特許第6334056号(P6334056)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6334056リモート波長変換要素を有する照明デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334056
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】リモート波長変換要素を有する照明デバイス
(51)【国際特許分類】
   F21K 9/232 20160101AFI20180521BHJP
   F21K 9/64 20160101ALI20180521BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20180521BHJP
【FI】
   F21K9/232 100
   F21K9/64
   F21Y115:10
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-508640(P2017-508640)
(86)(22)【出願日】2015年7月24日
(65)【公表番号】特表2017-523583(P2017-523583A)
(43)【公表日】2017年8月17日
(86)【国際出願番号】EP2015067037
(87)【国際公開番号】WO2016026652
(87)【国際公開日】20160225
【審査請求日】2017年2月15日
(31)【優先権主張番号】14181229.7
(32)【優先日】2014年8月18日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】マリヌス アントニウス アドリアヌス マリア
(72)【発明者】
【氏名】ジェレン ビンセント ステファン デービッド
(72)【発明者】
【氏名】ワーグマンス ウィーブ
【審査官】 津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−187361(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104019395(CN,A)
【文献】 特開2010−055830(JP,A)
【文献】 特開2012−079455(JP,A)
【文献】 特開2011−165675(JP,A)
【文献】 特開2011−187291(JP,A)
【文献】 特表2002−542588(JP,A)
【文献】 特開2013−012502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光源と、
前記少なくとも1つの光源によって放出された光の波長を変換する波長変換要素と、
前記少なくとも1つの光源から離れている前記波長変換要素を支持する少なくとも1つの支持体と、
前記波長変換要素及び前記少なくとも1つの支持体の少なくとも一部分を取り囲む外囲器と、
を含み、
前記少なくとも1つの支持体は、前記波長変換要素に対して旋回可能であり、
前記波長変換要素及び/又は前記少なくとも1つの支持体は、剛性部と可撓部とを含み部分的に剛性であ
前記外囲器は、開口部を有し、
前記波長変換要素の長手方向に沿って測定される前記波長変換要素の長さは、前記外囲器の前記開口部の最大幅よりも大きく、
前記長手方向を横断して測定される前記波長変換要素の最大幅は、前記外囲器の前記開口部の前記最大幅よりも小さい、照明デバイス。
【請求項2】
照明ソケットに結合される口金を更に含み、前記開口部は、前記口金に結合される、請求項1に記載の照明デバイス。
【請求項3】
少なくとも1つの光源と、
前記少なくとも1つの光源によって放出された光の波長を変換する波長変換要素と、
前記少なくとも1つの光源から離れている前記波長変換要素を支持する少なくとも1つの支持体と、
前記波長変換要素及び前記少なくとも1つの支持体の少なくとも一部分を取り囲む外囲器と、を含み、
前記少なくとも1つの支持体は、前記波長変換要素に対して旋回可能であり、
照明ソケットに結合される口金を更に含み、前記外囲器は、前記口金に結合される開口部を有し、
前記波長変換要素は、細長い形状を有し、前記波長変換要素の長手方向に沿って延在する平面内で、前記少なくとも1つの支持体に対して旋回可能であり、
前記長手方向に沿って測定される前記波長変換要素の長さは、前記外囲器の前記開口部の最大幅よりも大きく、
