特許第6334042号(P6334042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6334042
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】起伏収容式仮設防護柵
(51)【国際特許分類】
   E01F 15/04 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   E01F15/04 A
   E01F15/04 Z
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-163264(P2017-163264)
(22)【出願日】2017年8月28日
【審査請求日】2018年2月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】396011521
【氏名又は名称】大都技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】都 英吾
【審査官】 西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−033507(JP,U)
【文献】 特開2001−226926(JP,A)
【文献】 特開2001−226925(JP,A)
【文献】 特開2000−345523(JP,A)
【文献】 特開2002−037593(JP,A)
【文献】 米国特許第06398192(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0109131(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 15/02
E01F 15/04
E01F 15/06
E01F 15/08
E01F 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に長尺であるとともに、上方に開口する凹部が形成された基礎架台と、
前記基礎架台のフランジ部に固定され、平面視でコ字形状ないしU字形状で、ウェブ部の幅よりも小さな幅を有する定着部材と、
ガードレールが取り付けられる回動部材と、を備え、
前記回動部材の下方が、起立状態の回動部材の軸方向と直交する方向、かつ、前記基礎架台の長手方向と直交する方向の第1軸線を中心として前記定着部材に回動可能に取り付けられており、前記回動部材及び定着部材に、前記第1軸線と直交するとともに該第1軸線よりも上方に配置される第2軸線に沿って取付孔が設けられ、
前記回動部材が倒伏状態のとき、前記ガードレール及び前記回動部材を前記ウェブ部の短手方向の幅に収容可能であり、
前記回動部材が起立状態のとき、前記取付孔に緊締部材を取り付けることにより、前記回動部材が前記定着部材に固定できることを特徴とする起伏収容式仮設防護柵。
【請求項2】
前記定着部材は、対向して配置される、前記基礎架台の長手方向の第1側部及び第2側部と、前記第1側部と第2側部を連結する、起立状態の回動部材の軸方向と直交する方向、かつ、前記基礎架台の長手方向と直交する方向の連結部を有し、第1側部がフランジ部に固定され、第2側部がウェブ部に固定されることを特徴とする、請求項1に記載の起伏収容式仮設防護柵。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路改良工事等に用いられる起伏収容式仮設防護柵に関する。
【背景技術】
【0002】
仮設防護柵の組立作業の効率を向上させ、施工現場での仮設防護柵の置き場所不足を解消し、材料の痛みを防ぎ、運搬コストを低減するため、特許文献1の発明が提案されている。この発明は、ガードレールと支柱が起伏式で、支柱を固定するための支柱固定用スペーサ3は、縦断面階段形状で、L字板30の下端に垂直板31が接続した形態となっている。この支柱固定用スペーサ3は、一対の孔32と一対の孔33が形成されたものであり、孔32にUボルト26が挿通されナット27で固定され、孔33にはボルト34が挿通され、ナット35で固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2001−14553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、固定用スペーサと複数のボルト・ナットを用いて緊締しているため、支柱を固定するボルト・ナットの本数が多く、固定構造が複雑になるとともに、固定用スペーサとボルト・ナットの本数の削減が難しく、耐衝撃力に課題がある。また、ボルト・ナットの本数が多く、緊締による固定作業及び取外作業に時間を要するため、仮設防護柵の仮設作業の作業時間や労力を軽減し、設置・撤去の作業効率の向上が期待されている。
