(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1挟み片と前記第2挟み片とが互いに対向する領域における前記第1挟み片若しくは前記第2挟み片の少なくとも一方に、他方の前記挟み片に向かって突出する係止突起を設けた請求項1または2記載のクリップ。
前記第1挟み片と前記第2挟み片とが互いに対向する領域における前記第1挟み片及び前記第2挟み片の両方に、それぞれ他方の前記挟み片に向かって突出するとともに、前記第1挟み片と前記第2挟み片とが接近したとき少なくとも一部同士が互いに接触可能若しくは重なり合い可能な係止突起を設けた請求項1〜3の何れかの項に記載のクリップ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、
図1〜
図18に基づいて、本発明の実施形態であるクリップ100,200
及び参考実施形態であるクリップ300,400について説明する。
【0020】
(第1実施形態)
初めに、
図1〜
図4に基づいて本発明の第1実施形態であるクリップ100について説明する。本実施形態のクリップ100は、V字状のクリップ本体13と、副ヒンジ部14を介してクリップ本体13に一体的に繋がれたC字状の可動部15と、を備えている。クリップ本体13は、基端部11a,12aが主ヒンジ部10を介して一体的に繋がれた第1挟み片11及び第2挟み片12を有している。第1挟み片11と第2挟み片12とは弾性的に折り曲げ可能な主ヒンジ部10を支点として互いに接近離隔可能である。
【0021】
可動部15は、副ヒンジ部14を介して第1挟み片11の外周11cの基端部11a寄りの部分に一体的に繋がれている。可動部15は、弾性的に折り曲げ可能な副ヒンジ部14を支点として傾動することにより、第1挟み片11の基端部11aの外周から第2挟み片12の基端部12aの外周12cを含む領域に接近離隔可能であり、第1挟み片11及び第2挟み片12を互いに接近する方向に押圧保持可能である。
【0022】
また、後述する
図4に示すように、第1挟み片11及び第2挟み片12を押圧保持した可動部15を、第2挟み片12の外周12cに着脱可能に係合させるため、可動部15の先端部15bと第2挟み片12の外周12cとの間にロック機構である凹凸嵌合機構18が設けられている。可動部15の外周15cには、先端部15bに向かって上り勾配をなすように突出した凹曲面を有する指当て部15dが可動部15と一体的に設けられている。指当て部15dの凹曲面には滑り止め用の複数の突起15eが設けられている。
【0023】
凹凸嵌合機構18は、可動部15の先端部15bに設けられた短円柱状の凸部17と、凸部17の外周17aの一部を嵌入させるため、第2挟み片12の外周12cに形成された凹部16と、で形成されている。第2挟み片12の基端部12aと凹部16との間には、凹部16に向かって上り勾配をなすガイド面12dが設けられている。
【0024】
また、クリップ100においては、第1挟み片11の先端部11bと副ヒンジ部14との間に、第1挟み片11の外周11cから外側へ突出した円弧形状の操作補助片19が第1挟み片11と一体的に設けられている。
【0025】
さらに、クリップ100においては、第1挟み片11と第2挟み片12とが互いに対向する領域である内周11e,12eに、それぞれ他方の挟み片(第1挟み片11若しくは第2挟み片12)に向かって突出する複数の係止突起11f,11g,12f,12f,12gが一体的に設けられている。係止突起11f,12f,12fはそれぞれ基端部11a,12a寄りの部分(主ヒンジ部10寄りの部分)に設けられ、係止突起11g,12gはそれぞれ先端部11b,12b寄りの部分に設けられている。
【0026】
後述する
図4に示すように、第1挟み片11及び第2挟み片12が互いに接近した状態にあるとき、係止突起11fは二つの係止突起12f,12fの間に嵌まり込み、係止突起11g,12gは互いに挟み片の長手方向に隣り合った状態となる。
【0027】
次に、
図3,
図4に基づいて、
図1,
図2に示すクリップ100の使い方について説明する。なお、後述する使い方は、一例であり、この使い方に限定するものではない。
【0028】
