(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)二塩化マグネシウム上に担持されたチタン化合物を含む固体触媒成分、(B)アルミニウムアルキル化合物、及び(C)式AOHのハロゲン化アルコール(ここで、Aは、水素原子の少なくとも一つが、塩素で置換されたC2−C10飽和炭化水素基である)を含む触媒系の存在下で、エチレン、水素、不活性流動化ガス及び任意に一つ以上のアルファオレフィンCH2=CHR(ここで、Rは、C1−C10炭化水素基である)を含むガス混合物を重合する工程を含むエチレン(共)重合体の製造方法において、
前記方法がハロゲン化アルコール(C)の不在下で同じ重合条件下で生成された量より低い量のエタンを生成することを特徴とする製造方法。
ハロゲン化アルコール(C)が、モル比(C)/Tiが0.1〜10の範囲の量で使用され、ここで、Tiが、成分(A)内のチタンモル量である請求項1に記載の方法。
(A)二塩化マグネシウム上に担持されたチタン化合物を含む固体触媒成分及び(B)アルミニウムアルキル化合物を含む触媒系の存在下で、エチレン、水素、不活性流動化ガス及び任意に一つ以上のアルファオレフィンCH2=CHR(ここで、Rは、C1−C10炭化水素基である)を含む気体混合物の重合を含む重合工程でエタン生成を低減させる方法において、
前記方法が、更に式AOHのハロゲン化アルコール(ここで、Aは、水素原子の少なくとも一つが塩素で置換されたC2−C10飽和炭化水素基である)の存在下で行われる方法。
【背景技術】
【0002】
気相重合(gas−phase polymerization)は、適した触媒、エチレン、流動化ガス及び典型的に水素からなる分子量調節剤の存在下で、流動化又は撹拌床反応器で実施することができるポリエチレンを製造するための最も普及している技術の一つである。
【0003】
気相エチレン重合活性の触媒性能評価は、非常に重要な要素である。所定の触媒系において、温度及び圧力などの重合条件に依存することができる。しかし、一旦、重合条件が固定されれば、活性は、厳密に触媒系に依存し、活性が十分でない場合には、反応器に供給される触媒の量を増加しなければならないか、又はその滞在時間を長くしなければならない。いずれにしても、前記解決策は、触媒供給の増加が生産された重合体の1単一当たりのコストの増加を意味する反面、滞在時間の増加は、プラントの生産性の低減を意味するので、経済的観点からプラントの操作性を不利にすることは明らかである。
【0004】
チタン系チーグラ・ナッタ触媒は、一般に、アルミニウムアルキルを組み合わせたエチレンの気相重合に用いられる。水素を分子量調節剤として用いられる場合、エチレンの一部がエタンに還元され、重合に利用可能なエチレンの量を低減させる。更に、連続重合中にエタンがエチレン中に蓄積されるため、蒸留を介して除去するか、又は高過ぎるレベルに達する前に、パージ(purging)による除去が必要とされるだろう。このような短所は、特に、比較的低分子量のエチレン重合体が製造されるときに顕著である。実際に、このような状況で、気相混合物の高い水素含量は、高い水素/エチレンの圧力比を発生させ、化学量論的観点からエタンの生成がより良好になる。
【0005】
従って、エタンの生成を低減させ、場合に応じては、重合活性を同時に増加させる実用的、且つ効率的な方法を見出すことが重要である。このような課題は,この側面に対する化学助剤の挙動が全く予測不可能であるため、容易に達成することができない。事実上、特定の化学物質は、触媒活性を増加させるが、実質的にエタン生成の抑制には効果的でない。
【0006】
ハロゲン化炭化水素は、過去に活性向上剤及びエタン生成低減剤として開示されてきた。ヨーロッパ特許第529977号は、気相重合工程おけるエタン生成低減剤としてハロゲン化炭化水素、例えば、モノ又はポリハロゲン化アルカンの使用を開示している。実施例3及び4で、クロロホルム及び1,1,1−トリクロロエタンは1.25のH
2/C
