場合、積算滅菌処理回数の限界値の範囲内で施術者が決定した積算処理回数と比較して判定する場合、積算処理回数が所定の値を超えたことを判定する場合などを含む。
【0039】
上述の前記取替判定部の判定結果に基づいて所定の報知を行うとは、前記医療用施術具を取り替える必要がある場合に、ブザーやメロディなどの音を発することや、光の点滅や点灯、表示部への表示などにより報知することの他、例えば、取り換えを要するまでの処理の許容回数を文字として表示部に表示して報知することなどを含む。特に前記医療用施術具が滅菌未処理であると判定された場合と異なる所定動作を行う構成とすることで取替の要否を認識できる。
【0040】
この発明により、前記医療用施術具が滅菌処理済であっても、施術者は施術前に前記医療用施術具が取り替えるべきであることを認識できるため、使用できる医療用施術具に取り替えることができる。これにより、施術中に前記医療用施術具の交換をすることなくスムーズに施術を行うことができるとともに、患者が不安感を抱くことを防止できる。
【0041】
また、オートクレーブの処理温度や時間を前記医療用施術具に応じて最適な処理温度や時間に設定できる場合には、処理条件に応じて前記医療用施術具の耐久性の判断基準が変わることとなるが、前記滅菌処理回数処理部を備えることにより、滅菌処理の条件に応じて、前記基準滅菌処理回数を基準とした前記滅菌処理回数に換算できるため、滅菌条件が異なっている場合であっても、前記医療用施術具が滅菌処理された回数を算出することができる。これにより、例えば、前記識別情報に予め保存した前記医療用施術具の滅菌処理の限度回数と前記積算滅菌処理回数とを比較判定して、前記医療用施術具の交換の要否を報知でき、施術者は前記医療用施術具の取り換え時期を把握することができる。
【0042】
このように、様々な滅菌処理の条件で滅菌処理しても所定の規格に基づいて前記医療用施術具の交換時期を判定することができるため、例えば、前記医療用施術具を、業者が推奨する滅菌処理条件よりも長い時間かけて滅菌処理した場合などであっても、施術者は正確に前記医療用施術具の交換時期を把握することができ、交換時期が近い前記滅菌処理装置については、安全に施術を行える医療用施術具に予め取り替えることができる。
【0043】
またこの発明の態様として、前記滅菌処理判定部は、前記滅菌処理の時期と前記医療用施術具の使用時期とを比較判定して、滅菌処理済か滅菌未処理かを判定することができる。
この発明により、前記医療用施術具の使用時期と滅菌処理の時期とに基づいて、前記医療用施術具が滅菌処理済か滅菌未処理かを判定することができる。
例えば、前記医療用施術具の滅菌処理した時間と、前記医療用施術具を用いて施術を終了した終了時間とを比較判定することにより、前記医療用施術具の使用時期と滅菌時期との先後を正確に判定することができる。
【0044】
つまり、使用後に滅菌未処理の前記医療用施術具が前記医療用機器本体に接続される場合の他、滅菌処理済後に使用された前記医療用施術具が前記医療用機器本体に接続される場合でも、前記医療用施術具が滅菌未処理であると判定することができるため、滅菌未処理の前記医療用施術具の使用を確実に規制することができる。
【0045】
また、例えば、前記滅菌処理の日時と前記医療用施術具の日時とを比較判定する場合には、前記医療用施術具の使用後に前記滅菌処理を行っているが、つまり、滅菌処理済で使用可能と判定されているが、前記滅菌処理した時から時間が経過し過ぎているので再度滅菌処理が必要である場合などを判定することができ、前記医療用施術具の再使用を防止することができる。
【0046】
またこの発明の態様として、施術の対象である患者の交代を検出する交代検出部が備えられ、前記交代検出部は、交代する次の交代後患者の施術前情報に基づいて前記患者の交代を検出することができる。
前記交代後患者とは、施術が完了した患者の次に施術を行う患者をさす。
【0047】
上述の患者の交代を検出するとは、前記患者の施術の終了を検出することや、
前記患者の次の患者である交代後患者の診療準備が完了したことを検出することなどを含む。より具体的には、歯科用チェアーユニットの昇降信号の受信や、患者の顔などの画像認識、患者のカルテ情報の切り替え、これらの組み合わせなどを含む。
【0048】
前記施術前情報とは、例えば、前記患者の施術後に、前記交代後患者の施術準備が完了したことに関する情報をさし、例えば、カメラによる患者の顔や歯型はどの画像認識に基づく情報や、前記交代後患者のカルテ情報に基づく情報、前記交代後患者の重量の検知に基づく情報、前記チェア上の質量の変化に基づく情報、前記チェアの上昇に基づく情報、施術者による施術終了信号の受信に基づく情報などを含む。
【0049】
この発明により、前記交代後患者の施術前に前記医療用施術具が滅菌処理済か滅菌未処理かを判定することができるため、前記交代後患者に滅菌未処理の前記医療用施術具が使用されることを防止できる。したがって、施術者は前記交代後患者を安全に施術することができる。
【0050】
またこの発明の態様として、前記交代検出部は、前記患者の施術の終了情報に基づいて前記患者の交代を検出することができる。
前記終了情報とは、前記患者の施術完了に関する情報をさし、例えばチェアの降下動作信号に基づく情報や、患者の質量検知に基づく情報、施術者による施術終了信号の受信に基づく情報、電子カルテを閉じたことを検知すること、患者が診療椅子から降りる動作をカメラで認識することなどを含む。
【0051】
この発明により、前記患者の施術終了後であって前記交代後患者の施術前に、前記医療用施術具が滅菌処理済か滅菌未処理かを判定することができる。これにより、前記交代後患者の施術前に、滅菌未処理の前記医療用機器の使用を確実に規制できるため、前記医療用施術具を前記医療用機器本体から取り外すことを万が一忘れた場合であっても、滅菌未処理の前記医療用施術具の使用をより確実に防止できる。
また、前記交代後患者の施術前に、施術に使用できる前記医療用施術具と取り替えることができるため、施術者は、前記交代後患者の施術を円滑に行うことができる。
【発明の効果】
【0052】
本発明により、交代した次の患者に対して滅菌未処理の医療用施術具が使用されることを防止できる医療用診療装置および医療用施術具を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1は、医療用診療装置1の概略斜視図を示し、
図2は、ハンドピース30と接続ユニット40との接続を解除した状態の歯科診療用インスツルメント20の概略説明図を示し、詳しくは、
図2(a)は歯科診療用インスツルメント20を分解した状態であるハンドピース30と接続ユニット40との側面図を示し、
図2(b)はハンドピース30の後端面を表した背面図を示し、
図2(c)は接続ユニット40の先端面を表した正面図を示している。なお、
図2(a)では、ハンドピース30の後端部分であるハンドピース側接続部34および接続ユニット40の先端部分であるユニット側接続部43については部分断面を示している。
また、歯科診療用インスツルメント20の長手方向に沿ってハンドピース30がある方向(
図2中左側)を先方とし、接続ユニット40がある方向(
図2中右側)を後方とする。
【0055】
図3は医療用診療装置1のブロック図を示し、
図4は、歯科診療用インスツルメント20の説明図を示す。詳しくは、
図4は、歯科診療用インスツルメント20を構成するハンドピース30に備えられたRFIDタグ50と、接続ユニット40に備えられたRFIDリーダライタ60のブロック図を示す。
【0056】
図5は、使用検知情報Uおよび処理温度情報Hの説明図を示し、詳しくは、
図5(a)は識別情報Lの内容を示し、
図5(b)は使用検知情報Uの内容を示し、
図5(c)は処理温度情報Hの内容を示す。
【0057】
図6乃至
図8は医療用診療装置1を用いた患者の施術のフローチャートを示す。
図6は、施術の全体のフローチャートを示し、
図7および
図8はRFIDタグ50を用いたハンドピース30の識別についてのフローチャートを示す。
