(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334004
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】蒸発ガス処理システム及び方法
(51)【国際特許分類】
B63B 25/16 20060101AFI20180521BHJP
F17C 13/00 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
B63B25/16 D
F17C13/00 302A
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-570750(P2016-570750)
(86)(22)【出願日】2015年2月16日
(65)【公表番号】特表2017-507079(P2017-507079A)
(43)【公表日】2017年3月16日
(86)【国際出願番号】KR2015001539
(87)【国際公開番号】WO2015126116
(87)【国際公開日】20150827
【審査請求日】2016年8月23日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0021095
(32)【優先日】2014年2月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513049387
【氏名又は名称】デウ シップビルディング アンド マリン エンジニアリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】リー,チャン ウ
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ヨン シク
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ビョン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ナク ヒョン
【審査官】
志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭49−088904(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02690274(EP,A1)
【文献】
特開昭62−142980(JP,A)
【文献】
特開2009−191945(JP,A)
【文献】
特開昭62−139958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 25/16
F17C 13/00 − 13/12
F02M 21/02
F02B 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶または海上構造物に設けられた貯蔵タンクで発生する蒸発ガスを圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機で圧縮された前記蒸発ガスが前記圧縮機に取り込まれる蒸発ガスと熱交換される蒸発ガス熱交換器と、
前記圧縮機で圧縮された前記蒸発ガスを前記貯蔵タンクから供給される液化天然ガスの冷熱で再凝縮させる再凝縮器と、
前記圧縮機の下流で前記再凝縮器に連結され、前記蒸発ガス熱交換器が設けられる圧縮ガス供給ラインと、
圧縮された前記蒸発ガスが前記蒸発ガス熱交換器をバイパスして前記再凝縮器に取り込まれるように、前記圧縮ガス供給ラインから分岐されるバイパスラインと、
前記圧縮ガス供給ラインにおいて前記バイパスラインの分岐点以降に設けられる第1の制御バルブと、
前記バイパスラインに設けられる第2の制御バルブと
を備え、
前記第1及び第2の制御バルブを制御することによって、前記再凝縮器に流入する圧縮された前記蒸発ガスの温度を調節でき、
前記再凝縮器に取り込まれる液化天然ガスの量が再凝縮される蒸発ガスの量に比べて多いほど、前記バイパスラインに沿って前記再凝縮器に供給される蒸発ガスの量を増加させて、前記蒸発ガス熱交換器により冷却された後に前記再凝縮器に供給される蒸発ガスの量を減少させて、