【0005】
そこで、本発明の課題は、回動部材の固定構造を簡素化し、衝突に対する耐衝撃性を向上させるとともに、起伏収容式仮設用防護柵の設置作業及び撤去作業の作業時間を短縮化し、設置・撤去作業の効率化を可能とする起伏収容式仮設防護柵を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、長手方向に長尺であるとともに、上方に開口する凹部が形成された基礎架台と、前記基礎架台のフランジ部に固定され、平面視でコ字形状ないしU字形状で、ウェブ部の幅よりも小さな幅を有する定着部材と、ガードレールが取り付けられる回動部材と、を備え、前記回動部材の下方が、起立状態の回動部材の軸方向と直交する方向、かつ、前記基礎架台の長手方向と直交する方向の第1軸線を中心として前記定着部材に回動可能に取り付けられており、前記回動部材及び定着部材に、前記第1軸線と直交するとともに該第1軸線よりも上方に配置される第2軸線に沿って取付孔が設けられ、前記回動部材が倒伏状態のとき、前記ガードレール及び前記回動部材を前記ウェブ部の短手方向の幅に収容可能であり、前記回動部材が起立状態のとき、前記取付孔に緊締部材を取り付けることにより、前記回動部材が前記定着部材に固定できることを特徴とする起伏収容式仮設防護柵である。
【0007】
コ字形状ないしU字形状の定着部材は板状部材で構成することが好ましい。定着部材は、前記基礎架台のフランジ部に固定されることが好ましいが、フランジ部及びウェブ部に固定してもよく、固定の強度が大きくなる。固定の態様は溶接でも、ボルト・ナット等の緊締部材による固定でもよい。
【0008】
「回動部材」は、筒体など所定形状の回動体が、第1軸線(ボルト、ナット等で構成される緊締部材の軸方向)に回動可能である。起立状態では、Z方向(鉛直方向)を示す。
【0009】
「緊締部材」はボルト・ナットが例示されるが、限定されるわけではない。
【0010】
「第1軸線」と「第2軸線」は、回動部材に設定されるものであるので、回動部材の回動に伴い、軸が回動する。
【0011】
この構成によれば、定着部材や第2軸線方向に設けた取付孔により、回動部材を起伏できるとともに、固定構造を簡素化し、衝突に対する耐衝撃性を向上させるとともに、起伏収容式仮設用防護柵の設置作業及び撤去作業の作業時間を短縮化し、設置・撤去作業の効率化を可能にできる。
【0012】
上記課題を解決するために、請求項2に係る発明は、前記定着部材は、対向して配置される、前記基礎架台の長手方向の第1側部及び第2側部と、前記第1側部と第2側部を連結する、起立状態の回動部材の軸方向と直交する方向、かつ、前記基礎架台の長手方向と直交する方向の連結部を有し、第1側部がフランジ部に固定され、第2側部がウェブ部に固定されることを特徴とする、請求項1に記載の起伏収容式仮設防護柵である。
【0013】
この構成によれば、第1側部、第2側部、及び連結部が一体化され、車両の衝突時に回動部材に加わる衝撃力を確実に受け止めることができるので、耐衝撃性が格段に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明実施形態の仮設防護柵の組み立て完成状態の平面図である。
図2】本発明実施形態の仮設防護柵の組み立て完成状態の正面図である。
図3】(a)は、仮設防護柵の定着部材の近傍の組み立て完成状態の拡大斜視図、(b)は他の方向からの拡大斜視図である。
図4】(a)は仮設防護柵の定着部材の近傍の平面図、(b)は同正面図である。
図5図2のV−V断面図である。
図6図2のVI−VI断面図である。
図7図4(b)のVII−VII断面図である。
図8図6のVIII−VIII断面図である。
図9】本発明実施形態の仮設防護柵の倒伏状態の平面図である。
図10】本発明実施形態の仮設防護柵の倒伏状態の正面図である。
図11】(a)は、仮設防護柵の定着部材の近傍の倒伏状態での拡大斜視図、(b)は他の方向からの拡大斜視図である。
図12図10のXII−XII断面図である。
図13図11(a)からガードレール及びフランジ部を除去した斜視図である。
図14図12のXIV−XIV断面図である。
図15図1からガードレール及び回動部材を取り除いた状態の斜視図である。
図16】同じく平面図である。
図17】同じく正面図である。
図18図15の定着板の近傍の部分拡大斜視図、(b)同じく平面図、(b)図15の定着板の近傍の別の角度からの部分拡大斜視図である。
