(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来のペネトレーションの構造として、例えば特許文献1には、原子炉格納容器の遮蔽壁に貫通して設けられたスリーブの外方の先端部にアダプターを介してヘッダーリングが設けられ、該ヘッダーリングに複数のケーブルモジュールが装着され、該ケーブルモジュールの外側ケーブルが端末部を介して外部ケーブルと接続され、ケーブルモジュールの内側ケーブルが端末部を介して内部ケーブルと接続されたペネトレーションが記載されている。ペネトレーションを取り替えるときは、アダプターとスリーブの溶接部を切断し、アダプターが付いたケーブルモジュールを新しいものと交換する。
【0003】
近年の我が国における原発事故以来、原子炉格納容器内の安全監視設備、計測設備の強化が求められている。従来、我が国では、原子炉格納容器内の温度や水位の計測データを送信するのに光ファイバを用いることは、光ファイバの耐放射線の問題により採用されてこなかった。
【0004】
近年、耐放射線ファイバが開発されているが、このような耐放射線ファイバに対応した水素検知センサや、温度センサ、水位センサなどの計測器を開発するとともに、耐圧性、気密性、耐熱性、耐放射線性のある原子炉格納容器の隔壁の光ファイバペネトレーションを開発することが望まれている。
【0005】
しかし、耐放射線ファイバは、樹脂被覆自体が耐熱性、耐圧性に欠け、そのままではペネトレーションとして採用できないし、ファイバ素線のみでは断線しやすく、耐久性がない。耐放射線ファイバを原子炉格納容器の遮蔽壁のペネトレーションとして採用するには、まず気密性、耐久性を確保する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記従来の問題点に鑑みてなされたもので、耐放射線ファイバを使用し、耐圧性、気密性、耐熱性、耐放射線性及び耐水性のある光ファイバペネトレーションを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の光ファイバペネトレーションは、
第1空間と第2空間とを隔絶する隔壁を貫通して設けたスリーブの内部に配設される光ファイバペネトレーションにおいて、
光ファイバ素線を金属製の細管に挿入した第1光ファイバケーブルおよび第2光ファイバケーブルと、
前記スリーブの軸方向に配置する金属製の筒体であって、その筒体の内部に、前記第1光ファイバケーブルを第1空間側に、前記第2光ファイバケーブルを第2空間側に配設した筒体と、
前記筒体の内部で、前記第1光ファイバケーブルと前記第2光ファイバケーブルを接続する内部コネクタと、
前記筒体の両端を閉塞する第1蓋体および第2蓋体とを備え、
前記内部コネクタにより、前記第1光ファイバケーブルの細管の内部を前記第2光ファイバケーブルの細管の内部と遮断し、前記第1光ファイバケーブルの光ファイバ素線を前記第2光ファイバケーブルの光ファイバ素線と導通したものである。
【0009】
上記構成により、第1光ファイバケーブル及び第2光ファイバケーブルは、光ファイバ素線が細管に挿入されているので、光ファイバが保護されるとともに、耐圧性、耐熱性、耐放射線性がある。
また、内部コネクタにより、第1光ファイバケーブルの光ファイバ素線と第2光ファイバケーブルの光ファイバ素線とを導通した状態において、第1光ファイバケーブルの細管の内部と第2光ファイバケーブルの細管の内部が遮断される。これにより、第1光ファイバケーブルに接続される隔壁の第1空間側の光ファイバケーブルの細管が損傷したとしても、第1空間の雰囲気や水が損傷した細管から第2空間の光ファイバケーブルに侵入することはなく、耐水性、気密性が保たれる。
【0010】
前記内部コネクタは、
前記第1光ファイバケーブルの細管の端部を固着し、光ファイバ素線の先端にメス型又はオス型のコンタクトを設けたソケットと、
