(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも2つのプーリにベルトが張り渡されたベルト伝動装置において、前記ベルトの隣り合うプーリ間に位置する部分を加振したときの振動から、前記ベルトの固有周波数を測定する固有周波数測定装置であって、
前記ベルトの前記部分に取り付けられて前記ベルトの振動による加速度を検出する加速度センサと、
前記加速度センサにより検出された加速度に基づいて前記ベルトの固有周波数を測定する測定器とを備え、
前記測定器は、前記固有周波数に基づいて、所定の第1計算式を用いて前記ベルトの張力を求める計算を行う算出装置に、前記固有周波数を送信し、
前記算出装置は、前記ベルトのスパンが前記ベルトに対応する所定の範囲内である場合には、前記所定の第1計算式を、前記ベルトの曲げ剛性に起因する誤差が小さくなるように補正し、前記ベルトのスパン質量が前記ベルトに対応する所定範囲内である場合には、前記ベルトに対応する周波数補正式によって、前記加速度センサの質量の影響が小さくなるように前記固有周波数を補正する
固有周波数測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図面において同じ参照番号で示された構成要素は、同一の又は類似の構成要素である。図面における機能ブロック間の実線は、電気的な接続を示している。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係るシステムを示す概念図である。
図1のシステムは、固有周波数測定装置40と、算出装置10とを有する。このシステムは、基本的には次のように動作する。
【0023】
固有周波数測定装置40は、ベルトに取り付けられた加速度センサ48によって検出されたベルトの振動を通信ケーブル49を介して受信し、測定器30でベルトの固有周波数を求める。測定器30は、求められた固有周波数を例えば無線によって算出装置10に送信する。算出装置10は、受信した固有周波数から、ベルトの張力を算出して表示する。更に、算出装置10は、算出したベルトの張力を測定器30に送信し、測定器30は、受信したベルトの張力を表示してもよい。算出装置10は、その他の算出結果等を測定器30に送信し、測定器30は、受信した情報を表示してもよい。固有周波数測定装置40と算出装置10との間の通信は、典型的には電波を用いて無線で行われる。具体的には、ブルートゥース、無線LAN(local area network)等の技術が用いられる。
【0024】
−−固有周波数測定装置−−
図2は、ベルト伝動装置50の例を示す図である。ベルト伝動装置50は、少なくとも2つ(
図2に示す例では2つ)のプーリ52,54と、測定対象となるベルト56とを有する。ベルト伝動装置50は、例えば自動車の補機駆動用に用いられる。固有振動測定装置40は、このような、少なくとも2つのプーリ52,54にベルト56が張り渡されたベルト伝動装置50において、隣り合うプーリ52,54間に位置するベルト56の部分をハンマーや指で加振したときの振動から、ベルト56の固有周波数を測定する。
【0025】
ベルト56には加速度センサ48が取り付けられ、加速度センサ48は、ベルト56の振動による加速度を検出する。加速度センサ48と測定器30との間は、通信ケーブル49により有線で(例えばUSB(universal serial bus)によって)接続されている。固有周波数測定装置40は、加速度センサ48により検出された加速度に基づいてベルト56の固有周波数を測定する。固有周波数測定装置40で測定された固有周波数は、ベルト伝動装置50におけるベルト56の張力を測定するための情報として利用される。
【0026】
加速度センサ48は、ベルト伝動装置50に対し、
図2に示すように、隣り合うプーリ52,56の間に位置するベルト56の部分の外周面(上面)に取り付けられる。加速度センサ48のベルト56への取付側の面には、例えば、両面テープなどからなる繰り返し貼付け可能な粘着面が設けられている。これにより、加速度センサ48は、ベルト56の表面に粘着面を貼り付けるだけで、ベルト56に簡単に取り付けることができるようになっている。
【0027】
この加速度センサ48は、例えば、ベルト56の表面に垂直な方向の加速度を検出可能なディジタル出力タイプの加速度センサである。又は加速度センサ48は、例えば3軸加速度センサである。加速度センサ48としては、安定した加速度の検出が可能なことから、静電容量検出方式のMEMS(micro electro mechanical system)型の加速度センサが好適に採用される。
【0028】
静電容量検出方式のMEMS型の加速度センサ48は、加速度を検出する検出素子部と、該検出素子部からの信号を増幅及び調整して出力する信号処理回路と、を備えている。前記検出素子部は、シリコン(Si)などの安定した物質で形成され、センサ素子可動部及び固定部を有し、これらセンサ素子可動部と固定部との間の容量変化に基づいて加速度を検出するように構成されている。
【0029】
なお、加速度センサ48には、上記静電容量検出方式のMEMS型の加速度センサに代えて、ピエゾ抵抗方式のMEMS型の加速度センサなどの他の検出方式や他の種類の加速度センサを用いてもよく、ベルト56の表面に垂直な方向の加速度を検出可能であれば1軸又は2軸加速度センサであっても構わない。
【0030】
図3は、
図1の固有周波数測定装置40の構成例を示すブロック図である。固有周波数測定装置40は、測定器30と、加速度センサ48とを有している。測定器30は、プロセッサ32と、メモリ32と、表示部36と、電源スイッチ37と、モニタリングスイッチ38と、電源インジケータ39と、送受信部42と、インタフェース44とを有する。
【0031】
測定器30は、手の平サイズの扁平な形状に形成されており、コンパクトで持ち歩きし易くなっている。測定器30の上側端部には、USBポート(不図示)が設けられていて、該USBポートに通信ケーブル49の一端に設けられたUSBコネクタ(不図示)が接続されている。インタフェース44は、加速度センサ48から出力された加速度を、USBポートを経由して受信し、信号形式の変換を行って、プロセッサ32に出力する。測定器30の前面には、測定されたベルト56の固有周波数を表示する液晶ディスプレイ等である表示部36、電源スイッチ37やモニタリングスイッチ38等の各種スイッチ、及び電源のON/OFF状態を示すLED(light emitting diode)からなる電源インジケータ39等の状態表示ランプが設けられている。
【0032】