図3に示すように、第1挟み片11と第2挟み片12とは主ヒンジ部10を支点にして互いに弾性的に接近離隔可能であり、可動部15は副ヒンジ部14を支点にして弾性的に回動可能である。平常時のクリップ100は、第1挟み片11の先端部11bと、第2挟み片12の先端部12bとは開いた状態にあり、可動部15の先端部15bの凸部17は、第2挟み片12の凹部16から離れた状態にある。
【0029】
クリップ100を使用する場合、手の親指を第1挟み片11の操作補助片19に当接させるとともに、人差し指を可動部15の外周15cの指当て部15d若しくは先端部15b付近に当接させ、クリップ100全体を保持する。
【0030】
この後、挟持対象物(図示せず)を第1挟み片11と第2挟み片12との間に挟み込み、親指と人差し指とに押圧力を加えて互いに接近させていくと、可動部15の凸部17が第2挟み片12のガイド面12dに当接し、そのままガイド面12dに沿って凹部16に向かって滑動した後、凹部16内へ嵌入する。この過程において、第1挟み片11と第2挟み片12とが互いに接近し、
図4に示す状態となるので、第1挟み片11と第2挟み片12との間に挟持対象物(図示せず)が挟持される。
【0031】
可動部15の凸部17が第2挟み片12の凹部16内へ嵌入した後は、親指と人差し指の押圧力を解除しても、可動部15の弾性復元力により、凸部17が凹部16内へ嵌入した状態(
図4に示す状態)が保持されるので、挟持対象物を安定保持することができる。
【0032】
クリップ100が
図4に示す状態にあるとき、第1挟み片11と第2挟み片12との間に挟持された挟持対象物に対し、係止突起11f,11g,12f,12gが食い込むように係合しているので、挟持対象物に外力が加わっても容易に離脱しない。
【0033】
次に、クリップ100を挟持対象物から取り外す場合は、
図4に示すように、可動部15の指当て部15dの先端部15fに手指を当接させ、矢線R方向の力を加えると、凸部17が第2挟み片12の凹部16から離脱するとともに、弾性復元力により、可動部15、第1挟み片11及び第2挟み片12が
図3に示す、開いた状態に復元するので、クリップ100を挟持対象物から容易に離脱させることができる。
【0034】
クリップ100は、手指を使用して
図3,
図4に基づいた前記操作を行うことにより、挟持対象物を挟持したり、離脱させたりすることができるので、挟持対象物に対する着脱作業が容易である。
【0035】
また、クリップ100は、第1挟み片11と第2挟み片12との間に挟持された挟持対象物に対し、可動部15の弾性復元力による押圧力が加わるので、挟持対象物を安定保持することができ、係止突起11f,11g,12f,12gが挟持対象物に食い込むように係合可能であるので、挟持対象物に外力が加わっても容易に離脱せず、優れた挟持機能を発揮する。
【0036】
さらに、クリップ100は、クリップ本体13と可動部15とが一体的に形成された単一構造をなしているので、部品点数が最少であり、製造工程の煩雑化を回避することができる。また、クリップ100の製造工程においては部品同士の組立作業が不要であるため、クリップ小型化の要請にも比較的容易に対応することができる。クリップ100の材質も限定しないが、例えば、抗折性に優れたポリプロピレンなどが好適である。
【0037】
クリップ100の用途は特に限定するものではないが、例えば、クリーニング業界において、クリーニングを終えて折り畳まれたワイシャツあるいはハンガーでの立体包装されたワイシャツにおいて、その第1ボタンとボタンホールを重ね合わせた部分を着脱可能に挟持する手段として好適に使用することができ、形状も整えることができる。
【0038】
(
参考実施形態)
次に、
図5〜
図8に基づいて
参考実施形態であるクリップ200について説明する。
図5,
図6に示すように、本実施形態のクリップ200は、C字状のクリップ本体23と、副ヒンジ部24を介してクリップ本体23に一体的に繋がれたC字状の可動部25と、を備えている。クリップ本体23は、基端部21a,22aが主ヒンジ部20を介して一体的に繋がれた第1挟み片21及び第2挟み片22を有している。第1挟み片21と第2挟み片22とは弾性的に折り曲げ可能な主ヒンジ部20を支点として互いに接近離隔可能である。