前記第2光ファイバケーブルの細管の端部を固着し、光ファイバ素線の先端に前記ソケットのコンタクトと嵌合するオス型又はメス型のコンタクトを設けたプラグとからなり、
前記第2光ファイバの光ファイバ素線の周囲が前記プラグの内部に樹脂で封止され、
前記メス型コンタクトと前記オス型コンタクトとが嵌合するように前記ソケットに前記プラグが装着可能であることが好ましい。
これにより、ソケットにプラグを横着するだけの簡単な構成で、内部コネクタにより、第1光ファイバケーブルの光ファイバ素線と第2ケーブルの光ファイバ素線とを導通した状態で、第1光ファイバケーブルの細管の内部と第2光ファイバケーブルの細管の内部を遮断することができる。
【0011】
前記筒体の内部に樹脂が充填されることが好ましい。
筒体の内部に樹脂を充填することで、内部コネクタ、第1光ファイバケーブルおよび第2光ファイバケーブルが樹脂で密封され、ケーブル内部の気密性をより一層、高めて光ファイバを保護できる。
【0012】
前記筒体の内部に、前記第1光ファイバケーブル及び前記第2光ファイバケーブルを支持するとともに、前記筒体の内部を複数の空間に仕切る仕切プレートを備え、
前記仕切プレートにより仕切られた前記筒体内の複数の空間のうち、少なくとも前記内部コネクタが配置された空間に前記樹脂が充填されることが好ましい。
筒体内を仕切り、各空間を個別に温度制御することで、充填された樹脂の収縮や膨張を防ぎ、樹脂の硬化処理を容易にできる。
【0013】
前記樹脂は、シアネートエステル樹脂とエポキシ樹脂とを混合した混合樹脂であることが好ましい。
樹脂として上記混合樹脂を用いることで、筒体内に混合樹脂を注入後、150度以下の温度で硬化できるので、高温による光ファイバの損傷を防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光ファイバペネトレーション及びシステムによれば、第1ケーブルの光ファイバと第2ケーブルの光ファイバとを導通した状態において、コネクタにより各ケーブル内部の気密性を確保して放射線や熱、水の浸入を防止し、光ファイバを保護できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の光ファイバペネトレーション1は、原子炉格納容器の隔壁2を貫通して図中左側(隔壁2の内側)の格納容器内側空間(第1空間)3と図中右側(隔壁2の外側)の格納容器外側空間(第2空間)4とを連通する円筒形状のスリーブ5内に配設されている。なお、本明細書では、便宜上、各部材の原子炉格納容器内側及び原子炉格納容器外側を単に内側、外側と称する。
【0018】
光ファイバペネトレーション1は、格納容器内側空間3に設置されたセンサ(図示せず)に接続される内側光ファイバケーブル6と、格納容器外側空間4に設置された読取り装置(図示せず)に接続される外側光ファイバケーブル7とを接続する。
【0019】
光ファイバペネトレーション1は、格納容器内側空間3から格納容器外側空間4にわたってスリーブ5の軸方向に沿って延びている。光ファイバペネトレーション1は、スリーブ5の両端部および軸方向の中央に設けられた支持体8の円形孔9に挿通して支持されている。なお
図1中、代表して1本のみの光ファイバペネトレーション1を示しているが、実際には複数本の光ファイバペネトレーション1や電気ペネトレーションがスリーブ5内に配設されている。内側光ファイバケーブル6は、スリーブ5の内側の端部に取り付けられた内側接続箱10に他のケーブルとともに集約されて、それぞれのペネトレーションと接続される。同様に、外側光ファイバケーブル7も、スリーブ5の外側の端部に取り付けられた外側接続箱11に他のケーブルとともに集約されて、それぞれのペネトレーションと接続される。
【0020】