プロセッサ32は、例えば、DSP(digital signal processor)、又はCPU(central processing unit)である。メモリ34は、例えばEEPROM(electrically erasable programmable read-only memory)である。メモリ34には、高速フーリエ変換(FFT:fast Fourier transform)演算プログラムを含む、ベルト56の固有周波数を測定するためのプログラムが格納されている。プロセッサ32には、メモリ34の他にも、表示部36、電源スイッチ37やモニタリングスイッチ38などの各種スイッチ、電源インジケータ39などの状態表示ランプが接続されている。
【0033】
そして、プロセッサ32は、メモリ34から読み出したプログラムに従う制御により、モニタリングスイッチ38からの信号や加速度センサ48から入力される加速度信号に基づいてベルト56の固有周波数を測定する処理を実行する。送受信部42は、プロセッサ32で求められた固有周波数を算出装置10に送信する。
【0034】
図4は、
図3の固有周波数測定装置40によるベルト56の固有周波数の測定方法の例を示すフローチャートである。ブロックS12では、ユーザが電源スイッチ37を押下して固有周波数測定装置40の電源を入れる。プロセッサ32は、電源スイッチ37が押下されると、測定器30を起動させ、電源インジケータ39を点灯させる。送受信部42は、算出装置10との間で通信を確立する。ブロックS14では、ユーザが、加速度センサ11を、
図2に示すように、ベルト56の外周面において、ベルト56が張り渡された2つのプーリ52,54の中間位置に対応する箇所又はその近傍に貼って取り付ける。
【0035】
ブロックS16では、ユーザがモニタリングスイッチ38を押下する。プロセッサ32は、モニタリングスイッチ38が押下されると、加速度センサ48から入力される加速度信号の監視を開始し、ベルト56の振動状態をモニタリングする。ブロックS18では、ユーザが、ベルト56における加速度センサ48の取付け箇所付近、つまりベルト56におけるプーリ52,54の間の中程をハンマーで叩いたり指で弾くなどして、ベルト56を加振する。
【0036】
プロセッサ32は、加速度センサ48から入力される加速度信号に基づき、所定の加速度よりも大きな加速度を検出したときに、ベルト56が加振されたことを検知し、その後にベルト56の固有周波数の測定を開始する。これにより、ベルト56の下面に加速度センサ48を取り付けた場合などに、ベルト56を加振する前から意図せず固有周波数の測定が開始されてしまうことを回避し、ベルト56の加振を正確にトリガーとして検知してベルト56の固有周波数の測定を開始することができる。
【0037】
このような、ベルト56の固有周波数の測定を開始するトリガーを判定するための所定の加速度は、ベルト56を加振するまでの測定動作や測定環境に起因してベルト56に生じる小さな振動がトリガーとなって意図せず固有周波数の測定が開始されることを防止する観点から、例えば2.0G(Gは重力加速度)であり、3.0G以上であることが好ましい。ここでは例として、トリガーを判定するための所定の加速度は3.0Gであるとする。ベルト56が加振されたことを検知すると、プロセッサ32は、加速度センサ48からの加速度信号のサンプリングを開始する。このときのサンプリング周波数は、例えば3.2kHz程度に設定されている。
【0038】
ブロックS20では、プロセッサ32は、例えば、加速度信号のサンプリング開始から約80ミリ秒、つまり256ポイントの加速度データをサンプリングする期間だけ待機する。その後、ブロックS22では、プロセッサ32は、データの記録を開始し、この記録開始から例えば1280ミリ秒に亘る期間においてサンプリングされた加速度データを収集する。このとき、プロセッサ32は、サンプリングされた4096ポイントの加速度データを格納する。
【0039】
図5は、
図3の固有周波数測定装置40で測定された、ベルト56の振動による加速度の時間的変化の例を示すグラフである。加振した直後のベルト56の振動は、加振時の衝撃成分などのノイズ成分を多く含んでおり、ベルト56の固有周波数を算出するためのデータとして信頼性が低い。上記ノイズ成分は時間の経過に伴い減衰するため、ベルト56は時間の経過と共に徐々にベルト56の固有周波数を呈する波形で振動するようになる。
【0040】
本発明の発明者らは、ベルト56の振動に上記ノイズ成分を多く含む期間がベルト56の加振から80ミリ秒程度の期間であることを、経験的に見出した。そこで、本実施形態では、上記のように加振した直後の80ミリ秒に亘るベルト56の初期振動を省いて固有周波数を測定することとした。
【0041】
図6は、比較的長い時間に亘って加速度信号を収集した場合の加速度データから求められたパワースペクトルの例である。ベルト56の振動は時間の経過に伴って減衰していき、減衰しきった微弱なベルト振動(
図5の範囲DXに示す振動)は、ベルト56の固有振動に関係しないノイズ成分が支配的になるため、ベルト56の固有周波数を算出するためのデータとして信頼性が低い。
【0042】
仮に、減衰しきった微弱なベルト振動を含む比較的長い期間Ltに亘って加速度信号をサンプリングすると、後述するようにサンプリング取得された加速度データに基づいて得られる振動周波数のパワースペクトルでは、
図6に示すようにベルト56の固有振動の周波数PK1とは別にピーク(
図6の範囲DY内)が生じやすい。
【0043】
本発明の発明者らは、信頼性の低い減衰しきった微弱なベルト振動に移行するまでの期間がベルト56の加振から1400ミリ秒程度までの期間であることを経験的に見出した。そこで、本実施形態では、上記のように加速度信号の収集をその記録開始から1280ミリ秒まで(
図5の期間Rt)で打ち切り、固有振動がノイズ成分に埋もれた終期振動を省いてベルト56の固有周波数を測定することとした。
【0044】
図7は、
図3の固有周波数測定装置40で収集された加速度データから求められたパワースペクトルの例である。ブロックS24では、プロセッサ32は、収集された加速度データに対してFFT演算処理による周波数解析を実行する。具体的には、プロセッサ32は、メモリ34からFFT演算プログラムを読み出して実行する。このとき、プロセッサ32は、取得した加速度データ(4096ポイント)に対してFFT演算処理を行い、
図6に示すような振動のパワースペクトルを求める。プロセッサ32は、パワースペクトルのピークPK2に対応する振動周波数をベルト56の固有周波数として決定する。
【0045】
このとき、プロセッサ32は、10Hz未満でパワースペクトルのピークが存在してもこれを無視し、10Hz以上の範囲において固有周波数を決定する。ベルト56の固有振動と関係しないノイズ成分は、10Hz未満の低周波領域で検出されやすいからである。このように固有周波数を決定することにより、ベルト56の固有周波数を精度よく測定することができる。