【0039】
可動部25の基端部25aは、副ヒンジ部24を介して第1挟み片21の外周21cの基端部21aと先端部21bとの中間付近に設けられた平板部21dに一体的に繋がれている。可動部25は、弾性的に折り曲げ可能な副ヒンジ部24を支点に傾動することにより、第1挟み片21の基端部21aの外周21cから第2挟み片22の基端部22aの外周22cを含む領域に接近離隔可能であり、第1挟み片21及び第2挟み片22を互いに接近する方向に押圧保持可能である。
【0040】
また、後述する
図8に示すように、第1挟み片21及び第2挟み片22を押圧保持した可動部25を、第2挟み片22の外周22cに着脱可能に係合させるため、可動部25の先端部25bと、第2挟み片22の外周22cとの間にロック機構である凹凸嵌合機構28が設けられている。
【0041】
凹凸嵌合機構28は、可動部25の先端部25bに設けられた短円柱状の凸部27と、凸部27の外周27aの一部を嵌入させるため、第2挟み片22の中央付近に湾曲部22dを設けることによって外周22cに形成された凹部26と、で形成されている。副ヒンジ部24(平板部21d)及び凹部26(湾曲部22d)は、それぞれ主ヒンジ部20からほぼ等しく離れた部分に設けられている。
【0042】
また、クリップ200においては、第1挟み片21の先端部21b及び第2挟み片22の先端部22bに、それぞれ互いに離隔する方向に湾曲したガイド部21e,22eが設けられている
【0043】
次に、
図7,
図8に基づいて、
図5,
図6に示すクリップ200の使い方について説明する。なお、後述する使い方は一例であり、この使い方に限定するものではない。
【0044】
図7に示すように、第1挟み片21と第2挟み片22とはヒンジ部20を支点にして互いに弾性的に接近離隔可能であり、可動部25は副ヒンジ部24を支点にして弾性的に回動可能である。平常時のクリップ200は、第1挟み片21の先端部21bと、第2挟み片22の先端部22bとは開いた状態にあり、可動部25の先端部25bの凸部27は、第2挟み片22の凹部26から離れた状態にある。
【0045】
クリップ200を使用する場合、手の親指を可動部25の基端部25a及び副ヒンジ部24付近に当接させるとともに、人差し指を可動部25の外周25cの先端部25b付近に当接させ、クリップ200全体を保持する。
【0046】
この後、挟持対象物(図示せず)を第1挟み片21と第2挟み片22との間に挟み込み、親指と人差し指とに押圧力を加え、可動部25の凸部27を第2挟み片22の凹部26に向かって接近させていくと、可動部25の凸部27が第2挟み片22の外周22cの基端部22a寄りの部分に当接し、そのまま外周22c面に沿って凹部26に向かって滑動した後、凹部26内へ嵌入する。この過程において、第1挟み片21と第2挟み片22とが互いに接近し、
図8に示す状態となるので、第1挟み片21の先端部21bの内側と第2挟み片22の先端部22bの内側との間で挟持対象物(図示せず)が挟持される。
【0047】
可動部25の凸部27が第2挟み片22の凹部26内へ嵌入した後は、親指と人差し指の押圧力を解除しても、可動部25の弾性復元力により、凸部27が凹部26内へ嵌入した状態(
図8に示す状態)が保持されるので、挟持対象物を安定保持することができる。
【0048】
次に、クリップ200を挟持対象物から取り外す場合は、
図8に示すように、可動部25の凸部27に手指を当接させ、矢線R方向の力を加えると、凸部27が第2挟み片22の凹部26から離脱するとともに、弾性復元力により、可動部25、第1挟み片21及び第2挟み片22が
図7に示す状態に復元するので、クリップ200を挟持対象物から容易に離脱させることができる。
【0049】
クリップ200は、手指を使用して
図7,
図8に基づいた前記操作を行うことにより、挟持対象物を挟持したり、離脱させたりすることができるので、挟持対象物に対する着脱作業が容易である。クリップ200の第1挟み片21の先端部21b及び第2挟み片22の先端部22bには、それぞれ互いに離隔する方向に湾曲したガイド部21e,22eが設けられているため、挟持対象物(図示せず)を第1挟み片21と第2挟み片22との間に挟み込む作業が容易である。
【0050】