前記長手方向を横断して測定される前記波長変換要素の最大幅は、前記外囲器の前記開口部の前記最大幅よりも小さい、照明デバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの支持体は、2つの支持体を含み、各支持体が、前記波長変換要素に対して旋回可能である、請求項1乃至3の何れか一項に記載の照明デバイス。
【請求項5】
各支持体は、平面内で、前記波長変換要素に対して旋回可能であり、前記平面は、互いに沿って延在する、請求項4に記載の照明デバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つの光源は、紫外光を放出する、請求項1乃至5の何れか一項に記載の照明デバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの光源は、少なくとも、第1の波長範囲内の光を放出し、
前記波長変換要素は、前記少なくとも1つの光源によって放出される光を、少なくとも、前記第1の波長範囲とは異なる第2の波長範囲に変換し、
前記外囲器は、前記少なくとも1つの光源によって放出される前記第1の波長範囲内の光の少なくとも一部が、前記照明デバイスを出ることを阻害する、請求項1乃至6の何れか一項に記載の照明デバイス。
【請求項8】
前記第2の波長範囲内の光を放出する少なくとも1つの追加の光源を更に含む、請求項7に記載の照明デバイス。
【請求項9】
前記波長変換要素は、前記少なくとも1つの光源によって放出される光を、白色、黄色、琥珀色及び赤色である複数の色のうち、少なくとも1つの色に変換する、請求項1乃至8の何れか一項に記載の照明デバイス。
【請求項10】
前記波長変換要素は、光透過性本体と、前記光透過性本体に配置される波長変換材料とを含む、請求項1乃至9の何れか一項に記載の照明デバイス。
【請求項11】
前記外囲器は、単一片の材料で作られる、請求項1乃至10の何れか一項に記載の照明デバイス。
【請求項12】
前記外囲器は、透明である、請求項1乃至11の何れか一項に記載の照明デバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つの支持体は、少なくとも1つの棒を含む、請求項1乃至12の何れか一項に記載の照明デバイス。
【請求項14】
少なくとも1つの光源と、
前記少なくとも1つの光源によって放出された光の波長を変換する波長変換要素と、
前記少なくとも1つの光源から離れている前記波長変換要素を支持する少なくとも1つの支持体と、
前記波長変換要素及び前記少なくとも1つの支持体の少なくとも一部分を取り囲む外囲器と、を含む照明デバイスを製造する方法であって、
前記少なくとも1つの支持体に対して旋回可能である前記波長変換要素を含むユニットを提供するステップと、
前記ユニットの前記外囲器内への挿入を可能にする状態へと、前記波長変換要素を前記少なくとも1つの支持体に対して旋回させるステップと、
前記ユニットを前記外囲器内に挿入するステップと、
前記外囲器内の最終状態へと、前記波長変換要素を前記少なくとも1つの支持体に対して旋回させるステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、リモート波長変換要素を含む照明デバイスの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の白熱照明デバイスは、現在、例えば発光ダイオード(LED)ベースの光源といったよりエネルギー効率の良い固体ベースの光源に取って代わられてきている。固体ベースの光源は、白熱光源と比べて著しく異なる光学特性を有する。特に、固体ベースの光源は、白熱光源と比べて、より有向性のある配光と、より高い(即ち、より冷たい)色温度とを提供する。したがって、配光及び色温度に関して、固体ベースの照明デバイスを、従来の白熱照明デバイスにより似せるために努力がなされている。
【0003】
光源によって放出された光の色温度を調整するために、例えば蛍光体といった波長変換材料が通常使用される。波長変換材料は、光源上に直接配置されるか、又は、光源から離間された別箇の要素内に配置される。後者が、通常、リモート波長変換要素と呼ばれる。
【0004】