【0046】
ブロックS26では、プロセッサ32は、測定された固有周波数を表示部36及び送受信部42に出力する。表示部36は、測定された固有周波数を表示し、送受信部42は、測定された固有周波数を算出装置10に送信する。算出装置10は、固有周波数に基づいて張力を算出する。これについては後述する。
【0047】
ブロックS28では、送受信部42は、算出装置10で算出された張力等を受信し、プロセッサ32に出力する。プロセッサ32は、張力等を表示部36に出力し、表示させる。これにより、算出された張力が固有周波数測定装置40にも表示されるので、測定作業の効率化を図ることができる。なお、ブロックS28の処理を省略してもよい。
【0048】
このように、
図3の固有周波数測定装置40によると、ベルト56に直接取り付けられた加速度センサ48で検出された加速度に基づいてベルト56の固有周波数を測定するので、ベルト56の振動が加速度センサ48により直接検出される。これにより、マイクロフォンを用いた非接触タイプの固有振動測定装置のように測定結果が暗騒音などの外部環境に妨害されることがなく、また、低周波振動も正確に検出できるので、測定対象であるベルト56の振動が高周波振動であると低周波振動であるとに拘わらず高精度に測定可能になる。したがって、ベルト56の固有周波数を広範囲な周波数に亘って精度よく測定することができる。
【0049】
しかも、この固有周波数測定装置40によると、固有振動に関係しないノイズ成分を多く含む加振した直後のベルト56の初期振動と、ベルト56の固有振動がノイズ成分に埋もれた終期振動とを省いてベルト56の固有周波数を測定し、かつ、ノイズ成分が検出されやすい10Hz未満の周波数成分を省いてベルト56の固有周波数を決定するので、ベルト56の固有周波数を正確に測定することができる。
【0050】
なお、以上では、プロセッサ32は、ベルト56が加振されてから80ミリ秒経過後、1280ミリ秒の期間Rtにおける加速度データに基づいて、ベルト56の固有周波数を測定する場合について説明したが、これに限られない。例えば、ベルト56の固有周波数の測定に利用する加速度データには、ベルト56が加振されてから80ミリ秒未満の期間のデータが含まれていてもよく、データ収集を開始してから1280ミリ秒を超えた期間のデータが含まれていてもよい。
【0051】
−−算出装置−−
図8は、
図1の算出装置10の構成例を示すブロック図である。
図8の算出装置10は、
図3の固有周波数測定装置40で測定された固有周波数に基づいて、ベルト56の張力を算出する。また、算出装置10は、ベルトの張力を設定する場合に目標張力に対応する適切なベルトの固有周波数を算出することや、ベルトの単位質量及び推奨張力を表示することも行う。すなわち、算出装置10は、ベルト張力算出装置及びベルト固有周波数算出装置等として動作する。
【0052】
図8の算出装置10は、プロセッサ12と、メモリ14と、タッチスクリーン16と、送受信部22と、インタフェース24と、マイクロフォン26を有する。プロセッサ12は、例えば送受信部22又はインタフェース24を介してデータを送受信する。送受信部22は、外部のネットワーク、例えば携帯電話ネットワーク82との間で、無線によってデータの送受信を行う。インタフェース24は、通信リンクを介して外部のPC(personal computer)86等の機器との間で有線でデータの送受信を行う。通信リンクは、例えばUSB(universal serial bus)である。PC86はLAN83に接続されている。送受信部22は、LAN83との間で、無線によってデータの送受信を行ってもよい。
【0053】
携帯電話ネットワーク82及びLAN83は、インターネット84等のWAN(wide area network)に接続されている。送受信部22又はインタフェース24は、例えばインターネット84を介して所定のサーバ88に接続される。プロセッサ12は、プログラム及びその他の計算用データ等をサーバ88からダウンロードして予めメモリ14に格納させておく。
【0054】
計算用データには、例えば、ベルトの単位質量、推奨張力、理論式を補正するための補正式、及び補正式の適用範囲が含まれる。これらの単位質量、推奨張力、補正式、及び補正式の適用範囲は、ベルトの種類又はタイプ毎に用意されている。プログラムには、固有周波数と張力との間の関係を示す理論式が含まれている。計算用データ等は、プログラムに組み込まれていてもよい。
【0055】
プロセッサ12は、例えば、DSP又はCPUである。プロセッサ12は、メモリ14からプログラムをロードして実行する。プロセッサ12は、表示すべき画像のデータをタッチスクリーン16に出力する。タッチスクリーン16は、表示器と、入力デバイスとしてのタッチセンサパネルとを含む。表示器は、液晶ディスプレイ、有機EL(electroluminescence)素子(有機発光ダイオードともいう)を用いたディスプレイ等であり得る。タッチセンサパネルは、タッチ感応面を有し、ほぼ透明であり得る。タッチセンサパネルは、表示器の画面の少なくとも一部を覆うように配置されている。タッチスクリーン16は、プロセッサ12の出力データに従って画像を表示する。また、タッチスクリーン16には、ユーザがその表面に触れることによってデータ(例えばベルトの固有周波数及びスパン)が入力される。タッチスクリーン16は、入力されたデータをプロセッサ12に出力する。プロセッサ12は、入力されたデータに基づいて所定の計算を行い、得られた結果をタッチスクリーン16に出力する。タッチスクリーン16は、計算結果を表示する。
【0056】
このように、算出装置10は、コンピュータとしての構成部分を有し、プログラムを実行する。このプログラムは、例えば、以下で説明される処理の少なくとも一部を、算出装置10に実行させるプログラムである。算出装置10は、典型的にはスマートフォン(高機能携帯電話)、タブレットPC、その他のPC等であり得る。
【0057】
図9は、
図8の算出装置10における処理の流れの例を示すフローチャートである。以下の各フローチャートの処理は、例えば、メモリ14からロードされたプログラムをプロセッサ12が実行することによって行われる。ブロックS102において、プロセッサ12は、ユーザに質問するメッセージをタッチスクリーン16に表示させる。ここで表示されるメッセージは、ユーザが使用したい機能が張力測定、張力設定、及びベルト単位質量・推奨張力の表示のいずれであるかを質問するメッセージである。ユーザは、機能をタッチスクリーン16に触れて選択する。プロセッサ12は、ユーザの選択をタッチスクリーン16から受信する。ユーザが張力測定を選択した場合には、ブロックS104に進む。ユーザが張力設定を選択した場合には、F2に進む。ユーザがベルト単位質量・推奨張力の表示を選択した場合には、F3に進む。