また、クリップ200は、第1挟み片21と第2挟み片22との間に挟持された挟持対象物に対し、可動部25の弾性復元力による押圧力が加わるので、挟持対象物を安定保持することができ、挟持対象物に外力が加わっても容易に離脱せず、優れた挟持機能を発揮する。
【0051】
さらに、クリップ200は、クリップ本体23と可動部25とが一体的に形成された単一構造をなしているので、部品点数が最少であり、製造工程の煩雑化を回避することができる。また、クリップ200の製造工程においては部品同士の組立作業が不要であるため、クリップ小型化の要請にも比較的容易に対応することができる。
【0052】
クリップ200の用途は特に限定するものではないが、例えば、ハンガーの水平保持部材(図示せず)に掛けられたズボンの折り曲げ部分を着脱可能に挟持する手段として好適に使用することができる。
【0053】
(
参考実施形態)
次に、
図9〜
図12に基づいて
参考実施形態であるクリップ300について説明する。
図9,
図10に示すように、本実施形態のクリップ300は、C字状のクリップ本体33と、副ヒンジ部34を介してクリップ本体33に一体的に繋がれた略L字状の可動部35と、を備えている。クリップ本体33は、基端部31a,32aが主ヒンジ部30を介して一体的に繋がれた第1挟み片31及び第2挟み片32を有している。第1挟み片31と第2挟み片32とは弾性的に折り曲げ可能な主ヒンジ部30を支点として互いに接近離隔可能である。
【0054】
可動部35の基端部35aは、副ヒンジ部34を介して第1挟み片31の外周31cの基端部31a寄りの部分に突設された突片部31dの先端部分に一体的に繋がれている。可動部35は、弾性的に折り曲げ可能な副ヒンジ部34を支点に傾動することにより、第1挟み片31の基端部31aの外周31cから第2挟み片32の基端部32aの外周32cを含む領域に接近離隔可能であり、第1挟み片31及び第2挟み片32を互いに接近する方向に押圧保持可能である。
【0055】
また、後述する
図12に示すように、第1挟み片31及び第2挟み片32を押圧保持した可動部35を、第2挟み片32の外周32cに着脱可能に係合させるため、可動部35の先端部35bと第2挟み片32の外周32cとの間にロック機構である凹凸嵌合機構38が設けられている。
【0056】
凹凸嵌合機構38は、第2挟み片32の外周32cの基端部32a寄りの部分に突設された突片部32dの先端に設けられた凸部36と、凸部36を着脱可能に嵌入させるため可動部35の先端部35bに設けられた湾形状の凹部37と、で形成されている。突片部31d,32dはそれぞれ主ヒンジ部30からほぼ等しく離れた部分に設けられている。
【0057】
クリップ300においては、第1挟み片31の先端部31b及び第2挟み片32の先端部32bに、それぞれ互いに離隔する方向に湾曲したガイド部31e,32eが設けられている。また、
図10に示すように、クリップ300が開いた状態にあるとき、ガイド部31e,32e間の最少隙間S1は、第1挟み片31の内周31fと第2挟み片32の内周32fとの最大間隔S2の1/3〜1/2程度となるように設定されている。
【0058】
次に、
図11,
図12に基づいて、
図9,
図10に示すクリップ300の使い方について説明する。なお、後述する使い方は一例であり、この使い方に限定するものではない。
【0059】
図11に示すように、第1挟み片31と第2挟み片32とは主ヒンジ部30を支点にして互いに弾性的に接近離隔可能であり、可動部35は副ヒンジ部34を支点にして弾性的に回動可能である。平常時のクリップ300は、第1挟み片31の先端部31bと、第2挟み片32の先端部32bとは開いた状態にあり、可動部35の先端部35bの凹部37は、第2挟み片32の凸部36から離れた状態にある。
【0060】
クリップ300を使用する場合、手の親指を第1挟み片31の突片部31dに当接させるとともに、人差し指を第2挟み片32の突片部32dに当接させ、クリップ300全体を保持する。
【0061】
この後、親指と人差し指とに互いに接近する方向の押圧力を加えると、主ヒンジ部30が突片部31d,32dが互いに接近する方向に折れ曲がることにより、洗濯ばさみが開くように、ガイド部31e,32eの最少隙間S1が広がる方向へ離隔する。