2−圧力比で重合に使用され、それぞれ3.5gエタン/kg PE及び5.3gエタン/kg PEを提供する。両方に場合において、ハロゲン化炭化水素を用いない場合の活性改善は非常に低い。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好ましくは、A基は、8個以下の炭素原子、より好ましくは、5個以下の炭素原子を有する。好ましい実施形態で、A基は4個以下の炭素原子を有する飽和直鎖炭化水素基である。特に好ましい実施形態で、塩素原子は、ヒドロキシル基に対して、アルファ位の炭素原子上に連結された一つ以上の水素を置換する。特に好ましい実施形態で、少なくとも2個の原子、より好ましくは、少なくとも3個の水素原子が塩素で置換される。ハロゲン化アルコールの好ましい例は、2,2,2−トリクロロエタノールである。
【0011】
ハロゲン化アルコール化合物(C)は、モル比(C)/Ti(ここで、Tiは、成分(A)内のチタンモル量である)であり、好ましくは、0.1〜10、より好ましくは、0.5〜8及び特に好ましくは、0.5〜6範囲の量で使用する。
【0012】
好ましいチタン化合物は、式Ti(OR
II)
nX
y−n(ここで、nは、0〜0.5の数であり、yは、チタンの原子価であり、R
IIは、1〜8個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル又はアリール基であり、Xは、ハロゲンである)を有する。特に、R
IIは、エチル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、2−エチルヘキシル、n−オクチル及びフェニル、(ベンジル)であってもよく、Xは、好ましくは、塩素である。
【0013】
yが4である場合、nは、好ましくは、0〜0.02であり;yが3の場合、nは、好ましくは、0〜0.015まで変化する。TiCl
4が特に好ましい。
【0014】
固体触媒成分(A)は、例えば、エーテル、エステル、アミン及びケトンの中から選ばれた内部電子供与体化合物(内部供与体)を含んでいてもよい。内部電子供与体化合物(ID)は、ID/Ti比が、0.1〜8、好ましくは、0.5〜7、より好ましくは、1〜6になるような量で用いることができる。
【0015】
好ましい内部電子供与体化合物は、WO2011/015553に記載されたフタレート、酢酸塩、特に、酢酸エチル、ベンゾエイト、アルコキシベンゼンなどの脂肪族又は芳香族カルボン酸のエステル、テトラヒドロフランなどの環状アルキルエーテル類及びジエーテルから選ばれる。中でも、酢酸エチル及びテトラヒドロフランが最も好ましい。
【0016】
前記特性に加えて、固体触媒成分(A)は、水銀法で測定した気孔率P
F(1μまでの半径を有する細孔から誘導される)が、0.2〜0.80cm
3/g、及びより好ましくは、0.3〜0.70cm
3/g、通常0.35〜0.60cm
3/gの範囲である。
【0017】
BET方法によって測定された表面積は、好ましくは、80未満であり、特に、10〜70m
2/gを含む。BET方法で測定された気孔率は、一般に、0.10〜0.50cm
3/g、好ましくは、0.10〜0.40cm
3/gを含む。
【0018】
固体成分の粒子は、実質的に球状の形態及び30〜150μm、好ましくは、40〜100μmの平均直径を有する。実質的に球状の形態を有する粒子として、より大きい軸とより小さな軸と間の比が1.5以下、及び好ましくは1.3未満であることを意味する。
【0019】
前記球状成分の製造に適した方法は、式MgCl
2・mR
IIIOHの化合物(ここで、0.3≦m≦1.7であり、R
IIIは、炭素数1〜12のアルキル、シクロアルキル又はアリール基である)を、式Ti(OR
I)
nX
4−n、のチタン化合物(ここで、n、y、X及びR
Iは、既に定義されたものと同じ意味を有する)と反応させる工程(a)を含む。
【0020】
この場合、MgCl
2・mR
IIIOHは、Mgジアライドの前駆体を表す。このような種類の化合物は、一般に、添加物の融解温度(100〜130℃)で、撹拌条件で作動し、付加物と非混和性である不活性炭化水素の存在下でアルコールと塩化マグネシウムとを混合することにより得ることができる。次いで、エマルションは速かに急冷され、付加物が球状粒子の形態で固化することになる。これら球状付加物の製造のための代表的な方法は、例えば、米国特許第4,469,648号、米国特許第4,399,054号及び国際公開WO98/44009に報告されている。球状化のための他の使用可能な方法は、例えば、米国特許第5,100,849号及び第4,829,034号に記載された噴霧冷却法である。所望の最終アルコール含量を有する付加物は、付加物製造時に直接的に選ばれた量のアルコールを直接用いて、得ることができる。しかし、気孔率が増加した付加物を得る場合には、MgCl