図2に示すように、光ファイバペネトレーション1は、両端が閉塞された円筒形状の金属製の筒体12と、筒体12の格納容器内側空間3側の内部に挿通される複数本の第1光ファイバケーブル13と、筒体12の格納容器外側空間4側の内部に挿通される複数本の第2光ファイバケーブル14と、第1光ファイバケーブル13と第2光ファイバケーブル14とを接続する複数の内部コネクタ15とを備えている。光ファイバペネトレーション1の筒体12の内部空間は、樹脂16で充填されている。複数の内部コネクタ15は、互いに重ならないように、光ファイバケーブル13,14の長手方向にずらして配置されている。
【0021】
筒体12の口径は、内部に挿通する光ファイバケーブル13,14の本数(通常は16本が多い)や内部コネクタ15の大きさに依存するが、約100から200mm程度である。また、筒体12の長さは、光ファイバペネトレーション1を配設するスリーブ5の長さ、すなわち隔壁2の厚さに依存するが、1000〜3000mm程度である。筒体12は、ステンレス鋼などの金属製の3本のパイプ12a,12b,12cからなり、隣接するパイプ12a,12b,12cの端面を溶接することで形成される。各パイプ12a,12b,12cには樹脂充填口17aと排出口17bが形成されている。中央部の第2パイプ12bには、ガス漏れ検知孔18が形成されている。ガス漏れ検知孔18は、図示しない導管を介して内側又は外側に設けた図示しない圧力計に接続され、光ファイバケーブル13,14の後述する細管24や筒体12の損傷等による筒体12内の圧力の変化を検出するものである。
【0022】
第1パイプ12aの内側の端部は、円板形状の第1蓋体19が当接して溶接されている。第1蓋体19には、複数の第1コネクタ20が固定され、第1光ファイバケーブル13の内側の端部が接続されている。第1コネクタ20は、第1蓋体19に固定するのでなく、第1蓋体19を貫通させた第1光ファイバケーブル13の先端に取り付けてもよい。第3パイプ12cの外側の端部は、円板形状の第2蓋体21が挿入されて溶接されている。第2蓋体21には、複数の第2光ファイバケーブル14が厚さ方向に貫通し、その先端に第2コネクタ22が取り付けられている。第2コネクタ22は、第2光ファイバケーブル14の先端に取り付けるのではなく、第1コネクタ20と同様に、第2蓋体21に固定されてもよい。
【0023】
第1コネクタ20には内側光ファイバケーブル6が接続され、該内側光ファイバケーブル6の先端には前記センサが接続されている。第2コネクタ22には外側光ファイバケーブル7が接続され、該外側光ファイバケーブル7の先端には前記読取り装置が接続されている。これにより、センサと読取り装置とは、内側光ファイバケーブル6、第1コネクタ20、光ファイバペネトレーション1、第2コネクタ22及び外側光ファイバケーブル7を介して容易に接続できる。
【0024】
第1光ファイバケーブル13と第2光ファイバケーブル14は、第1パイプ12aと第2パイプ12bの溶接部、及び第2パイプ12bと第3パイプ12cの溶接部に設置された円形の仕切りプレート23a,23bによって支持されている。
【0025】
第1光ファイバケーブル13と第2光ファイバケーブル14は、
図3に示すように、それぞれ、ステンレス鋼製の細管24と、該細管24に挿入された光ファイバ素線25を備えている。内側光ファイバケーブル6と外側光ファイバケーブル7も、同様の構造を有している。
【0026】
細管24は、ステンレス鋼製のチューブで以下の特性を有するものが好ましい。
材質; SUS304(又はSUS316)
外形/肉厚;2.0±0.05mm/0.2±0.05mm
許容張力; 216N
許容側圧; 20,000N/50mm
使用温度; 常温〜200℃
【0027】
光ファイバ素線25は、特許第4699267号の耐放射線光ファイバの素線であって、F−SiO
2のファイバ(フッ素添加約0.8%)にポリイミド樹脂をコーティングした、放射線による欠陥生成を抑制・修復する機能を有し、以下の特性を有する耐放射線シングルモードファイバ(RRSMFB)が好ましい。