【0058】
ブロックS104において、プロセッサ12は、ベルトの種類をユーザに質問するメッセージをタッチスクリーン16に表示させる。ベルトの種類には、例えば、Vベルト、Vリブドベルト、シンクロベルト、及びその他が含まれる。ユーザは、ベルト56の種類をタッチスクリーン16に触れて選択する。プロセッサ12は、ユーザの選択をタッチスクリーン16から受信する。ユーザがVベルトを選択した場合には、ブロックS112に進む。ユーザがシンクロベルト、Vリブドベルト、及びその他を選択した場合には、ブロックS142、ブロックS154、及びブロックS164にそれぞれ進む。
【0059】
ユーザがVベルトを選択した場合には、ブロックS112において、プロセッサ12は、Vベルトのタイプをユーザに質問するメッセージをタッチスクリーン16に表示させる。ユーザは、ベルト56のタイプをタッチスクリーン16に触れて選択する。プロセッサ12は、ユーザの選択をタッチスクリーン16から受信する。ブロックS114において、プロセッサ12は、選択されたベルトの単位質量μを、ベルトの種類及びタイプに応じてメモリ14から読み出す。単位質量μの単位は、典型的にはkg/mである。
【0060】
ブロックS118において、プロセッサ12は、スパンLをユーザに質問するメッセージをタッチスクリーン16に表示させる。ユーザは、ベルト56のスパンLをタッチスクリーン16に触れて入力する。タッチスクリーン16はスパンLを受け取り、プロセッサ12は入力されたスパンLをタッチスクリーン16から受信する。スパンLの単位は、典型的にはmである。
【0061】
ブロックS120において、送受信部22は、
図2のベルト56の固有周波数f
mを受信し、プロセッサ12に出力する。固有周波数f
mは、上述のように、
図3の固有周波数測定装置40で測定され、送信された情報である。
【0062】
ブロックS122において、プロセッサ12は、測定対象のベルトに対応した、ベルトの種類及びタイプ毎に設定された所定の範囲を示す情報を、例えばメモリ14から読み出す。プロセッサ12は、入力されたスパンがそのような所定の範囲内であるか否かを判断する。スパンが所定の範囲内である場合にはブロックS124に進み、その他の場合にはブロックS126に進む。
【0063】
ブロックS124において、プロセッサ12は、張力補正式k
Tの係数を、ベルトの種類及びタイプに応じてメモリ14から読み出して設定する。張力補正式k
Tは、ベルトの曲げ剛性に起因する誤差が小さくなるように、所定の計算式を補正するために用いられる。張力補正式k
Tは、例えばスパンの1次式であるが、これとは異なる形式の式であってもよい。張力補正式k
Tは、ベルトの種類及びタイプ毎に異なる式であってもよく、ブロックS124において、プロセッサ12は、張力補正式k
Tを、ベルトの種類及びタイプに応じてメモリ14から読み出してもよい。このような場合、ブロックS122における所定の範囲は、ベルトの種類及びタイプに応じた範囲である。
【0064】
ブロックS122における所定の範囲は、このような補正式の適用範囲を示す。入力されたスパンがそのような所定の範囲の外にあってブロックS124の処理が行われない場合には、k
Tの値が1であるとして処理する。張力補正式k
Tについては後述する。
【0065】
ブロックS126において、プロセッサ12は、スパン質量Xを、
X=μL (式1)
によって計算する。ブロックS128において、プロセッサ12は、スパン質量Xが所定の範囲内であるか否かを判断する。スパン質量Xが所定の範囲内である場合にはブロックS130に進み、その他の場合にはブロックS134に進む。
【0066】
ベルト56に取り付けられた加速度センサ57の出力を用いて、ベルト56の固有周波数を測定する場合には、測定された固有周波数f
mは加速度センサ57の質量の影響を受けていることがある。そこで、測定された固有周波数f
mを、この影響が小さくなるようにする周波数補正式k
fで補正し、その結果を固有周波数として用いてもよい。ブロックS130において、プロセッサ12は、測定された固有周波数f
mを、加速度センサ57の質量の影響が小さくなるように、例えば
f
a=k
ff
m (式2)
によって補正する。
【0067】
周波数補正式k
fは、ベルトの種類及びタイプにかかわらず同一の式であってもよいし、ベルトの種類、タイプ、又は加速度センサ57のセンサ質量毎に設定された式であってもよい。周波数補正式k
fがベルトの種類、タイプ、又はセンサ質量毎に設定されている場合には、プロセッサ12は、例えばブロックS130において、ベルト56及びセンサ質量に対応する周波数補正式k
fをメモリ14から読み出す。このような場合、ブロックS128における所定の範囲は、ベルトの種類、タイプ、及びセンサ質量に応じた範囲である。加速度センサ57の質量の影響を考慮しない場合には、周波数補正式k
fを1とすればよい。以下においても同様である。周波数補正式k
fについては後述する。
【0068】
ブロックS132において、プロセッサ12は、Vベルト用の所定の計算式を用いてベルトの張力を計算する。ベルトの張力の計算について説明する。一般に、ベルトの張力T
0[N]、ベルトの単位質量μ、スパンL、及び固有周波数f[Hz]の間には、
f=1/(2L)・(T
0/μ)
1/2 (式3)
の関係がある。これを変形すると、固有周波数から張力を求めるための理論式、
T
0=4μL
2f
2 (式4)
となる。ブロックS132においては、プロセッサ12は、ベルトの曲げ剛性に起因する誤差が小さくなるように式4を補正して、ベルトの張力を計算する。すなわち、プロセッサ12は、式4で求められる張力T
0に、ベルト56に対応する張力補正式k
Tを乗算して得られる式、すなわち、
T=4μL
2f
a2k
T (式5)
を用いて、ベルトの張力Tを計算する。ここでは、固有周波数fとして、補正された固有周波数f
aを用いている。
【0069】
ブロックS134においても、ブロックS132と同様に、プロセッサ12は、Vベルト用の所定の計算式を用いて、ベルトの曲げ剛性に起因する誤差が小さくなるように、ベルトの張力を計算する。ここでは、プロセッサ12は、測定された固有周波数f
mを用いて、
T=4μL
2f
m2k
T (式6)
によってベルトの張力Tを計算する。このように、式5及び式6には、ベルト56に対応する張力補正式k
Tが乗算されることにより補正が行われている。
【0070】
ブロックS132及びS134においては、プロセッサ12は、求められた張力Tを所定の割合増加させた張力T