図9は、他方法により患者の交代を判定する医療用機器本体10の説明図を示す。
【0058】
医療用診療装置1は、
図1に示すように、医療用機器本体10と複数の歯科診療用インスツルメント20とを備えたチェアーユニット70で構成している。
歯科診療用インスツルメント20は、
図2に示すように、先端側に配置されるハンドピース30と、ハンドピース30と医療用機器本体10と接続した接続ユニット40とが着脱自在に連結できる構成である。なお、接続ユニット40は、医療用機器本体10に接続された
接続チューブ42に接続されている。
【0059】
チェアーユニット70は、
図1および
図3に示すように、施術対象である患者が着席する診療椅子71と、唾液や冷却水等の吸引装置やうがいを行うための装置が装備されているベースンユニット72と、口腔内の唾液などのバキームシリンジ等を配置するアシスタントホルダ73と、診療椅子71に接続されたフートコントローラ74で構成されている。
診療椅子71は、背面シートの傾動や座面の昇降が可能な構成であるとともに、内部には診療椅子71に着席した患者の体重を計測可能な重量センサー71aが設けられている。
【0060】
フートコントローラ74は、施術者の足によって歯科診療用インスツルメント20の駆動を操作するペダル74aを備えている。
なお、ペダル74aは、踏み込みおよび踏み込み量を検出できる構成である。
【0061】
医療用機器本体10は、
図1および
図3に示すように、歯科診療用インスツルメント20などの動作設定や、様々な報知動作設定などの操作や、診療椅子71の昇降の動作の操作を行う操作パネル13と、操作パネル13の正面下方に位置する歯科診療用インスツルメント20を保持するホルダ14と、操作パネル13の背面側に備えたモニタ15と、操作パネル13の側部に備えたトレーテーブル16と、所定の動作に基づいて報知する本体側報知装置17とを備え、また操作パネル13の内部には、CPUとROMで構成した処理装置制御部11と、処理装置制御部11と接続された本体側記憶装置12とを有している。
【0062】
処理装置制御部11は、
図3に示すように、ハンドピース識別判定部11aと、本体側通信制御部11bと、情報読込制御部11cと、滅菌処理判定部11dと、使用判定部11eと、駆動制御部11fと、本体側報知動作処理部11gと、患者交代検出部11hと、接続判定部11iと、接続報知動作制御部11jと、交換判定部11kとを備える。
【0063】
ハンドピース識別判定部11aは、ハンドピース30を識別する識別情報Lと、後述するハンドピース情報記憶部12aに記憶するハンドピース情報Iとを照合し、接続ユニット40と接続するハンドピース30が医療用機器本体10で駆動可能かを判定する判定部である。
【0064】
本体側通信制御部11bは、ハンドピース30と接続ユニット40との通信を制御する制御部である。具体的には、ハンドピース30から送信された識別情報Lや、ハンドピース30の使用に関する情報である使用検知情報Uなどの情報の受信を制御し、また、ハンドピース30に対してハンドピース識別判定部11aで判定した判定結果などの送信を制御する。
【0065】
情報読込制御部11cは、後述する駆動制御情報記憶部12bからハンドピース30の駆動制御に関するパラメータなどの駆動条件の読込みことを制御する。なお、駆動条件には各ハンドピース30に対応したモータの回転限度数などのパラメータが駆動条件として記録されている。
【0066】
滅菌処理判定部11dは、滅菌処理情報Oに基づいてハンドピース30の滅菌処理が行われているか否かを判定処理する判定部である。
使用判定部11eは、ハンドピース30から受信した滅菌処理情報Oと使用検知情報Uに基づいてハンドピース30を施術に使用できるか否かの判定処理を行う判定部である。
【0067】
駆動制御部11fは、情報読込制御部11cで読込んだ駆動条件並びに、滅菌処理判定部11d、使用判定部11e、および交換判定部11kの判定結果に従って、ハンドピース30の動作を制御する制御部である。
具体的には、駆動制御部11fは、フートコントローラ74のペダル74aが施術者の足によって操作されることによりハンドピース30に伝達される入力信号を、駆動制御条件に従って制御する。例えば、ハンドピース30が滅菌処理済であれば、駆動条件に即して駆動を制御し、ハンドピース30が滅菌未処理である場合には駆動信号を遮断するなどの制御を行う。
【0068】
本体側報知動作処理部11gは、報知動作プログラムを読込んで本体側報知装置1
7の報知動作を制御する制御部である。
患者交代検出部11hは、診療椅子71に着席する患者の交代を検出する検出部である。具体的には、重量センサー71aで計測する質量の変化を測定し、その変化に基づいて患者が交代したか否かを検出する。
【0069】
接続判定部11iは、ハンドピース30のハンドピース側接続部34と接続ユニット40の先端に形成されるユニット側接続部43とが所定の距離まで接近したことや、ハンドピース30と接続ユニット40とが接続したこと、ハンドピース30と接続ユニット40との接続が解除されたことを判定処理する判定部である。
【0070】
具体的には、後述する接近検知センサー435から得られる情報を解析してハンドピース30と接続ユニット40との接近および接続・解除を判定処理する。なお、接続ユニット40に接続するハンドピース30が交換されたか否かについてはハンドピース識別判定部11aと協働して判定する。
【0071】
接続報知動作制御部11jは、接続判定部11iの判定結果を受け、その判定結果に応じて行われる所定の報知動作を制御する。
交換判定部11kは、滅菌処理回数算出部51hで算出された滅菌処理回数と、後述する交換基準情報記憶部12cに記憶する滅菌処理限度回数とを比較判定してハンドピース30を交換すべきか否かを判定処理する。
【0072】
本体側記憶装置12は、HDDやSSDなどで構成されており、ハンドピース30の情報であるハンドピース情報Iを記憶するハンドピース情報記憶部12aと、ハンドピース30の駆動条件を記憶する駆動制御情報記憶部12bと、医療用機器本体10と接続可能なハンドピース30の滅菌処理できる限度回数である滅菌処理限度回数を記憶する交換基準情報記憶部12cと、各動作に基づき行われる報知動作の動作プログラムを記憶する報知設定記憶部12dと、ハンドピース30と接続ユニット40との接近などに基づいて行われる報知動作の動作プログラムを記憶する接近報知動作記憶部12eとを備えている。
【0073】
操作パネル13は、
図1に示すように、トレーテーブル16の正面側に設置された所定の操作入力を行う入力部であり、タッチスクリーンやポインティングスティック、あるいはスイッチ等で構成している。なお、マウスなどの適宜の入力デバイスを備えてもよい。
操作パネル13の正面側に設けられたホルダ14は、
図1に示すように、歯科診療用インスツルメント20を配置するハンドピースホルダーである。
【0074】
モニタ15は、
図1に示すように、操作パネル13の背面側に備えた表示部であり、例えば、患者の性別や年齢、前回の治療日などのカルテ情報や、図示しないX線撮影装置により撮像し生成した施術の対象となる歯牙に関するX線画像、口腔内カメラ(図示省略)で撮影した歯牙画像などを表示する。
【0075】
トレーテーブル16は、外枠に比べて少し窪んだ平らな平面16aを上面内側に有するトレーテーブルであり、平面16aに接続ユニット40に接続する前のハンドピース30や切
削工具5などの施術具、操作パネル13の構成として機能するマウスなどを置くことができる。
【0076】
報知部および接近報知部に対応する本体側報知装置17は、本体側報知動作処理部11gや接続報知動作制御部11jの制御により、報知設定記憶部12dに記憶する報知プログラムを読込み。所定の報知動作を行う報知装置である。
具体的には、本体側報知動作処理部11gなどの制御処理によりLEDランプを点灯または点滅させることにより視覚的に報知するホルダ光出力部17aが各種のハンドピース毎にホルダ14の適所にそれぞれ設けられ、またブザーや音声などの音を出力する出力部である本体側音声出力部17bおよび判定結果を表示する本体側報知モニタ17cが、モニタ15を正面からみて操作パネル13の左側に設置されている。