2 1モル当たり1.7モル以上のアルコールを有する付加物を先に製造した後、これを熱的及び/又は化学的脱アルコール化工程を行うことが便利である。熱的脱アルコール化工程は、アルコール含量が0.3〜1.7範囲の値まで低減されるまで、50〜150℃の間の温度で、窒素流中で行われる。このような類型の工程は、EP395083に記述されている。
【0021】
一般に、これらの脱アルコール化付加物は、0.15〜2.5cm
3/g、好ましくは、0.25〜1.5cm
3/gの範囲の1μmまでの半径を有する細孔による気孔率(水銀法によって測定)を特徴とする。
【0022】
工程(a)の反応において、Ti/Mgのモル比は、化学量論的又はそれ以上であり;好ましくは、この比は3より高い。より好ましくは、大過量のチタン化合物が用いられる。好ましいチタン化合物は、チタンテトラハライド、特に、TiCl
4である。Ti化合物との反応は、付加物を冷たいTiCl
4(一般に、0℃)中に懸濁させることによって行うことができる;混合物を80〜140℃まで加熱し、この温度で0.5〜8時間、好ましくは、0.5〜3時間保持させる。過量のチタン化合物は、ろ過又は沈殿及び吸い上げ(siphoning)により高温で分離することができる。工程(a)は、2回以上繰り返すことができる。電子供与体化合物を含有する触媒の場合に、後者は、MgCl
2・mR
IIIOH付加物と反応するために、反応系にチタン化合物と共に添加することができる。
【0023】
しかし、これは、WO2004/106388に記載されているように、付加物とチタン化合物と間の反応が完了した後の更なる工程で内部電子供与体化合物を別々に添加する本発明の好ましい実施形態を構成する。
【0024】
本方法の別の変形例によれば、内部電子供与体を添加する前に、工程(a)の終了から来る固体触媒成分は、PCT/EP2014/061958に記述されたように、アルミニウムアルキル、少量のモノマー及び任意に外部供与体の存在下で予備重合される。
【0025】
本発明の触媒成分(B)は、場合に応じて、ハロゲン化されたAl−アルキル化合物から選ばれる。特に、これは、Al−トリアルキル化合物から選ばれ、例えば、Al−トリメチル、Al−トリエチル、Al−トリ−n−ブチル、Al−トリイソブチルが好ましい。 Al/Ti比は、1より大きく、一般に、5〜800を含む。
【0026】
成分(B)と成分(C)のモル比は、好ましくは、10〜100、より好ましくは、12〜60、特に15〜50の範囲である。
【0027】
前述した成分(A)〜(B)及びハロゲン化アルコール(C)は、幾つかの方法で重合反応器に供給することができる。例えば、これらを重合反応器に別々に供給することができ、前記重合反応器で、重合条件下でそれらの活性を利用することができる。また別の実施形態では、成分(A)〜(C)の予備接触を、任意に少量のオレフィンの存在下で、0.1〜120分の範囲、好ましくは、1〜60分範囲の時間の間行うことが有利であり得る。前記予備接触は、0〜90℃の範囲、好ましくは、20〜70℃範囲の温度で、液体希釈剤中で行うことができる。
【0028】
さらに可能な実施形態において、成分(A)〜(B)は、特定の条件下で予備接触させ、ハロゲン化アルコールを別々に供給する反応器に供給される。
【0029】
触媒システム(A)〜(B)は、任意にハロゲン化アルコール(C)の存在下で、主気相重合工程で直接使用することができ、又は予め予備重合させることができる。予備−重合工程は、一般に、予備−重合が固体触媒成分Aの製造において発生しない場合に好ましい。予備重合は、オレフィンCH
2=CHR(ここで、Rは、H又はC
1−C