前記再凝縮器に取り込まれる液化天然ガスの量が再凝縮させる蒸発ガスの量に比べて少ないほど、前記バイパスラインに沿って前記再凝縮器に供給される蒸発ガスの量を減少させて、前記蒸発ガス熱交換器により冷却された後に前記再凝縮器に供給される蒸発ガスの量を増加させる
蒸発ガス処理システム。
【請求項2】
前記圧縮ガス供給ラインにおいて前記圧縮機の下流に設けられ、圧縮された前記蒸発ガスが海水または清水と熱交換される圧縮ガス熱交換器をさらに備える請求項1に記載の蒸発ガス処理システム。
【請求項3】
前記貯蔵タンクから前記再凝縮器に過冷却された液化天然ガスを供給する液化天然ガス供給ラインと、前記貯蔵タンクに設けられ、前記液化天然ガス供給ラインに前記液化天然ガスをポンピングする移送ポンプとをさらに備える請求項1に記載の蒸発ガス処理システム。
【請求項4】
前記再凝縮器の下流に設けられ、前記液化天然ガスを圧縮する高圧ポンプと、前記高圧ポンプから圧縮された前記液化天然ガスを受け取って気化させる気化器とをさらに備える請求項3に記載の蒸発ガス処理システム。
【請求項5】
前記圧縮ガス熱交換器の下流で前記圧縮ガス供給ラインから分岐され、圧縮された前記蒸発ガスを前記船舶または海洋構造物のガス消費先に供給するガスラインをさらに備える請求項2に記載の蒸発ガス処理システム。
【請求項6】
前記圧縮機の上流に設けられ、前記貯蔵タンクで発生する前記蒸発ガスの温度が高い場合、前記貯蔵タンクの液化天然ガスを前記蒸発ガスと混合することによって、前記圧縮機に取り込まれる前記蒸発ガスを冷却するインラインミキサーをさらに備える請求項1に記載の蒸発ガス処理システム。
【請求項7】
前記船舶または海洋構造物は、LNG−RV(Regasification Vessel)またはLNG−FSRU(Floating Storage and Regasification Unit)のうちいずれか一つである請求項1に記載の蒸発ガス処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸発ガス処理システム及び方法に関し、より詳細には、船舶または海上構造物に設けられた貯蔵タンクで発生する蒸発ガスを圧縮する圧縮機と、圧縮機の下流に設けられ、圧縮された蒸発ガスが海水または清水と熱交換される圧縮ガス熱交換器と、圧縮ガス熱交換器の下流に設けられ、圧縮された蒸発ガスが圧縮機に取り込まれる蒸発ガスと熱交換される蒸発ガス熱交換器とを備える蒸発ガス処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
液化天然ガス(Liquefied Natural Gas、以下、「LNG」と言う)は、メタン(methane)を主成分とする天然ガスを約−162℃に冷却して液化させることによって得られる無色透明の液体であって、天然ガスに比べて約1/600程度の体積を有する。したがって、天然ガスをLNGに液化させて移送する際に、非常に効率的に移送することができる。
【0003】
天然ガスの液化温度は、常圧で−163℃の極低温であるので、LNGは、その温度が常圧で−163℃より少し高くても容易に蒸発する。LNG運搬船やLNG−FPSO、RVなどに設けられるLNG貯蔵タンクの場合は、断熱処理が施されているが、外部の熱がLNG貯蔵タンクに持続的に伝達されるので、LNG貯蔵過程でLNGがLNG貯蔵タンク内で持続的に自然に気化し、LNG貯蔵タンク内に蒸発ガス(Boil−Off Gas、BOG)が発生する。
【0004】
BOGは、一種のLNG損失であって、LNGの輸送効率などにおいて重要な問題であり、LNG貯蔵タンク内に蒸発ガスが蓄積されると、LNG貯蔵タンク内の圧力が過度に上昇し、タンクが破損する危険があるので、LNG貯蔵タンク内で発生するBOGを処理するための多様な方法が研究されている。
【0005】
最近は、BOGの処理のために、BOGを再液化して貯蔵タンクに復帰させる方法、BOGを船舶などのエンジンエネルギー源として使用する方法などを使用している。そして、余剰のBOGに対しては、ガス燃焼ユニット(gas combustion unit、GCU)で燃焼させる方法を用いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、LNG−RV及びLNG−FSRUなどの船舶または海上構造物の貯蔵タンクで発生する蒸発ガス(Boil Off Gas)を効果的且つ安全に処理できるシステム及び方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によれば、船舶または海上構造物に設けられた貯蔵タンクで発生する蒸発ガスを圧縮する圧縮機と、前記