図19図17の定着板の近傍の正面図である。
図20図17のXX−XX断面図である。
図21図19のXXI−XXI断面図である。
図22】(a)は仮設防護柵の回動部材の斜視図、(b)は同じく別の角度からの斜視図である。
図23】(a)は仮設防護柵の回動部材の筒体の正面図、(b)は(a)のXXIIIB−XXIIIB断面図、(c)は回動部材の底面図である。
図24】(a)は仮設防護柵の回動部材の筒体の側面図、(b)は(a)のXXIVB−XXIVB断面図である。
図25】(a)はブラケットの正面図であり、(b)は同平面図である。
図26】本実施形態の仮設防護柵の変更形態の定着部材と回動部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態の起伏収容式仮設防護柵1(以下、仮設防護柵1という。)について説明する。
【0016】
図1、2は実施形態の仮設防護柵1の組み立て完成状態(回動部材5が起立状態)を示し、図10〜14は仮設防護柵1の回動部材5が倒伏状態を示す。仮設防護柵1は運搬、設置、撤去等に伴い、上記の2つの状態が相互に移り変わるものである。
【0017】
図に示す通り、仮設防護柵1は、長手方向Xに長尺であるとともに、上方に開口する凹部が形成された基礎架台2と、基礎架台2のフランジ部21,21とウェブ部22に固定され、平面視でコ字形状で、ウェブ部22の幅Wよりも小さな幅Wを有する定着部材3と、ガードレール4が取り付けられる回動部材5と、を備えている。回動部材5の下方が、回動部材5の軸方向と直交する方向、かつ、短手方向Yの第1軸線Aを中心として定着部材3に回動可能に取り付けられており、回動部材5及び定着部材3に、第1軸線Aと直交するとともに第1軸線Aよりも上方に配置される第2軸線Bに沿ってボルト60とナット61を取り付けるための取付孔62がそれぞれ設けられている。回動部材5が倒伏状態のとき、ガードレール4及び回動部材5をウェブ部22の短手方向Yの幅に収容可能である。回動部材5が起立状態のとき、取付孔62にボルト60とナット61を取り付けることにより、回動部材5が定着部材3に固定できることを特徴とする。仮設防護柵1は金属製、例えば、鉄製が好ましい。以下、前記の各構成要素を詳細に説明する。
【0018】
基礎架台2は、空隙部20(図5参照)を区画形成するフランジ部21,21とウェブ部22を有するH形鋼であり、長手方向X(基礎架台2が延びる方向)に長尺に延びているとともに、上方に開放する凹部である上側空間23、下方に開放する凹部である下側空間24を向けるH型鋼材である。フランジ部21,21の両端部にジョイント取付孔26(図2参照)が4個ずつ所定の間隔に形成されている。H形鋼材の横幅寸法(短手方向Yの外寸)は、200、250、300、350、400、500mm等が例示される。
【0019】
ウェブ部上面27に、複数個(図1では4個)の定着部材3が等間隔又は任意間隔に設けられている。定着部材3の取付け位置、個数等については基礎架台2とガードレール4との関係で適宜変更可能である。例えば、さらに長尺な基礎架台2を用い、長いガードレールを取り付ける場合は、5個以上の定着部材3を用いることができる。逆に、短尺な基礎架台2を用いガードレールを取り付ける場合は、2個又は3個の定着部材3を用いることができる。
【0020】
定着部材3は、図3乃至図7図11乃至図13に示す通り、対向して配置される長手方向Xに配向する第1側部31及び第2側部32と、第1側部31と第2側部32を連結する短手方向Yの連結部33を有する。連結部33の下部には切欠部34を備えている。これは回動部材5の下端が切欠部34の外側に回り出ることで、連結部34には妨げられずに、回動部材5が回動できるようにするためである。連結部33の対向する側部は開口K(図18参照)となっている。第1側部31の外側面がフランジ部21の内壁に溶接され、第2側部32の下部がウェブ部22のウェブ部上面27に溶接されている。連結部33は溶接されていないが、強度を高くするため、ウェブ部22のウェブ部上面27に溶接してもよい。
【0021】
定着部材3の側部の開口Kは図5等に示す通り、短手方向に開放するものであり、短手方向Yの幅Wが、回動部材5の幅Wよりも大きくなっており、回動部材5の下部を収容可能である。開口Kの幅Wは、幅Wの40〜80%、好ましくは50〜70%が例示され、図では60%である。図18(b)に示す通り、定着部材3の長手方向Xの長さLは、回動部材5の幅W図24(b)参照)よりも大きくなっており、定着部材3が回動部材5の下部を収容可能である。
【0022】