クラッド径; 125±1μm
使用波長nm;1310,1550
初期伝送損失;≦0.5dB/km
耐圧テスト; ≧0.7GN/m
2
耐熱温度; 300℃
γ線少佐伝送損失;1x10
6R/h 約0.5dB/100m
1x10
5R/h 約0.3dB/100m
【0028】
光ファイバペネトレーション1の内部空間に充填される熱硬化性樹脂16は、シアネートエステル樹脂とエポキシ樹脂とを4対6の比で混合した混合樹脂である。
【0029】
図3に示すように、内部コネクタ15は、ソケット26と、該ソケット26に接続されるプラグ27とを備える水中コネクタである。第1コネクタ20及び第2コネクタ22も同様の構造であるため説明は省略する。
【0030】
ソケット26は、一端が壁部28により閉塞された円筒形であり、他端の開口端29からプラグ27が挿入される。格納容器内側空間3(
図1参照)のセンサに接続されたソケット側の第1光ファイバケーブル13は、壁部28を貫通してソケット26の内部に延びている。また第1光ファイバケーブル13の光ファイバ素線25の先端部は、ソケット26に固定された第1保持部30によりソケット26の内部に保持されている。第1光ファイバケーブル13の細管24の先端は、ソケット26の壁部28に溶接されている。
【0031】
第1保持部30は、メス型コンタクト31と、コンタクト固定部32と、保持リング33とを備えている。
【0032】
メス型コンタクト31は光ファイバ保持孔34と、コンタクト挿入孔35とを有する。光ファイバ保持孔34には、第1光ファイバケーブル13の光ファイバ素線25の先端部が嵌挿されて固定されている。コンタクト挿入孔35は光ファイバ保持孔34よりも径が大きく、プラグ27の後述するオス型コンタクト48が挿入される。
【0033】
コンタクト固定部32は、メス型コンタクト31よりも軸方向に短い円筒形状であり、メス型コンタクト31と保持リング33との間に配設されている。コンタクト固定部32の内側には、メス型コンタクト31が嵌挿されている。
【0034】
保持リング33は、コンタクト固定部32よりも軸方向に短い円筒形状である。ソケット26の内周面に固定された保持リング33の内部には、コンタクト固定部32が嵌挿されている。
【0035】
プラグ27は、軸方向に延びる円筒形状であり、第2光ファイバケーブル14を密封するケーブル密封体36と、該ケーブル密封体36に連結固定されたプラグ本体37とを備えている。
【0036】
ケーブル密封体36は、第2光ファイバケーブル14の細管24の先端を密封している。ケーブル密封体36は円筒形状であり、軸方向に延びるケーブル保持孔38と樹脂充填孔39と段部40を有する。ケーブル保持孔38は樹脂充填孔39よりも径が小さく、樹脂充填孔39と段部40を介して連通している。
【0037】
ケーブル保持孔38には第2光ファイバケーブル14の細管24が嵌挿され、該細管24の先端は段部40に係止して位置決めされている。ケーブル密封体36の外側端面41と細管24とは溶接して固定されている。
【0038】
樹脂充填孔39の段部40側の端部には高粘性の樹脂42が充填されている。高粘性の樹脂42の隣には、低粘性の樹脂43が充填されている。樹脂42,43は、エポキシ樹脂が好ましいが、これに限るものではない。これにより第2光ファイバケーブル14の細管24の内部の気密性を確保して放射線や熱、水の浸入を防止し、光ファイバ素線25を保護できる。
【0039】
プラグ本体37の先端部はソケット26に挿入される。プラグ本体37の外周には、ソケット26の外周に形成された雄ねじ44とねじ結合する締結リング45が配設されている。プラグ本体37の内側には、第2光ファイバケーブル14の光ファイバ素線25を保持する第2保持部46が、プラグ本体37の内周面に嵌挿された薄肉の環状体47を介して固定されている。
【0040】