10炭化水素基である)のどれで遂行できる。特に、エチレン、プロピレン又はこれらの混合物を一つ以上のα−オレフィンと予備重合させることが好ましく、前記混合物は、20モル%以下のα−オレフィンを含有し、重合体の量は、固体成分1g当たり約0.1gから固体触媒成分1g当たり約1000gまでを形成する。予備重合工程は、液相又は気相中で、0〜80℃、好ましくは、5〜70℃の温度で行うことができる。予備重合工程は、連続重合工程の一部として、インライン又はバッチ工程で個別的に行うことができる。触媒成分1g当たり0.5〜20g範囲の量の重合体を製造するために、本発明の触媒をプロピレンでバッチ予備重合させることが特に好ましい。予備重合された触媒成分は、また、主重合工程で用いられる前に、チタン化合物に追加処理することができる。この場合、TiCl
4の使用が特に好ましい。Ti化合物との反応は、予備重合された触媒成分を液体Ti化合物中に、任意に液体希釈剤と混合物で、懸濁して行うことができ;前記混合物を60〜120℃に加熱し、この温度で0.5〜2時間保持する。
【0030】
本発明の気相重合方法は、任意の類型の気相反応器で60〜130℃、好ましくは、70〜110℃の範囲の温度で行うことが好ましい。一般に、気相の全圧は10〜40バール、好ましくは、15〜35バールの範囲である。流動化不活性ガスは、この目的のために知らされている任意の不活性ガスの中から選択することができる。窒素及びプロパンが特に好ましい。
【0031】
オレフィンの重合のために特に好ましい気相方法は、以下の工程を任意の相互順序で含む:
a)水素、及び(A)二塩化マグネシウム上に担持されたチタン化合物を含む固体触媒成分及び(B)アルミニウムアルキル化合物を含む触媒系の存在下で、気相反応器で、エチレンを任意に一つ以上のコモノマーと共に重合する工程;
b)工程a)より少ない量の水素及び工程(a)で定義された触媒系の存在下で、他の気相反応器で、エチレンを任意に一つ以上のコモノマーと共に重合する工程;
前記気相反応器のうち少なくとも一つにおいて、成長する重合体粒子が高速流動化又は輸送条件下では、第1重合区域(上昇部)を通って上方に流れ、前記上昇部から出た後、第2重合区域(下降部)に入り、前記第2重合区域の重力の作用下で下方に流れ、前記下降部から出た後、上昇部内に再び投入することで、前記2個の重合区域の間で重合体の循環を確立し、前記反応器のうちの少なくとも一つにおいて、重合は、更に(C)式AOHのハロゲン化アルコール(ここで、Aは、水素原子の少なくとも一つが塩素で置換されたC
1−C
10飽和又は不飽和炭化水素基である)の存在下で行われる。第1重合区域(上昇部)では、一つ以上のオレフィン(エチレン及びコモノマー)を含む気体混合物を重合体粒子の輸送速度より速い速度で供給することで、高速流動化条件が確立される。前記気体混合物の速度は、好ましくは、0.5〜15m/s、より好ましくは、0.8〜5m/sである。用語「輸送速度」及び「高速流動化条件」とは、当該技術分野で周知である;その定義は、例えば、文献「D. Geldart, Gas Fluidisation Technology, page 155 et seq., J. Wiley & Sons Ltd., 1986」を参照されたい。
【0032】
第2重合区域(下降部)で、重合体粒子は、高密度化された形態で重力の作用下で流れ、固体の密度の高い値(反応器の容積当たりの重合体の質量)に達し、これは重合体の嵩密度に近接する。換言すれば、重合体が栓流(充填流量モード)で下降部を通って垂直方向に流れ落ち、重合体粒子間に少量のガスしか引きずり込まれない。
【0033】
好ましくは、前記工程において、工程(b)において、エチレンと一つ以上のコモノマーとの共重合が行われる。更なる好ましい実施形態では、化合物(C)は、工程a)及びb)の両方に存在する。
【0034】
エチレン及び任意にコモノマーを気相で重合するとき、用いられる水素の量、従って、圧力比H
2/C
2−は、製造されるポリエチレン生成物の類型に依存し、特に、ASTM−D1238条件Eにより決定される用語メルトフローレートで表現されるそれらの所望の分子量により変わる。比較的低い分子量(高いMFR値)のためには、より多量の水素が必要とされ、従って、圧力比H
2/C
2−もさらに高くなる。しかし、一般に、0.5〜5、好ましくは、1〜4、及びより好ましくは、1.5〜3.5である。
【0035】