回動部材5の起立状態では、ガードレール4が定着部材3よりも高い位置になり(図3(a)(b)参照)、回動部材5の倒伏状態では、定着部材3がガードレール4の高さの範囲内に収まる位置になる(図11(a)参照)。
【0023】
定着部材3の連結部33により、長手方向Xの剛性を高めることができ、長手方向Xの外力に対しての所定の強度が確保でき、変形しにくい構造となっている。定着部材3の連結部33により、短手方向Yの剛性を高めることができ、短手方向Yの外力に対しての所定の強度が確保でき、変形しにくい構造となっている。
【0024】
図3乃至図7図11乃至図13及び図18に示す通り、回動部材5は、所定形状の中空構造(図では角筒形状)の筒体50と、筒体50の上部に短手方向Yに設けられる、ガードレール4の取付孔51と、軸方向が第1軸線A方向に配置される筒体回動ボルト52と、筒体回動ボルト52を挿通させる案内管53と、筒体回動ボルト52に取り付けるナット54と、前述の取付孔62と同軸状に配置されボルト60の挿通を案内する案内管55と、を備えている。筒体50は起立状態では、軸方向はZ方向で、倒伏状態では、長手方向Xと平行である。図22乃至図24に示す通り、案内管53と案内管55は直交し、かつ、案内管55が案内管53の上部にあって立体交差する構造である。回動部材5とウェブ部上面27の衝突は回避することができるように案内管53の位置が設定されている。
【0025】
筒体50は、起立状態では上下方向Zに直立し、倒伏状態では、長手方向Xに伏せた配置になる。筒体50は定着部材3の下部の内部に嵌合又は遊嵌する構造である。回動部材5の厚さは定着部材3の幅Wとの関係で設定される。筒体50の横幅は厚みの2〜5倍、高さは横幅の5〜7倍が例示される。回動部材5は、起立状態において、厚みは短手方向Yにあり、横幅は長手方向Xにあり、高さは上下方向Zにある。回動部材5の高さは、起立状態では、ガードレール4を取り付けるため、上端部は、定着部材3の高さよりも高く設定され、定着部材3の内部に筒体50の下部が囲まれる。倒伏状態では、筒体50が傾斜して配置され、上端部が定着部材3の高さよりも高く設定され、定着部材3の内部に筒体50の下部が囲まれる。定着部材3の高さと幅と厚みは、回動部材5とガードレール4の寸法との関係で設定される。筒体50の断面形状は矩形に限定されず、丸形、楕円形、小判形等、適宜の形状を取り得る。
【0026】
ガードレール4と筒体50を連結又は分離する取付部材7は、図25に示す通り、ブラケットであり、正面形状が矩形状の背部70と、背部70の両端から垂直に同じ方向に延びる接続部71,71と、接続部71,71の両端から垂直に互いに離れる方向に延びる、つば部72,72を有している。背部70の中央部にガードレール回動孔74、つば部72,72の中央部にガードレール固定孔73が形成されている。平面視で取付部材7には中央部の前側に凹部75が形成される。回動部材5の起立状態において、取付部材7の位置は定着部材3より高い位置に設けられている。
【0027】
ガードレール4は背部70を挟み込む状態で、取付部材7に形成されたガードレール固定孔73,73と回動部材5に形成された取付孔51にガードレール回動ボルト76(第3軸線C)が挿通され、ガードレール回動ナット77が螺合され、締め付けられている。また、それぞれの取付部材7に形成された2つのガードレール固定孔73とガードレール4に形成された2つの孔にボルト44が挿通されナット45が螺合され締め付けられている。ガードレール4は、凹部75を介して、ナット77を緩めることで、ガードレール回動ボルト76(図7の第3軸線C参照)を中心として回動可能となる。
【0028】
仮設防護柵1のガードレール4と回動部材5が倒伏状態ではガードレール4は両端とも基礎架台2の両端から若干ずれていて、起立状態では、基礎架台2に対して、整合して配置されているが、この配置は適宜の設定が可能である。基礎架台2同士及びガードレール4同士の接合構造は一般的構成であるので説明は省略する。
【0029】
ガードレール4の内の片方の短手方向Yの幅Wは、フランジ部21と第2側部32の幅W(内寸)よりも狭くなっており、図示例では50〜80%が例示され、図5図6図7図12では63%である。これによりガードレール4を上側空間23に収容することができる。
【0030】
図1に示す通り、一対の第1支持板91,91は、回動部材5の間で、かつ、基礎架台2の一方のフランジ部21の近傍に設けられている。第1支持板91は、開放する凹部を形成する平面形状がU字状の板であり、一対の第1支持板91,91は凹部が長手方向Xに開放しているとともに対向した状態で、ウェブ部上面27に固定されている。また、ガードレール4が倒伏状態のとき、ガードレール4の上方端は第1支持板91、第2支持板95の上方端と同じ高さである。また、一対の第1支持板91,91で画成される第1空間S1は、仮設防護柵1を現地で組み立てるときに使用するボルト・ナット、基礎架台2を連結するジョイントプレート等を収納するための第1収納箱(図示略)が内装されている。