第2光ファイバケーブル14からプラグ27内を延びる光ファイバ素線25は、各エポキシ樹脂42,43を貫通して第2保持部46まで延びている。第2保持部46は、オス型コンタクト48と、コンタクト保持リング49と、コンタクト固定部50とを備えている。
【0041】
オス型コンタクト48は、内側で第2光ファイバケーブル14の光ファイバ素線25の先端部を保持する円筒形状である。オス型コンタクト48の先端は、コンタクト保持リング49とコンタクト固定部50との端面からソケット26に向かって突出している。
【0042】
コンタクト保持リング49はオス型コンタクト48よりも軸方向に短い円筒形状であり、オス型コンタクト48とコンタクト固定部50との間に配設されている。コンタクト保持リング49はオス型コンタクト48よりも軸方向に短く、コンタクト保持リング49と同じ長さの円筒形状である。
【0043】
コンタクト固定部50は環状体47を介してプラグ27の内周面に固定され、その内部にはコンタクト保持リング49が嵌挿されている。
【0044】
次に、本発明の光ファイバペネトレーション1の製造方法及び原子炉格納容器の隔壁2のスリーブ5への取り付け方法について説明する。
【0045】
図4に示すように、第1パイプ12aに第1蓋体19を図中aの位置で溶接して取り付け、第1光ファイバケーブル13を第1仕切りプレート23aに支持した状態で第1パイプ12aの外側の端部から挿入し、第1光ファイバケーブル13の内側の端部を第1蓋体19に挿通して第1コネクタ20を取り付け、該第1コネクタ20を第1蓋体19に取り付ける一方、第1光ファイバケーブル13の外側の端部に内部コネクタ15のソケット26を取り付けて、第1仕切りプレート23aを第1パイプ12aの外側の端部に位置させることにより、内側ユニットAを組み立てる。第1光ファイバケーブル13の細管24は、第1仕切りプレート23aに溶接などにより固着することが好ましいが、固着しなくてもよい。
【0046】
これに続き、第2光ファイバケーブル14を第2仕切りプレート23bに支持するとともに第2蓋体21に挿通し、第2光ファイバケーブル14の内側の端部に内部コネクタ15のプラグ27を取り付ける一方、第2光ファイバケーブル14の外側の端部に第2コネクタ22を取り付けることにより、外側ユニットBを組み立てる。第2光ファイバケーブル14の細管24も、第2仕切りプレート23bに溶接などにより固着することが好ましいが、固着しなくてもよい。
【0047】
次に、
図5に示すように、内側ユニットAの内部コネクタ15のソケット26と、外側ユニットBの内部コネクタ15のプラグ27とを接続して、第1光ファイバケーブル13と第2光ファイバケーブル14を接続する。第2光ファイバケーブル14の外側の端部から図中矢印X1方向に第2パイプ12bを挿通して、第1パイプ12aの外側の端部と第2パイプ12bの内側の端部とを図中bの位置で溶接する。このとき、第1仕切りプレート23bも第1パイプ12aと第2パイプ12bの内周面に溶接されるようにする。
【0048】
さらに、
図6に示すように、第2光ファイバケーブル14の外側の端部から図中X2の方向に第3パイプ12cを挿通して、第2パイプ12bの外側の端部と第3パイプ12cの内側の端部とを図中cの位置で溶接する。このとき、第2仕切りプレート23bも第1パイプ12aと第2パイプ12bの内周面に溶接されるようにする。そして、第3パイプ12cの外側の端部を第2蓋体21の外周面に図中dの位置で溶接するとともに、第2光ファイバケーブル14の細管24を図中eの位置で2蓋体21に溶接する。
【0049】
この後、第1パイプ12aの第1蓋体19と第1仕切りプレート23aとの間の内部空間に、樹脂充填口17aからシアネートエステル樹脂とエポキシ樹脂とを例えば4対6の比で混合した熱硬化性樹脂16を充填して固化する。同様に、第3パイプ12cの第2蓋体21と第2仕切りプレート23bとの間の内部空間、第2パイプ12bの第1仕切りプレート23aと第2仕切りプレート23bの間の内部空間にも、樹脂充填口17aから熱硬化性樹脂16を充填して固化する。