1又は減少させた張力T
2を求めてもよい。例えば、測定の誤差が10%程度見込まれる場合には、プロセッサ12は、
T
1=1.1T
及び/又は
T
2=0.9T
を更に求めてもよい。更に、プロセッサ12は、これらの値に対応する固有周波数を求めてもよい。
【0071】
ブロックS136において、プロセッサ12は、ブロックS132又はS134で求められた張力T等や測定された固有周波数f
m等を、タッチスクリーン16に出力して表示させる。タッチスクリーン16は、例えば、張力T,T
1,及びT
2、測定された固有周波数f
m、並びに張力T
1及びT
2のそれぞれに対応する固有周波数の表示を行う。また、プロセッサ12は、ブロックS132又はS134で求められた張力T等を送受信部22に出力する。送受信部22は、張力T等を
図3の固有周波数測定装置40に送信する。固有周波数測定装置40は、張力T等を受信し、表示する(
図4のブロックS28)。
【0072】
張力補正式k
T及びその求め方の例について説明する。
図10は、ベルト張力と固有周波数との間の関係を求めるための測定装置の例を示す説明図である。プーリ62とプーリ64との間に、ベルト66が掛けられている。スパンLは自由に設定可能である。プーリ64の軸は移動可能であり、プーリ64の軸には、重り68の重力が、プーリ62から離れる向きに与えられている。例えばロードセルを用いてプーリ64の軸に与えられる力を測定してもよい。ベルト66には、例えば3次元加速度センサ67が取り付けられている。
図10の装置はベルトの各種の試験に用いられるものであるので、スパンLを数mの長さにすることが可能である。実際のベルトの使用状態に近いので、より正確に補正式を求めることができる。
【0073】
このような状態で、ベルト66をハンマー等で叩き、例えば加速度センサ67の出力から、ベルト66の固有周波数を測定する。ベルト66が発生する音をマイクロフォン等のセンサで受け取り、その出力から固有周波数を測定してもよい。測定された周波数を用いて、
図9のフローに従って処理を行って、張力を計算する。この際、補正式k
T及びk
fの値を1に固定する。異なるいくつかのスパンについて、同様に張力を計算する。
【0074】
図11は、あるタイプのVベルトについて、スパンと測定された張力との間の関係の例を示すグラフである。実際の張力は一定であるが、測定値は変化している。すなわち、スパンに応じて張力の誤差が変化していることがわかる。
【0075】
図12は、
図11の場合に対応する、スパンと係数Aとの間の関係の例を示すグラフである。実際の張力に対する測定値の比を、各測定値について求める。求められた比の逆数が係数Aとして
図12に示されている。つまり、測定値に係数Aを乗算すれば、正しい張力が求められる。ここでは、例えば最小二乗法を用いて、
図12のスパンLと係数Aとの間の関係を1次関数で近似する。その結果、係数Aが、
A=0.20L+0.644
によって得られることがわかる。したがって、ここで測定に用いたタイプのベルトの場合には、
図9のブロックS132及びS134において、張力補正式として
k
T=0.20L+0.644
を用いるようにする。
【0076】
また、一般にスパンが短い場合に張力の誤差が大きいという傾向、及び
図11から、この式はスパン1700mm以下が適用範囲であると考えられる。このため、ここで測定に用いたタイプのベルトの場合には、
図9のブロックS122においては、スパンが1700mm以下であるか否かを判定する。同様にして、他の種類や他のタイプのベルトについても、補正式及びその適用範囲を求めて、メモリ14に格納したり、プログラムに組み込んでおく。一般化された式を例示すると、張力補正式k
Tは、スパンLの1次式であって、
k
T=aL+b (式7)
である(a及びbは実数の定数)。
【0077】
ベルトの一部の種類及びタイプの場合にのみ、張力補正式k
Tを用いた補正を行うようにしてもよい。例えば、Vベルトの全てのタイプとシンクロベルトの一部のタイプの場合には式7の張力補正式k
Tを用い、その他のベルトの場合にはk
Tの値を1にしてもよい。
【0078】
次に、周波数補正式k
fについて説明する。
図13は、加速度センサ57の質量を考慮して求められたベルトの固有周波数f
Sと、ベルトの理論的な固有周波数f
Tとの間の関係の例を示すグラフである。理論的な固有周波数f
Tは、加速度センサ57の質量を考慮しないで求められている。3次元梁要素モデルを用いて、有限要素法によってベルトの固有周波数f
Sを求めた。この際、ベルトの、加速度センサ57が取り付けられる部分の密度を、センサの質量に相当する量だけ増加させた。
図13は、センサ質量2g、ベルトの単位質量54g/mの場合に、スパン及び張力を変化させて求められた結果である。
【0079】
固有周波数f
Sと固有周波数f
Tとの間には、最小二乗法を用いて、ほぼ、
f
T=Bf
S
という関係が得られた(
図13の場合、係数Bは1.1027)。他の単位質量を有するベルトについても同様に計算を行って係数Bを求める。
【0080】
図14は、ベルトの単位質量と係数Bとの間の関係の例を示すグラフである。ここでは、例えば最小二乗法を用いて、
図14の単位質量μと係数Bとの間の関係を指数関数で近似する。その結果、係数Bが、
B=1.76μ
−0.12
によって得られることがわかる。したがって、ここで測定に用いたタイプのベルトの場合には、
図9のブロックS132及びS134において、周波数補正式として
k
f=1.76μ
−0.12
を用いるようにする。
【0081】
また、例えばセンサ質量が2gの場合には、ベルトのスパン質量が約60gより大きいときには、固有周波数f
Sの固有周波数f
Tに対する誤差は、スパン及び張力にかかわらず3%程度に収まることが、応答曲面法による解析によってわかった。よって、この補正式を、スパン質量が60g未満の場合にのみ適用するようにしてもよい。この場合、ブロックS128において、プロセッサ12は、スパン質量Xが60g未満であるか否かを判断する。同様にして、他の種類やタイプのベルトについても、補正式及びその適用範囲を求めて、メモリ14に格納したり、プログラムに組み込んでおいてもよい。また、同様に他のセンサ質量についても、補正式及びその適用範囲を求めておいてもよい。一般化された式を例示すると、周波数補正式k
fは、ベルトの単位質量μの指数関数の式であって、
k
f=cμ
d (式8)
である(c及びdは定数)。
【0082】