米国特許出願公開第2012/0176804号は、紫外(UV)光を放出するLEDを含む照明デバイスを示す。紫外光は、蛍光体によって、可視光(例えば白色光)に変換される。蛍光体は、ライトガイドに配置される。ライトガイドは、平面パネルであり、LEDによって放出された光の大部分が当該パネルに当たるように、LEDの上方に配置される。ライトガイド及びLEDは、外囲器によって覆われる。このような照明デバイスの欠点は、ライトガイドが、外囲器の下部開口よりも大きい場合に、製造するのが難しい点である。例えば外囲器が2つの部分から作られることや、ライトガイドが可撓性材料で作られることが必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記欠点を解決する、又は、少なくとも軽減する照明デバイスを実現することが有利である。特に製造がより簡単である照明デバイスを可能とすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの検討事項の1つ以上によりうまく対処するために、独立請求項に規定される特徴を有する照明デバイス及び照明デバイスを製造する方法が提供される。好適な実施形態は、従属請求項に規定される。
【0007】
したがって、一態様によれば、照明デバイスが提供される。当該照明デバイスは、少なくとも1つの光源と、少なくとも1つの光源によって放出された光の波長を変換する波長変換要素と、少なくとも1つの光源から離れている波長変換要素を支持する少なくとも1つの支持体と、波長変換要素及び少なくとも1つの支持体の少なくとも一部分を取り囲む外囲器とを含む。少なくとも1つの支持体は、波長変換要素に対して旋回可能である。
【0008】
支持体が、波長変換要素に対して旋回可能であるので、支持体及び波長変換要素は、照明デバイスの組立て後、互いに対して移動可能であってよい。したがって、支持体及び波長変換要素は、外囲器内への挿入前に、1つのユニットに組み立てられてよい。そして、波長変換要素及び支持体は、外囲器内へのユニットの挿入を容易とする状態となるように、互いに対して旋回されてよい。次に、ユニットは、外囲器内で、最終状態へと旋回されてよい。本態様は、剛性波長変換要素及び少なくとも部分的に剛性の支持体を使用することを可能にする。これは、これらの2つのコンポーネントは、外囲器内へのユニットの挿入を容易にするために、互いに対して移動することができるからである。少なくとも部分的に剛性の支持体及び剛性波長変換要素の使用を可能とすることによって、よりロバストな照明デバイスが提供される。更に、本態様は、挿入後のユニットの柔軟性が、完全に剛性の構成に比べて大きいため、外囲器内の波長変換要素の形状及び方向のデザインの自由を増加させる。例えば外囲器の比較的小さい開口部を介する外囲器内へのユニットの挿入が容易にされる。
【0009】
光源によって放出され、波長変換要素に入射する光は、色に関して変換され、波長変換要素によって再放出されてよい。波長変換要素は、光源から離れて支持される、即ち、波長変換要素は、光源(及び、好適には、照明デバイスの口金に配置される任意のヒートシンク)より高くされる(又は離間される)ので、照明デバイスからの発光は、横方向及び後ろ方向において増加され、照明デバイスのより全方向性の配光が提供される。したがって、本態様による照明デバイスは、従来の白熱照明デバイスにより似ている。更に、光源は、配光への影響が少ない状態で、ヒートシンクの近くに配置されるので、照明デバイスの冷却を向上することが可能にされる。
【0010】
一実施形態によれば、照明デバイスは更に、照明ソケットに結合される口金を含んでよく、外囲器は、口金に結合される開口部を有してよい。例えば口金は、照明デバイスを照明ソケットに機械的及び/又は電気的に結合させる。口金は、照明デバイスを照明ソケットに接続させるために、例えばネジ式コネクタ又はバイポスト式コネクタといった任意のタイプのコネクタを含んでよい。任意選択的に、口金は更に、光源及び/又は光源からの熱を散逸させるヒートシンクを駆動する駆動電子部品を含んでもよい。更に、光源及び/又は支持体は、任意選択的に、口金に結合されていてもよい。
【0011】
一実施形態によれば、波長変換要素は、細長い形状を有してよく、波長変換要素の長手方向(即ち、細長い波長変換要素が長手方向に延在する方向)に沿って延在する平面内で、少なくとも1つの支持体に対して旋回可能であってよい。更に、長手方向に沿って測定される波長変換要素の長さは、外囲器の開口部の最大幅よりも大きく、長手方向を横断して(例えば長手方向に垂直に)測定される波長変換要素の最大幅は、外囲器の開口部の最大幅よりも小さくてよい。
【0012】