【0077】
また、歯科診療用インスツルメント20は、
図2(a)に示すように、チェアーユニット70と接続チューブ42を介して接続されている接続ユニット40と、医療用施術具に対応するハンドピース30とを着脱自在に連結して構成している。
【0078】
接続ユニット40と接続するハンドピース30の接続部分であるハンドピース側接続部34にはRFIDタグ50が、ハンドピース30と接続する接続ユニット40の接続部分であるユニット側接続部43にはRFIDリーダライタ60が、それぞれ設けられている。
【0079】
なお、RFIDリーダライタ60は、接続ユニット40の接続部分であるユニット側接続部43に設けずに医療
用機器本体10の操作パネル13やホルダ14等の医療
用機器本体10の適所に設けても良い。
【0080】
また、本実施例においては、マイクロモータハンドピースの例であるので、ハンドピース30をモータユニットに接続しているが、エアータービンハンドピースや他のハンドピースでは、他の接続用接手が使用されることは言うまでも無い。モータユニットや他の接続用接手を総称して接続ユニット40という。また本実施例では、マイクロモータハンドピースを基にして説明するが、ハンドピース30は各種ある。さらにまた、各種のハンドピース30を接続ユニット40に接続したものを総称してインスツルメントと表現する。
【0081】
医療用施術具に対応するハンドピース30は、
図2(a)に示すように、先端に向けて細径となる把持部31と、把持部31の先端に位置する切削工具5を把持するヘッド部32とで構成されており、手指によって把持される把持部31の後端側周面にはハンドピース側報知部33が設けられている。
【0082】
報知部および接近報知部に対応するハンドピース側報知部33は、HP報知動作制御部51fの制御により読み込まれるプログラムに基づいて実行される報知動作を行う報知部であり、具体的にはLEDライトを点灯や点滅することにより報知するハンドピース側光出力部33aで構成される。
【0083】
なお、本実施例において、ハンドピース側報知部33を点灯させることにより報知する構成としているが、必ずしもこの構成に限るものではなく、例えば音や振動により報知する構成でもよく、またこれらの組み合わせであってもよい。
【0084】
ハンドピース30の後端部分には、
図2(a)に示すように、接続ユニット40との接続状態において、接続ユニット40の先端部分と接続するハンドピース側接続部34が備えられるとともに、後述するユニット側挿入部432の挿入が可能な円柱状の空間を形成する凹部34aが内部に形成されている。
【0085】
凹部34aの中心部分には、ハンドピース30と接続ユニット40とを接続した接続状態において、後述する出力軸41と接続する第一駆動伝達軸311が設けられている。
【0086】
第一駆動伝達軸311は、接続ユニット40の内部に設けられたマイクロモータ(図示省略)の回転に伴って回転する出力軸41と接続することにより軸回転可能に構成されており、第一駆動伝達軸311は複数のギア(図示省略)を介してマイクロモータの回転をヘッド部32に伝達することができる。これにより、ヘッド部32の先端に把持された切削工具5を回転させることができる。
【0087】
施術具側接続部に対応するハンドピース側接続部34は、
図2(a)に示すように、ハンドピース30の後端側に形成されるハンドピース接続面341と、凹部34aの内周面を形成するハンドピース内壁342と、ハンドピース30の外周面を形成するハンドピース外壁343と、ハンドピース接続面341から後方に突出する位置決め凸部344とで構成する。
ハンドピース内壁342は、
図2(b)に示すように、把持部31の内部に円柱状の空間を形成する凹部34aの内周面を構成し、所定の径を有する断面円形である。
【0088】
ハンドピース外壁343は、ハンドピース内壁342の内径よりも大きな径を形成し、ハンドピース30の後端部分に形成する円筒形の外周面である。
位置決め凸部344は、第一駆動伝達軸311から長手方向後方に突出した略直方体形状に形成された突出部である。
【0089】
また、ハンドピース30には、ハンドピース内壁342とハンドピース外壁343との間であって、ハンドピース30における
位置決め凸部344の近傍部分に、非接触で情報の通信が可能なアクティブ型のRFIDタグ50が設けられている。
なお、ハンドピース内壁342とハンドピース外壁343の間にハンドピース30の長手方向に沿って前後に円柱状体が移動する突出機構35を設けることもできる。
【0090】
接続障害部に対応する突出機構35は、報知動作部として機能する突出機構であり、ハンドピース30が滅菌処理された状態において、ハンドピース側接続部34の内部に収納されている。また、滅菌処理判定部11dおよび使用判定部11eによる判定処理の結果、ハンドピース30が滅菌未処理と判定された場合に、後述する突出部制御部51iの制御により後方に突出する円柱状体である。
【0091】
識別体に対応するRFIDタグ50は、
図4に示すように、所定のプログラムを読込みハンドピース30の動作を制御するRFID制御部51と、所定の情報を記憶するRFID記憶部52と、接続ユニット40との通信を担う通信アンテナ53と、耐熱性の充電型電池である電池54と、日にちおよび時刻をカウントする時計である計時部55と、ハンドピース30の外側の温度を測定する温度計測部56とで構成する。
【0092】
RFID制御部51は、CPUとROMとRAMで構成されており、温度読取部51aと、時間読取部51bと、読込制御部51cと、通信制御部51dと、情報更新制御部51eと、HP報知動作制御部51fと、施術検知部51gと、滅菌処理回数算出部51hとで構成する。なお、突出機構35を設けている場合には、突出部制御部51iをRFID制御部51の構成として含む。
【0093】
温度読取部51aは、温度計測部56で計測するハンドピース30の外側の温度の読取り制御を行う制御部である。
時間読取部51bは、所定の状況となった場合に、計時部55で計測する時刻(日にちおよび時刻)の読取り制御を行う制御部である。詳述すると、時間読取部51bは、ハンドピース30の駆動開始および駆動終了を検知した場合、ハンドピース30と接続ユニット40との接続および接続解除された場合、あるいは温度読取部51aで計測する温度が所定の温度となった場合などに時刻の読取制御を行う。
【0094】
読込制御部51cは、RFID記憶部52に記憶する情報を読込むとともに、読込んだ情報を医療用機器本体10に送信する送信信号を通信制御部51dに送ることを制御する。
【0095】
通信制御部51dは、本体側通信制御部11bと同様に、ハンドピース30と接続ユニット40との通信を制御する制御部である。具体的には、接続ユニット40から送信された読込み命令などを受信するとともに、識別情報Lや使用検知情報Uなどを接続ユニット40に送信する送信処理を制御する。
【0096】
情報更新制御部51eは、温度読取部51aで読込まれた温度や時間読取部51bにより読込まれた時間を、滅菌処理情報Oや使用検知情報Uへの書き込み情報の更新処理を制御する制御部である。
【0097】
H
P報知動作制御部51fは、使用判定部11eの判定結果を受信することにより、その受信結果に基づいて所定の報知動作の制御を行う制御部である。
施術検知部51gは、チェアーユニット70の操作に基づく駆動信号を受信し、RFIDタグ50に備えた計時部から時間を読取る読取命令を通信制御部51dに送信する制御を行う制御部である。
【0098】
滅菌処理回数算
出部51hは、ハンドピース30をオートクレーブにより滅菌処理した場合において、計時部55が「処理温度121℃」を計測した状態で、温度計測部56で計測する処理時間が「処理時間20分」を超えた場合に、ハンドピース30が滅菌処理した回数を1回として滅菌処理回数を算出し、過去の積算滅菌処理回数に加算して積算滅菌処理回数を計算する演算処理部である。