エチレン水素化から誘導されたエタンの量は、存在する水素の量に直接依存する傾向がある。従って、本開示の工程及び方法で得られたエタン生成の低減は、比較的高いメルトフローレートを有するポリエチレン製品を製造する場合に特に有利である。具体的に、ハロゲン化アルコール(C)の使用が観察された高い値のH
2/C
2−圧力比の存在する場合であっても、生成されるエタンの量を大幅に低減することができる。特に、2.4〜3範囲のH
2/C
2−圧力比に対応して、成分(C)として前記言及されたハロゲン化アルコールを使用すれば、生成されるエタンの量は、常に生産されたPE1トン当たり3kg未満であることが観察された。この量は、さらに低いH
2/C
2−圧力比で、しかし、気相重合工程でハロゲン化炭化水素を使用する従来技術で生成された量より少ない。
【0036】
前記のエチレンホモ及びコポリマーに加えて、本発明の触媒はまた、エチレンから誘導された単位のモル含量が80%を超える3〜12個の炭素原子を有する一つ以上のα−オレフィンとエチレンの共重合体からなる極めて低密度及び超低密度のポリエチレン(VLDPE及びULDPE、0.920g/cm
3以下、0.880g/cm
3までの密度を有する);エチレンから誘導された単位重量当たり含量が約30〜70%であるジエンの割合がより少ない、エチレンとプロピレンのエラストマー共重合体及びエチレンとプロピレンのエラストマー三元共重合体を製造するのに特に適している。
【0037】
下記実施例は、非制限的で本発明を説明するために提供される。
実施例
特性化
【0038】
特性は、下記の方法に従って決定される:
MIE流動指数:ASTM−D 1238 条件E
MIF流動指数:ASTM−D 1238 条件F
MIP流動指数:ASTM−D 1238 条件P
嵩密度:DIN−53194
【0039】
窒素による気孔率及び表面積:B.E.T.法(装置は、カルロ・エルバー社(Carlo Erba)のSORPTOMATIC 1900を使用する)。
【0041】
測定は、カルロ・エルバーの「パスカル(Pascal)240」シリーズポロシメーター(porosimeter)を使用して行う。気孔率は、圧力下で水銀の侵入によって決定される。この決定のために、水銀の貯液槽と高真空ポンプに連結された補正された膨張計(毛細血管直径3mm)CD3P(カルロ・エルバー社)を使用する。秤量した試料を膨張計に入れる。次に、装置を高真空(<0.1mmHg)下に置き、これら条件で20分間保持する。次いで、膨張計を水銀貯液槽に連結し、水銀は、それが10cmの高さで膨張計にマークレベルに達するまでにゆっくり流入させる。膨張計を真空ポンプに連結するバルブを閉じた後、窒素を140kg/cm
2まで水銀圧力を徐々に上げる。圧力の影響で、水銀が微孔に入り、物質の気孔率に応じてレベルが低下される。
【0042】
気孔率(cm
3/g)(担体及び触媒が1μm以下の気孔でのみ誘導される)及び気孔分布曲線は、水銀の体積減少の関数である積分孔分布曲線から直接計算され、適用された圧力値(全てのこれらのデータは、カルロ・エルバー社が提供した専用パスカルソフトウェアが取り付けられたポロシメーター関連コンピュータによって提供され、精巧化される。
【0043】
実施例1−3及び比較例1−2
固体触媒成分(A)の製造方法
【0044】
約3モルのアルコールを含有する塩化マグネシウム及びアルコール付加物を、米国特許第4,399,054号の実施例2に記載された方法に従って製造したが、10000RPMの代わりに2000RPMで製造した。この付加物をアルコールの25%の重量含量に達するまで50〜150℃の温度範囲で窒素気流下に熱処理した。
【0045】
窒素でパージされた2Lの4口丸底フラスコに、1LのTiCl
4を0℃で導入した。次いで、同温度で、前述するように製造された25重量%のエタノールを含有する70gの球状MgCl
2/EtOH付加物を撹拌下で添加した。温度を2時間で140℃まで上昇させ、120分間保持した。その後、撹拌を中止し、固形生成物を沈殿させ、上清を吸い出した(siphoned off)。次に、固体残渣を80℃で、ヘプタンで1回及び25℃で、ヘキサンで5回洗浄し、30℃で、真空下で乾燥させた。
【0046】
撹拌機付き260cm
3のガラス反応器に、20℃で、351.5cm