本実施形態は、比較的長く、照明デバイスの光軸を横断して外囲器内に延在する細長い波長変換要素と、比較的小さい口金とを有することを可能にし、これにより、後ろ方向における配光を増加させる点で、有利である。支持体は、外囲器内の最終位置に取り付けられると、波長変換要素の長手方向を横断する方向に延在する。例えば支持体は、口金及び/又は外囲器に取り付けられる。波長変換要素及び支持体によって形成されるユニットを、開口部を介して、外囲器内に挿入可能とするために、支持体は、波長変換要素の長手方向に(実質的に)沿って延在するように旋回させられてよい。次に、ユニットは、外囲器の開口部を通り、その長手方向に沿って動かされる。波長変換要素の(横断面の)最大幅は、外囲器の開口部の最大幅(例えば直径)よりも小さいので、ユニットは、外囲器の開口部を通過することができる。したがって、波長変換要素の横断面の形状は、外囲器の開口部を通過するように適応されてよい。ユニットは、口金の開口部を介して外囲器内に挿入可能であるため、本実施形態は、単一片の材料で作られた外囲器を使用することを可能にする。したがって、外囲器には、目に見える接着又は溶接による接合部がない。
【0013】
例えば波長変換要素は、波長変換要素の長手方向を交差する(例えば長手方向に実質的に垂直な)軸の周りで、少なくとも1つの支持体に対して旋回可能であってよい。
【0014】
一実施形態によれば、少なくとも1つの支持体は、2つの支持体を含んでよく、各支持体が、波長変換要素に対して旋回可能である。これは、2つの支持体の位置を調節することによって、波長変換要素の方向を、当該波長変換要素を外囲器内に挿入した後に調節できる点で有利である。例えば2つの支持体が、各自の長手方向に沿って実質的に反対の方向に動かされると、波長変換要素は傾斜される。
【0015】
或いは、照明デバイスは、単一の支持体を含んでも、任意の他の数の支持体を含んでもよい。
【0016】
一実施形態によれば、2つの支持体のそれぞれは、平面内で、波長変換要素に対して旋回可能であり、平面は、互いに沿って延在してよい。例えば2つの支持体のそれぞれは、1つの軸の周りで波長変換要素に対して旋回可能であり、当該軸は、同じ方向に沿って延在してよい。したがって、2つの支持体の旋回可能平面は、実質的に平行であってよい。更に、2つの支持体の旋回軸は、実質的に平行であってよい。本実施形態では、波長変換要素及び支持体によって形成されるユニットは、実質的に同じ方向に沿って延在するように旋回され、これにより、外囲器内へのユニットの挿入が容易にされる。
【0017】
当然ながら、1つ以上の支持体が、2つ以上の平面内で旋回してもよい。
【0018】
一実施形態によれば、少なくとも1つの光源は、紫外(UV)光を放出してよい。これにより、波長変換要素を通過することなく、光源から直接放出される光は、可視ではなく、波長変換要素が、照明デバイスの唯一の光源のように見える。更に、支持体は、UV光下では、ほとんど見えず、これにより、波長変換要素は、外囲器内で浮かんでいるように見える。例えば光源は、UV(好適にはUV−A)LEDであってよい。更に、又は、代案として、光源は、(例えば約400〜420nm及び好適には約410nmの波長を有する光といった)濃い青色の光及び/又は白色光を放出してもよい。
【0019】
一実施形態によれば、少なくとも1つの光源は、少なくとも、第1の波長範囲内の光を放出してよく、波長変換要素は、少なくとも1つの光源によって放出される光を、少なくとも、第1の波長範囲とは異なる第2の波長範囲に変換してよい。外囲器は、少なくとも1つの光源によって放出される第1の波長範囲内の光の少なくとも一部が、照明デバイスを出ることを阻害してよい。これにより、光源が、外囲器の外側からあまり見えないようにされ、波長変換要素が、照明デバイス内の唯一の発光コンポーネントのように見える。
【0020】
例えば第1の波長範囲は、UV波長範囲(例えば約300〜400nm)であってよく、また、任意選択的に、濃い青色の可視光の波長範囲(例えば約400〜420nm)であってよく、第2の波長範囲は、例えば約450〜750nm、好適には、約550〜750nmといった可視スペクトル内の範囲であってよい。UV光の外囲器の通過が阻害されるので、照明デバイスを出て、周囲環境における白色物体を励起させるUV光量は減少される。第2の波長範囲を吸収及び/又は反射する材料は、例えば外囲器の材料に組み込まれても、及び/又は、外囲器上のコーティングとして塗布されてもよい。
【0021】
一実施形態によれば、照明デバイスは更に、(例えば可視スペクトル内といった)第2の波長範囲内の光を放出する少なくとも1つの追加の光源を含んでよい。したがって、追加の光源によって放出される光は、波長変換要素を通過してなくても直接的に見えることがある。追加の光源は、照明デバイスの所望の配光パターンを達成するように配置されてよい。追加の光源は、例えば白色、黄色、子白色又は赤色の光を放出する。
【0022】
一実施形態によれば、波長変換要素は、少なくとも1つの光源によって放出される光を、白色、黄色、琥珀色及び赤色である複数の色のうち、少なくとも1つの色に変換してよい。これにより、白熱光源の光に似ている。