【0062】
この後、可動部35の外周35eに押圧力を加え、可動部35の凹部37を第2挟み片32の凸部36に向かって接近させていくと、凸部36が凹部37内へ嵌入し、
図12に示す状態となる。
図12に示すように、可動部35の凹部37に第2挟み片32の凸部36が嵌入されると、突片部31d,32dは互いに接近離隔できないように拘束された状態となるので、第1挟み片31の先端部31bの内側と第2挟み片32の先端部32bの内側との間で挟持された挟持対象物を安定的に保持することができる。
【0063】
次に、クリップ300を挟持対象物から取り外す場合は、
図12に示すように、可動部35の先端部35bに手指を当接させ、矢線R方向の力を加えると、凹部37が第2挟み片32の凸部36から離脱するとともに、弾性復元力により、可動部35、第1挟み片31及び第2挟み片32が
図11に示す状態に復元する。この後、手指を用いて、突片部31d,32dが互いに接近する方向に押圧すると、洗濯バサミが開くように、ガイド部31e,32eの最少隙間S1が広がる方向へ離隔するので、クリップ300を挟持対象物から容易に離脱させることができる。
【0064】
クリップ300は、手指を使用して
図11,
図12に基づいた前記操作を行うことにより、挟持対象物を挟持したり、離脱させたりすることができるので、挟持対象物に対する着脱作業が容易である。クリップ300の第1挟み片31の先端部31b及び第2挟み片32の先端部32bには、それぞれ互いに離隔する方向に湾曲したガイド部31e,32eが設けられているため、挟持対象物(図示せず)を第1挟み片31と第2挟み片32との間に挟み込む作業が容易である。
【0065】
また、クリップ300が開いた状態にあるとき、ガイド部31e,32e間の最少隙間S1は、第1挟み片31の内周31fと第2挟み片32の内周32fとの最大間隔S2の1/3〜1/2程度となるように設定されているため、第1挟み片31と第2挟み片32との間に挟み込んだ挟持対象物を、主ヒンジ部30の弾性復元力により、仮挟持することができる。
【0066】
さらに、第1挟み片31と第2挟み片32との間に挟持された挟持対象物に対し、可動部35による拘束力が加わるので、挟持対象物を安定保持することができ、挟持対象物に外力が加わっても容易に離脱せず、優れた挟持機能を発揮する。
【0067】
さらに、クリップ300は、クリップ本体33と可動部35とが一体的に形成された単一構造をなしているので、部品点数が最少であり、製造工程の煩雑化を回避することができる。また、クリップ300の製造工程においては部品同士の組立作業が不要であるため、クリップ小型化の要請にも比較的容易に対応することができる。
【0068】
クリップ300の用途は特に限定するものではないが、
図5に示すクリップ200と同様、例えば、ハンガーの水平保持部材(図示せず)に掛けられたズボンの折り曲げ部分を着脱可能に挟持する手段として好適に使用することができる。
【0069】
(第
2実施形態)
次に、
図13〜
図18に基づいて本発明の第
2実施形態であるクリップ400について説明する。本実施形態のクリップ400は、V字状のクリップ本体43と、副ヒンジ部44を介してクリップ本体43に一体的に繋がれたC字状の可動部45と、を備えている。クリップ本体43は、基端部41a,42aが主ヒンジ部40を介して一体的に繋がれた第1挟み片41及び第2挟み片42を有している。第1挟み片41と第2挟み片42とは弾性的に折り曲げ可能な主ヒンジ部40を支点として互いに接近離隔可能である。
【0070】
可動部45は、副ヒンジ部44を介して第1挟み片41の外周41cの基端部41a寄りの部分に一体的に繋がれている。可動部45は、弾性的に折り曲げ可能な副ヒンジ部44を支点として傾動することにより、第1挟み片41の基端部41aの外周から第2挟み片42の基端部42aの外周42cを含む領域に接近離隔可能であり、第1挟み片41及び第2挟み片42を互いに接近する方向に押圧保持可能である。
【0071】
また、後述する