【0099】
突出部制御部51iは、RFID制御部51を構成する制御部であり、滅菌処理判定部11dおよび使用判定部11eの判定結果を受信することにより、突出機構35を接続ユニット40側に突出させる突出動作もしくは突出した突出機構35の収納動作を制御する制御部である。なお、この突出機構については、本出願人の出願にかかる特願2015-155925に詳細を記載するので省略する。
【0100】
RFID記憶部52は、
図4に示すように、RFIDタグ50を備えるハンドピース30に関する情報を記憶する記憶部であり、ハンドピース30を特定する識別情報Lを記憶する識別情報記憶部52aと、滅菌処理に関する滅菌処理情報を記憶する滅菌処理情報記憶部52bと、ハンドピース30の使用を検知した使用に関する情報とこの情報に対応する時間情報とを含む使用検知情報Uを記憶する使用検知情報記憶部52cと、滅菌処理回数を記憶する滅菌処理回数記憶部52dとで構成されている。
【0101】
ここで、
図5に基づいて、識別情報Lと、滅菌処理情報Oと、使用検知情報Uとについて簡単に説明する。
識別情報Lは、医療用機器本体10がそれぞれのハンドピース30を識別するための情報であり、
図5(a)が示すように、左枠にハンドピースのシリアルナンバーが記載され、その横に製造年月日と製造場所に関する情報が記載されている。なお、ハンドピース情報記憶部12aに記憶するハンドピース情報Iは、ハンドピース30のシリアルナンバーに基づいて駆動条件を記憶する構成である。
【0102】
使用検知情報Uは、ハンドピース30の使用の開始および使用の終了に対して、その日時を記録した情報であり、
図5(b)に示すように、時間項目と動作項目とが対応して並んでいる。詳述すると、時間項目は、年月日の欄と時刻の欄とで構成されており、時系列に沿って縦に羅列されている。時間項目の横にはそれぞれの時間に対応する動作の内容が記載されており、その内容としては「駆動開始」および「駆動終了」、「接続」、「接続解除」のいずれかが記載されている。
【0103】
滅菌処理情報Oには、所定の温度となった場合の時間とその温度および滅菌処理がされたことが記録されており、
図5(c)に示すように、時間項目と温度項目とが対応して並んでいる。時間項目は年月日の欄と時刻の欄から構成され、時系列に沿って縦に羅列されており、その横には時間に対する温度が記載されている。また温度が121℃、その間の時間が20分を超えた場合には滅菌処理済と記載される。
【0104】
なお、本実施例において、時間読取部51bは所定の温度となった場合に時間の読取制御を行う構成であるが、常に時間の読取を行うことで、時間と温度を常にもしくは定期的に読み取って羅列する構成としてもよい。
【0105】
通信アンテナ53は、通信制御部53bの通信処理に基づいてRFIDリーダライタ60との間で相対的な距離が数メートルから数センチメートルの範囲で送受信する通信部である。
電池54は、RFIDタグ50およびハンドピース30に設けたハンドピース側報知部33に電力を供給する充電型電池であり、ハンドピース30をオートクレーブにかけた場合であっても、電力を供給可能な耐熱性を有する。なお、電池54は、ハンドピース30と接続ユニット40とを接続することにより、充電可能な構成である。
【0106】
接続ユニット40は、
図2に示すように、ハンドピース30の後端と接続することで一体として歯科診療用インスツルメント20を形成する接続体であり、その内部には、ハンドピース30の先端部分に着脱自在に装着される切
削工具5を回転駆動させるためのマイクロモータ(図示省略)と、マイクロモータの先端側に連結して先端に回転を伝達する出力軸41とを内蔵している。また、ハンドピース30との接続状態において出力軸41が第一駆動伝達軸311と接続してマイクロモータの回転駆動力を第一駆動伝達軸311に伝えることができる構成となっている。
【0107】
また、接続ユニット40の後端には、接続ユニット40に内蔵されるマイクロモータへの駆動電源供給用リード線やハンドピース30の先端に備えた患部照射用光源の導光路と連接する照射電力供給用リード線などを内装する接続チューブ42が連結されている。なお、接続チューブ42の後端は医療用機器本体10と接続しており、接続ユニット40の駆動は駆動電源供給用リード線を介して駆動制御部11fで制御されている。
【0108】
接続ユニット40の先端部分には、
図3に示すように、ハンドピース30との接続状態において、ハンドピース側接続部34と接続するユニット側接続部43を備える。
本体側接続部に対応するユニット側接続部43は、ハンドピース30との接続面であるユニット接続
端面431と、ユニット接続端面431の中心部分から先端方向に向かって突出する筒状のユニット側挿入部432と、接続ユニット40の外周面を形成するユニット外壁433と、接続状態において位置決め凸部344と対向する位置に配置する位置決め凹部434と、ハンドピース30の接近を検知するために用いる接近検知センサー435とで構成する。
【0109】
ユニット側挿入部432は、
図2(a)に示すように、把持部31に設けられた凹部34aの深さと同じ長さ先端方向に突出する円筒状の筒状体であり、断面視で内径が第一駆動伝達軸311よりも一回り以上大きな円形を形成するとともに、外径がハンドピース内壁342よりも一回り小さな円形を形成している。また、ユニット側挿入部432に形成された内部空間中心部分には、ハンドピース30との接続状態において第一駆動伝達軸311と接続する出力軸41が配置されている。
【0110】
ユニット外壁433は、接続ユニット40の先端側に形成される外周面であり、その径はハンドピース外壁343と略同径である。すなわち、ハンドピース30と接続ユニット40との接続状態において、ハンドピース30の後端表面と接続ユニット40の先端表面とが面一に形成される。
位置決め凹部434は、
図2(c)に示すように、ユニット接続端面431の上方に形成された位置決め凸部344と嵌合可能な嵌合穴である。
【0111】
接近検知センサー435は、ユニット接続端面431を正面からみた場合において(
図2(c)参照)、ユニット接続端面431であって位置決め凹部434と対向する位置に設けられた接近検知センサーであり、発光素子から赤外線を照射しその反射光を受光素子で受けることにより、ハンドピース30の接続面であるハンドピース接続面341の接近や接続、接続の解除を検知することができる。
また、上記接近検知センサー435の代わりに上記RFIDタグ50とRFIDリーダライタ60との間の通信信号の強弱を利用してハンドピース30の接近を検出しても良い。
【0112】
上述のユニット接続端面431は、位置決め凸部344と対向する位置に配置して、ハンドピース側接続部34とユニット側接続部43とを接続するように移動させることにより、位置決め凸部344を嵌合する。これにより、ハンドピース30と接続ユニット40との径方向の位置決めをすることができる。
【0113】
また、ユニット側挿入部432とユニット外壁433との間であって、接続状態においてRFIDタグ50と対向する位置にRFIDリーダライタ60を設けている。
読取部に対応するRFIDリーダライタ60は、
図4に示すように、RFIDタグ50との間で情報の送受信を行うRW通信アンテナ61を備えている。
【0114】
RW通信アンテナ61は、RFIDタグ50を構成する通信アンテナ53との間で送受信可能な通信用アンテナである。
【0115】
なお、本実施例において、RW通信アンテナ61と通信アンテナ53との通信形態は、両アンテナ間を電波で通信する電波方式とする。この場合に、必要に応じて変調器、複調器を介しても良い。
また、RW通信アンテナ61と通信アンテナ53との通信形態はこの形態に限るものではなく、例えば、両アンテナ間にコイルを設けて両コイル間に高周波を印加させることで、相互誘導で通信する電磁結合方式や電磁誘導方式としてもよい。
【0116】
このような構成を有する医療用診療装置1を用いた患者の施術について、