【0023】
一実施形態によれば、波長変換要素は、光透過性本体と、光透過性本体に配置される波長変換材料とを含んでよい。例えば波長変換材料は、光透過性本体に、パターンで配置される。波長変換材料が提供されていない波長変換要素の部分は、あまり見えない一方で、波長変換材料が提供される部分は、発光し、より見える。例えば波長変換材料は、白熱照明デバイスにより似るように、フィラメントのように配置されてよい。例えば波長変換材料は、蛍光体を含んでよい。
【0024】
一実施形態によれば、外囲器は、例えばガラス又はプラスチックといった材料の単一片で作られてよい。波長変換要素及び支持体によって形成されるユニットは、外囲器内への挿入時、旋回(又は折畳み)可能であるため、ユニットを取り囲むように組み立てられる2部品構成の外囲器を有する必要が減少される。代わりに、ユニットは、口金に結合される外囲器の開口部を介して、挿入される。したがって、外囲器の溶接又は接着による接合点は減少されるか、更には排除される。
【0025】
一実施形態によれば、外囲器は、透明であってよい。これにより、波長変換要素が、外囲器を通して、よりはっきりと見ることができる。
【0026】
一実施形態によれば、波長変換要素及び少なくとも1つの支持体のそれぞれは、少なくとも部分的に剛性であってよい。これにより、照明デバイスはよりロバストになり、ガラス、剛性プラスチック及び/又は金属といったより安価な材料の使用を可能にする。波長変換要素及び支持体のそれぞれの大部分が剛性であっても、外囲器内へのユニットの挿入を可能とするように、支持体及び波長変換要素は、互いに対して旋回(又は折畳み)可能である。
【0027】
例えば支持体が(少なくともほぼ)完全に剛性であり、支持体と波長変換要素との旋回運動は、支持体と波長変換要素との間のヒンジ接続によって実現される。或いは、波長変換要素に結合される支持体の一部が可撓であり、支持体の別の(好適には大)部分が剛性であり、これにより、可撓性部分を曲げることによって、支持体の剛性部分が波長変換要素に対して旋回可能にされてもよい。
【0028】
一実施形態によれば、少なくとも1つの支持体は、少なくとも1つの棒を含んでもよい。当該棒は、好適には、それがあまり見えないように、比較的細い。棒は、金属及び/又は剛性プラスチックで作られてよい。例えば支持体は、所望の形状に容易く曲げられる金属ワイヤを含む。
【0029】
別の態様によれば、上記実施形態の何れかにおいて規定される照明デバイスが、少なくとも1つの支持体に対して旋回可能である波長変換要素を含むユニットを提供するステップと、ユニットの外囲器内への挿入を可能にする状態へと、波長変換要素を少なくとも1つの支持体に対して旋回させるステップと、ユニットを外囲器内に挿入するステップと、外囲器内の最終状態へと、波長変換要素を少なくとも1つの支持体に対して旋回させるステップとを含む方法によって製造される。
【0030】
なお、本発明の実施形態は、請求項に記載される特徴のすべての可能な組み合わせに関する。更に、当然ながら、照明デバイスについて説明される様々な実施形態は、すべて、方法の実施形態と組み合わせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
これらの及び他の態様について、実施形態を示す添付図面を参照して、より詳細に説明する。
【0032】
図1図1は、一実施形態による照明デバイスの部分切り取り図である。
図2図2は、照明デバイスの波長変換要素の長手方向に垂直に取られた横断面図である。
図3図3は、照明デバイスの波長変換要素の長手方向に沿って取られた横断面図である。
図4図4は、組み立てられている状態の図1に示される照明デバイスを示す。
図5図5は、図1に示される照明デバイスを製造する方法を示す。
図6図6は、別の実施形態による照明デバイスを示す。
【0033】
すべての図面は、概略的であり、必ずしも縮尺通りではなく、概して、実施形態を説明するのに必要な部分のみを示す。他の部分は、省略されるか、示唆されているに過ぎない。同様の参照符号は、説明の全体を通して同様の要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
現在、好適である実施形態が示される添付図面を参照して、本態様について、以下により詳細に説明する。しかし、本発明は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、完全さ及び完璧さのために提供されたものであり、当業者に、本態様の範囲を十分に伝えるものである。
【0035】