圧縮機で圧縮された前記蒸発ガスが前記圧縮機に取り込まれる蒸発ガスと熱交換される蒸発ガス熱交換器と
、前記圧縮機で圧縮された前記蒸発ガスを前記貯蔵タンクから供給される液化天然ガスの冷熱で再凝縮させる再凝縮器と、前記圧縮機の下流で前記再凝縮器に連結され、前記蒸発ガス熱交換器が設けられる圧縮ガス供給ラインと、圧縮された前記蒸発ガスが前記蒸発ガス熱交換器をバイパスして前記再凝縮器に取り込まれるように、前記圧縮ガス供給ラインから分岐されるバイパスラインと、前記圧縮ガス供給ラインにおいて前記バイパスラインの分岐点以降に設けられる第1の制御バルブと、前記バイパスラインに設けられる第2の制御バルブとを備え
、前記第1及び第2の制御バルブを制御することによって、前記再凝縮器に流入する圧縮された前記蒸発ガスの温度を調節でき、前記再凝縮器に取り込まれる液化天然ガスの量が再凝縮される蒸発ガスの量に比べて多いほど、前記バイパスラインに沿って前記再凝縮器に供給される蒸発ガスの量を増加させて、前記蒸発ガス熱交換器により冷却された後に前記再凝縮器に供給される蒸発ガスの量を減少させて、前記再凝縮器に取り込まれる液化天然ガスの量が再凝縮させる蒸発ガスの量に比べて少ないほど、前記バイパスラインに沿って前記再凝縮器に供給される蒸発ガスの量を減少させて、前記蒸発ガス熱交換器により冷却された後に前記再凝縮器に供給される蒸発ガスの量を増加させる蒸発ガス処理システムが提供される。
【0008】
前記圧縮ガス供給ラインにおいて前記圧縮機の下流に設けられ、圧縮された前記蒸発ガスが海水または清水と熱交換される圧縮ガス熱交換器をさらに備えることが好ましい。
【0010】
前記貯蔵タンクから前記再凝縮器に過冷却された液化天然ガスを供給する液化天然ガス供給ラインと、前記貯蔵タンクに設けられ、前記液化天然ガス供給ラインに前記液化天然ガスをポンピングする移送ポンプとをさらに備えることが好ましい。
【0011】
前記再凝縮器の下流に設けられ、前記液化天然ガスを圧縮する高圧ポンプと、前記高圧ポンプから圧縮された前記液化天然ガスを受け取って気化させる気化器とをさらに備えることが好ましい。
【0012】
前記圧縮ガス熱交換器の下流で前記圧縮ガス供給ラインから分岐され、圧縮された前記蒸発ガスを前記船舶または海洋構造物のガス消費先に供給するガスラインをさらに備えることが好ましい。
【0013】
前記圧縮機の上流に設けられ、前記貯蔵タンクで発生する前記蒸発ガスの温度が高い場合は、前記貯蔵タンクの液化天然ガスを前記蒸発ガスと混合することによって、前記圧縮機に取り込まれる前記蒸発ガスを冷却するインラインミキサー(in−line mixer)をさらに備えることが好ましい。
【0014】
前記船舶または海洋構造物は、LNG−RV(Regasification Vessel)またはLNG−FSRU(Floating Storage and Regasification Unit)であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の蒸発ガス処理システムは、船舶または海上構造物の貯蔵タンクで発生する蒸発ガスを圧縮及び冷却し、貯蔵タンクからの過冷却された液化天然ガスの冷熱で再凝縮し、圧縮された蒸発ガスを、貯蔵タンクで発生して圧縮される蒸発ガスとの熱交換で冷却させる。
【0017】
このように圧縮された蒸発ガス
を圧縮機に取り込まれる蒸発ガス
で冷却して再凝縮器に取り込むことによって、再凝縮器での蒸発ガス凝縮効率を高めることができ、圧縮された蒸発ガスを貯蔵タンクで発生する蒸発ガス自体の冷熱を用いて冷却させることによって、再凝縮器で必要な過冷却された液化天然ガスの量を減少させることができる。
【0018】