図6に記載のフローチャートに基づいて説明する。
施術の準備として、医療用診療装置1の電源を入れるとともに、最初に診察する患者の患者情報を読み込んでモニタ15に表示する。そして最初の患者が診療椅子71に着席した際に、患者交代検出部11hの制御により重量センサー71aで診療椅子71上の質量変化を計測する。
【0117】
施術者は、診療椅子71に座った患者の前で滅菌処理済のハンドピース30を滅菌用袋から取り出して、ハンドピース30を接続ユニット40に接近させる。これにより、医療用機器本体10がハンドピース30を検出することができる(ステップs1)。
【0118】
詳述すると、施術者はハンドピース30と接続ユニット40とを接続するために、ユニット側接続部43に向けてハンドピース側接続部34を接近させる。これにより、ハンドピース30に設けられたRFIDタグ50からの信号を接続ユニット40に設けたRFIDリーダライタ60が受信し、RFIDタグ50からの信号を受信したRFIDリーダライタ60からRFIDタグ50に向けて識別信号などの送信命令が発せられる。
【0119】
この送信命令を受けて、読込制御部51cが識別情報記憶部52aに記憶する識別情報Lと、滅菌処理情報記憶部52bに記憶する滅菌処理情報Oと、使用検知情報記憶部52cに記憶する使用検知情報Uとの読込制御を行う。そして、通信制御部51dの制御により通信アンテナ53からRW通信アンテナ61に向けて識別情報L、滅菌処理情報O、および使用検知情報Uが送信される。RFIDリーダライタ60が識別情報Lを受信したことに基づいて、医療用機器本体10でハンドピース30が駆動制御可能かを判定する。
【0120】
ここで、ハンドピース30が医療用機器本体10で駆動可能かを判定する工程を、
図7および
図8に基づいて、簡単に説明する。
ハンドピース30から送信された識別情報Lを接続ユニット40が受信することで(ステップt1)、ハンドピース情報記憶部12aに記憶するハンドピース情報Iを情報読込制御部11cの制御により読み込む。そして、ハンドピース識別判定部11aにより識別情報Lのシリアルナンバーとハンドピース情報Iに記憶されているシリアルナンバーとを照合し合致するものがあるかを探し出すことで、ハンドピース30が医療用機器本体10で駆動可能かを判定処理する(ステップt2)。
【0121】
ハンドピース識別判定部11aの判定の結果、ハンドピース30を医療用機器本体10で駆動可能と判定された場合には(ステップt2:Yes)、本体側通信制御部11bの制御によりハンドピース識別判定部11aで判定処理された判定結果がハンドピース30に送信される(ステップt3A)。
【0122】
ハンドピース識別判定部11aで判定処理された判定結果を受信することにより(ステップt3B)、HP報知動作制御部51fが判定結果に基づいてハンドピース側報知部33を青色に点灯させて(ステップt4)接続判定工程を終了する。これにより、ハンドピース30と接続ユニット40とを接続することなく、施術者はハンドピース30が医療用機器本体10と接続して駆動制御できることを知ることができる。
【0123】
一方で、ハンドピース識別判定部11aの判定処理により、ハンドピース30を医療用機器本体10で駆動不可能と判定された場合には(ステップt2:No)、RW通信アンテナ61を介してハンドピース識別判定部11aの判定結果が通信アンテナ53に送信される(ステップt5A)。そして、通信アンテナ53による判定結果の受信されたことに基づいて(ステップt5B)、HP報知動作制御部51fの制御により、ハンドピース側報知部33がオレンジ色に点灯する(ステップt6)。
【0124】
これにより施術者は、ハンドピース30と接続ユニット40とを接続することなく、ハンドピース30を医療用機器本体10で駆動制御できないことが分かる。したがって、ハンドピース30と接続ユニット40との接続動作を止めることができ、もしくは、施術者はハンドピース30の駆動条件を例えばネットワーク上から呼び出すことにより、ハンドピース30を医療用機器本体10と接続させて駆動制御できる。
【0125】
次に、RFIDタグ50から送信された滅菌処理情報Oと使用検知情報Uとを比較判定して、ハンドピース30が使用可能かを判定する(ステップs2)。
このハンドピース30が使用可能かの判定は、滅菌処理情報Oからハンドピース30の滅菌処理が行われたか否かの情報を読み込んでハンドピース30の状態を識別する滅菌状態読込工程と、使用検知情報Uに記憶する直前の使用の終了時間(もしくは接続解除した時間)と滅菌処理情報Oに記憶する滅菌処理を行った時間とを比較判定して、ハンドピース30の使用後に滅菌処理が行われたかを判定する使用可否判定工程とからなる。
【0126】
具体的に、滅菌情報読込工程では、滅菌処理判定部11dの制御により、滅菌処理情報Oに記載されている最先の滅菌処理時間に対応する滅菌処理項目の内容である「滅菌処理」を読込み、ハンドピース30が滅菌処理済であることを識別する。
【0127】
次の使用可否判定工程では、使用判定部11eの制御により、使用検知情報Uに記憶された最新の使用終了時刻と、滅菌処理情報Oに記憶された最新の滅菌終了時間とを比較しその先後を判定する。
具体的には、使用判定部11eの制御により、使用検知情報Uに記憶された最新の使用終了時刻(2015年1月10日14時52分)と、滅菌処理情報Oに記憶された最新の滅菌終了時間(2015年1月10日16時52分)とを読み込んで比較判定し、ハンドピース30が使用後に滅菌処理済みであることを判定する(ステップs2:Yes)。
【0128】
この判定結果に伴って(ステップs2:Yes)、報知設定記憶部12dに記憶する報知プログラムを本体側報知動作処理部11gの制御により読込み、報知プログラムを実行する。これにより、本体側報知モニタ17cおよびモニタ15に『ハンドピースの使用可』と表示されるとともに、ハンドピース30に判定結果が送信されること基づくHP報知動作制御部51fの制御により、ハンドピース側報知部33を緑色に点灯する。これにより、ハンドピース30が滅菌処理済であることを施術者は認識でき、ハンドピース30を接続ユニット40に接続させることができる。
【0129】
なお、本実施例において、ハンドピース30の滅菌状態の識別と、ハンドピース30の使用後に滅菌処理が行われたか否かの判定とをこの順で行ったが、必ずしもこの順番である必要はなく、使用後に滅菌処理済か否かの判定を先に行ってもよい。
また、滅菌処理の判定により滅菌未処理と判定した場合は、滅菌処理の判定のみを行うことができる。これにより不要な処理が無くなり、CPUにかかる負荷を軽減できる。
【0130】
施術者がハンドピース30と接続ユニット40とを接続させることにより、接続判定部11iの制御により接続ユニット40に備えた接近検知センサー435から得られる情報からハンドピース30と接続ユニット40との接続を検出するとともに(ステップs3)、駆動制御部11fの制御により、接続されたハンドピース30の識別情報Lのシリアルナンバーに基づいて交換基準情報記憶部12cからハンドピース30に適合した駆動条件を読み込む(ステップs4)。
【0131】
これにより、チェアーユニット70に備えられたペダル74aの踏み込み量に対応した駆動信号が、読み込まれた駆動条件に従って制御されつつ接続チューブ42に内蔵する駆動電源供給用リード線を介してハンドピース30に伝達され、ハンドピース30の先端に取り付けた切削工具5が回転する(ステップt5)。これにより施術者は患者に対して所望の施術を行うことができる。
【0132】
また、ペダル74aを踏み込む踏込操作に基づく駆動信号を受けた施術検知部51gが、計時部55から時間を読取る読取命令を通信制御部51dに送信する制御を行う。この読取命令をRFIDリーダライタ60が受信することにより、時間読取部51bおよび情報更新制御部51eが、計時部55から読み取った駆動時間を使用検知情報Uに記録し、逐次使用検知情報Uを更新する(ステップs6)。なお、この使用検知情報Uの更新は施術中行われる(ステップs7:No)。
【0133】