図15に示すように、第1挟み片41及び第2挟み片42を押圧保持した可動部45を、第2挟み片42の外周42cに着脱可能に係合させるため、可動部45の先端部45bと第2挟み片42の外周42cとの間にロック機構である凹凸嵌合機構48(凹部46,凸部47)が設けられている。可動部45の外周45cには、先端部45bに向かって上り勾配をなすように突出した凹曲面を有する指当て部45dが可動部45と一体的に設けられている。
【0072】
凹凸嵌合機構48は、可動部45の先端部45bに設けられた親指状の凸部47と、凸部47の外周47aの一部を嵌入させるため、第2挟み片42の外周42cに形成された凹部46と、で形成されている。第2挟み片42の基端部42aと凹部46との間には、凹部46に向かって上り勾配をなすガイド面42dが設けられている。
【0073】
また、クリップ400においては、第1挟み片41の先端部41bと副ヒンジ部44との間に、第1挟み片41の外周41cから外側へ突出した円弧形状の操作補助片49が第1挟み片41と一体的に設けられている。第2挟み片42の先端部42bには、その外周42cから外側に向かって円板状の識別部50が一体的に突設されている。
【0074】
さらに、クリップ400においては、第1挟み片41と第2挟み片42とが互いに対向する領域である内周41e,42eに、それぞれ他方の挟み片(第1挟み片41若しくは第2挟み片42)に向かって突出する複数の係止突起41f,41g,42f,42gが一体的に設けられている。係止突起41f,42fはそれぞれ基端部41a,42a寄りの部分(主ヒンジ部40寄りの部分)に設けられ、係止突起41g,42gは係止突起41f,42fよりも先端部41b,42b側の部分に、それぞれ係止突起41f,42fと隣接した状態で設けられている。
【0075】
係止突起41f,41g,係止突起42f,42gはそれぞれ第1挟み片41の内周41e,第2挟み片42の内周42eから突出する平板三角形状をしている。また、係止突起41f,42f並びに係止突起41g,42gはそれぞれ第1挟み片41と第2挟み片42とが互いに接近離隔する方向と直交する方向に変位して配置されている。
【0076】
従って、後述する
図15〜
図18に示すように、第1挟み片41及び第2挟み片42が互いに接近した状態にあるとき、係止突起41f,42f及び係止突起41g,42gはそれぞれの一部同士(頂角部分同士)が互いに重なって接触した状態となる。
【0077】
次に、
図14〜
図18に基づいて、
図13に示すクリップ400の使い方について説明する。なお、後述する使い方は、一例であり、この使い方に限定するものではない。
【0078】
図14,
図15に示すように、第1挟み片41と第2挟み片42とは主ヒンジ部40を支点にして互いに弾性的に接近離隔可能であり、可動部45は副ヒンジ部44を支点にして弾性的に回動可能である。
図14に示すように、平常時のクリップ400は、第1挟み片41の先端部41bと、第2挟み片42の先端部42bとは開いた状態にあり、可動部45の先端部45bの凸部47は、第2挟み片42の凹部46から離れた状態にある。
【0079】
クリップ400を使用する場合、手の親指を第1挟み片41の操作補助片49に当接させるとともに、人差し指を可動部45の外周45cの指当て部45d若しくは先端部45b付近に当接させ、クリップ400全体を保持する。
【0080】
この後、挟持対象物(図示せず)を第1挟み片41と第2挟み片42との間に挟み込み、親指と人差し指とに押圧力を加えて互いに接近させていくと、可動部45の凸部47が第2挟み片42のガイド面42dに当接し、そのままガイド面42dに沿って凹部46に向かって滑動した後、凹部46内へ嵌り込む。この過程において、第1挟み片41と第2挟み片42とが互いに接近し、
図16に示す状態となるので、第1挟み片41と第2挟み片42との間に挟持対象物(図示せず)が挟持される。
【0081】
可動部45の凸部47が第2挟み片42の凹部46内へ嵌り込んだ後は、親指と人差し指の押圧力を解除しても、可動部45の弾性復元力により、凸部47が凹部46内へ嵌り込んだ状態(
図16に示す状態)が保持されるので、挟持対象物を安定保持することができる。
【0082】
クリップ400が
図16に示す閉じた状態にあるとき、即ち、第1挟み片41及び第2挟み片42が互いに接近した状態にあるとき、係止突起41g,42gは、