また、このようなシステムで蒸発ガスを処理することによって、貯蔵タンクの圧力上昇を防止し、安全性を確保し、GCUなどで浪費されるBOGの量を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】蒸発ガス処理システムの一例を概略的に示した図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る蒸発ガス処理システムを概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明と本発明の動作上の利点及び本発明の実施によって達成される目的を十分に理解するためには、本発明の好ましい実施例を例示する添付の図面及び添付の図面に記載した内容を参照しなければならない。
【0021】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例を説明することによって、本発明を詳細に説明する。各図面に提示した同一の参照符号は、同一の部材を示す。
【0022】
後述する蒸発ガス処理システムは、LNG貯蔵タンクが設けられ、貯蔵タンクから蒸発ガスが発生する船舶または海上構造物に適用され得るが、例えば、LNGを再気化して陸上などに天然ガスを供給するLNG−RV(Regasification Vessel)及びLNG−FSRU(Floating Storage Regasification Unit)などに適用され得る。
【0023】
貯蔵タンクの容量及び外部温度などの条件によって差があるが、LNG貯蔵タンクでのBOG発生量は、例えば、150000m
3容量の船舶の場合、積載条件(Laden condition)で3ton/h〜4ton/h、バラスト条件(Ballast condition)で0.3ton/h〜0.4ton/hに至ると言われている。ただ、最近は、船舶の断熱性能の向上と共にBOR(Boil Off Rate)が低下している趨勢にあるので、蒸発ガスの発生量も漸次減少している。
【0024】
しかし、貯蔵タンクでは依然として多量の蒸発ガスが発生するので、貯蔵タンクの安全性、さらに、船舶または海上構造物の安全性の確保と、天然ガスのエネルギー浪費を防止するために効果的な蒸発ガス処理システムが必要である。
【0025】
図1は、蒸発ガス処理システムの一例を概略的に示した図である。
【0026】
図1に示した蒸発ガス処理システムは、貯蔵タンクTから液化天然ガスをポンピングして再凝縮器20に供給し、高圧で圧縮するためのポンプ40及び気化器50を経て陸上などに天然ガスを供給しながら、貯蔵タンクTで発生する蒸発ガスを、圧縮機10で圧縮した後、再凝縮器20に供給して処理する。蒸発ガスは、再凝縮器20で、貯蔵タンクTからポンプ30によってポンピングされた過冷却状態の液化天然ガスから冷熱を受け取って再凝縮された後、液体状態でポンプ40に供給される。
【0027】
このようなシステムは、圧縮によって蒸発ガスの温度が高くなるので、蒸発ガスの量が多い場合、これを再凝縮するために多量の液化天然ガスが供給されなければならなく、再気化される液化天然ガスの量が少ない場合、蒸発ガスに十分な冷熱を伝達できないこともある。
【0028】
図2に示したシステムは、このような問題を解決するための、改善された蒸発ガス処理システムであって、本発明の一実施例に係る蒸発ガス処理システムを概略的に示している。
【0029】
図2に示したように、本実施例の蒸発ガス処理システムは、船舶または海上構造物に設けられた貯蔵タンクTで発生する蒸発ガスを圧縮する圧縮機100と、圧縮機100の下流に設けられ、圧縮された前記蒸発ガスが海水または清水と熱交換される圧縮ガス熱交換器300と、圧縮ガス熱交換器300の下流に設けられ、圧縮された蒸発ガスが圧縮機100に取り込まれる蒸発ガスと熱交換される蒸発ガス熱交換器200と、圧縮機100で圧縮された蒸発ガスを再凝縮させる再凝縮器400とを備えて構成される。
【0030】
圧縮機100の下流から再凝縮器400に連結される圧縮ガス供給ラインGLに圧縮ガス熱交換器300及び蒸発ガス熱交換器200が設けられ、圧縮ガス熱交換器300の下流で圧縮ガス供給ラインGLから分岐されるバイパスラインBLが設けられ、バイパスラインBLを介して、圧縮された蒸発ガスが蒸発ガス熱交換器200をバイパスして再凝縮器400に取り込まれる。
【0031】