図1を参照して、一実施形態による照明デバイス1を説明する。図1は、照明デバイス1の部分切り取り斜視図を示し、図2及び図3は、照明デバイス1の2つの異なる横断面図を示す。
【0036】
照明デバイス1は、口金5と、口金5に直接又は間接的に結合される外囲器2(カバーとも呼ばれる)とを含む。例えば外囲器2の開口部15は、口金5に結合される。口金5は、例えば照明設備に含まれる照明ソケットに、照明デバイス1を機械的及び電気的に接続する。本例では、口金5は、照明デバイス1をネジ式ソケットに結合するネジ式接続部13を含む。例えばバイピン接続部といった他の接続部も考えられる。照明デバイス1は更に、例えば口金5に直接又は間接的に結合される、例えば固体ベースの光源といった1つ以上の光源3、4を含む。照明デバイス1は更に、光源3、4を駆動するための駆動電子部品12を含む。例えば駆動電子部品12は、口金5内に含まれる(又は口金5に結合される)。光源3、4と、好適には、駆動電子部品12も冷却するために、ヒートシンク9が設けられていてもよい。ヒートシンク9は、口金5内に含まれる(又は口金5に結合される)。本例では、ヒートシンク9は、ネジ式接続部13に結合され、外囲器2によって少なくとも部分的に覆われる。外囲器2は、好適には、例えばガラス又はプラスチックといった材料の単一片で作られる。例えば外囲器2は、外囲器2内のコンポーネントがはっきりと見えるように、透明(即ち、クリア)である。
【0037】
照明デバイス1は更に、光源3、4から離れて配置される、例えば光源3、4の上方に配置される波長変換要素8を含む。波長変換要素8は、外囲器2内で1つ以上の支持体7によって支持される。波長変換要素8は、例えば透明(即ち、クリア)の光透過性本体を含み、そこに、波長変換材料6が配置される。本例では、波長変換材料6は、例えばらせん又は二重らせんといったパターンで光透過性本体に配置される。パターン付けされた波長変換材料6は、従来の白熱照明デバイスのフィラメントに似ている。波長変換材料6は、例えば黄色及び/又は赤色蛍光体を含む。例えば蛍光体6のスリーブが、例えば接着剤によって、光透過性本体に取り付けられる。或いは、蛍光体は、光透過性本体の材料内に分散されてもよい。光透過性本体は、中空であっても、中身が詰まっていてもよい。例えば光透過性本体は、ガラス又は剛性プラスチックで作られる。
【0038】
本例では、光源のうちの1つの光源3は、波長変換要素8に向けて、紫外(UV)光を放出するように配置される。波長変換要素8は、例えば白色、黄色又は赤色といった可視波長範囲内の光を再放出する。例えば光源3は、360乃至380nmのピーク波長を有するUV−A光を放出する。更に、光源3によって放出された光を、波長変換要素8に向けて集束する光学部品(図示せず)が配置されてもよい。外囲器2は、好適には、UV光が照明デバイス1を出ないように、UV光を吸収及び/又は反射する。例えば外囲器2は、UV吸収コーティングで被覆されてよい。UV光は人間に目には可視ではないため、光は、単に、波長変換要素8からくるものとして見える。照明デバイス1の効率を向上させるために、UV反射コーティング(例えばダイクロイックコーティング)が外囲器2に塗布されてよい。これにより、UV光を、波長変換要素8に向けて、外囲器2内へと反射する。任意選択的に、照明デバイス1は、(例えば白色、黄色、琥珀色又は赤色の光といった)可視波長範囲の光を放出する1つ以上の追加の光源4を含んでもよい。これにより、照明デバイス1に追加の光強度が提供される。更に、光源3、4によって放出された光を波長変換要素8に向けて反射するリフレクタが配置されてもよい。
【0039】
波長変換要素8は、細長い形状であってよい。本例では、波長変換要素8は、ロッドとして形成される。波長変換要素8は、照明デバイス1の光軸10を横断して外囲器2内で延在するように配置されてよい。図3に示されるように、波長変換要素8の長手方向に沿って測定される波長変換要素8の長さLは、外囲器2の開口部15の最大幅(例えば直径)Dよりも大きい。更に、波長変換要素8の長手方向を横断して(例えば長手方向に垂直に)測定される波長変換要素8の最大幅Wは、外囲器2の開口部15の最大幅Dよりも小さい。
【0040】