図17に示すように、それぞれの一部同士(頂角部分同士)が互いに重なって接触した状態となり、係止突起41f,42fは、
図18に示すように、それぞれの一部同士(頂角部分同士)が互いに重なって接触した状態となる。
【0083】
これにより、第1挟み片41と第2挟み片42との間に挟持された挟持対象物(図示せず)に対し、係止突起41f,42f,41g,42gが食い込むように係合するので、挟持対象物を強固に保持することができ、挟持対象物に外力が加わっても容易に離脱しない状態となる。また、クリップ400を使用する場合、例えば、ワイシャツの第一ボタンとボタンホールを重ね合わせた部分をクリップ400で挟持している場合に、左右に引っ張られるような力が働いたとき、係止突起41f,42f及び係止突起41g,42gがそれぞれ重なり合った状態にあることにより、第一挟み片41と第二挟み片42のズレを防止することができる。
【0084】
また、第1挟み片41及び若しくは第2挟み片42の長手方向の中央付近(係止突起41g,42gより先端部41b,42b寄りの部分)に、それぞれ他の部分より厚みの小さい(曲げ弾性係数の小さい)優先撓曲部41h,42hが設けられている。従って、先端部41b,42bの間に厚い挟持対象物を挟んだとき、優先撓曲部41h,42hが撓るように弾性変形するので、ロックが硬くならず、安定した挟持力が得られる。
【0085】
次に、クリップ400を挟持対象物から取り外す場合は、
図16に示すように、可動部45の指当て部45dの先端部45fに手指を当接させ、矢線R方向の力を加えると、凸部47が第2挟み片42の凹部46から離脱するとともに、弾性復元力により、可動部45、第1挟み片41及び第2挟み片42が、
図14に示す、開いた状態に復元するので、クリップ400を挟持対象物から容易に離脱させることができる。
【0086】
このように、クリップ400は、手指を使用して
図14,
図16に基づいた前記操作を行うことにより、挟持対象物を挟持したり、離脱させたりすることができるので、挟持対象物に対する着脱作業が容易である。
【0087】
また、クリップ400は、第1挟み片41と第2挟み片42との間に挟持された挟持対象物に対し、可動部45の弾性復元力による押圧力が加わるので、挟持対象物を安定保持することができ、係止突起41f,42f,41g,42gが挟持対象物に食い込むように係合可能であるので、挟持対象物に外力が加わっても容易に離脱せず、優れた挟持機能を発揮する。
【0088】
さらに、クリップ400は、クリップ本体43と可動部45とが一体的に形成された単一構造をなしているので、部品点数が最少であり、製造工程の煩雑化を回避することができる。また、クリップ400の製造工程においては部品同士の組立作業が不要であるため、クリップ小型化の要請にも比較的容易に対応することができる。クリップ400の材質については限定しないが、例えば、抗折性に優れたポリプロピレンなどが好適である。
【0089】
クリップ400の用途は特に限定するものではないが、例えば、クリーニング業界において、クリーニングを終えて折り畳まれたワイシャツあるいはハンガーでの立体包装されたワイシャツにおいて、その第1ボタンとボタンホールを重ね合わせた部分を着脱可能に挟持する手段として好適に使用することができ、形状も整えることができる。
【0090】
なお、
図1〜
図4及び図13〜図18に基づいて説明したクリップ100
,400は本発明に係るクリップを例示するものであり、本発明に係るクリップは前述したクリップ100
,400に限定されない。
【解決手段】クリップ100は、基端部11a,12aが主ヒンジ部10で一体的に繋がれた第1挟み片11及び第2挟み片12を有するV字状のクリップ本体13と、第1挟み片11の外周11cに設けられた副ヒンジ部14に基端部15aが一体的に繋がれ、第1挟み片11の基端部11aの外周から第2挟み片12の基端部12aの外周12cを含む領域に接近離隔可能であって第1挟み片11と第2挟み片12を接近方向に押圧保持可能なC字状の可動部15と、第1挟み片11及び第2挟み片12を押圧保持した可動部15を、第2挟み片12の外周12cに着脱可能に係合させるため、可動部15の先端部15bと第2挟み片12の外周12cとの間に設けられた凹凸嵌合機構18とを備えている。