【0031】
第2支持板95は、基礎架台2の他方の端部の近傍に設けられている。第2支持板95は、平面形状がU字状又はコ字形状の板であり、その両端面がフランジ部21の内壁面に溶接されている。第2支持板95で画成される空間はSは、仮設防護柵1を組み立て、連結するときに使用する部材等を収納する。
【0032】
組み立て完成状態の仮設防護柵1は、組み立て完成状態から倒伏状態にできるとともに、基礎架台2に形成された上側空間23に収容することができる。
【0033】
組み立て完成状態から倒伏状態にする場合、まず、ボルト60に螺合されているナット61を取り外し、ボルト60を取付孔62と、取付孔62に対応する案内管55から抜き取る。次に、ガードレール回動ボルト76に螺合されているガードレール回動ナット77を緩める。定着板3の内面と回動部材5の外面には回動を許容するための隙間がある。これにより、回動部材5は、筒体回動ボルト52を中心として回動可能になるとともに、ガードレール回動ボルト76を中心にガードレール4と回動部材5は相互に回動可能となる。回動の中心軸が2つあることにより、ガードレール4と取付部材7は水平状態を保持したままで枢動し、上側空間23に収容される。ボルト60、ナット61、ガードレール回動ボルト76、ガードレール回動ナット77は、第1支持板91,91で画成される空間に収容することができる。また、一対の第2支持板95で画成される空間Sに基礎架台2を連結する部材、ガードレール4を連結する部材等を収納する。
【0034】
逆に、倒伏状態の仮設防護柵1は、倒伏状態から組立て完成状態にできる。仮設防護柵1が倒伏状態から、車両に積み上げて積載して、他の場所に移動し、車両から降ろす。降ろした場所で組み立て完成状態にして設置する作業は、上記と逆の手順を踏めばよい。
【0035】
以上説明した仮設防護柵1の効果を説明すると、長手方向Xに長尺であるとともに、上側空間23が形成された基礎架台2と、基礎架台2のフランジ部21及びウェブ部22に固定され、平面視でコ字形状で、ウェブ部22の幅Wよりも小さな幅Wを有する定着部材3と、ガードレール4が取り付けられる回動部材5と、を備え、回動部材5の下方が、回動部材の軸方向と直交する方向、かつ、短手方向の第1軸線Aを中心として定着部材3に回動可能に取り付けられており、回動部材5及び定着部材3に、第1軸線Aと直交するとともに第1軸線Aよりも上方に配置される第2軸線Bに沿ってボルト60とナット61を取り付けるための取付孔62が設けられ、回動部材5が倒伏状態のとき、ガードレール4及び定着部材3をウェブ部22の短手方向の幅Wに収容可能であり、回動部材5が起立状態のとき、取付孔62にボルト60とナット61を取り付けることにより、回動部材5が定着部材3に固定できる。
【0036】
この構成によれば、定着部材3や第2軸線Bの方向に設けた取付孔62により、回動部材5の固定構造を簡素化し、衝突に対する耐衝撃性を向上させるとともに、仮設防護柵1の設置作業及び撤去作業の作業時間を短縮化し、設置・撤去作業の効率化を可能にできる。
【0037】
定着部材3は、対向して配置される長手方向Xの第1側部31及び第2側部32と、第1側部31と第2側部32を連結する短手方向の連結部33を有し、第1側部31がフランジ部21の固定され、第2側部32がウェブ部22に固定される。
【0038】
この構成によれば、第1側部31、第2側部32、及び連結部33が一体化され、車両の衝突時に回動部材に加わる衝撃力F(図3参照)を確実に受け止めることができ、耐衝撃性が格段に向上する(図3(a)参照)。より仮設防護柵1の強度を高めるには、定着部材3の板厚を厚くすればよい。
【0039】
回動部材5は筒体50を有し、この筒体50の下部が定着部材3の第1側部31と第2側部32の間に配置され、1つの回動軸により回動可能な構成である。ガードレール4と回動部材5を倒した状態で、基礎架台2の上方に形成されたウェブ部22の短手方向の幅Wに収容することができる。ガードレール4と回動部材5を起立状態で、1組のボルト60、ナット61により、定着部材3により回動部材5を固定できる。仮設防護柵1をコンパクト化、構造の簡素化を達成でき、設置・撤去作業の効率化、設置コストのコストダウンを図ることができる。主に、道路路肩、歩車道境界、中央分離帯等で使用できる。