各支持体7は、軸11の周りを旋回するように、波長変換要素8に旋回可能に結合される。例えば波長変換要素8と支持体7との間に、ヒンジ接続部が設けられる。本例では、各支持体7は、金属ワイヤによって形成され、図2に示されるように、その一部16が、波長変換要素8のアパーチャを通り延在する。金属ワイヤの端が、支持体を波長変換要素8に対して適切な位置に保つために曲げられる。更に、支持体7は、口金5に取り付けられるか、又は、或いは、外囲器2に取り付けられる(図示せず)。支持体7の旋回軸11は、好適には、支持体7が、波長変換要素8の長手方向と実質的に平行な平面内で旋回可能であるように、波長変換要素8の長手方向を横断して(例えば長手方向に垂直に)延在する。更に、旋回軸11は、例えば互いに実質的に平行といったように、実質的に同じ方向に延在する。各支持体7は、外囲器2内の最終位置に取り付けられる際に、好適には、波長変換要素8と口金5との間で、好適には、旋回軸11を横断する(例えば旋回軸11に実質的に垂直な)方向に主に延在する。
【0041】
図1乃至図3を参照して説明された一実施形態による照明デバイス1を製造する方法について、図4及び図5を参照して説明する。図4は、照明デバイス1の製造中に組み立てられている照明デバイス1を示す。図5は、照明デバイス1を製造する方法を概略的に示す。
【0042】
例えば各金属ワイヤ7を挿入し、支持体7をヒンジの軸方向に固定するように、金属ワイヤ7の端を曲げることによって、当該支持体7を波長変換要素8に旋回可能に取り付けることによって、最初に、ユニット17が提供される(ステップ51)。次に、波長変換要素8は、ユニット17の外囲器2内への挿入を可能にする状態に、支持体7に対して旋回される(ステップ52)。例えば支持体7は、図4に示されるように、波長変換要素8の長手方向に実質的に沿って延在するように旋回される(又は折り畳まれる)。次に、ユニット17は、好適には、開口部15を介して、外囲器2内に挿入される(ステップ53)。例えばユニット17は、図4に示されるように、その長手方向に沿って、開口部15を介して挿入される。波長変換要素8及び少なくとも1つの支持体7によって形成されるユニット17は、好適には、当該ユニット17が、開口部15を通過することができるように、(図4に示されるように)支持体17が波長変換要素8に対して折り畳まれるときのユニット17の幅が、開口部15の幅(即ち、直径)よりも小さいように適応される。
【0043】
ユニット17が、外囲器2内に少なくとも部分的に配置されると、波長変換要素8は、外囲器2内の所望の最終状態となるように(即ち、例えば図1に示されるような状態となるように)、支持体7に対して旋回される(ステップ54)。波長変換要素8の向きは、支持体7を、それぞれの長手方向において動かすことによって、望み通りに傾斜できる。好適には、波長変換要素8は、照明デバイス1の光軸を横断する方向に延在するように傾斜される。
【0044】
次に、外囲器2の開口部15に、口金5が取り付けられる(ステップ55)。例えば口金5に、1つ以上の穴18が設けられ、その穴の中に、1つ以上の支持体7を口金5に取り付けるように、当該1つ以上の支持体7を挿入してよい。穴18は、例えばヒートシンク9に配置されてもよい。
【0045】
図6を参照して、別の実施形態による照明デバイスについて説明する。図6は、支持体67が、剛性部66と可撓部69とを含む点以外は、図1乃至図3を参照して説明した例による照明デバイスと同様に構成される照明デバイス61を示す。可撓部69は、剛性部66を、波長変換要素68に接続する。支持体67は、可撓部69が曲げられるので、波長変換要素68に対して旋回可能である。可撓部69は、例えば曲げることが可能な細い金属ワイヤを含む。剛性部66は、例えばプラスチック又はガラスで作られた剛性管、棒等を含む。照明デバイス61は、図4乃至図5を参照して説明した製造方法に従って製造される。
【0046】
当業者であれば、本発明は、上記された好適な実施形態に限定されないことは認識するであろう。それどころか、添付の請求項の範囲内で多くの修正態様及び変形態様が可能である。例えば球状、立方体又は任意の他の好都合な形状といった波長変換要素の細長い形状以外の他の形状も考えられる。
【0047】
更に、開示された実施形態の変形態様は、図面、開示内容及び添付の請求項の検討から、請求項に係る発明を実施する当業者によって理解され、実施される。請求項において、「含む」との用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、また、「a」又は「an」との不定冠詞も、複数形を排除するものではない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されることだけで、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。請求項における任意の参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6