圧縮ガス供給ラインGLには、バイパスラインBLの分岐点以降に第1の制御バルブ430が設けられ、バイパスラインBLには第2の制御バルブ450が設けられる。このような第1及び第2の制御バルブ430、450を制御し、圧縮ガス供給ラインGLとバイパスラインBLのそれぞれを介して再凝縮器400に流入する圧縮された蒸発ガスの流量を制御することによって、再凝縮器400に取り込まれる圧縮された蒸発ガスの温度を調節することができる。
【0032】
例えば、再凝縮器400に取り込まれる液化天然ガスの量が多いときは、第1の制御バルブ430を遮断し、蒸発ガス熱交換器200を経ることなく、圧縮された蒸発ガスの全量をバイパスラインBLを介して再凝縮器400に供給することができる。
【0033】
この場合、多量の過冷却された液化天然ガスが再凝縮器400に取り込まれるので、蒸発ガス熱交換器200を経ることなく、圧縮された蒸発ガスを再凝縮することができ、圧縮機100に取り込まれる前に蒸発ガスが蒸発ガス熱交換器200での熱交換を通じて加熱されないので、圧縮機100の下流で圧縮された蒸発ガスの温度が低くなり、圧縮ガス熱交換器300の負荷(load)を減少できるようになる。
【0034】
貯蔵タンクTで発生する蒸発ガスの温度が約−120℃である場合、圧縮機100で圧縮された蒸発ガスは、圧縮ガス熱交換器300を経た後、蒸発ガス熱交換器200を通過すると、−50℃〜−100℃まで冷却されて再凝縮器400に取り込まれる。
【0035】
圧縮された蒸発ガスとの熱交換を通じて貯蔵タンクTで発生した蒸発ガスは、温度が上昇しながら圧縮機100に取り込まれ、圧縮機100を経て圧縮された後、10℃〜40℃程度の海水または清水との熱交換を通じて圧縮ガス熱交換器300で冷却された後、蒸発ガス熱交換器200でさらに冷却される。
【0036】
一方、貯蔵タンクTから、過冷却された液化天然ガスが液化天然ガス供給ラインLLを介して再凝縮器400に供給され、貯蔵タンクTには、このために液化天然ガス供給ラインLLに液化天然ガスをポンピングする移送ポンプ500が設けられる。
【0037】
移送ポンプ500によるポンピングにより、過冷却された液化天然ガスが再凝縮器400に供給されると、圧縮及び冷却された蒸発ガスは、過冷却された液化天然ガスと混合されて液体状態の液化天然ガスに再凝縮される。
【0038】
再凝縮器400の下流には高圧ポンプ600と気化器700が設けられ、再凝縮器400から供給された液化天然ガスが圧縮された後で気化され、陸上などに天然ガスが供給される(G)。
【0039】
圧縮ガス熱交換器300の下流で圧縮ガス供給ラインGLからガスラインSLが分岐され、圧縮された蒸発ガスが船舶または海洋構造物のガス消費先(S1、S2、S3)に供給され得るが、このようなガス消費先としては、DFDEやDFDGなどのガスエンジン、ボイラー、GCU(Gas Combustion Unit)などを例に挙げることができる。
【0040】
船舶または海洋構造物にDFDEが設けられる場合、圧縮機100の後端での圧力は、5bara〜10bara、好ましくは6bara〜7baraであり、再凝縮器400での圧力は、4.5bara〜6bara(3barg〜5.5barg)であり得る。
【0041】
貯蔵タンクTで発生する蒸発ガスは、ガスラインSLを介して船舶または海上構造物内のガス消費先S1、S2、S3に優先的に供給して消費し、残存する蒸発ガスを再凝縮器400に送り、これを過冷却された液化天然ガスで再凝縮するようにシステムを運営することができる。
【0042】
一方、圧縮機100の上流には、インラインミキサー(in−line mixer)(図示せず)が設けられてもよい。貯蔵タンクTに貯蔵された液化天然ガスの量が少なく、タンクで発生する蒸発ガスの温度が高くなる場合、インラインミキサーで貯蔵タンクT中の液化天然ガスを蒸発ガスと混合することによって、圧縮機100に取り込まれる蒸発ガスを冷却した後で圧縮機に供給することができる。
【0043】
このように、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の思想及び範囲から逸脱しない範囲で多様に変更及び変形可能であることは、この技術の分野で通常の知識を有する者にとって自明である。したがって、そのような変更例または変形例は、本発明の特許請求の範囲に属するものと言えるだろう。