【0040】
回動部材5が倒伏状態のとき、基礎架台2の上方に形成される上側空間23に収容されているので、その後の作業をすることなく仮設防護柵1の撤去作業に取りかかることができる。その結果、撤去作業の効率化を図ることができる。
【0041】
定着部材3は、第1側部31と第2側部32を有しているので、長手方向Xの耐荷力や耐衝撃力、連結部33を有しているので、短手方向Yの耐荷力や耐衝撃力を強化できる。
【0042】
仮設防護柵1は、積み重ねるべき上方の基礎架台2を支持するための支持板91,95を備えているので、上側の基礎架台2が下側のガードレール4に接触することによる破損等を防止するために、特段の作業をすることなく仮設防護柵1を積み上げることができる。その結果、積み込み・積み下ろし作業の効率化を図ることができる。
【0043】
支持板91,95は、開口する凹部が対向する状態で設けられているか、または閉じている、平面形状がU字形又はコ字形状の一対の板であり、一対の板で画成される空間は、仮設防護柵1を組み立てるとき必要となる部品を収容可能であるので、組み立て用の部品を別途そろえることなく仮設防護柵1を組み立てることができる。その結果、設置作業の効率化を図ることができる。
【0044】
図26は、本実施形態の仮設防護柵の変更形態の定着部材103と回動部材105を示す斜視図であり、定着部材103及び回動部材105の横断面が円形の実施形態である。他の部材は前記実施形態と同様であるので、符号は前記実施形態の100番台とし、図示及び説明は援用する。この定着部材103は回動部材105の形に適合し断面が円形であることが好ましいが、横断面がU字形状でもよい。
【0045】
以上、本実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で本発明を適宜、変更、追加等した種々なる態様を実施できることは無論である。例えば、本実施形態では、定着部材3の第1側部31、第2側部32、連結部33を備える板状体を用いたが、実施形態の大きさ、厚さ、位置、形状、構造に限定されず、様々な構成を取り得る。基礎架台2はH形鋼であるとしたが、これに限らず、溝形鋼であってもよく、板同士を組み合わせ、長手方向Xに長尺であるとともに上方に開口する凹部を備えたものであってもよい。回動部材5の筒体50は、横断面が角形のみならず、丸形、楕円形、小判形等、板から構成される部材であれば、他の形態でもよい。実施形態で記載した数値はいずれも例示である。
【符号の説明】
【0046】
1 起伏収容式仮設防護柵
2 基礎架台
3、103 定着部材
4 ガードレール
5、105 回動部材
7、107 取付部材
20 空隙部
21 フランジ部
22 ウェブ部
23 上側空間
24 下側空間
26 ジョイント取付孔
27 ウェブ部上面
31、131 第1側部
32、132 第2側部
33、133 連結部
34、134 切欠部
44 ボルト
45 ナット
50、150 筒体
51 取付孔
52 筒体回動ボルト
53、55 案内管
54 ナット
60 ボルト
61 ナット
62、162 取付孔
70 背部
71 接続部
72 つば部
73 ガードレール固定孔
74 ガードレール回動孔
75 凹部
76 ガードレール回動ボルト
77 ガードレール回動ナット
91 第1支持板
95 第2支持板
A 第1軸線
B 第2軸線
C 第3軸線
K 開口
第1空間
、W2、3、
X 長手方向
Y 短手方向
Z 上下方向
【要約】      (修正有)
【課題】回動部材の固定構造を簡素化し、衝突に対する耐衝撃性を向上させるとともに、起伏収容式仮設用防護柵の設置作業及び撤去作業の効率化を可能とする。
【解決手段】仮設防護柵は、上方に開口する凹部が形成された基礎架台2と、基礎架台2のフランジ部21とウェブ部22に固定され、平面視でコ字形状で、ウェブ部22の幅よりも小さな幅を有する定着部材3と、ガードレール4が取り付けられる回動部材5と、を備え、回動部材5の下方が定着部材3に回動可能に取り付けられ、回動部材5及び定着部材3に、ボルト60とナット61を取り付けるための取付孔がそれぞれ設けられ、回動部材5が倒伏状態のとき、ガードレール4及び回動部材5をウェブ部22の短手方向Yの幅に収容可能であり、回動部材5が起立状態のとき、取付孔にボルト60とナット61を取り付け回動部材5が定着部材3に固定する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図20
図21
図22
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図25
図26