3のヘキサン及び前述のように製造された7gの触媒成分を20℃で、撹拌下で投入した。内部温度を一定に保ち、ヘキサン(約370g/L)中のトリn−オクチルアルミニウム(TNOA)5.6cm
3を反応器にゆっくり投入し、温度を10℃にした。10分間撹拌した後、10gのプロピレンを4時間、同じ温度で注意深く反応器に投入した。反応器中のプロピレンの消費量をモニタリングし、触媒1g当たり重合体1gの理論的転化率に達した時、重合を中止した。その後、全内容物をろ過し、30℃(50g/L)の温度で、ヘキサンで3回洗浄した。乾燥後、生成された予備重合触媒(A)を分析し、初期の触媒1g、2.7%Ti、8.94%Mg及び0.1%Alに対して、1.05gのポリプロピレンを含有することが明らかになった。
【0047】
重合過程
重合工程は、連続的に作動し、基本的に小型反応器(予備接触ポット)付きプラントで行った。ここで触媒成分が混合されて触媒系を形成し、前の反応器で形成された触媒系を受ける第2輸送容器及び前の反応器から出てくる触媒混合物を受け入るプロパンを有する流動化条件下で維持された一つの流動床反応器(重合反応器)を含む。
【0048】
下記の反応物を予備接触ボットに供給する:
前述のように製造された固体触媒成分
希釈剤としての液体プロパン
TIBAL溶液
【0049】
このようにして得られた触媒システムを予備接触部(第1容器)から第2容器に、次いで、モノマー供給物、帯電防止剤(グリセロールモノステアレート/Atmer)と共に気相流動層反応器に、2,2,2−トリクロロエタノール(比較例1及び2では、シクロヘキシル クロリド)のヘキサン中の溶液と共に供給した。反応器は、表1に報告された条件下で作動させた。最終反応器から排出された重合体を、まず、蒸気処理部に移した後、窒素流下で、70℃で乾燥し、秤量した。重合体特性を表1に報告した。
【0052】
固体成分(A)の製造
約3モルのアルコールを含有する塩化マグネシウム及びアルコール付加物は、10000RPMの代わりに2000RPMで作動することを除いては、アメリカ特許第4,399,054号の実施例2に記載された方法に従って製造した。この付加物をアルコールの重量含量24.4%に達するまで窒素気流流下で50〜150℃の温度範囲で熱処理した。
【0053】
窒素でパージされた2Lの4口丸底フラスコに、1LのTiCl
4を0℃で投入した。次に、同温度で、前述のように製造されたエタノール24.4重量%を含有する70gの球状MgCl
2/EtOH付加物を撹拌下で添加した。温度を2時間、130℃に上昇させ、90分間保持した。その後、撹拌を中止し、固形生成物を沈殿させ、上清を吸い出した。新たな量の新鮮なTiCl
4を初期の液体体積に達するようにフラスコに添加した。温度を130℃で90分間保持した。再び、固形分を沈殿させ、液体を吸い出した。次いで、固体を60℃で、無水イソヘキサン(400mL)で3回洗浄し、40℃で2回洗浄した。
【0054】
最終的に、残留固形分を乾燥イソヘキサン600mL中に懸濁させた。同温度で、撹拌下、酢酸エチル92mLを滴下した。
【0055】
温度を50℃に上昇させ、混合物を2時間撹拌した。その後、撹拌を中止し、固形生成物を沈降させ、上清を吸い出した。
【0056】
固体を40℃で無水ヘキサン(100mL)で2回洗浄し、回収して、真空下で乾燥させ、分析した。
【0057】
Mg=15.0重量%、Ti=2.4重量%、AcOEt=26.9重量%
【0059】
前述のように製造された触媒の第2容器の予備重合が主な重合条件を記載する表2に記載された条件に従ったことを除き、実施例1に記載された同じ装置で重合工程を行った。
【0062】
重合工程は、PCT/EP2014/061958の実施例1に従って製造された触媒を外部供与体としてテトラヒドロフランと組み合わせて使用したことを除き、実施例1に記載された同じ装置で行った。Atmer163はGMSの代わりに帯電防止剤として用いた。重合条件及び結果を表3に報告する。
【0064】
前記実施例によって立証されるように、ハロゲン化アルコールは、重合活性の増加と共に生成されるPEの単位当たりエタン(C2
+)生成の低減を提供する。特に、ハロゲン化アルコール(実施例1)は、同じ条件(比較例1−2)でのハロゲン化炭化水素よりもエタン生成を低減させるのにより効率的であることが立証された。