図9の説明に戻る。ユーザがシンクロベルトを選択した場合には、ブロックS142において、プロセッサ12は、シンクロベルトのタイプをユーザに質問するメッセージをタッチスクリーン16に表示させる。ユーザは、ベルト56のタイプをタッチスクリーン16に触れて選択する。プロセッサ12は、ユーザの選択をタッチスクリーン16から受信する。ブロックS144において、プロセッサ12は、選択されたベルトの単位質量σを、ベルトの種類及びタイプに応じてメモリ14から読み出す。単位質量σの単位は、典型的にはkg/m
2である。
【0083】
ブロックS146において、プロセッサ12は、ベルト幅をユーザに質問するメッセージをタッチスクリーン16に表示させる。ユーザは、ベルト56のベルト幅をタッチスクリーン16に触れて入力する。プロセッサ12は、入力されたベルト幅Wをタッチスクリーン16から受信する。
【0084】
シンクロベルトの場合、ブロックS132及びS134において、プロセッサ12は、シンクロベルト用の所定の計算式を用いてベルトの張力を計算する。すなわち、式5及び6において単位質量μに代えて単位質量σとベルト幅Wとの積を用いる。具体的には、式5に代えて
T=4σWL
2f
a2k
T (式9)
を用い、式6に代えて
T=4σWL
2f
m2k
T (式10)
を用いて張力を計算する。その他の処理は、Vベルトの場合と同様である。
【0085】
ユーザがVリブドベルトを選択した場合には、ブロックS154において、プロセッサ12は、Vリブドベルトの単位質量μ
r(1リブの単位長さ当たりの質量)を、ベルトの種類に応じてメモリ14から読み出す。単位質量μ
rの単位は、典型的にはkg/mである。
【0086】
ブロックS156において、プロセッサ12は、ベルト56のリブ数をユーザに質問するメッセージをタッチスクリーン16に表示させる。ユーザは、リブ数をタッチスクリーン16に触れて入力する。プロセッサ12は、入力されたリブ数nをタッチスクリーン16から受信する。
【0087】
Vリブドベルトの場合、ブロックS132及びS134において、プロセッサ12は、Vリブドベルト用の所定の計算式を用いてベルトの張力を計算する。すなわち、式5及び6において単位質量μに代えて単位質量μ
rとリブ数nとの積を用いる。具体的には、式5に代えて
T=4nμ
rL
2f
a2k
T (式11)
を用い、式6に代えて
T=4nμ
rL
2f
m2k
T (式12)
を用いて張力を計算する。その他の処理は、Vベルトの場合と同様である。
【0088】
ユーザがその他を選択した場合には、ブロックS164において、プロセッサ12は、ベルトの単位質量をユーザに質問するメッセージをタッチスクリーン16に表示させる。ユーザは、ベルト56の単位質量をタッチスクリーン16に触れて入力する。プロセッサ12は、入力された単位質量μをタッチスクリーン16から受信する。単位質量μの単位は、典型的にはkg/mである。ブロックS132及びS134においては、補正式k
Tの値を例えば1にする。その他の処理は、Vベルトの場合と同様である。
【0089】
このように、
図8の算出装置10によると、ベルトの固有周波数が入力されるので、固有周波数の測定方法によらず、ベルトの張力を求めることができる。スパンがベルトに対応する所定の範囲内である場合には、そのベルトに対応する張力補正式によって、ベルトの曲げ剛性に起因する誤差が小さくなるようにし、スパン質量がベルトに対応する所定の範囲内である場合には、そのベルトに対応する周波数補正式によって、固有周波数の測定に用いられるセンサの質量の影響を小さくする。したがって、より正確にベルトの張力を求めることができる。また、スパンやスパン質量が所定の範囲外である場合には、必要のない補正を行わない。
【0090】
ブロックS102,S104,S112,S118,S142,S146,S156,及びS164において、プロセッサ12が、値等(使用したい機能、ベルトの種類、ベルトのタイプ、スパンL、ベルト幅、ベルトのリブ数、及びベルトの単位質量)をユーザに質問するメッセージをタッチスクリーン16に表示させ、ユーザが、タッチスクリーン16に触れてこれらの値等を入力する場合について説明した。しかし、これには限られず、これらのブロックにおいて、送受信部22が、これらの値等の少なくとも一部を固有周波数測定装置40から受信してプロセッサ12に出力してもよい。
【0091】
この場合、固有周波数測定装置40が、キーパッド等を有し、プロセッサ32が、使用したい機能、ベルトの種類、ベルトのタイプ、スパンL、ベルト幅、ベルトのリブ数、又はベルトの単位質量をユーザに質問するメッセージを表示部36に表示させ、ユーザが、キーパッド等からこれらの値等を入力する。プロセッサ12が、これらの値等をユーザに質問するメッセージを、送受信部22及び送受信部42を経由してプロセッサ32に送信してもよい。
【0092】
図15は、
図8の算出装置10における、張力設定を行う場合の処理の流れの例を示すフローチャートである。張力設定においては、目標張力に対応する固有周波数(すなわち目標固有周波数)が求められる。ブロックS204の処理は、ブロックS104とほぼ同様である。ユーザがVベルト、シンクロベルト、Vリブドベルト、及びその他を選択した場合には、ブロックS212,S242,S254,及びS264にそれぞれ進む。
【0093】
ユーザがVベルトを選択した場合について説明する。ブロックS212,S214,及びS218における処理は、
図9のブロックS112,S114,及びS118における処理とそれぞれ同様である。
【0094】
ブロックS220において、プロセッサ12は、ベルトの目標張力Tをユーザに質問するメッセージをタッチスクリーン16に表示させる。ユーザは、ベルト56の目標張力Tをタッチスクリーン16に触れて入力する。タッチスクリーン16は目標張力Tを受け取り、プロセッサ12は入力された目標張力Tをタッチスクリーン16から受信する。ブロックS222,S224及びS226における処理は、
図9のブロックS122,S124及びS126における処理とそれぞれ同様である。ブロックS224の処理が行われない場合には、k
Tの値が1であるとして処理する。ブロックS228において、プロセッサ12は、スパン質量Xが所定の範囲内であるか否かを判断する。スパン質量Xが所定の範囲内である場合にはブロックS230に進み、その他の場合にはブロックS234に進む。
【0095】
ブロックS230において、プロセッサ12は、ベルトの目標張力に対応する固有周波数(すなわち目標固有周波数)を計算する。Vベルト用の式5を変形すると、
f
a=1/(2L)・(T/μk
T)
1/2 (式13)
が得られる。ブロックS230においては、プロセッサ12は、式13を用いてベルト56の目標固有周波数を計算する。
【0096】
ブロックS232において、プロセッサ12は、求められた固有周波数を、ベルト56に取り付けられて固有周波数の測定に用いられるべき加速度センサ57の質量の影響が小さくなるように補正する。すなわち、プロセッサ12は、求められた周波数f