施術者が患者に対する所望の施術を完了し、施術者がペダル74aから足を離すことにより(ステップs7:Yes)、駆動信号が所定時間停止されたことを施術検知部51gが検知し、駆動信号が停止された時間を使用検知情報Uに施術の終了時刻として記録する。
【0134】
施術が終了した患者が診療椅子71から降りることにより、医療用機器本体10hの制御により計測する重量センサー71aの質量変化から患者が下りたことを認識する(ステップs8:Yes)。その後に次の施術の対象である患者が診療椅子71に着席せずに医療用機器本体10の電源が切られた場合(ステップs9:Yes)、施術が終了する。なお、医療用機器本体10の電源が切られない場合には(ステップs9:No)、医療用機器本体10hの制御により患者が交代したかを検出し続けることとなる(ステップs8:No)。
【0135】
一方で、次の患者が診療椅子71に着席した場合、医療用機器本体10hの制御により計測する重量センサー71aの質量変化により診療椅子71に次の患者が着席したことを認識し(ステップs8:Yes)、接近検知センサー435から得られる情報を解析して複数ある接続ユニット40にハンドピース30が接続されているかを検出する(ステップs10)。
【0136】
なお、本実施例においては、次の患者が着席することにより患者の交代を検出しているが、施術を終了した患者が診療椅子71から降りたことで患者の交代を検出してもよい。
【0137】
接続ユニット40にハンドピース30が接続されていない場合(ステップs10:No)には、診療椅子71に座った患者の前で滅菌処理済のハンドピース30を滅菌用袋から取り出して、ハンドピース30を接続ユニット40に接近させ、医療用機器本体10がハンドピース30を検出する(ステップs1)。
【0138】
これに対して、接続ユニット40のうちのいずれか一つにでもハンドピース30が接続される場合(ステップs10:Yes)には、接続ユニット40に接続されているハンドピース30の滅菌処理した時間と使用した時間とを使用判定部11eの制御により比較判定して、滅菌処理済みかを判定する(ステップs11)。
【0139】
すなわち、接続ユニット40に接続されているハンドピース30が先の患者の施術に用いられていない場合には、使用判定部11eの制御によりハンドピース30が滅菌処理済と判定され(ステップs11:Yes)、接続ユニット40に接続されたハンドピース30の駆動条件を読み込んで施術に用いることができる(ステップs4)。
【0140】
また、接続ユニット40に接続しようとするハンドピース30が滅菌未処理であると判定された場合(ステップs2:No)および接続ユニット40に接続されているハンドピース30が先の患者に使用されており、滅菌未処理と判定された場合(ステップs11:No)には、駆動制御部11fの制御により、ハンドピース30への駆動信号が電気的に遮断される(ステップs12)。
【0141】
さらに、本体側報知動作処理部11gの制御により、ホルダ光出力部17aが赤色に点灯されるとともに、本体側音声出力部17bからブザーを発する。さらには、本体側報知モニタ17cまたはモニタ15にハンドピース30が使用できない旨の情報が表示される(ステップs13)。
【0142】
さらにまた、RW通信アンテナ61を介して滅菌処理判定部11dおよび使用判定部11eの判定結果が通信アンテナ53に送信され、この判定結果を受信したHP報知動作制御部51fの制御により、ハンドピース側報知部33が赤色に点灯する(ステップs13)。
【0143】
これらの動作により、施術者は、接続ユニット40に接続されているまたは接続予定のハンドピース30が前回の使用後に滅菌処理がされていないことを把握することができ、患者に対して滅菌未処理のハンドピース30が使用されることを確実に予防することができる。
【0144】
これらの駆動信号の遮断および報知動作は、医療用機器本体10は、接続判定部11iの制御により接近検知センサー435から得られる情報を解析して接続ユニット40とハンドピース30との接続状態を検出しており(ステップs14)、接続ユニット40とハンドピース30とが引き続き接続されている場合には(ステップs14:No)、報知動作が繰り返される(ステップ
s13)。
【0145】
このような駆動信号が遮断されている状態において、接近検知センサー435からの情報に基づいてハンドピース30と接続ユニット40とが取り外されたことを、接続判定部11iの制御により検出した場合(ステップs14:Yes)、ハンドピース30への駆動信号の遮断が、駆動制御部11fの制御により解除される。したがって、施術者が滅菌処理済のハンドピース30を接続ユニット40に接続した場合には(ステップs3)、この滅菌処理済のハンドピース30を医療用機器本体10で駆動制御できることとなる(ステップs5)。
【0146】
なお、接続ユニット40に接続しようとするハンドピース30が滅菌未処理であると判定された場合において(ステップs2:No)、ハンドピース側接続部34に、ハンドピース30の長手方向に沿って前後に円柱状体が移動する突出機構35を設けた構成とすることで(
図2参照)、ハンドピース30と接続ユニット40との接続を確実に防止することができる。
【0147】
詳述すると、滅菌処理判定部11dおよび使用判定部11eの判定処理により、ハンドピース30を施術に使用できない旨の判定がされた場合(ステップs2:No)、通信アンテナ53による当該判定結果の受信に基づいて、突出部制御部51iが、突出機構35を後方側に突出させる制御を行う(ステップs12)。これにより、ハンドピース側接続部34とユニット側接続部43とを接続させようとした場合に、突出機構35により接続を妨害することができ、ハンドピース30と接続ユニット40との接続を規制できる。
なお、この駆動制御部11fによる駆動制御や突出機構35の突出によるハンドピース30の使用規制は、ハンドピース30をオートクレーブで滅菌処理することにより解除することができる。
【0148】
また、ハンドピース30に備えたRFIDタグ50は耐熱性の電池54を備えていることから、ハンドピース30を単独でオートクレーブにかけることができる。
ハンドピース30をオートクレーブで滅菌処理した場合、情報更新制御部51eおよび滅菌処理回数算
出部51hの制御により、滅菌処理積算回数を算出して滅菌処理回数記憶部52dに記憶する。
【0149】
この滅菌処理回数記憶部52dに記憶された滅菌処理積算回数は、ハンドピース30の取替の判定の基礎とすることができる。
詳述すると、交換判定部11kの制御により、交換基準情報記憶部12cに記憶する滅菌処理限度回数と滅菌処理回数記憶部52dに記憶する滅菌処理積算回数とを比較判定して、ハンドピース30を交換すべきか否かの判定処理を行う。
【0150】
仮にハンドピース30を交換する必要があると判定された場合には、駆動制御部11fの制御により、ハンドピース30の駆動信号が電気的に遮断するとともに、本体側報知動作処理部11gの制御により、ホルダ光出力部17aが黄色に点滅されるとともに、本体側音声出力部17bから警告音を発する。さらには、本体側報知モニタ17cまたはモニタ15にハンドピース30を交換するべき旨の情報が表示される。
【0151】
これにより、施術者はハンドピース30の滅菌処理回数が滅菌処理限度回数を超えたことを認識することができる。また、ハンドピース30の使用後に滅菌処理されていない場合と異なる警告とすることにより、つまりホルダ光出力部17aの点灯パターンおよび本体側音声出力部17bから警告音パターンを変更することにより、ハンドピース30が滅菌未処理でなくハンドピース30を交換する必要があることを認識することができる。
【0152】