【0050】
このように、筒体12内が仕切りプレート22a、22bで仕切られているので、各空間を個別に温度制御することで、充填された熱硬化性樹脂の収縮や膨張を防ぎ、熱硬化性樹脂の硬化処理を容易にできる。
また、樹脂16として上記混合樹脂を用いることで、樹脂16を150度以下の温度で硬化できるので、高温による光ファイバの損傷を防止できる。
【0051】
以上のようにして製造した新たな光ファイバペネトレーション1を原子炉格納容器の隔壁2のスリーブ5に取り付けるには、光ファイバペネトレーション1を原子炉格納容器の外側からスリーブ5内に挿入し、内側の第1コネクタ20を内側光ファイバケーブル6に接続し、外側の第2コネクタ22を外側光ファイバケーブル7に接続することで、簡単に取り付けることができる。また、既存の光ファイバペネトレーション1の第1コネクタ20と第2コネクタ22をそれぞれ内側光ファイバケーブル6、外側光ファイバケーブル7から分離して、既存の光ファイバペネトレーション1をスリーブ5から外側に引き出して取り外した後、新たな光ファイバペネトレーション1を原子炉格納容器の外側からスリーブ5内に挿入し、内側の第1コネクタ20を内側光ファイバケーブル6に接続し、外側の第2コネクタ22を外側光ファイバケーブル7に接続することにより、光ファイバペネトレーション1を容易に交換することができる。
【0052】
本発明の光ペネトレーション1に使用する第1光ファイバケーブル13及び第2光ファイバケーブル14は、耐放射線性を有する光ファイバ素線25が樹脂被覆がない素線のままの状態で、耐熱性、耐水性、気密性、耐震性、耐圧性に優れた細管2に挿入されているので、光ファイバ素線25が保護されるとともに、耐圧性、耐水性、耐熱性、耐放射線性がある。
【0053】
また、本発明の光ペネトレーション1は、内部コネクタ15により、第1光ファイバケーブル13の光ファイバ素線25と第2光ファイバケーブル14の光ファイバ素線25とを導通した状態において、第1光ファイバケーブル13の細管24の内部と第2光ファイバケーブル14の細管25の内部がプラグ27の高粘性エポキシ樹脂42と低粘性エポキシ樹脂43によって遮断される。このため、第1光ファイバケーブル13に接続される原子炉格納容器の内側の内側光ファイバケーブル6の細管24が損傷したとしても、原子炉格納容器内の雰囲気や水が損傷した細管から原子炉格納容器の外側の外側光ファイバケーブル7に侵入することはなく、気密性が保たれる。
【0054】
さらに、筒体12の内部に熱硬化性樹脂16が充填されているので、内部コネクタ15、第1光ファイバケーブル13および第2光ファイバケーブル14の内部の気密性をより一層、高めて光ファイバを保護できる。
【0055】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、前記実施形態では、光ファイバペネトレーション1の筒体12を第1パイプ12a、第2パイプ12b、第3パイプ12cの3本のパイプで構成したが、4本以上でもよいし、2本のパイプ又は1本のパイプでもよい。また、筒体12内の仕切りプレート23a、23bは必ずしも必要ではない。
【0056】
前記実施形態では、仕切りプレート23a、23bにより仕切られた筒体12の第1、第2、第3パイプの全てに樹脂16を充填したが、
図7に示すように、内部コネクタ15が配置された中央の第2パイプ12bのみに樹脂16を充填し、両側の第1パイプ12aおよび第2パイプ12の内部は空洞にしておくことも可能である。
【0057】
本発明は、原子炉格納容器の隔壁に適用されるだけでなく、シェルター、金庫、化学プラントの気密エリア等の内外を隔絶する必要のある容器や設備、部屋の隔壁にも適用できるものである。