aを、
f
m=f
a/k
f (式14)
によって補正することによって、目標固有周波数f
mを求める。この式は前述の式2から求められる。
【0097】
Vベルト用の式6を変形すると、
f
m=1/(2L)・(T/μk
T)
1/2 (式15)
が得られる。ブロックS234においては、プロセッサ12は、式15を用いてベルト56の目標固有周波数を計算する。式13及び式15は、固有周波数を求める式3に、ベルトの曲げ剛性に起因する誤差が小さくなるように補正がされた式である。この補正は、ベルト56に対応する張力補正式k
Tの平方根で除算されることにより行われている。
【0098】
ブロックS230及びS234においては、プロセッサ12は、求められた目標固有周波数f
mを所定の割合増加させた目標固有周波数f
1又は減少させた目標固有周波数f
2を求めてもよい。例えば、測定の誤差が10%程度見込まれる場合には、プロセッサ12は、
f
1=1.1f
m
及び/又は
f
2=0.9f
m
を更に求めてもよい。更に、プロセッサ12は、これらの値に対応する張力を求めてもよい。
【0099】
ブロックS236において、プロセッサ12は、ブロックS230又はS234で求められた目標固有周波数f
mや入力された目標張力等を、タッチスクリーン16に出力して表示させる。タッチスクリーン16は、例えば、目標固有周波数f,f
1,及びf
2、入力された目標張力、並びに目標固有周波数f
1及びf
2のそれぞれに対応する張力の表示を行う。また、プロセッサ12は、ブロックS230又はS234で求められた目標固有周波数f
mや入力された目標張力等を送受信部22に出力する。送受信部22は、目標固有周波数f
mや入力された目標張力等を
図3の固有周波数測定装置40に送信する。
【0100】
固有周波数測定装置40は、目標固有周波数f
mや入力された目標張力等を受信し、表示する(
図4のブロックS28)。その後、ユーザは、加速度センサ57等をベルト56に取り付けて固有周波数を測定し、固有周波数が例えば目標固有周波数fになるように、ベルトの張力を調整する。これにより、ベルトの張力がほぼ目標張力になるようにすることができる。
【0101】
ユーザがシンクロベルトを選択した場合について説明する。ブロックS242,S244,及びS246における処理は、
図9のブロックS142,S144,及びS146における処理とそれぞれ同様である。
【0102】
シンクロベルトの場合、ブロックS230及びS234において、プロセッサ12は、シンクロベルト用の所定の計算式を用いて目標固有周波数を計算する。すなわち、式13に代えて、
f
a=1/(2L)・(T/σWk
T)
1/2 (式16)
を用い、式15に代えて、
f
m=1/(2L)・(T/σWk
T)
1/2 (式17)
を用いて目標固有周波数を計算する。式16は式9を変形して得られ、式17は式10を変形して得られる。その他の処理は、Vベルトの場合と同様である。
【0103】
ユーザがVリブドベルトを選択した場合について説明する。ブロックS254及びS256における処理は、
図9のブロックS154及びS156における処理とそれぞれ同様である。
【0104】
Vリブドベルトの場合、ブロックS230及びS234において、プロセッサ12は、Vリブドベルト用の所定の計算式を用いて目標固有周波数を計算する。すなわち、式13に代えて、
f
a=1/(2L)・(T/nμ
rk
T)
1/2 (式18)
を用い、式15に代えて、
f
m=1/(2L)・(T/nμ
rk
T)
1/2 (式19)
を用いて目標固有周波数を計算する。式18は式11を変形して得られ、式19は式12を変形して得られる。その他の処理は、Vベルトの場合と同様である。
【0105】
ユーザがその他を選択した場合について説明する。ブロックS264における処理は、
図9のブロックS164における処理と同様である。ブロックS230及びS234においては、補正式k
Tの値を例えば1にする。その他の処理は、Vベルトの場合と同様である。
【0106】
このように、
図8の算出装置10によると、ベルトの目標張力に基づいて、目標張力に対応する目標固有周波数を求めることができる。ユーザは、ベルトの固有周波数を測定しながら、ベルトの固有周波数が目標固有周波数となるようにベルトの張力を設定する。すると、ベルトの張力を目標張力に設定することができる。
【0107】
スパンがベルトに対応する所定の範囲内である場合には、そのベルトに対応する張力補正式によって、ベルトの曲げ剛性に起因する誤差が小さくなるようにし、スパン質量がベルトに対応する所定の範囲内である場合には、そのベルトに対応する周波数補正式によって、固有周波数の測定に用いられるセンサの質量の影響を小さくする。したがって、より正確にベルトの目標固有周波数を求めることができる。また、スパンやスパン質量が所定の範囲外である場合には、必要のない補正を行わない。
【0108】
図16は、
図8の算出装置10における、ベルト単位質量及び推奨張力を表示する場合の処理の流れの例を示すフローチャートである。ブロックS304において、プロセッサ12は、ベルトの種類をユーザに質問するメッセージをタッチスクリーン16に表示させる。ベルトの種類には、例えば、Vベルト、Vリブドベルト、及びシンクロベルトが含まれる。ユーザは、ベルトの種類をタッチスクリーン16に触れて選択する。プロセッサ12は、ユーザの選択をタッチスクリーン16から受信する。ユーザがVベルトを選択した場合には、ブロックS312に進む。ユーザがシンクロベルト、及びVリブドベルトを選択した場合には、ブロックS342,及びS354にそれぞれ進む。
【0109】
ユーザがVベルトを選択した場合について説明する。ブロックS312における処理は、
図9のブロックS112における処理と同様である。ブロックS314において、プロセッサ12は、選択されたベルトの単位質量及び推奨張力等をメモリ14から読み出す。ブロックS336において、プロセッサ12は、読み出された単位質量及び推奨張力等をタッチスクリーン16に出力する。タッチスクリーン16は、単位質量及び推奨張力等の表示を行う。また、プロセッサ12は、読み出された単位質量及び推奨張力等を送受信部22に出力する。送受信部22は、読み出された単位質量及び推奨張力等を
図3の固有周波数測定装置40に送信する。固有周波数測定装置40は、単位質量及び推奨張力等を受信し、表示する(
図4のブロックS28)。
【0110】
ユーザがシンクロベルトを選択した場合について説明する。ブロックS342,及びS346における処理は、