このような構成を有する医療用診療装置1は、ハンドピース30の固有の識別情報Lを記憶する識別情報記憶部52aを有するハンドピース30と、ハンドピース30と着脱自在に接続可能であるとともに識別情報Lを読取るRFIDリーダライタ60が備えられた医療用機器本体10とで構成され、ハンドピース30の滅菌処理に関する滅菌処理情報Oを記憶する52eと、施術の対象である患者の交代を検出する患者交代検出部11hと、患者交代検出部11hによる交代検出に基づいて、ハンドピース30の滅菌処理情報Oを読込み滅菌処理済か滅菌未処理かを判定する滅菌処理判定部11dと、滅菌処理判定部11dによる滅菌未処理の判定結果に基づいて、ハンドピース30の使用を規制する使用規制部とが備えられたことにより、交代した次の患者である交代後患者に対して滅菌未処理のハンドピース30が使用されることを防止できる。
【0153】
詳述すると、患者交代検出部11hと滅菌処理判定部11dとを備えることにより、患者が交代したことを検出できるとともに、患者が交代した際に医療用機器本体10に接続するハンドピース30が滅菌処理済か滅菌未処理かを判定することができる。この判定結果に基づく駆動制御部11fの制御により駆動信号が停止されて交代後患者に滅菌未処理のハンドピース30が使用されることを規制できるため、施術者は滅菌処理済のハンドピース30のみを施術に用いることができる。
【0154】
また、ハンドピース30には、識別情報記憶部52aを備えたRFIDタグ50が備えられ、RFIDリーダライタ60が、近接したRFIDタグ50から識別情報Lを非接触で読取ることにより、医療用機器本体10に接続予定のハンドピース30が滅菌未処理の場合に、医療用機器本体10とハンドピース30とを接触させることなく、滅菌状態を判定することができる。したがって、医療用機器本体10が汚染されることを防止できる。
【0155】
具体的には、医療用機器本体10にRFIDリーダライタ60を設け、ハンドピース30にRFIDタグ50を設けることにより、医療用機器本体10はハンドピース30と接触させることなく識別情報Lを読取ることができる。このため、医療用機器本体10に備えた情報読込制御部11cと滅菌処理判定部11dの制御により、医療用機器本体10はハンドピース30と接触することなく識別情報Lに対応する滅菌処理情報Oを読込み、ハンドピース30が滅菌処理済か滅菌未処理かを判定することができる。
【0156】
このように、滅菌処理の判定を行うにあたり、ハンドピース30と医療用機器本体10とを接触させる必要が無いため、医療用機器本体10に接続予定のハンドピース30が滅菌未処理の場合であっても、医療用機器本体10にハンドピース30を接続することを防止でき、医療用機器本体10が汚染されることを防止できる。
【0157】
また、駆動制御部11fは、医療用機器本体10からハンドピース30に送られる駆動信号を遮断することにより、ハンドピース30の作動を禁止することを特徴とすることにより、ハンドピース30が滅菌未処理と判定された場合に、医療用機器本体10からハンドピース30への駆動信号が伝達されずハンドピース30の駆動が規制される。したがって、施術者が誤って他の患者に使用したハンドピース30を用いて施術することを防止できる。
【0158】
また、医療用機器本体10にはユニット側接続部43が、ハンドピース30にはユニット側接続部43と接続するハンドピース側接続部34が備えられ、医療用機器本体10の少なくとも一方に、ユニット側接続部43とハンドピース側接続部34との接続を防止する接続防止形状を形成する突出機構35が備えることができる。これにより、滅菌未処理のハンドピース30と医療用機器本体10とを接続しようとした場合に、滅菌処理情報Oに基づいて接続防止形状を形成する突出機構35により、ハンドピース30と医療用機器本体10との接続を防止でき、ハンドピース側接続部34とユニット側接続部43との物理的な接続を確実に防止することができる。
【0159】
このように、突出機構35を設けることにより、施術者は滅菌未処理のハンドピース30を物理的に医療用機器本体10に接続することができない。したがって、滅菌未処理のハンドピース30を他の患者に用いることを確実に規制ことができ、汚染の問題が生じないようにできる。
【0160】
また、患者交代検出部11hを、交代する次の交代後患者の着席に基づいて患者の交代を検出することで、交代後患者の施術前にハンドピース30が滅菌処理済か滅菌未処理かを判定することができるため、交代後患者に滅菌未処理のハンドピース30が使用されることを防止できる。したがって、施術者は交代後患者を安全に施術することができる。
【0161】
また、患者交代検出部11hは、患者が診療椅子71から降りたことに基づく施術の終了情報に基づいて患者の交代を検出する構成にすることにより、患者の施術終了後であって交代後患者の施術前に、ハンドピース30が滅菌処理済か滅菌未処理かを判定することができる。これにより、交代後患者の施術前に滅菌未処理の医療用機器の使用を確実に規制できるため、ハンドピース30を医療用機器本体10から取り外すことを万が一忘れた場合であっても、滅菌未処理のハンドピース30の使用をより確実に防止できる。
さらにまた、交代後患者の施術前に、施術に使用できるハンドピース30を確認することができるため、施術者は、交代後患者の施術を円滑に行うことができる。
【0162】
また、ハンドピース30の使用を検知する施術検知部51gと、施術検知部51gの検知結果に基づいて、少なくとも使用されたハンドピース30の使用をハンドピース30毎に報知するホルダ光出力部17aがホルダ14に備えられたことにより、実際に施術に使用されたハンドピース30を保持するホルダ14のホルダ光出力部17aのみが報知されるので、報知されたハンドピース30のみを滅菌処理すれば良いので滅菌処理すべき対象が一目瞭然となる。
【0163】
また、ハンドピース30毎に使用を報知することができるため、別の患者の施術を行う前に交換すべきハンドピース30を容易に判断できる。したがって、施術者は交換すべきハンドピース30を明確かつ容易に判断することができ、円滑な施術を行うことができる。
【0164】
また、ホルダ光出力部17aは、ハンドピース30のホルダ部に設け、交換すべきハンドピース30毎にランプ等を点灯又は点滅させる構成である。これにより、施術者は次の患者に対する施術を行うにあたり、点灯又は点滅したランプが必ず視野に入るため、一旦使用されたハンドピース30のみを滅菌処理すれば良いことに認識でき、滅菌未処理のハンドピース30の再使用を確実に控えることができる。
【0165】
また、接近検知センサー435で得られる情報に基づいてハンドピース30の交換を検出する接続判定部11iと、ハンドピース30の使用規制を解除する駆動制御部11fとが備えられたことを特徴とすることで、使用規制されたハンドピース30を、滅菌処理済のハンドピース30と交換することで使用規制が解除できる。これにより、施術者は施術に使用できるハンドピース30が医療用機器本体10に接続されていることを認識できる。したがって、施術者は患者の交代後にハンドピース30が交換されたか否かを気にすることなく施術に集中することができる。
【0166】
また、滅菌処理を行った滅菌処理回数を記憶する滅菌処理回数記憶部52dが備えられ、駆動制御部11fは、滅菌処理情報Oおよび滅菌処理回数に基づいてハンドピース30の使用を規制することを特徴とすることにより、滅菌処理により劣化したハンドピース30を施術に使用することを防止できる。
【0167】
詳述すると、オートクレーブを用いてハンドピース30を滅菌処理した場合、ハンドピース30は所定の時間、高温高圧条件下におかれることとなるため、滅菌処理を繰り返すことにより、ハンドピース30が徐々に劣化して施術中に使用できなくなるおそれがあった。
【0168】
しかし、駆動制御部11fが、滅菌処理情報Oおよび滅菌処理回数に基づいてハンドピース30の使用を規制する構成とすることにより、ハンドピース30が所定の滅菌処理回数を超えた場合にハンドピース30の使用を規制でき、施術中にハンドピース30の駆動が停止することなどを防止できる。したがって、施術者は安心して施術できる。
【0169】
また、滅菌処理回数に基づいてハンドピース30の取替の要否を判定する交換判定部11kと、交換判定部11kの判定結果に基づいて所定の報知を行うモニタ15とを備えることにより、ハンドピース30が滅菌処理済であっても、施術者は施術前にハンドピース30が取り換えるべきであることを認識でき、使用できるハンドピース30に取り換えることができる。これにより、施術中にハンドピース30の交換をすることなくスムーズに施術を行うことができるとともに、患者が不安感を抱くことを防止できる。
【0170】
また、オートクレーブの処理温度や処理時間をハンドピース30に応じて最適な処理温度や時間に設定できる構成とした場合には、これらの処理条件に応じてハンドピース30の耐久性の判断基準が変わることとなるが、滅菌処理回数算出部51hを備えることにより、滅菌処理の条件に応じて、基準滅菌処理回数を基準とした滅菌処理回数に換算して算出滅菌処理回数とすることができるため、滅菌条件が異なっている場合であっても、ハンドピース30が滅菌処理された回数を所定の基準に合わせて算出することができる。これにより、例えば、交換基準情報記憶部12cに予め保存したハンドピース30の滅菌処理の限度回数と算出滅菌処理回数の積算値とを比較判定して、ハンドピース30の交換の要否を報知でき、施術者はハンドピース30の取り換え時期を把握することができる。
【0171】
このように、様々な滅菌処理の条件で滅菌処理しても所定の規格に基づいてハンドピース30の交換時期を判定することができるため、例えば、ハンドピース30を、業者が推奨する滅菌処理条件よりも長い時間かけて滅菌処理した場合などであっても、施術者は正確にハンドピース30の交換時期を把握することができ、交換時期が近い滅菌処理装置については、安全に施術を行えるハンドピース30に予め取り替えることができる。
【0172】
また、滅菌処理判定部11dは、滅菌処理の時期とハンドピース30の使用時期とを比較判定して、滅菌処理済か滅菌未処理かを判定することにより、ハンドピース30の使用時期と滅菌処理の時期とに基づいて、ハンドピース30が滅菌処理済か滅菌未処理かを判定することができ、ハンドピース30の使用時期と滅菌時期との先後を正確に判定することができる。
【0173】
つまり、使用後に滅菌未処理のハンドピース30が医療用機器本体10に接続される場合の他、滅菌処理済後の使用されたハンドピース30が医療用機器本体10に接続される場合でも、ハンドピース30が滅菌未処理であると判定することができるため、滅菌未処理のハンドピース30の使用を確実に規制することができる。
【0174】
また、例えば、滅菌処理の日時とハンドピース30の日時とを比較判定する場合には、ハンドピース30の使用後に滅菌処理を行っているが、つまり、滅菌処理済で使用可能と判定されているが、滅菌処理した時から時間が経過し過ぎているので再度滅菌処理が必要である場合などを判定することができ、ハンドピース30の再使用を防止することができる。
【0175】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、医療用施術具は、ハンドピース30に対応し、
読取部は、RFIDリーダライタ60に対応し、
交代検出部は、患者交代検出部11hに対応し、
使用規制部は、駆動制御部11fに対応し、
識別体は、RFIDタグ50に対応し、
本体側接続部は、ユニット側接続部43に対応し、
施術具側接続部は、ハンドピース側接続部34に対応し、
接続障害部は、突出機構35に対応し、
使用検知部は、施術検知部51gに対応し、
使用報知部および取替報知部は、ホルダ光出力部17a及び
ハンドピース側報知部33に対応し、
交換検出部は、接続判定部11iに対応し、
規制解除部は、駆動制御部11fに対応し、
取替判定部は、交換判定部11kに対応するが、この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0176】
例えば、使用報知部および取替報知部は、ホルダ光出力部17aに対応しているが、モニタ15や、ブザーや音声などの音を出力する出力部である本体側音声出力部17b、判定結果を表示する本体側報知モニタ17cによる対応としてもよい。
【0177】
また、使用報知部および取替報知部として、患者の交代検出後に使用しようとしたハンドピース30を振動させることにより、当該ハンドピース30が使用されたことや取替が必要なことを報知する構成であってもよい。
【0178】
また本実施形態において、滅菌処理回数は、基準となる滅菌処理条件を超えた場合に、滅菌処理されたとして回数をカウントする構成としているが、基準となる滅菌条件に対する滅菌処理温度や滅菌処理時間の違いに基づいた負荷係数を設けて算出された滅菌処理回数や、所定の滅菌処理条件に対して予め決定された回数を加算した滅菌処理回数、滅菌処理回数の積算値に基づいてハンドピース30の劣化を考慮して算出された滅菌処理回数などとしてもよい。
【0179】
また本実施形態において、滅菌処理とは、高温高圧環境下で滅菌するオートクレーブを用いた滅菌処理としているが、必ずしもオートクレーブである必要はなく、酸化エチレンガスを用いた滅菌処理や過酢酸等の滅菌溶液に浸漬させる浸漬滅菌処理、低温プラズマを利用したプラズマ滅菌処理、ガンマ線や電子線などの放射線を照射することにより滅菌する放射線滅菌処理などとしてもよい。
これらの滅菌処理を用いた場合であっても、それぞれの滅菌処理における基準値に基づいて滅菌回数を滅菌処理回数算出部51hにより算出することができる。
【0180】
また、本実施形態において、患者の交代を重量センサー71aで計測する質量変化に基づいて検出しているが、この実施形態に限るものではなく、前記患者の施術の終了を検出することや、前記患者の次の患者である交代後患者の診療準備が完了したことを検出することであればよい。
【0181】
例えば、
図9に示すように、患者の顔の画像を撮影する画像撮影用カメラ75を診療椅子71の上方に設け、患者の顔などを画像認識する構成としてもよい。このように画像撮影用カメラ75を設けることにより、診療椅子71に着席又は離席した患者を撮影することで患者が交代したか検出できる。
【0182】
また、撮影した画像データを患者情報として記憶することができる。そして、次回以降に患者が診療椅子71に着席した時に、新たに撮影した画像と、患者情報に記録されている画像と照合し特徴点を検索することで患者が交代したかを検出できる。
【0183】
また、上記以外でも、診療椅子71の昇降信号の受信や、患者のカルテ情報の切り替え、前記交代後患者の体重の検知、施術者による施術開始・終了信号の受信に基づき患者の交代を検知すること構成としてもよく、様々な方法をとることができる。
【0184】
また本実施形態において、RFIDタグ50は、RFIDリーダライタ60との間で通信機能を有する構成であるが、通信機能はRFIDに限るものではなく、RFIDと同様に電波を利用した通信機能や、赤外線を利用した通信機能、磁力を利用した通信機能、バーコードやQRコード(登録商標)のように光を利用した通信機能、画像認識を利用した通信機能などとしてもよい。
【0185】
また、本実施例において、識別体としてRFIDタグ50を使用しているが、識別情報Lを通信できる構成であればどのような構成であっても良く、接続により識別情報Lを通信する例として、前記医療用施術具毎に予め備えたそれぞれ異なる特定の値の抵抗、コイル又はコンデンサ等を前記医療用施術具に内蔵していても良い。これらの識別体を使用する場合は、接続チューブ38内に配置される電線等を介して医療用機器本体10に識別信号が伝送される。また、読取部としては、上記医療用機器本体10に備えられているハンドピース識別判定部11aでハンドピース30の識別を行うことが出来る。
【0186】
さらにまた、RFIDリーダライタ60はトレーテーブル16に設けることができる。これにより、平面16a上においたハンドピース30を接続ユニット4040と接触することなく医療用機器本体10が識別できるとともに、ハンドピース30が滅菌処理されているかを袋から取り出すことなく判定することができる。
【0187】
また、本発明の医療用機器として、歯科用機器を例にとって説明したが、歯科用に限られずに口腔外科用、耳鼻咽喉科用、産婦人科用、眼科用等の医療用機器としても使用できる。