図9のブロックS142,及びS146における処理とそれぞれ同様である。ブロックS344において、プロセッサ12は、選択されたベルトの単位質量及び単位幅当たりの推奨張力をメモリ14から読み出す。ブロックS334において、プロセッサ12は、単位幅当たりの推奨張力にベルト幅を乗算して、推奨張力を求める。S336における処理は、Vベルトの場合と同様である。
【0111】
ユーザがVリブドベルトを選択した場合について説明する。ブロックS354において、プロセッサ12は、ベルトの単位質量及びリブ当たりの推奨張力をメモリ14から読み出す。ブロックS356における処理は、
図9のブロックS156における処理と同様である。ブロックS334において、プロセッサ12は、リブ当たりの推奨張力にリブ数を乗算して、推奨張力を求める。S336における処理は、Vベルトの場合と同様である。
【0112】
このように、
図8の算出装置10によると、ユーザは、設計資料等を参照することなく、ベルトの単位質量及び推奨張力を知ることができる。
【0113】
図15及び
図16のブロックS204,S212,S218,S220,S242,S246,S256,S264,S312,S342,S346,及びS356において、プロセッサ12が、値等(ベルトの種類、ベルトのタイプ、スパンL、ベルトの目標張力T、ベルト幅、ベルトのリブ数、及びベルトの単位質量)をユーザに質問するメッセージをタッチスクリーン16に表示させ、ユーザが、タッチスクリーン16に触れてこれらの値等を入力する場合について説明した。しかし、これには限られず、これらのブロックにおいて、送受信部22が、これらの値等の少なくとも一部を固有周波数測定装置40から受信してプロセッサ12に出力してもよい。
【0114】
この場合、固有周波数測定装置40が、キーパッド等を有し、プロセッサ32が、ベルトの種類、ベルトのタイプ、スパンL、ベルトの目標張力T、ベルト幅、ベルトのリブ数、又はベルトの単位質量をユーザに質問するメッセージを表示部36に表示させ、ユーザが、キーパッド等からこれらの値等を入力する。プロセッサ12が、これらの値等をユーザに質問するメッセージを、送受信部22及び送受信部42を経由してプロセッサ32に送信してもよい。
【0115】
以上のように、
図1のシステムによると、加速度センサを用いるので、ベルトの固有周波数を広範囲な周波数に亘って精度よく測定することができる。更に、多くのユーザが既に所有していると考えられる汎用の算出装置(スマートフォン等)を用いるので、ベルトの張力を高精度かつ低コストで求めることが可能になる。
【0116】
図17は、
図1のシステムの他の例を示す概念図である。
図17のシステムは、固有周波数測定装置240と、算出装置10とを有する。このシステムは、無線通信を行わず、音声によって固有周波数測定装置240と算出装置10との間で情報を伝送する。
【0117】
図18は、
図17の固有周波数測定装置240の構成例を示すブロック図である。固有周波数測定装置240は、送受信部42に代えてスピーカ46を有する点の他は、
図3の固有周波数測定装置40と同様に構成されている。例えば、
図17のように、固有周波数測定装置240は裏面にスピーカ46を有し、スピーカ46は、算出装置10のマイクロフォン26の近傍に配置される。スピーカ46を、算出装置10のマイクロフォン26に密着させるようにしてもよい。
【0118】
固有周波数測定装置240は、
図4の処理を行う。但し、ブロックS26においては、プロセッサ32は、測定された周波数の情報をスピーカ46から音声によって出力する。ブロックS28の処理は行わない。音声は、例えば、測定された周波数の音声であってもよいし、測定された周波数と出力される音声の周波数との間の予め決められた関係に従った、測定された周波数に対応する周波数の音声であってもよい。プロセッサ32は、測定された周波数の情報を符号化し、得られた符号に基づいて所定の周波数の音声を変調してもよい。
図17のシステムによると、無線通信を行う必要がないので、固有周波数測定装置240の低コスト化を図ることができる。
【0119】
なお、
図9のブロックS120において、ユーザが、固有周波数測定装置40で測定された固有周波数f
mをタッチスクリーン16に触れて入力し、プロセッサ12が、入力された固有周波数f
mをタッチスクリーン16から受信してもよい。
【0120】
プロセッサ12は、タッチスクリーン16から入力されたデータ、固有周波数測定装置40,240から受信したデータ及びタッチスクリーン16に表示させたデータをメモリ14に格納させ、ユーザの要求に応じてタッチスクリーン16に表示させてもよい。プロセッサ32は、算出装置10との間の送受信データ及び表示器36に表示させたデータをメモリ34に格納させ、ユーザの要求に応じて表示器36に表示させてもよい。
【0121】
本明細書における各機能ブロックは、典型的にはハードウェアで実現され得る。例えば各機能ブロックは、IC(集積回路)の一部として半導体基板上に形成され得る。ここでICは、LSI(large-scale integrated circuit)、ASIC(application-specific integrated circuit)、ゲートアレイ、FPGA(field programmable gate array)等を含む。代替としては各機能ブロックの一部又は全ては、ソフトウェアで実現され得る。例えばそのような機能ブロックは、プロセッサ及びプロセッサ上で実行されるプログラムによって実現され得る。換言すれば、本明細書で説明される各機能ブロックは、ハードウェアで実現されてもよいし、ソフトウェアで実現されてもよいし、ハードウェアとソフトウェアとの任意の組合せで実現され得る。
【0122】
上述の処理がソフトウェアで実現される場合には、例えば、マイクロコード、アセンブリ言語のコード、又はより高レベルの言語のコードが用いられ得る。コードは、1以上の揮発性又は不揮発性のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納され得る。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、RAM(random access memory)、ROM(read only memory)、EEPROM、フラッシュメモリ、磁気記録媒体、光記録媒体等を含む。
【0123】
本発明の多くの特徴及び優位性は、記載された説明から明らかであり、よって添付の特許請求の範囲によって、本発明のそのような特徴及び優位性の全てをカバーすることが意図される。更に、多くの変更及び改変が当業者には容易に可能であるので、本発明は、図示され記載されたものと全く同じ構成及び動作に限定されるべきではない。したがって、全ての適切な改変物及び等価物は本発明の範囲に入るものとされる。